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(人物評)・悪 の俳句

(人物評)・悪 の俳句

諸悪 旧悪 悪事 悪行 乱行 悪意 悪気 邪気 邪心 出来心 性悪 最悪 最低 ワースト 邪 罪深い ふしだら 不健全 不真面目 
だらしない ずぼら ぐうたら 物臭 放蕩 好色 漁色 女好き 色好み 理不尽 卑怯 卑屈 卑劣 下劣 浅まし 狡猾 小賢し 賢しら 
老獪 海千山千 悪知恵 小癪 洒落臭* 生意気 利いた風 知ったか振り 鹿爪らし 阿漕 えげつない 計算尽* 算盤尽* 業突く張り 貪欲 貪婪 
けち臭い 狡辛* しみったれ 不埒 不謹慎 不穏当 不心得 非常識 不見識 無分別 言語道断 由々し 目に余る 考え物 論外 以ての外 
とんだ とんでもない 大それた 無礼 失礼 失敬 不躾 馴れ馴れし 厚顔 鉄面皮 おこがまし 図々し 太々し 我が儘 身勝手 得手勝手 
独り善がり お節介 老婆心 高慢 傲慢 横柄 居丈高 傍若無人 高飛車 
空威張り はしたない しどけない



【旧悪】

鮟鱇煮て旧悪のごと職擲てり 小林康治
露の空国の旧悪棘のごと 飯田龍太
豆炭や旧悪に似し手かざすも 小林康治
旧悪もなつかしきとか敗戦忌 香西照雄 素心
ががんぼを旧悪のごとなげうつか 伊藤白潮

【諸悪】

諸悪莫作捕るべからずの雀の子 尾崎迷堂 孤輪
諸悪莫作なぞと巣箱の小がらかな 中勘助
医者のいふ諸悪が好きで梅雨ごもり 佐治朱港

【悪事】

練炭を悪事なすごと煽ぎをり 小林康治
煉炭を悪事なすごと煽ぎをり 小林康治
野菊黄に人目なければ悪事して 長谷川かな女
走り蚊や明日は忘るる小悪事 草間時彦 中年
扇もつ手に悪事かぞへし切字かな 加藤郁乎
生牡蠣をつるりと悪事完了す 岸本マチ子
人形を悪事に誘ふ日向水 栗林千津
秋簾悪事覆ふが如垂らす 末次雨城
月明のいづこか悪事なしをらむ 岸風三楼
月明のいづくか悪事なしをらむ 岸風三楼
夏の夜の悪事が見えるサボテン園 鷹島牧二
悪事せし犬の目をして無月かな 嶺 武志
むかご飯悪事おおかた忘れたり 徳弘喜子
シャワー浴ぶ悪事の前とその後と 櫂未知子 貴族

【悪行】

悪行をつくして蝶になりにけり 岩淵喜代子 硝子の仲間
悪行に徹することの根切虫 山田弘子 懐

【乱行】

乱行を重ぬる如く嚏する 相生垣瓜人 明治草
乱行の雪となりけり寝正月 上田五千石 琥珀
某の乱行に似て冴返る 相生垣瓜人

【悪意】

読みきれぬ悪意善意のふところ手 仙田洋子 橋のあなたに
冬山の悪意に満ちし姿かな 草間時彦 櫻山
枯野来る悪意と黒衣離れずに 久保純夫 熊野集
悪意満つ葉ごもりのわがおどろ髪 佐藤鬼房
ポインセチアかざし悪意に染まりける 仙田洋子 橋のあなたに
ひりひりと寒の悪意の刺しにけり 富安風生
キャスター氏は春の悪意と評したり 筑紫磐井 花鳥諷詠

【邪気】

料峭や上天の邪気消えずして 相生垣瓜人 負暄
葉菖蒲の邪気祓ふ気にあやからん 高澤良一 素抱
微笑邪気なし綿絨毯の温きいろ 柴田白葉女 『夕浪』
梅の花 笑うて 邪気の払われて 伊丹三樹彦
身の邪気の髪に抜けたる初御空 深谷雄大
邪気払ふ洗朱の箸草の餅 長谷川櫂 虚空
邪気払ひ七日粥の湯気のぼる 渡辺照子
轡虫邪気の踊りも道化めく 今井浩嗣
寒気とて邪気や妖気の類あり 相生垣瓜人

【悪気】

天道虫だまし悪気のなかりけり 大竹朝子
お大師の足摺春の悪気流 山口誓子

【邪心】

螫す蟻や邪心ありとも思へねど 相生垣瓜人 負暄
綿虫を払ふ邪心を祓ふごと 金堂豊子
黒揚羽邪心にはかにはばたきて 藤原たかを

【出来心】

七十の出来心かな曼珠沙華 大嶺節子
うぐひすの初音や今朝の出来心 魯町

【最悪】

邯鄲や長考のあと最悪手 中戸川朝人 尋声
最悪の歳逝かむとす星ら涙 藤森成吉 蝉しぐれ

【性悪】

性悪の松と思ひぬ大文字 波多野爽波

【最低】

鉄の乙女が操る鮃は最低だ 夏石番矢

【邪】

螫す蟻や邪心ありとも思へねど 相生垣瓜人 負暄
猾冬か邪冬か知らず立ちにけり 相生垣瓜人 明治草
棕櫚の花邪宗は海を越えて来し 大村昌徳
料峭や上天の邪気消えずして 相生垣瓜人 負暄
里神楽見てゐて邪(よこしま)なきごとく 清水平作
葉菖蒲の邪気祓ふ気にあやからん 高澤良一 素抱
綿虫を払ふ邪心を祓ふごと 金堂豊子
頬を刺す邪見地獄の霧あらし 富安風生
鼻風邪を引いてずぼらな仕事ぶり 高澤良一 随笑
微笑邪気なし綿絨毯の温きいろ 柴田白葉女 『夕浪』
梅の花 笑うて 邪気の払われて 伊丹三樹彦
梅か枝の邪マにして花少な 尾崎紅葉
日光と聞いて極楽見て地獄邪慳な石にやみくもの雨
踏板や邪宗門佛生るるの図 水原秋櫻子 新樹
潮吹を邪慳に退けて錆シャベル 高澤良一 素抱
朝顔の蔓を邪慳に払ひけり 高澤良一 暮津
草刈るや栄光のこす邪宗門 水原秋櫻子 殉教
千枚漬最後邪慳に年つまる 中原道夫
石固き邪宗の坂ぞ樟若葉 桂 樟蹊子
身の邪気の髪に抜けたる初御空 深谷雄大
初詣毛皮の襟巻邪なるもの 山口誓子
手袋や端麗にして邪に 軽部烏頭子
邪宗門一揆を綴る紙魚の文 山本歩禅
邪気払ふ洗朱の箸草の餅 長谷川櫂 虚空
邪気払ひ七日粥の湯気のぼる 渡辺照子
邪を屠る劔の柄や握る蘭 越人
邪しまに見ゆ春の日に鱒釣るは 百合山羽公 寒雁
残暑に倦み猫を邪慳に扱へり 日野草城
妻がいふ風邪の我儘許しけり 上村占魚 球磨
黒揚羽邪心にはかにはばたきて 藤原たかを
轡虫邪気の踊りも道化めく 今井浩嗣
寒気とて邪気や妖気の類あり 相生垣瓜人
夏風邪の人のいささか好色に 岸本尚毅 舜
艶やかに邪宗へ消ゆる秋の蛇 玉木喜八郎
雨蛙告ぐるな邪宗念持仏 水原秋櫻子
羽抜鶏邪慳にされる覚えなし 安住敦
アッパッパ思ひ邪なき娘かな 松瀬青々

【ふしだら】

ふしだらの器如月降りそそぐ 田中亜美
ふしだらのはじめの黒を鶏頭花 都筑智子
ふしだらに燐寸が立ってさくら咲く 坪内稔典
ふしだらな部類に入る凌霄花 高澤良一 暮津
ふしだらな女と呼ばれた衣被 宇多喜代子

【だらしなく】

洗はれし章魚だらしなく春の風 鈴木真砂女
春燈だらしなき紐垂れてをり 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
煮凝のゆつくりだらしなくなりぬ 櫂未知子 蒙古斑
自然薯掘られし藪のだらしなく 川端茅舎
禁猟の鴨だらしなく岸歩む 百合山羽公 樂土以後
旧盆の帯だらしなし鉱夫連れ 殿村莵絲子 牡 丹
だらしなさ小児に同じ紫木蓮 高澤良一 燕音
だらしなく酔ひて四温の帽子かな 草間時彦

【ずぼら】

ずぼらな日々東京に出て二科を観る 高澤良一 素抱
鼻風邪を引いてずぼらな仕事ぶり 高澤良一 随笑

【ぐうたら】

落蝉のごとく仰向きぐうたら寝 高澤良一 随笑
冬に入るぐうたら山のまろやかに 文挟夫佐恵
酒呑んでぐうたらぐうたら村の蛇 吉田さかえ
下萌えや猫葬りてぐうたらに 鳥取芳子

【物臭】

物臭の目刺で飯を頬張れり 三浦勲 『生きる』
物臭さの屋根に雪積む涅槃かな 市掘玉宗

【放蕩】

野焼してわが放蕩の紐の数 吉田透思朗
野焼きして我が放蕩の紐の数 吉田透思朗
野いちごへ放蕩のゆびのばしけり 松本清水
放蕩息子遺體の帰宅紅うつぎ 塚本邦雄 甘露
放蕩を尽せし滝の涸れにけり 大串 章
放蕩や剪りかためたる桃の枝 宮坂静生 山開
放蕩や水の上ゆく風の音 中村苑子
放蕩や身酒がふつと沸くことも 大石悦子
放蕩やビルに前世の落花生 攝津幸彦
放蕩の翳りもすこし冬帽子 北見さとる
放蕩の良雄の画像忌に掛かる 山口誓子
放蕩の野や晩年の蝮売り 中村苑子
放蕩の夜のむなしさよ落花生 小寺正三
放蕩の手足いたはる夏の川 谷口洋
放蕩の蟹の子のため春夕焼 松本笹枝
放蕩の果ての童顔稲雀 松本文子
放蕩の果さながらの炬燵寝や 上田五千石『天路』補遺
放蕩のをんななりしが目白飼ふ 前山松花
放蕩のはじめ建国の日の鴉 逆井和夫
放蕩のはじめに金糸南瓜あり 高野ムツオ 鳥柱
放蕩になりきれずして藍浴衣 石寒太 翔
父ほどの放蕩出来ず柚子の花 草間時彦
氷頭膾父に放蕩なかりしか 大石悦子
熱燗や放蕩ならず忠実ならず 三村純也
内臓あらわなり放蕩のオートバイ 高野ムツオ 陽炎の家
水洟や放蕩の涯行き暮れて 石塚友二

【好色】

閻王に好色の相みゆるかな 吉田速水
晝寝よそふや聴き耳は立て好色話 松根東洋城
放浪の神好色の神渡りけり 村上高悦
白地着て好色の顔もち歩く 小林康治
熱燗に好色者ひとりありにけり 岡本松浜 白菊
冬の虹神はもともと好色な 鈴木伸一
朝顔の好色たただよう朝の老人 原子公平
好色者(すきもの)は大抵無口竹婦人 中原道夫
好色を卑しとはせず西鶴忌 下村 梅子
好色や鴉の腹を知りそめぬ 攝津幸彦
好色やガラス器にてつせん花挿し 飯島晴子
好色はわれのみならず花柘榴 田中 仁
好色の揚羽を湧かす西行墓 安井浩司「氾人」
好色の父の遺せし上布かな 草間時彦
好色の美しき手も盆の夜 飯田龍太
好色の男なりしが日向ぼこ 松岡里江 『桜坂』
好色の書に深窓の冬来る 飯田蛇笏 霊芝
好色の血を引く吾と吾亦紅 上田五千石 風景
好色の蟹漬かり行く水溜り 永田耕衣
好色の果ての鬱ぎや花の雨 小林康治 『存念』
好色のてのひら夏の夜の仙人掌 櫛原希伊子
桐の花好色の齢すぎにけり 小林康治
垣間見る好色者に草芳しき
夏風邪の人のいささか好色に 岸本尚毅 舜
タオル提ぐ好色の吏に鯖火殖ゆ 宮武寒々 朱卓
コスモスの深みに入りて好色なり 穴井太 原郷樹林

【漁色】

自分史即漁色史編めば桜満つ 星野石雀
漁色者は色気に会へずおそ桜 中村草田男
漁色に似る眼 香木 香花育て 伊丹三樹彦

【色好み】

朝夕(よひ)の乏(とも)しかる餉を思ふときあはれなるかなや色好みてふ 高橋睦郎 飲食
色紙や色好みの家に筆はじめ 遊女-利生 俳諧撰集玉藻集
色好みしてゐてついりめきしかな 清水基吉 寒蕭々
火桶はる色好みの家や埋れ哥 東皐

【卑怯】

螳螂のすぐに鎌振る卑怯哉 正岡子規 蟷螂
木も責めず鬼をも打たず卑怯なり 相生垣瓜人 明治草
卑怯なりマスクしてより物云ふは 岡本眸
卑怯なのは柿のすべすべするあたり 櫂未知子 蒙古斑

【理不尽】

理不尽に蟻の地獄の辺を歩む 山口誓子
夏痩の目が理不尽なことを言ふ 山田 弘子
運命とは理不尽なもの蓮は実に 西永さより

【卑劣】

繩打つてをとこの卑劣恕しがたし 稲垣きくの 黄 瀬
墓地つんざく卑劣な群の肩張るバイク 金子兜太
草虱よりは卑劣の事憎む 山口誓子

【卑屈】

にもなるべく梅雨に強ひられし 相生垣瓜人 負暄
誰もが卑屈に見ゆる西日の坂登る 榎本冬一郎 眼光
青草に尿さんさん卑屈捨てよ 金子兜太
青草に尿(いばり)さんさん卑屈捨てよ 金子兜太 少年/生長
鏡のなかの卑屈な顔を剃りのこす 仲本彩泉

【浅まし】

来し跡のつくが浅まし蝸牛 炭 太祇 太祇句選
いざよいといはず浅まし庵の闇 土芳

【下劣】

雪泥のな時間踏みしめゆく 西東三鬼

【狡猾】

狡猾に波立つてゐる冬の池 飯島晴子
狡猾な一羽の鶴が翔びゆけり 大胡寿衛
林檎百千狡猾の顔並べあふ 佐川広治

【小賢し】

ドレッシングの分離小賢し北の暑気 平井さち子 鷹日和


【老獪】

老獪や冬山脈に枕干し 飯島晴子
老獪に八重葎より逞しき 三輪田育夫
収果期の鴉老獪山に啼く 飯田蛇笏
祭浴衣老獪にして汗かかず 行方克巳「祭」
下駄鳴らし過ぐ老獪な冬木のそば 橋石 和栲

【賢しら】

賢しらを捨てに行くなり紅葉山 藤田湘子 てんてん

【海千山千】

竜神の海千山千大旦 実籾 繁

【悪知恵】

三才児すでに悪知恵青林檎 糸山由紀子
悪知恵を授けて行きし褞袍かな 天野小石

【小癪】

蜻蛉釣採集などゝ小癪なり 森鴎外
見えてゐて小癪に釣れぬ柳鮠 小原紫光 『めくら縞』
夏の夜の沿岸閃光小癪なる 山口誓子
羽ばたきの鳰を小癪と わが頬杖 伊丹三樹彦

【生意気】

冬服を来て生意気な少年よ 星野立子
冬服を著て生意気な少年よ 星野立子
生意気小僧忘れてゆきし破魔矢かな 八木林之介 青霞集
生意気になりし炭屋の小僧かな 榊原鼓天
生意気にくやしがる子や菌狩 鈴木花蓑
子蟷螂生意気構ひたくなりぬ 高澤良一 暮津
ぬくぬくの玉子酒って生意気だ 渡辺誠一郎

【阿漕】

鰒つりや今も阿漕が浦の波 凉菟
綿々と阿漕つぶやく鳴く地虫 羽部洞然
霧ごめの声や阿漕の冬の雁 鷲谷七菜子 游影
風来ては冬木かがやく阿漕塚 角川源義
凪ぎわたる阿漕の浜に浅蜊掻く 関 多美
素逝忌の阿漕の浦の暗かりし 吉川陽子
十六宵も月に阿漕はなかりけり 高桑闌更
阿漕塚石蹴りの子に暮早し 澤田正子
ゆく春や阿漕ヶ浦の夕眺め 久保田万太郎
あら寒し阿漕~と啼烏 凉菟

【算盤尽】

算盤尽質屋番頭隙間風 鷹羽狩行

【貪婪】

貪婪の鮟鱇といひそれを食ふ 北澤瑞史
貪婪の蟷螂腹をむらさきに 山口青邨
貪婪の鵜が甘ゆるや老鵜匠 飯田蛇笏 山響集
栗の花貪婪の髪ふりにけり 平井照敏 猫町
*さんざしを貪婪の鵯み逃さず 森土秋

【貪欲】

貪欲を捨てよと言うて捨てさせて後より立ちて拾う上人 かさぬ草紙
貪欲は子規に及ばず豆御飯 村田白峯
大干潟貪欲鴉何十羽 阿波野青畝
切子貪欲一山蛾族翔け参じ 橋本多佳子
火峨よべる切子より吾貪欲に 橋本多佳子

【貪欲】

氷江やしみつたれたる牛車の灯 日野草城

【不謹慎】

梅寿忌や不謹慎なる猫の恋 岸風三樓

【不埒】

集(たか)り屋の蟻を不埒といふ勿れ 高澤良一 寒暑
咳をする奴は不埒といふ目付 高澤良一 鳩信
烏瓜一つ真赤に不埒なる 浅野昭治
なうなうと止まるこの蠅不埒なり 高澤良一 鳩信

【不心得】

銀杏を剥きはばからぬ不心得 高澤良一 燕音

【無分別】

鰒汁や鯛もあるのに無分別 芭蕉 選集古今句集
凩がいやとは餘り無分別 正岡子規 凩
夕がほや入相の鐘に無分別 素丸 素丸発句集
名月や無分別なる伊吹山 毛〔ガン〕
無分別無所得にして爽かに 寒川鼠骨
無分別おもひ出せばけふの月 早野巴人
鉢の金魚一つ一つの無分別 高澤良一 素抱
白露や無分別なる置所 宗因
白露や無分別なる置処 宗因
猫の恋がらす障子に無分別 正岡子規 猫の恋
長刀やむかふ師匠を無分別 除風
秋さびしいづこをさして無分別 木節
七夕や八重垣つくる無分別 朱拙
元日や一の秘蔵の無分別 木因
しら露や無分別なる置所 宗因 選集古今句集

【言語道断】

詩は言語道断冬の虹立つも 高澤良一 さざなみやつこ
芽柳は垂れたり言語道断なり 橋閒石

【由々し】

鉈帯びて由々し柿の木囃さむと 村上しゆら
由々しげの四月初一の晨鐘や 相生垣瓜人 明治草
幽けくも由々しくも秋立ちにけり 相生垣瓜人 負暄
片蔭の由々しさ 柩車 眠り続け 伊丹三樹彦
土人參股が由々しと宣(の)りにけり 岡井省二 猩々
自選とは由々し朝鵙けたたまし 高澤良一 随笑
甲虫の由々しく翅を拡げ翔つ 右城暮石 句集外 昭和三十一年
寒明けの由々しかりける訃報かな 岸田稚魚
寒鮒にまじりて由々し手長蝦 前田普羅
兜虫由々しく翅を拡げ翔つ 右城暮石
花一輪かくれ由々しや葉朝顔 西山泊雲 泊雲句集

【目に余る】

目に余る夏海なれば石擲ぐる 沢木欣一
目に余ることも鴉の子育てどき 高澤良一 素抱
両の目に余る昆布を刈りにけり 櫂未知子

【論外】

論外に夾竹桃の赤がある 大西泰世 世紀末の小町

【とんだ】

皺寄せのとんだ処に秋始め 高澤良一 寒暑
恋猫やたしかにやねをとんだ音 正岡子規 猫の恋
梅雨のとある日とんだ薬の副作用 高澤良一 素抱
大汐やとんだ処に鴈の居る 寥松
草津うそ寒とんだ熱さの掛湯浴ぶ 高澤良一 随笑
雪のあと雷とはとんだ大つごもり 高澤良一 暮津
正月からとんだ目に遭ふぎっくり腰 高澤良一 寒暑
春場所のとんだ所ではりま投げ 高澤良一 素抱
古池やにとんだ蛙で蜘蛛るTELかな 加藤郁乎
むつまじしとはとんだこと渋団扇 石川桂郎 四温

【以ての外】

白萩や以ての外に露もなし 正岡子規 萩

【とんでもない】

門前に蜘蛛の巣張るとはとんでもない 高澤良一 暮津
梅見ての余生などとはとんでもない 高澤良一 宿好
とんでもなき縞梟の胸の内 高澤良一 随笑

【無礼】

無礼討なき世をとこへ菜飯かな 嶋田麻紀
放置即無礼につながる夕かなかな 高澤良一 素抱
頭燈の無礼盆踊を照らす 山口誓子
寝たる萩や容顔無礼花の顔 松尾芭蕉
九月はじまる無礼なる電話より 伊藤白潮
闇さむく異人無礼の靴鳴らす 加藤秋邨
チューリップ驕慢無礼なり帰る 三橋鷹女
サングラスはづさぬ見舞無礼なり 品川鈴子

【失敬】

橙を盗むにあらず失敬す 燕雀 星野麥丘人
粗大ごみとは失敬よ年の花 阿波野青畝
失敬し大島桜の一輪挿し 高澤良一 素抱

【失礼】

海鼠腸をすすり失礼つかまつる 助田素水
数へ日の会の一つは失礼す 石塚友二 磊[カイ]集

【鉄面皮】

試歩すれば我もばつたも鉄面皮 阿波野青畝
紅茸や男にはなき鉄面皮 鷹羽狩行

【おこがまし】

職歴はおこがましいが無職業古稀を迎えることにはなりぬ 山崎方代 迦葉
香典の返しは生きているうちにおこがましいがいただいておく 山崎方代 こおろぎ
極道のおこがましくも夏柳 鳴戸奈菜

【我儘】

閉ざしたる老の我儘梅が門
葡萄投げて我儘つのる病婦かな 杉田久女
白木槿碩学病みて我儘なり 高橋馬相 秋山越
春の雨手足のばして我儘す 滝井孝作 浮寝鳥
妻がいふ風邪の我儘許しけり 上村占魚 球磨
五月雨と我儘ぐらし芸術家 京極杞陽
我儘をいはさぬ風の胡蝶哉 胡蝶 正岡子規
我儘のひとり寐うれし旅の蚊や 松岡青蘿
我儘に這はで飼るゝ桑子哉 高桑闌更
我儘に生きてゐますと墓洗ふ 根本美恵
我儘なものの溶けゆく大花野 野田道子

【太々し】

大根の太々し又白々し 相生垣瓜人 負暄

【身勝手】

身勝手を通して貰ふ来る年も 高澤良一 宿好
身勝手を言ひそばめたる屏風かな 廣江八重櫻
身勝手な戦の行方つちふれり 高澤良一 素抱

【得手勝手】

パンジーの独り育ちの得手勝手 澁谷霞舟

【独り善がり】

接骨木の独り善がりに咲きにけり 森田公司

【老婆心】

老婆心ながら毛虫の毛むくじゃら 稲月蛍介
老婆心ながら毛虫のけむくじやら 稲月蛍介

【傲慢】

傲慢の花紫陽花の紅毬は 山口誓子
蜂に刺されて傲慢人間喚きたり 金子兜太
みづから青き水傲慢や烏瓜 中村草田男

【高慢】

木蓮や高慢くさき門構 尾崎紅葉
初心にも高慢のあり初雲雀 原子公平
秋はひねもす「鼻峯高慢男」読む 高澤良一 燕音
高慢な互ひの上を白鳥座 櫂未知子 貴族

【横柄】

眼が合ひし出目金は横柄なりし 行方克己 無言劇
横柄な猫が通りぬ枯るる庭 小松崎爽青
横柄な遠野鴉に畦青む 高澤良一 宿好
わるがねに横柄させて牡丹哉 許六

【居丈高】

咲ききつて十二単の居丈高 行方克己 知音
玉葱の葉の居丈高それはそれ 飯島晴子

【傍若無人】

藪からし花の傍若無人かな 上田きよ
傍若無人此の世我が世と蝉時雨 滝本魚顔女 『絵踏』
朝つぱらからシヤリアーピン傍若無人なり 日野草城
打ちつけて傍若無人夜の驟雨 高澤良一 暮津
草を刈る薙ぎて傍若無人かな 蒲田美音
エゾホソイ山雨傍若無人なり 高澤良一 宿好

【高飛車】

高飛車に決め付けらるるおでん酒 高澤良一 ぱらりとせ

【はしたなし】

螢籠まざと覗くははしたなし 鈴木栄子
橇や女子がはけばはしたなき 田川鳳朗
帷子に人はしたなき脇臭かな 正岡子規 帷子
腹立つははしたなきこと鉦叩 星野立子
白萩の散り放題ははしたなし 鈴木真砂女 居待月
摘艸やいとはしたなき包もの 召波
摘草やいとはしたなき包もの 黒柳召波
銭さげてあらはしたなや薺買 松窓乙二
据風呂の中はしたなや柿の花 夏目漱石 明治二十九年
安炭のはしたなき音して熾る 富安風生
むかふ歯の跡はしたなき真桑哉 猿雖
はしたなく遊女の結ぶ清水哉 三宅嘯山
はしたなく見られもしたり懐手 高浜年尾
はしたなく雨びちゃびちゃと一の酉 鍵和田[ゆう]子 浮標
はしたなき鶯飾の黄粉かな 野村喜舟 小石川
はしたなき翔ちざまの冬鴎かな 岸田稚魚 紅葉山
はしたなき昼寝の様をみられけり 篠原鳳作
はしたなき女嬬のくさめや時鳥 蕪村遺稿 夏
はしたなき口きき少女靴磨 日野草城
はしたなき鴬餅の黄粉かな 野村喜舟
かくはしたなく紅に落椿 鷹羽狩行

【空威張】

昼花火空威張して終りけり 藤田湘子 てんてん

【しどけなし】

柳つきて野に入る川のしどけなし 尾崎紅葉
風立ちて萩の座とてもしどけなし 鈴木真砂女
猫の恋樹の輪郭のしどけなく 永方裕子
登山衣のしどけなけれど緊りたり 松崎鉄之介
泰山木しどけなき花つけたるも 中田剛 珠樹以後
焼き榮螺空は慈眼でしどけなく 竹中 宏
春昼のしどけなきもの貝の舌 苅谷裕里子
公達もしどけなかりし夕涼み 筑紫磐井 婆伽梵
御前の前いかにも致せ制すまじこなたのしじもしどけなければ 沙石集・五・末
戸を博つて萩しどけなし風月夜 大野林火 雪華 昭和三十四年
花衣しどけなきまで着くづれて 鈴木真砂女 紫木蓮
夏帯しどけなく解いたような流のかじかを鳴く 荻原井泉水
ストックの吹かれざまとはしどけなく 行方克己 知音
しどけなく昼寝の女行々子 田中冬二 麦ほこり
しどけなく帯ゆるみ来ぬ花衣 高橋淡路女
しどけなく心のめりてゆくならずや罠のごとくに梔子匂ふ 蒔田さくら子
しどけなく山雨が流す蛇の衣 能村登四郎
しどけなく月下夾竹桃みだる 篠田悌二郎
しどけなく空曇りたる梅の花 桑原三郎 晝夜
しどけなく蚊帳はづされしあはれかな 久保田万太郎 草の丈
アネモネの花いとけなくしどけなく 石田郷子

以上


by 575fudemakase | 2020-03-06 11:50 | 無季


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by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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