拙句 月別俳句抄 5月
拙句 月別俳句抄 5月
俳句 時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物
■時候
夏 /立夏 /五月 /初夏 /卯月 /夏めく /薄暑 /麦の秋 /
■ 天文
夏霞 /卯の花 /
■ 地理
卯浪 /
■ 生活
愛鳥週間 /更衣 /端午 /子供の日 /武者人形 /幟 /吹流し /鯉幟 /矢車 /粽 /柏餅 /菖蒲湯 /薬の日 /薬玉 /風炉 /繭 /母の日 /夏場所 /苗売 /茄子植う /薪能 / 黒船祭 /筍飯 /竹植う /袋掛 /麦笛 /草笛 /麦刈 /麦藁 /麦飯 /菊挿す /ナイター /
■ 行事
御柱 /万太郎忌 /四迷忌 /たかし忌 /練供養 /祭 /多佳子忌 /
■ 動物
山繭 /袋角 /海酸漿 /紅鱒 /山女 /海亀 /鮑 /蛸 /烏賊 /飛魚 /鯖 /鱚 /穴子 /蝦蛄 /初鰹 /穀象 /米搗虫 /
■ 植物
牡丹 /余花 /葉桜 /菖蒲 /夏蜜柑 /新茶 /古茶 /カーネーション /芭蕉巻葉 /玉巻く葛 /瓜苗 /茄子苗 /藜 /蕗 /篠の子 /筍 /夏蕨 /杉落葉 /松落葉 /樟落葉 /椎落葉 /樫落葉 /常磐木落葉 /樟若葉 /椎若葉 /樫若葉 /柿若葉 /若葉 /新緑 /新樹 /若楓 /忍冬の花 /鉄線花 /罌粟坊主 /雛罌粟 /罌粟の花 /マーガレット /姫女菀 /車前草の花 /げんのしようこ /擬宝珠 /羊蹄の花 /文字摺草 /海芋 /踊子草 /敦盛草 /都草 /芍薬 /浜豌豆 /豆飯 /豌豆 /蚕豆 /卯の花 /茨の花 /薔薇 /金雀枝 /アカシヤの花 /繍毬花 /大山蓮華 /白樺の花 /山法師の花 /花水木 /胡桃の花 /橡の花 /泰山木の花 /朴の花 /桐の花 /棕櫚の花 /野蒜の花 /黒穂麦 / 利久梅 /柾の花 /
■ 季語「五月」
以下、季語に例句の無いものがあるが、それは小生が作句しなかった為である。
例)
夏霞 /
愛鳥週間 /
◆時候
夏 /
いちめんに夏めく潮路えっさ丸 寒暑
手に当る蔓のこつんと夏兆す 素抱
八方へ蔓にょきにょきと夏兆す 素抱
話続け夏めく茶の間に汝が口調 暮津
梵天の御衣夏めく安佐美止利 (秋篠寺) さざなみやつこ
(末尾は句集名)
甘藻場に甲烏賊の寄る夏近し 石鏡
小包の紐切る音も夏近し ももすずめ
劉生の道の画ばかり夏近し 随笑
はりきり草しほたれ草や夏深み さざなみやつこ
(末尾は句集名)
冷夏てふ巡り合はせに痩せふくべ 素抱
稲不作うったふ婆の冷夏の眼 素抱
腕さすり百姓ならねど冷夏嫌(いや) 素抱
冷夏と猛暑どちらをとるかと云へば「さあ」 素抱
(末尾は句集名)
シートベルトかちゃりと締めて夏空へ 燕音
パントマイム天使の輪っか夏空に 寒暑
夏空が救ひのやうにある日なり 燕音
夏空馳すアンパンマンは強かりき 素抱
積まれたる石の放熱夏空に 宿好
太平洋側は夏空嘘のやう 寒暑
翼打つ音のばっさり夏空より 燕音
(末尾は句集名)
立夏 /
けふからの夏を向ふに廻したり 随笑
けふ夏に入れり欅の戦ぎぶり ももすずめ
けふ立夏とて雲の彩いまだしや 寒暑
これより夏砂州を舞台の花宴 燕音
夏来迎ふ風の悪所の風車(発電風車) 石鏡
海原は鯤の背隆と夏が来て ぱらりとせ
口癖のえらいえらいの夏始まる 鳩信
草刈って斜里町の夏始まれり 燕音
良寛の綽名からすの夏迎ふ 寒暑
訃音告ぐ子の名は穂高立夏経て ぱらりとせ
(末尾は句集名)
五月 /
風五月遊び来し子の服たたく 暮津
五月空中国雑伎足業芸 暮津
妻うっかり五月蝿(さばえ)を入れて仕舞ひけり 暮津
厨より話に加はる五月妻 暮津
こそつくは五月雀か北枕 暮津
けざやかに義母(はは)昏睡の間のつつじ(五月十七日義母新城千代逝去) 暮津
曲がる術知らぬ五月蝿(さばえ)の飛び来たり 暮津
その翅音虻かと思へば五月蝿(さばえ)なり 暮津
競馬あり大道芸あり野毛五月 暮津
白詰草五月の風を順送り 暮津
グラビヤの五月の暦ガレー船 石鏡
赤鼻のピエロ一礼五月空 石鏡
耳掃除五月の妻の膝借りて 石鏡
明けてゐる肩の辺りの五月冷え 鳩信
保(も)つまいとおもふ空から五月雨 素抱
愚図ついていつになったら五月晴れ 随笑
税関のブラス五月の空展け 随笑
泥煙むくむくあげて五月鯉 随笑
良寛堂五月雀の屯せり 寒暑
良寛の指文字真似て五月空 寒暑
海上の鳶吹き落とす五月寒 寒暑
谷川の水飛沫して五月空 燕音
磁石の針大きくふれる五月山 燕音
雑草としての勢ひを五月山 ぱらりとせ
道灌の墓五月雨を聴くばかり さざなみやつこ
五月雨の降り込む椎と槇の間 さざなみやつこ
白帆消ゆ沖に五月の風余し ももすずめ
髪詰めて童顔もどる五月妻 ねずみのこまくら
(末尾は句集名)
初夏 /
はつなつの花を絶やさじ新仏 暮津
はつなつの砂場のままごと遊びかな 鳩信
はつなつの湯上がりの掌に缶ビール 石鏡
はつなつの尿を所望す泌尿器科 鳩信
ポポーの木と云ふを植込み夏はじめ ねずみのこまくら
夏は来ぬ焼津の海の魚(とと)光り 燕音
夏迎ふ駝鳥に片減りしない脚 鳩信
屑籠は大きめが佳し夏はじめ 素抱
口癖のえらいえらいの夏始まる 鳩信
草刈って斜里町の夏始まれり 燕音
良寛の綽名からすの夏迎ふ 寒暑
蹠にはつなつの砂返りけり さざなみやつこ
(末尾は句集名)
卯月 /
夏めく /
いちめんに夏めく潮路えっさ丸 寒暑
手に当る蔓のこつんと夏兆す 素抱
八方へ蔓にょきにょきと夏兆す 素抱
話続け夏めく茶の間に汝が口調 暮津
梵天の御衣夏めく安佐美止利 (秋篠寺) さざなみやつこ
(末尾は句集名)
薄暑 /
オニシモツケじんはりけふは蒸す日なり 暮津
ジャスミンの芬々馬鹿に蒸す日かな 石鏡
だんご虫節々返す薄暑光 素抱
ハイル・ヒトラー!鵞ペンで描く髭薄暑 宿好
ヒザラガイ見るさえ薄暑覚えけり 素抱
むしむしとする日を咲きて夏みかん ももすずめ
むんむんと赤土蒸すや竹煮草 素抱
やみくもにティッシュ渡さる街薄暑 暮津
虻一匹迷い込みたる音薄暑 寒暑
畏くも苔蒸す斎(には)に大祓 素抱
鰻の肝横目に見て過ぐ街薄暑 暮津
映画館出て馬車路の蒸し蒸し梅雨 寒暑
関取に前歩かるる薄暑かな ねずみのこまくらk
蒸し暑き花掲げたり泰山木 ももすずめ
蒸す一夜唄が洩れ来て「碌でなし」 寒暑
蒸す車中扇子ひらひらやってをり 暮津
赤帽のポーター徘徊驛薄暑 寒暑
大道芸ネタを小出しに野毛薄暑 石鏡
大道芸蒸す日を火噴き男かな 寒暑
通院日梅雨のむしむし始まりぬ 寒暑
薄暑の野毛髯のチャップリン笑ひ集(と)る 石鏡
薄暑来て始末の悪きチョコレート 暮津
木斛咲きじわじわむしむしする日なり ぱらりとせ
蒸し蒸しの蒸しの始めの日なりけり
ダリヤに雨上り蒸し蒸しする日なり
映画館出て馬車路の蒸し蒸し梅雨
何につけものに段取りあり薄暑
くさぐさに浅蜊料るや煮て蒸して
無理矢理に渡さるティッシュ街薄暑
台風の置きみやげなる蒸し暑さ
昼は蒸し夜はうらはらに虫の鳴く
鰻の肝横目に見て過ぐ街薄暑
薄暑来て始末の悪きチョコレート
蒸す車中扇子ひらひらやってをり
大船の観音右に見て薄暑
百合の葉のハの字ハの字に岨薄暑
オニシモツケじんはりけふは蒸す日なり
河骨の照りに照るなり貌蒸す日
がうがうとタイマーの入る夕薄暑
日の照りて雨後の葵の土蒸るゝ
捨蒸気磧に広げ汽車ポッポ
ポッポーと芒に挙ぐる白蒸気
捨蒸気かむる芒の幽玄に
ぼうぼうと茶畑に吐く捨蒸気
ししうどの花のほとりに捨て蒸気
SLが蒸気捨てゆく茶の畝間
大井川鐵道すすきと白蒸気
霧籠めに艦船の噴く白蒸気
夏草にろんろんと鳴る蒸気孔
螢袋山土蒸れし香を放ち
箱蒔の向日葵の種蒸れをらん
愛宕社の段うすうすと薄暑光
ジャスミンの芬々馬鹿に蒸す日かな
大道芸立見薄暑の仏具屋まへ
大道芸ネタを小出しに野毛薄暑
客巻き込み薄暑の野毛の大道芸
薄暑の身きりきり絞り軟体芸
薄暑の野毛髯のチャップリン笑ひ集(と)る
だんご虫節々返す薄暑光
洗濯屋蒸気しゅっしゅっと独立祭
畏こくも苔蒸す斎(には)に大祓
朝の雨上りて蒸るゝ棕梠の花
今日夏至の蒸気扱ふ洗濯屋
雨あとのこれだけ蒸せば螢狩
土中まで蒸す日や蚯蚓踊り出づ
金魚屋に売らる薄暑の珊瑚岩
午後からは晴れて蒸す日や枇杷畑
ヒザラガイ見るさえ薄暑覚えけり
むんむんと赤土蒸すや竹煮草
運賃は前払ひなるバス薄暑
薄暑の坂自転車がゆく三段ギア
葛餅をよすがに蒸す昼凌ぐべく
かちゃかちゃと浅蜊の酒蒸春の宵
蒸し餅をけふ春節と聞くからに
山百合の斑のむんむんと蒸し暑き
苦瓜にまだまだ蒸す日続くなり
縄文土器復元作業薄暑裡に
蒸し暑き運河の風や震災日
盂蘭盆の秩父の雨が上り蒸す
薄暑来て「アレレ...」浜田のギャグ世界
画展出て薄暑の亀に相対す
ハイル.ヒトラー!グロスの描く髭薄暑
オリーブの幹ちかちかと薄暑来る
饅頭の蒸籠湯気噴く霧の町
もうもうと湯気立て蒸籠の朝ばたらき
霧雨に温泉饅頭蒸かす湯気
蒸し暑く古称は胡桃が下稲荷
あぢさゐの脱色朝から蒸しさうな
蕃茹の花けふは蒸す日となりさうな
蒸し風呂の一夜夏掛け股挟み
斯く蒸せばひらきなほりて大昼寝
蒸しに蒸すこんな真夏夜もういやだ
このところ蒸す日続きて夏見舞
これよりの夜な夜な蒸す日眠られず
朝から蒸す谷戸の螢見日和かな
図書館を覗いて戻る街薄暑
犬抱いて港祭の蒸す最中
蒸し物の音のことこと小晦日
貴人(あてびと)のごとく箸付け蒸鰈
箱蒸しに素首覗かせ今朝の秋
木箱より首出す蒸風呂夜の長し
秋草に朝の天然蒸気音 蒸ノ湯
蒸す一夜唄が洩れ来て「碌でなし」
貯金下ろすは砂取りゲームに似て薄暑
蒸れさうと云ふて来さうな薔薇真紅
能舞台薄暑覚ゆる瀬戸瓦
飯店の土産袋の赤薄暑
ポンパドール麺麭職人の髯薄暑
ダンディーな薄暑の雀埠頭歩す
中華街薄暑の四馬路(すまろ)経巡りて
大道芸蒸す日を火噴き男かな
土佐に来て鯛の骨蒸し風荒る夜
煮て蒸して炊き込み浅蜊尽しかな
楮蒸し日永の村の大湯釜
(末尾は句集名)
麦の秋 /
力要る老いの脱糞麦の秋 暮津
町村合併成るや成らずや麦の秋
歳月とこれまたおもふ麦の秋
麦秋の眼凝らせる麗子像
(末尾は句集名)
◆天文
夏霞 /
卯の花 /
いつ降ってもよささうな空花空木 素抱
卯の花腐し思案ああでもかうでもなし 暮津
気のせいか箱根空木に雨ぽつり 暮津
蕉門の三人(みたり)杖止む空木の辺 寒暑
谷空木登りの一歩一歩かな 寒暑
谷々に空木巡らせ田を植うる 寒暑
団体客箱根空木の紅を愛で 暮津
梅花卯木ほとほと雨の止まざるよ 暮津
良寛の戒語空木の花の数 (木村家 良寛戒語百ばかりありと聞けば) 寒暑
鬱金空木海霧を抜け出てひよこ色 燕音
(末尾は句集名)
卯の花腐し思案ああでもかうでもなし 暮津
(末尾は句集名)
拙句 五月晴 (高澤良一)
愚図ついていつになったら五月晴れ 随笑
(末尾は句集名)
◆地理
卯浪 /
卯波立つ沖へ乗り出すえっさ丸 寒暑
卯浪寄せ佐渡を真正面の宿 寒暑
卯浪駈く果てまぶしめり佐渡航路 寒暑
雲の浦昼夜を舎(や)めず卯浪寄せ 寒暑
佐渡航路寄する卯浪の彩親疎 寒暑
佐渡島畳々として照り卯浪 寒暑
左手より弥彦山(やひこ)へ寄せて高卯浪 寒暑
船室に雑魚寝卯波の為すままに 寒暑
船窓に高卯浪みて横坐り 寒暑
束の間の佐渡や明けゆく卯浪の上 寒暑
風浪の佐渡を擡ぐる高卯浪 寒暑
目を据ふる卯浪の果てに佐渡が見え 寒暑
たゆたへる卯波に日蓮波題目
夕卯波飛島航路の船揺りて
礁一つ卯波相打ち昏れにけり
一つ礁日がな卯波の上る見ゆ
潮の香をずいと押しくる大卯浪
サーファーの足掬はるる大卯浪
相模灘卯浪に揉まれはだか島
卯浪切りずんと浦賀の渡し船
渡船場の橋桁の牡蠣卯浪打つ
湾へだて卯波曇りの二タ社
卯月浪海ぞうめんを養へり
海牛の愚図が卯波の底を這ふ
海牛の海中散歩卯浪晴れ
佐渡は未だ卯浪の上に後甲板
卯浪駈く果てまぶしめり佐渡航路
風浪の佐渡を擡ぐる高卯浪
佐渡航路寄する卯浪の彩親疎
安寿の里卯浪たゆたひ唄ふなり
佐渡ケ島畳々として照り卯浪
雨や来む卯浪敷き詰む日本海
船窓に高卯浪みて横坐り
一万噸フェリー卯波を切りすすむ
卯波立つ日本海に拾ひ物
卯波立つ沖へ乗り出すえっさ丸
船室に雑魚寝卯波の為すままに
卯浪寄せ佐渡を真正面の宿
佐渡を乗す卯浪望まれ芭蕉像
目を据ふる卯浪の果てに佐渡が見え
左手より弥彦山(やひこ)へ寄せて高卯浪
束の間の佐渡や明けゆく卯浪の上
雲の浦昼夜を舎(や)めず卯浪寄せ
たゆたひて卯波芥を運びけり
(末尾は句集名)
◆生活
愛鳥週間 /
更衣 /
ポケットの位置に戸惑ふ更衣 石鏡
衣更へてたよりなき襟掻き合はせ 石鏡
衣更へて手足すうすう一閑日 寒暑
緩きもの肌が覚えて更衣 素抱
更衣首にほくろのある女 暮津
更衣即ち着古るし作務衣かな 素抱
床ずれのはつかに在りぬ更衣 鳩信
畳踏む足のしっとり更衣 素抱
衣更着をぶつかり歩く駅構内
更衣車中見回し諾へり
更衣首にほくろの女かな
更衣日和の風と云ふべかり
ポケットの位置に戸惑ふ更衣
風の街更衣して足慣らし
更衣一ト色褪せし藍作務衣
更衣たよりなき襟掻き合はせ
三着の作務衣に衣更へにけり
すと脱いでものぐさ太郎更衣
なりふりのざっくばらんに更衣
ものぐさの場所を選ばず更衣
ゆるきもの肌が覚えて更衣
紐三つばかり結はえて更衣
年金の通知受け取り更衣
長雨にやや居直りて更衣
畳踏む足のしっとり更衣
暗め降る雨にも馴れて更衣
衣更へ乙女らの佇つ鎌倉駅
噺家の絽にもいろいろ更衣
更衣甚平に二本の腕通し
愛用の紫紺の作務衣更衣
更衣即ち着古るし作務衣かな
更衣いちにちたいした事もせず
泌尿器科外来患者更衣
床ずれのはつかに残る更衣
それなりの常着に後の更衣
床ずれの今もはつかに更衣
お気に入り常着四五枚更衣
衣更へて手足すうすう一閑日
更衣彩落ち作務衣手に通す
(末尾は句集名)
端午 /
番組を漁りて雨の端午の日 石鏡
端午の湯踵きれいにあがりけり 素抱
番組を漁りて雨の端午の日
風の吹くなかの一日の端午かな
端午の湯踵きれいにあがりけり
北佐久の友健在や端午の日
旅するとすれば北佐久端午の日
雪舟の鍾馗図端午迫りけり
(末尾は句集名)
子供の日 /
こどもの日あんぱんまんのビデオ撮り 素抱
ミドリ虫べん毛使ふこどもの日 燕音
鉛筆は2Bが好きこどもの日 石鏡
共用の水色ポロシャツこどもの日 ぱらりとせ
今にして躾け足らざるこどもの日 さざなみやつこ
子供の日近し葉っぱのフレディ読む 随笑
紙兜折つてかむつてみせにけり ももすずめ
洗濯機朝から始動こどもの日 さざなみやつこ
長男の髯面むさき子供の日 素抱
てぐすひく怪獣映画こどもの日
さらさらと砂糖スティックこどもの日
鉛筆は2Bが好きこどもの日
長男の部屋はそのまゝ子供の日
いつまでも子供扱いこどもの日
長男の髯面むさし子供の日
うんうんと孫から電話子供の日
こどもの日あんぱんまんのビデオ撮り
気功てふ静かな体操子供の日
ミドリ虫べん毛使ふこどもの日
六十となりし我にも子供の日
子供の日近し葉っぱのフレディ読む
皿のもの一ト眺めして子供の日
(末尾は句集名)
武者人形 /吹流し /
幟 /
川中島過ぐる辺りか幟見ゆ ぱらりとせ
若夫婦の家の二階のミニ幟
ちびっ子に幟のごとき捕虫網
湯どころの湯の香煽れる幟かな
大寺に孫のさずかり武者幟
川中島過ぐる辺りか幟見ゆ
虫送りしかと墨書の幟旗
虫送り幟の笹の浅みどり
虫送り道中幟押立てて
虫送り幟ゆらゆら村はずれ
虫送り幟作りの笹伐りて
吾が身幟に染まらむばかり午祭り
幟立て神楽は遠野大工町
(末尾は句集名)
鯉幟 /
両隣男の子授かり鯉幟
新築の二階より垂れ鯉幟
北上の風に勇める鯉幟
鯉幟尻尾煽られ空たたく
北佐久の風吹き絞る鯉幟
矢車 /粽 /
柏餅 /
柏餅人物談義言ひ得て妙 石鏡
柏餅誰にでもある佳き時代 素抱
連休は何處へも行かず柏餅 石鏡
狸めと人を貶め柏餅
柏餅人物談義言い得て妙
連休は何處へも行かず柏餅
柏餅大き葉っぱが残りけり
留守居への気配り柏餅一つ
柏餅誰にでもある佳き時代
柏餅老舗菓子舗の商ひ旗
柏葉の包みゐしもの柏餅
柏餅挿話のごとく差し出され
柏餅話し往時に遡り
(末尾は句集名)
/菖蒲湯
はやばやと入りて菖蒲湯匂はすか ねずみのこまくら
菖蒲湯にざっと浸りて若返る 素抱
菖蒲湯に貝の切り傷いたく沁む 石鏡
菖蒲湯の菖蒲に寄せぬ術後の身 鳩信
菖蒲湯の菖蒲に倣ひ横たはる 石鏡
菖蒲湯の雀斑に匂ひなかりけり 寒暑
菖蒲湯をざんぶりと出づ赤仁王 寒暑
熱き湯を押し退け入る菖蒲どき 寒暑
菖蒲湯を明日とせる湯に鼻唄も
菖蒲風呂烏の行水にも手順
大馬刀の一物菖蒲湯ざぶと出づ
菖蒲湯にぬくむ四、五人出稼ぎらし
気前よく掛け湯使ひて菖蒲風呂
菖蒲湯の菖蒲倣ひて横たはる
菖蒲湯に貝の切り傷いたく沁む
菖蒲湯に赤らめる肌瑞々し
菖蒲湯にざっと浸りて若返る
菖蒲湯の菖蒲に寄せぬ術後の身
菖蒲湯の熱きに五体ずんぶりと
菖蒲湯や昔好みの肌着にて
シャンプーの壜のももいろ菖蒲湯に
犬啼いて明るき裡の菖蒲湯に
菖蒲湯に歌ひリンゴの唄世代
菖蒲湯の雀斑に匂ひなかりけり
菖蒲湯をざぶりと出づる赤仁王
(末尾は句集名)
薬の日 /
薬草より薬草へ飛ぶ秋あかね
青梅雨の薬ケースを引き薬
薬漬けの世にて夏バテせぬ薬
炬燵居の身の傍に置く飲み薬
薬局の莫迦に明るき冬灯
薬など炬燵の廻りに置く小物
整腸の薬と牛蒡など食はしむ
生身魂何でも薬と朝餉とる
程々に薬信じて広島忌
病院の界隈薬局だらけの春
屑籠に投げ入れ秋暑の薬殻
朝の薬のむ目のさきに花芙蓉
母老いて盆の薬鑵を空ら焚きす
薬害もちょっぴり真夏のくすり水
汲み立ての真夏の朝の薬水
水中花薬は処方箋に基づき
指の間に残る大暑の薬粒
鼻薬効かせなめくじ蒐めたる(飲みさしビール)
不覚とる虫刺されには常備薬
梅雨寒の薬袋を鳴らし開く
毒だみや皆何處か病み薬漬け
大寒の緑茶を薬のごと戴く
薬局の前を転べる落葉かな
夜盗虫(やとう)誅す薬大枚はたき買ふ
菊苗に夜盗虫(やとう)を退治する薬
薬屋に銀杏落葉が駆け込みぬ
妻母の薬係りを露けき日々
薬屋の灯が溢れをり落葉の上
一つ大きく荷葉(かよう)の葉擦れ泥田中(秋風に荷葉うらがれ香を放つおん薬園の池をめぐれば与謝野晶子)
門前に紫苑の立ちんぼ御薬園
御薬園千草とりどり黄葉して
大鯉の水吸へる音梅擬(御薬園(おやくえん))
築山に大茸生ふる御薬園
新涼の薬王寺の鐘時報兼ね
朝寒の薬袋をひらく音
心臓のお薬六粒露けしや
副作用ありて薬に懲りし夏
常に嚥む薬に中り送り梅雨
薬局の商へる灯や夏の月
症状の因(もと)の知れたる涼しさよ(薬の副作用と判明)
空蝉のかけらも入るらむ長寿薬
梅雨のとある日飛んだ薬の副作用
夕餉あと薬並べり夏の虫
薬くさき尿して厠明易き
呑み薬麦湯をもって口直し
強すぎる薬嚥み来て柿若葉
心臓のお薬六粒露けしや 素抱
副作用ありて薬に懲りし夏 素抱
数珠玉を採りて化仏の薬壺にせむ 素抱
空蝉のかけらも入るらむ長寿薬 素抱
梅雨のとある日とんだ薬の副作用 素抱
薬くさき尿して厠明易き 素抱
その君が薬掘りとは爺むさい 寒暑
今日やること薬のむこと汗かくこと 寒暑
八月の山毛欅の木洩れ日薬草に 寒暑
森閑と麦湯の薬鑵さめてをり 寒暑
朝曇さきほど薬飲んだっけ 寒暑
堂縁に甘茶の薬鑵汲めとこそ 寒暑
自然薯は長寿の薬之ある哉 随笑
はて薬飲みしか小春の朝餉あと 随笑
長き夜の熱きが薬地蔵の湯 随笑
颱風は颱風として薬のむ 随笑
冷麦茶薬の如く頂ける 随笑
茄子漬時が薬と養生す 随笑
栄螺の腸(わた)良薬にして弾む酒 随笑
冬籠薬袋を身ほとりに 宿好
心臓の薬の後に風邪薬 宿好
お薬師の広庭借りて弘法市 宿好
薬用としての牡丹の在来種 宿好
心臓の薬に加へ風邪薬 燕音
薬商の手になる梅の梅屋敷
不整脈薬で押へ枯るゝ中 さざなみやっこ
春曙けふまで薬は自己管理
開口一番看護婦元気薬呉れ
鴉ゐて薬用人参小屋の陰
春の夜を薬だのみに眠る術
枇杷の花薬切れしと出かけ来て
薬飲みさてそれからの暖房裡
根深汁薬を飲んであと寝るのみ
石佛の風化薬壺に昼の虫
霧雨の吹込む薬用湯ノ花小屋
花過ぎの薬貰ひて落ちつきぬ
かがよへる春雪を置き薬師堂
枯山の出湯名付けて薬研の湯
心臓の薬欠かさず夏休み
薬剤師平謝りに平目の目
風邪引いて薬を買ひに妻走らす
冬籠薬袋を身ほとりに
お薬師の神意を享けてまんじゅさげ
処方箋持ち薬局へ日の盛り
薬湯と云へるその湯に浸かりたく
其の上(かみ)は薬用牡丹わっと咲く
大寒のこむら返りに利く薬
薬買うて一息つける暖房棟
まだ減らぬ持薬の数や年立てり
元朝の持薬の水を汲み来たり
冬来れば持薬飲む水旨くなり
只薬貰ひて戻る落葉みち
大きな顔して出づ師走の薬代
枯山の出湯名付けて薬研の湯
木犀の薬のごとくにほふ晨
一病に五つの薬色鳥来
長き夜の熱きが薬地蔵の湯
自堕落を正せる薬冷麦茶
冷麦茶薬の如く頂ける
夏旅に持参の薬三日分
茄子漬時が薬と養生す
栄螺の腸(わた)良薬にして昼の酒
月に向きはくれん開く薬師堂
永き日のまたも持薬を呑み忘れ
塗香(ずこう)して合はす掌の凍みおん薬師
金銀の持病の薬クリスマス
句の鍛錬作ってみしょう薬掘り
この我が薬掘りとは爺むさい
薬掘隠者のごとく山に入る
命伸ぶ薬掘りとは神妙ぞ
紫蘇の香のぷんと粗塗り薬味入れ
忘れぬうち薬飲みけり水の秋
朝曇り庭木に撒ける散布薬
今日やること薬のむこと汗かくこと
八月の山毛欅の木洩れ日薬草に
朝昼晩のんで麦茶の薬いろ
森閑と麦湯の薬鑵さめてをり
飲み忘れ薬溜りて夏の果
夏痩せて薬害受くる左腎臓
朝曇りさきほど薬飲んだっけ
心臓の薬絶やさず土用入り
梅雨暗の東壁薬師浄土かな
薬もて歯痛を抑ふ芒種かな
薬草取この山中にオニシバリ
堂縁に甘茶の薬鑵汲めとこそ
ぎっくり腰直す薬よ燗つけよ
序でに買ふ蘭を元氣にする薬
雑煮などいただきしあと薬のむ
初薬師済みて檀家の親睦会
常緑樹風にさゆらぐ初薬師
薬玉 /風炉 /
繭 /
繭玉を助っ人旅先おみやげ屋
繭玉を揺らす手を待つごとくなり
コンビニの繭玉一寸つつきみぬ
繭玉のごとき白実のなんきんはぜ
繭籠る蜘蛛の子透けて笹葉裏
枯櫟日和小枝の山繭に さざなみやっこ
魚食はす宿の帳場に繭団子
繭玉の店の八つ橋よく売れる
贋繭玉三日天下の華やぎとも
繭玉に人出ぞろぞろ百貨店
母の日 /
母の日と重なりナイチンゲールの日 寒暑
母の日のおかあさんてばおかあさん 随笑
母の日の妻に鉢物カーネーション
鶏頭の色づきを待つ母の日々
藷畑で機銃掃射に遭ふ母の日
母の日と重なりナイチンゲールの日
(末尾は句集名)
夏場所 /
番台に嬶陣取る夏場所ぞ
夏場所やビュッフェの描く大之國
船室に胡座かき見る五月場所
夏場所の土俵で怺ふ鍾馗顔
苗売 /薪能 / 茄子植う /
黒船祭 /
花蘇鉄黒船の世は嘸やさぞ 高澤良一 随笑
(末尾は句集名)
筍飯 /
齢なりに私も頑固筍飯 燕音
黙々と食べて二杯目筍飯
筍飯老ゆれば小さき茶碗にて
おん母の筍飯に食旺ん
年並みに私も頑固筍飯
筍飯乞へば相槌打ち呉れぬ
(末尾は句集名)
竹植う /袋掛 /麦笛 /草笛 /
麦刈 /
鬼無里晴れ稲を刈る音蕎麦刈る音 ねずみのこまくら
(末尾は句集名)
麦藁 /麦飯
菊挿す /
ナイター /
ナイターのテレビの前を蚊のよぎる
ナイター洩る隣家近しさ覚えけり 随笑
(末尾は句集名)
◆行事
御柱 /
元綱に小綱を掛けて木落とし衆 鳩信
木落としはまばたき一つする間に 鳩信
御柱落とす地点へ白き蝶 鳩信
綱掛けて氏子の曳ける御柱(おんばしら) 鳩信
控へをる秋宮一之御柱 鳩信
山風に木遣り起こりて木落とし坂 鳩信
坂上の空へせり出す御柱 鳩信
御柱その盛土もさみだるる さざなみやっこ
馬乗りの若衆飛ばしぬ御柱
地下足袋の木落とし衆の汗っかき
安置され木の芽の下の御柱
転げ落つ諏訪の男と御柱
黝々と木落とし坂に松の影
地下足袋の木落とし衆の汚れ膝
土煙りあげて突っ込む御柱
木落としはまばたき一つする間に
延々と待ちし木落とし始まれり
若衆のどうと馬乗り御柱
裂帛の気合に曳ける御柱
御柱引き落とさるる木の芽空
木落としや芽吹き旺んな山の中
木落としの木(ボク)の突っ込む春の土
木落としの始め木遣りを高空に
木落としの木遣り芽吹ける櫟らに
木落としの氏子ら元綱引きつけて
もくもくと芽吹く欅に木落とし衆
秋宮のいざ木落としの木遣りかな
縋り付く人人人の木落とし坂
元綱に小綱を掛けて木落とし衆
茣蓙持ちて木落とし坂の正面に
ずずずいと落としにかかる御柱
御柱芽吹きの空に乗り出して
御柱ぬっと顔出す芽木の空
山風に木遣り起こりて木落とし坂
坂上の空へせり出す御柱
木落とし坂正面の山芽吹きけり
御柱落とす祭の沸きに沸く
御柱落とす地点へ白き蝶
芽吹く山前に天下の木落とし坂
木落としの始終見る顔日焼けして
木落とし坂下にこぞるや蟻のごと
木落とし衆海道町の幡の下
木落としの樅の巨木の尾にも綱
木落としのずるずる深山巨木樅
木落とし衆落下地点へ詰寄れり
木落としの氏子曳き縄襷掛け
控へをる秋宮一之御柱
綱打ちて氏子の曳ける御柱
櫟そろそろ芽吹き御柱曳行路
坂上の幅員狭し御柱曳く
綱曳けば油の滑り御柱
御柱木に芽張るなか曳行す
下諏訪御柱祭
木落としを見んと歩いて歩いて谿
御柱の曳綱とぐろ巻く社殿
御柱ごろごろさんの空覗く
日雷合はせ四本の御柱
(末尾は句集名)
万太郎忌 /
湯豆腐に箸を伸ばして万太郎
万太郎さらりと冬を詠みにけり
添え書も冬めく一句万太郎
湯豆腐のつらつら煮ゆる万太郎
万太郎の前書きに似てつくつくし 寒暑
湯豆腐の湯気の中から万太郎 随笑
(末尾は句集名)
四迷忌 /たかし忌 /練供養 /
祭 /
ぎうぎうと神輿の綱締め広前に 寒暑
くすくす笑いして過ぐ祭浴衣の娘(こ) 素抱
コカコーラにおくび連発独立祭 素抱
コップに挿すすずめのてつぱう独立祭 ねずみのこまくら
この方も清酒二本や祭寄附 暮津
これは又渋き踊の地口方 素抱
こんなのは雨に入らぬ祭かな 素抱
コンビニも町内の裡御神燈 寒暑
ちょんまげが街練り歩く開港祭 素抱
とっくりに親の付き添ふ火の祭 燕音
とんと本読まぬこの頃獺祭忌 寒暑
にんげんに祭り雀に真炎天 随笑
ノースリーブ横須賀をゆく独立祭 素抱
はつはつと山車倉の上に鵙鳴ける ももすずめ
まだ寝ぬと伝家の宝刀泣きを入れ 素抱
ユスリ蚊のお祭り騒ぎ始まれり 随笑
ゆすり蚊の気炎挙げをり祭まへ 素抱
よその子が気になる祭浴衣かな 素抱
よれよれとなりて夕日の山車を曳く ももすずめ
わらしべに鯵の吊られて御祭神 ねずみのこまくら
わんこそば屋の二階に詰める祭衆 寒暑
雨だれの音のとんとん祭月 ぱらりとせ
雨の日もお祭りさわぎ凌霄花 暮津
鰻松も賑はひみせぬ宵祭 素抱
浦祭藻を出で入りのべらを見て ねずみのこまくら
沿道にほとぼり醒ます祭人 素抱
奥の間に花奪い祭の花造り ぱらりとせ
横須賀のサンダル履きの開国祭 素抱
横濱にヅンタカタッタ祭くる 随笑
屋台提灯遅々と高山宵祭 素抱
夏祭なれば散財縷紅草 暮津
夏落葉祭のあともよく散るよ 素抱
夏落葉祭の済みし杜に降る 素抱
華やぎて雨の降るなり祭月 ぱらりとせ
皆浮かれ戯け地口の踊唄 素抱
角刈の舁き手匂へり三社祭 素抱
喝采に潮吹き足らぬ山車鯨 燕音
管ぶらさげ鳴り物入りの巴里祭 鳩信
救命の管(くだ)のいろいろ巴里祭 鳩信
金魚屋の二軒張合ふ祭かな 寒暑
元禄より百余度ほど帯まつり 石鏡
玄関に子供神輿の祝儀置き 寒暑
御旅所に七本立ちの大松明 燕音
御旅所に大太神楽(だいだいかぐら)うち据えて 素抱
御旅所に団扇と扇子語らひつ さざなみやつこ
御旅所の氷の下の烏龍茶 素抱
高山の夜も澄む空に祭笛 素抱
高張を要所要所に義士祭 鳩信
砂浴びの社の雀祭前 素抱
祭くる門川に殖ゆ糸みみず ねずみのこまくら
祭の喧嘩男は似たりよったりで 随笑
祭の子強く手を引きねだりごと 暮津
祭の子谺遊びの町内湯 鳩信
祭の中しゃくりつゝ泣く女の子 素抱
祭の夜半ベソかいて蹤きゆく子 素抱
祭果て巨き夕浪立ちにけり ねずみのこまくら
祭寄付手拭いいっぽんお返しに 寒暑
祭寄付受付すずかぜ来るところ 寒暑
祭去る下一之町霧籠めに 素抱
祭見の立ちんぼ疲れ馬車道に 随笑
祭済みもとの暗さに杜の樹々 素抱
祭済み常の冥さの八幡社 素抱
祭子のぽけっとうたた寝せる素顔 暮津
祭舟舳に神主乗り込みて 寒暑
祭前電線這はす社の樹々 暮津
祭足袋ばたばた御朱印船を曳く 燕音
祭待つ茶房にキツネメイクの男 素抱
祭幡橋のほとりに漁師町 素抱
祭来るそれを目当てに孫が来る 寒暑
雑草(あらくさ)は露を蒐めて魂祭 暮津
山車に蹤く子につき添ひて俄灼け 暮津
山車を曳く中に友ゐて木遣誦す 素抱
山車獅子の晴れ着の唐草模様も古り 燕音
山車出して風に当てをり祭月 素抱
山車神楽鉦は痴人(トンチキ)愚鈍(ヘンテコ)と 寒暑
山車倉を叩きて椨の荒雫 ももすずめ
山茶花のちりぢり後の祭かな 鳩信
紙と木と祭の國のさいと焼 暮津
七浦をうるほす山車の鯨曳 燕音
射的屋の手持ち無沙汰も夏祭 鳩信
灼け紅旗へんぽん関羽生誕祭 鳩信
種子四散後の祭といふはこれ 石鏡
酒気帯びて男はさうよ神輿舁 素抱
秋祭り山車の松前鉄之助 寒暑
宵祭屋台の端(はな)は神楽台 素抱
宵祭屋台ふちどる百提灯 素抱
宵祭提灯支度の大正台 素抱
小鯨の前曳(さきびき)祭の子がわーい 燕音
神輿庫新樹の気宇につつまれて ももすずめ
神輿倉昼も灯す青しぐれ 素抱
神輿渡御(おわたり)を待つ間「鼻長」一服す 燕音
神輿舁く掛声くたびれてはならず 燕音
神輿舁道路端に腹ごしらえ 素抱
水靄の諏訪の下諏訪訪へば祭 宿好
晴れ間見て氏子の祭支度かな 寒暑
雪洞の戯れ絵拙し宵祭 素抱
浅草のカツ丼色の神輿かな 燕音
洗濯屋蒸気しゅっしゅっと独立祭 素抱
孫のくる祭明後日明々後日 素抱
孫預かる故の散財夏祭 暮津
帯まつり杵屋社中と同宿す 石鏡
大井神社小流れ巡らせ秋大祭 石鏡
大井川安堵の神の秋大祭 石鏡
大道芸祭囃すやオッペケペー 素抱
樽神輿来て何がしか祭寄附(子供会) 暮津
樽神輿路地を圧して子供ごゑ 素抱
蝶鉾も火に酔ふ鞍馬火の祭 燕音
釣具店祭提灯戦がせて 素抱
店支度至極簡単夏祭 素抱
灯より濃き金魚を掬ふ夜宮かな ねずみのこまくら
踏み込んで後の祭りや蜘蛛の囲に 素抱
突堤に舟虫しゃしゃり出て祭 素抱
年恰好同じ子連れ立ち宵祭 素抱
巴里祭定番鳩の手品かな 随笑
肺活量大き歌手なり熊祭(イヨマンテ) 寒暑
薄荷買ふといつまで言ひ張るわからんちん(夜宮) 暮津
箸の水切って乾かす魂祭 寒暑
風流山車見返し遠のく刈屋姫 寒暑
風流山車秋の八幡下りかな 寒暑
風流山車出を待つわんこそば屋の前 寒暑
文鳥に祭囃子の音の遙か 素抱
包帯に患部包める星祭 鳩信
豊年踊り地口も嬶(かが)腹満作と 素抱
明日神輿揉む参道と蟻知らず 素抱
明日佇つは何處の路上か痩せピエロ(野毛大道祭) 石鏡
綿飴にぶつかりさうになる夜宮 随笑
綿飴に孫が張りつく夏祭 素抱
面掛けの一戸一役里祭 燕音
野崎神楽六角牛神楽秋祭 寒暑
野毛の祭当たり馬券のやうな空 石鏡
裸電球杜に巡らせ夏祭 素抱
立見衆凹み出っ張り面掛祭 燕音
立話山車の引き手の減りしこと 素抱
練り歩くやっこの毛臑秋の風(静岡県島田帯まつり) 石鏡
櫓の上囃子地口のいかがはし 素抱
獺祭忌天気どんどん悪くなる 随笑
獺祭忌発句にもある著作権 宿好
艫の花垂弥次郎兵衛めく祭舟 ももすずめ
躓きてゴッと夜宮の走り根鳴る ももすずめ
山車船の御朱印船を「持ってこい」
喝采に潮吹き足らぬ山車鯨
七浦をうるほす山車の鯨曳
立見衆凹み出っ張り面掛祭
面掛けの一戸一役里祭
「鼻長」をわし鼻が見る面掛祭
神輿渡御(おわたり)を待つ間「鼻長」一服す
神明生姜みんなはけよと祭笛
芝神明大祭神拝詞(となえことば)添え
浅草のカツ丼色の神輿かな
電線を一本引き込む神輿庫
風鎮め祭の町の酔芙蓉
祭果つ遠くに月の皆野町
レーザービーム川面を滑る船玉祭 長瀞船玉祭
蓼の穂の跳ねまわる空祭めき
水靄の諏訪の下諏訪訪へば祭
下萌えのいろの待ち針針祭
山堂に氏子畏み午祭
札幌の祭の映像氷点下
広前に鳩の戻れる祭あと
祭果て神社の茂り深まれり
不景気など何處吹く風の祭の灯
産土の杜の洩らせる夜宮の灯
祭の夜何か弾けて若人ら
祭提灯馴染みの中華蕎麦屋あり
綿飴がぶつかりさうになる夜宮
祭果て紐で括れる屋台店
杜は翳深め祭の前後かな
月替れば風の名替り祭月
祭前神楽太鼓が夜陰より
祭前神楽太鼓のでんでこと
お社で祭稽古の神楽舞
夜な夜なの祭囃子の習ひ笛
ざらつける肌着祭の日の近み
習ひ笛ひょろひょろ祭近きかな
緑陰の奥処に鎮座神輿倉
欅の葉吹かれて躍る祭月
ここみどりかしこみどりや浦祭
連休は港祭に出向くのみ
崎陽軒シュウマイ娘の祭唄
港祭マーチに浮かれ足踏みす
マーチに次ぐマーチ祭も酣に
青江三奈のそっくりさんも練る祭
街路樹も芽を吹き港祭くる
真鍮の港祭のブラス過ぐ
佐木(ザキ)を練りドンドコ港祭かな
横濱にヅンタカタッタ祭くる
ミス横濱笑顔振りまく祭かな
蛇踊りのさすが祭の空高く
龍舞のジャランジャランと祭くる
祭見の立ちんぼ疲れ馬車道に
ハンカチにて顔に風遣る祭かな
犬抱いて港祭の蒸す最中
年寄の日焼け気にする祭かな
祭のごと木々の奏づる雪雫
飛騨の雪祭ごころを眠らせて
そら豆に祭ごころの酒すすむ
村起し案山子祭が催さる
祭果て鹿(しし)の戻りの早瀬川
花巻まつりやれやれやれの山車太皷
山車に次ぐ祭の呼びもの樽神輿
樽神輿舁きて花巻青年部
初秋の祭待つ間のわんこそば
わんこそば屋の二階に待機祭衆
わんこそば屋の二階に詰める祭衆
肺活量大き歌手なり熊祭(イヨマンテ)
乙艫の汐風孕み祭幡
八九艘舟を仕立てて汐祭
祭くる漁港にエイの子紛れ込み
祭舟舳に神主乗り込みて
武州 金澤八景 乙艫海岸 汐祭
榧の実の落つるに任せ神輿倉
箸の水切って乾かす魂祭
山車煽るヤーヤドウは鬼のこゑ
金魚屋の二軒張合ふ祭かな
常夜灯しろしろ灼けて本祭
玄関に子供神輿の祝儀置き
神輿組む最中青筋揚羽来て
祭寄付受付すずかぜ来るところ
ぎゅうぎゅうと神輿の縄締め広前に
射的屋は飴屋のうしろ夜宮混む
祭寄付手拭いいっぽんお返しに
祭来るそれを目当てに孫が来る
一休み山車片陰に引き寄せて
鼻筋に白粉一刷け祭稚児
晴れ間見て氏子の祭支度かな
山車提灯ゆうらりゆらり遠ざかる
大荒れの風の夜となる祭幡
祭提灯夜風に踊る州崎町
宵宮の鬼灯いろさす吊提灯
祭来て誕生日来て齢とるも
山車神楽鉦は痴人(トンチキ)愚鈍(ヘンテコ)と
夏祭来て囃さるる吾が齢
宵宮の欅の樹齢推し量る
すててこで通すならひの祭月
イチローの投打愉しみ祭月
マテバ椎若葉こんもり例大祭
祭済みもとの暗さに杜の樹々
祭髪きつきを怺え女の子
一夜経て夜宮のかなぶん椨の木に
宵宮のほとぼりさめし朝の杜
ひょいと来て孫泊り込む祭の夜
夜宮明け小雨乍に杜の蝉
祭の子ねだる金魚屋通過せり
樽神輿後に蹤けるお母さん
樽神輿路地を圧して子供ごゑ
よその子が気になる祭浴衣かな
学校もけふから休み祭の子
明日神輿揉む参道と蟻知らず
年恰好同じ子通る宵祭
町内の祭を明日に椨落葉
ゆすり蚊の気炎挙げをり祭まへ
ゆすり蚊のしっちゃかめっちゃか祭前
夏落葉掻いて夜宮の店支度
大欅茂る合間に神輿倉
砂浴びの社の雀祭まへ
祭待つ杜にぼつぼつ蝉の穴
狛犬の毬持て余す祭前
当節の子の皆長身祭足袋
雪洞に鉄腕アトム夏祭
祭半纏大道西は隣町
鰻松も賑はひみせぬ宵祭
顔の汗べたべたてらてら神輿舁
うなぎの香鋪道に洩るる宵祭
くすくす笑いして過ぐ祭浴衣の娘(こ)
祭幡橋のほとりに漁師町
祭囃子平潟湾の風に乗り
山車囃子湾に流して平潟町
夜釣して祭囃子の音のはるか
雪洞の点りそめたる宵祭
大鳥居抜けくる風や宵祭
風上ミの祭囃子は州崎町
雪洞の戯れ絵拙し宵祭
運河べり海月の殖ゆる祭まへ
祭提灯連なる町を徒歩く
橋一つ越えて野島の祭見に
釣船屋祭提灯戦がせて
のうぜんも提灯花下げ祭前
祭来る頃とや見上ぐ杜の樟
孫を連れ祭初日の人波に
祭の中しゃくりつゝ泣く女の子
孫抱いて祭わっしょい神輿くる
突堤に舟虫しゃしゃり出て祭
孫のくる祭明後日明々後日
ご近所の路地の奥まで樽神輿
煙草値上げ明日に始まる祭月
隣町いちにち早き夏祭
風炎えてねぷた祭の団扇風
山車倉の前にて祭の打ち合はせ
組み上ぐるものを組み上げ祭待つ
祭一足先に来てゐる瀬戸神社
祭月金魚貰うて藻を買ひに
石畳うがつ木雫祭前
町内会ありて祭の相談ごと
祭見に洗ひざらしの甚平着
山車出して風に当てをり祭月
山車倉に風を入れをり祭月
アイスクリーム発祥の地の開港祭
ちょんまげが街練り歩く開港祭
酒気帯びて男はさうさ神輿舁
神輿倉昼も灯す青しぐれ
角刈りの舁き手匂へり三社祭
宵の酒三社祭の映像に
大道芸祭囃すやオッペケペー
チャイニーズシューズ金ぴか春節祭
山茶花のちりぢり後の祭かな
水靄の諏訪の下諏訪訪へば祭
包帯に患部包める星祭
外泊の許可貰ひをり星祭
灼け紅旗へんぽん関羽生誕祭
射的屋の手持ち無沙汰も夏祭
なまぬるき太鼓テケテケ夏祭
雨音のそこらを打てる三社祭
暗闇に山車遠ざかる笛太鼓
祭の子谺遊びの町内湯
そら豆の莢から飛び出す祭月
「ことし又」「あたりき」神輿かくと云ふ
蓮の葉に雨砕け散る祭月
御柱落とす祭の沸きに沸く 下諏訪御柱祭
花待ちて河津桜の祭幡
校長.駐在正月祭の附き人に
河豚の皮摘みぽつぽつ渡御の由来
正月の祭の寄付に宿の名も
御旅所の七本立ちの大松明
とっくりに親の付き添ふ火の祭
千本の松明掲げ火の祭
天狗の塒透けんばかりに火の祭
松明の火の粉とび散る火の祭
松明を藤の根蔓に繰る祭
なる者が神輿の先端に股をひらいてぶるさがる
蝶鉾も火に酔ふ鞍馬火の祭
はな.鈴下.へちは神輿を担ぐ位置をさす
百貫神輿鈴下を舁く佳き男
松明の爆ぜてぐらつく火の祭
船大工町の山車舟繰り出せり
祭足袋ばたばた御朱印船を曳く
少子化も何處吹く風や祭の子
ひっついて童離れぬ山車の脇
夜宮の子搦めとらるゝ綿飴機
夏惜しむ踊り助平と祭バカ
雨樋の音のとことん祭月
色白の男返上夏祭
電線張り祭の準備一切済む
持ちつけぬ財布が重し宵祭
夜の露地を抜けゆく祭のこどもごゑ
一硬貨にて足る祭寄附なりし
くらがりに佇つもしゃがむも夜宮の子
握りしむ掌があたたかき祭稚児
人除けて人にぶつかる宵祭
渡御了へし御輿解体して酒盛り
渡御了へし御輿鎮座す楠の杜
祭待つ社の杜の夜の青葉
雨の宮祭提灯さきがけて
祭待つ許りの社抜け来たり
祭近し社に若衆屯して
祭子の強く手を引きねだりごと
薄荷買ふといつまで言ひ張るわからんちん(夜宮)
樽神輿来て何がしか祭寄附(子供会)
山車に蹤く子に又蹤きて俄灼け
祭子のぽけっとうたた寝せる寝顔
雑草(あらくさ)は露を蒐めて魂祭
祭前電線這はす社の樹
祭寄附社の茂りの前面に
祭済む神社に日差し洩れてをり
祭子に昔棒チョコ今ポッキー
祭子を率てくるママの厚化粧
この方も清酒二本を祭寄附
風変り祭囃子はトントコと
風通る祭詰所に呷り酒
トネリコの葉を打ち祭月のあめ
揚羽来て目線吊り上ぐ開港祭
夏祭なれば散財縷紅草
太蚯蚓踊り出でたる祭月
紙と木と祭の國のさいと焼
大鯰暴れし村の新嘗祭(中越地震小千谷)
供えもの白き敷布に新嘗祭
若き神官新嘗祭の床作り
にいなめの祭ことほぎ百鳥は
幔幕貼り新嘗祭の下準備
長き夜を島田の長唄祭かな
川越しの島田のきんきら神輿かな
渡御の杜大王松の露けくて
氏神の大祭済みて蜘蛛の糸
祭旗 徳澤千秋降百祥
種子四散後の祭といふはこれ
霧霽れて三神合祭殿葺替
野毛の祭当たり馬券のやうな空
鼻の辺り少し日焼けて大道芸(野毛大道祭)
祭待つ茶房にキツネメイクの男(狐火祭)
祭済む朱ケの欄干露しとど
祭去る下一之町霧籠めに
月上げて家並高山祭了ゆ
御旅所は江名子川辺の水ほとり
御旅所に大太神楽うち据えて
神主の白緒の草履御旅所に
高山祭見物衆の赤い羽根
打ち晴らす祭の大太神楽(だいだいかぐら)かな
宵祭屋台明りの江名子川
宵祭屋台ふちどる百提灯
高山の夜も澄む空に祭笛
宵祭屋台上段囃せる子
屋台の上星の出てゐる宵祭
宵祭屋台の端(はな)は神楽台
練り屋台炭火の明るさ宵祭
屋台提灯遅々と高山宵祭
旅人の襟掻き合はす宵祭
宵祭提灯支度の大正台
長髪の金髪にして祭の娘
口髯の遺影は老いず魂祭
職退きて三年になる魂祭
夏祭女が強くて何とする
夏落葉祭のあともよく散るよ
疎開地に話は終始魂祭
祭の夜半ベソかいて蹤きゆく子
風鈴に祭のほてり醒ましをり
横須賀のサンダル履きの開国祭
祭果つ杜を冥めて鬱たる樹
一湾に吹き込む風や宵祭
こんなのは雨に入らぬ祭かな
御旅所の氷の下の烏龍茶
祭済み常の冥さの八幡さま
祭果つ杜に病葉降るばかり
明年まで睡りに入りし神輿倉
夏落葉祭の済みし杜に降る
犬枇杷の雨に濡れづめ祭前
熱気もつ祭の杜の夜の蝉
夜遊びの子の仲間入り祭の夜
祭の灯杜を焦がして狂ふ蝉
沿道にほとぼり醒ます祭人
山車太鼓朝からぽんぽこ八幡さま
樽神輿誘ふ呼び子路地曲り
山車待てば涼風のぼりくる坂上
山車を曳く中に友ゐて木遣組
立話山車の引き手の減りしこと
文鳥に祭囃子の音の遙か
神輿舁道路端に腹ごしらえ
(末尾は句集名)
多佳子忌 /
成りし句に揺さぶりかけし多佳子の忌
尋常な句は作らずよ多佳子の忌
◆動物
山繭 /
枯櫟日和小枝の山繭に さざなみやっこ 冬
(末尾は句集名)
袋角 /海酸漿 /虹鱒 /海亀 /
山女 /
那珂川の中流域の山女釣
山女釣れ紅葉に腹を返しけり
日暮まで日原川の山女釣
山女ゐる川と指さす若葉谿
山女釣藤こぼれ散る岩を跳ぶ
若葉風外湯に山女のごとくゐて
岩魚の瀬すこし上ミ手に山女の瀬 素抱
山女釣荒くれ岩をひょいひょいと 素抱
山女釣けふの釣果をこぼしけり 燕音
川風のぶつかる岩場山女釣 燕音
山女魚らの口肥えて来ぬ青葉どき 鳩信
岩魚飼う駅の水槽山女魚も居
(末尾は句集名)
鮑 /
鮑(あわび)の上あるく鮑よ一遍忌 ねずみのこまくら
鱚・鮑・甘海老地物お任せ寿司
鮑金(がね)一丁持って海底へ
あわび採などは御法度梅雨礁
門前のさざえあわびの岩場かな 寒暑
大金のごと磯鮑押しいただく 随笑
房総産鮑槽(ふね)よりひっぺがす 燕音
冬潮の透けて鮑の産卵期 燕音
夜のあわび一枚岩を這ふといふ ぱらりとせ
危ふしとむしゃぶりつきの大鮑
ふなばたに鮑抱きつく覗突舟
枯篠の沖にあわびの産卵期
冬潮の透けて鮑の産卵期
あわび取り海女図何より涼しさう
鮑大常節大の子産石
(末尾は句集名)
蛸 /
サハリンを閉ざす厚雲蛸を煮る 素抱
にゅうべぇと蛸漁の沖見渡して 素抱
一興と宗谷岬の蛸を食ふ 素抱
雨の日の魚左次小坪の地蛸なし 寒暑
玄冬の地蛸粗塩すり込まれ さざなみやつこ
吹掛(ふっかけ)に浦の一舟蛸を突く 素抱
大蛸は大岩に棲む昔より 寒暑
蛸の木の根の遣り場なき室の春 さざなみやつこ
蛸漁のその大方は朝の内 素抱
蛸漁の漁師の家はかたまりて 素抱
蛸博士(ドクター)腹式呼吸教授せり (俳諧オペ景色) 鳩信
蛸壺に一喝くれて海の雷 暮津
地のもののこれ一品と云へば蛸 燕音
夜店立ち蛸の踊れる屋台幕 随笑
午報の浜海より老蜑蛸提げ来
蛸壺に一喝くれて海の雷
銭湯に茹で蛸梅雨の湯は熱め
腰越の蛸を枕に何書かん
フッカケに浦の一舟蛸を突く
ニューベェと蛸漁の沖見渡して
浜廃れ蛸壺を打つ砂っ風
稚内海上晴れて蛸突漁
蛸漁のその大方は朝の内
蛸を採る沖合で合ふ二海流
蛸獲るや最北端の磐島
蛸茹でて湯気洩る食堂最北端
厚雲にサハリン封じ蛸茹でる
蛸漁の漁師の家はかたまりて
蛸で食ふ村の家並の皆立派
一興と宗谷岬の蛸を食ふ
村民は荒稼ぎして蛸御殿
朝波に揺られ揺られて蛸採舟
猿払村蛸突きの海前にして
蛸博士(ドクター)腹式呼吸教授せり
被りたる網を突き上げ蛸あるく
地のもののこれ一品と云へば蛸
正月の地蛸たじたじ歯の無くて
噛みしめて地蛸の甘し濁り酒
本祭り蛸の踊れる屋台幕
雨の日の魚左次小坪の地蛸なし
舟虫追ひ蛸壺色の村に入る
晩酌のきのふ蚕豆けふ地蛸
赤泊蛸棲む浦の乱礁に
蛸を突く舟徘徊す浦湊
はつなつの蛸が目覚むる礁陰
大蛸は大岩に棲む昔より
岩伝ふ子蛸覗ける朝の蜑
二本足蛸のごとくに阿波踊
(末尾は句集名)
烏賊 /
足らぬといふ蠕動運動烏賊に挑む
磯よりの風の間口に烏賊干せり
甘藻場に甲烏賊の寄る夏近し
一夜干し烏賊のカーテン風岬
烏賊漁の合間を縫ひてなまこ漁
烏賊の骨真白きを妻素手掴み
ヤリ烏賊の前進後退春近し 素抱
烏賊釣船百の裸灯のきんきらきん 寒暑
下北の一夜干し烏賊星の下 随笑
烏賊と海胆さざゑちりばむ半島絵図 随笑
烏賊釣りの漁火鬼の目ん玉大 随笑
烏賊医長やおら脈拍とりにけり 鳩信
松前漬筋ばる烏賊に鍛えらる
烏賊医長やおら脈拍とりにけり
小つごもり昼食(ちゅうじき)味噌漬け烏賊焙り
繋がれて夏の露置く烏賊釣り舟
烏賊釣り舟電球に凝る夏の露
朝月いろ烏賊釣り船の船腹も
下北の烏賊を干しましょ浜風に
津軽海峡烏賊釣り舟の火を強く
海峡の真ん中辺に烏賊釣り火
海峡の夏星の下烏賊釣り火
土地柄の花烏賊の味愉しまん
烏賊を干す浦にぽつんと一軒家
烏賊そうめん噛みしめ顎を鍛えねば
烏賊釣火も一つ延長線上に
対岸に弥彦山(やひこ)烏賊釣る火が点る
烏賊釣船波にたぷたぷ寺泊
うすぼんやり佐渡の辺りに烏賊釣火
蛍烏賊の目玉転がす舌の上
白湯させば花びらいろに螢烏賊
(末尾は句集名)
飛魚 /
飛魚跳んで跳んで水平線退る・・八丈島 ねずみのこまくら
日本の飛魚波に乗りにけり
(末尾は句集名)
鯖 /鱚 /
穴子 /
寿司喰いねぇ江戸っ子好みの穴子寿司
霜旦の漁場へ逸る穴子船
その仕掛け簡単にして穴子筒
釣船とは別に漁師の穴子漁
穴子筒明日が見える筈もなし
筒積まれ花火船めく穴子船
波切つて筒の重さの穴子船
積み込めるこの筒みんな穴子船
穴子漁筒の内側色塗って
掛けられし網棒突きの漁穴子
穴子漁船待ち顔の嬶衆 素抱
水槽に水溢れしめ漁穴子 素抱
穴子舟けふは化粧ふて囃子舟 寒暑
穴子舟筒っぽ秋の空に向け
穴子舟けふは化粧ふて囃子舟
(末尾は句集名)
蝦蛄 /
蝦蛄網を秋日に晒し蝦蛄採船
水白う蹴立てて戻る蝦蛄採船
釜茹での蝦蛄に夕映始まれり 随笑
水揚げの二人掛りの蝦蛄の桶 随笑
煤払ひ済みて晩酌地場の蝦蛄 随笑
おすそ頒けさうよ小柴の子持蝦蛄
蝦蛄仙人掌ほったらかしにいじけ咲き
槽を這ふ蝦蛄の草鞋のうすみどり
海猫連れて蝦蛄獲船の帰投どき
猫の手も借りたき蝦蛄の出荷どき
蝦蛄葉仙人掌あちこち傷みそめし家
蝦蛄採舟東京湾の底を掻く
(末尾は句集名)
初鰹 /
晩酌によかろと地場の初鰹
湯上がりがこれ亦よくて初鰹
穀象 /米搗虫 /
◆植物
牡丹 /
「大正の光」はいかな牡丹にて 随笑
がっくりと見せ場つくりぬ緋の牡丹 鳩信
けふの雨もってぼうたん総崩れ 暮津
さしかかるぼうたんの名は陽明門 随笑
すっぱりと芽二つ残し牡丹剪る 宿好
たいがいにしろや牡丹の覗き見は 燕音
たてがみの如く牡丹に花弁あり 宿好
ぼうたんに疎んぜられて発つ蝿か 随笑
ぼうたんの花びら深く残る雨 随笑
ぼうたんの咲けばついつい嗅いでみぬ 素抱
ぼうたんの匂ひ薄める風立ちて 鳩信
ぼうたんの年寄りたれば人の丈 暮津
ぼうたんの白に浸りてゐる浴後 ねずみのこまくら
ぼうたんは紅にして江戸小町 随笑
ぼうたんをついと嗅いでは離る人 素抱
ぼうたんを見限りて風荒吹ける 随笑
ぼうたんを揉みに揉むかぜ打合へり 随笑
まぶしかり雲頂庵の白牡丹 さざなみやつこ
愛染明王示現牡丹の花中より さざなみやつこ
闇深く夜風と心中牡丹かな 随笑
一盛りこれより雨の牡丹かな 暮津
遠近の牡丹に目遣り火桶に手 暮津
牡丹に寄す侍従長筆大御歌(おおみうた) 宿好
牡丹の手入れ総勢二十名 宿好
牡丹は絶頂極め主は入院中 暮津
牡丹は剪らねば剪ればよき花を 宿好
牡丹園二箇所に分けて火桶かな 素抱
牡丹守この須賀川の地味を云ふ 宿好
牡丹吹き通りすがりの巫女を吹き 随笑
牡丹圖を杜若圖に掛け替へよ ももすずめ
何事ぞ牡丹を寺の囲ひもの 燕音
火桶より火桶の見ゆる牡丹園 暮津
花あほる風千変す紅牡丹 随笑
介助者も牡丹桜を眩しみ見る 暮津
階の幅員ひろし牡丹寺 ももすずめ
格天井牡丹圖牡丹の頃に来て ぱらりとせ
閑にして寂たり牡丹の間の土 寒暑
君其処へ牡丹の脇へ吾撮らん 随笑
三箇所に火桶設え牡丹園 暮津
手焙に五指峙てて牡丹見る さざなみやつこ
春先の牡丹の手入れもくもくと 宿好
松葉牡丹よく咲き未だ咲き猶咲かむ 暮津
松葉牡丹咲かす家などとんと失せ 随笑
申し訳なささう牡丹の固蕾 宿好
真似て嗅ぎ牡丹に顔をそむける子 素抱
真上より覗きて牡丹いびつかな さざなみやつこ
真昼間の人気うとげな牡丹かな 随笑
盛りの牡丹危惧する程の雨でなし 暮津
雪中の堂縁近く牡丹の木(ボク) 寒暑
線香花火じゅじゅじゅじゅじゅじゅと牡丹より 素抱
祖(おや)牡丹摂津の國より持ち込みて 宿好
早過ぎて木(ボク)の牡丹の固蕾 宿好
大きくて立派な鉢や紅牡丹 さざなみやつこ
大き蝿牡丹臭さを帯びて発つ 随笑
津軽公御紋牡丹の炎のねぷた 寒暑
汝が植えし松葉牡丹も喪に服す 暮津
日の牡丹日暮れて風の牡丹かな ねずみのこまくら
覗き見てうたたね顔の昼牡丹 随笑
発送の牡丹苗木は横浜まで 宿好
緋牡丹の錯乱状態つづくなり 鳩信
品薄の葉牡丹一つ選るとせり 宿好
不細工よ牡丹の木(ボク)の枯れざまは 素抱
風なぐりかからんばかり牡丹に 随笑
風にあらがふ紅き牡丹を手繰り剪る 随笑
風嫌ふ牡丹の葉剪り大切と 宿好
風絶えぬ一日牡丹の獅子奮迅 暮津
目覚めては紙と木の家牡丹雪 ぱらりとせ
目算といふものありや牡丹咲く 随笑
薬用としての牡丹の在来種 宿好
葉牡丹に父逝きし夜の明けにけり ねずみのこまくら
葉牡丹のごとく広がる赤子の笑み 宿好
葉牡丹の葉の縮み込む朝なりけり 燕音
葉牡丹小鉢なにぶん景気振はずよ 宿好
連れ合いの渾名呼ばるる牡丹寺 鳩信
眞昼間のそよりともせぬ白牡丹 石鏡
辯へたと牡丹に疲れ見えにけり 随笑
牡丹に牡丹気圧され咲く苔庭
芍薬と牡丹只今牡丹のとき
紅牡丹白妙牡丹のあとに嗅ぐ
格天井牡丹圖牡丹の頃に来て
牡丹守盛る牡丹の地味を云ふ
牡丹園牡丹臭さに蝿も馴れ
牡丹に消え入りさうな虫音の昼
日に牡丹すっぽかされて居るごとし
牡丹の首剪り了りにしてしまふ
牡丹のその座誰にも譲らざる
天空を指して牡丹盛り上がる
牡丹の主耳鼻科にかかりつけ
雨催紅牡丹の深情け
注ぐ日に雨にぼうたんお辞儀して
ぼうたんに強き雨風来て瓦解
ぼうたんに強き雨来て風が来て
露震ふ牡丹を見て気養生
禅林の牡丹咲ききる高曇
露溜めて花を了りし牡丹の葉
二歩三歩至近にしたる紅牡丹
牡丹の獅子奮迅に風絶えず
けふの雨もってぼうたん総崩れ
牡丹の蘂まで濡れて雨上がり
弾け初む雨の牡丹もまたよかり
一盛りこれより雨の牡丹かな
盛りの牡丹危惧する程の雨でなし
牡丹は絶頂極め主は入院中
嫣然と牡丹桜の苗木花
ふくよかさ牡丹桜と云ひつべし
しろしろと牡丹桜の道乾く
牡丹植う鉢そのまゝにして昼餉
介助者も牡丹桜の日に浴す
賑やかに牡丹桜の花吊る茎
花窶る牡丹を風のよろめかす
ぼうたんの年寄りたれば人の丈
二月号雪を被りし牡丹の絵
遠近の牡丹に目遣り火桶に手
火桶より火桶の見ゆる牡丹園
三箇所に火桶設え牡丹園
埋火に手をかざし合ひ牡丹園
嗅いでみてくしゃみが出さう白牡丹
牡丹見るついでに佛に願いごと
花びらにうっすらと翳白牡丹
眞昼間のそよりともせぬ白牡丹
秘薬めく牡丹の花粉花瓣のなか
線香花火じゅじゅじゅじゅじゅじゅと牡丹より
蟻が来て牡丹の蘂をさし覗く
気力失す牡丹は一目瞭然に
堂縁に遅咲き牡丹在所寺
ぼうたんの咲けばついつい嗅いでみぬ
ぼうたんをついと嗅いでは離る人
牡丹のほとりに暫く車椅子
真似て嗅ぎ牡丹に顔をそむける子
嫩葉萌ゆ牡丹の芽から幾日目
牡丹園二箇所に分けて火桶かな
不細工よ牡丹の木(ボク)の枯れざまは
くすみゐる木(ボク)の先っぽ牡丹の芽
然れば夕凍み牡丹の園をわたるなり
牡丹園手焙りの灰堆く
じぐざくに真冬の園の牡丹見て
太鼓橋そこを渡れば牡丹園
雪の下黒土あらん牡丹の木(ボク)
春深く牡丹いろなる注射痕
石組と牡丹と獨鈷山の雨
がっくりと見せ場つくりぬ緋の牡丹
連れ合いの渾名呼ばるる牡丹寺
魯山人牡丹帯雨図人だかり
手入れよき牡丹の寺に緑雨降る
緋牡丹の緋色くらくら術後の目
緋牡丹の錯乱状態つづくなり
緋牡丹を風の如くに立ち去るも
真紅芯より射せる紅牡丹
ぼうたんの匂ひ薄める風立ちて
緋牡丹に風の如くに近づくも
花びらの翳も真っ赤に紅牡丹
一旦は雨の牡丹見取り止めぬ
沢庵の寄進牡丹圖お風入れ
日の下に見栄捨てて咲く白牡丹
黄の花粉まみれ大愚の牡丹とも
何事ぞ牡丹を寺の囲ひもの
今朝咲ける気配濃厚白牡丹
牡丹の咲ける雰囲気あり煙雨
たいがいにしろと牡丹の覗き見は
枯れきりし牡丹の木(ボク)に日の移る
魁(さきがけ)をつとめる牡丹殊勝なり
起き抜けの母うち屈む牡丹の辺
竹灰で養生古木大牡丹
牡丹の手入れ総勢二十名
豆緑の牡丹と云ふはレタス色
牡丹剪る手捌き音に出でにけり
花過ぎの牡丹大輪剪り渋る
水刷けがよくて上出来牡丹かな
煽られて牡丹の彩新たにす
牡丹は剪らねば剪ればよき花を
風嫌ふ牡丹の葉剪り大切と
牡丹園ガイド手入れをこもごもと
すっぱりと芽二つ残し牡丹剪る
薬用としての牡丹の在来種
ぼうたんは扨措き園の松古木
祖(おや)牡丹摂津の國より持ち込みて
須賀川の珍(うず)の「昭和の夢」牡丹
其の上(かみ)は薬用牡丹わっと咲く
洛陽の牡丹と云ふを神妙に
春先の牡丹の手入れもくもくと
須賀川の主(ぬし)の牡丹と云ふは是
牡丹に寄す侍従長筆おおみうた
牡丹の好む赤玉土加え
養生の牡丹の古木花を矯め
日は淡く牡丹の親の芍薬に
顔程の牡丹に寄れる車椅子
株立ちも古色蒼然牡丹畑
露地植えの牡丹遅れて鉢物見す
申し訳なささう牡丹の固蕾
早過ぎて木(ボク)の牡丹の固蕾
たてがみの如く牡丹に花弁あり
見頃なる意中の牡丹訪ね見ん
唐物の一色違ふ紅牡丹
発送の牡丹苗木は横浜まで
ふむふむと云ひつつ巡る牡丹の芽
庭石の突こつ姚黄(ようこう)牡丹咲く
趙粉(ちょうふん)は趙飛の國の牡丹の名
ぼうたんの珠ぽってりと日表に
中国牡丹豆緑(とうりょく)当り年の花
長谷寺の階(きざはし)のこと牡丹見つつ
牡丹の芽安住敦の気骨かな
日痛みし風痛みして庭牡丹
ぼうたんを見限りて風荒吹ける
牡丹さくけふあすあさってしあさって
風にあらがふ紅き牡丹を手繰り剪る
牡丹剪るやただちに風の吹き起り
ぼうたんに疎んぜられて発つ蝿か
日の闌けて牡丹ゆるみにゆるむなり
牡丹の首盛りを過ぎてぐらぐらす
詩嚢の襞斯く深くあれ紅牡丹
牡丹みる話の合間合間かな
踏む土のふくいくとしてぼたん園
ぼうたんの一株毎につく吐息
散るも亦一入と見て紅ぼたん
風小僧ぼたん散らしてゆきにけり
蝿のごと牡丹に人のたかりをり
蝿のゐる牡丹の前で一服す
「大正の光」はいかな牡丹にて
ミニチュアの太陽真昼間てふ牡丹
日暮てふ牡丹に暇告げなんと
白にして風に漣なすぼたん
このぼうたん「七福神」とは何処指して
長楽(おさらく)てふ牡丹に暫し刻忘れ
長楽(おさらく)てふ牡丹とはよう名付けたり
渡来物?麒麟司といふ牡丹
これからが愉しみ長楽(おさらく)てふぼたん
洒落た名のぼたん陽明門を過ぐ
日にさんさん帝冠といふ牡丹
ぼうたんの花瓣解くおとはつかにも
とりどりにその名床しき牡丹園
さしかかるぼうたんの名は陽明門
ぼたんの名の由来あれこれ考へて
ぼうたんのぼたん臭さよ風は絶え
大き蝿牡丹臭さを帯びて発つ
季を得て咲ける牡丹と散るぼたん
終も亦一入牡丹の崩れやう
覗き見てうたたね顔の昼牡丹
目算といふものありて牡丹咲く
青邨の牡丹どっかと大壺に
牡丹図の輪郭線は勁く描く
ぼうたんの砕け散りをる雨間かな
一陣の風ぼうたんを吹落とす
牡丹吹き通りすがりの巫女を吹き
ぼうたんがとり散らかって朝の庭
花あほる風千変す紅牡丹
闇深く夜風と心中牡丹かな
おめかしの乳母日傘の紅ぼたん
ぼうたんに朝風交りの雨一時
雨まみれぼうたんおもひきって咲く
ぼうたんは紅にして江戸小町
天気予報曇りのち晴れ牡丹咲く
牡丹に風蟻たぢたぢとなりにけり
ぼうたんの花びら深く残る雨
大牡丹降崩したり昨夜のかぜ
風なぐりかからんばかり牡丹に
ぼうたんを揉みに揉むかぜ打合へり
牡丹襲ふ風は二手に吹き岐れ
辯へたと牡丹に疲れ見えにけり
牡丹大輪雨をふふみて危ふかり
朝風に牡丹の雨滴零れさう
地に落ちてあかあか牡丹の壊れもの
真昼間の人気うとげな牡丹かな
朝風が牡丹を吹いて雨干ぬ間
君其処へ牡丹の横へ吾撮らん
牡丹より移るあくびを噛み殺し
ぼうたんの薫り煽れる朝の風
肩肘を張りゐし牡丹崩れけり
津軽公ゆかりの牡丹炎ゆねぷた
津軽公御紋牡丹の炎ゆねぷた
ほのぼのと扇ねぶたの牡丹柄
一身に期待を担ひ牡丹咲く
ぼうたんの峩々と崩るゝとき来たり
閑にして寂たり牡丹の間の土
(末尾は句集名)
余花 /
葉桜 /
いつしかに葉桜そよぐ野毛辺り 素抱
身の廻り小出しに詠ひ葉ざくら季 ねずみのこまくら
百葉箱葉ざくらの青一途かな 寒暑
無為の日々葉ざくらを風養へり 随笑
葉ざくらどき奥行きのある木々ばかり 鳩信
葉ざくらにならむと強き風を受け 宿好
葉ざくらに一も二もなく染まりけり ぱらりとせ
葉ざくらに葉ざくらのいろ正受庵 燕音
葉ざくらの雨振りかぶる音ぞよき 随笑
葉ざくらの候と書き出し本降りに ねずみのこまくら
葉ざくらの枝に小雀吹かれをり 寒暑
葉ざくらの風に戦いでみせにけり 素抱
葉ざくらの暮れ出す湯本小学校 石鏡
葉ざくらの葉末までゆきわたる風 宿好
葉ざくらや日の斑を顔に胸肩に 暮津
葉ざくらや風も甍も波うちて 寒暑
葉の混み来てアンリルソーの泰山木 ぱらりとせ
葉の混んできたるさくらの幹にほふ ねずみのこまくら
葉桜の毛虫垂るるによき暗さ 素抱
葉桜を猶猶蒼く風吹けり 随笑
葉桜の次第次第に青深く
葉桜の影置き運河鎮もれり
隙間なく葉桜覆ふ愛宕の杜
風送る葉ざくら並木既にして
葉ざくらを月の始の風わたる
葉ざくらを慕ひて川の風が来る
葉桜の毛虫垂るるによき暗さ
葉桜の影を落とせる極楽寺
葉桜の揺れを脳裡に道戻る
葉桜の軽さとなりて道急ぐ
いつしかに葉桜そよぐ野毛辺り
葉ざくらを急がす風と覚えけり
花・蘂と見せ場作りて葉桜に
夕冷えは地べたを伝ひ葉ざくら季
十一面さんに葉ざくら伝ひの風
万遍なく葉ざくら吹かれ通学路
プールの面葉ざくら季の波立てり
葉桜の葉影の懸かるサドルかな
葉桜の木影いちばん深き頃
無為の日々葉ざくらを風養へり
葉桜となる迄吹かれづめの日々
葉桜を猶猶蒼く風吹けり
葉桜の下で考ふ次の径
葉桜の風真っ向に受けつつゆく
遠葉桜いっぽん戦ぐ墓地の昼
外人墓地下れば風の葉ざくら谷
吹き靡く葉ざくら港の見える丘
バス待つ間風に吹かれて葉ざくら季
(末尾は句集名)
菖蒲 /
ごったがへす菖蒲田の径譲り合ひ 寒暑
しやうぶ見る腰ポケツトに扇子かな ねずみのこまくら
すいすいと水の奔れば菖蒲また 暮津
はやばやと入りて菖蒲湯匂はすか ねずみのこまくら
めんどくささうに吹かれて花しやうぶ さざなみやつこ
黄菖蒲に暮れなむとする水の色 鳩信
菖蒲湯にざっと浸りて若返る 素抱
菖蒲湯に貝の切り傷いたく沁む 石鏡
菖蒲湯の菖蒲に寄せぬ術後の身 鳩信
菖蒲湯の菖蒲に倣ひ横たはる 石鏡
菖蒲湯の雀斑に匂ひなかりけり 寒暑
菖蒲湯をざんぶりと出づ赤仁王 寒暑
天が下菖蒲の折葉立葉かな 随笑
熱き湯を押し退け入る菖蒲どき 寒暑
買物籠菖蒲の先が見えてゐる 素抱
白菖蒲蕾きりきり鏃めく 鳩信
葉菖蒲の香ごとくるめり新聞紙 素抱
葉菖蒲の邪気祓ふ気にあやからん 素抱
立ち寄りて菖蒲青張る八日堂 ぱらりとせ
(末尾は句集名)
夏蜜柑 /
ポンジュースなどに温もり冬籠(ポンジュースは夏みかん汁入りの砂糖湯) 石鏡
むしむしとする日を咲きて夏みかん ももすずめ
夏みかんの花の匂ひを風薄め 鳩信
夏みかん良寛ここに発心す 寒暑
木が傷む故にもがるる夏みかん 石鏡
地の凹凸凹の処へ夏みかん
夏みかん採る気配なし年の内
木が傷む故にもがるる夏みかん
湯気上げて祖母の世の味ポンジュース(ポンジュースは夏みかん汁入りの砂糖湯)
夏みかん落花うつむき歩く路地
じめじめした裏路地落花夏みかん
夏みかん三日月形の花散れり
夏みかん散りてぬかるむ雨の路次
夏蜜柑咲かせ一人居婆の家
夏蜜柑庭にたちこめ昔の香
夏みかん咲く径思ひ出し通る
夏みかん扇開きにさし込む日
海つ方空の明るう夏みかん
半島の先はそこなる夏みかん
夏みかん抱へて年を迎ふ家
雪晴れを今一心に夏みかん
夏みかん細目の花の薄笑ひ
あだに大き正月過ぎの夏みかん
夏みかんニコニコ三日の小学校
(末尾は句集名)
新茶 /
庵原より宅急便で新茶着く 素抱
新茶なみなみ注ぎていつもの日の始まり 素抱
新茶淹る湯かげんのこと添え文に 随笑
新茶淹る湯気の向うに送り主 素抱
新茶淹れ乍ら話の受け応え 素抱
川根茶を車内販売ポンコツ汽車 石鏡
茶ぼこりのかすかにあがる新茶淹れ 暮津
注ぐ湯にみどりこきまぜ新茶かな 素抱
毎度のことかたじけなくも新茶かな(静岡、庵原郡影島智子さん) 石鏡
朗報を聞くごと新茶味はへり ねずみのこまくら
藪北の新茶新茶と云ひ注げる 随笑
茶ぼこりのかすかにあがる新茶淹れ
藪北の新茶新茶と云ひ注げる
小振りなる急須に新茶間合い置き
走り茶の宅急便か紙袋
毎度のことかたじけなくも新茶かな(静岡、庵原郡影島智子さん)
庵原の新茶召されよとて宅配
新茶なみなみ注ぎていつもの日の始まり
手を添えて新茶厚葉に微笑める
新茶淹れ乍ら話の受け答え
あちこちで話脱線新茶のむ
注ぐ湯にみどりこきまぜ新茶かな
新茶淹る湯気の向うに送り主
腹中にみどりの粉(こ)散る新茶とも
庵原より宅急便で新茶着く
新茶着く四隅角ばる包装紙
新茶届く清涼の風渡るごとく
妻の出す夫婦茶碗に新茶かな
君の云ふ新茶のまろみ諾へる
静岡に友あり新茶また届く
新茶淹る湯かげんを友申し添え
(末尾は句集名)
古茶 /
古茶淹れて七番日記続き読む 石鏡
一病のよくも悪くも古茶をのむ
古茶淹れて七番日記続き読む
古茶啜り松茸といふ砂糖菓子
(末尾は句集名)
カーネーション /
貝殻を敷込む家のカーネーション 素抱
フレームに三色(みいろ)室咲きカーネーション
母の日の妻に鉢物カーネーション
(末尾は句集名)
芭蕉巻葉 /
雨風にばらけ初めたり青芭蕉 暮津
青芭蕉雨滴零せる音に遇ふ 寒暑
青芭蕉煽らるる日の清方展 宿好
青芭蕉風にはためく湯屋の帰途 暮津
騒然たる雨を嬉ぶ青芭蕉 寒暑
二階より青芭蕉見ゆモダンな歯科 暮津
一幅の絵になる寺の芭蕉林
窓に人ちょんと描きて芭蕉林
(末尾は句集名)
玉巻く葛 /瓜苗 /茄子苗 /藜 /
蕗 /
あはあはと暮春の蕗の炊き合はせ 石鏡
パック入り蕗の薹とは心外な 素抱
雨降って所在なき日の蕗見遣る 素抱
奥まって御廟虫喰い蕗の中 寒暑
伽羅蕗をつまむ箸もて「例のほら」 鳩信
熊ノ湯の湯元ここなり蕗の中 燕音
戸隠山(とがくし)の裏手雪間の蕗のしゅうとめ 燕音
山の蕗なればしっかりアク抜けと 燕音
朝の蛾のかぶさる蕗の葉の一つ 素抱
蕗の葉にありし雨粒いつか干ぬ 素抱
蕗の薹けふの泊りの一集落 燕音
蕗を過ぐスクールバスの空車 素抱
蕗を先づ湯がいて春の水仕事 (妻) 随笑
蕗刈のごそつかせいる羅臼蕗 燕音
面白さうに剥く蕗なれば私にも 素抱
木雫の音を聴きゐる華奢な蕗 さざなみやつこ
蕗刈かごそつかせいる秋田蕗
蕗刈の大蕗叢の中移る
蕗を煮る妻に相槌打ち損ね
蟇勝手知ったる蕗のみち
蕗叩き上がりし雨が嘘のやう
蕗侍る酒田奉行所敷地跡
美目のよき蕗摘む一雨くる前に
あはあはと暮春の蕗の炊き合はせ
雨降って所在なき日の蕗見遣る
貧乏蕗我が家の土に合はぬめり
当て込まれしぶしぶ蕗を剥くことに
赤旗のぼけ除け地蔵蕗の雨
蕗を過ぐスクールバスの空車
蕗の葉にありし雨粒風に干ぬ
朝の蛾のかぶさる蕗の葉の一つ
私にもいっぽん剥けと蕗渡さる
蕗剥かせて貰ひしあとのすっきり感
面白く剥く蕗なれば私にも
蕗を剥く厨に楚々と漂ふ香
島巡る丘又丘に樺太蕗
谷地蕗の廻りじゅくじゅく和寒町
雪嶺を前にしにこにこ樺太蕗
蕗萌えて大雪山よこんにちは
この谿の蕗と覚しき無人店
パック入り蕗の薹とは心外な
転がらむばかりの蕗玉上り路
蕗の葉を叩く山雨の三十棒
蕗剥きの膝を払ひて立ち上がる
伽羅蕗を箸もて持ち上げ「例のホラ」
蕗採って内地の人をもてなせり
蝦夷土産羅臼の蕗を湯がきけり
大蕗に轟くオシンコシンの滝
畳なはる大蕗羆棲息地
鎌持ってずいと入りたる蕗叢に
旅人に斜里の大蕗刈り呉れぬ
蕗刈のいかつき茎を束ね呉れ
山の蕗なればしっかりアク抜けと
羅臼岳育ちの河原蕗きよら
蕗叢の真中を鮭の遡る川
蕗叢の中の露天湯のぼせけり
熊ノ湯の湯元ここなり蕗の中
大蕗の広葉打つ雨聞かまほし
大蕗に海鳥の糞羅臼晴る
小振りなる蝦夷のまいまい蕗の葉に
アク強き蕗なり茎の色を見よ
羅臼蕗声も大きく褒めたたふ
中背の自生蕗そのまんまが佳し
うんだなあ蕗生ふ道を小一里程
岩手路の蕗の姑ようこそと
私有地の竹林の蕗大きこと
蕗を先づ湯がいて春の水仕事
馬頭尊脇にむっくり蕗の薹
奥まって御廟虫喰い蕗の中
わっぱ弁当蕗煮と燻りがっこ入り
蕗の葉の削がれこんもり畑隅に
土筆・蕗・双葉土から頭出し
この女(ひと)の何と目敏き蕗の薹
(末尾は句集名)
篠の子 /
筍 /
画狂老人真筆雪中筍狩 燕音
男気の筍の反りおのづから 燕音
筍(たかんな)の例えて云へば男気歟 随笑
筍は何處にでも出る度し難し 鳩信
筍は口を噤んで掘るべかり 鳩信
筍梅雨どすんと乗れる体重計
青あらし遠に愛でつゝ若筍煮
青畳そこに膳据え若筍煮
はらからに筍御飯てんこ盛り
炊き御飯日を替えアサリ筍と
筍は真竹裏年なりしと云ふ
筍の抉られし創底光り
筍掘り済みて日の入る竹林
筍御飯妻はいよいよ口達者
筍の煮物を助く花かつを
筍を貰ひさっそく若竹煮
竹籠に送られ京の筍ぞ
湯掻きたる筍の湯気独り酌む
冷まじや筍大の和ろうそく
筍の旬の字被らぬたけかんむり
筍は何處にでも出る度し難し
筍は口を噤んで掘るべかり
筍の愚鈍なる頭を傾けり
筍の雑兵空濠登りけり
小机城筍城となりにけり
画狂老人真筆雪中筍狩
男気の筍の反りおのづから
筍のあらぬところに臣福山
春筍や牛若丸の身の軽さ
筍のここに噴き出し建長寺
筍のどんな山哉汝が出処
たかんなのにょきっと日光街道脇
(末尾は句集名)
夏蕨 /
峠路の句碑の錆つく夏わらび
杉落葉 /
杉落葉朽ち香本堂蝕めり 素抱
杉落葉惨と散り敷き自刃の地(飯盛山) 石鏡
杉落葉積みて旧道絶えだえに 素抱
南谷去年一昨年の杉落葉 石鏡
鬼婆の岩屋を打ちて杉落葉
杉落葉片づけ観世寺和尚さん
杉落葉惨と散り敷き自刃の地
南谷去年一昨年の杉落葉
杉落葉積みて旧道絶えだえに
杉落葉荒れし社を叩く雨
杉落葉朽ち香本堂蝕めり
(末尾は句集名)
松落葉 /樫落葉 /樟落葉 /樫若葉 /
椎落葉 /
椎落葉踏みて山越え早雲寺
椎落葉何處か恐し岬の森
椎落葉踏み鳴らし降る岬の丘
常磐木落葉 /
旧道は細々常磐木落葉みち 素抱
早雲寺常磐木落葉して墓域 石鏡
連歌師の墓を常磐木落葉摶ち 石鏡
石燈籠打ちて常磐木落葉かな
図書館は坂上常磐木落葉降る
ご本堂廃れ常磐木落葉の辺
(末尾は句集名)
樟若葉 /
この森の貴公子楠の若葉せり 宿好
金色に水神宿る楠若葉 石鏡
献燈は丸亀汽船樟若葉 寒暑
降る雨を白めて楠の花咲けり 宿好
照り合うて拝殿おほふ楠若葉 さざなみやつこ
楠の花咲いて薄暮を募らしむ 石鏡
楠の花水屋に水のあふれをり 石鏡
楠若葉むんむん御成小学校 (鎌倉) 随笑
楠若葉神馬のけぞるごとく揺れ さざなみやつこ
疾風のこづきまはせる楠若葉
瀬戸神社明けてもくもく楠若葉
楠若葉揺らぐ光のつつましげ
本宮の雨湿りして楠若葉
煽られて嘶くごとし楠若葉
靡きては馬のたてがみ樟若葉
のた摶って蛇体のみどり楠若葉
楠若葉揉みゐし風の吹き下ろし
懐をひりびろ開けて楠若葉
この森で一番高き楠若葉
もくもくとおのれを覆ふ楠若葉
楠若葉風が恋(こほ)しき頃となり
(末尾は句集名)
椎若葉 /
まてば椎若葉もりもり小公園 随笑
甲斐甲斐しく若葉日を撥ね馬刀葉椎 随笑
馬刀葉椎みどり溶け込む油壷(三浦半島小網代湾) 石鏡
巾着湾囲み斑(まだら)の椎若葉
もりもりと三浦三崎の椎若葉
枇杷の里つつむ廻りの椎若葉
浦々の上総端山の椎若葉
馬刀葉椎若葉鼻つく釣具店
椎若葉鳶吹き上げて岬鼻
椎若葉生白き雲沸かせをり
まてば椎若葉金粉振り撒けり
マテバ椎若葉こんもり例大祭
(末尾は句集名)
柿若葉 /
ガレージに新車てかてか柿若葉 石鏡
柿若葉いっぽん激し鄙の寺 随笑
柿若葉してお隣りの植栗家 暮津
柿若葉はっと蔵壁ありにけり 鳩信
墓のうへ痩せ古柿の柿若葉(直木三十五の墓) 暮津
柿若葉して銭湯は明るきうち
杉田湯の界隈すっかり柿若葉
柿若葉真白き雲が流れくる
笑ひ過ぎて腹痛きかな柿若葉
図書館は家より十分柿若葉
強すぎる薬嚥み来て柿若葉
柿若葉この道とるも久しぶり
新築の家の瓦と柿若葉
柿若葉皆富士に向く家のむき
住宅地柿若葉のみ鮮らしく
生欠伸柿若葉より貰ひけり
柿若葉いっぽん激し田舎寺
柿若葉富士がありあり見ゆる日よ
柿若葉良寛の書を蔵す寺
(末尾は句集名)
若葉 /
若葉風若葉雨とが入り乱れ 高澤良一 随笑
柿若葉してお隣りの植栗家 高澤良一 暮津
墓のうへ痩せ古柿の柿若葉(直木三十五の墓) 高澤良一 暮津
くろもじ若葉雨降ってよし晴れてよし 高澤良一 暮津
窓開けゐて吾も若葉の湿りもつ 高澤良一 暮津
蔦若葉吹く風クラブ10カラット 高澤良一 暮津
妻伴れて若葉曇りをウォーキング 高澤良一 暮津
境内のずん胴欅若葉して 高澤良一 石鏡
若葉して敏達(びだつ)七年噴火の山(鳥海山) 高澤良一 石鏡
一遍さん背を吹かれゆく若葉風 高澤良一 石鏡
遊園地若葉風切る複葉機 高澤良一 石鏡
連休の二日目若葉曇りかな 高澤良一 石鏡
若葉して青葉す杜に神在ます 高澤良一 石鏡
金色に水神宿る楠若葉 高澤良一 石鏡
ガレージに新車てかてか柿若葉 高澤良一 石鏡
柿若葉はっと蔵壁ありにけり 高澤良一 鳩信
若葉風温泉街に吹き込めり 高澤良一 素抱
立ち昇る湯けむりを巻き若葉風 高澤良一 素抱
湯けむりも櫟若葉ももくもくと 高澤良一 素抱
山の径ここまでとしぬ若葉寒 高澤良一 素抱
身の内の閂外れ若葉の湯 高澤良一 素抱
欅若葉して石畳冷え込めり 高澤良一 素抱
欅若葉そよ風絶えぬその高み 高澤良一 素抱
欅若葉して徘徊の杜深く 高澤良一 素抱
まるめろの若葉は雨に重くれて 高澤良一 素抱
蔦若葉磨き込まれし芸に似て 高澤良一 素抱
甲斐甲斐しく若葉日を撥ね馬刀葉椎 高澤良一 随笑
真鶴の魚付林の総若葉 高澤良一 随笑
連休の若葉曇りの初日かな 高澤良一 随笑
まてば椎若葉もりもり小公園 高澤良一 随笑
擂粉木の音のづるづる若葉冷え 高澤良一 随笑
宮鳩の若葉曇りのででっぽう 高澤良一 随笑
亀泛ける水面の若葉曇りかな 高澤良一 随笑
楠若葉むんむん御成小学校 高澤良一 随笑
柿若葉いっぽん激し鄙の寺 高澤良一 随笑
この森の貴公子楠の若葉せり 高澤良一 宿好
大方は雑木乍らも山若葉 高澤良一 寒暑
献燈は丸亀汽船樟若葉 高澤良一 寒暑
熊ノ湯に入るも一興若葉どき 高澤良一 燕音
栃若葉すいと雨滴を奔らする 高澤良一 ぱらりとせ
うねり出すぶだう若葉のみどりの炎 高澤良一 ぱらりとせ
碌山のタッチ若葉のやはらかさ 高澤良一 ぱらりとせ
照り合うて拝殿おほふ楠若葉 高澤良一 さざなみやつこ
若葉雨日照雨にかはる御神域 高澤良一 さざなみやつこ
からまつの間の一樹の夕若葉 高澤良一 さざなみやつこ
楠若葉神馬のけぞるごとく揺れ 高澤良一 さざなみやつこ
山若葉こんもり朴の木もあらむ 高澤良一 さざなみやつこ
若葉して欅は杜の明り取 高澤良一 ももすずめ
こんもりと煽り甲斐ある欅若葉 高澤良一 ももすずめ
若葉風立たす木の名をふうといふ 高澤良一 ももすずめ
(末尾は句集名)
新緑 /
アスパラガス長けて緑の棒畠 ももすずめ
サイクリスト緑蔭に汗拭へるも さざなみやつこ
ずばぬけて欅のみどりよかりけり さざなみやつこ
つまさきだち緑蕚梅を嗅ぐ男 ももすずめ
ぶんぶんは緑の鎧着し騎士(ナイト) 暮津
ルアー釣箱根のみどり映す水 石鏡
英名は緑の狐のしっぽ草(狗尾草英語にては) 燕音
願掛け杉辺りの緑に囲まれて 暮津
公園の緑陰街騒音縦横 鳩信
広辞苑割れば新緑殺到す 石鏡
鎖樋伝ひて緑雨たらたらと 素抱
次の旅物色しをり緑の日 素抱
宿一歩出て新緑に目を細む 素抱
書き損じくしゃくしゃにして紅緑忌 石鏡
新緑にメリハリつけて塔描かむ 暮津
新緑に慣れたところで山下る日 素抱
新緑の押し寄せてゐる一山村 素抱
新緑の此岸に村はかたまりて 素抱
人も又鳩の目をして緑陰に 鳩信
足伸ばす松も緑の大仏へ 宿好
大緑陰人・鳩・とかげ憩はしめ 鳩信
大緑陰雀らしきが遠く跳ね 素抱
天気もちにもって新緑寸又峡 ぱらりとせ
毒舌家齋藤緑雨の忌なりけり 石鏡
二輪草暗緑浄土広がれり 随笑
納骨の日どり決まれり万緑に 暮津
泊船の一つ緑に冬灯 素抱
八幡様の緑陰貰ひ屋台建つ 寒暑
鳩の発つ風の及べる緑陰は 素抱
磐梯を覆ふ萬緑ひやし酒 石鏡
病院は緑陰ナースは白き風 随笑
舞ふ落葉緑政局の管轄下 石鏡
万緑に磐を配す立石寺 素抱
万緑に抑へ込まるゝ一堂宇 ももすずめ
万緑の中の一川ルアー釣 石鏡
万緑の入口に佇つ肩の冷 暮津
緑さす鴻山妖怪財布かな 燕音
緑さす窓を雨滴の徒競走 素抱
緑さす富貴寺の面取り柱かな 寒暑
緑さす料理一品一品に 暮津
緑さす籐編み籠に籐の鳥 ぱらりとせ
緑蔭のベンチあそこが空いてをり さざなみやつこ
緑蔭を彼方の人も立つところ ももすずめ
緑陰に取り出して飲む烏龍茶 素抱
緑陰に重なり透ける葉のかたち 鳩信
緑陰に人馴れ貌の町雀 素抱
緑陰に入りて得るものあるごとし 素抱
緑陰に莫迦げて大き忠魂碑 随笑
緑陰に未練残して去る素振り 素抱
緑陰の雀とんとん走り根越ゆ 素抱
緑雨の忌コラムニストが取り上げて(齋藤緑雨) 石鏡
緑亀はびこる池の暑さかな 素抱
緑さす料理一品一品に
緑さす座敷精進おとしかな
新緑にメリハリつけて塔描かん
新緑の森の掃除屋徒鴉
広辞苑割れば新緑殺到す
新緑の椎経て家にとほる風
足取りも軽く新緑映る川
新緑に慣れたところで山降る日
新緑に弾みをつけて流る川
新緑どき言葉交はして村の婆
新緑の雨を集めて滾つ川
みどりの夜押して点字の昇降機
宿一歩出て新緑に目を細む
新緑の押し寄せてゐる一山村
新緑の此岸に村はかたまりて
緑さす窓を雨滴の徒競走
本陣の螺鈿衝立緑さす
緑さす籐編み籠に籐の鳥
新緑のもこもこ山の五月空
新緑に羽博ち強めぬ黒揚羽
緑さす鴻山妖怪財布かな
新緑や峨々たる磐にいろありて
越後湯沢駅裏四五本新緑樹
新緑の山となるまであと一息
新緑にまみれて来たと歩き好き
緑さす間口三間阿弥陀堂
緑さす富貴寺の面取り柱かな
新緑の山毛欅の森負ひ国上寺
新緑の間を昇れるしゃぼん玉
(末尾は句集名)
新樹 /
あかときの新樹の樹頭冷え居らむ さざなみやつこ
オムレツのやうな薄黄に新樹山 素抱
ニュートリノ達してをらむ新樹山 素抱
ニュートリノ天網を抜け新樹山 素抱
まのあたり朝日が当る新樹山 素抱
一行の瞬き仰ぐ新樹雨 素抱
街の鳥此処に憩へり楠新樹 随笑
骨壺と新樹の中を戻りけり 暮津
山径を降らるるままに新樹雨 素抱
写生して山の新樹のもくもく感 素抱
出湯出づ脛のすうすう新樹冷え 素抱
術痕の湯に透きとほり新樹影 素抱
新樹雨顔にぽつんとあとばらばら 素抱
新樹雨四辺を打ちてまたたく間 素抱
新樹高しいつまでもゐる鳥の向き 素抱
新樹山白雲移り易きかな 素抱
新樹山歩き廻りし足の筋 素抱
新樹山臨みてアイスミルクかな 素抱
新樹山連なるまゝを写生帖 素抱
新樹山玻璃一杯に納まれり 素抱
新樹風一息に尾根渡る見ゆ 素抱
新樹風湯ぼてりの頬撫でゆけり 素抱
新樹林木の性質(たち)のこと話しゆく さざなみやつこ
神輿庫新樹の気宇につつまれて ももすずめ
吹き起こる風に新樹が新樹押す 素抱
前山の新樹に吸はる昼の雨 素抱
大粒となりて新樹を襲ふあめ 素抱
鳥ごゑの語尾尻上り新樹山 素抱
釣人の魚籠のひょこひょこ新樹谿 素抱
湯疲れのそこはか溜る新樹雨 素抱
目の前の山の新樹の吹かれやう 素抱
揺れ合へり近くの新樹遠くの新樹 素抱
雷又雷尾根の新樹を震はせて 素抱
林間にさんざめく鳥新樹雨 素抱
揺れ合へり近くの新樹遠くの新樹
吹き起こる風に新樹が新樹押す
またぎ村新樹新樹に囲まれて
百葉箱打ちて新樹の雨しぶく
遊具の河馬新樹の雨に打たれづめ
火葬場に待たされてゐて新樹かな
新樹見て火葬の火力ふとおもふ
骨壺と新樹の中を戻りけり
新樹光飛び込んでくる閲覧室
写生して山の新樹のもくもく感
水彩の新樹は実物より淡く
新樹林降り出して雨見えぬなり
いざ旅に出でむ新樹の旺ん月
長生きはするもの外湯に新樹山
新樹に降る真昼間の雨淋漓たり
大粒となりて新樹を襲ふあめ
新樹雨四辺を打ちてまたたく間
新樹雨ホテルロビーの総ガラス
山峡の燕が約す新樹晴れ
新樹山玻璃一杯に納まれり
新樹山連なるを容れ写生帖
老人のスケッチ風の新樹山
湯疲れのそこはか溜る新樹雨
露天湯の額にぽつんと新樹雨
露天湯の投げかくる灯に夜の新樹
新樹雨いちにち峡に降り暮れて
起き出せば靄を褥に新樹山
俄雨新樹の彩を奪ひけり
一本の新樹かしこし老舗宿
赤松に新樹の栄ゆる露天風呂
雷又雷尾根の新樹を震はせて
見納めの奥鬼怒の嶺々新樹晴れ
新樹風一息に尾根渡る見ゆ
目の前の山の新樹の吹かれやう
オムレツのやうな薄黄に新樹山
湯けむりを翩翻と揚げ新樹荘
新樹高しいつまでもゐる鳥の向き
まのあたり朝日が当る新樹山
湯西川登るにつれて新樹もゆ
渓流釣新樹のかほり立つ谿に
新樹風湯ぼてりの頬撫でゆけり
新樹山歩き廻りし足の筋
林間に鳥声響く新樹荘
新樹晴れ山から降りて次の宿
術痕の湯に透きとほり新樹影
新樹雨山の天気は計られず
鳥ごゑの語尾尻上り新樹山
日に透きて桂の円葉新樹荘
新樹雨顔にぽつんとあとばらばら
新樹山土産に山の霊水も
顔に来る虫払ひつゝ新樹山
手に受けてこんな筈では新樹雨
山径は日当りながら新樹雨
一行の瞬き仰ぐ新樹雨
新樹雨摶ちて山菜直売所
山中に逃げ場など無き新樹雨
山径を降らるるままに新樹雨
新樹の香たっぷり吸ひて梢の鳥
釣人の魚籠のひょこひょこ新樹谿
新樹晴れ朝日は宿の裏手より
出湯出づ脛のすうすう新樹冷え
宿木も新樹明りに包まれて
新樹山白雲移り易きかな
新樹山臨みてアイスミルクかな
新樹晴れホテルロビーの大玻璃戸
山峡に朴抽んづる新樹晴れ
栗山村霽れてほこほこ新樹かな
旅先の髯を剃らねば新樹冷え
遠山の新樹が見事大玻璃戸
新樹をば見倣ひすっくと杉菜かな
林間にさんざめく鳥新樹雨
湯ぼてりの手を置く手摺り新樹冷え
新樹山まのあたりにし朴探す
前山の新樹に吸はる昼の雨
湯に浸り頬の辺りの新樹冷え
ニュートリノ天網を抜け新樹山
新樹山落人此処を目指し来し
ニュートリノ達してをらむ新樹山
仕立船沖へと向ふ新樹光
新樹光神馬の胴に差し込めり
木雫を零し新樹のよき目覚め
新樹冷え吾と忠犬ハチ公に
街の鳥爰に憩へり楠新樹
コンビニまで歩いてみたき夜の新樹
(末尾は句集名)
若楓 /
若楓煽られしどろもどろかな さざなみやつこ
曹洞宗大本山の若楓
若楓緑の暗幕垂れゐたり
吹き寄せる風を払へり若楓
若楓扇面撓め吹く風ぞ
若楓大寺にいま灯の入る
目つぶしの若楓には苔応ふ
若楓虚子一門の集う寺
若楓洩れくる日差し五合庵
(末尾は句集名)
忍冬の花 /
朋の数またまた缺けて忍冬(すいかづら) 暮津
忍冬の花首もげて雨ここだく 素抱
忍冬四十九日は目の前に
湯屋出でて漫ろ忍冬匂ふ道
通院の都度通る径忍冬
空模様茫洋として忍冬花
(末尾は句集名)
鉄線花 /
献身は人目につかず鉄線花 暮津
鉄線の剪り処ここらと鋏当て ももすずめ
お隣の誼の垣の鉄線花
鉄線の行灯作り晴れ間みて
少し手に余る花なり鉄線花
むずかしき花の一つよ鉄線花
いつまでも意地を張りづめ鉄線花
縁の無き花の一つよ鉄線花
花よりも蔓鉄線は古風が佳し
蔓花の蔓の弾力鉄線花
(末尾は句集名)
罌粟坊主 /
雛罌粟 /
煽られてポピーフレンチカンカンめく さざなみやつこ
雛罌粟の莟の考え深げなる 寒暑
雛罌粟のごとき欠伸を内房線 ぱらりとせ
後先を考えず咲く雛罌粟は 寒暑
欠航にて安房の雛罌粟摘がふい 石鏡
花作りホース引き込むポピー畑 寒暑
ポピー摘む海と山との間の畑 寒暑
バスツアー代の裡なるポピー摘む 寒暑
せっせっせ雛罌粟咲いてぱらりとせ ぱらりとせ
大荒れの風にポピーの首垂れて
種植えの昼のポピーを日の透ける
和田浦は涛を目の前ポピー畑
雛芥子の真昼うたたね夢ノ介 鳩信
姿勢よきポピーばかりが摘まれをり
蕾の裡想像してはポピー摘む
雛罌粟の花待つ莟殊勝なり
洋服の裁断のおと雛罌粟に
後先を考えず咲く雛罌粟は
めんどくささうに雛罌粟揺り揺られ
雛罌粟はまつはる風に首左右
五郎丸名乗る畑のポピー摘む
花摘みのポピー泳げる磯畑
他人の摘むポピーが吾よりよくみえて
ポピー摘む人ぽつぽつと鳶の下
妹と姉の摘み溜むポピーの彩
とつつきの花摘み畑のポピー摘む
ポピー摘む黄色いこゑが畑より
(末尾は句集名)
罌粟の花 /
罌粟の昼キュンと音して砂糖溶け
大荒れの風にポピーの首垂れて
種植えの昼のポピーを日の透ける
和田浦は涛を目の前ポピー畑
バスツアー代の裡なるポピー摘む 寒暑
花作りホース引き込むポピー畑 寒暑
ポピー摘む海と山との間の畑 寒暑
蘇る為の管吸ひ罌粟のゆめ 鳩信
姿勢よきポピーばかりが摘まれをり
蕾の裡想像してはポピー摘む
くすりとも笑はぬ罌粟の固莟
五郎丸名乗る畑のポピー摘む
花摘みのポピー泳げる磯畑
他人の摘むポピーが吾よりよくみえて
ポピー摘む人ぽつぽつと鳶の下
妹と姉の摘み溜むポピーの彩
とつつきの花摘み畑のポピー摘む
ポピー摘む黄色いこゑが畑より
(末尾は句集名)
マーガレット /
兎波マーガレットに駈け寄りぬ さざなみやつこ
(末尾は句集名)
姫女菀 /
造成地ビル建ち始む姫女苑
姫女苑さらりと風の吹く日なり
ひめじょおん作り過ぎない庭が佳し
延々と伸ぶ枕木とひめじよおん
ひめじよおん平家ここまで落ち延びし
ひめじよおん朝方一度降ったきり 素抱
用件を足し戻る道ひめじをん
姫女苑空地育ちの背恰好
(末尾は句集名)
車前草の花 /
雨脚のぴょんぴょん車前草伝ひなる ぱらりとせ
蝦夷大葉子青空に花穂さし入れて 燕音
降り立ちて蝦夷大葉子の飛行場 燕音
雑草のなかの雑草車前草咲く 鳩信
車前草に覆はれ竪穴住居の丘 寒暑
車前草に埋もれて道は在るには在る 素抱
車前草の新しき穂と古き穂と 鳩信
車前草の穂の擦り切れし岬の道 素抱
車前草の穂も逞しく夏送る 素抱
車前草を踏んずけて沼一巡り 素抱
車前草生ふ阜の墳土の固かりき 寒暑
車前草踏み遺跡ガイドのボランティア 寒暑
浜明くる砂地育ちの車前草に 素抱
偏見はすこぶるつよし車前草村 燕音
罅の入る舗装路裂け目車前草生ゆ 素抱
車前草の何ならむしってみろと云ふ
沛然と車前草を打ちあがる雨
車前草の穂の擦り切れし浜辺径
道央に車前草の生ふ道ゆけり
車前草の穂も逞しく夏送る
つくねんと車前草の道山下る
浜明くる砂地育ちの車前草に
車前草の広葉にしとど夏の露
蔵王嶺の車前草霧にしとど濡れ
したたかさ青に極まり車前草は
車前草の色づくことも岡城阯
逝く人は逝き車前草の伸び盛り
車前草の穂の長け出しぬ燈台みち
抜かれじと車前草の足踏ん張れる
車前草の穂の錆ぶ地獄谷こみち
車前草の一阜覆ふ墳どころ
車前草踏み吾ら縄文人の裔
縄文集落車前草の径丘づたひ
(末尾は句集名)
擬宝珠 /
擬宝珠に程よき日陰独り住む(義父) 暮津
擬宝珠の花にはじまるお題目 (妙本寺) 鳩信
擬宝珠の茎をするりと雨滴馳せ 宿好
吉野の日ぎぼしの上を通りけり ぱらりとせ
消息のその後ぷっつり花ぎぼし 暮津
擬宝珠に程よき日陰独り住む(義父)
萬(よろず)の葉青を深めて擬宝珠の季(とき)
森閑と擬宝珠青を深めけり
ぎぼうしの広葉より風起ち初めぬ
ぎぼうしの聖域犯し竹の葉散る
天帝の召すまゝ逝ける花ぎぼし
訃報来て質す消息花ぎぼし
葉を愉しみ花を愉しみ擬宝珠は
おおばぎぼうし浅き緑に雨予報
薫風に擬宝珠は葉を重ね合ひ
擬宝珠の葉の上ありく蟻その他
ぎぼうしのほの明りせる石畳
ぎぼうしの花くさぐさの碑に侍り
淡々と擬宝珠のやうな余生欲し
ぎぼうしに丹沢の空明るめり
擬宝珠にするりするりと白雨滴
ぎぼうし咲く縁切寺に三姉妹
(末尾は句集名)
羊蹄の花 /
ぎしぎしに西日弱りてゐたりけり
赤錆のぎしぎし始まる夏休み
ぎしぎしは手拭い絞りきりしさま
ぎしぎしももみずる景の一部分 素抱
ぎしぎしの昆布いろして五能線 寒暑
揚船の錆どきぎしぎし長ける浜 寒暑
ぎしぎしの錆びを蜻蛉の貰ひけり 随笑
ぎしぎしの枯れざま海は荒れ模様 随笑
からからのぎしぎし寂れスキー場
クロマグロの尾鰭ぎしぎし鳴るごとし
ぎしぎしの枯れて立ちんぼ流れ雲
みてくれのこれぎしぎしかすかんぽか
(末尾は句集名)
文字摺草 /
おもはゆき捩花の辺に汝と坐る 素抱
見染めたるときのときめき文字摺草 寒暑
文字摺草きりきりしやんと立ちにけり ぱらりとせ
文字摺草これからまみゆ阿弥陀さま 素抱
文字摺草つむじ曲りを受け継いで 随笑
文字摺草なれそめのごと藹々と 寒暑
文字摺草また生えて来て喜ばし 寒暑
文字摺草一つの他は皆消えて 寒暑
文字摺草団地の芝に交り咲く 素抱
目に触るゝことさへはづかし文字摺草 寒暑
捩花のういういしさがこみあげる 素抱
捩花のどれも動力尽きしさま ももすずめ
捩花の根がぶち切れて口惜しかり 素抱
捩花の妻得てあれから四十年 素抱
捩花の翩翻梅雨の中休み 随笑
捩花のその上をジェットコースター
栓抜のつもりの捩花なほ長けて
捩花のきりきり舞ひは見て愉し
捩花のコップに厨の窓明り
捩花に挙がる歓声遊園地
捩花の螺旋をなぞる妻の指
明るきこと捩花のやう汝のほとり
捩花の辺に恋人の如く坐し
捩花を打ち雨用意の傘を出す
気に入って其処退き難き文字摺草
木道のここに集まれ捩花ぞ
趣も楽想風に文字摺草
捩花の今を盛や五輪塔
目に触るゝことにも羞じて文字摺草
詩の友よ捩花のごと立脚せよ
文字摺草ここにもそこにも喜ばし
捩花の捻子くると巻きくると巻き
文字摺草紅潮の朝やって来ぬ
(末尾は句集名)
海芋 /
筒っぽの海芋は雨を蒐む花 ぱらりとせ
海芋覗く者とて不審がられゐる
(末尾は句集名)
踊子草 /
かたまっておやおや此処に踊子草
近過ぎて踊子草が能く詠めず
敦盛草 /
敦盛草母衣らしきもの抱え初め 素抱
庭園の目を引くところ敦盛草
(末尾は句集名)
都草 /げんのしようこ /
芍薬 /
一休の数ある頓知芍薬玉 素抱
玉縄の一寺手広く芍薬植え(大船 竜宝寺) 素抱
三箇所に芍薬植えて地味を知る(絵本作家ターシャ・テューダー) 暮津
衆望てふ芍薬の明諾へり 鳩信
聡明にルーズベルトといふ芍薬 鳩信
目立ちたがる芍薬赤芽雨催ひ ねずみのこまくら
芍薬の一念三千想ひ玉 素抱
芍薬の珠日に熱す根本寺 寒暑
芍薬の蕾弾けば固し固し 暮津
芍薬は毒婦の如く香をふふみ 鳩信
芍薬の寺の芍薬畑植え
芍薬の珠の秘めたるもの深甚
芍薬の莟日に焦げ赤銅いろ
芍薬の嫩葉を打ちて雨をちこち
芍薬の蕾弾けば固し固し
芍薬はうまく言へねど節度と粋
芍薬の青珠印を結びけり
剽軽な蕾み方して芍薬玉
芍薬の寺と聞き来し桐も植え
芍薬と牡丹只今牡丹のとき
芍薬の匂ひ詩嚢を刺激せり
芍薬の蕾むんずと曇る空
芍薬の蕾ひゅうひゅう揚がりけり
花咲けばさぞやと思ふ芍薬玉
芍薬の蕾期待を集めけり
冥界の明るさもって芍薬咲く
芍薬の蕾こつんと空叩く
曇天の下芍薬の葉の暗み
絶妙といふ芍薬の花間近
葉も薄ら光り幽香てふ芍薬
芍薬の茎のひょろひょろせる系も
芍薬の巧の色といふが咲き
芍薬の風下にさしかかりけり
赤銅いろ芍薬萌へて大善坊
日は淡く牡丹の親の芍薬に
接木用芍薬莟持ちにけり
芍薬の匂ひ詩嚢を刺激せり
芍薬の珠日に熱す根本寺
良寛の発心芍薬蕾む寺
芍薬の嫩葉日毎に目をそそる
(末尾は句集名)
浜豌豆 /
浜豌豆太っちょ豆を孕みそむ
豆飯 /
はんちくな齢を取るまじ豆の飯 鳩信
何するにも大勢は佳き豆の飯 鳩信
豆ごはんほっと安堵すその彩に 鳩信
豆飯の湯気の立つうちいただかん 寒暑
鬼貫のまこと懐し豆の飯
年金にて総てまかなふ豆の飯
(末尾は句集名)
豌豆 /
さやゑんどうの摘みどき海の乱反射 ねずみのこまくら
絹莢のさして頼りにならぬ蔓 さざなみやつこ
莢透いて海の日とほる豆の部屋 ぱらりとせ
豌豆の花ぬくぬくと砂地畑 ぱらりとせ
一人五粒あてがひぶちの空豆食ふ
つまむなら湯気立つうちの蚕豆を
蚕豆の痩せて一つはみそっかす
蚕豆の残る一つをまさぐりて
蚕豆や晩酌の肩冷えて来し
蚕豆は乳母日傘の莢を被て
蚕豆に酒のすすんで機嫌好し
そら豆に掛けし振塩何故溶ける
雨暗の厨に蚕豆茹でる湯気
蚕豆は乳母日がさで育てられ
半島のこの空豆を箸にせよ
小春日の畑の蚕豆親指大
蚕豆に麦酒おもへば風が吹く
拇指を以て蚕豆味へり 寒暑
掻き曇りそら豆の花盲ひたり 寒暑
俳諧のよしみの酒をそら豆に 随笑
蚕豆食ぶこれは番外みそっかす 宿好
そら豆の花の勝手な思ひ込み 燕音
そら豆をつまめば指の温みほど ぱらりとせ
そら豆の撓むかたちはダリ好み ぱらりとせ
突端に来てそら豆の花の道 ぱらりとせ
そら豆の怪童に遭ふ夢のなか ぱらりとせ
蚕豆の正東風に吹かれ勁き茎 さざなみやっこ
皺寄らぬやうに蚕豆茹でるコツ ももすずめ
そら豆の莢突き出せる島の道 ねずみのこまくら
初東風にそらまめの茎ぐらつけり ねずみのこまくら
賞与の日そら豆が出て湯も沸いて ねずみのこまくら
そら豆のもう咲いてゐる青入江 ねずみのこまくら
突端に来てそら豆の花の道
そら豆の莢から飛び出す祭月
そら豆の開花を絹莢促せり
ビヤガーデンそら豆色の空の下
間合取りそら豆植はる砂地畑
そら豆の葉に土埃二月尽
蚕豆の莢の辱に指当てて
大は小を兼る蚕豆ほおばれる
蚕豆をつまむ感触これも旬
蚕豆剥く中に混じれるみそっかす
空豆に晴れて定年うまき酒
空豆を剥きつゝ妻の生返事
恪勤の日々もうはるか空豆に
そら豆のぼやけまなこも朝の内
そら豆に祭ごころの酒すすむ
小鉢の蚕豆惜しみつつ食ぶ晩酌や
晩酌のきのふ蚕豆けふ地蛸
ほろ酔ひのこれが最後の蚕豆か
ピアノとは違ふ感触茹でそら豆
ほろ酔ひの小鉢の蚕豆つまむ指
蚕豆の居る部屋居ぬ部屋独り剥く
そら豆が青し六十路の指の先
そら豆は湯気の温さでありにけり
蚕豆に浮世離れの昼の酒
塩振りて茹で蚕豆を曇らする
蚕豆の箱入り息子絹ぶとん
そら豆の沖に瞠く因島
そら豆の花に篠騒ひねもすす
(末尾は句集名)
蚕豆 /
そら豆のもう咲いてゐる青入江 ねずみのこまくら
そら豆の花の勝手な思ひ込み 燕音
そら豆の怪童に遭ふ夢のなか ぱらりとせ
そら豆の撓むかたちはダリ好み ぱらりとせ
そら豆の莢突き出せる島の道 ねずみのこまくら
そら豆をつまめば指の温みほど ぱらりとせ
蚕豆の正東風に吹かれ勁き茎 さざなみやつこ
蚕豆食ぶこれは番外みそっかす 宿好
賞与の日そら豆が出て湯も沸いて ねずみのこまくら
掻き曇りそら豆の花盲ひたり 寒暑
突端に来てそら豆の花の道 ぱらりとせ
俳諧のよしみの酒をそら豆に 随笑
拇指を以て蚕豆味へり 寒暑
皺寄らぬやうに蚕豆茹でるコツ ももすずめ
豌豆の花ぬくぬくと砂地畑 ぱらりとせ
(末尾は句集名)
卯の花 /
いつ降ってもよささうな空花空木 素抱
卯の花腐し思案ああでもかうでもなし 暮津
気のせいか箱根空木に雨ぽつり 暮津
蕉門の三人(みたり)杖止む空木の辺 寒暑
谷空木登りの一歩一歩かな 寒暑
谷々に空木巡らせ田を植うる 寒暑
団体客箱根空木の紅を愛で 暮津
梅花卯木ほとほと雨の止まざるよ 暮津
良寛の戒語空木の花の数 (木村家 良寛戒語百ばかりありと聞けば) 寒暑
鬱金空木海霧を抜け出てひよこ色 燕音
梅花卯木木暗に模糊と目を開く
卯の花腐し東京の地下深きをゆく
気のせいか箱根空木に雨ぽつり
宿への道箱根空木の坂なりに
団体客箱根空木の紅を愛で
空木の香中途半端に目が覚めて
花卯木隔たるものは隔たりて
花卯木おのづと隔たる朋ありて
卯の花月明けきる迄の新聞読む
梅花卯木ほとほと雨は止まざるよ
卯の花月上げ下げ供養の水と飯
鮠すいすい空木の映る水底を
青あらし吹き余りしが空木揺り
紅卯木夕もやまとふ刈田岳
花空木土塀わらわら土零す
いつ降ってもよささうな空花空木
降り方も遠回しなる花空木
弥次さんの喜多さんのこゑ卯の花に
ウコン空木海霧を抜け出てひよこ色
乗鞍の雲の白さの谿空木
下北半島付け根の箱根空木かな
はてもなく空木の花を零すひる
降り癖がついて卯の花濁すあめ
燈台を見上げて登る空木みち
養鯉池空木散り込む水寂びて
独り気付いて空木雪崩るる上の虹
谷空木どっと零れて曲り路に
良寛の戒語空木の花の数
蕉門の三人(みたり)杖止む空木の辺
雲の浦津波避難所空木の上
山古志の空木隠りに養鯉池
谷々に空木巡らせ田を植うる
谷空木棚田棚田に細る雨
散る空木古りて磐いろ棚田道
夕暮が迫る卯の花豆腐いろ
(末尾は句集名)
茨の花 /
薔薇 /
薔薇せいぜい三つも咲けば佳き若木 暮津
植木市薔薇前にして施肥講釈 暮津
ローマピザ薔薇の芳香の紅茶淹れ 石鏡
冬薔薇妥協なき色不二の白 石鏡
薔薇の赤き棘も美観の一つにて 鳩信
黄の似合ふ薔薇の名札はオクラホマ 鳩信
薔薇真っ赤売り込み一切おことわり 素抱
晴れ間縫ひ薔薇に噴霧器鳴らしをり 素抱
知らぬ間にあらあら薔薇のうどん粉病 素抱
薔薇どきの噴霧器門に置き忘れ 素抱
相応の薔薇の門あり領事館 素抱
マタドールレッド激しくカフェの薔薇 素抱
薔薇咲いて起居いささか華やげり 素抱
鐙摺(あぶずり)のヨット馳すなり薔薇の窓 素抱
ほら見てよ薔薇が奇麗よあんた達 素抱
奇想曲薔薇にふさはしプッチーニ 素抱
雨のあと薔薇壊す風ありにけり 素抱
芳香茶(フレバーティ)薔薇の季節にまだ遠く 素抱
冬薔薇高尾太夫の気っぷもて 随笑
冬そうび虚空を統べて気韻さへ 随笑
垣の薔薇さんざん咲いてその名残り 随笑
色と云ひ隣家の薔薇に遜色なし 随笑
けふと踏む予感当りて薔薇崩る 宿好
一政の心頭の薔薇真くれなゐ 宿好
晩年を薔薇に腐心の老大家 宿好
グラビア版カレンダーあり薔薇と裸婦 宿好
一政の龍三郎の得手の薔薇 宿好
剪り取りてヨハネの首のごとき薔薇 宿好
鋏の音遠くよりして薔薇騒然 寒暑
散りざまの絵ごころ誘ふ薔薇四五片 寒暑
冬薔薇いよいよ年の空深く 燕音
テラスのさき露のジャパニーズ・ローズかな 燕音
立て続け降る雨薔薇を砕きけり さざなみやつこ
老人が出て来て朝の薔薇剪りぬ さざなみやつこ
ありきたりな色でありけり垣の薔薇 ももすずめ
(末尾は句集名。ジャパニーズ・ローズはハマナスの英名)
金雀枝 /
金雀枝の空へ眼の広がれり
アカシヤの花 /
偽アカシア黄葉降る日の麺麭焼けた
繍毬花 /
大でまり訪問の宗告げてをり
通り抜けできる裏路地大でまり
これといふ庭木無き家大でまり
大山蓮華 /
上品の大山蓮華咲きにけり ぱらりとせ
ひたひたと雨くる大山蓮華かな
(末尾は句集名)
白樺の花 /
白樺と白樺の間火山弾
白樺の白抽ん出て黄葉山
白樺の風幾通り空澄む牧
白樺の黄落納むファインダー
白樺の落葉掴むに千手欲し
白樺に白雲正しく空澄めり
白樺に対す露天湯落葉風
白樺に宿木秋も深む牧
霧の牧白樺の布置宜しかり
白樺黄葉燦と散りては近む牧
白樺を裹める霧の薄ヴェール
白樺のほとりをながれ水澄めり 素抱
秋麗ら眼にせる白樺一本目 素抱
霧退くと思へば寄せて白樺に 素抱
白樺の用途かってはスキー材 素抱
白樺をもみづる日光沢の風 寒暑
白樺の生(き)の色しかと雪中に 随笑
白樺の芽吹き朝日に呟くごと 燕音
白樺に残雪痩せて中頓別
白樺のいっぽん交じる雪景色 ぱらりとせ
白樺の一幹に倚る夏ゆふべ ももすずめ
白樺の緑陰てふはよかりけり
白樺の走り根も亦いと涼し
白樺の芽吹き促す風来たり
バンガロー叩ける雨と白樺と
白樺の森に響きてヒンカラカラ
白樺の朝涼髪膚に徹りけり
霧らふ沼白樺いっぽん立たしめて
霧生んで白樺映ゆる白樺湖
避暑宿の白樺目覚めよき朝
八幡平秋の白樺岳樺
(末尾は句集名)
山法師の花 /
山法師乙女峠は雲を負ひ
図書館へゆく道愉し山法師
坂にして海原臨む山法師
海見るにここが一番山法師
山法師きれいさっぱり散りにけり
街角のこんな所に山法師
街路樹として花掲ぐ山法師 素抱
曇天に古色蒼然山帽子
葉の上の花の揺れづめ山法師
山法師いま翔び立たん構えかな
葉の暗み花浮き立たせ山法師
山法師花にあまれる日差しかな
(末尾は句集名)
花水木 /
一新の街路アメリカハナミズキ ももすずめ
素性よき樹木といはむ花水木 鳩信
日向は愛敬土佐は朴訥花水木
ほれこんな芽の付き方は花水木
花水木横浜港を一望に
(末尾は句集名)
胡桃の花 /
この頃の信濃大好き花くるみ 燕音
花くるみつめたき雫こぼしけり さざなみやつこ
鬼くるみぼっつり芽吹く千曲川 燕音
花くるみ黙って山に入るべし
湧水をぐるりと廻す花くるみ
花胡桃もて囃さるゝ軽みの句
花くるみ夕日大きく傾きぬ
川に挿頭すものの一つに花くるみ
この候の信濃大好き花くるみ
山古志村胡桃の花踏み中学生
(末尾は句集名)
橡の花 /
花了り橡うっさうとして来たり 鳩信
林道のここは栃の葉絨毯道 素抱
蟻栃を黙々のぼり黙々下る 素抱
栃七葉山の天気に恵まれて 素抱
栃若葉すいと雨滴を奔らする ぱらりとせ
似たやうな山径つづく栃の花
教会の木椅子より見え橡の花
(末尾は句集名)
泰山木の花 /
あらがねの光放てり泰山木 石鏡
すべてこれ泰山木より落つ木の葉 随笑
雨あとの磴打ち泰山木病葉 ももすずめ
雨払ひ立てる泰山木雄々し 寒暑
蟻んこに泰山木の影さしぬ 寒暑
荒雫梅雨ならではの泰山木 随笑
照りつけて花の錆出す泰山木 暮津
蒸し暑き花掲げたり泰山木 ももすずめ
仁王立泰山木の花咲けり 鳩信
存分に泰山木の雫切る 随笑
泰山木ずりおちさうな花とどめ ももすずめ
泰山木花の始末をだうつける 石鏡
泰山木高みに咲いて月に逢ふ 随笑
泰山木高みに咲きて仏がほ 随笑
泰山木散る滅却といふ言葉 ねずみのこまくら
泰山木拝見磴の端借りて ももすずめ
泰山木落葉木片降る如く 鳩信
中空に素の香を流す泰山木 随笑
波羅羯諦(はらぎゃてい)泰山木の花咲けり ねずみのこまくら
門構へ泰山木に負けてをり ねずみのこまくら
葉の混み来てアンリルソーの泰山木 ぱらりとせ
泰山木花錆び初心失せゆくも
照りつけて花の錆出す泰山木
あらがねの光放てり泰山木
泰山木花の始末をだうつける
泰山木家並を一つ抽ん出て
潮の香の満つなか泰山木ひらく
泰山木花を掲げて材木座
夕空に泰山木の花錆びて
泰山木仰ぐ美空となりにけり
泰山木葉の勁かれと大雨あり
珠なせる一念三千泰山木
葉の混めるアンリルソーの泰山木
ずらし見る泰山木の花の位置
夏落葉泰山木を筆頭に
仁王立ち泰山木の花咲けり
高架駅泰山木の花覗く
泰山木大き図体梅雨湿り
一つ咲きこんなに低く泰山木
泰山木落葉いちまい先ず拾ふ
泰山木瞠く花に雨激し
泰山木落葉ばらばら雨至り
白南風に雨滴飛ばしぬ泰山木
泰山木落葉木片降る如く
泰山木葉裏葉表色違え
花は高みに雨はらはらと泰山木
梅雨と共に去りぬ泰山木の花
荒雫梅雨ならではの泰山木
存分に泰山木の雫切る
梅雨の床泰山木が目に見ゆる
泰山木葉の照り合ふて梅雨晴間
泰山木打ち始めたる雨の音
泰山木高みに咲いて月に逢ふ
泰山木己が葉を摶つ雨を聴き
泰山木見んと据えたる頸の骨
百段攀ぢ泰山木の眺めかな
中空に素の香を流す泰山木
泰山木高みに咲けり仏がほ
人知れず蕾み泰山木の珠
常の景展き泰山木の花
泰山木清浄と雨上るべし
すべてこれ泰山木より落つ木の葉
泰山木降らす木の葉を愉しまず
乱雑にその葉を落とす泰山木
泰山木の花の辺りで雨消えぬ
義理堅く咲いて泰山木の花
泰山木落花は錆びて幾日経し
スプーン状泰山木の新ら落花
泰山木落花雨溜む神の庭
泰山木の蕾打つなり雨追風
雨払ひ立てる泰山木雄々し
濡れ佇てる泰山木の景雄々し
荒梅雨の先づ幹を見る泰山木
蟻んこに泰山木の影さしぬ
花掲ぐとき泰山木たり得たり
(末尾は句集名)
朴の花 /
何だろと見上げて朴の残り花 石鏡
指し示すゆびにあつまる朴の花 さざなみやつこ
朝は朝の智が働いて朴の花 鳩信
目を戻し再び天の朴の花 さざなみやつこ
葉隠れの朴見んものと一歩横 寒暑
朝は朝の智が働いて朴の花
目に飛び込む佐渡山中の朴の花
(末尾は句集名)
桐の花 /
いつぽんの水道局の桐咲けり さざなみやつこ
もうひとつ桐の筒花拾ひけり ぱらりとせ
雲高山国上寺とや桐咲かせ 寒暑
雲冷えてひとりごころの桐咲けり さざなみやつこ
何時となく桐の咲きだし咲き了る 随笑
花桐に雲青年に志 ももすずめ
花桐のあなたの佐渡は暮れずともよし (このみやのもりのこしたにこどもらとあそぶはるひはくれずともよし 良寛) 寒暑
観音は空に存すや桐の花 (陽谷山 龍寶寺) 鳩信
桐の花ぽかんと眺めゐしが去る 素抱
桐の花やうやく空がおちつきぬ 鳩信
桐の花見てより会津西街道 素抱
桐の花寺の和尚はむらさき好き 素抱
桐の花先代の顔もう忘れ 素抱
桐の花通り雨たること希ふ 鳩信
桐の花程よき距離に立ちてみる 鳩信
桐の花入れて一景仕上げけり 鳩信
桐の咲く民宿で売る遊魚券 素抱
桐咲いて鰻の寝床のやうな町 寒暑
桐描くには水彩に如くはなし 鳩信
口笛に空鮮しや桐の花 ねずみのこまくら
咲く桐に一瀉千里の旅ごころ ももすずめ
職引いて一年経つか桐の花 随笑
桐の花桐の花見て佐渡の旅
桐咲いて巡りに巡る月日かな
貸し借りはお互い様や桐の花
鬱勃と来てあふぎゐる桐の花
一軒宿家人出払ひ桐の花
花桐の素っ気なき季了りけり
転がして暫し掌に置く桐の花
桐の花先代の顔もう忘れ
桐の花ぽかんと眺めゐしが去る
桐の花空のいろにも直ぐ倦みて
桐の花寺の和尚はむらさき好き
空模様何とかもちさう桐の花
桐の花通り雨たること希ふ
雨雲の彩を帯びたる桐の花
曇天より少し明るく桐の花
花桐を縦に切り取る一構図
桐の木のある寺今も桐咲けり
花桐の描き方先生批評せり
桐の花一人離れて描く人も
桐の花比率大事に景描け
桐の花程よき距離に立ちてみる
桐の花入れて一景仕上げけり
観音は空に存すや桐の花
職引いて一年経つか桐の花
根本寺紫さめし桐の花
佐渡方海と花桐紺紫紺
桐の花天に配すは違ひ棚
出雲崎桐の花摶ち夜陰の雨
出雲崎桐の花打つ雨にぶし
雲高山国上寺とや桐咲かせ
国上山桐の花どき日本海
桐咲いて鰻の寝床のやうな町
桐咲いて嘗て辺境雲の浦
出雲崎桐咲く頃の夜来のあめ
花桐のあなたの佐渡は暮れずともよし
桐の花棚田の田水透けるなり
(末尾は句集名)
棕櫚の花 /
まだ借手つかぬ空家の棕櫚咲けり ももすずめ
花棕櫚を仰ぎゆつたり坐りけり ももすずめ
航海を終へて棕櫚咲く家に居り ねずみのこまくら
本堂の畳ざはりや棕櫚の花 ももすずめ
棕櫚の花はらはら零れカステラも 鳩信
棕櫚の花一寸バナナを思ひ出し 石鏡
棕櫚の花雨に散(ばら)けて落ちにけり さざなみやつこ
棕櫚の花黄昏長う長うせり ももすずめ
棕櫚の花生々垂れて負け惜しみ 石鏡
棕櫚の花生々垂れて負け惜しみ
棕櫚の花一寸バナナを思ひ出し
棕櫚の花はらはら零れカステラも
行末は亭々たるべく棕櫚の花
午前から雲の垂れ込む棕櫚の花
(末尾は句集名)
野蒜の花 /
ぶっつりと切れて南無三のびる玉 さざなみやつこ
甘んじて小さき野蒜も引きにけり 石鏡
三月の空を忘れて野蒜摘 随笑
農道のほとりひょろりと野蒜の花 素抱
野蒜摘ちよいちよい摘み処変へにけり ももすずめ
蝌蚪探す野蒜摘みには飽きたと見え 寒暑
揚げものの蒜肴に八月尽
晩酌を了へしと蒜臭き息
手酌して夏夕雲の蒜いろ
体調を崩してだうする焼蒜
蒜の唐揚げ夏バテ予防策
蒜を油で揚げて寒の酒
揚げものの蒜に芯ありて寒
野蒜玉ピリと少々小粒でも
野蒜玉わが古里の地味なるか
野蒜摘野辺に散らばり鼓草
甘んじて小さき野蒜も引きにけり
くすりゆび奇麗な人や野蒜見て
農道のほとりひょろりと野蒜の花
ひねもすを空を忘れて野蒜摘
野蒜摘などして躰使はねば
野蒜摘切上げどきととんび啼く
野蒜摘次は何処と見渡せる
いい加減野蒜摘みには飽きたとこゑ
(末尾は句集名)
黒穂麦 / 利久梅 /
柾の花 /
ほんち捕る子に目つぶしの柾桓 (ほんちは喧嘩蜘蛛のこと) ねずみのこまくら
柾垣うどんこ病のなすがまゝ 随笑
柾垣毛虫に先を越されたる ぱらりとせ
銭湯の柾目涼しき下足札
発覚即処刑柾の垣毛虫
柾垣毛虫退治を思ひ起つ
日盛りの虚子庵囲む柾垣
柾植う根方どたどた足がため
柾垣うどんこ病のなすがまゝ
悉く柾の毛虫焼かるべき
毛虫つく頃の柾と見てとほる
柾にもう毛虫大変なことになる
(末尾は句集名)
◆季語「五月」
谷川の水飛沫して五月空 燕音
五月空飛びゆく雲の薄っぺら
金色にネグンド楓五月晴れ
白詰草五月の風を順送り
戸の開けたて五月蠅く家に蚊を入れず
鳥が先づ目覚めて四方の五月山
犬好きが集まって来て五月山
厨より話に加はる五月妻
鏡台も遺品の一つ五月光
鳥の餌台五月雀がけふも来て
こそつくは五月雀か北枕
青葉青臭しまさかの脳出血(五月十七日 義母 新城千代逝去)
黄緑の絵具溶きをり五月闇
クサガメをパステルで描く沼五月
大道芸背伸びしてみる五月晴れ
五月空中国雑伎足業芸
競馬あり大道芸あり野毛五月
曲がる術知らぬ五月の蝿なりけり
玻璃折々叩く五月蝿(さばえ)と家居して
迷ひ込む五月蝿の行方何處なる
その翅音虻と思へば五月蝿(さばえ)なり
家居して五月の蝿の入り初め
厨・居間五月蝿(さばえ)一匹追ひかけて
戻り妻五月蝿(さばえ)を入れて仕舞ひけり
風五月遊び来し子の砂落とす
風太郎ベンチにあふぐ五月空
朝々の楠を撓めて五月風
五月くる何より楠のもくもく感
枝空いて五月の風を通す庭
縄跳び唄切れぎれ五月の風に乗り
起床して掃除洗濯五月妻
五月空昨夜の嵐は何事ぞ
五月晴れもこもこの枝払はねば
赤鼻のピエロ一礼五月空
グラビヤの五月の暦ガレー船
耳掃除五月の妻の膝借りて
日替りの五月の雨とそよ吹く風
昼の献立考えをれば五月雨
川下り三艘連ね五月川
五月川挟み諸鳥啼き交はす
山中の栃の実生に五月風
保(も)つまいとおもふ空から五月雨 素抱
良寛堂五月雀の屯せり 寒暑
海上の鳶吹き落とす五月寒 寒暑
良寛の指文字真似て五月空 寒暑
愚図ついていつになったら五月晴れ 随笑
税関のブラス五月の空展け 随笑
泥煙むくむくあげて五月鯉 随笑
明けてゐる肩の辺りの五月冷え 鳩信
雑草(あらくさ)としての勢ひを五月山 ぱらりとせ
道灌の墓五月雨を聴くばかり さざなみやっこ
五月雨の降り込む椎と槇の間 さざなみやっこ
白帆消ゆ沖に五月の風余し ももすずめ
髪詰めて童顔もどる五月妻 ねずみのこまくら
先細る人参小屋に五月雨
信濃に入る磧いっぱい五月の陽
五月雨の風を交へし音に覚め
五月雨の音と聴きつゝまた寝入る
能六浦鼓打ち込む五月闇
楓の精五月闇より現るる
両頬に五月一日その日の風
だんご虫庭這ひ廻る五月来ぬ
新緑のもこもこ山の五月空
草の蔓木の蔓泳ぐ五月空
五月妻躰廻して浄め塩
桐の木の四四十六の五月空
磁石の針大きくふれる五月山
見晴らしを得むとのぼれる五月山
水活きて五月雨月の山毛欅林
雲助の五月闇抜け箱根越え
甕に振り甕を溢るゝ五月雨
五月雨の遠近(おちこち)を打つ寐入りばな
五月蠅しと手に振り当てる浮塵子かな
風五月吹かるゝものは皆浄し
出不精の五月の風にあやからふ
稿飛ばし机上へ吹き込む五月風
岬五月とんびに貌を掠められ
指圧して五月の妻の五十肩
風はもう草木靡かす五月前
仮装行列五月の風にジャズのせて
マーチバンドラッパ突き出す五月空
龍舞のいま駈けのぼる五月空
龍舞の黄龍放てる五月光
バトンガールバトン抛れる五月空
岬巡り車窓より入る五月風
五月光普し砌の玉石に
船室に胡座かき見る五月場所
書に歌に良寛忍ぶ五月山
良寛の指文字真似て五月空
海上の鳶吹き落とす五月寒
かなぶんの五月蠅かる日もかくて暮る
狛犬の杜塗りつぶし五月闇
本抱え書店を出づる五月晴れ
診察を了へ東京の五月空
五月光ブロンズ像の背に肩に
五月晴れ大道芸に人出たり
ぼうたんに訪へる人五月蠅かり
五月馬朝の浜辺に足馴らし
(末尾は句集名)
以上
by 575fudemakase
| 2021-02-22 02:44
| 自作

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
カテゴリ
全体無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
j
未分類
以前の記事
2026年 04月2026年 01月
2025年 12月
more...
フォロー中のブログ
ふらんす堂編集日記 By...魚屋三代目日記
My style
メモ帳
▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
検索
タグ
お最新の記事
| 最近の嘱目句あれこれ47 2.. |
| at 2026-04-12 04:06 |
| 季語別鈴木しげを句集を読んで.. |
| at 2026-04-10 13:21 |
| 俳句年鑑2026年版を読んで.. |
| at 2026-01-17 22:31 |
| 最近の嘱目句あれこれ46 2.. |
| at 2026-01-03 05:49 |
| 最近の嘱目句あれこれ45 2.. |
| at 2025-12-16 16:16 |
| 最近の嘱目句あれこれ44 2.. |
| at 2025-11-17 10:38 |
| 辻桃子句集 水蜜抄を読んで .. |
| at 2025-11-06 07:28 |
| 角川 俳句賞(2025年)を.. |
| at 2025-10-26 07:29 |
| 最近の嘱目句あれこれ43 2.. |
| at 2025-10-24 01:30 |
| 最近の嘱目句あれこれ43 2.. |
| at 2025-10-24 01:11 |
| 樹令 |
| at 2025-10-24 00:17 |
| 最近の嘱目句あれこれ42 2.. |
| at 2025-10-04 11:56 |
| 最近の嘱目句あれこれ41 2.. |
| at 2025-10-02 06:12 |
| 最近の嘱目句あれこれ40 .. |
| at 2025-09-15 00:50 |
| 最近の嘱目句あれこれ39 .. |
| at 2025-09-08 08:51 |
| 最近の嘱目句あれこれ37 2.. |
| at 2025-09-04 19:58 |
| 最近の嘱目句あれこれ38 2.. |
| at 2025-09-04 19:52 |
| 最近の嘱目句あれこれ36 2.. |
| at 2025-08-28 03:10 |
| 最近の嘱目句あれこれ35 2.. |
| at 2025-08-19 21:35 |
| 最近の嘱目句あれこれ34 2.. |
| at 2025-08-17 20:50 |
