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沈黙 類語関連語(例句)

沈黙 類語関連語(例句)

●沈黙●黙る●黙り●無言●黙●押し黙る●黙らす●黙す●暗黙●黙止●黙秘●噤む●緘口●不言●絶句●ノーコメント●寡言●一言●呟く 呟き●囁く●ささめく●私語●耳打ち●口籠る●失語●吃る

●沈黙 
ちちのみのちちの沈黙海の照り 山崎智子
ひまわり畠の 大きな沈黙 南印度 伊丹公子 機内楽
まひる冬天の青かぶさり来て沈黙 加藤楸邨
ストーブの音のみ会議沈黙す 森田峠 三角屋根
一切沈黙安土城址の落し文 橋本榮治
一木の沈黙永し百千鳥 三橋敏雄(1920-2002)
争ひし後の沈黙蚯蚓鳴く 相河美智子
先生の沈黙野火のごときかな 中山美樹
冬の河沈黙のあとの紙人形 保坂敏子
声帯の極彩色の沈黙や 山崎十死生
大学の沈黙おもたい森 あるく 伊丹公子 アーギライト
家中に夫の沈黙梅雨に入る 加藤知世子 花 季
我が名秋邨汗の沈黙(しじま)に呟かる 加藤秋邨 穂高
新米の医者の沈黙フリージア やのかよこ
旅で持つ沈黙は金春田見て 田川飛旅子
日陰りしサルビアの赤沈黙す 嶋田摩耶子
旧植民地の色壁 人影 沈黙の 伊丹公子 ドリアンの棘
月光に大き沈黙夫とゐる 橋本美代子
殉教の千の沈黙いぬふぐり 上柿照代
水爆の死の灰に えびがにも 抗議する沈黙 吉岡禅寺洞
沈黙といふ祈りあり阪神忌 池田琴線女
沈黙にジャズすべり込む秋の宵 木暮陶句郎
沈黙の*かりんを載せし師の一書 鈴木鷹夫 千年
沈黙のあとの爆笑初高座 麻生やよひ
沈黙のつづき白桃置かれけり 折井紀衣
沈黙の心を冬の夜が結ぶ 阿部みどり女
沈黙の掟に寒き修道院 高橋幸子
沈黙の池に亀一つ浮き上る 尾崎放哉(1885-1926)
沈黙の海の深さの黒葡萄 藤岡筑邨
沈黙の真只中を木の実降る 風間 圭
沈黙の石庭に秋ひそみゐし 水見壽男
沈黙の筋を通して冬の鵙 香川千江子
沈黙の臓器いづこも秋の暮 高澤晶子 純愛
沈黙の色あざやかに冬紅葉 安井常人
沈黙の茂り蔓草奔放に 滝春一
沈黙の間合ひ正しく鉦叩 名雪たけし
沈黙はときめきほどのバラの束 平田かほる
沈黙は妻の反抗毛糸編む 司馬圭子
沈黙は金なり松葉牡丹も金 みつはしちかこ
沈黙は金なり金木犀の金 有馬朗人 母国
沈黙は金のレモンの香なりけり 細川加賀 『玉虫』
沈黙へ去りし一人を霧ふかき樅の一と木のごとく思ひつ 田井安曇
沈黙もこころの言葉露涼し 金田きみ子(朝)
沈黙も一芸のうち蟇 小原啄葉
沈黙も会話の一部夕端居 山田弘子 こぶし坂
沈黙も言葉のひとつ龍の玉 太田寛郎
沈黙や夕ベはひどく犀である 攝津幸彦
沈黙をまだつゞけゐし雨蛙 右城暮石 上下
沈黙を気づまりとせず長き夜を 今橋真理子
沈黙を通せず笑う石榴の実 金沢よし子
沈黙を運ぶメトロの冷房車 池部淳子(蘭)
沖に陽の長き沈黙敗戦日 伊藤文子
沙熱し沈黙世界影あるき 加藤楸邨
涼しさや山は沈黙海多辯 阿部みどり女
清水のやうな沈黙地震の山耕す 加藤知世子 花寂び
潔癖なる沈黙午後の霜柱 津田清子 礼 拝
百万年灼かれ絶壁沈黙す 仙田洋子 雲は王冠
胸中の港ひらけ一隻ごとに沈黙し 和田悟朗
萍や沈黙というちからわざ 松本勇二
蛇の衣懸かり死の谷(デスバレー)沈黙す 仙田洋子 雲は王冠
野の沈黙榛の木肌のひかるさへ 川島彷徨子 榛の木
降る雪に楽器沈黙楽器店 大橋敦子 母子草
●黙る 
人声にすぐ黙る虫虫供養 河本 和
八月六日貨物列車が来て黙る 漆畑利男
凩を来て末席におし黙る 吉本 昴
卒業歌止んで花壇の石黙る 百合山羽公 寒雁
吠え犬に鶴七千羽おし黙る 品川鈴子
吹かれて軽い体重可動橋黙る 堀葦男
大伽藍春とどめんとして黙る 和田悟朗 法隆寺伝承
扇風機の全速享けてひと黙る 野澤節子 黄 瀬
押黙る遅日の口を見つめをり 綾部仁喜 寒木
日盛りや舟に乗りこむとき黙る 池田澄子
昼の虫一声鳴いて押し黙る 八幡より子
毛馬の閘門 はつなつ 光も影も黙る 伊丹公子 沿海
汽車全く雪原に入り人黙る 西東三鬼
炎天を来しよこがほで押し黙る 江崎紀和子
炎昼のポプラの揺れて街黙る 赤木啓子
熱の午後破れ風鈴も押し黙る 石川桂郎 含羞
萱を負ひ雀色時おし黙る 山口誓子
落日はげしくて黙る 廃礦村の恋人 伊丹公子 メキシコ貝
近づけば黙る花野の岩いしころ 川崎展宏
馬追の黙る雨量となりてゐし 福永耕二
魚と老人 時雨れて黙る 遺唐港 伊丹公子 時間紀行
黙る木に隣りひねもす囀る木 尾開くに子
●黙り 
おおかた黙り 漁師が過ぎゆく葛の前 伊丹公子 時間紀行
すゝき光るさびしき黙り鴉をる 杜鵑花句集 金児杜鵑花
みな黙りしときや枯葉の裏がへる 加藤楸邨
われ黙り人話しかく赤のまま 星野立子
人黙り冬日の岩にいどみゐる 石橋辰之助 山暦
十人が十人黙り田を植うる 野中穂浪
咳真似てゐたる生徒ら黙りけり 森田峠
四囲芽吹く中や一樹の押し黙り 青柳志解樹
囮鵙声を立てずに黙りゐる 野村喜舟
夏川の雄々しさにおし黙りゐつ 細見綾子 花寂び
岬にてみな黙り込む冷奴 篠原俊博
従軍僧黙り白菜陽にちゞれ 石橋辰之助
押し黙り見居り花菜の虻の所作 高澤良一 素抱
押黙り苧殻の焔(ほむら)見つめをり 高澤良一 素抱
旗振り老いて一生黙り通す気か 細谷源二
日沈むや黙りこくつて鵙あはれ 原石鼎
春風邪の情なしに似て黙りゐる 柴田白葉女 遠い橋
木枯や黙りこけたる椅子ひとつ 妹尾 健
枝豆や酒さめまじく黙りをる 榎本冬一郎
根元まで梅咲いて杉黙りいる 和知喜八 同齢
泣き砂の黙りて梅雨の琴の浦 西村公鳳
流し雛天を仰ぎて押し黙り 原裕 『出雲』
海亀と頭突く子 都心のガラス黙り 伊丹啓子
渋柿の黙りこくつて完熟す 佐賀日紗子
焚火人金色の眼におし黙り 内藤吐天 鳴海抄
玄海の押し黙りゐる日の盛り 伊藤通明
紫蘇の香にをりをり触れて黙りをり 加藤楸邨
縄とびを兄にゆづりて黙りけり 依光陽子
舟遊び陸のかすめば黙りけり 佐野良太 樫
行く年の夜の山々押し黙り 上島幸重
行く春を翠帳の鸚鵡黙りけり 行く春 正岡子規
裏山やついりの鳥は黙り鳥 林原耒井 蜩
軍艦旗お昼休みは黙りけり 岡村知昭
露寒や兄妹さらに黙り合ふ 石田波郷
霾れり身重の鴉黙り込む 小倉汀[ホウ]
鵯鳴けば椋鳥黙り又しやべり 高濱年尾 年尾句集
黙りけり夜寒の男五六人 夜寒 正岡子規
黙りゐて血の濃くなつてゆく冬か 北登猛
黙りゐる鵯にいろ解く春の山 加藤水虹
黙り合ふ磧の石やねこじやらし 和田 祥子
黙り男に箱根の雪のにぎらるる 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
黙り鵙秩父は曇りふかめけり 木内彰志
●無言 
うつつや冥き無言の雑踏地蔵盆 成田千空 地霊
がやがや来て 無言で戻る 蓮の花 西岡寿美子
ことさらに無言詣のまはりみち 武藤舟村
こほろぎの真上の無言紅絹を裂く 平畑静塔
さくら枯れ僧院めきし無言館 大堀澄子
ためらわず妻が無言に毛虫焼く 安達知恵子
たわわ青胡桃無言にしやべりだす 寺田京子 日の鷹
みかんむき無言で足りる夫婦かな 末岡菊江
われも亦無言を守り座禅草 藤田湘子 てんてん
アイスクリーム無言で舐めて反抗期 満田春日
アカシアに芽吹きの雨や無言館 谷渡末枝
ブロウニュの瀧も無言を破りをり 横光利一
一揆駆けし野の土筆無数無言かな 小林康治
両岸の無言の群衆秋の水 中村草田男
丸眼鏡冴ゆる肖像無言館 田中利子
兵馬俑軍団無言春寒し 磯 直道
冬座敷とほる無言の老牧師 飯田龍太
冬空の鴉の無言電話かな 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
冷まじや無言館とは悲しき名 内田幸子
冷麦食ぶ無言無風の父と子と 平木智恵子
初暦富嶽無言のことばあり 松本 光
咳きのあとの無言を自恃とせり 小澤克己
団交無言ぎらりと返る夜の金魚 川村紫陽
夏墓にわつと無言の歓呼かな 攝津幸彦
夏茶碗無言いよいよたのしけれ 八木林之助
夜を脱ぐ無言のドラマ星飛んで 齊藤素女
夢に来て無言の夫よ雪ぼたる 緒方みどり
大試験終り無言を解かれけり 松本巨草
夫と来てやがて無言の花の下 加藤元子
夫は無言の足音に充ち雪谿越ゆ 加藤知世子 花寂び
女三人の無言の昏み曼珠沙華 野澤節子 花 季
姉妓にも無言詣のことは秘し 中田余瓶「百兎集」
子ら去って二人無言の蜜柑剥く 山口晃
安土城址を宙に無言の毛見の衆 橋本榮治 麦生
寒鯉に出刃の近づく無言かな 鈴木鷹夫 千年
小鳥来る少年無口にして無言 井出真理子
岬に集る無言の提灯踏絵の町 金子兜太 金子兜太句集
帰り来て無言の家族いちじく食ふ 松崎鉄之介
幾百の無言の語り部流灯会 岸田芳雄
懸想文売の無言は予て知る 後藤夜半 底紅
扇風機誰も無言の時愛す 古賀まり子 緑の野以後
捩り花地蔵無言の石並ぶ(津軽路) 河野南畦 『湖の森』
掃除婦のおばさん雨の日は無言 上岡鎮馬
掛乞や無言でいぬる餅の音 許六
摘みて流す菫無言はあたたかく 神尾久美子 掌
敗荷や頭を垂らす無言劇 飯田春紅
日を吸ひて麦蒔き終へし野の無言 馬場移公子
日本海黒無花果に無言なり 黒田桜の園
月光に棒稲架たちの無言劇 鎌田 亮
月蝕や天の無言歌喉に授く 五島エミ
杜父魚や妻を愛して無言の詩人 長谷川かな女 花寂び
枯園に入りて無言の人となる 滝 峻石
柚の花や今日の無言も入日まで 加藤楸邨「怒濤」
柿食ふや妥協を決めてより無言 川村紫陽
桜切る父七十歳の無言にて 寺田京子 日の鷹
歌かるた無言の人の上手かな 浜田波静
歳晩の路の石踏み無言なり 赤尾兜子
母爽やか無言の辞儀は膝曲げて 平井さち子 紅き栞
汗のてのひらを泳がす無言劇 行方克巳
涸川見る砂利採り馬の無言見る 寺田京子 日の鷹
湯気立てて男無言の轆轤の座 森 えみ
炎天下無言で父に叱らるる 和田耕三郎
無言こそつよき諍ひ落葉期 宮坂静生 雹
無言で対す無言の雪の八ケ岳 小林草山
無言とは妻の仕打ちの秋の霜 澤 悦子
無言にて座りしままの暦売 松尾隆信
無言よし漬け茄子のつや青夕映 堀 葦男
無言劇見るやかげろふ燃ゆる野に 高見道代
無言詣人のうしろにつきながら 加藤三七子「無言詣」
無言貿易石炭を骸(おどろ)かす雪 竹中宏
無言館に入るは英霊訪ふ寒さ 鈴木榮子
無言館の無言コスモス乱れ咲く 四倉喜美子
無言館への坂道妻と斑猫 鈴木明(野の会)
無言館へ坂の途中の鳥威 川原とし江
無言館出て日盛りへしばし無言 吉田未灰
無言館前にてはづすサングラス 土井ゆう子(青嶺)
無言館花栗匂ふ登り口 長村雪枝
牡蠣を割る方一尺の無言の座 水原 春郎
甲乙丙丁戊戊は侏儒無言焚火かな 東洋城千句
白露や無言を応へなしとせる 上田五千石 田園
百咲いて百の無言や座禅草 藤田湘子 てんてん
目を伏せて無言詣と思はるる 宮田枝葉「瞑想]
眼伏せて炭ついでゐる無言かな 青峰集 島田青峰
瞳が涼し蓬髪無言の山男 福田蓼汀 秋風挽歌
神無言風花無言いのちの赤 平井照敏 天上大風
秋の野のちからは川の無言にも 石川静雪
秋の馬われの無言を過ぎゆきぬ 金子兜太
秋蝶のまぎれ込みたり無言館 武田稜子
笑みと云ふ無言の会釈暖かし 田中暖流
紙漉くや雪の無言の伝はりて 細見綾子 黄 炎
羽抜鶏裂く間も農夫無言のまま 宮坂静生 青胡桃
老鶯のはるかに聞こゆ無言館 市野沢弘子
聖五月神は一切無言にて 山本嘉郎
膝の子も無言颱風来る夜なり 有働亨 汐路
花了へし梨棚や無言人に強ふ 宮津昭彦
花疲隣同志にゐて無言 星野椿
荒れ墓地に西日無言の鬨をなす 下村ひろし 西陲集
落葉敷きつめて尾長の無言劇 堀口星眠 営巣期
蓮根掘る男よろめきても無言 花谷和子
蝉穴を無言で過ぎし一兵士 相原左義長
蟷螂と無言にあそぶ濡れ髪して 野澤節子 黄 瀬
行く春を無言の人のあはれなり 行く春 正岡子規
行春や画学兵士の無言展 中村一維
読み書きは無言に如かず竜の玉 宇多喜代子 象
赤ん坊と無言の刻や星増ゆる 八木三日女 赤い地図
遺跡とは無言の歴史油照 田中まさし
郭公やみぬ導水管に無言の刻 栗生純夫 科野路
酒に力借りて無言の蓮根掘 大熊輝一 土の香
金木犀シルエットでも無言でも 田井淑江
闇ふかき半裸の無言おそろしき 加藤楸邨
雉子鳴くや無言の詩のゆきもどり 阿部みどり女
雪ふりつむ明日にそなへて無言のとき 加藤楸邨
雪嶺の無言に充てる太虚かな 松本たかし
雪無言書かざる一語一語積む 成瀬櫻桃子 素心
雪被く父情無言に斧始 深谷雄大
雪踏みの無言につづく深雪空 松村蒼石 雪
霜柱無言は力尽しけり 綾部仁喜 樸簡
露更けぬテント四人の無言界 岡田 貞峰
青葉季生きて無言のひとりの餉 殿村莵絲子 雨 月
鞦韆を下りきて僧の無言かな 加藤楸邨
願ぎごとを恥ぢつつ無言詣かな 加藤三七子
風の中 無言あふれる弥生変 穴井太 土語
風厳し無言の行や座禅草 黒田 節
鬢の霜無言の時のすがたかな 許六 十 月 月別句集「韻塞」
鳥交る無言館出て皆黙し 中戸川朝人
黒牡丹無言の黒が水を吸ふ 原 和子
●黙 
いまはじまる春の黙劇朴の天 三谷昭 獣身
えぞにうや曇りを凌ぐ牛の黙 成田千空 地霊
こほろぎや黙のほのかに弥勒仏 長谷川櫂 古志
さくら貝黙うつくしく恋しあふ 仙田洋子 橋のあなたに
しぐるるや鉄筆捨てし黙ふたつ(川島四天居にて筆耕) 細川加賀 『傷痕』
しぐるゝや萩の囁鮒の黙 幸田露伴 拾遺
ちぢこまり黙の重さの海鼠かな 川崎展宏
ふたりゐてそれぞれの黙雪催 辻美奈子
またたきは黙契のごと梅雨の星 丸山哲郎「羞明」
むさし野に弦月淡く木木の黙 松井一郎
わが死はいつもみぢて深き山の黙 鈴木昌平
われになき石の黙欲る秋の風 上村占魚 『方眼』
パラシウト天地ノ機銃フト黙ル 西東三鬼
一冬の黙負ふか畦圧し圧し塗る 加藤知世子 花寂び
三黙の行了へ下山爽やかに 小林牧羊
亀いつか鳴く神苑の黙ふかき 岩井三千代
二人居の黙ころころの独壇場 酒井美知子
人の黙こはし岬の虎落笛 大木あまり
今日の黙ほぐして鳥の帰る影 奥田莫愁
共に冬越す黙契の蜂も死す 殿村莵絲子 花寂び 以後
兵馬俑六千の黙冷じや 三宅美樹
冬かもめ黙契は身をほとばしる 宇多喜代子 象
冬深む黙契のごと双拳 村越化石 山國抄
唖蝉は神の与へし黙ならむ 熊崎かず子
喪服脱ぐ妻とわが黙雪の暮 鈴木鷹夫 渚通り
囚徒の列姿勢ばらばら黙寒し 加藤知世子 花寂び
囲炉裏の農夫一度だまれば黙深し 福田紀伊
声明の黙より春の蚊がひとつ 中岡毅雄
夏痩か否かと問へば維摩黙 夏痩 正岡子規
夏痩をしたかととへば維摩黙 夏痩 正岡子規
夕焼の黙人の黙山を崩し 直人
大雪の黙を持ち込む終列車 橋本榮治 逆旅
奥まろむ雪緘黙の幹のかず 千代田葛彦 旅人木
妻の黙水からくりの泡見てより 加倉井秋を 『真名井』
妻病むや千のはちすの千の黙 小川原嘘帥
婆・嫁・乙女の黙が深まり紙漉きだす 加藤知世子 花寂び
山河の闇へ黙の解放踊り唄 加藤知世子 花寂び
巌の黙一つを見ても秋と思ふ 上村占魚 『自門』
年守りて黙然とゐぬ榾盛ン 村上鬼城
幹黒く愛憐の黙冴ゆる村 成田千空 地霊
幼年期の子と立つ 恐竜の黙へ来て 伊丹啓子
後ろ手の麦踏の黙引返す 笠原古畦
怖ろしき冬木の黙や穴居あと 町田しげき
新涼や骨董市は黙ばかり 植木里水
日記果てのしかかりくる四方の黙 児玉俊子
春宵の黙に万金ありぬべし 内藤桂子
春炬燵口すべらせてよりの黙 八幡より子
春陰の岬がほどく海の黙 河野多希女 両手は湖
春黙の麦の眼鏡の玻璃厚き 森川暁水 黴
木々の黙極まれば雪さらに雪 橋本榮治 逆旅
杉の黙解かれ社の初太鼓 川本春美
杉玉の黙に六甲おろしかな 赤尾恵以
栗むきて夫婦は黙の刻多し 冬一郎
案内僧の黙の余韻や蚊火の寝間 平井さち子 完流
森の黙に星座集いて敗戦忌 酒井弘司
横光忌黙契いよよ頑に 石田波郷
樹々の黙光るまで佇つ初詣 知世子
樹々も黙解かむと南風の爆心地 橋本榮治 麦生
橙に黙約のごとき一葉かな 宇多喜代子 象
毛糸編はじまり妻の黙はじまる 加藤楸邨
水仙や縫ひゐし黙に声嗄れて 小堺まさみ
法黙の賺したまへる冬の湖 岡井省二
浅蜊の黙岩色砂色もたらせしに 香西照雄 対話
浅蜊掻く男の黙に近寄れず 柴田雪路
海見ては麦踏の黙まぎらはす 平野伸子
涅槃像黙深くして灯に揺るる 磯 直道
焼芋屋通り授業の黙ゆるむ 樋笠文
熱高き猟銃音ののちの黙 石川桂郎 含羞
牡丹焚き戻りは一人づつの黙 今瀬剛一
牡蛎割の黙牡蛎殻の山の黙 中澤高志
牡蠣よりも海鼠の黙ぞ深からむ 相生垣瓜人
病虚吼奥に黙いて獺祭忌 岸風三楼 往来
白菜の黙ひとつづつ括りゆく 西村梛子
盗伐黙許よりの巡査や柿の秋 久米正雄 返り花
真ッ白な蛍ぶくろも梅雨の黙 酒井龍也
真直ぐに黙通しおり雪の杉 伊藤かず
石庭の黙のいよいよ遠添水 亀井糸游
石筍の黙満つ闇のすさまじき 綱川矢須子
神島を黙契の蟹はい出づる 宇多喜代子
神杉の千年の黙冷まじや 森戸光子
秋時雨またあきしぐれ山の黙 稲岡 長
簾編む音の中なり黙の中 綾部仁喜 寒木
緑さすや君と別るゝための黙 小林康治
緘黙児と対す風鈴これに応ふ 樋笠文
罌粟ひらく少年の黙父の黙 川見至世
美しき神の黙あり初神楽 伊藤敬子
老夫妻黙の糸瓜に夕餉はや 松村蒼石 露
老夫婦の黙に沖さす遠ヨツト 桂信子 黄 瀬
色鳥の来て禅堂の黙ゆるむ つじ加代子
草取りの黙の世界でありにけり 小川笹舟
葡萄樹下少年と黙分ちあひ 橋本榮治 麦生
蝋質の光馬市に馬の黙 成田千空 地霊
螻蛄鳴くと言ひてより黙ほぐれけり 小原慶女
蠅取機の捩子巻いてより妻の黙 石川桂郎 含羞
跪坐の黙いつまで サルタンモスクに老い 伊丹公子 ドリアンの棘
近づいて芦刈の黙貰ひけり 伊藤白潮
連なれる雪嶺の黙天を占む 山本歩禅
遠雷や襖へだてし兄の黙 池田澄子
録音の黙鳥交るこゑが占む 中戸川朝人 残心
長き夜の妻との黙に馴れにけり 杉本寛
霧の中相対ふ巌の黙深し 相馬遷子 山国
青北風や土偶三千年の黙 矢野忠男
青柿の昃るは母の黙の刻 村沢夏風
頭にあまる入学帽子黙送す 清水基吉
風花す牡蠣割の黙われの黙 川畑火川
高嶺の黙男突つ立ち夏桑つむ 加藤知世子 花寂び
鰯雲比ぶなき墓石の緘黙 内藤吐天 鳴海抄
鴉鳴いて枯野の黙を深うしぬ 駒村多賀子
黄葉を来て黙契の墓二つ 小澤克己
黙に耐う黒きハンカチたたみ込む 中山英子
黙の庭花柊は香をこぼし 中岡利子
黙契といふ枷のあり返り花 片山由美子 水精 以後
黙契のごとし額に蜘蛛の糸 正木ゆう子 静かな水
黙契のごと秋澄める石と居り 鷲谷七菜子
黙契の三弟子木の葉髪古りつ 清水基吉 寒蕭々
黙契の初雪と見て飛騨に住む 小鳥幸男
黙契の重みに菊に額づくのみ 林翔 和紙
黙契は凍てたる瀧にこそすべし 大木あまり 火球
黙契やてのひらに水あふれしむ 穴井太 天籟雑唱
黙契や鬼百合の脈ゆっくり打つ 大西泰世 世紀末の小町
黙座すれば吾名を呼びぬ時鳥 時鳥 正岡子規
黙念と氷りつきしや動かれず 佐野美智
黙深く戦の島の熱砂踏む 土田桃花
黙満ちてときに間遠し除夜の鐘 鍵和田[ゆう]子 未来図
黙濤の一分長し蝉しぐれ 川村紫陽
黙然と朝市に座す飾売り 三浦敬太
黙然と火鉢の灰をならしけり 夏目漱石 明治二十八年
黙然ト絲瓜ノサガル庭ノ秋 糸瓜 正岡子規
黙狂/滄溟//零の軍勢がのぼる 高原耕治
黙約のために紅梅は才智の花をひらく 橋本夢道 無禮なる妻抄
黙通したき日や黒き防寒靴 鍵和田[ゆう]子 未来図
黙黙と神仏多しむめの花 三橋敏雄 *シャコ
●押し黙る 
昼の虫一声鳴いて押し黙る 八幡より子
炎天を来しよこがほで押し黙る 江崎紀和子
熱の午後破れ風鈴も押し黙る 石川桂郎 含羞
●黙らす 
姦しき客を黙らす蟹の鍋 清水由利子
●黙す 
かみ合はぬ話に黙す隙間風 加藤武夫
しだいに黙す隠元豆を茄でいし妻 藤野 武
ほとゝぎす若き牧夫と湯に黙す 相馬遷子 山国
オリオンは男の星座黙すのみ 大西泰世
久々に会えば黙する雪囲い 吉田功
九官鳥黙すうしろの森に月 斉藤夏風
人は黙す冬となりゆく野のさやぎ 林原耒井 蜩
兜虫黙すは力蓄ふか 橋本住夫
冬近き寺苑静寂人黙す 高木晴子 花 季
冬銀河激せば黙すわが性よ 妹尾 健
初硯たのしきときは黙すなり 加藤楸邨
初鴨の大羽博ちにも比良黙す 阿波野青畝
君が代の朝の暑さに緘黙す 池田澄子
夾竹桃語りつくして黙すのみ 小坂誠子(萩)
家にては黙す返り花見しことも 加倉井秋を 午後の窓
小説のヒーローわれや夏黙す 藤森成吉 蝉しぐれ
少林山全山灯し星黙す 田中英雄
岩山に月消え仏法僧黙す 坂井多嘉
布教部委員会の吾が黙す黄帷子よれたり 梅林句屑 喜谷六花
日当りて黙する山の墓を見る 飯田蛇笏 椿花集
春の霜幼子黙す別れかな 相馬遷子 山国
村黙す二日続きの雹害に 吉村ひさ志
梟に似て黙す一家晝を在り 安斎櫻[カイ]子
棒杭のごと百姓黙す露のミサ 宮坂静生 青胡桃
樹も石も勁きは黙す大やんま 橋本榮治 麦生
汗の教師黙すをもつて怒りとす 藤岡筑邨
漁り火をななつ数えて父黙す 山崎冨美子
熱砂降る飼はれて黙す亀の上 小池文子 巴里蕭条
燃えあがる送り火見つむただ黙す 安間敏子
牡蠣食つて漫才夫婦相黙す 安住敦
瓦斯煖炉黙せばひとのうち黙す 加藤楸邨
目刺買ふをみながむれのわれ黙す 宍戸富美子
福島駅冬梨のごと人黙す 角川源義
秋惜しみ黙すこころの触れあへり 石原舟月
稲妻のつづけさまなりわれ黙す 山口波津女 良人
稲妻のはげしさ夫とゐて黙す 山口波津女 良人
稲雀さわぎ都府楼址石黙す 成瀬桜桃子 風色
窓に枯野神説かれゐてひた黙す 友岡子郷 遠方
笹鳴の鳴く間黙す間時が充つ 加藤楸邨
罫書工黙す鐵板に深冬来し 内藤吐天
茶摘女のやがて黙すは競ふなり 白岩 三郎
藁塚を通行人として黙す 永田耕衣
話しかけ来る木黙す木蝦夷鼬 渡辺みや子
誰も富士詠まんと黙す初句会 福田甲子雄
防風とり怒濤の前にみな黙す 古舘曹人
雨蛙石となつたる墓は黙す 水原秋櫻子
雪藉きて狐ら黙す寂しさは 堀口星眠 火山灰の道
霍乱のしづもる背中みて黙す 平瀬直之
霜天に万象黙す日の出前 相馬遷子 山河
鯊釣人の毛膝や海もただ黙す 中村草田男
黒姫の雪にあかあか沈む日は谷こえて黙すわが父に射す 田井安曇
黙すれば雨通りゆく蓬餅 萩沢克子
黙す日は想ひ湧く日よ寒雀 宍戸富美子
●暗黙 
暗黙の干柿美濃は雪積まむ 殿村莵絲子 雨 月
●黙止
●黙秘
●噤む 
いとけなき口を噤みぬ花桔梗 松瀬青々
十二月八日と言ひて口噤む 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
口を噤めばことごとく雨意の葛 齊藤美規
口噤むことに慣れたり蓼きざむ 小林康治
夕焼濃き海を航くなり口噤み 津田清子 礼 拝
引鴨にやはらかく口噤みゐる 石田郷子
枝蛙子とまねせしに噤みたる 篠原梵 雨
独活食みし口を大事に噤みけり 大石悦子 群萌
筍は口を噤んで掘るべかり 高澤良一 鳩信
老の口初笑ひして噤むなる 皆吉爽雨 泉声
近づけばまつたく噤み草摘める 原田種茅 径
郁子は実に口噤ぐ術覚えけり 田口里子
鰯雲少年ふつと口噤む 吉田輝二
黯黯と蛇が噤みて山つ方 和田悟朗 法隆寺伝承
●緘口 
青梅の青の非情や緘口妻 橋本夢道 『無類の妻』以後
●不言 
たつつけを穿く学僧の不言 岩崎照子
不言問木尚妹与兄桃李 桃の花 正岡子規
主不機嫌花圃に跼みて不言 西山泊雲 泊雲
優曇華を禍とす妻にあへて不言 森川暁水 淀
大風や名草の芽の不言 阿波野青畝
年酒酌むときも独りで不言物 後藤比奈夫 めんない千鳥
御慶のぶ互ひに老いしこと不言 小原うめ女
志立てて涼しも不言 藤田湘子 てんてん
蒲団敷てくれる女や不言 雉子郎句集 石島雉子郎
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
●絶句 
一箸の海鼠腸友の絶句せり 小柳俊治
五柳先生六花七言絶句之天 加藤郁乎
偈の如く糸瓜の絶句黙読す 浅井青陽子
曝書絶句す 栄 秋水 寒村伝 尾村馬人
月今宵五言絶句の起伏かな 藤 映子
次韻して謝する新茶の絶句かな 新茶 正岡子規
正信偈あげつゝ絶句母の冬 大橋敦子 手 鞠
残る虫時々絶句してをりぬ 田中玉江
法師蝉法師と絶句せるを聞く 赤松子
父さんはやさしかつたを絶句とす 筑紫磐井 花鳥諷詠
生みつづく絶句のかたちしやぼん玉 清水三千代
秋ひとり君が絶句を正しけり 黒田杏子 花下草上
花辛夷師の絶句碑に影曳いて 小原菁々子
●ノーコメント
●寡言 
冬座敷寡言は性とあらねども 石塚友二 方寸虚実
●一言 
あれませる一言主や大嚏 五島高資
うそ寒や一言居士の疎まれし 平井節子
うどんげや祖母の一言今もなほ 神山喜美代
おおつという夫の一言蕗味噌ぞ 上條たかこ
おそくなる賀状に一言詫を添へ 門前克子
かき氷父が一言ほめしこと 松永晃芳
ごめんなさいの一言いえず花八ッ手 野村トミ子
さくらんぼ一言いへばみんな言ふ 平渡藻香
つきまとふ死者の一言寒肥す 鈴木六林男
ぴしと一言雪に研がれし心もて 林翔 和紙
よしといふ一言の神辛夷咲く 矢島渚男 木蘭
わが職をうばふ一言雪の果 天野松峨
われにある虚子の一言虚子忌かな 新田千鶴子
一人居の蚊にも一言かけにけり 彦坂麻子
一言が多い雪だるまから溶ける 斎須信子
一言で癌と告げられ躑躅燃ゆ 高澤良一 ねずみのこまくら
一言で荒れる唇寒の水 高澤晶子 復活
一言に三日狂ひぬ秋の蝿 竹貫示虹
一言に誘はれつぎて笑ひ初め 遠藤 はつ
一言の冷たかりけりいつまでも 深見けん二 日月
一言の忘れ扇に及ぶなき 島村元句集
一言の真意に崩る冬さうび 古市絵未
一言の願ひも持たず初詣 塩川雄三
一言はかヘじ清水の如きあり 松瀬青々
一言は伊吹の雪を寒見舞 松瀬青々
一言もなく詫びてとく懐手 下村梅子
一言も言はぬ貫禄生身魂 八木くに
一言を抑え切れずに隙間風 栗山美津子
一言主に長々申し凍みにけり 松崎鉄之介
一言主雪を蹴立てゝ雪を蹴て 横山白虹
久闊の一言加え賀状書く 村井杜子
亀鳴くや昼を居眠る一言主 佐野美智
事なきと医師の一言天高し 高橋多賀
冬の虫言はぬ一言とはに生く 加藤楸邨
冷やかにただ一言の美しき 鶏二
冷酒や一言の悔いひきずりて 金子豊子
医師の一言われを起たしめ曼珠沙華 阿部みどり女 月下美人
口下手の夫の一言初鏡 早乙女成子
吹雪の中戻りしためによき一言妻より生る 橋本夢道 無礼なる妻
問はれれば一言応ふこと涼し 上野さち子
干草を踏んで一言主拝む 前田野生子
征つて来ますと一言青葉風あり 秋山秋紅蓼
怖れ入る君の一言燗熱し 高澤良一 随笑
春暁やまだ一言ももの言はず 倉田紘文
曲げられぬ男子の一言けんぽなし 高澤良一 燕音
月光の身に一言の叱咤もなし 橋本美代子
木瓜あかし一言に足る母の愛 高木美紗子
桔梗や死に一言の暇なし 長谷川櫂 虚空
桜落葉と一言仰ぎ農俳人 阿部みどり女
歯朶枯るゝ一言主の宮ほとり 岡本松浜 白菊
毛虫行く一言主の神の前 石野冬青
添水鳴る一言主は醜の神 越智 郁
渡り鳥一言いえぬ問診に 相原左義長
滝へ向く一言観音日の一条 岩崎波久
猫柳一言云ひて皆触るる 高澤良一 ももすずめ
百姓の一言返事地虫出づ 米沢吾亦紅 童顔
章魚ふるまひ一言一句漁婦したし 古館曹人
紅梅に侍りて一言あるべきか 高澤良一 素抱
背筋冷ゆ一言波郷死すと嗚呼 石塚友二
葛城の一言さんも眠りしか 稲岡長
葛城の一言主の冬の雷 有馬朗人
蝶涼し一言主の嶺を駈くる 阿波野青畝
身に入みるてふ一言をききにけり 橋本鶏二
防風つみ風に一言ききもらし 阿部みどり女
雑木林年賀一言笛となる 寒々
露けさや男の否は一言に 櫛原希伊子
願ひまゐらす一言様に鳥総松 沼尻巳津子
●呟く 呟き 
お降りの呟き止みて昏れにけり 阿部みどり女
かぎろへば墓ら呟く気配みす 稲垣きくの 黄 瀬
きつつきと呟き交はす雪の坂 堀口星眠 火山灰の道
くわいの芽しばし呟く神の声 関根黄鶴亭
こほろぎが呟く遠き恋の唄 内藤吐天 鳴海抄
たなぞこの木の実呟くこゑと聴く 稲垣きくの 黄 瀬
ひしめきて墓群呟く春昼夢 稲垣きくの 黄 瀬
みやこ逍遥蝉とまらせて呟いて 阿部完市 軽のやまめ
みんみんのみんの呟き唇に合ふ 岡井省二
カーテンを引きて呟く秋の暮 永田耕一郎
一歩出て夜霧の深さ呟き去る 中島斌雄
一語づつ呟いて咲く枇杷の花 西美知子
七日喪の霜の甘藍呟きぬ 岸田稚魚 筍流し
冬晴の柿を花かと 呟いて 伊丹三樹彦 一存在
冬霧をゆきて祈りぬ呟きぬ 堀口星眠 営巣期
剣客シラノさながら夜蝉の呟くは 高澤良一 随笑
含め煮の鍋の呟く夜長かな 矢嶋あきら
呟いているは老いなり雪囲い 田中徹男
呟いてゐしが若菜を摘みはじむ 吉野俊二
呟きて独りの豆を撒きにけり 小坂順子
呟きのように句生まれ秋うらら 益田清
呟きは黄泉につながる鳳仙花 橋石 和栲
呟き稼ぐ老ひし軽子の水洟は 小林康治 玄霜
呟くたび咲きて茶の花月夜なり 平松弥栄子
呟くに人が応へて土用なり 岡井省二
呟くや寒夜マラソンに追抜かれ 細川加賀
呟ける蝉あり夜も更けたるに 相生垣瓜人 明治草抄
呟ける黒人に蹤き雨月なる 中戸川朝人 残心
呟やきげなりしちちろに耳を藉す 後藤夜半 底紅
命あるものの呟く二月かな 滝川名末
囁かれ呟かれけり秋立つと 相生垣瓜人 微茫集
壷焼に呟かれゐて箸休む 福永耕二
夢の中わたしは緋鯉誰か呟く 一ノ瀬タカ子
宿場町のつつじ 呟きだす ひぐれ 伊丹公子 山珊瑚
寒く剃り寒く呟やく「還暦か」 楠本憲吉
寒厨や「バカ」と呟くときの本気 平井さち子 鷹日和
寝て秋夜胎の子に妻呟くか 赤城さかえ句集
島人の呉れし浅蜊の呟けり 大串 章
己れもの言はねば炭火に呟かる 林翔
師恋しとひとりが呟き朴葉落つ 平井さち子 鷹日和
我が名楸邨汗の沈黙に呟かる 加藤楸邨
我が名秋邨汗の沈黙(しじま)に呟かる 加藤秋邨 穂高
春と呟く唇を湿らせて 林なつを
春暁やおのれ呟く足の冷え 稲垣きくの 黄 瀬
春正に呟き出づる門四五歩 石塚友二
朴落葉ふわつと何か呟けり 津田清子
松立ててひとり呟くこれでよし 高澤良一 随笑
枯芦の日に呟くを俳言と 高澤良一 燕音
柿に向きわれに聞かせん呟きか 中戸川朝人 残心
梟の夜の呟きを鳴くといふ 林翔
水餅の呟を聞く文弱なり 清水冬視
汗し呟くその名聖ヨハネ・ヴィアンネ 岸田稚魚
河豚煮るやひとり呟く愛憎言 石田波郷
浅蜊呟きゐたり酔後の水飲めば 細川加賀 『傷痕』
浮寝鳥連れがぽつりと呟けり 椎名書子
渋柿は不作知らずと呟けり 石川重治
火の島に 呟いている鮃かな 八村廣
火星(マルス)近づく海が呟き蟹呟き 横山白虹
煮凝やいのち重しと呟くも 角川春樹
父の日と言われ父の日かと呟く 有働 亨
猟解禁暁のつつ音呟けり 軽部烏頭子
猪鍋のところどころの呟きぬ 細川加賀 生身魂
白樺の芽吹き朝日に呟くごと 高澤良一 燕音
磯に沿ひ歩けば石蓴の呟きごと 高澤良一 素抱
秋行くと呟いてから句座へ行く 小出秋光
童話作家と蟹の呟き聞きゐたり 奈良文夫
箱釣の隅に呟く布袋草 百合山羽公 寒雁
糶声に何か呟く海鼠かな 大橋敦子
紫陽花の辺過ぎつ呟く「十年もてば」(腎臓結核と決る) 岸田稚魚 『負け犬』
芦刈の風に呟く声すなり 団藤みよ子
花種蒔く呟きて世を忘れつゝ 堀口星眠
草蜉蝣真昼の山湖呟ける 望月紫晃
荒磯みおろす 零余子の呟き てのひらに 伊丹公子 山珊瑚
菖蒲湯に四肢をいたはる呟きよ 河野南畦 湖の森
葬列の呟滲む天の凧 宇佐美魚目 秋収冬蔵
藍華の呟き続く去年今年 由木みのる
裘一番星と呟けり 飯島晴子
言はざりし抗議呟く梅雨の傘 佐野美智
診られ来し寒夜呟くうるさきまで 赤城さかえ句集
農夫酔ひ呟きあるく秋祭 伊東宏晃
餅搗けり男声呟き女声弾け 加藤楸邨
髯の神父呟き登る基地の坂 田川飛旅子 花文字
鳥雲に長寿かなしと呟ける 古賀まり子
●囁く 
いぬふぐり囁く足をあとしざり 阿波野青畝
しばらくは樹々囁けり更衣 金久美智子
はたなかに案山子囁(ツツ)めく春の宵 日夏耿之介 婆羅門俳諧
まくなぎが泉暗しと囁けり 鈴木鷹夫 渚通り
わらはずに恋囁くか菊の前 石川桂郎 含羞
アカシアに囁く風も九月とよ 石塚友二 光塵
スキーに足りぬ雪降り薯らが囁くよ 寺田京子 日の鷹
フレームに入りて囁き通しなり 宮坂静生 春の鹿
二人静木洩れ日と囁きあふは 渡邊千枝子
五本杉五本囁く冬深空 殿村菟絲子 『菟絲』
人去れば囁きあへる冬木かも 橋本榮治 麦生
人去れば枯木囁くかも知れず 西村和子 夏帽子
仏らの囁きかとも木の葉降る 飯田登美子
入潮の川の囁き寒蜆 石川曲水
十六夜や囁く人のうしろより 千代尼
句を記す間も春の雪囁ける 西村和子 窓
嘘うそと囁くごとし秋の風 照敏
囁かれたし"浮かぶ彫刻"翳濃きとき 河野多希女 彫刻の森
囁かれ呟かれけり秋立つと 相生垣瓜人 微茫集
囁きあへる木々の芽や振り返る 石川桂郎 四温
囁きて妻胎すとや野火走る 杉山岳陽 晩婚
囁きて聖夜にあつまるもの貧し 古舘曹人 樹下石上
囁きぬ空蝉のこと舟のこと 鳴戸奈菜
囁きや髪たなびきてふりむくいのち 高柳重信
囁やかれいてかたくりの花凛と 楠本憲吉
囁津幸彦春月の番してをらむ 大木あまり 火球
地下の壁 敏感すぎて囁けず 高柳重信
墓洗ふ肩に囁く彼岸西風 角川源義
夜寒月囁き落つる大樹かな 吉武月二郎句集
大南風釣人に囁けるもの 高澤良一 素抱
女医と妻寒夜囁けり睦むごと 細川加賀
妻も老い柊咲くと囁ける 加倉井秋を
山の湯やふと囁ける雪女郎 磯 直道
峡空に囁き満たす袋掛 小田島亮悦
斯く迄に囁くものか春の水 高浜虚子
映画では恋を囁く露台かな 守屋明俊
春の雲より囁きの光りかな 尾崎三翠
春風のいねいねと囁く眠し 石塚友二 光塵
朝牡丹囁くやうに咲くといふ 椎橋清翠
朧夜の囁き交わす木端仏 尾堤輝義
枯れ急ぐものの囁き風にのる 佐々木度子
桜貝耳に当つれば囁けり 永田市平
椿姫(トラヴィアータ)の耳に囁く粉雪かな 仙田洋子 雲は王冠
榊の実眼に入れて囁き神 宮坂静生 山開
死なうかと囁かれしは螢の夜 鈴木真砂女
死後の砂利採り囁きにも似て疲る 杉本雷造
永存を氷のひゞの囁く日 松瀬青々
浜昼顔風に囁きやすく咲く 野見山朱鳥「荊冠」
潮引くと地蔵囁く五月闇 鈴木真砂女
焼山に囁く如き星明り 星野高士
獅子舞を終へし囁き真顔となる 加藤楸邨
秋扇そへて囁く内緒ごと 神谷三蔵
秋草の囁いてをり囁かれ 矢島渚男
立子忌の風に囁きある如し 星野高士
竜骨の直下日本の土囁く 三谷昭 獣身
籐椅子や葉の囁きをひとりじめ 柳瀬富子
花八ツ手囁く羅漢聴く羅漢 近内禎子
花氷かるく人事を囁かれ 増本加津子
落し文死の適齢期囁かれ 宮原双馨
落蝉に風の囁き絶え間なし 山崎千枝子
葉桜の万の囁き夜の椅子 森大暁
蜜蜂の囁き顔をそむけても 泉田秋硯
行く水の囁き流れ挿木つく 高濱虚子
袋掛びつしり土佐は囁く国 加倉井秋を 『隠愛』
補聴器に紙の囁き万愚節 品川鈴子
遠耳に笹子囁くごと鳴きぬ 田中 静
雪解宿夜すがら枯木囁くは 小林康治 『華髪』
雲かげに木々囁けり友二の忌 黒沢宗三郎
霜とけの囁きをきく猟夫かな 飯田蛇笏 霊芝
露寒や死ねと囁く夜の汐 鈴木真砂女
青葦の囁きやまず端居かな 竹下しづの女句文集 昭和十年
風花に囁やかれゐて尼寺へ 鈴木鷹夫 大津絵
駆け去れりヴァレンタインの日と囁き 小池文子 巴里蕭条
●ささめく 
夜の帳にささめき尽きし星の今を下界の人の鬢のほつれよ 与謝野晶子
嫁く人のほかはささめく夜の雪 鷲谷七菜子 黄 炎
己が空洞に落葉ささめく椋大樹 山口草堂
春昼の墓のささめき聴く想ひ 稲垣きくの 黄 瀬
朝凪のささめきに消ゆ海女の笛 深谷雄大
湖の藻にささめく小蝦涅槃西風 藤田湘子 てんてん
陽炎はささめきのやう神殿阯 仙田洋子 雲は王冠
●私語 
いつも私語している木から黄葉する 青木貞雄
こがらしに私語幾人の野辺送り 林田紀音夫
せせらぎの私語を聞きつつ野蒜摘む 丸山岩水
どんぐりの私語もたのしや平林寺 石田あき子 見舞籠
コスモスの私語享年をほむるごと 赤松[ケイ]子
マイクより幕間の私語村芝居 大西素之
ライラック天使の私語の聞こえくる 上野澄江
侘助の唇何か私語めきて 箸方えい
初詣幾千人の私語の中 正木海彦
勅語捧答私語の世界を師は毆る 筑紫磐井 花鳥諷詠
千の私語のみこんで脱ぐ花衣 水沼幸子
合掌で始まる僧の私語涼し 鈴木鷹夫 渚通り
吊鐘人参聞きをり霧の私語(ささめごと) 高澤良一 燕音
埋火や諳んじゐたる彼の私語 山田みづえ 忘
小春日のパレードマイク私語もらす 西浦一滴
放課後を永しと思う枯葉の私語 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
教師へは流水の私語大試験 香西照雄 対話
日脚伸ぶ掴みきれない水の私語 高野礼子
春あけぼの伏流出でし水の私語 上田フサ子
春の夜や妻にならうの私語 春の夜 正岡子規
暖房や聞くともなしに司書の私語 片山由美子 天弓
月の夜は敗荷の私語交錯す 大木棹雄
深秋の山門を出し僧の私語 小島千架子
燭火礼拝私語つつしみて点火待つ 長田等
牡丹百二百にかよふ風の私語 つじ加代子
盃の無明に草木私語しきり 林田紀音夫
看護婦の私語もれてくるクリスマス 佐藤りゆうじ
睡蓮や聞き覚えある水の私語 中村苑子
礼装から 遠い音楽 古い私語 伊丹公子 パースの秋
私語と私語かたまっている霜柱 坂間恒子
私語の部屋グランドピアノ底冷えす 赤尾恵以
私語一つ洩らさぬ二輪草の群れ 高澤良一 寒暑
私語多きコスモスを風咎立 高澤良一 さざなみやつこ
秋うららガイドの私語の土地訛り 篠田悦子
秋ともし童話に鳥の私語を読み 上田日差子
秋深し私語橋に佇めば 高橋淡路女 梶の葉
秋鰺干す私語を一枚一枚に 古舘曹人 能登の蛙
綺羅星は私語し雪嶺これを聴く 松本たかし(1906-56)
綿虫の私語のなかへは誰も行かぬ 河野南畦 『風の岬』
耳もとに太陽の私語苺摘む 堀内薫
花の私語葉の私語さくらさんざめく 高澤良一 燕音
花まゆみ女人の私語の語尾弾み 大石悦子「群萌」
花筏水に流離の私語ありぬ 森前泉華
草刈機私語諸ともに薙ぎ倒す 谷口 鐘
薄氷の汀の私語に指をやる 赤松[ケイ]子
薫る風私語入る駅の拡声器 田川飛旅子 花文字
蚊をやくや褒*じが閨の私語 其角「虚栗」
蝌蚪揺れて私語の水音聴きとれず 河野南畦 湖の森
行きずりの私語も柔らか春袷 大津信子
補聴器や緑陰に聞く風の私語 高橋喜代司
豊かな私語流れ 原爆展の時計 反る 伊丹公子 メキシコ貝
近づけば寒竹の私語はたと止み 宮坂静生 雹
金魚の目うごいて私語の始まれり 谷口桂子
青葉闇私語し誰何し皆胸中 石塚友二 方寸虚実
頭を寄せて風の私語聞く葱坊主 松本 幹雄
風の私語つづき菜の花蝶と化す 西尾桃子
香水の四五人の私語恐るべし 黒崎かずこ
●耳打ち 
どぶろくがあると耳打ち杣の宿 伊藤伊邦男
マクベスにたれか耳打ち夜の秋 石寒太 翔
亀鳴くや羅漢の耳うち聞きとれず 田中水桜
人払ひして耳打ちや高家の忌 井上宮子
十夜僧つと長老に耳打す 八木林之助
春の蚊の耳打ちをして次の間へ 岡本まち子
水音の耳うち荻の角組まれ 和久田隆子
熊手の値耳打ちすれば「そりゃ無理だ」 高澤良一 燕音
猿廻し猿の耳打ち聞いてをり 小島春鳳
耳打ちす扇のかげにそれとなく 下村梅子
耳打ちに春の日傘をたたみけり 内田美紗 魚眼石
耳打ちの人の初紅匂ひけり 冨田みのる
耳打ちの僧から僧へ蝌蚪生まれ 岩淵喜代子 硝子の仲間
耳打ちの子の声かゆし花なづな 百瀬ひろし
耳打ちの手のひらひらと木下闇 内田美紗 誕生日
耳打ちの笹鳴なりし南畦忌 鈴木蚊都夫
耳打ちの耳の辺りの星座かな 水野真田美
耳打ちはこの鰰の一尾の値 宇多喜代子 象
耳打ちをしては寄りくる湯浴柚子 堀口星眠 樹の雫
花いまだ風が耳打ちしてゆけり 村越化石
金雀枝や子の耳打ちに背をかがめ 永井たえこ
隙間風耳打ち話洩るるごと 杉山久美子
●口籠る 
おほきにといひ口ごもる余寒かな 室生犀星 犀星發句集
こほろぎの伽も今宵は口ごもる 千代田葛彦
つけはづす馬の口籠や秋渇き 茂木連葉子
はたた神終りの方を口ごもる 高澤良一 寒暑
ふくろふの口ごもり鳴ける良夜かな 水原秋桜子
夏雲の高さにひと日口籠る 津沢マサ子 空の季節
晩年や鵙に囲まれ口ごもる 穴井太 原郷樹林
柊の花はひぐれを口ごもる 穴井太 原郷樹林
盆経を消す祈祷さへ口籠りて 下村ひろし 西陲集
磯あかく乾きて蛙口ごもる 杉山岳陽
秋の蝉我はも何に口ごもる 行方克巳
紫蘇もんで此の世のことを口籠る 鳴戸奈菜
苔清水馬の口籠をはづしけり 苔清水 正岡子規
質されて子の口ごもる春の雷 高澤良一 ねずみのこまくら
霜の廟口ごもり訪う孔子訓 徳安通敬
風花や所詮愚痴ゆゑ口ごもり 岸風三楼 往来
●失語 
亦も肩をすくめて 失語の 落葉のパリ 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 神戸・長崎・欧羅巴
北風吹けば砂粒うごく失語の浜 西東三鬼
合歓咲いて失語の街の水の音 牧野桂一
失語いくたびかかげろふ牆見つつ 下村槐太 天涯
失語して石階にあり鳥渡る 鈴木六林男(1919-)
失語症の母のハミング虹永かれ 平井さち子 完流
失語症言へたるメリークリスマス 稲岡長
春深し失語の夫に沖ばかり 安井昌子
柿若葉枝に失語の鳥がいて 新田果林
汗の顔失語の貌や師の部屋に 角川源義「秋燕」
深緑の湖たつぷりと失語症 伊藤敬子
父の忌忘ずる失語の母や百合咲くに 平井さち子 完流
瞬ける失語の母や冬旱 堀口星眠 営巣期
筒鳥に涙あふれて失語症 相馬遷子 雪嶺
花の雨失語の恩師手の熱し 権藤千秋
霜の声失語の母の顔読めず 神原康子
●吃る 
「黄金バット」が吃るよ冬日が眼にしむよ 磯貝碧蹄館 握手
おとうとの吃音つづく遠花火 仁平勝 東京物語
このわたを食べているなり吃るなり 永末恵子
こほろぎつつましく鳴き一碧楼吃る 冬の土宮林菫哉
はまなす咲き吃りつづけるオホーツク 穴井太 原郷樹林
ゆるき吃音モリアオガエル産卵期 金田咲子 全身 以後
キリストといふ語を吃り祈る秋 田川飛旅子 『植樹祭』
亀鳴きて貴君は酒に吃りけり 内田百間
優曇華に妻吃々といふらくは 森川暁水 淀
元旦に吃驚仰天ラッキー賞 保坂ひろこ
冬の灯や激して吃る妻なりし 長谷川零余子
吃々と牡丹の枯枝日あたれる 長谷川素逝 暦日
吃々と蝉の前奏推敲成る 香西照雄 素心
吃々と鵙鳴き悼む文できず 石川桂郎 含羞
吃る子の答へ待ちをり日脚伸ぶ 橋爪 雄二
吃る少年今日の夕陽を封じたまま 石田遼
吃又の酔画にひとり寝積まむ 鳥越憲三郎
吃立の槇真顔なる立春以後 河野多希女 こころの鷹
吃音のやうに九月の鳥が跳ぶ 柿本多映
塩強く半島飢える吃りつつ 金子兜太
大年の吃驚水を構へたる 正木ゆう子 静かな水
宇宙さまよう死ありコンピューター吃る 隈 治人
小六月あかつめくさの吃々と 宮坂静生 樹下
山の瑞の吃音鶯懸命に 石塚友二 光塵
市の坂に春の夕日を見て吃りし 鈴木六林男 悪霊
彼岸西風ときどき葭も吃りつつ 河原枇杷男 定本烏宙論
春寒く吃り打つ脈診られをり 石田あき子 見舞籠
暑き身に戻る吃りや山下りて 廣江八重櫻
月代に吃と向ふや鹿の胸 木導 九 月 月別句集「韻塞」
有線の声の吃りて火事を告ぐ 西浦一滴
毒舌も吃音もこゑ絶えし蝉 正木ゆう子 悠
水餅を覗き亡き人吃りけり 吉本伊智朗
汗拭いて吃つてばかりゐる日かな 細川加賀 『玉虫』
沢瀉のこのあたりなら吃るなし 岡井省二
炎天下吃りし君のなまめきぬ 和田耕三郎
玉呑んで吃り癒えけり春の風 安斎櫻[カイ]子
田の水の吃々と落つ霧の中 小芝潮子
白けた顔の青年吃る雨氷かな 田川飛旅子
秋出水引きゆく中を吃りをり 萩原麦草 麦嵐
秋風や心激して口吃る 高浜虚子(1874-1959)
稲妻に刺され話の吃りたる 臼田亞浪 定本亜浪句集
突堤の喇叭が吃る梅雨晴間 石井保定
立つ鴫を言吃らして見送りぬ 阿波野青畝
立つ鴫を言吃りして見送りぬ 青畝
競馬果てぬ苺をひさぐ聲吃せり 横山白虹
羽抜鶏吃々として高音かな 高浜虚子
蝉の穴ときどき神も吃るらむ 河原枇杷男 蝶座 以後
視察官来て吃る民秋晴るゝ 久米正雄 返り花
雪どけ鶫呼ぶさヘ口吃る 萩原麦草 麦嵐
静電気冬の謄写の吃りがち 宮坂静生 雹
風鈴の風つよければ吃りけり 岸風三楼 往来
飽食や吃り鳴きして夜の蝉 行方克巳
鯉のぼり吃音の唇あけしまま 松本照子
麦笛の吃々として鳴りそむる 新津香芽代
麦笛の吃音昼の父得し子 神田斐文

 以上


by 575fudemakase | 2022-06-23 21:25 | ブログ


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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