◀︎小文▶︎ このごろ俳句に思うこと 高澤 良一
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このごろ俳句に思うこと 高澤 良一 濱 昭和六十三年一月号
スフィンクスの謎解きの如き設問である。これに応えられれ
ば一等俳人間違いなしであろうが、どうも頭の整理が悪いの
で、日頃気にかかっている好きな言葉を、自戒・羨望・期待
をこめて「このごろ俳句におもうこと」の「おもう」ことに
かえさせて頂きたい。
<呪文>
私が、今日の歌人や俳人に惹きつけられる一つの条件は、彼等
が歌や俳句に自己を限定した際、如何なる可能性を彼等は犠牲に
して、封じ込めてしまったか、ということである。
(山本健吉「近代日本の詩人たち」)
<俳諧の起点>
折柄野菜の配給で近所の奥さん連中が横丁横丁から出て来た。
リヤカーを押して足袋はだしがあると思うと、ローマ人のような
羅紗でつくった自製の靴をはいてのろのろゆくのもある。舞台の
ようである。舞台にこうゆう人がぞろぞろ出て来たら此人達も笑
うだろうが、現実というものはおかしく見せる余裕をもたない。
(中川一政全文集)
<着眼>
以前はよく庭に莚を敷いてそこに寝ました。地面の高さで見る
庭はまた別の景色で、蟻たちの動きを見ているだけで夕方になっ
たときもあります。
蟻しやがみ見て守一に似て来そう 納 漠の夢
(熊谷守一「蒼蝿」)
<作品>
書とはむしろ、その人の生活の中から偶然的に生み落されたも
のを、あたかも作品であるかのように珍重するところに、面白味
があるような気がしている。 (幸田露伴)
<作品>
熊谷さんには「大作」というものがない。(中略)いつも展覧
会に充満している空虚な「大作」の莫迦らしさに反撥しているの
であろうか。熊谷さんは反感で動くような人ではない。しかし熊
谷さんの中に反抗の精神がないとはいえない。反抗の精神は芸術家
にあってはまずもつて反俗という形をとる。それが脱俗となり超俗
となるには熊谷さんでも相当の却を経ねばならなかったろう。
(谷川徹三「熊谷守一の人と絵」)
<自戒>
材料を征服する気でかからねば駄目だ。材料をかついで、よろけ
て居ては仕方がない。よろけながら悲鳴をあげても、その悲鳴が芸
術にはならない。
(志賀直哉)
<自戒>
晩秋の夕陽を浴びた風景から、神経を抜き取られて行くような寂
しさを覚えるというのはかなり通俗的な結論のようではあるが、見
当ははずれていない。ただ風景とこうした結論とを安易に結び付け
時には、情緒から大きくはみ出し、情緒を自ら崩している。これは
風景を真面目に見ようとしている時には警戒しなければならないこ
との一つである。
夕陽は沈んだ。白壁は物に戻る。そして残照は追わない。
(「沈黙の歌」串田孫一)
<表現>
独断的であることが、いいかわるいかは問題ではない。そこに詩
があるかどうかが問題なのだ。独断に対しあまり小心でいると、人
は思想の石女(うまづめ)になる) 「読書論」亀井勝一郎)
<推敲>
絵には色がない方が上品です。もっといえば、白いキャンバス、
白いままの紙の方が何か描いたものよりはずっとさつぱりして綺麗
です。それよりはよくは出来ないのです。そこが凡人のかなしさで、
何か描いたり、塗ったりする。ばかばがしいことですね。
(熊谷守一)
<批評>
批評するものは心の中にひとつの教会をもつ。懐疑のための教会だ。
肯定と否定のろうそくをまじまじ祭壇にささげながら、熱心に自分で
自分に説数している。断定とは悲劇なのだ。相手を受難者にするか、
さもなければ自分が受難者になる。
(亀井勝一郎)
<句会>
放言は、我らがひそやかにのぞんでいる情熱の日曜日だ。人に聞か
れて困るような、独断的な言葉の放出を衛生上からも必要とするらしい。
胸底に抑えてきたすべての言葉を釈放する一種の祝祭日だ。酒に酔いな
がら、秘密に開かれるそれは言葉の裸体舞踏会でもある。
(亀井勝一郎)
<読者>
例えば庭や公園などで、十枚ほど花の絵を描いたとしますと、その十枚
のうちには、これは案外うまく描けたと自分でひそかに思うのが必ず、
一、二枚はあると思います。その絵をこっそり額に入れて、部屋のどこ
かへ掛けて眺めてみてください。知らないうちに自分がにっこりしてき
ます。上手、下手ではなく、なんとなく気に入った絵が描けた、この時
の気持が大切だと思います。他人からおだてられてその気になるより、
自分でひそかによろこぶのがいいのです。
(「枯葉の踊り」串田孫一)
<読者>
あなたの個性とは、あなたらしさです。
あなたの独創性とは、あなたらしさが、つつましくそれと分る人に
は分る程度ににじみ出ることです。 (串田孫一)
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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