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花冷え 花曇のこと

花冷え 花曇のこと

2022年3月29日のテレヴィの天気予報で奇しくも花冷え 花曇の日々と報じていた。

花冷え の俳句

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花冷え の例句 (↓ここをクリック)


花冷え 補遺

いくたびも花冷えいへり旅の妻 大野林火 飛花集 昭和四十四年
うどん屋を探して歩く花の冷 稲畑汀子
うろくづの重なるあはれ花の冷え 岸田稚魚
おのずから仮面落ちたり花の冷 橋閒石 卯
およそものわびしき能登の花冷よ 星野立子
かたまつてをり花冷の会葬者 岸田稚魚 紅葉山
こは母も不来方の部屋花冷す 山田みづえ 忘
その人もつき添ふ人も花冷に 中村汀女
その日よりなほ花冷のつづきをり 松本たかし
とりなほす夜の花冷のペンの軸 上田五千石 天路
まどろみのひまも仮面や花の冷 橋閒石 和栲
もう一度花冷の来て人逝けり 岸田稚魚 紅葉山
ピアノ貸すと決め花冷の一打音 伊藤白潮
一山を覆へる靄や花の冷え 桂信子 花影
一燈にみな花冷えの影法師 大野林火 白幡南町 昭和二十八年
万霊を淵に沈めて花の冷え 佐藤鬼房
不遇時のごと花冷えのつづきけり 能村登四郎
中年の髪に櫛買ふ花の冷 橋閒石 雪
二三分の花の冷こそ身に応ふ 岸田稚魚 紅葉山
二三分の隣り五分咲き花の冷 岸田稚魚 紅葉山
二三片のせ花冷えのたなごころ 鷹羽狩行
二日目の伊賀の花冷あなどらず 稲畑汀子
京の人来て花冷えもその日から 能村登四郎
人の死に重ね花冷申すなり 大野林火 月魄集 昭和五十五年
今生の花冷えに耐ゆ病みぬけて 能村登四郎
他意なくて花冷の手を預けしや 安住敦
初花の初花冷えと言ふべかり 百合山羽公 樂土以後
口ふふみゐて花冷えの酒と思ふ 能村登四郎
吾四十吾子大学へ行く花冷えや 角川源義
吾子跪づく花冷の聖盤下 能村登四郎
四阿に花冷のかたまつてゐし 後藤比奈夫
夕されば花冷の歯に衣きせよ 橋閒石 和栲
大山独楽花冷えの紐きりきりと 能村登四郎
太田川水浅くして花の冷え 佐藤鬼房
嫁が泣きし世花冷ゆる日のいじり臼 古沢太穂 火雲
宿直の夜は花冷のすさまじき 波多野爽波 鋪道の花
小母さんと呼びにし人よ花冷に 山口青邨
山窪に膝抱く花の冷えならず 鷹羽狩行
山雨より花冷まさる西行忌 上田五千石『琥珀』補遺
恋もなし花冷の膚擁けば 小林康治 玄霜
我が家まで勤めもどりの花の冷え 右城暮石 句集外 昭和十五年
教師一徹花冷えの亀節を削り 橋閒石 無刻
文机のその花冷や拭ひけり 上田五千石『琥珀』補遺
水も洩らさぬひとと対きあふ花の冷え 桂信子 新緑
水を喫して花冷の夜とおもふ 上田五千石『琥珀』補遺
水清の訃に肩落す 花の冷え 伊丹三樹彦
深吉野の花冷え星座にも及ぶ 鷹羽狩行
湯浴み来し身を花冷えの窓に倚す 上村占魚 球磨
澄切つて花冷えの瞳の怯えがち 能村登四郎
濯ぎもの籠に山なす花の冷 橋閒石 朱明
火のまはりよき花冷えの牡丹鍋 能村登四郎
甘かりし花冷えの夜のふふみ酒 能村登四郎
盃の足し前三つ花の冷 石田勝彦 秋興以後
石鼎の花冷衣吊しあり 能村登四郎
窯太郎若し花冷の窯火守り 能村登四郎
端座して大花冷の底にあり 上田五千石『風景』補遺
筋太き人形の髪花冷えに 香西照雄 対話
箸袋出て花冷えのなかの箸 鷹羽狩行
老いし小町に花冷の燭虹なせり 能村登四郎
老刀自に虚子忌近づく花の冷 上野泰
耳たぶに生きものの冷え花の冷え 鷹羽狩行
能郷の鬼面たのしや花の冷 角川源義
花すぎて花の冷えある昨日けふ 上村占魚 鮎
花の冷えと花の重たさの下をゆく 篠原梵 年々去来の花 雨
花の冷え蛙も鳴かぬ夜なりけり 川端茅舎
花の冷え身にまとひつつ別れ来し 上村占魚 球磨
花の冷人を教へて恵まれず 橋閒石 雪
花の夜の冷に小さき燈を守り 上田五千石『天路』補遺
花も過ぎなほ花冷の情君思ふ 山口青邨
花冷えて若者の歌胸に沁む 相馬遷子 山河
花冷えと山葵が鼻を抜けにけり 能村登四郎
花冷えと書き大陸の春おもふ 大野林火 早桃 太白集
花冷えによき和事師の逝けるかな 能村登四郎
花冷えに炒つてさらさら鯛そぼろ 能村登四郎
花冷えに聡き瞳をすでにもつ 能村登四郎
花冷えに茶をのむ炭火おこしたる 細見綾子
花冷えに頸をすくめてかいつぶり 能村登四郎
花冷えのくらき絵とみて中村彝 能村登四郎
花冷えのさざなみ寄せに抗すなし 上田五千石『風景』補遺
花冷えのともし灯ひとつともりけり 日野草城
花冷えのまた水洟をこぼしけり 岸田稚魚 負け犬
花冷えのわが選句用赤鉛筆 鷹羽狩行
花冷えの乳房重たきひとならずや 楠本憲吉 孤客
花冷えの匂ひなりけり鼻を刺す 能村登四郎
花冷えの城の石崖手で叩く 西東三鬼
花冷えの夕ベ日当る襖かな 岸田稚魚 負け犬
花冷えの夜の食道を水くだる 橋閒石 朱明
花冷えの大きなものに鯉の口 燕雀 星野麥丘人
花冷えの女ののんどうごきけり 岸田稚魚 筍流し
花冷えの子の部屋に鍵かかる音 林翔
花冷えの宙に数千枚のビラ 鷹羽狩行
花冷えの小梯子かかる隠し部屋 能村登四郎
花冷えの岩山を負ひ石仏 鷹羽狩行
花冷えの座に釜めしの運ばれぬ 村山故郷
花冷えの悪寒叢雲われをのせ 野見山朱鳥 曼珠沙華
花冷えの手をやるやふぐり鎮りをり 岸田稚魚 雁渡し
花冷えの昼過ぎて海ひろくなる 松村蒼石 雁
花冷えの朝や岩塩すりつぶす 西東三鬼
花冷えの浮き足だちし夕日かな 岸田稚魚
花冷えの炉けむりうすき山廂 西島麦南 人音
花冷えの畑の奥に来てゐたり 廣瀬直人
花冷えの病醜顔に現はるる 野見山朱鳥 愁絶
花冷えの白湯のむ庫裏の竈口 能村登四郎
花冷えの神将の四肢みな異なる 伊丹三樹彦
花冷えの穹にのぼりし師か雪か 赤尾兜子 玄玄
花冷えの箱に音する吉野葛 桂信子 初夏
花冷えの簪もほし壺もほし 石橋秀野
花冷えの素足荷づくり休まうや 及川貞 夕焼
花冷えの芯までとほる甲斐の雨 廣瀬直人
花冷えの蔵に忍びてドラム打つ 廣瀬直人
花冷えの蕎麦汁にまで深大寺 鷹羽狩行
花冷えの軒や来翰立ちて読む 村山故郷
花冷えの闇にあらはれ篝守 高野素十
花冷えの鮨てふ握り小さくて 能村登四郎
花冷えの麦ひつそりと女の手 飯田龍太
花冷えの鼻梁正しく立ち並べり 三橋鷹女
花冷えやまた肩凝りのはじまりて 寒食 星野麥丘人
花冷えや上眼にらみの踏まれ邪鬼 能村登四郎
花冷えや伽*耶の琴の音太くして 有馬朗人 立志
花冷えや国訛りの駅に昆布くれぬ 角川源義
花冷えや孔雀の紫金夜をめげず 飯田蛇笏 霊芝
花冷えや尼僧生活やや派手に 飯田蛇笏 白嶽
花冷えや時計は刻をあやまてり 角川源義
花冷えや烏賊のさしみの糸づくり 鈴木真砂女 夕螢
花冷えや焼香二人づつすすみ 鷹羽狩行
花冷えや畳廊下の幾曲り 鷹羽狩行
花冷えや矢立の銀のくもるさヘ 石川桂郎 四温
花冷えや老いても着なき紺絣 能村登四郎
花冷えや足湯使ふに足そろへ 鷹羽狩行
花冷えや食ひ込んでゐる鞐痕 能村登四郎
花冷えや鯉こくこくとのどを過ぎ 鷹羽狩行
花冷えをおぼえし朝の素足かな 鈴木真砂女 卯浪
花冷えをもどり浄めの塩を浴ぶ 能村登四郎
花冷えを募らす三角狭間かな 鷹羽狩行
花冷えを包みて戻る借り袱紗 鷹羽狩行
花冷にこもれば何ぞ雨蛙 水原秋櫻子 霜林
花冷に夜冷加へて山蒼む 上田五千石『琥珀』補遺
花冷に寝ぬれば夢も白からむ 上田五千石『琥珀』補遺
花冷に欅はけぶる月夜かな 渡邊水巴 富士
花冷のあてにしてをる池ひとつ 岡井省二 鯨と犀
花冷のうすべりを踏む夕ごころ 橋閒石 微光
花冷のおのづと消えてゐしたばこ 安住敦
花冷のしるきを嘆きろ作忌 安住敦
花冷のなにゆゑとなき昼の酒 藤田湘子 神楽
花冷のレストランボーイ燕尾服 山口青邨
花冷の仮堂睨む仏たち 阿波野青畝
花冷の冷つかさどる苑の滝 上田五千石『天路』補遺
花冷の午下噴水の音変る 橋閒石 雪
花冷の古鏡のごとき水面かな 上田五千石『天路』補遺
花冷の夜気つよく吸ふ莨断ち 能村登四郎
花冷の大名火鉢かたはらに 山口青邨
花冷の妻を距てし襖かな 安住敦
花冷の婆のお客に茶を淹れて 山口青邨
花冷の客よりも主寒がりて 山口青邨
花冷の山鳩が鳴く稿遅々と 山口青邨
花冷の念仏申すばかりかな 星野麥丘人
花冷の手足にしびれ加へたる 高浜年尾
花冷の指もて探る六腑かな 林翔
花冷の散る一片のかなしくも 山口青邨
花冷の晩酌杯いとも小さき 山口青邨
花冷の深更ポットぽぽと鳴る 角川源義
花冷の火を絶やさじと自愛かな 福田蓼汀 山火
花冷の火鉢にさして妻が鏝 山口青邨
花冷の炉には薪組みありしこと 後藤比奈夫
花冷の炬燵一献よからずや 山口青邨
花冷の焚火をしてもをかしからず 高浜年尾
花冷の燭の一本立ちにけり 石田勝彦 秋興以後
花冷の燭台一つ壺一つ 後藤比奈夫
花冷の百人町といふところ 草間時彦
花冷の瞼とづればぬくもるや 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
花冷の空穂先生の忌に籠る 水原秋櫻子 蘆雁
花冷の簷を雲ゆく別れかな 石田波郷
花冷の聖水灌ぐ吾子の髪 能村登四郎
花冷の虚子忌済みたる夜の雨 高田風人子
花冷の袖を合せて夕ベかな 高野素十
花冷の顔ばかりなり雲の中 石田波郷
花冷の駅にまぎれし托鉢僧 野澤節子 八朶集
花冷も雨もホテルの窓の外 稲畑汀子
花冷やうすずみざくら戀ながら 百合山羽公 樂土
花冷やそぼ降る雨の鶴ケ岡 石塚友二 曠日
花冷やはるかに燃ゆる花篝 日野草城
花冷やひそ~話耳につき 星野立子
花冷やほくろちひさき二の腕 鷲谷七菜子 銃身
花冷やまだしぼられぬ紙の嵩 大野林火 雪華 昭和四十年
花冷やカラーテレビは博覧会 山口青邨
花冷や人は並んで卵買ふ 飴山實 次の花
花冷や人は竝んで卵買ふ 飴山實
花冷や俄かに泊る母の家 山田みづえ 木語
花冷や別れの言葉いんぎんに 村山故郷
花冷や剥落しるき襖の絵 水原秋櫻子 霜林
花冷や味噌たつぷりと味噌おでん 鈴木真砂女 居待月
花冷や夜はことさらに花白く 後藤夜半 底紅
花冷や客室に帯たたく音 廣瀬直人
花冷や尼の火鉢借りにけり 山口青邨
花冷や山葵作りの穂高村 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
花冷や嶺越えて来し熊野鯖 草間時彦 櫻山
花冷や心電図撮る胸開けて 安住敦
花冷や手鏡に見る胸の傷 村山故郷
花冷や振れば鰭めく別離の手 橋閒石 無刻
花冷や旅の鞄を駅にあづけ 安住敦
花冷や明日へ急がんこころもなく 中村草田男
花冷や昼は客なきのれん内 鈴木真砂女 夏帯
花冷や気まぐれに呑む陀羅尼助 鈴木真砂女 紫木蓮
花冷や浅利歯軋る真闇 石塚友二 光塵
花冷や焼目ほどよき玉子焼 鈴木真砂女 夏帯
花冷や熱き茶碗をもてあそび 山口青邨
花冷や田螺に似たる日日すごす 角川源義
花冷や禁食示す病一室 石川桂郎 高蘆
花冷や箪笥の底の男帯 鈴木真砂女 居待月
花冷や経誦して溜む肚力 鷲谷七菜子 游影
花冷や絨毯の緋や恋ひわたる 齋藤玄 飛雪
花冷や翅なきごとく蜂あゆむ 林翔 和紙
花冷や花の絵に満つ幼稚園 山口青邨
花冷や茄子にトマトに季節なく 鈴木真砂女 夕螢
花冷や茶漬にのせし塩昆布 鈴木真砂女 夏帯
花冷や詩人罵らるゝごとし 小林康治 玄霜
花冷や過去映すまで鏡拭く 有馬朗人 知命
花冷や銃眼の壁厚くせる 阿波野青畝
花冷や露地ものならぬ茄子の艶 鈴木真砂女 夕螢
花冷や願もたで来し結願寺 角川源義
花冷や高野豆腐は薄味に 鈴木真砂女 夏帯
花冷や鱈子の塩のきゝすぎて 鈴木真砂女 夏帯
花冷を覚ゆ螢光燈下にて 波多野爽波 鋪道の花
花冷幾日友の死つひに肯はず 安住敦
花終へぬ花冷三日つづかしめ 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
葬りの日裾よりのぼる花の冷え 中村苑子
薄なさけとは花冷えの長きこと 能村登四郎
行住に座臥に花冷うべなひぬ 後藤夜半 底紅
解きし帯足にからまり花の冷 橋閒石 雪
貧無惨花冷の膝固めても 小林康治 玄霜
送られて花冷えに遭ふ苞の鯉 能村登四郎
遠く来て花ありぬ花冷えありぬ 鷹羽狩行
醍醐より夜をとふ僧や花の冷え 飯田蛇笏 春蘭
鎌倉の夜の道まどふ花冷えや 角川源義
青銅の母子の花冷殊に母 平畑静塔
面箱を覗き花冷しるくせり 伊藤白潮
風炉運び炭生けくれぬ花の冷 後藤夜半 底紅
驚けば外は花冷の大月夜 上田五千石『天路』補遺
高遠の宿の花冷え枕かな 能村登四郎
鳥影の坂を曲りて花冷えす 角川源義


花曇 の俳句
花冷え 花曇のこと_b0223579_18000730.jpeg
花曇 の例句 (↓ここをクリック)


花曇 補遺

あたらしき墓のあたりも花曇り 飯田龍太
あつらへの天気也けり花ぐもり 史邦
うしなひしものをおもへり花ぐもり 日野草城
かうで又なんのあらふぞ花曇 芙雀
かたはらの大きな窓の花ぐもり 日野草城
かりそめの夫の座布団花ぐもり 鈴木真砂女 卯浪
しろたへの砂を湛へて花ぐもり 日野草城
しろ~と下がる横木や花曇 日野草城
すいやうでむまいものほし花曇 路通
すら~と松のみどりや花曇り 木導
そのままに暮れすすみたる花曇 深見けん二
たどんひとついけし火鉢や花ぐもり 鈴木真砂女 生簀籠
どつちらへ落る物やら花ぐもり 嵐青
ひるはすこしおくれて木の芽田楽の花ぐもり 荻原井泉水
ましろなる鳩一羽翔く養花天 原石鼎 花影以後
まつすぐに母を訪ふ道花曇 中村汀女
みさゝぎのおんしづかなる花ぐもり 日野草城
もろともにうれひに酌むや花ぐもり 飯田蛇笏 山廬集
ゆで玉子むけばかがやく花曇 中村汀女
ゆで蛸の足の切り売り花ぐもり 鈴木真砂女 都鳥
ゆる~と芳野の里や花曇 旦藁
ゆゑしらず我鬼をおもほゆ花ぐもり 飯田蛇笏 雪峡
よし原に蒲団ほす日や花曇 〔ブン〕村
わが立てば病壁垂るる花ぐもり 秋元不死男
アンテナの感じてをりし花曇 後藤比奈夫
ガスタンクがスト告げ海かけて花曇り 飴山實 おりいぶ
トロンボンほろんほろんと花ぐもり 伊丹三樹彦
ペン皿のうすき埃や花曇 富安風生
モノレールいづくにか消ゆ花曇 山口青邨
一丁のもめん豆腐や花ぐもり 燕雀 星野麥丘人
一政は壷も山もデフオルメ花曇 山口青邨
一枝に縄かかりある花ぐもり 岡井省二 山色
一軒の山家には花ぐもり濃し 平畑静塔
丈草忌京の三日は花曇り 飯田龍太
二三足鴉が跳ねて花曇 佐藤鬼房
伊勢はてる馬士の鈴鹿や花曇 許六
伊勢まいり都見かへせ花ぐもり 言水
伸び長けし松の新芽や花曇 日野草城
佃島に佃煮を買ふ花ぐもり 鈴木真砂女 都鳥
刺青に通ふ女や花ぐもり 日野草城
厠出し眉のゆるみや花曇 日野草城
又立ちし鳩の羽音や花曇 川端茅舎
口笛のみな旧き歌花曇 中村汀女
古き江に古き壁照り花ぐもり 藤田湘子 途上
古町にせんべ囓るや花曇 大野林火 雪華 昭和三十四年
吉野山たばこの煙花曇 西鶴
君が肩わが肩に雨花ぐもり 村山故郷
咲満る花に淋しき曇り哉 政岡子規 花曇
噴水の水叩く音花曇 右城暮石 天水
四国路に蝶も渡るや花曇り 紫道
団参の宿は三条花曇 日野草城
園児らのこゑの水玉花曇り 飯田龍太
女ども峠こす日や花曇 河東碧梧桐
女の衣街に糶らるゝ花曇 小林康治 四季貧窮
妻つれて兵曹長や花ぐもり 高野素十
婆が手の蕨あをしも花曇 石田波郷
子の友らつぎつぎ嫁ぎ花ぐもり 日野草城
子供ゐる焼土の天の花曇 山口青邨
孫祈りし鶴文机に花曇 山口青邨
実朝の墓政子の墓花曇 山口青邨
富士見茶屋は花曇の松と浪ばかり 荻原井泉水
尼寺に畑一枚花曇り 廣瀬直人
山水のいよいよ清し花曇り 飯田蛇笏 山廬集
山水のいよ~清し花曇り 飯田蛇笏 霊芝
山間や村は杏の花曇り 政岡子規 杏の花
嵐山の枯木もすでに花曇 杉田久女
川の瀬も鳴るや鈴鹿の花曇り 昌房
帰り路やさかぬこゝらも花曇 秋之坊
帰路のはや吉野は遠し花曇 稲畑汀子
床におく秩父の石や花曇 山口青邨
庵からは杉の上野の花曇 政岡子規 花曇
御剌得て出るたうとさや花曇 朱拙
我病めば妻が釘打つ花曇 林翔 和紙
手でむしるくさやの乾物花ぐもり 鈴木真砂女 卯浪
損にして食たかせけり花曇り 山店
星に起て花曇也独ごと 凉菟
春嶽の甌窶にあそぶ花曇り 飯田蛇笏 白嶽
是は其口に入日の花曇 早野巴人
時計の顔壁に退屈花曇 富安風生
曇つた顔の自分の首がきようは花ぐもり 荻原井泉水
朝よりのわが影の失せ花ぐもり 桂信子「草影」以後
朝酒の酔まはりけり花曇 日野草城
東山うねうねとして花ぐもり 日野草城
松原の中のほそみち花ぐもり 日野草城
楽器の辺商談遅々と花ぐもり 伊丹三樹彦
楽器みなはだなめらかに花ぐもり 伊丹三樹彦
樺嵐嶺々をつらねて養花天 飯田蛇笏 雪峡
歯茎かゆく乳首かむ子や花曇 杉田久女
気を乱し叫ぶ鸚鵡や花ぐもり 阿波野青畝
水を飲む猫胴長に花曇 石田波郷
水栓に来てゐし水や花曇 中村汀女
水馬水に生れて花曇 高野素十
泉水に顔をうつすや花曇り 飯田蛇笏 山廬集
洋琴の漆黒つねに花ぐもり 伊丹三樹彦
海へでも行つてみようか養花天 燕雀 星野麥丘人
海老・鮑生簀を異に花ぐもり 鈴木真砂女 夕螢
消炭にのせし火種や花ぐもり 鈴木真砂女 卯浪
淀鳥羽はあの通也花曇 長虹
漆蒔く女の正座花曇 古舘曹人 能登の蛙
炭の香の立つしづけさや花ぐもり 日野草城
焼土の中道担々と花曇 山口青邨
物怨じて言はぬ妹なり花ぐもり 日野草城
犬が見ていたコックの欠伸 花ぐもり 伊丹三樹彦
甘き香の空に満けり花曇り 三宅嘯山
男手に濃く茶を淹れて花ぐもり 村山故郷
疵深き一机をぬぐふ花曇 鷲谷七菜子 一盞
病みて太き兄の足拭く花ぐもり 岡本眸
病室めぐるヤクルト売りや花ぐもり 村山故郷
病院の静かに混める花曇 中村汀女
百姓のあたりうるはし花曇り 土芳
盛るのみのための土盛る花曇 橋閒石 朱明
目をとぢて卵だく鶏花曇 上村占魚 球磨
目をひらき一と日臥しをり養花天 森澄雄
目障りな看板多し花曇 右城暮石 天水
相逢うてけふはミモザの花曇 後藤比奈夫
眼で巨仏逆撫で仰ぐ養花天 鷹羽狩行
研ぎ上げし剃刀にほふ花ぐもり 日野草城
稻正に二百十日の花曇り 政岡子規 稲の花
穴あきの小銭をこぼす花曇 古舘曹人 砂の音
笊底に鱗かわける花曇 橋閒石 朱明
管笠に乙女やしばし花曇り 十丈
篁の穂の光含み花ぐもり 日野草城
翁の面鼻あぐらかく花曇 山口青邨
老いて病む猫をいたはる花ぐもり 日野草城
花ぐもりスッポン汁の粥一椀 村山故郷
花ぐもりピアノのおけいこがはじまりました 種田山頭火 草木塔
花ぐもり一直線に水伸びる 橋閒石 朱明
花ぐもり仏像まなこ閉ぢざるよ 平畑静塔
花ぐもり南に黒しかはら竃 言水
花ぐもり増えて使はぬ銀食器 鷹羽狩行
花ぐもり大きいだけの甕なりけり 橋閒石 微光以後
花ぐもり心のくまをとりけらし 杉風
花ぐもり松に翡翠の瑠璃うごく 水原秋櫻子 蘆刈
花ぐもり楽器おのおのおしだまり 伊丹三樹彦
花ぐもり汐吹貝汐を吹きにけり 鈴木真砂女 生簀籠
花ぐもり海近くして海を見ず 橋閒石 朱明
花ぐもり濃ければ雲雀冴えにけり 日野草城
花ぐもり父にいつもの残り役 鷹羽狩行
花ぐもり田にしのあとや水の底 丈草
花ぐもり男の濶き背を洗ふ 日野草城
花ぐもり絹子カステラを焼きをるや 鈴木真砂女 夏帯
花ぐもり臓腑おもたき牛あゆむ 桂信子 女身
花ぐもり芋蔓ばなし埓もなや 角川源義
花ぐもり風の逢瀬となりてゐし 岸田稚魚 筍流し
花ぐもり鳴瀬に高き橋を蹈む 日野草城
花ぐもり鴛鴦の頭のひかるなり 下村槐太 天涯
花の空薄紅に曇りけり 政岡子規 花曇
花曇* or 養花天 or 花ぐもり
花曇いはふや網の足あらひ 正秀
花曇お馬車たまはり参内す 山口青邨
花曇どこでつつくも嵯峨豆腐 百合山羽公 樂土
花曇ひとりの素顔愛し続ぐ 香西照雄 素心
花曇もろもろの枝込みあへる 三橋敏雄
花曇りして児もなくて女夫寮 飯田蛇笏 家郷の霧
花曇りついふり出してちる桜 政岡子規 花曇
花曇りらしくも見えて霾れり 高浜年尾
花曇り産婆急ぎをりわが産婆 岸田稚魚 負け犬
花曇り都の隅の飛鳥山 政岡子規 花曇
花曇る瀬戸や放浪記の暖簾 古沢太穂 捲かるる鴎
花曇われ等静かに悼まばや 高野素十
花曇ラベルのボレロいつまでも 星野麥丘人 2003年
花曇二階にほせる旅衣 上村占魚 鮎
花曇人にもまれて疲れけり 西島麦南 人音
花曇古き指輪を指にはめ 中村汀女
花曇天主堂と読む金の文字 山口青邨
花曇待つほどもなく電車来る 燕雀 星野麥丘人
花曇昨日の船の今日は無き 中村汀女
花曇桔槹空に石を縛す 香西照雄 対話
花曇海峡夕べの声あぐる 角川源義
花曇稲荷の森にかゝりけり 政岡子規 花曇
花曇鉄の灰皿固き椅子 香西照雄 対話
苗代や杏の花の花ぐもり 相馬遷子 山国
若く死す手相の上の花ぐもり 野見山朱鳥 荊冠
蒟蒻に味沁み込ます花ぐもり 鈴木真砂女 都鳥
蒸風呂をはひ出でて花曇なり 清崎敏郎
見えてゐる舟が近づく花曇 上村占魚 球磨
見ごろにて花ぐもり精神科ひるね 平畑静塔
見て通る雷松や花ぐもり 助然
親しきはフォスターの曲花ぐもり 日野草城
誰もみなコーヒーが好き花曇 星野立子
貝吹やよし野のおくの花曇リ 桃妖
軍船は海にしづみて花ぐもり 飯田蛇笏 山廬集
退庁の帽をいただく花曇 後藤夜半 翠黛
遺児愛す情おのづから花ぐもり 飯田蛇笏 雪峡
還俗の咎なき旅や花曇り 飯田蛇笏 霊芝
里人の堤を焼くや花曇 村上鬼城
金閣をおりて漫歩や花曇 日野草城
鎌倉が遠くなりけり花ぐもり 山口青邨
門の花静かに白し花曇 原石鼎 花影
門を出てしばらく迷う花ぐもり 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
隠家や梨一もとの花曇 高桑闌更
風立ちて身を揉む竹や花ぐもり 日野草城
養花天うかれごころもなかりけり 岸田稚魚
養花天ひそかに許す懈怠の性 相馬遷子 山国
養花天落日とみに耀ひぬ 西島麦南 人音
馬の耳うごくばかりや花曇り 飯田蛇笏 山廬集
鬼月のみな吐息なり花ぐもり 許六
鯨吹九十九里だも花曇リ 千奈
龍宮の鐘のうなりや花ぐもり 許六

以上

by 575fudemakase | 2022-03-29 18:54 | ブログ


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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