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(人物評)・強 の俳句

(人物評)・強 の俳句

強弱 強力 最強 強健 強壮 屈強 剛健 頑健 一騎当千 頑丈 丈夫 不死身 堅固 確固 強固 強靱 タフ 不屈 不退転 不撓不屈 堅忍不抜 剛直 剛毅 豪胆 大胆 不敵 放胆 豪放 豪快 磊落 どっしり 気丈 筋金入り 逞し 強か 手強い 勇壮 勇猛 精悍 果敢 勇敢 雄々し 凜々し 颯爽 勇気 決然 勇姿 堂々


【逞し】の俳句


【強弱】

たそがれの星の強弱春隣り 飯田龍太
家の灯に強弱ありて黴ふゆる 岡本眸
強弱の二打にあへなく竹伐られ 物種鴻兩
月の街燈に強弱のあるあはれ 大野林火 冬雁 昭和二十二年
注連を綯ふ藁の強弱知り尽し 石井いさお
噴水の強弱観覧車をまわす 中塚忠則
鞭鳴りの強弱 荷牛に日暮れはまだ 伊丹三樹彦

【強力】

けむり茸踏む強力の腰つよし 小林黒石礁
角打負って何処へ強力霧の富士 百合山羽公 寒雁
汗しとゞなる強力に道ゆづる 谷口みさほ
強力が下りて棹さし湯花汲む 平畑静塔
強力に背負う市への室花を 伊丹三樹彦
強力に背負ふ市への室花を 伊丹三樹彦
強力のあえぎや天に近くして 堀内薫
強力ののそりと昼寝より立てり 能村登四郎
強力の汗や夏炉のそばに来て 百合山羽公 寒雁
強力の清水濁して去りにけり 河東碧梧桐
強力の直方体になり登る 水嶋啓子
強力の飛ぶごとく来る空荷かな 鈴木貞雄
強力の風負ひ戻る輪*かんじき 太田蓁樹
強力の毛脛にあたら清水哉 森鴎外
強力を召す山伏の大根引 木導
月山の強力背負ふ大西瓜 升本栄子
雪渓に遇ひし強力畳負ふ 西田浩洋
馬方と強力ここを界とす 山口誓子
峰入や又強力が顔の癖 桑風
祓はれて強力の汗ひきゆけり 田中英子

【最強】

暖房を最強にして語らへど 櫂未知子 蒙古斑
夫子という最強の盾五月浪 荒井千佐代

【屈強】

たかんなの屈強どきをもはや越す 伊藤白潮
沖は怒涛 いつまで屈強者の坐業 伊丹三樹彦
寒月に屈強の僧列なせり 金原靖七
屈強な乞食と会へり春の昼 磯貝碧蹄館 握手
屈強な背四日の海のまへ 菅原鬨也
屈強な焚火が焦がす日本海 石村与志
屈強な踊り手揃ふ伊勢神楽 松崎鉄之介
屈強のタオルを運ぶ潜水艦 攝津幸彦
屈強の影ひつさげて羽抜鶏 上田五千石 琥珀
屈強の影を抜き鶏頭を抜く 鷹羽狩行
屈強の橋のありけり初日の出 小澤克己
屈強の胸に水受け玉せせり 岡部六弥太
屈強の山かたまりし桐の花 伊藤通明
屈強の山蟻西行墳に見て 関戸靖子
屈強の持主ならむ和布刈竿 百合山羽公 樂土以後
屈強の僧のかしづく冬の燭 長谷川櫂 古志
屈強の僧兵めきて山の蟻 小宅光子 『雲に風に』
屈強の団扇を使ふ市庁地下 佐藤鬼房
屈強の男揃ひや秋飢き 斎藤俳小星
屈強の渡し守ゐて梅雨深し 伊藤敬子
屈強の籠のころがる瓜番屋 若生彦太郎「ふくろふ」
屈強や筍どきの根切鍬 百合山羽公 樂土
蛇笏忌の空屈強の山ばかり 飯田龍太
雪囲ひ解く屈強の男たち 桂信子 花影
船を押す海人の屈強秋の雷 野見山朱鳥
草刈の男屈強女屈強 高野素十
梅雨月や松屈強の大井川 庄司圭吾
蓮を作り蓮を掘り屈強な男 橋本夢道 無類の妻
檜山出る屈強の月西行忌 大峯あきら 鳥道

【頑健 剛健】

甲虫ら頑健けふの暑気に堪ふ 山口誓子
死してなほ蝉の目鼻の剛健に 高澤良一 暮津
浅蜊掻く泥手泥足頑健に 佐藤鬼房
旅中頑健飯の代りに心太 高浜虚子


【一騎当千】

一騎当千の兜を飾りたる 鷹羽狩行

【頑丈】

稲刈の頑丈の腰発条羨し 石塚友二 方寸虚実
羽根頑丈に鴉春まつ石切山 寺田京子 日の鷹
頑丈な歯が欲しもろこし前にして 高澤良一 寒暑
頑丈な馬橇のベンチ金魚草 八木林之介 青霞集
頑丈に生んでくれたる柚子湯かな 仁尾正文
頑丈の身に帷子や錨紋 松藤夏山 夏山句集
虫の住む蓑頑丈に萩さわぐ 阿波野青畝
猪垣のさほど頑丈には見えず 長谷川十四三
野むしろに頑丈な大豆昼鼾 土田武人

【丈夫】

偉丈夫な鉄之介句碑蟻攀ずる 高澤良一 素抱
偉丈夫のたちまちあらず冬旱 相馬遷子 山河
一世の偉丈夫にして大日焼 上野泰
塩田に女丈夫と鬚の船虫と 原コウ子
外見は一見丈夫羽抜鳥 高澤良一 暮津
蛙鳴くや黒くて丈夫なフライパン 中村明子
寒晴の丈夫な家を解くかな 正木ゆう子 悠
気丈夫に三国の女も水仙も 高澤良一 随笑
鏡絵の女美丈夫太刀かざし 高澤良一 寒暑
骨格に残る偉丈夫日向ぼこ 松崎鉄之介
産れ次ぐ仔豚丈夫に南瓜蒔く 今本南雀
七草や夫婦の丈夫な飯茶碗 池田澄子
丈夫(ますらを)やマニラに遠き波枕 攝津幸彦
丈夫なる泣き声たてて初端午 阿部みどり女
丈夫なる泣き声たてゝ初端午 阿部みどり女 笹鳴
丈夫なる石蕗や葉と言花と言 三宅嘯山
丈夫なる婢に眺め入る梅の花 永田耕衣
酢海鼠や昔日の丈夫いまの惰夫 花岡昭
草刈りて句碑は尾上の偉丈夫ぞ 平畑静塔
存ふる母の気丈夫小豆粥 落合水尾
村の子は丈夫で裸赤のまま 上村占魚 球磨
大和し青葉し副葬品の丈夫かな 池田澄子 たましいの話
虫のねにしばしほそかれ丈夫心 北枝
沈丁花ヂヂババ無事に孫丈夫 瀧井孝作
蔦枯れて茎の丈夫を日光裡 池田澄子 たましいの話
背泳ぎで遠のきにつつ陸は丈夫 池田澄子
美丈夫の梧桐の幹打ち捩ゑぬ 高澤良一 さざなみやつこ
良弁忌像は偉丈夫にて在す 吉村宵雨
蝸牛の丈夫な殻や妊婦坐す 中山純子 沙羅

【不死身】

巨人小人冬も不死身の浪ころし 百合山羽公 寒雁
暑にも耐へよ君は不死身と師より給ふ 長谷川素逝 砲車
藤房にふれて不死身という不遜 田中きみ女
髭の濃き大峰行者不死身なる 茨木和生
野火狂ふ 不死身の孔雀火に狂ひ 三橋鷹女
優曇華や不死身の夫もこの度は 藤本静子
老いたるも不死身の藤の芽吹くなり 阿波野青畝
老い古りて不死身の真藤芽を吹けり 阿波野青畝

【堅固】

こころざし堅固に*かりん匂ふかな 佐藤鬼房
堅固なる所手向よ菊の花 露川
武者飾矢襖の柵堅固なり 山口誓子
笋や堅固を祈る三法師 露川

【強靱】

強靱な蝉の肋を仰ぎ見て 高澤良一 暮津

【不屈】

パズル出て陸車技手なかなか不屈 伊丹三樹彦
妻不撓不屈のダリヤ咲きふゆる 古舘曹人
洗はれて干されてすててこの不屈 大牧広「風の突提」

【不撓不屈】不撓不屈

妻不撓不屈のダリヤ咲きふゆる 古舘曹人

【不退転】

八角の金剛杖の不退転 平畑静塔
晩学にして不退転達磨の忌 吉井莫生
不退転とは崖にさくをとこえし 鷹羽狩行
不退転とは崖に咲くをとこへし 鷹羽狩行

【剛直 剛毅】

炎天の石の剛直安土城 橋本榮治 麦生
止まり切つたれば剛直糸蜻蛉 行方克己 昆虫記
冬木立剛毅な闇のありにけり 後藤綾子

【大胆】

サングラス見知らぬ土地を大胆に 猪子青芽
サングラス選るに次第に大胆に 須川洋子
たんぽぽやわが愛これに大胆に 上村占魚 球磨
つばくらめ描く構図を大胆に 高澤良一 暮津
はな売のあな大胆や風の中 寥松
べっとう時化鳶大胆に急降下 高澤良一 鳩信
マロニエの伸ぶる冬の芽大胆に 小池文子 巴里蕭条
臆病なぼく大胆な秋の蝿 小西 昭夫
海水着より大胆に海紅豆 高澤良一 鳩信
茅花とぶ女のこゑの大胆に 星野麥丘人
観潮や女船長大胆に 久保曲甫
菊膾菊大胆にほぐされて 小林正恵
向日葵の大胆な枯れかばえない 清水 伶
向日葵や子の大胆を母愛す 村田青麥
更衣して活発に大胆に 萩森研(ホトトギス)
高架街を貫き人細心に大胆に 藤木清子
細心に大胆に脱ぎ竹の皮 鷹羽狩行
咲き方も大胆にして「大掴み」 高澤良一 燕音
皿割りてより大胆な寒の薔薇 中村明子
四葩切るをとこの手許大胆に 三橋鷹女
初雪にして大胆な降りつぷり 丘 すみれ
暑に耐ふる身や花柄を大胆に 朝倉和江
松涼や亀大胆にあるく家 宇佐美魚目 秋収冬蔵
慎重派大胆派ありケルン積む 村手圭子「かつらぎ選集」
性格を大胆に出し歌留多取る 相沢弥生
千代田区を大胆に飛ぶ寒鴉 町垣鳴海
草の実やこのごろ少女大胆に 岸風三楼 往来
大胆といふ美しき海水着 岸風三樓
大胆な試食ぶりなり蜜柑山 塩見育代
大胆な女(ひと)と水着を見て想ふ 高澤良一 暮津
大胆な女流歌碑反る枯岬 佐々木いつき
大胆な水着ごろごろ砂乾く 安与広
大胆な造りのアトリエカンナ咲く 高澤良一 素抱
大胆にクレーン影をひとよぎり 金井螢草
大胆に銀一片を社会鍋 飯田蛇笏 春蘭
大胆に切りもどされてサイネリア 大塚信太
大胆に漕ぐふらここを見て欲しく 白根純子
大胆に息する家なり冷そうめん 松藤紀子
大胆に脱がせば湿り竹の皮 小島健 木の実
大胆に男の活けしつるもどき 福澤勝子
大胆に描きし菊を早や厭ふ 相生垣瓜人 微茫集
大胆の生ひ先見へつ印地打 三宅嘯山
大胆や夜川をわたるほしの妻 井上士朗
凍光や帰省す尿を大胆に 飯田龍太(1920-)
破芭蕉なほ大胆に己れ裂く 妹尾 健
毛虫焼く妻の次第に大胆に 水島三造
夕立のあと何處となく大胆に 高澤良一 暮津
落葉せり食大胆に臆病に 藤田湘子 神楽
恋する瞳マスクしてより大胆に 水口楠子 『泉汲む』
練馬野の月大胆に真つ白に 川端茅舎
漓江の蝿大胆に来てもう居らぬ 宮澤山彦
籏ことの得意の単衣藤大胆 殿村莵絲子 牡 丹
鮟鱇の肝食みてより大胆に 銀林晴生

【豪胆】

浜人ら豪胆に呑む花見酒 今 鴎昇

【不敵】

フフフフフ不敵な石榴がひらいた 中村加津彦
哀れ蚊に不敵なる蚊の雜りゐし 相生垣瓜人 負暄
寒三日月不敵な翳を抱きすすむ 野澤節子 未明音
向日葵の不敵な笑みに責められる 中村和代
初場所やモンゴル力士の不敵な貌 須藤はま子
水上を突き進む蛇不敵なり 高澤良一 素抱
呑やうに粽喰ふ子の不敵哉 三宅嘯山
餅食みつつ不敵の笑ひ書を閉ざす 加藤知世子 黄 炎
裸子の胡坐父よりすでに不敵 花田春兆
螫しし蟻不敵の者にありたらむ 相生垣瓜人 明治草

【放胆】

放胆な魚が月光おそれざる 安住敦
放胆にはなれぬ生活をもつて少し酔つて生き生きしてみる 橋本夢道 無禮なる妻抄

【豪快 豪放】

むかしほど豪快な雷来ずなりぬ 角光雄
越後一の宮豪快に杉花粉 吉田未灰
教会の庭豪放の焚火せよ 中村草田男
金色の豪奢豪放夕みぞれ 鍵和田[ゆう]子 未来図
豪快な山雨すぐ止む涼しさよ 檜 紀代
豪快な灘の白波鷹渡る 木瀬連香
豪快に笑へば淋し雲の峰 椎橋清翠
豪快に晴れ雪形に蝶のあり 瀧澤宏司
豪快に風と一文字夏座敷 礒部淡水
豪快に母の鍋から蟹の足 加地弘嗣
豪快に法師の一刀竹伐会 浅野 房
黒揚羽豪快ビルに沿ひて昇る 加藤秋邨
露涼し朝富士の縞豪放に 富安風生

【磊落】

君の磊落南瓜の花に相通じ 高澤良一 暮津
山の子の泣声磊落青胡桃 中村草田男
胆大心小磊落繊細穴を出づ 金子兜太
磊落となりて存ふ花八ツ手 深野カツイ 『花八ツ手』
磊落と河原を行けば草雲雀 萩原朔太郎
磊落なる義兄の訃報昼の雷 上原瑞子 『燈台草』
磊落な椨の落とせる春落葉 高澤良一 宿好
磊落の庵主なりけり根深汁 村山古郷
磊落の理郎と居れば田水沸く 山口剛
磊落は新酒を偸む事にあらず 正岡子規 新酒

【気丈】

はしなくも気丈といはれ男郎花 今井君江
花苺気丈な母になれず居る 近藤美智子
気丈なる明治生まれや希典忌 片岡眞紀子
気丈夫に三国の女も水仙も 高澤良一 随笑
気落ちの瀞気早の滑と気丈の瀧 上田五千石『琥珀』補遺
残り咲く菊一輪の気丈かな 小田嶋野笛
草紅葉気丈な母で通しけり 安住敦
存ふる母の気丈夫小豆粥 落合水尾
病む父の言葉気丈に大暑かな 大内 恵

【どっしり】

去年今年母の水甕どっしりと 小林千穂子

【筋金入】

杭打つて簗に筋金入れにけり 草野駝王
荒梅雨の筋金入りし瀬音かな 秋山幹生
陶工の筋金入りやきりぎりす 高澤良一 素抱
蛭泳ぐ筋金入のさびしさに 中原道夫

【強か】

つる草の根の強かに芙美子の忌 大庭三千枝
強かに麦の焦がしに咽ばばや 相生垣瓜人 明治草
梅雨霧の渦ゆるやかに強かに 佐藤鬼房
壁画守の 眼光強か 体臭も 伊丹三樹彦

【手強さ】

葛の蔓ひけば手強き城址かな 百合山羽公 樂土
歯応へは海の手強さ海鼠喰ふ 山本良彦
手強さと手強さ違ふ鉄斎忌 高澤良一 さざなみやつこ
刃こぼれの包丁蟹は手強いぞ 長谷川久々子
団栗の手強さを踏みたたら踏む 田中水桜
茶畠のひかり手強き九月かな 飯島晴子
飯盒洗ふ山女魚の瀬水手強しや 山口草堂
否々と紺屋手強し梅雨入前 藤田湘子 神楽
紐の先舐めて手強き喧嘩独楽 白井新一
溶岩と火山灰育ち手強き富士薊 百合山羽公 樂土

【勇壮】

祇園祭勇壮に辻廻しけり 岸 信子

【精悍】

くつわ虫ちんばなれども声精悍 滝春一
もろこしの火を精悍の眼に宿す 古舘曹人
一遍の脚精悍に木の実晴れ(松山市道後、宝巌寺三句) 細見綾子
羽抜鶏見すぼらしくて精悍で 鈴木真砂女 紫木蓮
炎天の遠揺れ犬の精悍に 河野南畦 湖の森
塩倉の冬精悍な月が守る 成田千空 地霊
汗の肩精悍なり蝉を示したる 加藤秋邨
山椒を精悍とせりかたつむり 松山足羽
身のうちの精悍起す熟柿食ひ 能村登四郎
精悍となり窺へる畦火かな 岸田稚魚 筍流し
精悍なにほひの蔓でありにけり 高澤良一 ぱらりとせ
精悍な犬つながれて雪雫 右城暮石 句集外 昭和四十四年
精悍な蔓の中にも怠け蔓 高澤良一 素抱
精悍な檣(マスト)おどろく驟雨かな 秋元不死男
精悍に紙面馳す蟻吹き損ず 高澤良一 暮津
精悍に跳ねても見せて狩の犬 吉村ひさ志
精悍のさまに川痩せ花煙草 佐藤鬼房 潮海
鷹愛す人吾よりも精悍に 山口青邨
壺中の射手なほ精悍に魚族追ふ 佐藤鬼房
臘化するわれら精悍な日の海原 金子兜太

【果敢】

よみかきに凝りて果敢なき冬籠り 石原舟月 山鵲
夏深きもの果敢なしや水羊羹 道芝 久保田万太郎
果敢なる師走の恋や頬に熱 山口珠央
果敢無さの噴水かこむ 春著の群れ 伊丹公子 ドリアンの棘
岩にただ果敢なき(かき)の思ひ哉 夏目漱石 明治二十八年
人づては果敢なけれども法師蝉 中村汀女
耐寒性さくら草にて花果敢 高澤良一 鳩信
朝を果敢な蟻ら 芙蓉の底紅まで 伊丹三樹彦
冷夏なり果敢ながりても居るべきか 相生垣瓜人 負暄

【雄々し】

衣川あふれ田掻きの馬雄々し 山口青邨
衣川あふれ田掻の馬雄々し 山口青邨
雨払ひ立てる泰山木雄々し 高澤良一 寒暑
花終へて俄かに雄々し山つばき 及川貞 夕焼
寒鯉雄々し黒天鵞絨の座布団も 中村草田男
空撮の初冠雪の岳雄々し 高澤良一 暮津
茎立てゝからし菜雄々し勇しゝ 前田普羅 新訂普羅句集
枯るる木も云ふべし雄々し傷ましと 相生垣瓜人 負暄
朴散華回想のことすべて雄々し 中村草田男
雄々し雉子端山を飛んで撃たれけむ 山口青邨
緑蔭やにべもなき犬いつそ雄々し 平井さち子 完流

【凜々し】

セルの対こころ凜々しき師なりけり 鈴木 榮子
夏蜜柑食ひける故の凜々しさや 相生垣瓜人 明治草
胸はつてすずめら凜々し雪けぶり 籏こと
結ぶ口凜々しや壱岐の桜鯛 山崎冨美子
歯朶いまだ凜々しく青し炭俵 高浜虚子
冬の鵙ときに凜々しき声を出す 飯田龍太
日の出待つ蜂の子すでに凜々しくて 蓬田紀枝子
裸子に凜々しき菊の花蕾 飯田龍太
露寒や凜々しきことは美しき 富安風生

【颯爽】

処女紙幣青し颯爽として軽く 日野草城
風、颯爽として花の感傷を一掃する 荻原井泉水
颯爽と今日冬帝の御成かな 稲畑廣太郎
颯爽と菖蒲の柄で役者買 筑紫磐井 婆伽梵
颯爽と付添気どりの白き靴 影島智子
颯爽と歩いてみれば春近し 千原叡子
颯爽と老いむと願ひ青き踏む 富岡夜詩彦

【勇気】

そら豆と酒一合と勇気がある 藤田湘子 てんてん
ばつさりと髪切る勇気芥子の花 江藤文子
一円を拾ふ勇気の夏帽子 大東晶子
引き返すことこそ勇気蔦青し 佐藤節
花咲く馬鈴薯勇気は常に妻より享く 磯貝碧蹄館 握手
芽ぶく銀杏自分を変へてゆく勇気 津田清子
帰国して着る勇気なきアロハかな 広田祝世「かつらぎ選集」
子に勇気教へて熱き菖蒲湯に 住谷不未夫
子燕の巣立つ勇気といふを見し 津村典見
春田のなかしきりに勇気勇気といふ 飯島晴子(1921-2000)
人日やゲームを降りる勇気欲し 朱間繭生 銀化
聖歌中勇気もて炉の灰おとす 津田清子 礼拝
聖歌中勇気もて爐の灰おとす 津田清子
大文字の大が勇気よ夜を創る(箱根・大文字焼き) 河野南畦 『空の貌』
炭わりし勇気暫く残りけり 桜井梅室
諦めもひとつの勇気リラの花 関口和枝
尼となる勇気もなくてメロン食ぶ 今泉陽子
勇気いささか大いなる嚏 上田五千石『琥珀』補遺
勇気こそ地の塩なれや梅真白 中村草田男(1901-83)
勇気こそ欲し今日以後を飛ぶ燕 秋元不死男

【決然】

決然として触れしめず袋角 赤松子

【堂々】

アロハシャツ堂々首都の街を行く 九鬼梨園(ゆく春)
ひまわりの威風堂々たる開花 高澤良一 暮津
秋の蜂堂々と行く何やある 藤田湘子 てんてん
春泥の足下堂々出合滝 石川邦照
正々の城堂々の夏の嶺 鷹羽狩行
堂々と煤けキャンプの大薬缶 高木利夫(諷詠)
堂々と露の柱の芭蕉かな 川端茅舎
風貌の堂々として山の梨 津久井紀代
分校生徒九人に山椒魚堂々たり 加藤青女
野火の馬鹿堂々めぐりしてくすぶる 細谷源二

以上

by 575fudemakase | 2020-02-17 09:42 | 無季


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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