拙句 帰り花 返り花

拙句　帰り花　返り花

おいそれと返事も出来ず帰り花 　　 宿好

ごたごたがやつと片付き帰り花 　　 ぱらりとせ

ため息を一つつくごと帰り花 　　 鳩信

ちょっとしたことでいさかひ返り花 　　 鳩信

ひっそり過ぐ白きつつじの返り花 　　 石鏡

わだかまりとある日解けて返り花 　　 宿好

言づてをとんと忘れて帰り花 　　 燕音

古稀祝ふことなく過ぎし返り花 　　 石鏡

散歩道こんどは何の返り花 　　 石鏡

思ひ当る名案に似て返り花 　　 石鏡

水の上に返り咲くもの日曜日 　　 石鏡

水面を押しくる風や返り花 　　 さざなみやつこ、

疎遠また致し方なし帰り花 　　 石鏡

二度咲きの一つこっきり小米花 　　 ぱらりとせ

返り花定年以後の曜日呆け 

返り花旅立つ神の餞(はなむけ)に 

振り向いて何處に失せたる帰り花 

魂胆を見透かすごとく返り花 

なほざりの鉢のさつきの返り花 

枝先の空を展げて返り花 

帰り花二三歩戻り確かめぬ

海棠の月より淡く返り花 

確かめに二三歩戻る返り花 

帰り花後生大事といふ一語 

帰り咲く花請け合うて雪柳 

ちょっとしたことでいさかい返り花

街中の公園に来て帰り花 

返り花点り居りしがいつか消え 

庭園のいつもの順路返り花 

勘違ひして仏滅の返り花 

安国論寺白きつつじの狂ひ花 

(末尾は句集名)