拙句 枯蔓

拙句　枯蔓　

がむしやらな姿とどめて枯蔓は 　　 さざなみやつこ

こと切れしごとく枯蔓宙吊りに 　　 鳩信

ざうざうと山の枯蔓滝なせり 　　 宿好

ターザンが目をつけさうな枯蔓も 　　 鳩信

烏瓜の枯蔓引いて手に揉めり 　　 燕音

垣ぐるみ払ふ枯蔓群がるを 　　 寒暑

枯蔦が這ひ吸盤に類すもの 　　 素抱

枯蔦のぐるり取り巻く御用邸 　　 素抱

枯蔦の系図を横に拡げけり 　　 素抱

枯蔦の込み入る意図を詮索す 　　 素抱

枯蔦や石塀の角廻り込み 　　 素抱

枯蔓に巻かれ混迷深める木 　　 燕音

枯蔓のあれば引っ張り寄せて見ぬ 　　 鳩信

枯蔓のずるずる引けて土埃（朝比奈峠越） 　　 鳩信

枯蔓のやみくもをまのあたりかな 　　 鳩信

枯蔓の横暴極まりなき立木 　　 燕音

枯蔓の幹に食い込む馬鹿力 　　 燕音

枯蔓の嘗ての一途なべて見ゆ 　　 鳩信

枯蔓の末路を晒す川っぷち 　　 燕音

枯蔓の乱脈透きて日の差せり 　　 ぱらりとせ

枯蔓の零し損ねし実の二三 　　 ぱらりとせ

枯蔓もて自然薯くくり届けられ

鉄柵攀ず枯蔓仮バスターミナル 

蔓枯れて落石防止止めの網 

枯蔓に鉄橋わたる車輌音 

枯蔓の藪ざうざうと日陰山 

枯蔓に小さき落木宙ぶらりん

枯蔓へ枯木へ山の湯の煙 

枯蔓は声無き声を断末魔 

絹莢の蔓枯れ笹の音聞きて 

奥石廊雨の降り込む枯蔓谷 

枯蔓の吹かれて鳴れる一雑木 

枯蔓にいちにち相模灘の照り 

霜降りて枯木枯蔓枯るる山

枯蔓の幹に食い込む莫迦力 

枯蔓の根の断ち切られ断末魔 

枯蔓の幾筋混迷深めけり

枯蔓に谷川の音韻きけり

枯蔓の一条はしる穴太築き 

ざうざうと何の枯蔓滝なせり 

枯蔓の薦(こも)引っ被り一立木 

枯蔓の端にぽっちり烏瓜 

優(やさ)雑木葛の枯蔓引っ被り

枯蔓に六浦の海展けけり 

枯蔓の吹かるゝ方へ老子ゆく

霜降りて枯木枯蔓枯るる山 

枯蔓の根の断ち切られ断末魔 

枯蔓の末路を晒す川っぷち 

枯蔓の幾筋混迷深めけり 

枯蔓に谷川の音韻きけり 

群がりて大燈國師めく枯蔓 

枯蔓の化け物めくが這ひつくばり 

(末尾は句集名)