◾️今日の秋 秋立つ 秋来る 秋に入る 今朝の秋◾️
◾️今日の秋 秋立つ 秋来る 秋に入る 今朝の秋◾️
◆今日の秋
今日の秋をあら何ともなの蝉の鳴きやうや 正岡子規 立秋
バスクより来たる神父や今日の秋 水野真由美
越後路は百里にかなし今日の秋 支考
記憶にも今日の秋空桐立たむ 細見綾子
桐の葉のさかひや見せて今日の秋 りん女
吾が町の山の容や今日の秋 金子うた
今日の秋をあら何ともなの蝉の鳴きやうや 正岡子規 立秋
暑さにも風にもよらずけふの秋 立花北枝
目薬の一滴が外れ今日の秋 佐藤美恵子
◆秋立つ
“たる源”の桶のかろきに秋立てり 久保田万太郎 流寓抄以後
あけくれの背に子をくくり秋立ちぬ 中山純子 沙羅
あさましく秋立つ卓の薔薇かな 会津八一
うたた寝に触る太柱秋立てり 角川源義
かはたれの人影に秋立ちにけり 角川源義
きのふ秋立ちし簾の影を置く 後藤夜半 底紅
くれてゆくものに風そひ秋立ちぬ 長谷川双魚 『ひとつとや』
こちむける絲瓜のかほも秋立ちぬ 中尾白雨 中尾白雨句集
すゞかけに秋立つ皇子の輦かな 飯田蛇笏 霊芝
せんだんの実に秋立や老の肌 露川
そばがらを足せし枕に秋立ちぬ 佐久間慧子
そよりともせいで秋たつ事かいの 鬼 貫
そよりともせいで秋立つ事かいの 鬼貫
つれなしや秋立ころのあぶら旱 加舎白雄
つれなしや秋立頃のあぶら旱 加舎白雄
ナース等の背筋ますぐに秋立ちぬ 林翔
にはくさも秋立つ風をふゝむかな 五十崎古郷句集
はるかなるものの靡きて秋立ちぬ 岸田稚魚
ひや~と手に秋立や釣瓶縄 也有
ひよんの笛はやばやと秋立ちしかな 百合山羽公 樂土以後
ぶりきの蝉へこへこと秋立ちにけり 高橋睦郎 稽古飲食
みちのくの山をおもへば秋立ちぬ 今井杏太郎
みよしのはいかに秋立貝の音 破笠
ヤブニッケイ一樹自尊の秋立てり 高澤良一 鳩信
ややかたき茄子や秋立つ能登の市 加藤秋邨
よびかけてくる八ケ岳秋立つよ 及川貞 夕焼
わが詩心花鳥にもどり秋立ちぬ 亀井糸游
雨ふるやことに秋立つ日なりけり 斗拙
浦上忌秋立つ聲も微かにて 下村ひろし 西陲集
雲すでに冷やかの秋立ちにけり 上田五千石『風景』補遺
燕も蝉もたしかに秋立ちぬ 塩谷鵜平
家猫に秋立つ障子つくろはず 石橋秀野
火を熾す妻の背にきて秋立つか 森澄雄
臥す足の重し熱しと秋立ちぬ 久保田晴朗
海風に秋立つ島の大鳥居 太田常子
街の子の花売の真似秋立てり 富田木歩
観音に秋立つ朝の水一杯 小澤實 砧
起出れば秋立つ山の八方に 松本たかし
亀の首水面をゆき秋立ちぬ 柿本多映
蟻の穴沸々として秋立てる 百合山羽公 故園
丘に佇てば秋立つ雲の流れけり 皆川白陀
宮の嗅(かざ)秋立森のかげろふや 上島鬼貫
急ぐ雲急がぬ雲に秋立てり(箱根二句) 細見綾子
牛の背に今朝秋たつや草の花 中川乙由
鏡屋の鏡に今朝の秋立ちぬ 尾崎放哉 大学時代
金魚藻と老虚子と秋立ちにけり 小川軽舟
糊硬き敷布をふんで秋立つ夜 中山純子 沙羅
江の島や秋立つ松葉ちくちくす 辻桃子
香草の雨呼ぶとなく秋立ちぬ 片山悌
佐渡見えて能登の岬に秋立ちぬ 清原松園
嵯峨豆腐掬ふ水より秋立てり 石田 厚子
砂濱や波さらさらと秋立ちぬ 正岡子規 立秋
彩廊の左右に秋立つ蓮かな 桂樟蹊子
採り来る蘭花一茎秋立ちぬ 四明句集 中川四明
山国に来て二日目に秋立ちし(丹波四句) 細見綾子
山坂に馬の足掻きの秋立つ日 千代田葛彦 旅人木
山鳩のねむれか覚めよか秋立ちぬ 森澄雄
子づれ鶴ばかりや沼の秋立てり 石井とし夫
指先の影に秋立つ弥勒仏 中村房子
時差という時を喪い秋立ちぬ 対馬康子 愛国
鹿よりや秋立山の牛のこゑ 露川
鹿皮のなめらかに秋立てりけり 神尾久美子 桐の木
射干や秋立風のかんな屑 露川
樹々の隙白き空より秋立てり 阿部みどり女
秋たつときけばきかるる山の音 飯田蛇笏 椿花集
秋たつやいなの笹原うつり来る 松岡青蘿
秋たつやきのふのむかし有の儘 千代尼
秋たつやけふより不二は庵の物 正岡子規 立秋
秋たつやさらに更行く小田の泡 黒柳召波 春泥句集
秋たつやはじかみ漬もすみきつて 来山
秋たつやはじめて葛のあちら向 千代尼
秋たつや雨晴れて出る月の冴 正岡子規 立秋
秋たつや雨晴れに出る月の冴 正岡子規 立秋
秋たつや何におどろく陰陽師 蕪村 秋之部
秋たつや起出るかたにあらし山 松岡青蘿
秋たつや小石を掃ふ竹箒 東皐
秋たつや人さめわたる艸の庵 松岡青蘿
秋たつや水をへだてて松のかげ 椎本才麿
秋たつや川瀬にまじる風の音 飯田蛇笏(1885-1962)
秋たつや朝横日して瓜の花 松瀬青々
秋たつや風のなき日を海の音 正岡子規 立秋
秋たつや霄の蚊遣の露じめり 高井几董
秋たつや鶉の聲の一二寸 正岡子規 立秋
秋立ちしことより話ひらけつつ 成瀬正とし 星月夜
秋立ちしこと病人の力得し 松尾緑富
秋立ちしその夜の友の佳句一つ 日野草城
秋立ちし日のピアノ音佳き隣人 伊丹三樹彦
秋立ちて間なき*いとどとわが知るのみ 瀧春一 菜園
秋立ちて今年も人に別れけり 会津八一
秋立ちて三日の没日とどこほる 上田五千石『風景』補遺
秋立ちて二日のこゑの牛蛙 百合山羽公 樂土
秋立ちぬしらたまのベルきよらかに 日野草城
秋立ちぬ一本立の馬刀葉椎 森澄雄
秋立ちぬ砂丘に手突き指埋まり 林翔 和紙
秋立ちぬ細幹に立つ楢林 大野林火 雪華 昭和三十八年
秋立ちぬ酒の肴の薑(はじかみ)も 森澄雄
秋立ちぬ翠巒の翠今朝殊に 日野草城
秋立ちぬ土の佛に灯せん 会津八一
秋立ちぬ訪ひに母ちからづけ 荒井正隆
秋立ちぬ夕日あたる木あたらぬ木 中村苑子
秋立つかやゝ撫子のしどろなる 正岡子規 立秋
秋立つか雲の音聞け山の上 露月句集 石井露月
秋立つて源義羅漢もおはしけり 鴻司 (富山の呉羽山の五百羅漢)
秋立つといへど六尺褌が丸かじりする長十郎梨 和田大象
秋立つといへばや潜む詩の心 小杉余子 余子句選
秋立つとさやかに人の目ざめけり 正岡子規 立秋
秋立つとしきりに栗鼠のわたりけり 久保田万太郎 草の丈
秋立つとそよや嵐が吹いて來る 正岡子規 立秋
秋立つとちひさき鳥のながさるる 中田剛 珠樹
秋立つとのうぜんかつら垂るゝかな 久保田万太郎 草の丈
秋立つとひとり上野の森に對す 正岡子規 立秋
秋立つとほのかに化粧ひ夜明富士 伊東宏晃
秋立つと引き上げてある鯉生簀 波多野爽波 『湯呑』
秋立つと何を雀の早合點 正岡子規 立秋
秋立つと夏ぎらひの人申しけり 正岡子規 立秋
秋立つと河童の墓を尋ねけり 原田喬
秋立つと丸々肥えしモモスズメ 高澤良一 ももすずめ
秋立つと咲く雑草園女郎花 山口青邨
秋立つと傘の雫を海へ振る 中拓夫
秋立つと視線はるかな兵馬俑 矢野緑詩
秋立つと耳に鈴振る海の店 中拓夫
秋立つと耳掻いてゐておぼえけり 清水基吉 寒蕭々
秋立つと自愛ごころの絹肌着 都筑智子
秋立つと芝歩み出す芝刈機 石田あき子 見舞籠
秋立つと守護する渓の水の彩 飯田蛇笏 椿花集
秋立つと酒田の雨を聴くばかり 黒田杏子 一木一草
秋立つと出て見る門やうすら闇 村上鬼城
秋立つと心の窓に点りし灯 後藤比奈夫
秋立つと人の申しぬ笹の音 正岡子規 立秋
秋立つと水に浮ばす茄子・胡瓜 西村公鳳
秋立つと青き畳を拭きにけり 山田弘子
秋立つと蝉吟澄めり駿河台 水原秋櫻子 蘆雁
秋立つと知らずや人の水鏡 正岡子規 立秋
秋立つと乳のかごとを聴く夜かな 日野草城
秋立つと膝で抑へて竹細工 長谷川双魚 『ひとつとや』
秋立つと仏こひしき深大寺 石橋秀野
秋立つと聞く夜寝もせす水の音 尾崎紅葉
秋立つと朴の葉裏を返す風(箱根二句) 細見綾子
秋立つと目に白樺の白さかな 石井露月
秋立つと梛を掠めし雀かな 高澤良一 寒暑
秋立つやいなの笹原うつり来る 青蘿
秋立つやおどろかれぬるわが齢 山田みづえ
秋立つやきのふの昔し有のまゝ 千代尼
秋立つやこつこつと越す跨線橋 大野林火(1904-84)
秋立つやことし故人に林之助 燕雀 星野麥丘人
秋立つやてぬぐひかけの手拭に 久保田万太郎 草の丈
秋立つやどちらを見ても人の國 正岡子規 立秋
秋立つやはじかみ漬もすみきつて 来山
秋立つやヘリコプターの胴透きて 岩田昌寿 地の塩
秋立つやポケツトに一つ穴のあり 森玲子
秋立つやほろりと落ちし蝉の殻 正岡子規 立秋
秋立つやまだきの窓の隙明り 寺田寅彦
秋立つやみ佛の髪の捲きちぢれ 横光利一
秋立つやもんもんシティーの風水師 夏石番矢 楽浪
秋立つや一巻の書の読み残し 夏目漱石 大正五年
秋立つや一片耿々の志 日野草城
秋立つや瓜も茄子も老の數 正岡子規 立秋
秋立つや雲はながれて風見ゆる 樗良
秋立つや屋久杉の箸かるがると 芝 哲雄
秋立つや何におどろく陰陽師 蕪村
秋立つや花水橋のふみごゝろ 幸田露伴
秋立つや皆在ることに泪して 永田耕衣 冷位
秋立つや観念の墨磨つてをり 桂信子 草影
秋立つや鑑真和上と雨蛙 角川春樹 夢殿
秋立つや黍ばかりなる山畑 清崎敏郎
秋立つや橋の袂で犬自慢 大塚蓉子
秋立つや櫛に素直な今朝の髪 山田弘子
秋立つや軽るく下痢病む朝心 楠目橙黄子 橙圃
秋立つや荒降りのあとのしじまより 佐々木真砂夫
秋立つや今日も今日とて弁当もち 星野立子
秋立つや砂をどりゐる水の底 瀧澤和治
秋立つや山にいみじき二段雲 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
秋立つや山陰ふかき伊賀の畠 大橋櫻坡子 雨月
秋立つや師の水茎を御魂代 林翔
秋立つや思はぬ山の確と在る 玄
秋立つや紫さめし筑波山 会津八一
秋立つや歯の浮きとまる朝なさな 室生犀星 犀星発句集
秋立つや若狭鰈を売りに来し(丹波四句) 細見綾子
秋立つや出羽商人のもやひ船 正岡子規 立秋
秋立つや書きかけの書のそのままに 田中冬二 若葉雨
秋立つや鐘をつかんとのけぞれる 桂信子 草樹
秋立つや常の如くの仏飯に 尾崎迷堂 孤輪
秋立つや畳に分つ旅の米 齋藤玄 『玄』
秋立つや拭へばくもる塗の盆 上田五千石『天路』補遺
秋立つや寝顔愛しき夜の妻 石塚友二 光塵
秋立つや身はならはしの余所の窓 一茶
秋立つや身辺雑事常ながら 谷川虚泉
秋立つや図書館にある遠眼鏡 嶋田麻紀
秋立つや厨の窓の高浪に 吉武月二郎句集
秋立つや青柿ぬるる窓のさき 吉武月二郎句集
秋立つや昔に近き須磨の浦 正岡子規 立秋
秋立つや千早古る世の杉ありて 夏目漱石 明治二十九年
秋立つや川瀬にまじる風の音 飯田蛇笏
秋立つや全山墓におおわれて 対馬康子 純情
秋立つや素湯香しき施薬院 蕪村
秋立つや草を刈りゐる草の中 村山故郷
秋立つや村正に照る水の色 幸田露伴 谷中集
秋立つや鷹のとや毛のさしのこり 浪化
秋立つや達磨の尻のくさりより 正岡子規 立秋
秋立つや地を這ふ水に光りあり 内田百間
秋立つや汀の草に鎌をとぐ 寺田寅彦
秋立つや店にころびし土人形 高桑闌更 (らんこう)(1726-1798)
秋立つや当麻の人の縞着物 大峯あきら 鳥道
秋立つや豆腐のほしき齢なる 桂信子「草影」以後
秋立つや日にただよひつ鷺消えぬ 角川源義
秋立つや納涼の舟も月見ふね 正岡子規 立秋
秋立つや納涼月見と化る舟 正岡子規 立秋
秋立つや波は波へと戻りゆく 齋藤玄 『雁道』
秋立つや破船の白きほのめきに 金箱戈止夫
秋立つや馬売りに来る能登の人 寺野守水老
秋立つや萩のうねりのやゝ長く 荒木荒井蛙
秋立つや抜きつ抜かれつ浜千鳥 佐野青陽人 天の川
秋立つや秘蔵のるりの音を絶えて 中勘助
秋立つや浜の一燈澄む夜なり 青峰集 島田青峰
秋立つや富山へ帰る薬売 寺田寅彦
秋立つや風は残書を翻へし 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
秋立つや木隠れ沢に日のこもり 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
秋立つや緑新たに金魚の藻 林原耒井 蜩
秋立つや隣にはまだ赤き花 正岡子規 立秋
秋立つや隣の絲瓜庵の萩 正岡子規 立秋
秋立つや恙の胸を少しひらく 岸田稚魚 紅葉山
秋立つや芒穂に出る蛇たまり 正岡子規 立秋
秋立つや藪からし呑む南瓜蔓 百合山羽公 樂土
秋立つや蜩の鳴く朝の山 松下紫人
秋立つをしやぼてん独り知らざりき 相島虚吼
秋立つ日烏に魚を取られけり 正岡子規 立秋
秋立つ風 魚板の残り巣藁にも 伊丹三樹彦
秋立てちらりとしたり念仏水 非群
秋立てばそれに従ふ天地かな 星野立子
秋立てば反魂草が山に咲く 山口青邨
秋立てば淋し立たねばあつくるし 正岡子規
秋立てば淋し立ねばあつくるし 正岡子規 立秋
秋立てりけり鉛筆を削ぎそろへ 上田五千石『風景』補遺
秋立てり山畑の葱一畝も 小澤實
秋立てり日の色どこかちがふかも(中村草田男さん長逝二句) 細見綾子
秋立てる雲の穴目の藍に描く 臼田亞浪 定本亜浪句集
秋立てる港の音の中にゐる 岡本眸
秋立てる利根べりの景吹かれをり 柴田白葉女 花寂び 以後
秋立て干瓜辛き雨気かな 及肩
秋立て柱の蓑の嵐哉 加舎白雄
秋立といふばかりでも足かろし 一茶 ■文政八年乙酉(六十三歳)
秋立といへばや今朝は瓜の老 浪化
秋立と戸に釘打てしる日かな 完来
秋立やおこりの落たやうな空 一茶
秋立やきせるの煙連子もる 東皐
秋立やきのふのむかし有のまま 千代尼 選集古今句集
秋立やきのふの花の青ふくべ 吾仲
秋立やしばし枕に鮒子息 釣壺
秋立やひやりと窓にさす朝日 井月の句集 井上井月
秋立やまとまりかねて少しづゝ 田川鳳朗
秋立や雨ふり花のけろ~と 一茶 ■文化五年戊辰(四十六歳)
秋立や音なし河の夜のしらみ 魯九
秋立や花の初音のわすれ草 上島鬼貫
秋立や堪忍のなる庵の水 成田蒼虬
秋立や身はならはしのよ所〔の〕窓 一茶 ■文化元年甲子(四十二歳)
秋立や素湯香しき施藥院 蕪村 秋之部
秋立や竹の中にも蝉の声 素覧
秋立や店にころびし土人形 高桑闌更
秋立や富士をうしろに旅帰り 鬼 貫
秋立や富士を後ろに旅帰り 鬼貫
秋立や風はとし寄ことし竹 中川乙由
秋立や風幾たびも聞き直し 千代尼
秋立や風幾たびも聞直し 千代尼
秋立や鳴子付ゆく担桶の棒 露川
秋立や木づたふ雨の首筋に 一茶 ■文化三年丙寅(四十四歳)
秋立日雨の降けり萱が軒 加舎白雄
舟底を秋立つ波のくぐりゆく 猿橋統流子
小十年昔のことを秋立つ日 成瀬正とし 星月夜
小照の母へ病みをり秋立つ日 原田種茅 径
小浅間の親雲小雲秋立つよ 角川源義 『神々の宴』
松ときそふ鶏頭に秋立ちにけり 金尾梅の門 古志の歌
上弦のちらりと見えて秋立ぬ 許六
食客の病みて秋立つ二階かな 尾崎紅葉
心ほぼ起きて秋たつ風の音 上島鬼貫
身もそぞろ秋立つ風のよぎるさへ 桂信子 草影
人間に雲脂といふもの秋立ちて 高澤良一 ぱらりとせ
人声のうしろより来て秋立つか 加藤楸邨
諏訪の水ハタと落ちたり秋立つて 河東碧梧桐
杉の道秋立つ朴の広青葉 松村蒼石 雪
西瓜積む秋立つ船の噺かな 会津八一
青嶺星秋立つ雲にさゞめける 西島麦南 人音
積乱雲高し秋立つ空の色 村山故郷
折からの富士の笠雲秋立つ日 高浜年尾
喪こもりの既に秋立ちゐたりけり 松崎鉄之介
草よ木よ今朝秋たつと人の言 加舎白雄
草庵や秋立つ雨の聞き心 芥川龍之介
孫三人浴衣そろへて秋立つ日 及川貞 夕焼
帯腰のいさぎよきかな秋立てり 久保田万太郎 流寓抄以後
托鉢の大音声に秋立てり 野見山ひふみ
団欒へ秋立つまでとかへり来し 篠原梵 年々去来の花 皿
地に垂るる十六ささげ秋立てり 岩田はつ
茶器の生む音のかすかに秋立てり 宮本径考
朝雲の生絹びかりに秋立てり 西村博子
長病癒えで秋立ち秋なかば 日野草城
頂の雪澄みわたり秋立ちぬ 池内友次郎 結婚まで
東に出でてしみじみ秋立てり 猪俣千代子 秘 色
灯心のひとすぢに秋立ちにけり 山西雅子
逃げごころ追はれごころに秋立てり 上田五千石『琥珀』補遺
道赤く奥州街道秋立つも 阿部冬樹
乳呑子の附紐に秋立ちにけり 佐野青陽人 天の川
忍性の赤鼻に秋立ちにけり 高澤良一 ぱらりとせ
萩芒草さま~に秋立ちぬ 寺田寅彦
白き花赤き花秋立ちにけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
白き花赤き花秋立にけり 正岡子規 立秋
白雲に秋立つてまだ地は暑し 正岡子規 立秋
白粥の白をすくひぬ秋立つ日 桂信子 草影
八雲立つ京に秋立つ富士にたつ 上島鬼貫
微笑仏秋立つひかりくちびるに 鷲谷七菜子 一盞
微々の秋眇々の秋立ちにけり 相生垣瓜人 明治草
百姓の笠に秋立つ曼珠沙華 癖三醉句集 岡本癖三醉
病むことも秋立つことも旅のうち 岡本眸
病顔を鶏によせ秋立ちぬ 飯島晴子
病床の団扇使へば秋立てり 百合山羽公 樂土以後
風鈴も秋立つ音となりにけり 高橋淡路女 梶の葉
葺きかへて秋立つ雨の住み心 安斎櫻[カイ]子
平熱や秋立つ影の淡水魚 橋閒石 卯
穂高岳秋立つ空の紺青に 及川貞 夕焼
母の顔へ灯がいつぱいや秋立ちぬ 稚魚
峰の樹々秋立つ容づくり哉 石井露月
亡き友の妻子にあひに秋立つ日 安住敦
頬骨の稜々として秋立ちぬ 会津八一
頬赤の鈴割れごゑや秋立つ日 堀口星眠 営巣期
蔓草も秋立つ雲をまとひけり 木下夕爾
命樽一転かすかに秋立ちぬ 池上樵人
猛り鵜にすでに秋立つ水なりけり 鈴木真砂女 夏帯
木の葉鰺干して秋立つ廂かな 吉川鬼洗
木瓜の実は茶色にまろし秋立ちぬ 渡邊水巴 富士
夜明から秋立つことかそのことか 正岡子規 立秋
野の果てゆ湧きくる雲も秋立てば 岸風三楼 往来
野牡丹は一日の花秋立てり 角川源義
幽けくも由々しくも秋立ちにけり 相生垣瓜人 負暄
浴人やゝへつて海濱に秋立てり 幸田露伴
理髪屋に剃刀そよぎ秋立ちぬ 高橋睦郎 舊句帖
裏返り秋立つ風の蓮田見ゆ 皆川白陀
旅の秋立つや最上の船の中 正岡子規 立秋
旅人や秋立つ船の最上川 正岡子規 立秋
冷熱のたゞならぬ身に秋立てり 木歩句集 富田木歩
霊峰の風を五色に秋立てり 吉原文音
囁かれ呟かれけり秋立つと 相生垣瓜人 微茫集
禪寺に秋立つ壁の破れ哉 正岡子規 立秋
そよりともせいで秋たつ事かいの 鬼 貫
牛の背に今朝秋たつや草の花 中川乙由
秋たつときけばきかるる山の音 飯田蛇笏 椿花集
秋たつやいなの笹原うつり来る 松岡青蘿
秋たつやきのふのむかし有の儘 千代尼
秋たつやけふより不二は庵の物 正岡子規 立秋
秋たつやさらに更行く小田の泡 黒柳召波 春泥句集
秋たつやはじかみ漬もすみきつて 来山
秋たつやはじめて葛のあちら向 千代尼
秋たつや雨晴れて出る月の冴 正岡子規 立秋
秋たつや雨晴れに出る月の冴 正岡子規 立秋
秋たつや何におどろく陰陽師 蕪村 秋之部
秋たつや起出るかたにあらし山 松岡青蘿
秋たつや小石を掃ふ竹箒 東皐
秋たつや人さめわたる艸の庵 松岡青蘿
秋たつや水をへだてて松のかげ 椎本才麿
秋たつや川瀬にまじる風の音 飯田蛇笏(1885-1962)
秋たつや朝横日して瓜の花 松瀬青々
秋たつや風のなき日を海の音 正岡子規 立秋
秋たつや霄の蚊遣の露じめり 高井几董
秋たつや鶉の聲の一二寸 正岡子規 立秋
心ほぼ起きて秋たつ風の音 上島鬼貫
草よ木よ今朝秋たつと人の言 加舎白雄
◆秋来る
いつさんに秋来る音歟あらし吹 寥松
こほろぎのなく夜ぞしかと秋来たり 中尾白雨 中尾白雨句集
たしか秋来にけりそこの縄簾 吾仲
ちかちかと光りつつ秋来たりけり 山口青邨
雨後の道誰も踏まねば秋来る 細見綾子
雲白くわが子が嫁ぐ秋来り 相馬遷子 雪嶺
海寄りに師よ友よ秋来たりけり 村越化石 山國抄
絵筆捨てしわれに美術の秋来れど 上村占魚
帰郷一茶に秋来て灯籠流しかな 金子兜太
暁けてゆく障子の白に秋来る みどり女
兄の墓ゆすぶり恋へり秋来ぬと 三橋鷹女
月の蚊帳に影法師吹かれ秋来たり 渡邊水巴 白日
見て居れば見えて秋来る二本杉 正岡子規
傘雨忌もて夏来夕爾忌もて秋来 安住敦
山湖ひたす星影見ても秋来たり 乙字俳句集 大須賀乙字
秋来しかさながら冷ゆる夜の汗 森鴎外
秋来ても色には出ず芋の蔓 西鶴
秋来ても啼や笹屋の閑古鳥 長翠
秋来なばと待ちしいのちの際も見ゆ 奈良鹿郎
秋来にけり耳を訪ねて枕の風 松尾芭蕉
秋来ぬとこころにおきし起居かな 三橋鷹女
秋来ぬとサファイア色の小鯵買ふ 杉田久女
秋来ぬとさやかに雲のうすれ飛ぶ 松瀬青々
秋来ぬとはま風かよふ青田かな 立花北枝
秋来ぬと音する今朝や刻み瓜 野坡
秋来ぬと桔梗刈萱売に鳧 風国
秋来ぬと合点させたる嚔かな 與謝蕪村
秋来ぬと妻恋ふ星や鹿の革 松尾芭蕉
秋来ぬと散華の木槿ましろなり 秋櫻子(京都、法然院)
秋来ぬと思ひをふかむ炊ぎ水 伊藤雪女
秋来ぬと耳には定か山の音 鷹羽狩行
秋来ぬと埴輪らのかげやはらかく 伊丹三樹彦
秋来ぬと知るや其手の古草履 会津八一
秋来ぬと柱の払子動きけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
秋来ぬと鼻に告るや草の風 望月宋屋
秋来ぬと聞や豆腐の磨(うす)の音 横井也有 蘿葉集
秋来ぬと目にさや豆のふとり哉 大伴大江丸 (1722-1805)
秋来ぬと瞠と倒るる障子かな 会津八一
秋来らむ芭蕉に雨のしばしばす 臼田亞浪 定本亜浪句集
秋来りひらひらあそぶ魚の縞 下田稔
秋来り魚寄りてくる船の窓 下田稔
秋来ることに心を托しをり 高木晴子 花 季
秋来るといふ目を鹿のしたりけり 高澤良一 燕音
秋来るとみづひき咲けり女の眸に 三橋鷹女
秋来ると五指生き生きとピアノ打つ 台 迪子
秋来ると信濃人みな声高に 上野さち子
秋来ると鼠がしのび泣けり壁 赤尾兜子 蛇
秋来ると町屋根越しの白マスト 野澤節子 花季
秋来ると風に心をのせにけり 高木晴子 晴居
秋来ると鈴懸竝木ざわめける 吉良比呂武
秋来る柱の傷を上に見て 柿本多映
秋来れば畳の縁も傷みけり 山口誓子
秋来れば博多小女郎もなげきけむ波の遠音に人の待たるる 柳原白蓮
宵々の雨に秋来る歩みかな 大谷句佛 我は我
水彩画家の秋来り雲限りなし 鈴木修一
青萱の秀のするどきに秋来たり 内藤吐天
足早に秋来る雨の登り窯 古賀まり子
大雷雨真夜に秋来るおもひかな 及川貞 夕焼
湯を浴びる音白樺に秋来り 大野林火 雪華 昭和三十八年
白木槿秋来て咲きぬ末の世の吾が尼姿みる心地して 原阿佐緒
美しきもののさみしさよ秋来たり 三橋鷹女
編あげ靴大きすぎる子秋来る 中山純子 沙羅
野幌の原始林より秋来たり 阿部みどり女
裸なれし身にも秋来ぬ夜の風 臼田亞浪 定本亜浪句集
◆秋に入る
あぎとより秋に入りけり薬山 岡井省二 鹿野
あらくさのなにがな吹かれ秋に入る 岸田稚魚 『花盗人』
うしろへは突かぬ杖なり秋に入る 村越化石
さそり座も夜々傾きて秋に入り 及川貞 夕焼
さまざまの雲ゆきあひて秋に入る 桂信子「草影」以後
したたかに雨浴びて海秋に入る 飯田龍太
したたかに雨浴びて島秋に入る 飯田龍太
たのめにし秋に入りつつ脚気病む 松本たかし
愛憎を母に放ちて秋に入る 桂信子 月光抄
臥す父の顔ばかり見て秋に入る 石田仁子
潟風の網戸も秋に入りにけり 石田勝彦 百千
教へ子に逝かれてやがて秋に入る 林翔
靴に踏む街路樹の影秋に入る 橋閒石 雪
月の面にいぶく青炎秋に入る 飯田蛇笏 雪峡
硯師や秋に入りたる昼蚊遣 石田勝彦 百千
洪水の林の星斗秋に入る 飯田蛇笏 霊芝
黒き目の秋に入りたる鯉の数 森澄雄
妻健か内火の浅間秋に入る 中村草田男
匙買つて逗留秋に入りにけり 岡本眸
使徒となる心さだまり秋に入る 石田雪江
秋に入るどの山となく繋がりて 鎌倉佐弓 潤
秋に入る貴石磨きの家の窓 飯田龍太
秋に入る砂地に浅く根もつもの 細見綾子 花 季
秋に入る性根のいろの花の数 飯田龍太
秋に入る鳥獣魚介して吾も 上村占魚
秋に入る天体の環あるごとく 飯田蛇笏 雪峡
秋に入る白きベッドに老の萎え 飯田蛇笏 家郷の霧
秋に入る片眼達磨とちちろ虫 飯田龍太
秋に入る浪すき透り崩るるよ 塚原麥生
小ろうそくの一燈秋に入るしるし(大岩不動尊) 細見綾子
親しみてゐし草叢も秋に入る 相生垣瓜人 負暄
水べりを行く杖音も秋に入る 鳥居おさむ
水紋のごとき竹影秋に入る 羽部洞然
石段をひとつ抜かしに秋に入る 鎌倉佐弓
扇面の山水もまた秋に入る 上田五千石『風景』補遺
草の端ばかり吹く風秋に入る 手塚美佐
草花を画く日課や秋に入る 正岡子規
草花を畫く日課や秋に入る 正岡子規 立秋
大岩の肌晒されて秋に入る(奥多摩) 細見綾子
鷹消えしままの青嶺も秋に入る 飯田龍太
唐辛子見てゐてわれも秋に入る 森澄雄
楢紅葉一路在所の秋に入る 中山白峰
白い帆の傾ぎ一湾秋に入る 池田秀水
白桃も淋漓と秋に入りにけり 相生垣瓜人 明治草抄
百合の香も秋に入りたるかと思ふ 石田郷子
富士の雲変り易くて秋に入る 高浜年尾
撫子も木賊の丈も秋に入る 中村汀女
風鈴の一つ残りて秋に入る 島村元句集
風鈴の秋に入るなる音を出せり 岸田稚魚 紅葉山
墓草をとるしづこころ秋に入る 飯田蛇笏 雪峡
宝珠不壊蘇鉄の花の秋に入る 松本たかし
雷雲のかたへの深空秋に入る 飯田龍太
夾竹桃白きがはやく秋に入る 百合山羽公 樂土
螢の乳つけし蓬が秋に入る 細見綾子 桃は八重
◆今朝の秋
あげ~て蛸壺尽きず今朝の秋 碧雲居句集 大谷碧雲居
あらくれの那須野の石も今朝の秋 八十島稔 秋天
いかづちのそら言は何今朝の秋 馬場存義
おもふにも過て涼しや今朝の秋 鈴木道彦
かたびらの尻はづかしや今朝の秋 尚白
けさの秋きのふの物を取られけり 正岡子規
けさの秋ばせをに墨を点しけり 完来 発句類聚
けさの秋ゑのころ草にほほゑまれ 西本一都
けさの秋硯に筆のすべり哉 正岡子規 今朝の秋
けさの秋蠅殊勝にも見えにけり 尾崎紅葉
けさ秋のケルンに触れて雲迅し 新井 英子
けさ秋の一帆生みぬ中の海 原石鼎 花影
けさ秋の草の匂ひの観世音 鷲谷七菜子 游影
けさ秋の島の朝餉のもづく粥 茂里正治
けさ秋の鼻筋白き馬に逢ふ 伊藤京子
けさ秋の敷布の白にめざめゐる 河合凱夫 藤の実
けさ秋の木槿くさむらより咲けり 及川貞 榧の實
けさ秋の歪みて乾く茶ン袋 つじ加代子
けさ秋や金亀子死を真似しまゝ 殿村莵絲子 花寂び 以後
けさ秋や芙蓉正しき花一つ 野村喜舟 小石川
けさ秋や母にさばしる鶉豆 齋藤玄 飛雪
けさ秋や母の声音の風切つて 清水基吉 寒蕭々
けさ秋や母へかたむく百日紅 細川加賀 『傷痕』
けさ秋や瘧の落ちたやうに空 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
けさ秋風焦土の民らただ急ぐ 石田波郷
ごぼ~と薬飲みけり今朝の秋 尾崎紅葉
これこそと何も見初めず今朝の秋 千代尼
さゞ波のかげ戸によせて今朝の秋 成田蒼虬
すゞしさのめでたかり鳧今朝の秋 炭 太祇 太祇句選
たび人に追こされけり今朝の秋 成田蒼虬
つややかな版木が二枚今朝の秋 中田剛 珠樹以後
とく起て鼻ひる僧や今朝の秋 高桑闌更
どこやらに星の笑ひや今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
トロに居て山神拝す今朝の秋 久米正雄 返り花
なに事かしなのぶりなる今朝の秋 建部巣兆
ぬか味噌の軽みに来たり今朝の秋 路青
のゝしりし人静まりてけさの秋 正岡子規 今朝の秋
ばせを葉やひろごり果て今朝の秋 牧童
ばせを葉や小つまを返す今朝の秋 りん女
はやまりて葎引しぞ今朝の秋 成田蒼虬
ふと揺れる蚊帳の釣手や今朝の秋 夏目漱石 明治四十三年
ふみつけた蟹の死骸やけさの秋 正岡子規 今朝の秋
むく起や身ふるひ一つ今朝の秋 正岡子規 立秋
めくばせはピカソの絵より今朝の秋 白澤良子
もの言ぬ柱によりて今朝の秋 成田蒼虬
やさしやな蚯蚓啼き出てけさの秋 沾峨
ゆきひらに粥噴きそめし今朝の秋 石川桂郎
ヨット出す夫の纏へり今朝の秋 小池文子 巴里蕭条
よめぶりの動き出けり今朝の秋 落梧
わがふるる庭前の竹けさの秋 山口青邨
わきびらも見ず加茂へ来てけさの秋 成田蒼虬
ゑのころの玉に出づる穂今朝の秋 皆吉爽雨
粟ぬかや庭に片よる今朝の秋 露川
一筋の糸よりかなし今朝の秋 支考
一菜に熱き一汁今朝の秋 鷹羽狩行
印肉のかはき心や今朝の秋 許六
引窓や細曳きつたふ今朝の秋 安昌 選集「板東太郎」
雨乞の雨も降りけり今朝の秋 松田逸奇
泳ぎつく魚の白さよ今朝の秋 中川宋淵
遠方に気がかりのある今朝の秋 能村登四郎
横雲のちぎれてとぶや今朝の秋 北枝
横雲のちぎれてとぶや今朝の秋 立花北枝
横河に寝て山越弥陀をけさの秋 青々
鴬の浅茅がくれや今朝の秋 加藤曉台
恩寵のごと面テ老ゆ今朝の秋 殿村菟絲子 『晩緑』
温泉(ゆ)の底に我足見ゆる今朝の秋 與謝蕪村
夏痩のふし~高しけさの秋 松岡青蘿
蚊屋の浪かほにぬるるや今朝の秋 千代尼
蚊屋の浪かほにぬるゝや今朝の秋 千代尼
蚊帳ごしに鬼を笞うつ今朝の秋 蕪村 五車反古
蚊帳の中に見てゐる藪や今朝の秋 たかし
階子段吹下ろす風や今朝の秋 増田龍雨 龍雨句集
骸骨に何やらひゞく今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
釜敷に飯のこぼれや今朝の秋 原石鼎 花影
寒山が友ほしく来しけさの秋 松瀬青々
幾條の風を見たらむ今朝の秋 相生垣瓜人 負暄
起~の鏡するどし今朝の秋 高井几董
起きぬ間に露石去にけり今朝の秋 夏目漱石 明治四十四年
吸がらの道にけむるや今朝の秋 成田蒼虬
宮鳩の白きが舞うて今朝の秋 四明句集 中川四明
汲む水に山のこゑ聴く今朝の秋 高橋 淑子
牛の子に鼻木通すや今朝の秋 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
牛牽いて川渡りけり今朝の秋 古白遺稿 藤野古白
魚板うてば四山相応ず今朝の秋 西島麥南 金剛纂
鏡屋の鏡に今朝の秋立ちぬ 尾崎放哉 大学時代
暁の雷晴れて今朝の秋 几臺
桐の葉の楔ぬけてや今朝の秋 露川
桐の葉を叩き落さん今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
桐油合羽ぬぎし心よ今朝の秋 露言 選集「板東太郎」
君を欠き世界が違う今朝の秋 高澤晶子 純愛
袈裟売の御山泊りや今朝の秋 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
傾きて浅間くもり居り今朝の秋 及川貞 夕焼
渓流に雲のただよふ今朝の秋 飯田蛇笏 椿花
撃柝に坊の寝覚や今朝の秋 比叡 野村泊月
隙間もる朝日にさめて今朝の秋 寺田寅彦
献上の刀試すや今朝の秋 芥川龍之介
舷に顔洗ふ人や今朝の秋 瀾水
己が鼻の大きさ驚く今朝の秋 瀧澤伊代次
湖のひつそりとして今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
口髭の一すぢ白し今朝の秋 森鴎外
香久山に干ものは何今朝の秋 中川乙由
刻みあげし佛に對す今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
今朝の秋あれ石山の雲がまヘ 千那
今朝の秋かもめのふれし渚こそ 小池文子 巴里蕭条
今朝の秋ふとんさがして起にけり 羽笠
今朝の秋まづかりに遣る宇治拾遺 成田蒼虬
今朝の秋を遊びありくや水すまし 黒柳召波 春泥句集
今朝の秋家にあるごと起チ居せむ 角川源義
今朝の秋海ゆく雲の限りなし 角川春樹
今朝の秋海馬の詣で眼鏡拭き 西本一都 景色
今朝の秋岳の朝日は岳へさし 岡田日郎
今朝の秋軒の半鐘声ふとし 乙訓
今朝の秋手紙を待てば手紙来る 福田蓼汀 山火
今朝の秋手里の馬を相しけり 河東碧梧桐
今朝の秋腫物はものゝこそはゆき 正岡子規 今朝の秋
今朝の秋柔き箒の動くまま 桂信子 草影
今朝の秋掌に粗塩のきらきらす 藤村登世
今朝の秋千里の馬を相(そう)しけり 河東碧梧桐
今朝の秋扇のかなめ外れたり 正岡子規 今朝の秋
今朝の秋大岩を蝶たちゆきて 及川貞 夕焼
今朝の秋朝精進のはじめかな 蕪村遺稿 秋
今朝の秋波を逃げては汐を汲む 高田蝶衣
嵯峨行の揚屋出でけり今朝の秋 一音
削りあげて鋭き鉛筆や今朝の秋 碧雲居句集 大谷碧雲居
匙をめで重湯甘ましと今朝の秋 飯田蛇笏 山響集
傘持のひんと立たりけさの秋 正岡子規 今朝の秋
山を見る厠の窓や今朝の秋 会津八一
山際の雲に青空今朝の秋 右城暮石 一芸
山門に傘ならべあり今朝の秋 北園克衛 村
仕付け糸のせたる今朝の秋扇 永井龍男
士用より朝顔咲て今朝の秋 松岡青蘿
子のシヤツを借りてだぶだぶ今朝の秋 都筑智子
寺の扉の谷に響くや今朝の秋 原石鼎 花影
耳かきの竹の葉風や今朝の秋 幽山 江戸広小路
手にさはる金の蔓や今朝の秋 斗文
手をのせし胸の薄さや今朝の秋 鈴木真砂女 生簀籠
手拭に先ヅ力あり今朝の秋 林紅
秋やけさ身ふるひしたるむら雀 正岡子規 今朝の秋
渋紙の薬袋や今朝の秋 寺田寅彦
出羽富士の雲や一刷毛今朝の秋 鈴鹿野風呂 浜木綿
女ばかり住みて柳の今朝の秋 細見綾子 桃は八重
女郎花二もと折ぬ今朝の秋 蕪村遺稿 秋
小筵や敷合せより今朝の秋 椎本才麿
小筵や敷合せより今朝の秋 椎本才麿
小筵や敷合より今朝の秋 才丸 坂東太郎
松風の畠に落ちて今朝の秋 会津八一
沼尻に祭る社や今朝の秋 柑子句集 籾山柑子
硝子(びいどろ)の魚おどろきぬ今朝の秋 與謝蕪村
上りつく年の峠や今朝の秋 三宅嘯山
寝過して大工来にけり今朝の秋 横井也有 蘿葉集
新聞を鳴らして読める今朝の秋 高澤良一 素抱
親よりも白き羊や今朝の秋 村上鬼城
須田町のはつものうれし今朝の秋 許六
酢をつくる僧はなひるよけさの秋 正岡子規 今朝の秋
水かへてくもる水差けさの秋 鷹羽狩行
水なしの継橋越ぬ今朝の秋 黒柳召波 春泥句集
水漬を母しかりけり今朝の秋 三宅嘯山
水底に青砥が銭や今朝の秋 召波
水馬浮きて静かや今朝の秋 柴田白葉女
水無月のからき目を見て今朝の秋 馬場存義
菅笠を裏返し置く今朝の秋 旭
是沙汰ぞ風の吹やうに今朝の秋 井原西鶴
西吹くと水士のいふ也けさの秋 正岡子規 今朝の秋
西吹くと水土のいふなり今朝の秋 子規句集 虚子・碧梧桐選
青鷺の骨を鳴けり今朝の秋 角上
青鷺の骨を鳴也けさの秋 千那
石に水びしびし打つて今朝の秋 高井邦子
赤飯の熱きふき喰ぶ今朝の秋(越後浦佐簗) 細見綾子
雪隠に物落しけり今朝の秋 会津八一
浅間山の煙出て見よ今朝の秋 村上鬼城
掃除機が汚れて居りぬ今朝の秋 都筑智子
草も木も竹も動くやけさの秋 正岡子規 今朝の秋
足もとに洗顔の濡れ今朝の秋 鷹羽狩行
太陽のBODYゆら~と今朝の秋 原石鼎 花影以後
濯ぎ場のほとりの菱や今朝の秋 芝不器男
茶を淹れて色よく出でし今朝の秋 今泉貞鳳
茶筅すゝぎて素湯濁りなし今朝の秋 碧雲居句集 大谷碧雲居
張抜きの猫も知るなり今朝の秋 松尾芭蕉
張抜の猫も知るべし今朝の秋 尾崎紅葉
朝月の残る戸ひらく今朝の秋 清水基吉 寒蕭々
朝皃をながめて居たり今朝の秋 許六
鳥籠や今朝の秋なる水と粟 尾崎迷堂 孤輪
釣瓶きれて井戸を覗くや今朝の秋 夏目漱石 明治三十二年
庭下駄の蹠になじむ今朝の秋 秋枝蕭子
庭好も泥鏝(こて)を捨てけり今朝の秋 調古 選集「板東太郎」
天地の心をわけん今朝の秋 舞閣
塗り下駄に妹が素足や今朝の秋 井月の句集 井上井月
土近く朝顔咲くや今朝の秋 虚子
桃食べて体が匂ふ今朝の秋 殿村莵絲子
盗みする兄の行衛や今朝の秋 会津八一
湯気みゆる佛の膳や今朝の秋 会津八一
湯庫しの湯気のかすかに今朝の秋 鷹羽狩行
踏脱た足にて着るや今朝の秋 瓢水
突兀を負ふて札所や今朝の秋 爽波
縄をなふ手もとすゞしや今朝の秋 樗良
日南暑し朝を裸で今朝の秋 右城暮石 声と声
猫のかぐはしらもひかれ今朝の秋 建部巣兆
蚤ふるふ袖行合ぬ今朝の秋 松岡青蘿
芭蕉葉や大手広げる今朝の秋 中川乙由
馬鹿づらに白き髭見ゆけさの秋 高井几董
俳諧の底や破れて今朝の秋 会津八一
蝿取蜘古巣忘む今朝の秋 立詠 選集「板東太郎」
白き布身に添ふ如し今朝の秋 右城暮石 声と
白鷺のみの毛の露や今朝の秋 りん女
白扇の戯墨を恥ぢぬ今朝の秋 島村元句集
箱庭の橋落ちこみぬけさの秋 正岡子規 今朝の秋
八重葎そよぐと見しやけさの秋 正岡子規 今朝の秋
飯綱に裾雲翔り今朝の秋 鈴鹿野風呂 浜木綿
妃殿下の御文とどきぬ今朝の秋 星野立子
瓢箪になる花~や今朝の秋 嵐青
病み細るすねをいだきぬ今朝の秋 高浜年尾
病み細るすねをいだきぬ今朝の秋 高濱年尾 年尾句集
病起ておにをむちうつ今朝の秋 蕪村遺稿 秋
仏飯の対の白さよ今朝の秋 鷹羽狩行
壁虎の簑蟲ゆする今朝の秋 廣江八重櫻
縫ひかけしものを取出し今朝の秋 今橋真理子
牧場の柵しめりがち今朝の秋 檜 紀代
蔓ものゝ花さきにけり今朝の秋 春爾
夢の名残と笑ふ別れや今朝の秋 青峰集 島田青峰
命とりの病は持たず今朝の秋 鈴木真砂女 紫木蓮
明石海峡朝ぐもりして今朝の秋 日野草城
木々の間を通りすぎゆく今朝の秋 古賀 紀子
餅船のうしろ淋しやけさの秋 正岡子規 今朝の秋
葉騒ぎと笹ずれむつみ今朝の秋 鷹羽狩行
羅につめたき風や今朝の秋 赤木格堂
落日と燈の色おなじ今朝の秋 右城暮石 句集外 昭和十六年
立つといふ米をよそひて今朝の秋 鷹羽狩行
旅皃を日の出にむけて今朝の秋 四睡
凌霄の花吹消して今朝の秋 中川乙由
隣から門掃れけり今朝の秋 卓池
蓮広葉芭蕉広葉も今朝の秋 松本たかし
路次の日に出す鉢植や今朝の秋 鈴木真砂女 卯浪
浪ひとつ岸打こしぬ今朝の秋 露印
老僧が拂子動かず今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
劍賣て牛買ふ人や今朝の秋 正岡子規 今朝の秋
棕櫚の葉の手をひろけたりけさの秋 正岡子規 今朝の秋
洟かんで耳鼻相通ず今朝の秋 飯田蛇笏 山廬集
珈琲のモカ挽く香り今朝の秋 奥村 八一
籠のパン取りて蜜ぬる今朝の秋 小池文子 巴里蕭条
茉莉花の名残の花を今朝の秋 山口青邨
螢草きそひ摘む子や今朝の秋 佐野青陽人 天の川
鉈いれるはやしの音や今朝の秋 怒風
鰺ばかりかゝる地曳や今朝の秋 白水郎句集 大場白水
以上
by 575fudemakase
| 2021-09-09 03:22
| 秋の季語

俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
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例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
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いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
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