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「季題別鈴木真砂女全句集」を読んで

「季題別鈴木真砂女全句集」を読んで
        2010・12・25  角川学芸出版

共鳴句を挙げる。

元日の旅に拾ひし貝を愛す
経を読む心きざすや春の雪
病室に眺めるだけの春着かな
初夢や色の見分けはつかざりき
人ごとのごとき正月迎へけり
かくも無惨十一月の誕生日
秋袷身に一点の朱を生かし
月並の句に目をそむけ霜夜吾れ
安房上総山が眠れば海が吠え
野分中朝っぱらから薬攻め
夜長より覚めてあたりはまだ夜長
黙々とただ黙々と秋真昼
この路地や秋風の抜け人の抜け
かのこともこのことも夢雁の声
天高く死んでゆく日はどの着物
朝顔を詠んでも詠んでもまだ死なぬ
墓洗ふ戦死海軍大佐かな
病気知らず病気になって夏送る
朝顔や下町に嫁し生き別れ
盆供物大波小波さらひけり
八月の夜爪を切って一病者
紫陽花を胸に咲かせて庭持たず
手を延し風鈴吊ってくれし人
傘雨忌に不参の今日が昏るるかな
眠り浅きこの身最も明易き
忌に参ず傘雨に多き男弟子
長病みにあちこちよりの花便り
真砂女われお先真暗ひき蛙
笑ひ泣く涙ぽたぽたバラけんらん
単衣着てバッグ履物何々屋
人にやや知らるる小店夏のれん
聖五月指の股まで拭き清め
子鯵鮨病気見舞とは嬉し
四月馬鹿病衣のボタン掛け違ひ
救急車春暁を突き破りけり
止むことを忘れし雪となりにけり
花の山動物園は昼寝刻
花散るや丑三つ刻も休みなく
花衣地味が人目を引きにけり
雪の宿カツチンカツチン大時計
浜砂に音なき雨の淑気かな
ゆく年を釣り三昧の男ゐて
初鴉骨の随まで黒なるや
松過ぎの盃伏せて予約席
初詣十円玉の音消えて
その話松を納めてよりのこと
寝正月ときめこむベッドセミダブル
唇の荒れへ紅ひく初鏡
初夢や逃げの一手で逃げし人
包丁始の出刃包丁は出番待ち
下駄の緒のいささか固き初仕事
初日出づこめかみピクと動きけり
七転び八起の破魔矢しかと手に
詫び状は梃でも書かず寒椿
死なぬうちあの羅で歩きたし
もどかしやいらだたしきや燕来る
穴に入る蛇に聞かれし佇ち話
栗の毬握る勇気はなかりけり
生身魂ものの見事に干すビール  
来世また女が佳しと生身魂
意地いまだ通し通して生身魂
三十三キロこの身尤も露けしと
天高くあちらこちらに忘れ潮
秋風やしやつくり一つ海へ捨つ
この島の水仙はまだ苞の中
伊勢海老の髭八文字飾りけり
初鴉初鵜初鳶一つ空に
初鴉ひと声落す波の上
初鴉波高ければ高く飛び
初大師降りしとみればやみし雪
明治生まれの内股歩き初大師
世渡りの下手も上手も破魔矢受く
初詣怠りて佇つ由比ヶ浜
まゆ玉に話いよいよなごむかな
成人の日いきなり雪の平手打ち
初夢は顔を洗つて忘れけり
初夢の大波に音なかりけり
波音に声盗まれし手毬歌
初漁や舳にいどむ波頭
長生きも意地の一つか初鏡
ひとりとは声にはならぬ初笑
一人にも湯気たちのぼる初湯かな
俎始鯛が睨を効かせけり
田作りを奥歯で噛んで独り者
屠蘇干してわれはまさしく高齢者
口中に喉飴一つ松納め
客足のほつほつ松もとれにけり
初買ひの豆腐一丁控へけり
海老跳ねて海鼠うごめく初市場
初旅を戻りて米をとぎにけり
糠みそへ手を入れ仕事始めとす
読初や陽をいつぱいに南縁
銀座にも鴉雀よ鳥総松
初渚子連れ犬連れ夫婦連れ
吸物の鯛の目玉に淑気立つ
魚河岸の人波に立つ淑気かな
初凪や水仙ばかりつんつんと
初凪や鴉は陸に鵜は海に
初東風や嘶くごとく波寄せ来
初東風や波に呑まれて浮く海鵜
引く波に寄せくる波に初明り
初日の出固唾をのんで待つ心
人日やはかる足らぬ米を研ぎ
流木の波間に遊ぶ二日かな
髪に浮く二日のうすき埃かな
ふるさとの海の香にあり三ヶ日
元旦の位牌笑つてゐるやうな
元旦や船総揚げの船溜り
口きかぬ位牌に新年おめでたう
掛けとりもせねばならずと葱きざむ
葱さげて世の片隅にくらし立て
寒夕焼人をもてなす葱買ひに
枯草のひと思ふとき金色に
枯蓮や一打の鐘はうしろより
路地住みに溜る落葉もなかりけり
いち日で足袋は乾かず花八ツ手
冬椿逃げも隠れも出来ぬ齢
冬牡丹きりきり生きることの愚よ
冬薔薇にもう泣かぬ顔あげにけり
冬の蚊に施すほどの血は持たず
牡蠣の酢に噎びし泪にはあらず
海鼠買ふ人差指で押してみて
寒鯛の生きる喘ぎのかなしさよ
冬蜆砂吐いて身を軽ろくせり
寒波来る虎河豚は斑を誇りとし
糶り残るこの鮟鱇の面構へ
鮟鱇の煮ゆる間侍り女将たり
品書きに鰤書き足して鰹消す
磯千鳥かくまで潮は澄むものか
寒鴉見れば見るほどいやな奴
生国も育ちも上総冬鴉
人を人と思はぬ浜の寒鴉
猫飼ふは団地御法度漱石忌
一葉忌手首細くも働く手
はすつぱに生まれて修す一葉忌
波郷忌や波郷好みの燗つけて
鏡台の塗りの剥落近松忌
三の酉すぎしと燗を熱めにし
神の留守野良猫またも子を宿し
安房上総鬼の逃げ場は闇の海
豆撒くや小店の持てる部屋二つ
日向ぼこ石のごとくにおしだまり
木の葉髪ひところわれに燃えしもの
煖爐燃ゆわれらにかへらぬものいくつ
冬の宿波音ばかりきかせけり
冬籠子猫に情をかけにけり
風呂吹きを吹き吹き食べて中年過ぎ
鮟鱇鍋はらからと言ふよき言葉
不機嫌の二つ割つたる寒卵
湯豆腐に眼鏡曇らせ禍福なし
熱燗やよる年波の弟子一人
色足袋や己れに負けしことはなく
河豚値切るマフラー頸に刎ねあげて
布団肩まで故郷へ戻ること思ふ
金溜ることに縁なき柚子湯かな
女多きこの家の煤を払ひけり
ふるさとは遂に他国か波の華
冬波の牙のみみせて真暗がり
口きいてくれず冬濤見てばかり
過去は運にけふは枯野に躓けり
枯野鴉浜に漁れば浜鴉
安房上総山が眠れば海が吠え
山眠り鶏は卵を孵しけり
遠きとほき山ほど眠る容ちして
吹雪く夜や甦るもの過去ばかり
風花や魚死すとも目は閉ぢず
風花やおのれ支ふる店一つ
笄は白骨作り雪女
温泉の街の中の色街夜の雪
青空もつかの間杉にまた雪来
蟹の味締まるは雪の来るしるし
射的屋の人形倒る夜の雪
限りあるいのちよわれよ降る雪よ
雪積みて何かなまめく夜と思ふ
雪無韻谷川夜を奏でけり
この雪のやむこと知らずやまでよし
降る雪やこゝに酒売る灯をかゝげ
女三界に家なき雪のつもりけり
毛蟹むしることに一途や夕霙
生烏賊を時雨のやうに細作り
肘張つて蟹茹でらるる雪時雨
泣くといふ女の武器や夕時雨
しぐるゝや弱火に仕上げ茶わんむし
しぐるゝや煮物に入るゝ燗ざまし
薬のむ湯のなまぬるき時雨かな
路地住みの終世木枯きくもよし
冬麗や汐に漂ふ松ぼくり
冬陽得て羅漢相好くづしけり
干されても鯵の背蒼き冬日かな
嗅いで買ふくさやの干物春隣
春隣おろし金にも裏表
灰ふるひ灰舞ひたゝせ日脚伸ぶ
寒波来る虎河豚は斑を誇りとし
起し方は泡と思へば寒からず
九十九里浜真実何んにもない寒さ
鯛は美のおこぜは醜の寒さかな
つま先に寒さあつめて掛取りに
高浪のなまじ色ある寒さかな
ごきぶりの寒夜よろめき出でしかな
短日やひくき波のむ高き波
寒に入る鯛にも真鯛・れんこ鯛
よく遊びよく働きし年送る
小晦日卯の花煎つてゐたりけり
ゆく年や坂一つなき中央区
ゆく年や鯛も鮪も符丁買ひ
数へ日や鋸引きの大鮪
鰤の腹むざと裂かるる年の暮
おがくづに海老活かさゝる冬至かな
鶏の羽むしるもくらし十二月
方言のすらすらと出る小春かな
鯊釣りに女も交じる小春かな
鯉の髭つくづく見たる小春かな
小春日やたわたわ寄する波の列
冬に入る己れ励ます割烹着
曼珠沙華もろ手をあげて故郷なり
夜祭りはまだ先のこと萩に佇つ
白萩の散り放題ははしたなし
京の萩見てのあしたのわが家の萩
草紅葉川幅ひろきところかな
吟味して刃物買ひけり菊日和
白粉花やをんなはときに二タごゝろ
朝顔や下町に嫁し生き別れ
朝顔の鉢店先に英国屋
朝顔の地を這つて咲く敗戦日
朝顔やすでにきのふとなりしこと
街角は人待つところ柳散る
買物の中に香水柳散る
柳散りしよせん他人は他人かな
黄落や一キロ痩せて恙なし
白桃に人刺すごとく刃を入れて
鈴虫の宅急便が着きにけり
惣菜に太刀魚買つて五つ切り
小店卯波秋刀魚に客を煙らせて
鰯雲鰯いよいよ旬に入る
秋鯖の仕入ごころをそそのかす
雁の声眼鏡はづしてもの読めば
鵙高音をんなのつくすまことかな
高波の音に更けたる門火かな
生身魂ものの見事に干すビール
生身魂おしろい塗つて紅さして
芝浦の海より昏るる生姜市
敬老日ビーフステーキミディアムに
漁師の子ばかり集り海蠃打てり
朝顔の種採る雲のゆきゝかな
秋袷小をんな小店きりまはし
夫運なき秋袷着たりけり
障子張る男の手際見てをりぬ
人生きて残すは悔や簾捲く
引退をせる気の団扇置きにけり
来し方はふりかへらざれ菊膾
露けしと戻りてぬぐや夜々の足袋
稲妻や死者は写さぬ夜の鏡
秋風やある日都電に乗ることも
秋風や手相できめる運不運
星流れ銀座に古き金春湯
野良猫に一瞥受けし十三夜
皿小鉢洗つて伏せて十三夜
十六夜の出先へかゝる電話かな
川口に水母集まる昼の月
鰯雲鰯いよいよ旬に入る
天高く持つて貰ひし旅鞄
天高く人生なんと恥多き
秋高し海老屋海老丈海老ばかり
ゆく秋や小店はおのが正念場
酒蒸しの浅蜊口開く夜寒かな
女将われ客に夜寒の靴揃へ
朝寒や皿を割つたる派手な音
鮪の頭胴を離れてうそ寒し
望郷の栄螺貌出すそぞろ寒
泣き黒子二つも持つは身に入みて
丁寧に鉛筆削る夜長かな
長き夜や日本酒一点張りの客
石手寺の雨垂れ太き秋彼岸
新涼や刃物三丁研ぎすまし
新涼や地玉子割るに二度叩き
宝石は見るだけのこと秋涼し
親子とは耳までも似て秋涼し
支那菓子のくづれやすさよ秋暑く
立つ秋の浦風こそは一の谷
立秋や雲の上ゆく雲とほく
八月やひと山売りのへぼ胡瓜
燈台の昼のねむりや蝦夷きすげ
昼顔にひと日けだるき波の音
忌ごもりの筍なんど煮たりけり
恋したや苺一粒口に入れ
遠泳を見てか向日葵沖に向き
万緑やどこまでいっても千曲川
朝顔の双葉揃ひし祭かな
子の着物たつぷり裁ちぬ柿若葉
入院といふ退屈も青葉どき
日々平穏枇杷は色づくこといそぎ
梅青し女のもてる悪だくみ
あぢさゐに罪ほろぼしと言ふ語あり
あぢさゐや雨を憩ひのひと日とし
牡丹園かはたれどきは風死んで
牡丹を詠みて戻りて割烹着
人の世の地獄見ていま蟻地獄
まくなぎや殊に多きは鈴木姓
空蝉やこの身ひとつに苦を集め
足長あめんぼう詩仙堂の水濁しけり
恋を得て蛍は草に沈みけり
蛍火の青くなければ情湧かず
蛍火や女の道をふみはづし
火取虫常陸の闇の奥より来
船虫の一族逃げの一手かな
真中に鮑が坐る夏料理
飛魚の干物にされてしまひけり
鯵叩くひつつめ髪に割烹着
なりはひや鯵を叩くに七五調
鯵叩き生き下手ならぬ店張って
やりくりの思案の鯵をたたくかな
あはれ鵜の鮎吐くのどの夜目に白く
夏燕温泉街を逆落し
通し鴨水に飽き飽きしたりけり
青葉木莵顔の手入れも怠らず
別るれば二世も他人や青葉木莵
郭公や浅間音なく煙吐き
羽抜鶏馳け出して憂さ晴らしけり
闘は軍鶏の羽抜けは情なし
蚊喰鳥焼酎ブーム衰へず
蚊喰鳥足袋穿き替へる仕事前
髪の根まで櫛の歯とほす多佳子の忌
忘れ傘客に又貸し傘雨の忌
誰彼の亡き傘雨忌でありしかな
そら豆のいまが出盛り傘雨の忌
太めの山葵一本買つて祭かな
干椎茸水に戻して祭かな
夏負けをせぬ気の帯を締めにけり
夏痩せやきかぬ気眉にありありと
着こなしの上手に夏を痩せにけり
帯に汗滲ませ路地に老いゆくか
髪洗ふ痩肘張りて見栄もなく
七曜の一曜きめて髪洗ふ
黒髪といひしはむかし髪洗ふ
人あまた泳がせて海笑ひけり
大波を一つくぐりて泳ぎだす
この島の魚になりて泳ぎたし
袋掛け始まる信濃平かな
昆布干すや日高山系海に尽き
麦打てる農婦の老いのあからさま
背信に時効はあらず水を打つ
夏足袋にアイロン風鈴に耳貸し
風鈴や目覚めてけふのくらしあり
風鈴のわがつぶやきにこたへけり
風鈴やとかく話の横にそれ
白玉や負けずぎらひが貌出して
人の世のからくり白玉紅白に
悔なき生ありやビールの泡こぼし
帰国してその夜の卓の冷奴
なりはひの枝豆茹でて不況なり
伊勢海老は髭がいのちよ夏料理
老いまじや夏足袋指に食い込ませ
夏帯に泣かぬ女となりて老ゆ
夏帯にとかくの噂気にすまじ
夏帯や運切りひらき切りひらき
浴衣着て並の女としての幸
甚平やをとこは老いをあからさま
羅を仕事着として女将たり
羅や細腰にして不逞なり
単衣着て老いじと歩む背は曲げず
単衣着て常の路地抜け店通ひ
衣更へて口紅差して店の貌
更衣へて女将たりまた家長たり
衣更へてこののちとてもこのくらし
更衣へて小店一つをきりまはし
衣更年輪人をつくりけり
われのみを思ふ不幸や更衣
ひとまはりちがふ夫婦や更衣
土用波悍馬となりて御しがたし
あるときは船より高き卯浪かな
深吉野や息づくものの皆青し
櫛の歯の一本欠けし朝ぐもり
遠雷や噛んで捨てたる爪楊枝
雷遠くほころびを縫ひゐたりけり
酔ひ書きの波郷の文字や送り梅雨
場外市場梅雨の雨垂れ大粒に
女将ときに墨摩ることを梅雨の昼
喪に服す梅雨咲く花の紫に
札つけて預る傘や梅雨ふかし
梅雨ふかし庖丁で掻く鍋の焦げ
走り梅雨出刃柳刃を研ぎすまし
電話かけずかかつても来ず夏の雨
恐山風薫るとは言ひがたし
薫風の突きあたりたる鰹塚
南風やつんつるてんの貸浴衣
夜の秋や客の好みに燗つけて
病廊の夜涼婦長と佇ち話
鯵かます姿焼こそ涼しけれ
花の名の蝦夷を冠して涼しけれ
晩涼や桶に泥鰌の浮き沈み
波涼し突堤を乗り越えてこそ
酢のものに口中締めて暑に抗す
暑に抗すとりわけ足袋の白きもて
三伏や江差松前海平ら
梅雨明けてゴキブリ憎むこと一途
水無月の空青々と築地河岸
水無月のあしたゆうべに足袋替へて
半夏生灯す頃に足袋を穿き
梅雨寒やボンボン入といふ菓子器
くずるるが波の言葉よ夏来る
夏に入るくらしののれん替へもして
手術着に聖女のごとし聖五月
男波立てば女波連れ添ふ五月かな
鴎飛んで卯月の海のすでにまぶし
安房の夏水平線の彼方より
壱岐の夏四十歳は海女盛り
糠みそへ素手ふかぶかと入れて夏
夏枯てふ月の売上げ算しをり
岩海苔干す一村に陽の余りけり
突然死望むところよ土筆野に
渡舟にも最終便や花大根
戒名は真砂女でよろし紫木蓮
連翹の黄のことさらや宿酔
蜆舟川波やけにくらひけり
囀りや指にからませ抜く仕付
東京に移す本籍鳥雲に
鳥雲に一番網は雑魚ばかり
鯛の鮪の日々の相場や鳥雲に
かねて欲しき帯の買へたり鳥雲に
頸のべて浦安の鴨帰るなり
引鴨に北国はまだ雪の日々
亀鳴くや手相と運を異にして
亀鳴くや人に魔のさすときのあり
亀鳴くや齢など数へたくもなし
ゆきずりに買ひし一書や啄木忌
当てつけに死んでやろうか万愚節
四月馬鹿大根に芯ありにけり
四月馬鹿みかんは酸味失ひぬ
晴海より鴎渡り来河豚供養
朝降って朝止みし雪一の午
春愁やある日「こだま」の隅の席
坐りたるまゝ帯とくや花疲れ
磯開き一番鎌をふる女
いぶる炭とりのけ春の火鉢かな
のれん替へ板前も替へ春灯
隠しごと親子にもあり桜餅
花衣紐を己の色として
花衣しどけなきまで着くづれて
九十九里浜そのどんじりの春の川
末黒野の海の際まで安房天津
山笑ふ転び上手の怪我もせず
一山の笑へば他山これにつれ
春の雪荒磯は常の藻をあげて
小店それなりの売上菜種梅雨
使ひよき針三の三花の雨
人肌につけたる燗や花の雨
指先で燗の具合や花の雨
春の雨番傘といふ重きもの
洗はれし章魚だらしなく春の風
火の番の律気にまはるおぼろかな
花冷えや烏賊のさしみの糸づくり
花冷や茶漬にのせし塩昆布
花冷えをおぼえし朝の素足かな
おろし金の目立たのみし遅日かな
押売りに押し切られたる遅日かな
春昼や風呂に水張るひと仕事
清明の伊勢海老角を鳴らしけり
啓蟄や小鼠かかる鼠捕り
如月や身を切る風に身を切らせ
きさらぎや鴉不逞の首傾げ
使はるゝ身より使ふ身春寒き
墨烏賊の墨にまみるる余寒かな
一村の漁に出払ふ二月かな
外海の荒れねばすまぬ二月かな
寸ほどの筍買つて二月かな
荒海のいまこれ荒るゝ二月かな
逆潮の沖へながるゝ二月かな
以上
(高澤良一)

by 575fudemakase | 2021-01-06 00:15 | 句集評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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