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俳句年鑑2017年版を読んで

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俳句年鑑2017年版を読んで
(2015-10 ~2016-9)角川文化振興財団

共鳴句を挙げる。作者名は原著を参照ください。

アスファルト地獄に出づるみみずかな
あたたかしたぷんたぽんとあたたかし
あたたかや会釈返して名を知らず
アマリリスあしたあたしは雨でも行く
あらためて夕蝉として鳴き出しぬ
ある国の総理だんだん蜥蜴の目
いいかげんな老人体操雲の峰
いつせいにをどる風船かづら引く
いつときは日本のかたち花筏
いつもなにかが戦後最大黒葡萄
いづれ火につつむ身ばかり踊りけり
いろんなことありましたけど冷奴
イワシショー果てて秋思のごときもの
い行く方滲みて梅雨の月大き
うそ寒く雨粒に芯あるごとく
えかげんな時間大和の春ごとは
えびせんのぱりつと海老がわれて月
おにぎりの転がりたがるあたたかさ
オルガンの鍵は真四角小鳥くる
お迎へが来るまで書くぞ雪しんしん
お使いのおつり猫ババ天高し
お隣の窓も灯ともり年歩む
ガーベラやいつも一般論ばかり
かがんぼや箪笥に倒れどめ金具
かき氷最初の匙の入れどころ
かげろふの繃帯ほどきつつ来たり
かつ丼の蓋の雫や春浅き
かまくらは和紙の明るさ雪しんしん
きさらぎや学びざかりの眼に力
けり付けて八尾に飛びたし風の盆
こがらしの味のバーボンを下さい
コスモスの写真に指のうつりたる
コスモスの中分けて行く體かな
この国は戦せぬはず地虫鳴く
この上もなき冬晴を別れとす
この星のはらわたは鉄冬あたたか
これがまた家族のやうな西瓜かな
これが冬怒濤東尋坊を噛み
ころはよし祇園囃子に誘はれて
こんな日はひとりが愉快小鳥来る
コンビニにとりもちないかと孫連れて
さくらんぼの種とほく吐き全快す
さくら東風おまけのやうに生きて居り
ざぼん置く表情減ってゆく父母へ
さみしさの前後左右を春という
さみだれのあまだれのいま主旋律
サングラスかけて港に用もなく
しばらくは遺影の前の帰省かな
じやじや馬も七十半ば日向ぼこ
しやぼん玉触れたきものに触れて割れ
すつぴんの夏井組長冷し酒
ストローで残る暑さを掻き回す
ずわい蟹つつけば進む猫背かな
そのへんは長十郎に聞いてみて
それではとタンゴを踊る生身魂
そんなに笑ふと線香花火が落ちてしまふ
たたみての終はりとんとん暮早き
たんぽぽの絮根つからの風来坊
ちよと引いてみたき抽斗雛調度
つかぬまの若さを跳ねて侫武多かな
つぎつぎに改札通る聖菓かな
つくづくし強がりなのに意気地なし
つつじの坂いろはと曲りやがて湖
つばくらに今斬られしと思ひけり
つばめ来る胸より尾へと風を抜き
てつぺんが好きな鴉や冬夕焼
てのひらを眺めておれば年の暮
どうしても遅れる一羽稲雀
とつとつと鳩歩きをり建国日
ともかくもまづ微笑んで今朝の春
どんど火に当てて齢を揺さぶりぬ
どんみりとこの世に長居春炬燵
なまはげの面脱ぎしより子煩悩
なみなみと蜜柑の島の蜜柑の湯
なんといふ高さを鷹の渡ること
なんとなくただいま自由梅雨の人
なんぼでも鳴き出す河鹿聴きをれば
のどかなり蠅とぶ音のいつまでも
のどけしや何をするにも目分量
パーキングエリア煌煌かなぶんも
ハミングで終るシャンソン巴里祭
パンパスは帰化の山姥 茸狩
ひかりごと白魚を汲み四手網
ひつちぎりでで虫を呑む鴉の子
ひとつ二つよそ見してゐる葱坊主
ひとり見る月こそ沁みる夏の月
ひねられて象になる飴花祭
ひらがなのやうに雪降り暮れにけり
ひらひらと貝が舌出す日永かな
ひるさがり落葉を聞いている絵画
プールより青く臭ひて子ら帰へる
ふくらふや白き甲冑着てねむる
ふぐりに手置いて夫寝る青葉木莵
ふたり四人そしてひとりの葱刻む
プライドを終の施設に捨てし夏
フラフープ回す体感辛夷咲く
フランキー界あらはれ春の夢
ふり向かぬ子の白息を見送れり
へとへとに枯れつくしたり擬宝珠の葉
ベランダに葡萄棚など無理かなあ
ぽかぽかと土筆の頭透け始む
ホテルロビーカウントダウンコンサート
またひとつ風を見つけて散る紅葉
まだ死なれんまだ死なれんと耕せり
また死者の手による雪の朝となる
まなうらを火の海にして毛虫焼く
まばたきに似てあめんぼの水輪かな
ままごとのよく売れてゐる蝉の殻
みな海に目を遣る数へ日の電車
めくばせにこぼるる桜さようなら
めくるめく落ち葉の中の落葉籠
めでたくも八十歳を手中にす
やかましく炒めやきそば春のくれ
ヤツとオレ蛸をば突いて七十年
ゆたんぽに湯を入れ今日を全うす
ようお参りてくれたなもしと秋の声
よく跳ぶは鰡の一杯機嫌かな
よく飛んで飛魚の名をほしいまま
ラムネ玉ころんと死んでみたきもの
リビングに忘れミニカー日脚伸ぶ
リラの雨色鉛筆の匂ひせり
ルームキーをテーブルに置き生ビール
レガッタの八人の臍伸縮す
わが咳の失政に似てたてつづけ
われ嬰あやす君は根深の汁作れ
唖蝉の数へられたることのなし
闇抜けて来たりし顔の狸かな
闇裂いて闇突っ走るお松明
威勢よき啖呵に釣られ酉の市
一杖にしばし身を置く花吹雪
一茶忌の雀は雪花菜貰ひけり
一茶忌の免れ難き寒さかな
一点を突けば一枚うすごおり
一面の苜蓿一面の地割れ
稲刈りの鎌あげ下校児に応ふ
稲穂波角ひと揺れに始まりぬ
芋の葉は広いな露は遊戯にあり
芋虫に剽窃の相かいまみし
雨垂れがそのまま海へ春休
雨弾く厚きてのひら諸葛菜
瓜食うてこどもだいたいおなじかほ
雲の峰三文判を強く押し
影さっと掃かれて冬の椿かな
永き日の夕刊手渡しにて配る
泳ぐともなく寒鯉の流れ来る
泳ぐなり水を敵とし味方とし
炎天を戻り眼の据ゑどころ
炎天下やつと貰ひし背番号
燕来て防衛省へ突っ込みぬ
遠き日を戻して回す木の実独楽
鉛筆の芯の不機嫌花明り
往年の不良少年水を打つ
押へてもふくらむ封書春の山
横顔は子規に如くなしラ・フランス
襖あけてまた襖あり初音かな
黄落や上野山より昼の鐘
牡丹散る忽ち蟻の走り寄り
牡丹鍋悔の一つも浮上して
牡蠣フライ始めましたと女の手
下校の子プールの匂ひ持ち帰り
下駄箱に声のあつまる休暇明け
何となく顎伸びる日や山笑ふ
何もかも途中と思ふ晩夏かな
何者と自問の春の暮るるのみ
何両の実のつもりぞや青木の実
夏きざすまだ海知らぬ踝に
夏の潮浴びんと老いの烏滸の沙汰
夏雲にぐいと漕ぎ出す一挺身
河童の卵みたいな瓜を冷やしけり
火の消えてもう君還る大文字
火より火を零してゐたる秋刀魚かな
火を囲む年の終りも始まりも
花衣てふは心に着せるもの
花時やあたたかさうなよだれかけ
花筏ほどの流転をして来しか
荷台に積む家族のやうな冷蔵庫
回想は故郷ばかり蜆汁
廻しみな使ひ込まれて宮相撲
廻れ右利かぬ齢や木の葉髪
懐手悠々自適とも云へず
海は鯨(いさな)山は羆(ひぐま)のものなるよ
海を見て波打際を見て二日
海溝へ墜ちゆく島に凧揚げて
貝塚の貝も目覚めん良夜なり
柿若葉兎の耳のやうなころ
柿田川ぼこぼこ呻く夏はじめ
郭公の森も人手に渡りけり
楽しみな冬日の差して来りけり
蒲団まで戻る新聞休刊日
蒲団干す今日いちにちを回さむと
鎌倉を海より攻める冬将軍
鴨かへる序列の乱れもう見せず
鴨二つ寄りゆき水輪一つにす
瓦斯の火が一挙に舐める鍋の尻
完成のしづけさにあり鴉の巣
患者食余し水飲む獺祭忌
眼力を見せて鳶舞ふ立夏かな
喜多院の鶯張りも秋の声
寄らば大樹の陰の涼しと石に腰
機械一式昭和製なり新豆腐
帰らねばならぬ一心鳥渡る
亀鳴くと真夜の柱が耳澄ます
菊好きの母酔ふほどに菊供ふ
菊斯くも澄めりさすがに木曾なれば
桔梗の映りて黒き公用車
宮司とも巫女とも鷽を替へにけり
球形の大地に凝りて露の玉
許されて雑草園の火鉢の間
競り勝って校歌斉唱雲の峰
恐竜の好きな子に来る夏休
鏡台のなき素泊りの遍路宿
鏡餅自重に耐へてをりにけり
仰向けの子やタンポポになりきつて
仰山に竹の殖えたる春の山
暁暗や声のなかなる鶴を見に
極月のいきなり象を消す手品
芹摘みて男なんかと思うに至る
襟巻となつて狐の遊山かな
近道をとらずに祭見にゆけり
金閣の金のみとなる雪景色
銀杏散る回転木馬眠らせて
空になほ山の輪郭冬の星
栗のイガ踏んで故郷を持たぬ者
軽トラに神輿村役外二名
劇薬を飲んでみたいな夕焼けだ
隙間とは油虫には非常口
穴ありてこそのドーナツそぞろ寒
月を待つ縁側の無き家に住み
見てゐたる虹の瞬時に消えてゐし
鍵盤の象牙の黄ばむ堂の秋
原爆忌昨日と違ふ川の色
玄関の水槽金魚寄り来たる
呼んだかと妻の問ひ来る夜長かな
枯園に薬手帳の落しもの
枯木山描くにあまたの色使ふ
枯木立つほかは青空青い空
湖に色をこぼせり秋の山
湖は網戸の幅に収まりぬ
虎杖を噛んで一献君となら
五か国語の車内放送初電車
吾を掴み子の立ち上がる夏野かな
交番のあかりの届く浮寝鳥
口笛を忘れてをりし麦の秋
向き替へて鶯餅をすすめけり
幸水や母は小さく口開けて
校舎とも病舎とも見え燕来る
港町まるごとメリークリスマス
行く秋やはかなきもののよく見えて
行春や輪ゴムの如く劣化して
降り出せる雨のひかりの針供養
降る雪の影が映りて積りゆく
高鳴れる瀬音にほどけ草氷柱
黒き蝶赤きところを見せにけり
黒き黴より類想の怖ろしく
骨壼の重さキャベツを持ち帰る
今は未だしがみつく子と磯遊び
今日よりは明日明後日桜咲く
妻がゐて子がゐて何かあたたかし
歳末や子もママチャリの荷のひとつ
菜の花の海の中ゆく鉄路かな
桜咲きすつぽり抜けている自分
三度目を卸して雪の底に棲む
傘雨忌や置屋の跡の純喫茶
山もまた水のかたまり新豆腐
山住みの風入れてゐる盆用意
山茶花の雨の細りてなほ細り
山鳩は山鳩を連れ冬に入る
散り際といふものあらず冬ざくら
産道を抜けしは一度天の川
蚕豆のはしりと言ひて十粒ほど
子燕の待ちくたぶれし喉かな
思ふより熱き兎を抱きにけり
私などマダムが殺す蚊の一匹
次の駅告げて加速す木の芽雨
耳に髪掛けては金魚掬ひの子
自堕落も健康のうち夏旺ん
自適とは時に孤独や木の葉髪
自転車のベルが馬鹿なり鵙日和
自転車の灯のふらふらと遠蛙
七五三三島の渡船も今年まで
七色のほどけやすくて冬の虹
捨雛のやがて人魚になる薄暮
蛇穴を出て長過ぎる身と思ふ
借り物は村長様よ運動会
尺蠖に虚空我には何がある
灼け瓦礫千声万語埋もれしまま
若き日の貧しきわれと日向ぼこ
若者の脛持て余す夏座敷
若冲の牡丹芳香放ちけり
若冲の大丸に寄る西日かな
手を合はせたき山があり月があり
手花火に蘇りくる昭和かな
手鞠つく音のだんだんわが音に
手前から暮れてゆくなり春の山
種袋振れば羽ばたくやうな音
秋うらら菓子の名前は電車みち
秋うらら木馬は百円分回る
秋はかく身に添ふ風のたちにけり
秋茄子の戦後七十年のいろ
秋高しもひとつおまけによいとまけ
秋祭とぼしき予算ありありと
秋山郷一夜明くれば雪無限
秋天や勝鬨の声フィフティーン
秋風や性善説は世に薄れ
秋風を目にするやうに墨を擦る
秋立つや藍におぼるる浅間山
淑気満つ三社三基の大神輿
出せるだけ額を出して卒業歌
出漁の古手袋をわしづかみ
春の雲子羊がゆき象がゆく
春の灯や今日はかどりし調べごと
春の夜のここまで読んでから眠る
春巻とあとはなんでもと父の日
春泥やソロバン踊るランドセル
初句会披講は歌ふ如くせよ
初場所や立行司ごと飛ばさるる
初夢の弟生きてゐて威張る
藷粥や妻にもありて力こぶ
松蝉の総鳴きとなりとめどなし
焼芋を割れば奇岩の絶景あり
焼藷の鎧はづせば上る湯気
焼網にレバー鳴りたり花の夜
心経の扇の風をもらひけり
振り消してマッチの匂ふ秋の雨
新しき蠅除玉に止まる蠅
新幹線キーンと通る墓洗ふ
新涼や山系水系整へて
親方はくらがりにゐて裸かな
針金の現代アート烏の巣
人生の渡り廊下にゐて立夏
水に棲むことに飽きたる蝌蚪に足
水替えて浅蜊の本音ききもらす
数の子の数だけ殺しいくさ止む
数へ日の庭に隣の子のボール
雀も踏みて音する落葉かな
雀らの逃げては戻る雪間かな
雀らも踏みて音する落葉かな
雀蛤となる鸚鵡はおたけさん
星条旗翩翻秋の雲迅速
正月もおまへん鹿の悪さには
生きてゐて死んでゐてする踊かな
生きんかな七種粥に温められ
聖樹にはなれざる樅の大樹かな
声色の泣かせ所や村芝居
製鉄の煙まつすぐ建国日
青き踏み夫婦よろけて手をつなぐ
青大将アースのごとく地に垂れて
青大将捕へし網のうねりかな
青葉の夜たしかにごろすけほうと鳴く
赤い羽根つけて真顔になってをり
赤ん坊はいはば泣く神金木犀
切通まで落椿落椿
雪がまた海へ海へと実朝忌
雪になりさうと二階の妻降り来
雪の来て鶏は下よりまぶた閉づ
雪解川轟きて波うすみどり
雪国に入り窓側を子に譲る
蝉声のまだ森濡らすほどならず
先生のお独りの墓春寒し
川の音日傘に容れて橋渡る
戦争を撃て一億の草矢もて
前世より足掻き続ける百足かな
前方後円墳の形のライスや茄子カレー
全壊も半壊も夏草のなか
相づちを打ちつつつつじだと思ふ
相撲部と書かれしやかん芋嵐
蒼天を飛ぶ元日の落葉かな
霜晴や屋号名乗れば打ち解けて
息詰めて子に撞き返す紙風船
捉まらぬおでんの玉子納税期
卒業や見とれてしまふほどの雨
其角忌箪笥の上のキンチョール
他所ものの鴨も交りて池涼し
太閤のお城に遊ぶ雀の子
太陽も位置につきたる運動会
打水や犬も下町貌をして
体ぢゆう音を上げてゐる十二月
体育の日や象印魔法瓶
帯剣でなく杖 戦後も七十年
帯締めの朱一文字冬に入る
待つとなき花柊の香なりけり
台風や昭和の雨戸頑張りし
大きさは象の耳ほど秋田蕗
大夏木空あるのみの高さかな
大根の抜きたる後の重さかな
大都会赤きいびつの夏の月
大仏の頭が見えて冬ぬくし
大焚火親にそむいているような
大文字消えて群衆崩れけり
鷹鳩と化して太つてしまひけり
誰彼の別なく着いて草蝨
単調の日々が幸せ日日草
担女の背籠の安房の大栄螺
短夜や重たきものに一加齢
知っていてしらぬ戦争蠅叩
地芝居や手垢のつきし裸木偶
蜘蛛の巣を吹いたる顔が細長く
竹馬の高きわが子へつい拍手
茶碗にも蓋にも唐子新茶汲む
着ぶくれてどつこい長生きの途中
着ぶくれてみわけのつかぬ嫁姑
昼からは波が暗しと海鼠海女
張り替へし障子に過去のなき如く
朝の蚊を濡れ手で叩く厨かな
調教馬睫毛凍らせ戻りけり
長生きも勝負のひとつ冬薔薇
鳥帰るあーだこーだと私たち
追う波も追はるる波や遅ざくら
通信史眺めし春の鞆の浦
椿寿忌の大をなしたる小軀かな
鶴は千年待てど萬年鳴かぬ亀
停まるたび蛙の声を飯田線
剃刀を咥へて母の障子貼る
底冷えの京へ疏水の奔りけり
庭歩く鶏ここここと雪解村
鉄棒に腹くいこませ銀河見る
天高し子のおさがりの鉄亜鈴
天窓の正方形の淑気かな
電線をみんなでつかう冬の鳥
徒遍路合羽に透ける死装束
杜鵑草灯油そろそろ頼まねば
都心へと電力疾走行々子
冬あたたか九官鳥に伊予訛り
冬ごもり鼻あそびしてはな子象
冬の日を溜めて窪んでゐるところ
冬の蜂飛び立ち損ねては歩く
冬の木となり切つて威を失わず
冬はじめ蠅が唸って長生す
東の忌西の賀に馳せ冬ぬくし
東京に名の谷多し爽やかに
東京に来て留守番の水中花
盗めよと盗んで見よと薔薇真紅
筒鳥は森の語り部こゑ査か
藤四郎先生みんな来ました石蕗日和
藤寝椅子柩の幅もこんなもの
討入日死支度先づ書の処分
豆飯の釜や釜鳴りしてきたる
踏みしめてきざはしひとつひとつ冬
陶枕の夢に遠見の香炉峰
働けるうちは働き柿の花
道後湯之町花屑の奔りをり
道草を知らぬ子ばかり町薄暑
独走のパス受け風となるラガー
読み直す最終章や日脚伸ぶ
鳶の輪のゆるむことなき初御空
豚足の指そろへをる良夜かな
難聴も一徳燈火親しめり
二階へ灯移して永き日の終り
日脚伸ぶ指しては戻す詰め将棋
日盛や動物園は死を見せず
年の湯の浮力六腑に及びたる
年賀状やっぱり厭な奴にも書く
年寄に火の香わらべに蜜柑の香
年迎ふ神鼓一打にこもる意気
馬の胴叩けば夏野鎮まれり
馬小屋に馬の表札牧開く
俳人の自惚れをかし万愚節
廃校に五玉そろばん山眠る
廃校の廊下飛び交ひ夏つばめ
廃船は汽笛を忘れ春の暮
敗戦忌裸電球はだかのまま
背開きのファスナー一直線に夏
梅干して風が酸っぱくなりにけり
梅咲いてユニクロで買ふもの軽し
剥く柿の皮に膝埋め母者人
白菜の冷たき尻を抱へけり
白寿まで来て未だ鳴く亀に会はず
白梅の幾夜香らば半減期
白味噌のつややかなるも京雑煮
薄給をはたきし全集曝しけり
薄氷に置くごとく鍵盤に指
八月の水大切に使うなり
髪白くなりし遊子と春惜しむ
半島を匕首という六林男かな
斑雪嶺へ向け投げ釣の鉤飛ばす
飯蛸のからまり来たり簎の先
晩酌の手にどくだみの香のかすか
晩成に足らぬ時間や柿の花
比良比叡二月の雲を同じうし
飛び込みの子を励まして立泳ぎ
微笑も返事のひとつさくらんぼ
枇杷啜る南総里見八犬伝
鼻一個鼻の穴二個枇杷の花
膝に手を置きて初音を待ちゐたる
肘ついて頭抱へて夏季講座
姫始阿のこゑ高く吽低く
百幹の枯れざま恐いもののなし
百歳になりしと書きて賀状くる
病臥の父鰐の眼をもつ夏の暮
病葉の人間じみてゐたりけり
不器用に生きて白息ゆたかなり
夫死後の長し短し花すすき
富士に雪日本がどんと坐りけり
父の日の真空管の灯のぬくみ
父の日の父をひとりにして長し
封じ目を瞬時に暴き蠣割女
風花の遮断機に待つ鼻がしら
風花はまぶたを閉じるまでの花
風船に貸したる空のひとところ
風鈴や我が家に停まる救急車
福達磨目を入れて意志生まれけり
文月や書いては選ぶ万年筆
聞かずとも汗が語ってをりしこと
変幻に自在に群れて稲雀
片蔭のとぎれとぎれとなり途切れ
片付けてすぐ散らかして春隣
返り咲く八重山吹のまつしぐら
歩くリズムで考へる黄落期
母の日やただ母さんと呼んでみる
母曰くあの世の人の餅が先
宝船盧生の夢を授からむ
抱きし子に抱かれゐる母冬の月
抱一其一伊藤屋にぼたん雪
放つまで時をとどめて弓始
泡消へしビールの前に二人かな
豊年や達磨図は胸はだけたる
亡霊を生きいき謡ふおぼろかな
墨東のあたりたつぷり夕焼くる
朴の花どすんどすんと山置かれ
本流を向かうに中洲末枯るる
凡人の作る大きな鏡餅
又の名は囚人道路夏燕
又もどり揚羽はばたく彼岸花
万年筆のブルーブラック漱石忌
万緑にひそめるものの息聞かな
万緑の中や輝く握り飯
味噌しょうゆ切らさぬほどの年用意
蓑虫の貌出すほどの空の青
眠るまで母の団扇の風もらふ
眠る子を夢ごと移す良夜かな
眠れぬ夜なれば親しき水中花
無頼ぶるまま螳螂の枯れゆけり
綿虫のあてあるやうな無いやうな
木には木の草には草の盆の風
木枯の吹き残したる星座かな
木導や見せばつくれる夏薊
黙という隠れ処みつけ毛糸編む
夜濯や藍の香残る剣道着
野に戻りさうな畑の葱坊主
薬喰皆百までの面構へ
柳散る象の眼のかなしさに
溶けるまで家族でありし雪達磨
葉巻虫巻く簡略を宗とする
来し方のやう行く末のやう潮干潟
落葉掃くだけの頭になつてゐる
卵かけごはんきらきら春立ちぬ
蘭鋳は妊婦のかたちして華麗
裏返る波の先まで夕焼けて
立ち上がる波に魚透く春隣
立つたままパンツが穿けてほうほけきょ
留守ぢやろう寒海苔摘みに出とるけん
竜の玉ときに子育て体あたり
両膝に小さな拳入学児
涼み舟橋に袂と言ふがあり
緑蔭に入りて賢き顔となる
輪飾や潜水服は女物
露けしや窓にひよこひよこバレエの子
露の世の露の縁の露の玉
老境も佳境に入りぬ春炬燵
老人は老人を見る七五三
六畳の文机ひとつ獺祭忌
藁苞にのこる青味や冬ぼたん
仄紅しほうれん草とわが余命
凩や旅の名残のチャイ熱き
囀へ嫁っこ来たか尋ねけり
恙無く暮らせる国の今日の月
扁額に占魚の書あり走り蕎麦
捩花にもうひと捩り欲しきかな
梟のまばたきに星殖ゆるなり
烟とも冬の蝶ともつかぬなり
燗熱うせよ誰が逝き彼が逝き
瞑る目に重さのありぬ今朝の秋
翡翠の枝へ打ちつけ魚の銀
蜆にみな舌出してゐる万愚節
蜊蛄水を出で蝎とならん極暑かな
蟇時代遅れのかほをして
襁褓穿かす逃ぐる裸子裏返し
閂をすうつと抜いて雪女
隕石の黒き密度や若葉冷
飄々と老いたる猫に春来たる
鶯の声の大きな朝ぼらけ
黴させてならざるものに志

以上
(高澤良一)

by 575fudemakase | 2020-12-01 16:15 | 句集評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

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いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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電柱 電信柱 の俳句
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