最近の嘱目句あれこれ2 2024年 （高澤良一）

最近の嘱目句あれこれ2 2024年　（高澤良一）

その他嘱目　関連

チュンチュンと朝っぱらから夏すずめ

遊歩道馳せる花屑百（ひやく）日（じつ）白（はく）

海道を飾る街路樹百（ひやく）日（じつ）白（はく）

おし黙りひとりバス待つ真炎天

夏見舞かかりつけ医の太田さん

夏見舞白砂白砂のサイパンより

DOUTOR店追浜

己（おのれ）へのSummer Giftにアイスティー

アイスティボックス詰め混む箱結露

氷入りアイスココアに長（なが）っ尻（ちり）

アイスティ喉すべり落ち胃袋へ

年寄のドトール族に混むお店

胃袋に直結まなつのアイスティ

止り木でドトールコーヒーすする夏

ふるふるとコーヒーゼリー涼しげよ

暑気払はんパナマゲイシャブレドもて　

Summer Gift 「Geisya」と云う名のアイスティ

妻入院

救急車脳波・診察・多田先生

チャンと云うコーヒー色の雌とんぼ

病み上がり雨上がりには虹期待🌈

いきなりの次が脳天僕つ山葵

青天を掻き消しだしぬけゲリラ雨

カット西瓜押し込み冷房キンキンに

鶏頭も首垂る酷暑のこんな日は

犬蓼に大層降るね鄙の雨

此処見っけの声挙げかたばみ直立す

敷石の目地（めじ）に割り込む相撲草

ハローワーク年寄り過ぎてもう無縁

秋アカネ煽りつ霊園戻りのバス

犬子草熱風喰らひてんてこ舞

バスすいすい百（ヒャク）日（ジツ）白（ハク）の街をゆく

空調の館出て乗るバスの函

釈迦力で啼く蝉何處八幡宮

野外映画主演はターザン　時代が知れ

秋津島熱さに了りなかりけり

リビングにぶんぶんが舞ふ鮮（あたら）し夜

飛びたてるかなぶんぶんの無鉄砲

気がふれたやうに鳴き出す壁の蝉

場違ひのやうに蝉啼く朝まだき

白靴の先ゆくとトカゲはまやらは

放ちやるはひふへほたるおほぞらへ

かなへびにどきんと一歩後ずさる

驟雨叙す言葉に「とたん」「刹那」など

宿に着くやいなや夕立のドドドドと

闘牛（横綱牛）

男山グゥの音（ね）も出ぬ勝ちっぷり

こけおどし　いしょうまとひて　じょろうぐも

感歎符疑問符だらけの白昼夢

喜べばあははひひんと人と馬

わが痩躯は枯れ血脈の曼荼羅図

救急車出現ギラつく太陽背に

蝉じりじり朝から気象不安定

蝉の合唱みんみんしゃんしゃんじゅくじゅくと

ホ句作り谷川先生お手本に

停電にて一つ足らない単3電池

声透けて日暮れ惜しめる蝉なりき

大股で歩く蟇ゐてわが狭庭

尻餅をついたところで昼寝覚

大玻璃戸の前で反転烏蝶

夕餉とるゆつくり夕焼けゆつくりごはん

妻行水もどきの水浴びすれば

古妻とて肌はもちはだちょい覗き

久米仙人の心地わたしも体験したく・・・

絶景や女人の行水眼下にて

母の云へる

われも機関士に憧れゐしが只の人

よき子らに機関車トーマスあのギョロ眼

散髪は「いつものように」とジンベの人

風鈴の朝から晩まできりなし唄

帆立貝（ほたて）喰ひたし北海道なら長万部（おしゃまんべ）

初夢にうそつき見破る閻魔庁

起立でぷ　お風呂でぽぽの　屁の晩夏

そそくさと横浜の蛇穴に入る

死ぬまでにすること億・兆・京（けい）・垓（がい）扨（さ）て

蛭と云ふがりがりもうじゃのこんこんちき

屋上庭園一気にがぶ飲みしてビール

夜店にて「だってだって」とねだられて

読みぞめの文体はなから「であるである」

ざりがにに指をはさまれいててのて

新年の応待至って鷹揚に

すたすたと草履に慣れしわが素足

梅雨最中ぺたぺたと履くスニーカー

恐竜の吊り上がる眼にすくむ首夏　🦕

運動会すたすたゆかぬ子びりっけつ

雲間よりおやおや新月顔出した

間蒸し喰ふ誘ひ到って太っ腹

月今宵人はすやすや虫はさやさや

運動会こんな筈ではなき着順

ぶんぶんのすっとこどっこい玻璃戸打つ

ふつうに起きふつうに暮れて終戦日

夕ごはん食べればこぼして終戦日

月給日懐かし断捨離すすむ夏

盆近み朝から妻のなんまいだ

夏休み宿題すんでいる子かな

道をしへとんちんかんのちんぷんかん

残暑来て薬のむには只の水

葉上（ようじよう）をゆつくり進むかたつむり

流さるゝままで覇気なきみづすまし

横文字などからきし駄目の映画の夏

餌撒くもちっとも寄って来ぬ鍋鶴

はたらき蟻はたらきづめの真炎天

道よぎるみみずは圧死覚悟せよ

撫でやればじきにこうなるおじぎ草

俳優松平健逝く

天國でもマツケンサンバ高らかに

釣忍の脇の風鈴鳴りづめよ

極楽寺

炎天下ポストはそこです駅の前

鰻（うな）松は鳶の舞ひゐる下辺り

アイスティーそれには似合いのチョココロネ

茄子植うにウエザーニュースのマイ天気

竜天に登る玉石掻き抱き

広告

新聞にでかでか「千葉の梨です」と

根を張って生きよとがじゅまる蟻に云ふ

地震速報ケイタイ叫び我うろつく

初ものの梨はまだまだ大根味

初ものの梨を詠ふぞいつさかホイ

ののさんに上げるには佳し初もの梨

鷹化して鳩と為るとは莫迦げたる

クー・クラック・クランの出で立ち烏賊烏賊しい

蝗達馳せ来る雨にバク転す

単衣脱ぎつゝ「暑いと言ったらありゃしない」

工事中砂場えぐれて富士薊

日蔭より日向へたちつて縞とかげ

妻

石集めが好きで川原撫子生ふ中洲

採取日の日付露けし石っころ

ただいまの声もよれよれ遠花火

切る揃へる物には手順あり薄暑

ギンギンに冷えし麦茶を汁替り

俳諧を高みに上げるトートロジー

パントマイム脂粉を凝（こら）らす雪男

プルコギにおとがひ使ふ夜の秋

炎天を恨める妻のかすれこゑ

耳たぶ刺すふてえ野郎と蚊を成敗

鉦叩意外や意外女女しかり

信条

つまるところ俳句は熱血俳句は莫迦

俳句は莫迦　みんなにイェーと云ひたい為

TV辻仁成のパリごはん

さあ料理お手をはいしゃく冷し汁

ボンジュール！ホワイトアスパラなじみの八百屋

巴里住まひ友達ガンガン増殖中

薬局の角っこ曲がれば土用東風

烏揚羽セレモホールの角曲がれば

仁王立ち顎のしゃくれた積乱雲

万灯曳き引きも切らない町の衆

池上駅人を吐き出す御命講

町火消しいろは逆立ち見す光景（ありさま）

日蓮祀るに綿・餅・太鼓でんでんぼこ

でんでんぼこ扇太鼓に逸る脚

十夜の法会善男善女群衆す

砂糖ぶっかけ心太食（お）す息つぎに

葛切りを妻に所望す油照

金魚屋を車窓より見し大昔

マスクして暑さにころりまいりけり

阿字ケ池にのさばり放題鯉と亀

関東の記録に記憶に大震災

震撼と稲荷守る家夏木蔭

生（ま）れ立ての新舗装路に夏木影

こんもりと夏木の姿それで佳（よ）し

富岡に立ちはだかれる雲の峯

海の家積乱雲を左耳右耳（とみこうみ）

夏雲のつつゝと横へ鉄塔越へ

炎天下首長くして待つタクシー

海軍に台頭戦艦不用論

それそこが転機マリアナ沖海戦

レイテ沖海戦

海上特攻大和に死に処（ど）与ふ為

攻撃機三百飛来大和撃つ

大和撃つ艦の後尾の三番砲

英霊の大和戦死者三千五百

戦争は最初は勝ちづめ後デタラメ

薬師岳

溶岩（らば）原の雷鳥親子のトト歩き

旅果ての霧の中より劍岳

テント張るハクサンイチゲの花畑

山頂へ旅も大づめ薬師岳

山小屋のあるじイラストレイターとよ

ここカール五度色どりかわる岳

ニッコウキスゲなぞへに視界開けけり

薬師岳眺望開ける地点此処

焼海苔でおししまいまいしてご飯

海苔に醤油おししまいまいするからと

異口同音氷下魚（こまい）の骨は取り易しと

新米に朝餉の氷下魚しょっからし

納豆ぶっかけ朝餉のご飯おかわりす

西瓜容れ古冷蔵庫冷えに冷え　　木製冷蔵庫

パリオリンピックテレビ観戦

被爆の日卓球済んで夜が明けた

昼寝覚僅かに覚えてゐる結末

白昼夢訳わけわからなく泥仕合

炎天を滑走するものオートバイ

バイク音ダダダ炎天ぐらつけり

十薬を根こそぎ気分爽快よ

夏雲を掻い潜りゆくモノレール

マスクしてむつゝりバスでゆく炎昼

サウナ出でがっぽりあびる真水かな

バスの運転手曰く

リュックの人止まってからよ席立つは

バスを待つ人等の会話唯暑し

問いかける言葉も暑し停留場

ダベること数分ビールも飲み干した

ケイタイ繰る指先さらさらさはやかに

切断面きのふのごとし夏欅

炎天に鮮（あたら）し欅伐りし跡

松屋カレーにてさる男

といめんにサングラスしてカツカレー

炎天きてパクつくかりかりカツカレー

銭湯♨️

チクチクの髯に当るは亀遊館

頭に乗する手拭い　ホ句にもある定形

雄鹿の如青年の尻湯壺に立ち

尻の形十人十色昼の湯屋

銅葺きの屋根にまざまざ夏木影

熱気狂気ふあっと放つアスファルト

百日紅風揺れ止みてほったほた

石垣の裏にも空蝉まだ来ぬバス

真夏のホ句軽々しければメモ書きに

マグドナルドにて

ふらと入りマックファンタのメロンM

赤黒きビーフサムライマックとぞ

ズームアップ¥180のちょいマック

黒人の子も来てマックのちょいセット

ガーリックシュリンプ壁にズームイン

動画もて勧誘ハワイやんバーガーズ

ハイビスカスの絵柄のめっちゃハワイやん

氷菓なるサクレはスライスレモン入り

塩辛蜻蛉（しほから）の来てゐる泥亀（でいき）は埋め立て跡

颱風の今後の見通し岩手縣

競べ馬多士済々の好メンバー

競馬実況水流すごと滔々と

位置取りよくドードジボンが圧勝す

川田将雅

お見事ぞ騎乗は川田ジョッキーよ

ハンデの壁トントントンと勝ち上がれ

嗚呼東京オリンピック

浜口のおやじが煽るレスリング

かまびすしきものの大将今は蝉

ザクザクと氷菓サクレに匙を入れ

刳（さく）り食ぶ氷菓サクレに舌が馬鹿

わが町

金沢区のシンボルマークはカモメと波

バス来る迄マスク付けたり外したり

バス停に男も日傘もて待つよ

バス停にお盆のダイヤ貼り紙す

稲妻ステークス競馬は楽しくカッコよく

暑き日に熱きレースを札幌馬場　　UHB賞

イチオシの馬名ではなしアスカモンダ

北海道涼しくなってこのレース

九州を一ト呑み線状降水帯

テレビ終焉「きみがわようわ」で日章旗

以上

（妄言陳謝）