⭐︎俳句歳事記 版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫 I699I を読んで (高澤良一)
⭐︎俳句歳事記 版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫 I699I を読んで (高澤良一)
俳句には通常作者名が記されているがその作者名を外したらふにゃふにゃになる様な例句は採らない(即ち押し売り的な例句は駄目)、本物の俳句、一点の傷もない俳句、余分な物言ひのない俳句を採ってみたい。玉石混淆は嫌だ。『玉』許り集めてみたいと選をしてみた。実作の手本となれば倖である。作者名は原著参照ください。
⚫️時候⭐︎俳句歳事記
第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
この夏を妻得て家にピアノ鳴る
算術の少年しのび泣けり夏
初夏に開く郵便切手ほどの窓
初夏の乳房の筋の青さかな
はつなつの鳶をしづかな鳥とおもふ
縞馬の流るる縞に夏兆す
塵ほどに鳶舞ひ上る卯月かな
卯月来ぬましろき紙に書くことば
噴水の玉とびちがふ五月かな
五月の風大空を吹き路地を吹き
肉桂の葉噛みて五月の母の唄
目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹
子の髪の風に流るる五月来ぬ
わがつけし傷に樹脂噴く五月来ぬ
刀匠の鞴(ふいご)火を噴く清和かな
ふいに子の遊びが変はり夏に入る
しまうまがシャッ着て跳ねて夏来る
おそるべき君等の乳房夏来る
毒消し飲むやわが詩多産の夏来る
プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ
夏めくや庭土昼の日をはじき
浴衣裁つこゝろ愉しき薄暑かな
後架にも竹の葉降りて薄暑かな
嵯峨豆腐買ふ客ならび薄暑かな
生醤油の匂ひて佃島薄暑
麦の秋雀等海に出てかへす
教師みな声を嗄らして麦の秋
どこまでも麦秋どこまでも広軌
小満や一升壜に赤まむし
深川や低き家並のさつき空
井戸底に木桶のひびく早苗月
六月を綺麗な風の吹くことよ
六月の女すわれる荒筵
六月の竈火の奥見つめをり
芒種はや人の肌さす山の草
桑の木に桑茸生ふるついりかな
鱒の子に雨の輪ひらく梅雨入かな
とびからす病者に啼いて梅雨寒し
夏至の日の手足明るく目覚めけり
地下鉄にかすかな峠ありて夏至
尖塔に月一つある白夜かな
トナカイのソテー白夜の地下酒場
半夏生北は漁火あかりして
木の揺れが魚に移れり半夏生
縁に垂らすわが足大いなる晩夏
どれも口美し晩夏のジャズ一団
祈りとは膝美しく折る晩夏
晩夏光バットの函に詩を誌(しる)す
六月や峯に雲置くあらし山
はじめての道も青水無月の奈良
七月の青嶺まぢかく溶鉱炉
七月や雨脚を見て門司にあり
塩壺の白きを磨く小暑かな
梅雨明けや胸先過ぐるものの影
庭石に梅雨明けの雷ひびきけり
夏の日を或る児は泣いてばかりかな
夏暁の妻の睡りの一途なる
口あけている炎昼のドラム缶
病床に鉛筆失せぬ夏の暮
夏夕べ蝮を売って通りけり
韓国(からくに)の靴ながれつく夏のくれ
夏の夜や崩れて明けし冷しもの
夏の夜のふくるすべなくあけにけり
まつくらな中に階段熱帯夜
短夜や空とわかるる海の色
短夜のあけゆく水の匂かな
短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎(すてつちまをか)
短夜の看とり給ふも縁かな
明易や花鳥諷詠南無阿弥陀
わが消す灯母がともす灯明易き
明け易き夢に通いて濤の音
明易や愛憎いづれ罪ふかき
すつぽんに身は養はん土用かな
土用太郎一日熱き茶でとほす
榕樹(がじゅまる)の気根のからむ盛夏かな
日時計に狂ひなし夏旺んなり
大仏の鼻梁真夏の黒びかり
三伏の白紙につつむ絵蠟燭
ぶつくさと声中伏の後架より
暑き日を海に入れたり最上川
負うた子に髪なぶらるる暑さ哉
咳暑し茅舎小便又漏らす
暑き故ものをきちんと並べをる
蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな
マヨネーズおろおろ出づる暑さかな
手のひらにひたひをさゝへ暑に耐ふる
世にも暑にも寡黙をもつて抗しけり
念力のゆるめば死ぬる大暑かな
兎も片耳垂るる大暑かな
なかんづく腎のあやしき大暑かな
大暑なり能登黒瓦かがやけり
蓋明けし如く極暑の来りけり
黙祷のうなじが並ぶ極暑かな
つよき火を焚きて炎暑の道なほす
くらやみに眼をひらきゐる溽暑
柔かく女豹がふみて岩灼くる
石灼けて賽の河原に一穢なし
ただ灼けて玄奘の道つづきけり
炎熱や勝利の如き地の明るさ
此あたり目に見ゆるものは皆涼し
大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
どの子にも涼しく風の吹く日かな
風生と死の話して涼しさよ
亀泳ぐ手足ばらばらの涼しさよ
みちのくのまつくらがりの夜涼かな
泉の底に一本の匙夏了(をは)る
秋ちかき心の寄るや四畳半
栗鼠も来て土はしたしや秋近き
六甲に雲ひとひらや秋隣
涼しさの肌に手を置き夜の秋
西鶴の女みな死ぬ夜の秋
まろび寝の小さき母や夜の秋
白粥の湯気すぐに消ゆ夜の秋
涼しさは淋しさに似て夜の秋
⚫️天文⭐︎俳句歳事記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
磐岩に水の腹這ふ夏日かな
禅林に夏日まともの夕餉かな
夏空へ雲のらくがき奔放に
あるときは一木に凝り夏の雲
夏雲むるるこの峡中に死ぬるかな
夏雲の夜も旺んなる山泊り
雲の峰幾つ崩れて月の山
厚餡割ればシクと音して雲の峰
立科の雲の峰なりこんじきに
雲の峰一人の家を一人発ち
蛸壺やはかなき夢を夏の月
夏の月御油より出でて赤坂や
市中はもののにほひや夏の月
アラビヤの空を我ゆく夏の星
幕あひのごとき夕空星涼し
南風吹くカレーライスに海と陸
南国に死して御恩のみなみかぜ
能登人があい吹くといふ日和かな
国引の注連の太さよ土用東風
やませ来るいたちのやうにしなやかに
黒南風の浪累々と盛り上がる
白南風や錆に太りて捨錨
瀬田川の舟出はらへるながしかな
茅花流し水満々と吉野川
月山の裾の筍流しかな
高芦に打ち込む波や青嵐
目の中に山が一ぱい青嵐
押さへてもふくらむ封書風薫る
薫風や井伊の姫御の赤鎧
朝凪といへども浪は寄せてをり
夕凪を客にわびつつ簾捲く
合はせ酢をつくる厨に風死せり
高山寺夏の雨きて縁ぬらす
但馬路は卯の花くだし夕列車
抱く吾子も梅雨の重みといふべしや
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき
書架の書の一つ逆しまはしり梅雨
空梅雨の塔のほとりの鳥の数
きびなごの酢味噌うましや旱梅雨
五月雨はただ降るものと覚えけり
五月雨をあつめて早し最上川
五月雨の降る残してや光堂
湖の水まさりけり五月雨
さみだれや大河を前に家二軒
五月雨や上野の山も見あきたり
さみだれのあまだればかり浮見堂
さみだるる一燈長き坂を守り
人知らぬ月日の立つや虎が雨
夕立に走り下るや竹の蟻
夕立や草葉を摑むむら雀
夕立は貧しき町を洗ひ去る
祖母山も傾山(かたむくさん)の夕立かな
さつきから夕立の端にゐるらしき
一滴の天王山の夕立かな
法隆寺白雨やみたる雫かな
つまだちて見るふるさとは喜雨の中
大粒の熊野の喜雨に打たれけり
朝の間のあづかりものや夏の露
一切を海霧が隠せり海の音
夏霧の海より湧きて海に去り
夏霧のつばさ四五人さらひけり
夏霞脚下に碧き吉野川
雲海や一天不壊の碧さあり
雲海の音なき怒濤尾根を越す
生涯にこの朝あり御来迎
虹立ちて忽ち君の在る如し
虹立つも消ゆるも音を立てずして
虹の足とは不確に美しき
虹二重神も恋愛したまへり
三越に転げ込んだる雹の玉
昇降機しづかに雷の夜を昇る
迅雷に一瞬木々の真青なり
はたゝ神七浦かけて響(とよ)みけり
落雷の一部始終のながきこと
纜の沈める水や五月闇
みほとけの千手犇(ひしめ)く五月闇
かしは手の二つ目は澄み五月晴
飛騨の子の花いちもんめ梅雨晴間
ふるづけに刻む生姜や朝ぐもり
朝焼によべのランプはよべのまま
朝焼や窓にあまれる穂高岳
夕焼の雲より駱駝あふれ来つ
夕焼を使ひはたして帆を降ろす
よき友のくすし見えけり日の盛
日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり
西日中電車のどこか摑みて居り
ベルリンの壁の落書西日濃し
浅草にかくも西日の似合ふバー
炎天を槍のごとくに涼気すぐ
炎天の遠き帆やわがこころの帆
炎天より僧ひとり乗り岐阜羽島
大阪や埃の中の油照
血を喀(は)いて眼玉の乾く油照
片蔭にゐる半分の会葬者
暗き家に暗く人ゐる旱かな
大旱の空をひそかに煤降りぬ
⚫️地理⭐︎俳句歳事記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
青嶺あり青嶺をめざす道があり
山彦のはきはきとして青吉野
耳成も滴る山となりにけり
夏富士の裾に勾玉ほどの湖(うみ)
赤富士に露滂沱たる四辺かな
雪渓を仰ぐ反り身に支へなし
雪渓の水汲みに出る星の中
雪渓に蝶くちづけてゐたりけり
お花畑霧湧くところ流れあり
お花畑ななめ登りに一路あり
頭の中で白い夏野となつてゐる
たてよこに富士伸びてゐる夏野かな
夏河を越すうれしさよ手に草履
夏の河赤き鉄鎖のはし浸る
夏河を電車はためき越ゆるなり
出水後の備前の土のにほひける
夢の淵どよもしゐたる梅雨出水
目のついてゆけぬ迅さの出水川
長濤を以て音なし夏の海
乳母車夏の怒濤によこむきに
あるときは船より高き卯浪かな
卯月波白磁のごとく砕けたり
土用波わが立つ崖は進むなり
土用波一角崩れ総崩れ
夏潮の谺がこだま生む岬
夏潮に道ある如く出漁す
水増して代田ひしひし家かこむ
いとけなき植田となりてなびきをり
かささぎに植田明りの果もなし
これぞ加賀百万石の青田かな
青田中信濃の踏切唄ふごとし
安来節安来の田水沸けるころ
白雲は動き噴井は砕けつゝ
ちちはもうははを叱らぬ噴井かな
泉への道後れゆく安けさよ
草濡れてはたして泉湧くところ
ゆるやかに光琳模様泉より
絶壁に眉つけて飲む清水かな
山清水魂冷ゆるまで掬びけり
滴りのきらめき消ゆる虚空かな
滴りの金剛力に狂ひなし
滴りを水の鎖と見てゐたり
神にませばまこと美はし那智の滝
滝落ちて群青世界とどろけり
滝の上に水現れて落ちにけり
滝落としたり落としたり落としたり
滝壺を流れ出て水無傷なり
滝壺に滝活けてある眺めかな
⚫️生活⭐︎俳句歳事記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
忙しさをたのしむ母や夏休み
夏休みも半ばの雨となりにけり
黒板にわが文字のこす夏休み
新聞に切り抜きの窓夏休み
山に石積んでかへりぬ夏休
大きな木大きな木蔭夏休み
夏休み親戚の子と遊びけり
来はじめし暑中見舞の二三枚
うす箋(がみ)に愁ひもつづり夏見舞
桑の実の照るに堪へゆく帰省かな
さきだてる鵝鳥踏まじと帰省かな
水打って暮れゐる街に帰省かな
帰省子を籠の小鳥のいぶかれる
帰省子に腹ばふ畳ありにけり
学生の健やかな肘夏期講座
夏期講座花鳥の襖とりはらひ
絵の具箱明日は林間学校へ
やはらかき手足還りぬ更衣
更衣かくて古りゆく月日かな
白波の豊かなる日や更衣
みづぎはを水の押し来る更衣
人にやゝおくれて衣更へにけり
かたびらにまばゆくなりぬ広小路
朝風に衣桁すべりぬ夏衣
難所とはいつも白浪夏衣
麻服を着せかけらるゝ手をとほす
旅の荷の中より出して半ズボン
袷着て袂に何もなかりけり
袷着て唐招提寺まで来たり
真向に比叡明るき袷かな
初袷流離の膝をまじへけり
初袷青山窓に連れり
初袷ひと日の皺をたゝみけり
素袷やそのうちわかる人の味
セルを着て手足さみしき一日かな
セルの袖煙草の箱の軽さあり
セル軽く荷風の六区歩きけり
松籟に単衣の衿をかき合はす
単衣着て若く読みにし書をひらく
羅をゆるやかに着て崩れざる
うすものを着て雲の行くたのしさよ
羅を着て祇王寺に用のあり
縮着て一日家を離れざる
風あてて夫が形見の藍縮
芸に身をたて通したる上布かな
謡ふなり越後上布の膝打って
ゆふばえに座す芭蕉布の袂かな
甚平を着て今にして見ゆるもの
甚平や一誌持たねば仰がれず
浴衣著て女も釣をしてゐたり
足もとの鯉も暮れたり湯帷子
少し派手いやこのくらゐ初浴衣
張りとほす女の意地や藍ゆかた
生き堪へて身に沁むばかり藍浴衣
ひととせはかりそめならず藍浴衣
来し方のよく見ゆる日の白絣
明け暮れを山見てすごす白絣
白地着てこの郷愁の何処よりぞ
白地着て血のみを潔く子に遺す
白蓮白シャツ彼我ひるがへり内灘へ
鞄より水着出すとてすべて出す
真水にて絞れば水着一とにぎり
サングラス掛けて妻にも行くところ
夫を子をすこし遠ざけサングラス
どかと解く夏帯に句を書けとこそ
帯といふ枷夏帯は軽くとも
夏帯や一途といふは美しく
肘張って生きるでもなし単帯
鎌倉へはや夏帽子かぶりそめ
夏帽子水平線の上に置く
火の山の裾に夏帽振る別れ
蔵(しま)うのに大きい麦藁帽子かな
メニュー見る夏手袋を脱ぎ乍ら
畳踏む夏足袋映る鏡かな
出稽古にゆく夏足袋をはきにけり
九十九里浜に白靴提げて立つ
白靴を踏まれしほどの一些事か
白靴の中なる金の文字が見ゆ
きつかけはハンカチ借りしだけのこと
ハンカチを小さく使ふ人なりけり
粽結ふかた手にはさむ額髪
賑やかに粽解くなり座敷中
粽長し淀の芦もて結ひたれば
粽解く葭の葉ずれの音させて
柏餅古葉を出づる白さかな
てのひらにのせてください柏餅
美しき緑走れり夏料理
真中に鮑が坐る夏料理
灯の映るものゝ多くて夏料理
運ばるる氷の音の夏料理
松風に筍飯をさましけり
日曜はすぐ昼となる豆の飯
長崎も丸山にゐて豆御飯
京まではまだ二日路や麦の飯
大盛であり麦飯でありにけり
鮒鮓や彦根の城に雲かゝる
鮓押すや貧窮問答口吟み
亀石を重石に鮓のなるるころ
鮎鮓や吉野の川は水痩せて
鯛鮓や一門三十五六人
水飯やあすは出でゆく草に宿
水飯のごろごろあたる箸の先
飯饐る畳のくらさ夜の如し
冷麦を水に放つや広がれる
冷麦てふ水の如きを食うてをる
築山を飽かずながめて冷さうめん
冷し中華時刻表なき旅に出て
七彩の冷し中華やひとりの夜
冷奴隣に灯先んじて
兄弟の夕餉短し冷奴
冷奴はや硝子皿のみ残る
物言はぬ独りが易し胡瓜もみ
世を以て黄昏となす胡瓜揉
瓜冷す井を借りに来る小家かな
山国の夜空のいろの茄子漬
鴫焼や高野の坊の一の膳
梅干して地の明るさのつづくなり
梅漬けてあかき妻の手夜は愛すy
ビヤホール背後に人の増えきたり
さまよへる湖に似てビヤホール
ビール園神神もかく屯せし
とろとろと梅酒の琥珀澄み来る
わが減らす祖母の宝の梅酒瓶
黍焼酎売れずば飲んで減らしけり
泡盛や汚れて老ゆる人の中
冷酒や蟹はなけれど烏賊裂かん
山国やひとりに余る冷し酒
あまざけや舌やかれける君が顔
甘酒屋打出の浜におろしけり
新茶汲むや終りの雫汲みわけて
便りより先きに厚意の新茶着く
走り茶の針のこぼれの二三本
筒ふれば古茶さんさんと応へけり
どちらかと言へば麦茶の有難く
すこしづつ飲んで麦湯に匂ひあり
一生の楽しきころのソーダ水
空港のかかる別れのソーダ水
ストローを色駆けのぼるソーダ水
ソーダ水方程式を濡らしけり
サイダーやしじに泡だつ薄みどり
二階へ運ぶサイダーの泡見つつ
ラムネのむ泡くちびるをはじくなり
男には喉仏ありラムネ乾す
唇にラムネの壜のいかめしき
氷水世間に疎くなりにけり
赤き青き舌ひらめかせ氷水
匙なめて童たのしも夏氷
晩婚の友や氷菓をしたたらし
氷菓互ひに中年の恋ほろにがき
アイスクリームおいしくポプラうつくしく
葛餅の黄粉の上を蜜すべる
葛餅の三角といふよきかたち
葛切に淡き交り重ねたる
葛ざくら濡れ葉に氷残りけり
ひとりづつ来てばらばらに葛桜
清滝の水汲ませてや心太
ところてん逆しまに銀河三千尺
ところてん煙のごとく沈みをり
心太みじかき箸を使ひけり
心太大阪暮らしややに慣れ
青年は膝を崩さず水羊羹
ふるふるとゆれるゼリーに入れる匙
白玉は何処へも行かぬ母と食ぶ
白玉や子のなき夫をひとり占め
蜜豆を食べるでもなくよく話す
みつ豆はジャズのごとくに美しき
蜜豆のくさぐさのもの匙にのる
麨や手枷足枷子が育つ
麨や生き生きと死の話など
麦こがし人に遅れず笑ふなり
洗ひ鯉母とひと夜の加賀言葉
箸逃ぐる明石の鯛の洗ひかな
泥鰌鍋のれんも白に替りけり
くらくらと煮えかへりけり鰌汁
魚籠のまま土用鰻の到来す
土用鰻店ぢゆう水を流しをり
沖膾海上に酢の匂ふまで
水貝やすなはち匂ふ安房の海
鴨居に頭うつて坐れば水貝よ
水貝や一湾窓にかくれなし
ロンロンと時計鳴るなり夏館
夏の灯の動くことなき田舎かな
夏の灯にひらくや浪花名所図会
乾杯の指うつくしき夏灯し
山人は客をよろこぶ夏炉かな
夏炉燃え仏の華にさるをがせ
こだはりて夏炉の炭を組み直す
大江山近々とある夏炉かな
行く雲を寝てゐて見るや夏座敷
思ひ思ひに外を見てゐる夏座敷
真中に僧が帯解く夏座敷
宵浅し露台へのぼる靴の音
灯の中に船の灯もある露台かな
蠍座の尾のちかぢかと露台かな
滝殿や運び来る灯に風見えて
よりかゝる柱映れり泉殿
噴水をはなれたる人去りにけり
噴水の翼をたたむ夕べ来る
噴水の内側の水怠けをり
相談の結果今日から夏布団
明け方の手足にさぐる夏蒲団
夏掛けのみづいろといふ自愛かな
夏坐ぶとんひとの全く来ぬ日あり
五枚づゝ夏座布団の十五枚
藺座布団男の膝を余しけり
花茣蓙に母の眼鏡が置いてある
花茣蓙の花の暮色を座して待つ
窓なりに昼寝の台や簟
棕梠の葉を打つ雨粗し簟
籠枕島の泊りの雨に暮れ
陶枕に夢の出てゆく穴ふたつ
方丈に不入の間あり竹婦人
わが骨のありどをさぐり竹婦人
くびれたるところがかたし竹婦人
風のよく通るところに竹婦人
網戸入れ夜を鮮しくひとり住む
網戸抜け行ける煙草の煙かな
三日月にたたむ日除のほてりかな
日除して並ぶ商社や中ノ島
ほろほろと雨吹きこむや青簾
日は遠く衰へゐるや軒簾
戸口まで湖を湛えて葭簾
大らかに孕み返しぬ夏のれん
夏暖簾河童三匹ひらひらす
父を知る祇園の女将夏暖簾
朝の海葭簀に青き縞なせり
灯が消えて耳さとくをり葭障子
籐椅子を立ちて来し用忘れけり
腕時計の手が垂れてをりハンモック
蠅除の四隅の一ついつも浮く
蠅帳といふわびしくて親しきもの
蠅帳に古漬その他母の昼
営々と蠅を捕りをり蠅捕器
蠅取紙飴色古き智慧に似て
軒の雨篠つく蠅取リボン垂れ
水に入るごとくに蚊帳をくぐりけり
帰り来て妻子の蚊帳をせまくする
蚊帳の中いつしか応えなくなりぬ
やはらかき母にぶつかる蚊帳の中
なきがらを守りて一と夜の蚊遣香
香水の香ぞ鉄壁をなせりける
香水の一滴づつにかくも減る
触れぬものの一つに妻の香水瓶
残生をおろそかにせじ暑気払
年とらぬ老人ばかり暑気払
天瓜粉しんじつ吾子は無一物
天瓜粉額四角にたゝきやる
冷房の画廊に勤め一少女
冷房を首筋に人悼みけり
冷房裡器械は億を計算す
花氷女の嘘もうつしけり
ルーム・キー提げて近づく花氷
八方へそつなくひらき氷中花
妻留守の冷蔵庫さて何も無し
金塊のごとくバタあり冷蔵庫
書き置きのメモにて開く冷蔵庫
富士の風や扇にのせて江戸土産
倖を装ふごとく扇買ふ
宗祇水汲むに扇子を落しけり
さし向かふ別れやともに渋団扇
戦争と畳の上の団扇かな
やはらかに人を否める団扇かな
宵浅き灯に絵団扇の品さだめ
胡座(あぐら)して大きく使ふ渋団扇
扇風機大き翼をやすめたり
ひとり居のわれに首振り扇風機
扇風機さげて稼いで来し妻よ
風鈴を吊る古釘をさがしけり
風鈴の音の中なる夕ごころ
風鈴の鳴らねば淋し鳴れば憂し
子を海にやりて幾夜やつりしのぶ
大雨の底なる八瀬の釣忍
来ればすぐ帰る話やつりしのぶ
走馬燈消えてしばらく廻りけり
みな飛んでゆくものばかり走馬燈
生涯にまはり灯籠の句一つ
運河とは日傘の遠くなるところ
母の忌や一つ日傘を姉とさし
香合は堆朱を出して風炉支度
蒼朮を焚きひそやかにすまひけり
祖父の部屋曝書かたよせひざまづく
家ぢゆうが仏間の暗さ土用干
漢籍を曝して父の在るごとし
晒井や水屋の神の朝灯
井戸浚まづ電球を下ろしたる
武士町や四角四面に水をまく
打水の流るる先の生きてをり
立山のかぶさる町や水を打つ
豪華なる今日の眺めの散水車
散水車おのが濡らせし道かへる
乳母車しづかに通る日向水
行水や暮れゆく松のふかみどり
絵タイルの薔薇華やかにシャワー浴ぶ
夜濯にありあふものをまとひけり
夜濯ぎの水をながしてをはりけり
麦刈りて墓の五六基あらはるる
水といふ水にありけり麦埃
麦殻を焚く火か否か伊豆に入る
麦藁の今日の日のいろ日の匂ひ
冷やされて牛の貫禄しづかなり
大海に生きものひとつ冷馬
洗ひ馬利根に三角波立つ日
朝靄の溝浚へとはなつかしや
新しき水走りくる溝浚へ
溝浚ひなども手伝ひ住みつきぬ
代掻いてをるや一人の手力男
代掻きの後澄む水に雲の影
うながされまたひとしきり田掻馬
田一枚植ゑて立ち去る柳かな
早乙女の下り立つあの田この田かな
忽ちに一枚の田を植ゑにけり
田を植ゑるしづかな音へ出でにけり
田植笠紐結へたる声となる
雨乞の天照らす日を仰ぎけり
雨乞の大幡かゝげ進みけり
雨乞の手足となりて踊りけり
水にをる自分の顔や水喧嘩
水論の先代にまでさかのぼる
水番の片手しばらく樹をたたく
水を守る人たちらしくはなしごゑ
ふる里の早苗饗すぎし田風かな
早苗饗のあいやあいやと津軽唄
早苗饗餅搗きたて犇と笹衣
毛の国に真日の闌くるや田草取
息つげるごとく顔あげ田草取
月山のこゝにも草を刈りしあと
眼前の刈る草のほか何も見ず
半紙ほど昼餉広げて草刈女
草取女人の見てゐぬところかな
日の照れば帽子いただき草むしり
豆を蒔くひとり往き来の没日なる
菊挿して雨音つよき夜となりぬ
鶏小舎へ鶏呼び込んで菜種干す
こなたなる闇にも菜殻燃えはじむ
荼毘に似る山国伊賀の菜殻火は
颯々と風切るごとく藺草刈る
藻を刈ると舳に立ちて映りをり
大覚寺藻刈の僧と繰出しぬ
両の目に余る昆布を刈りにけり
引上ぐる昆布に波が蹤いてくる
命綱まだまだ沈む天草採り
天草桶抛りし波に身を抛り
干瓢のとりとめなきを剥きつづけ
袋掛山腹かけてすゝみをり
袋掛け一つの洩れもなかりけり
瓜番の少し大人になりにけり
足早き瓜盗人に驚きぬ
干草の山が静まるかくれんぼ
干し草のなかの薊は生乾き
谷深うまこと一人や漆掻
翼あるもの先んじて誘蛾燈
かげぼうしこもりゐるなりうすら繭
悉く繭となりたる静けさよ
上簇や馬立ち眠る星の下
糸取の目よりも聡き指持てる
一社一寺そのほかはみな糸を取る
一筋の糸引出すや繭躍る
遠目にも竿の長さは鮎を釣る
中流の鮎釣り一歩歩を退め
囮鮎妙にいきいきしてゐたり
川狩や帰去来(かへらなん)といふ声すなり
掻掘やさわだつ水のつぎの堀
おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな
早瀬ゆく鵜綱のもつれもつるるまま
血まなこの荒鵜に爆ぜる篝かな
潜り出て鮎を得ざりし鵜の顔よ
国栖人の面をこがす夜振かな
夜振の火かざせば水のさかのぼる
夜振の火遥かに二つ相寄れる
水の面を鱵が走る夜焚かな
まつさをな魚の逃げゆく夜焚かな
夜釣の灯消えしところに又灯る
己が足ときどき見えて箱眼鏡
水中眼鏡女すいすい近寄り来
簗にゐてあめつち水の音となる
簗掛けの水をなだめてゐたりけり
谷底に簗つくろへる谺かな
烏賊火より遠き灯のなし日本海
避暑楽し読まぬ雑誌を借りもする
けふもまた浅間の灰や避暑の宿
別々にゐるくらがりの涼みかな
すぐそばに深き海ある夜の涼み
靴脱いで蹠さびしき涼み舟
川床つづくぽつかり開いてまたつづく
川床涼し一鉢一皿づつ運ばれ
川床涼みだらりの帯を近く見て
舟遊びあやまちぬらす袂かな
遊船のさんざめきつつすれ違ひ
遊船や毛氈の上水の玉
立ち上る一人に揺れて船料理
恋のボート父子のボート漕ぎかはし
ボート裏返す最後の一滴まで
帆を上げしヨット逡巡なかりけり
檸檬囓りゐたりケルンを積みゐたり
暗闇の下山くちびるを分厚くし
キャンプ村素足にて物借りにくる
泳ぎ出て天の高きをたゞ怖る
暗闇の眼玉濡らさず泳ぐなり
愛されずして沖遠く泳ぐなり
競泳の勝者しづかにただよへり
急流に近づいてゆく浮輪かな
ピストルがプールの硬き面にひびき
仰向けに夜のプールに泳ぎをり
ヘヤピンがプールサイドに錆びてをり
海水浴この朝潮の紺に染まむ
歩きゆく地が砂になり海水浴
影遠く逃げてゐるなり砂日傘
砂日傘ちよつと間違へ立ち戻る
釣堀の四隅の水の疲れたる
売られゆくうさぎ匂へる夜店かな
さみしさに夜店見てゆくひとつひとつ
踏切を一滴濡らす金魚売
金魚屋が路地を素通りしてゆきぬ
暗く暑く大群衆と花火待つ
ねむりても旅の花火の胸にひらく
その次の少し淋しき花火かな
揚花火二階灯してすぐ消して
手花火のこぼす火の色水の色
手向くるに似たりひとりの手花火は
手花火が昼間は見えぬもの照らす
夏芝居監物(けんもつ)某(なにがし)出てすぐ死
水芸に火の芸一つ見せにけり
ナイターの八回までは勝ちゐしを
水遊びする子に先生から手紙
浮いてこい浮いてこいとて沈ませて
俳諧は屁のやうなもの浮いてこい
雨の夜の水からくりの音は淋し
ある日妻ぽとんと沈め水中花
泡ひとつ抱いてはなさぬ水中花
金魚玉天神祭映りそむ
天と地の間の金魚玉の水
金魚玉とり落としなば舗道の花
箱庭のとはの空家の涼しさよ
捕虫網を絞りて待てり駅の晴
身のなかのまつ暗がりの蛍狩り
蛍籠昏ければ揺り炎えたたす
蛍籠吊るす踵を見られけり
蓮見舟蓮にうもれて巡りけり
大空に草矢放ちて恋もなし
日を射よと草矢もつ子をそそのかす
麦笛や一つ年上女の子
ともに裸身ともに浪聴き父子なる
女の素足紅らむまでに砂丘ゆく
肌脱ををさめて齢さびしめる
馬関なり老機関士の肌脱も
端居してたゞ居る父の怖ろしき
端居して闇に向かへる一人かな
いふまじき言葉を胸に端居かな
端居して濁世なかなかおもしろや
せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ
洗ひ髪素顔でゐてもよき夕べ
汗のシャッぬげばあらたな夕空あり
今生の汗が消えゆくお母さん
汗ばみて加賀強情の血ありけり
ただ立ってゐる日焼子の笑顔かな
日焼子は貧しき答へ返しけり
ちらと笑む赤子の昼寝通り雨
昼寝覚発止といのちうら返る
昼寝覚雲を目に入れまた眠る
はるかまで旅してゐたり昼寝覚
寝冷子の大きな瞳に見送られ
眠たさの涙一滴夏の風邪
一晩にかほのかはりぬ暑気中り
匙落ちてこめかみひびく暑気中
おもかげやその夏痩の髪ゆたか
日射病戦跡巡りまだ半ば
霍乱の一とき雲を追ふ目あり
汗疹の子砂遊びしておとなしき
征く父に抱かれ睡れりあせもの児
⚫️行事⭐︎俳句歳事記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
子供の日すべり台よくすべりけり
母の日や大きな星がやや下位に
母の日のてのひらの味塩むすび
母の日の水中に皿滑走す
愛鳥週間てを差しあげて鳩放つ
時の日の花植ゑ替ふる花時計
父の日の橋に灯点る船のやう
大原女の紺着のにほふ端午かな
木曾は木の水のひびきの端午かな
武者人形兜の紐の花結び
菖蒲葺く千住は橋にはじまれり
遠州は風の国とぞ幟立つ
武者幟峡に信玄公ばかり
力ある風出てきたり鯉幟
鯉のぼり目玉大きく降ろさるる
雀らも海かけて飛べ吹流し
さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳のあたり
菖蒲浮く昔ながらの楽屋風呂
菖蒲湯をかけ合ふ吾子にまじり浴ぶ
薬玉や五色の糸の香に匂ふ
長命縷かけてながるゝ月日かな
原爆忌一つ吊輪に数多の手
笛方のかくれ貌なり薪能
一笛に月の芝能はじまりぬ
夏場所やひかへぶとんの水あさぎ
ペーロンに関りもなく巨船出づ
ハーリーやくろがねの胸水はじく
汝が胸の谷間の汗や巴里祭
飾窓(ウインド)に帽子の咲く木巴里祭
おしめりや朝顔市に人減らず
しまひ日の朝顔市に来てゐたり
鬼灯市夕風のたつところかな
真青な雨が鬼灯市に降る
四万六千日人混みにまぎれねば
榊にて下天を払ふ山開
槍穂高見ゆる白山開きたり
夕飯や花火聞ゆる川開
日のうちに一の花火や川開
神田川祭の中をながれけり
昼の月あはれいろなき祭かな
祭笛吹くとき男佳かりける
帯巻くとからだ廻しぬ祭笛
男らの汚れるまへの祭足袋
御柱に叫(おら)びて縋る歓喜かな
宮入りの傷だらけなる御柱
木落しの修羅場へ塩の撒かれたり
競べ馬一騎遊びてはじまらず
小わらはも冠りたがるやつくま鍋
みめよくて浅くかむりぬ鍋祭
呉竹のよよにあふひの祭かな
大学も葵祭のきのふけふ
御車はうしろさがりや加茂祭
大団扇三社祭を煽ぎたつ
結綿に花櫛に三社祭かな
川の中逸る水あり三社祭
神遊ぶ三船祭の水ゆたか
御田植に囃子鎮めのささら摺
投げ苗の御田の舞の上をとぶ
植ゑる舞ふ囃す一つの御田にて
砂走(すばし)りの夕日となりぬ富士詣
熱き茶をのこして発てり富士道者
厳島管絃祭に月の波
大鳥居海に残して管弦祭
御座船の動くともなく動きそむ
夕かぜや夏越しの神子のうす化粧
山へ紙ひらひらとんで御祓かな
薄闇にあうら拭きゐる夏越かな
形代にかけたる息のあまりけり
みづうみへゆらりと抜けし茅の輪かな
鉾にのる人のきほひも都かな
東山回して鉾を回しけり
ゆくもまたかへるも祇園囃子の中
祇園囃子ゆるやかにまた初めより
鉾の稚児雨の袂を重ねけり
まつすぐに我にとび来ぬ鉾粽
山笠がたてば博多に暑さ来る
野馬追も少年の日も杳かなる
野馬追へ具足着け合ふ兄弟
大阪の川の天神祭りかな
早鉦の執念き天満祭かな
船渡御や入日かゞやくたゞ中に
湯葉の香の一椀賜ふ安吾かな
半蔀をあげて夏安吾はじまりぬ
夏籠の箸がそろへてありにけり
まつすぐに一を引くなる夏書かな
或時は谷深く折る夏花かな
附き人が菩薩を煽ぐ練供養
菩薩みな頭でつかち練供養
最澄忌山へ入りゆく鐘一基
竹伐や錦につつむ山刀
竹伐や稚児も佩いたる飾太刀
塵なきを掃く学僧や鑑真忌
もろどりの山深くゐて鑑真忌
逢坂の雨のさみどり蝉丸忌
老残のこと伝はらず業平忌
業平忌鴎のこゑの潮さび
死はある日忽然と来よ傘雨の忌
取出だす遺愛の鼓牡丹忌
誰よりも長き黒髪多佳子の忌
黒々とひとは雨具を桜桃忌
桜桃忌暮れじと暮るる波がしら
秋邨忌灯点し頃をともさずに
茅舎忌や芋の葉は露育てつつ
朝顔の紺いさぎよし喜雨亭忌
蚊を打って我鬼忌の厠ひゞきけり
枡酒に我鬼忌の鼻を濡らしけり
走馬灯廻らぬもあり不死男の忌
炎天こそすなはち永遠(とは)の草田男忌
⚫️動物⭐︎俳句歳事記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
鹿の子にももの見る眼ふたつづつ
鹿の子の耳より聡き肢もてる
鹿の子のひとりあるきに草の雨
驚きがきつかけ鹿の子駈け競ふ
袋角鬱々と枝を岐ちをり
袋角熱あるごとくあはれなり
決然として触れしめず袋角
蝙蝠やひるも灯ともす楽屋口
やはらかく蝙蝠あげぬ港町
蝙蝠の黒繻子の身を折りたたむ
亀の子のすつかり浮いてから泳ぐ
雨蛙飲まず食はずの顔をして
青蛙おのれもペンキぬりたてか
青蛙ぱつちり金の瞼かな
瀬の音のまさりゆきつゝ河鹿かな
河鹿なくあまりに近くあはれなり
蟇誰かものいへ声かぎり
跳ぶ時の内股しろき蟇
遅れたる足を引き寄せ蟇
蟾蜍長子家去る由もなし
石の下石の眼もてる山椒魚
浮かび来て大はんざきの気泡吐く
はんざきの傷くれなゐにひらく夜
浮み出て底に影あるゐもりかな
守宮出て全身をもて考える
硝子戸の夜ごとの守宮とほき恋
しんかんと蜥蜴が雌を抱へをり
掌中にタクラマカンの蜥蜴の子
蛇逃げて我を見し眼の草に残る
水ゆれて鳳凰堂へ蛇の首
蛇のあとしづかに草の立ち直る
水銀の流るるごとし川の蛇
袈裟がけに花魁草に蛇の衣
曇天や蝮生き居る罎の中
枕木をわたつて来る蝮捕
蝮の子頭くだかれ尾で怒る
寵愛のおかめいんこも羽抜鳥
羽抜鳥怒濤に向ひたかぶれる
羽抜鳥片目にわれをとらへけり
野を横に馬牽き向けよほととぎす
ほととぎす平安城を筋違に
谺して山ほととぎすほしいまゝ
ほとゝぎすなべて木に咲く花白し
往くのみの戦のありし時鳥
うき我をさびしがらせよかんこ鳥
郭公や何処までゆかば人に逢はむ
灯るごと梅雨の郭公鳴き出だす
マッチ擦れば焔うるはし閑古鳥
湖といふ大きな耳に閑古鳥
筒鳥を幽かにすなる木のふかさ
慈悲心鳥おのが木魂に隠れけり
十一や北壁見ゆる三の沢
仏法僧鳴くべき月の明るさよ
夜鷹鳴く鳥海までの真の闇
まぎれなく夜鷹と聴きて寝そびれし
夫恋へば吾に死ねよと青葉木莵
青葉木莵おのれ恃めと夜の高処
老鶯や晴るるに早き山の雨
夏うぐひす総身風にまかせゐて
登山綱(ザイル)干す我を雷鳥おそれざる
つばめの子ひるがへること覚えけり
早鞆の風に口あけ燕の子
ゆふかぜに頭吹かれて燕の子
たべ飽きてとんとん歩く鴉の子
考へて一尺飛べり鴉の子
葭切のをちの鋭声や朝ぐもり
月やさし葭切葭に寝しづまり
夜は雨の堅田に眠り行々子
翡翠の影こんこんと遡り
翡翠の打ちたる水の平かな
子の声と翡翠のゆくへ澱みなし
鷭鳴いてたそがれ近き沼ひかる
鷭の子を風が集めてゆきしかな
五月雨に鳰の浮巣を見に行かむ
つゝがなく浮巣に卵ならびをり
雨にすぐ輪を生む池の浮巣かな
舷の高さに浮巣上がりけり
妙高の霽るると羽搏つ通し鴨
瑠璃沼の瑠璃のさざなみ通し鴨
夏鴨へくらき敷居を跨ぎけり
軽鳧の子の親を離るゝ水尾引いて
波に乗り波に乗り鵜のさびしさは
昼寝鵜のさめたるまるき目なりけり
北陸線鵜の礁(いは)鵜の礁暗くなる
知らでなほ余所に聞きなすくひなかな
水鶏なくさとのはやねと申すべし
夕風や水青鷺の脛をうつ
白鷺の風を抱へて降りにけり
鰺刺の搏つたる嘴のあやまたず
鰺刺や空に断崖あるごとし
大瑠璃鳥や白灯台に灘の照り
三光鳥鳴きやみし尾を垂れにけり
阿武隈に向けたる簷を夏燕
むらさきのこゑを山辺に夏燕
髪に櫛とほりよき朝夏燕
安房は手を広げたる国夏つばめ
見えかくれ居て花こぼす目白かな、
三井寺の門にかけたり眼白籠
四十雀絵より小さく来たりけり
人を見て山雀鳴くや籠の中
松島の松をこぼるる日雀かな
周防とや緋鯉の水に指濡らし
朝市の映れる川に緋鯉飼ふ
濁り鮒腹をかへして沈みけり
大鯰じたばたせずに釣られけり
笹づとを解くや生き鮎真一文字
鮎の腸(わた)口をちひさく開けて食ふ
石狩の岩魚を炙る石積めり
岩魚焼くうすくれなゐの炭火かな
蕗の葉に山女三匹空青し
大粒の雨が肘打つ山女釣
水更へて金魚目さむるばかりなり
あるときの我をよぎれる金魚かな
金魚大鱗夕焼の空の如きあり
少し病む児に金魚買うてやる
死したるを棄てて金魚をまた減らす
ビー玉を沈め金魚を喜ばす
てのひらにはりついてゐる金魚かな
死ぬときも派手に和蘭陀獅子頭
熱帯魚見るや心を閃かし
熱帯魚石火のごとくとびちれる
しづかにもひれふる恋や熱帯魚
天使魚も眠りそびれてをりにけり
水底の明るさ目高みごもれり
吾子ゆきて目高追ふ子にまぎれけり
黒鯛釣るや与謝の入海あをあをと
ちぬ釣の月光竿をつたひくる
目には青葉山郭公初鰹
初鰹襲名いさぎよかりけり
鰹来る大土佐晴れの濤高し
鰹船飯くふ裸身車座に
海中(わたなか)に都ありとぞ鯖火もゆ
鰺くふや夜はうごかぬ雲ばかり
手に軽く握りて鱚といふ魚
引潮の今がさかひや鱚を釣る
鱚舟に研ぎたての波光り出す
潮離るゝ寸前ベラのなまめきて
べらが出て糶もおほかたすみにけり
飛魚に翅透くまでにはばたける
飛魚の翼張りつめ飛びにけり
水槽の無音を鱏の横断す
包丁の鱧を引いたる痕もなし
大粒の雨が来さうよ鱧の皮
裂かれたる穴子のみんな目が澄んで
ひらかれて穴子は長き影失ふ
荒涼と荒川鰻裂いて貰ふ
宗右衛門町の裏見て鰻ふ
口中に鮑すべるよ月の潟
うかみくる顔のゆがめり鮑採
海酸漿売る灯が映る潦
死者のため茹でたての蝦蛄手で喰らふ
おほいなる蝦蛄の鎧のうすみどり
蝦蛄といふ禍々しくて旨きもの
代る代る蟹来て何か言ひては去る
腹の子をこぼして蟹の崖登る
ザリガニの音のバケツの通りけり
振り声も土用蜆や明石町
舟虫の微塵の足に朝日さす
舟虫の失せって薄日を残しけり
のつけから舟虫勢揃ひしてをりぬ
沈みゆく海月みづいろとなりて消ゆ
夏の蝶高みより影おとしくる
つまみたる夏蝶トランプの厚さ
揚羽より速し吉野の女学生
摩崖仏おほむらさきを放ちけり
夏蚕いまねむり足らひぬ透きとほり
夏蚕飼ふ灯を水色に谷の家
はためくをやめてあゆみぬ火取虫
金粉をこぼして火蛾やすさまじく
うらがへし又うらがへし大蛾掃く
蛾打ち合ふ音にはなれて眠りたり
蛾のまなこ赤光なれば海を恋う
山刀伐峠(なたぎり)の栗の毛虫の大きさよ
毛虫焼くちいさき藁火つくりけり
しやくとりのとりにがしたる虚空かな
尺蠖の哭くが如くに立ち上り
夜盗虫いそぎ食ふ口先行す
人殺す我かも知らず飛ぶ蛍
蛍火の明滅滅の深かりき
蛍の夜老い放題に老いんとす
一の橋二の橋ほたるふぶきけり
兜虫漆黒の夜を率てきたる
ひつぱれる糸まつすぐや甲虫
甲虫たゝかへば地の焦げくさし
天牛の金剛力を手にしたる
放つまで髪切虫の声を出す
きりきりと紙切虫の昼ふかし
玉虫の羽のみどりは推古より
金亀子擲つ闇の深さかな
モナリザに仮死いつまでもこがね虫
金亀虫アッツに父を失ひき
かなぶんぶん生きて絡まる髪ふかし
翅わつててんたう虫の飛びいづる
てんと虫一兵われの死なざりし
穀象の群を天より見るごとく
斑猫や我が青春にゲバラの死
道をしへ一筋道の迷ひなく
音たてて落ちてみどりや落し文
落し文端やや解けて拾へとや
鼻先に米搗虫や来て搗ける
水口の幣汚したる源五郎
まひまひやかはたれどきの水明り
まひまひや雨後の円光とりもどし
しづまれば流るゝ脚や水馬
あめんぼと雨とあめんぼと雨と
水すまし平らに飽きて跳びにけり
閑さや岩にしみ入る蝉の声
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
子を殴ちしながき一瞬天の蝉
聞くうちに蝉は頭蓋の内に居る
身に貯へん全山の蝉の声
空蝉に雨水たまり透きとほる
空蝉の一太刀浴びし背中かな
蜻蛉生れ水草水になびきけり
池の底木もれ日差してやご歩む
糸とんぼ急ぐ日ざしとなりにけり
しなやかなものにつかまり糸とんぼ
木洩日が翅をくすぐる川蜻蛉
蟷螂や生まれてすぐにちりぢりに
生創に蠅を集めて馬帰る
戦争にたかる無数の蠅しづか
蚊の声す忍冬の花の散るたびに
叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな
蚊が一つもつすぐ耳へ来つつあり
大寺や孑孒雨をよろこびて
ぼうふらの水に階あるごとく攀づ
まくなぎの阿鼻叫喚をふりかぶる
まくなぎに目鼻まかして牛の貌
ががんぼの脚狼狽(うろた)へるため長し
ががんぼの溺るるごとく飛びにけり
月に飛び月の色なり草かげろふ
優曇華や寂と組まれし父祖の梁
優曇華やおもしろかりし母との世
うすばかげろふ翅重ねてもうすき影
蟻地獄寂寞として飢ゑにけり
蟻地獄松風を聞くばかりなり
じつと待ち死ぬまで待てる蟻地獄
あるはずのなき隙間へと油虫
書斎派と厨派のをり油虫
切られたる夢は誠か蚤の跡
見事なる蚤の跳躍わが家あり
紙魚ならば棲みてもみたき一書あり
鴎外も茂吉も紙魚に食はれけり
蟻の道雲の峰よりつづきけん
影を出ておどろきやすき蟻となる
蟻の列曲る見えざるものを避け
老斑の遂にわが手に羽蟻の夜
螻蛄の闇野鍛治は粗き火を散らす
蜘蛛の子はみなちりぢりの身すぎかな
脚ひらきつくして蜘蛛のさがりくる
われ病めり今宵一匹の蜘蛛も宥さず
蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな
蠅虎鉄斎の書にはしりけり
なにもせぬ百足虫の赤き頭をつぶす
百足虫ゆく畳の上をわるびれず
蚰蜒を打てば屑々になりにけり
蛞蝓といふ字どこやら動き出す
かたつぶり落ちけり水に浮きもする
殻の渦しだいにはやき蝸牛
かたつむりつるめば肉の食ひ入るや
かたつむり甲斐も信濃も雨の中
蛭ひとつ水縫ふやうに動きけり
みちのくの蚯蚓短し山坂勝ち
何をしにここに出てきて蚯蚓死す
石段にのりくる潮よ夜光虫
夜光虫闇をおそれて光りけり
⚫️植物⭐︎俳句歳事記 第四版増補 夏 角川学芸出版=編 角川文庫
余花に逢ふ再び逢ひし人のごと
余花の谷木場には濡材(ぬれぎ)ふくいくと
葉桜や発つときめたるときの雨
葉桜の影ひろがり来深まる来
葉桜の中の無数の空さわぐ
葉ざくらや鋏ひとつのほどきもの
桜の実赤し黒しとふふみたる
桜の実朱唇ゆたかに伎芸天
花びらの落ちつつほかの薔薇くだく
とほるときこどものをりて薔薇の門
ロココ美として極まれる薔薇もあり
薔薇剪るや深きところに鋏入れ
石階を上り第二の薔薇の園
ぼうたんと豊かに申す牡丹かな
牡丹散りて打かさなりぬ二三片
牡丹百二百三百門一つ
火の奥に牡丹崩るるさまを見つ
牡丹の花に暈ある如くなり
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに
白牡丹といふといへども紅ほのか
あぢさゐや仕舞のつかぬ昼の酒
紫陽花や白よりいでし浅みどり
紫陽花のあさぎのまゝの月夜かな
あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ
紫陽花剪るなほ美しきものあらば剪る
橋ありて水なかりけり額の花
あけがたや額の咲くより空ひくゝ
石楠花や朝の大気は高嶺より
石楠花に手を触れしめず霧通ふ
散れば咲き散れば咲きして百日紅
さるすべり寺中おほかた見えにけり
咲き満ちて天の簪百日紅
女来と帯纏き出づる百日紅
さるすべり美しかりし与謝郡
さるすべりしろばなちらす夢違ひ
口なしの淋しう咲けり水のうへ
口なしの花はや文の褪せるごと
錆びてより巵子の花長らへる
庭石を抱てさつきの盛りかな
満開のさつき水面に照るごとし
繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり
かたむきて傾く雨のおほでまり
金雀枝や日の出に染まぬ帆のひとつ
金雀枝や基督に抱かると思へ
壺に咲いて奉書の白さ泰山木
ロダンの首泰山木は花得たり
あけぼのや泰山木は臘の花
病人に夾竹桃の赤きこと
夾竹桃しんかんたるに人をにくむ
南天の花にとびこむ雨やどり
塵とりに凌霄の花と塵すこし
凌霄や雨を怺ふる近江富士
デイゴ咲き口中赤き魔除獅子
海紅豆咲き焼酎の甕ひとつ
蕾よりすでに火の性海紅豆
屋根ごとに魔除獅子置き仏桑花
家よりも墓ひろびろと仏桑花
茉莉花を拾ひたる手もまた匂ふ
橘やむかしやかたの弓矢取り
嵯峨御所の橘薫る泊りかな
駅降りてすぐに蜜柑の花の中
ふるさとはみかんのはなのにほふとき
色欲もいまは大切柚子の花
売る馬は名づけぬといふ栗の花
恵那山の雨叩きゆく栗の花
栗の花丹羽は雲の厚き国
花栗のちからかぎりに夜もにほふ
柿の花こぼれて久し石の上
ふるさとへ戻れば無冠柿の花
日のくわつとさして柘榴の花の数
花石榴雨きらきらと地を濡らさず
花石榴老人のゐずなりし家
妻の居ぬ一日永し花石榴
青柿落ちて疵つかざるはなかりけり
青梅の臀うつくしくそろひけり
梅の実を盥にあける音のよし
遠縁といふ男来て梅落とす
青梅を落しゝ後も屋根に居る
青胡桃しなのの空のかたさかな
川音の空へ抜けゆく青胡桃
口中にして木苺の朝の冷
木苺をふふめば雨の味のして
青葡萄密なりあたり暗きまで
うつくしき吐息ぐもりの青葡萄
刃を入れて拒む手ごたへ青林檎
おのづから雲は行くもの青林檎
楊梅熟る青鬱然と札所寺
茎右往左往菓子器のさくらんぼ
さくらんぼ茎の立ちたるものつまむ
つゞきたる雨の間に熟れゆすらうめ
葉隠れの赤い李になく小犬
あんずあまさうなひとはねむさうな
賞与得てしばらく富みぬ巴旦杏
やはらかな紙につつまれ枇杷のあり
口中にふくらむばかり枇杷の種
枇杷すゝりをはりし双手宙にせる
パイナップル日照雨が中の香はげし
海は照り青きバナナの店ならぶ
先づ頼む椎の木も有り夏木立
門ありて唯夏木立ありにけり
夏木立ざわつく又も一荒れか
夏山は目の薬なるしんじゆかな
夜の雲に噴煙うつる新樹かな
新樹並びなさい写真撮りますよ
夜の新樹詩の行間をゆくごとし
若葉して御目の雫拭はばや
あらたふと青葉若葉の日の光
不二ひとつうづみのこして若葉かな
ざぶざぶと白壁洗ふわか葉かな
若葉風ひとゆれで発つ小海線
病院に母を置きざり夕若葉
青葉して浅間ヶ嶽のくもりかな
摩天楼より新緑がパセリほど
子の皿に塩ふる音もみどりの夜
奔流の貫いてゐる茂りかな
万緑の中や吾子の歯生え初むる
万緑やわが掌に釘の痕もなし
万緑を顧みるべし山毛欅峠
万緑や死は一弾を以て足る
万緑のどこに置きてもさびしき手
一塊の石を墓とす木下闇
緑蔭や矢を獲ては鳴る白き的
緑蔭に三人の老婆わらへりき
緑蔭は人に譲りて戻りけり
緑蔭にあり美しき膝小僧
結葉やひたひにさはる合歓の枝
しんしんと月の夜空へ柿若葉
七時まだ日の落ちきらず柿若葉
自転車に昔の住所柿若葉
教室にわつと歓声椎若葉
原爆ドーム椎の若葉に噎せかへる
樫若葉橘寺のいらか見ゆ
樟若葉樟一木のほとけかな
弟子達の弓の稽古や若楓
夏柳原爆ドーム年経たり
宗祇水とや一幹の夏柳
梧桐の遠き一樹を標とす
青桐や母屋は常にひつそりと
土用芽のわけてもばらは真くれなゐ
地におちてひびきいちどのわくらばよ
病葉の渦にのりゆく迅さかな
病葉や鋼のごとく光る海
掃き集め常磐木落葉ばかりなる
城山の崖掃きおとす夏落葉
清滝や波に散り込む青松葉
卯の花に立てかけてある田掻棒
愁ひつつ岡にのぼれば花いばら
海へ出る砂ふかき道花いばら
電車いままっしぐらなり桐の花
桐の花朝日はあつくなりにけり
桐の花盥に曲る山の鯉
桐咲くや泣かせて締むる博多帯
仏縁に垂れて胡桃の花みどり
追分は風吹き抜けて花胡桃
火を投げし如くに雲や朴の花
朴咲くや津軽の空のいぶし銀
朴散華即ちしれぬ行方かな
橡の花きつと最後の夕日さす
風に舞ふ槐の花を避けられず
梢より放つ後光やしゆろの花
棕櫚の花沖より来たる通り雨
棕櫚の花海に夕べの疲れあり
尾根下だる水木の花を下に見て
山法師妻籠は雨に変りけり
風音を過客と聞けり山法師
忍冬一連風に漂へる
アカシアの花のほかにも何か降る
いつも日暮アカシアの花仰ぐのは
針槐風とどまればにほひたつ
との曇る大山蓮華ひらかむと
青空に天女花ひかりたれ
どむみりと樗や雨の花曇り
むら雨や見かけて遠き花樗
樗咲き空は深さをうしなひぬ
栴檀のありあまる花こぼさるる
掌をあてて散る枝散らぬ枝黐の花
男らの無口に椎の花ざかり
夜も椎の花の匂へる無縁坂
えごの花散り敷く水に漕ぎ入りぬ
人声の水渡りくるえごの花
咲きそめてはやこぼれつぐえごの花
象潟や雨に西施がねぶの花
石鎚山の下に雲とび合歓の花
合歓の花この世のような景色かな
花合歓に夕日旅人はとどまらず
沙羅咲くと茶粥の箸を置きて見る
夏椿落ちてゆくとき目を開き
はまなすや今も沖には未来あり
はななすや破船に露西亜文字のこり
桑の実ややうやくゆるき峠道
桑の実を食べたる舌を見せにけり
御召列車過ぐ夏桑に巡査立ち
人の顔見たくなき日の竹落葉
きりもみのひとひらまじへ竹落葉
水面に重なり乾く竹落葉
竹皮を脱ぐ半分を脱ぎ忘れ
竹皮を脱ぐやわが家に姫ふたり
若竹や鞭の如くに五六本
今年竹空をたのしみはじめけり
篠の子や小暗き顔のふり返り
息つめて莟をきるやかきつばた
今朝見れば白きも咲けり杜若
夕暮は人美しく杜若
降出して明るくなりぬ杜若
天井も淋しからんに燕子花
一人立ち一人かゞめるあやめかな
花と花の間さびしき花あやめ
旅人に雨の黄あやめ毛越寺
むらさきのさまで濃からず花菖蒲
うつむくは一花もあらず花菖蒲
てぬぐひの如く大きく花菖蒲
白菖蒲剪つてしぶきの如き闇
あやめ草足に結ばん草鞋の緒
グラジオラス妻は愛憎鮮烈に
小家葺いて一八さきぬ二三本
袱紗解くごと一八の花ひらく
芍薬や奥に蔵ある浄土寺
左右より芍薬伏しぬ雨の径
一滴の雨もとどめず緋のダリア
南浦和のダリヤを仮りのあはれとす
サルビアの咲く猫町に出でにけり
サルビアの花の衰へ見れば見ゆ
向日葵の空かゞやけり波の群
向日葵の一茎一花咲きとほす
向日葵直射しヘッドライト消ゆ
厩より雀とび翔つ銭葵
立葵天香久山隠しけり
七尾線どこの駅にも立葵
雨脚のいきなりみえて立葵
貧乏に匂ひありけり立葵
花びらの日裏日表紅蜀葵
伊那へ越す塩の道あり紅蜀葵
歩きゐて日暮るるとろろ葵かな
散り際は風もたのまずけしの花
芥子咲いて其日の風に散りにけり
芥子咲けばまぬがれがたく病みにけり
罌粟ひらく髪の先まで寂しきとき
陽に倦みてひな罌粟いよよくれなゐに
虞美人草只いちにんを愛し抜く
芥子坊主どれも見覚えある如し
夏菊の黄はかたくなに美しき
驟雨来て矢車草のみなかしぐ
石竹の揺れ合ふ丈の揃ひたる
常夏に水浅々と流れけり
いつぽんは姑(しうとめ)のためカーネーション
睡蓮や鬢に手あてゝ水鏡
睡蓮の水に二時の日三時の日
浮葉巻葉立葉折葉とはちすらし
遠き世の如く遠くに蓮の華
蓮の花ふつくらと夜も明けにけり
蓮の花遠くにばかり見えてをり
蓮咲いて風その上をその下を
西方へ日の遠ざかる紅蓮
蓮池のまひるの風の匂ふなり
すぐひらく百合のつぼみをうとみけり
むきむきに花粉こぼして卓の百合
おじぎ草眠らせてゐて睡うなりぬ
金魚草よその子すぐに育ちけり
いろいろな色に雨ふる金魚草
おいらん草笄(かうがい)散らし櫛散らし
こんな赤にもなれますと縷紅草
松葉牡丹日ざしそこより縁に来ず
仙人掌の針の中なる蕾かな
今一度月下美人に寄りて辞す
首曲げて人を待つなりアマリリス
あまりりす妬みごころは男にも
根つめて歳月逝かす日日草
これよりの百日草の花一つ
百日草あらひざらしの色となり
鬼灯や花のさかりの花三つ
かがみ見る花ほほづきとその土と
青鬼灯武蔵野少し残りけり
小判草ゆつくりと揺れ迅く揺れ
小判草引けばたやすく抜けるもの
鉄線の花の紫より暮るゝ
てつせんの花てつせんに巻きつける
花岩菲ゴンドラおそるおそる着く
眉掃きを俤にして紅粉の花
雨の日のくらさあかるさ紅の花
紅の花葉先するどく干されけり
茴香のありとしもなく咲きにけり
筬の音しづかに芭蕉玉ときぬ
苺買ふ子の誕生日忘れねば
苺の空函ためてどうする妻の知恵
胎の子の名前あれこれ苺食ぶ
死火山の膚つめたくて草いちご
茄子苗を揺らして運ぶ鞍馬みち
過ぐるたび胡瓜の花の増えてをり
南瓜咲き室戸の雨は湯のごとし
糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな
草木より目覚めの早き茄子の花
うたたねの泪大事に茄子の花
妻呼ぶに今も愛称茄子の花
じやがいもの花の三角四角かな
じやがたらの花裾野まで嬬恋村
遍路みち白く乾いて胡麻の花
山畑は垣など結はず胡麻の花
独活の花雨とりとめもなかりけり
常念岳のかがやき見よや花山葵
うかみくる水のゑくぼや花わさび
人去って風残りけり韮の花
ひちづまにゑんどうやはらかく煮えぬ
そら豆はまことに青き味したり
よろこんでそら豆の莢剥くことに
そら豆のやうな顔してゐる子かな
笋はすゞめの色に生ひ立ちぬ
筍の光放ってむかれたり
たかんなの土出でてなほ鬱鬱と
母の年越えて蕗煮るうすみどり
雨の日や指先ねむく蕗を剥く
蕗の雨八海山をかくしけり
伽羅蕗の滅法辛き御寺かな
朝露によごれて涼し瓜の泥
水桶にうなづきあふや瓜茄子
瓜貰ふ太陽の熱さめざるを
まくは瓜をさなき息をあてて喰ふ
まんなかに種ぎつしりと真桑瓜
詩も川も臍も胡瓜も曲りけり
夕影は一山売りの胡瓜にも
夕顔の一つの花に夫婦かな
メロン掬ふに喫水線をやや冒し
採る茄子の手籠にきゆァとなきにけり
桶の茄子ことごとく水をはじきけり
右の手に鋏左に茄子三つ
トマト挘ぐ手を濡らしたりひた濡らす
朝日匂ふ卓へ濡れ手で出すトマト
雷の下キャベツ抱きて走り出す
轍また深みにはいり夏大根
選り分けて新じやがの粒揃ひたる
新じやがに似て子の膝や土まみれ
新藷の羞ひの紅洗ひ出す
うつくしきもの献饌の走り薯
夏葱に鶏裂くや山の宿
夏葱の土寄せ済んでゐたりけり
玉葱を吊す必ず二三落ち
玉葱のくび玉葱で括りたる
辣韮漬け愚かな母で通しけり
朝市や地べたに盛りて茗荷の子
茗荷の子くきと音して摘まれけり
停年や径ひとすぢに風の蓼
あとになり気付く蓼酢のありしこと
雑草に交らじと紫蘇匂ひたつ
紫蘇畑こんにゃく畑昼の雨
青山椒擂りをり雨の上るらし
櫛に水つけて髪梳く青山椒
きじやうゆの葉唐辛子を煮る香かな
土佐よりは伊予が美し麦は穂に
麦の穂のしんしんと家つつむなり
いくさよあるな麦生に金貨天降るとも
二日月三日月早苗夜も育つ
早苗束投げしところに起直り
早苗束はふりたる手の残りけり
箒木に影といふものありにけり
あをあをとこの世の雨の箒木草
絆とは入日にしぼむ棉の花
地平まで玉蜀黍の花畑
さそり座のそばまで麻の花ざかり
麻咲いて坊主頭の子に朝日
明るくて向う透けたる麻畠
太藺咲く隙間だらけの通り雨
夏草や兵(つはもの)共がゆめの跡
夏草やベースボールの人遠し
夏草に汽罐車の車輪来て止る
わが丈を越す夏草を怖れけり
山羊の仔のおどろきやすく草茂る
人通る幅を残して草茂り
残りゐる海の暮色と草いきれ
草いきれ貨車の落書き走り出す
見えぬ雨青芝ぬれてゆきにけり
青芝を踏み高原の朝の弥撒
青蔦のがんじがらめに磨崖仏
息切らすまで分け入りし青芒
切先の我へ我へと青芒
青蘆の触れ合ふ音の蘆出でず
青葦のたけだけしきも常陸かな
青芦や淡海を過ぐる通り雨
対岸の石切るこだま夏蓬
夏蓬ばりばり刈って父葬る
夏萩やすいすい夕日通り抜け
夏萩や男の束ね髪もよし
いづこより月のさし居る葎哉
絶海の蒼さ葎ののぼりつめ
石菖や水つきあたりつきあたり
おろおろと晩年が見ゆ竹煮草
竹煮草たたきて山雨はじまりぬ
紫蘭咲いていささかは岩もあはれなり
すずらんのりりりりりりと風に在り
鈴蘭とわかる蕾に育ちたる
鈴蘭はコップが似合ふ束ね挿す
昼顔に電流かよひゐはせぬか
昼顔のほとりによべの渚あり
浜昼顔タンカー白く過ぎゆける
夕潮に纜張りぬ月見草
月見草夢二生家と知られけり
魚籠の中しづかになりぬ月見草
水芭蕉水さかのぼるごとくなり
水はまだ声を持たざる水芭蕉
睡き子のかたむきかゝる花擬宝珠
形見とておほかたは古り花擬宝珠
干真菰乾ききりたる音をたて
真菰などばさと活けたる書見の間
かたまって雨が降るなり著莪の花
著莪のはな犬を𠮟りに尼の出て
沢瀉や芥流るゝ朝の雨
おもだかに寄る漣や余呉の湖
河骨の二もとさくや雨の中
河骨の金鈴ふるふ流れかな
河骨や雨の切尖見えそめて
河骨の玉蕾まだ水の中
流れゆく水葱あり今日の花を咲き
みづぎはの疲れてゐたり菱の花
まつくろな藤原仏や菱咲ける
ふるさとはなびきつつ藺の花ざかり
濁流の藺田の青さに迫りゐる
蒲の穂は剪るべくなりぬ盆の前
やどりせむ藜の杖になる日まで
ふるさとの藜も杖となるころか
虎杖の花に熔岩(らば)の日濃かりけり
虎杖の花しんかんと終るなり
浜木綿や落ちて飼はるる鳶の雛
浜木綿咲く朝の岬を呼びよせて
大雨のあと浜木綿に次の花
人麿の歌はともあれ浜おもと
夏あざみ音たててくる阿蘇の雨
夏薊渡らむ島を消して雨
野の雨は音なく至る夏薊
蛇籠より蛇籠へ渡り灸花
表札にへくそかづらの来て咲ける
かたばみを見てゐる耳のうつくしさ
羊蹄花(ぎしぎし)や仮橋長き干拓地
ぎしぎしと見ればぎしぎしだらけかな
通り雨ありたる現の証拠かな
雲とんで雨呼ぶげんのしようこかな
萱草や浅間をかくすちぎれ雲
萱草が咲いてきれいな風が吹く
夕菅のぽつんぽつんと遠くにも
黄菅咲く父に小さき画帳あり
踏まれつつ車前草花を了りけり
車前草の花やでこぼこ道愛す
十薬のさげすむたびに増えてをり
十薬の花のかたちのやまひかな
淋しさの蚊帳釣草を割きにけり
吾が弱気妻の強気や蚊帳吊草
踊子草みな爪立てる風の中
射干も一期一会の花たらむ
とらのをの尾の短きへ日が跳ねて
虎の尾を一本持って恋人来
姫女菀しろじろ暮れて道とほき
宇陀の野に都草とはなつかしや
ひかへ目に宝鐸草が花揺らす
狐の提灯古みち失せて咲きにけり
捩花のまことねぢれてゐたるかな
捩花のもののはづみのねぢれかな
捩花をきりりと絞り雨上がる
破れ傘一境涯と眺めやる
破れ傘花といふものありにけり
雨に揺れ虻にゆれけりうつぼ草
旅ひとり一つ葉ひけば根のつづき
蛍袋に指入れて人悼みけり
をさなくて蛍袋のなかに栖む
提灯花要所に点る城の径
あやまちて片白草として白し
夕ごころ片白草の化粧ふより
くるぶしの砂におぼるる浜豌豆
花見せてゆめのけしきや烏瓜
烏瓜咲ききはまつてもつれなし
母の亡き夜が来て烏瓜の花
濡れ巌のしののめあかり蛇苺
蛇苺踏んで溝跳ぶ小鮒釣
夏わらび手に殖やしゆく塩の道
鷺草のそよげば翔つとおもひけり
鷺草の鉢を廻して見せにけり
鷺草にかげなきことのあはれなり
歳月やはびこるものに鴨足草
漸くに落つくくらし雪の下
低く咲く雪の下にも風ある日
えぞにうの花咲き沼は名をもたず
えぞにうの太首ぬつと日本海
膝ついてより苔の花つまびらか
仏ともただの石とも苔の花
布袋草美ししばし舟とめよ
古池に水草の花さかりなり
これといふ話もなくて藻の花に
藻の花や雨降りつのる西大寺
萍の平は水の平なる
静かなる町うきくさの水に沿ふ
萍のはじめや粉のごときもの
雨雲の風おろしくる蛭蓆
面白く塗ばしすべる蓴かな
仰向いて沼はさびしき蓴かな
木耳に色くる蔵王堂の晴
白塗りののつぺらばうの梅雨茸
かほに塗るものにも黴の来りけり
黴けむり立てゝぞ黴の失せにける
うかうかと黴にとられし夫の靴
修道女午後はふのりを干すいとま
引き擦って引き擦って干す荒布かな
以上
by 575fudemakase
| 2024-05-17 04:06
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by 575fudemakase

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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
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いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
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[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
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