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「詳細」秋の時候の例句 in 角川俳句大歳事記 秋

「詳細」秋の時候の例句 in 角川俳句大歳事記 秋
「詳細」秋の時候の例句 in 角川俳句大歳事記 秋_b0223579_17501143.jpeg
此秋は何で年よる雲に鳥
くろがねの秋の風鈴鳴りにけり
瀬の音の秋おのづからたかきかな
鯉も老いこの寺も古り幾秋ぞ
秋の航一大紺円盤の中
草笛の音色に秋の生まれけり
秋いくとせ石鎚山を見ず母を見ず
傘立に傘がまっすぐ立って秋
白樺や秋は風からかと思ふ
秋いかに長濤を作す力かな
戸口出て十歩に秋を知りにけり
山国の秋迷ひなく木に空に
線香の灰に線香立てて秋
おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒

初秋の簾に動く日あしかな
初秋やかたへの魚籠のふと動き
新秋の声にして読む王維の詩
秋口の富士の暮色の街にまで

文月や六日も常の夜には似ず
文月やひとりはほしき娘の子

八月や孔雀の声の凶々し

そよりともせいで秋たつ事かいの
川半ばまで立秋の山の影
青空のただ一ト色に秋立ちぬ
秋立つと仏こひしき深大寺
秋立つと酒田の雨を聴くばかり
けさ秋の一帆生みぬ中の海
待つ位置に扉のあく電車今朝の秋
キオスクの新聞抜くや今朝の秋

河骨の黄のすがれしも残暑かな
朝夕がどかとよろしき残暑かな

秋暑きわが体臭のぼろ辞引
秋暑しもろ手突かねば立ち上がれず

秋めいて眠りやそれにしたがへり
秋めくといふこと母の墓に来て
秋めくや影から老いてゆくやうな

新涼や尾にも塩ふる焼肴
新涼やはらりと取れし本の帯
新涼やうす紙に透くみすゞ飴
新涼や角尖らせて鶴を折る

老犬の処暑の大地にはらばひて

二百十日日も尋常の夕べかな
ちぎれては雲とぶ二百十日かな
二百十日木曽に寝覚といふところ
吊られたる鉄骨泳ぐ厄日かな
裸電球二百十日の海照らす

仲秋の月の面を降る葉かな
仲秋の金蠅にしてパッと散る

軋む戸は軋ませてはや雁来月

今朝九月草樹みづから目覚め居て
ありありと欅遥けき九月かな

八朔や豆腐一丁揚げ二枚
八朔の真黒な鯉料りけり
八朔の鴉もの云ふごとく鳴く

姿見に一樹映りて白露かな
ゆく水としばらく行ける白露かな
ひとつづつ山暮れてゆく白露かな

さびしさは秋の彼岸のみづすまし
戻りたる家の暗さも秋彼岸
砂に手をおいてあたたか秋彼岸

長月の燃えつつゆるぶ縄の縒り

菊月や晴れてほしき日みな晴れて

十月や顳顬さやに秋刀魚食ふ
象を見て十月十日晴れにけり

面白や千秋楽をいとま乞ひ

秋暁の行きかふは皆修行僧

戦死報秋の日くれてきたりけり

大鯉のぎいと廻りぬ秋の昼
巣をあるく蜂のあしおと秋の昼
こんぺいとうあきのまひるのにほひする

日のくれと子供が言ひて秋の暮
秋の暮大魚の骨を海が引く
秋の暮山脈いづこへか帰る
門出でて十歩すなはち秋の暮
秋の暮業火となりて秬(きび)は燃ゆ
百方に借あるごとし秋の暮
足もとはもうまつくらや秋の暮
もうええわと終る漫才秋の暮

出かかれば来かかる人や宵の秋

子にみやげなき秋の夜の肩ぐるま
秋の夜の触れてつめたきインク瓶

鐘の音の輪をなして来る夜長かな
父母の夜長くおはし給ふらん
よそに鳴る夜長の時計数へけり
漁火の北へ片寄る夜長かな
末の子の又起きて来し夜長かな
妻がゐて夜長を言へりさう思ふ
魚どれも瞼を持たず夜長かな
別のことしてゐる妻の夜長かな

妻はいま金色如来秋澄みぬ
好日やわけても杉の空澄む日

奥入瀬の水に木にたつ秋気かな
いちはやく滝が秋気を放ちけり
ガラスまだ未生の火玉秋気澄む

ひやひやと壁をふまへて昼寐かな
冷やかに置かれあるもの火打石
起きるまで額に拳ひやゝかに
縫ひすすむ針より衣ひゆる夜ぞ
脚冷えて靴をひそかにうち鳴らす
紫陽花に秋冷いたる信濃かな
秋冷の道いっぱいに蔵の影
磔像の釘に秋冷いたりけり 
秋冷や叩いて馬と別れたる

爽かにあれば耳さへ明かに
爽やかに山近寄せよ遠眼鏡
爽やかやたてがみを振り尾をさばき
さわやかにおのが濁りをぬけし鯉
爽かや掌に据ゑまつる北魏仏
爽やかに生き冷まじく死なばよし
さはやかや湧きつつ水の流れゆき
残されし日をともにゐて爽やかに
さやけくて妻とも知らずすれちがふ
爽やかや肘をはりくる鼓笛隊

此の世をばわが世と鳶や秋麗ら
秋うらら書架にもどらぬ放浪記
江ノ電のタタンタタタン秋うらら
秋麗の産後まばゆき妻迎ふ

野ざらしを心に風のしむ身かな
身にしむや亡き妻の櫛を閨(ねや)に踏む
佇めば身にしむ水のひかりかな
身に入みぬ遺書とも見ゆる散らし書き
老醜のレンブラント自像身にしむや
身にしむや子をしかと抱く幽霊図
身に入むや木曾殿に添ふ巴塚

羚羊の糞の犇く寒露かな

雀蛤となりて老斑まぬがれず
雀蛤となり深川飯の具に

秋寒し藤太が鏑(かぶら)ひびく時
手すさびの壁塗る秋の寒さかな
秋寒し此頃あるる海の色

そぞろ寒二タ尾に墜つる崖崩(がれ)の丈
後醍醐帝襲ひしそぞろ寒ならむ


漸寒を蚊蟵に覚へつ犬の声
やゝ寒み襟を正して坐りけり
やや寒の壁に無髯の耶蘇の像
やや寒の騏驎のかほに日はありぬ

肌寒や会する人のやゝ遅し
肌寒の火に手かざして思ふこと

うそ寒の身をおしつける机かな
うそ寒の口にふくみて小骨とる

朝寒の人各々の職につく
朝寒や柱に映る竈の火
伶人も朝寒の洟かめりけり
くちびるを出て朝寒のこゑとなる
朝寒しノルマンディーの小海老売

水瓶へ鼠の落ちし夜さむかな
欠け欠けて月もなくなる夜寒かな
咳く人に素湯まゐらする夜寒かな
犬が来て水のむ音の夜寒かな
夜さむし顎を埋むるばかりなり
鯛の骨たたみにひらふ夜寒かな
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る
枕辺に眼鏡を外す夜寒かな
夜寒の手本一冊を抽きにゆく

比良伊吹雁寒きころを旅

霜降や羽音残して雀散る
霜降といふ日の薔薇を高掲げ

あら草の身の丈しのぐ秋土用
種牛の塩なめてをり秋土用

金策のズボン寝押しす冷まじや
冷まじや砂丘に嵌まる足二本
冷まじや夕闇といふしめくくり
冷まじや戒名に皆刃の文字

秋さぶや脇侍欠いたる黒仏

秋深し生きし古人は古書に在り
薪に割る何の生木ぞ秋深く
秋深し石に還りし石仏
秋深し身をつらぬきて滝こだま
秋深し降りた電車を見送れば
ハイデルベルグ八百年の秋深し
深秋の老をゑがきし自然主義
彼一語我一語秋深みかも

能すみし面の衰へ暮の秋
風紋をつくる風立ち暮の秋

蛤のふたみにわかれ行秋ぞ
行く秋の草にかくるる流れかな
行秋や机離るゝ膝がしら
ゆく秋やふくみて水のやはらかき
行く秋の八方を掃き母ゐたり
秋逝くや継目ごとんと小海線

高原の秋惜しむ火や土蜂焼く
秋惜しむ白鷺に目をあそばせて
秋惜しむ小鳥のやうな子等に蹤き

鶏頭伐れば卒然として冬近し
釣堀の顔のいづれも冬隣
カチューシャを妻が唄へば冬近し
生前のままのアトリエ冬隣

南天の実に鵯や九月尽
九月尽日、許六拝去来先生几下
雲表に山々ならび九月尽
白波が白波追へり九月尽
あをだもの木肌さすりて九月尽


以上

作者名を知りたければ原典を参照されたし
因みに
「新版 角川俳句大歳事記 秋」角川書店 2022・8・31 初版

by 575fudemakase | 2023-04-02 09:27 | ブログ | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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