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「俳句の動物たち(船団の会編)」を読んで

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「俳句の動物たち(船団の会編)」を読んで
  2014・5・30発行 人文書院

共鳴句を挙げる

日本の春はあけぼの犬の糞
春陰や犬はひもじき眼をもてる
さくら色鼻でウインクするうさぎ
牛の子の大きな顔や草の花
馬の眼の奥まで晴れて冬の塔
天高くころんころんと馬の糞
日向ぼこ猿にも二つ膝小僧
猫の子がちよいと押へるおち葉かな
鼠にもやがてなじまん冬籠
朝焼や捕れば悲しき鼠捕り
桃色の足を合はせて鼠死す
ヤキソバのネギのヌメヌメぬらりひょん
風呂場寒し共に裸の油虫
夜のカフェをはっきり生きて油虫
「探さないでください」カブトムシ一同
蟷螂の何を以てか立腹す
蟋蟀に鉄橋の音遠ざかる
水玉を降らして飛んで天道虫
薬師寺の尻切れとかげ水飲むよ
ちょこと行くちょこちょこと行く蜥蜴まで
どうですか蜻蛉になってみてその後
赤とんぼ空はひろいね困ったね
鬼やんま昔と同じ速さで来
手にのせてこれは京都のかたつむり
蛞蝓のながしめしてはあゆみけり
なめくぢも我れも夏痩せひとつ家に
冬の蠅二つになりぬあたたかし
営々と蠅を捕りをり蠅捕器
朝すでに砂にのたうつ蚯蚓またぐ
定位置に夫と茶筒と守宮かな
蓋をして浅蜊あやめているところ
水馬ひよんひよんはねて別れけり
あめんぼう水を掴んで瞑想す
慕情という空の色だねあめんぼう
みずすまし恋の勝負は素潜りで
あら烏賊が縮んでちぢんで新走り
落日のいそぎんちゃくはなにつぶやく
冬うららか海豚一生濡れている
パンパンと拝んでそれから鰻屋へ
亀が鳴くそんな条件呑めますかって
暁や鯨の吼るしもの海
夕立にうたるゝ鯉のかしらかな
生まれた家はあとかたもないほうたる
ここよここ三々五々の馬刀の穴
逆さまに潜る気合を鴨の尻
あっさりと晩年うぐいすが梅に
冬鴎瞳の中の町いくつ
啄木鳥の森三つ星のレストラン
草紅葉何に飛び立つ雀かな
つばめ反転きらきらひかるものが好き
高熱の鶴青空に漂へり
にわとりのしわくちゃまぶた春の雪
秋風や一翳もなき白鳥湖
物草の太郎の上や揚雲雀
一羽いて雲雀の空になっている
春聯や文鳥飼うて一老舗
椋鳥のなぜ生きるのかチッチキチー
秋の雨きりん🦒の足を見て帰る
月光を背に立ち上がるゴリラ🦍かな
秋雨や漆黒の斑が動く虎🐅
夏の月微笑むようにナマケモノ🦥
G・Wパンダ🐼はおしりむけたまま
ペリカンの嘴に魚見し春の風
澄む水のかげを見ているマントヒヒ
初夢やライオン🦁の髪三つ編みす
月揺れて駱駝🐫と揺れる砂漠かな
敬老日ラッコ🦦のように健啖家
鰐🐊皮の靴👠も財布👛も暑かりき
泣きじゃくる赤ん坊👶薊の花になれ
兄貴らのデンデケデケデケ🎶桜咲く
屠蘇の座や立まはる児の姉らしき
薪をわるいもうと一人冬籠
ズボンシャツ夫まるごと干す春日
炎天の男錨⚓︎の匂いして
張りとほす女の意地や藍ゆかた
女を見連れの男を見て師走
恋びとは土竜のやうにぬれてゐる
万緑や少女にぽつとものもらひ
ふと羨し日記買ひ去る少年よ
復員青年しようべんつよくつつじ燃ゆ
月に行く漱石月を忘れたり
おかあさんの手になっている十二月
秋晴れやバスに老人ぎっしりと


以上
(高澤良一)
作者名は原著を参照ください🙇‍♂️



拙句 動物園の動物 (高澤良一)

【横浜市立 金沢動物園】
自転車にて近場の雑木紅葉見に
平日の動物園にくる小鳥
紅葉冷猛禽類は眼をつぶり
ユーカリにつれなく落つる秋日とも
秋日中手をもてあます手長猿
犀の尻釣瓶落しの日を遠に
木の葉舞ひ象はステップ踏むごとし
うそ寒の犀に向ひてグッドバイ
動物園ユーラシア区の落葉季
麗日のワラビー母子の餌の持ちやう
ワラビーの前脚春の土突きて
何と雪ワライカワセミ渋い貌
丹頂に日本の色極まれり

【野毛山動物園】
日永鰐夢む手足の置きどころ
コンドルの怒り肩して春逝かす
蛇の衣懸けあり蛇の遊び木に
官軍の錦蛇とはもつともな
目を宙に標本擬(まが)ひの大蜥蜴
蟻喰ひの悲願適ひてよく伸ぶ鼻
べンガル虎風死す檻を往き来せり
北極熊棒立ちの涼ふりかぶる
蝙蝠の躰鈍(なま)れば飛びにけり
冷え性の本土キツネとおもひけり
何とこの日本貛(あなぐま)目まぐるし
後生楽な縞ふくろふの貌のぞく
みみづくの雨は苦手と見ゆ素振り
ふくろふの目蓋(まなぶた)開けて吾を見る
ふくろふの振るつたことをいふごとし
水の面に桜紅葉の心ばえ
アナグマに落葉臭さと尿くささ
落葉手にとり霊長目人間(ひと)科人間(ひと)
アムール虎右往左往の黄落期
もみずれりオランウータンの体毛も
錦蛇暫し見てゐてのぼせけり
冬の日に駱駝の鼻先白っぽく
網目キリンに木の葉旋回して落ちぬ
檻抜けておこぼれ頂戴寒雀
檻隣りホンドキツネのお忙氏
冬枯れに長寿の象のハマ子さん
野毛の桜昭和の戦見て来しと
花冷えのコンドル無垢の襟巻す
横目にて象は吹雪ける花を見ぬ
花照る中チンパンジーは何誇示す

【上野動物園】
動物園園児の点呼うさぎの前
春眠のゴリラの地下足袋めく蹠(あうら)
日向ぼこするコンドルに成り下がり
徘徊す虎は四温の毛皮被て
蟻喰いのそはそは春の土を嗅ぎ
姿見の在らばとおもふ丹頂に
春水に河馬のうたた寝四六時中
胡座かく蜥蜴はこうもり安のさま
走鳥類エミュー目を伏せすずかぜに

以上

動物園の俳句

うららかや恋の季節の動物園 波多野惇子
めぐり出る動物園や雲の峯 会津八一
人群がる動物園の小春哉 寺田寅彦
冬天の動物園や歌舞伎町 平井照敏
動物園さわやかに象みえ来たる 京極杞陽 くくたち上巻
動物園に三ケ所の奥ありにけり 五十嵐研三
動物園に老いたる姉を置き忘れ 橋本輝久
動物園ユーラシア区の落葉季 高澤良一 さざなみやっこ
動物園上空の青寒気団 今井 聖
動物園園児の点呼うさぎの前 高澤良一 寒暑
動物園子等には寒さなかりけり 岡安仁義
動物園寒し両掌でもの食ふ猿 右城暮石 声と声
動物園春の煙をあげにけり 大木あまり 火球
土固き動物園の梅開く 右城暮石 声と声
地があからさまに落葉す動物園 右城暮石 声と声
平凡な顔して秋の動物園に来た親と子 人間を彫る 大橋裸木
日常茶飯の動物園の麒麟かな 荻野雅彦
春の日も動物園もしまひかな 上野美智子
木の実落つ動物園のような夜 対馬康子 吾亦紅
無月なる動物園の鳥獣 川崎展宏
着始めの冬着のにほふ動物園 高澤良一 寒暑
秋の蝶動物園をたどりけり 正岡子規
蟻穴を出でて動物園を馳す 大串章
鶴の首夕焼けてをりどこよりもさびしきものと来し動物園 伊藤一彦

以上

by 575fudemakase | 2022-02-14 06:14 | 句集評など


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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