最近の嘱目句あれこれ10 2024年 (高澤良一)
最近の嘱目句あれこれ10 2024年 (高澤良一)
◼️春
海苔網に海苔ぶちまけて海苔作り
海苔採りのひねもす海に長居して
新学期値上げが決まった郵便代
遠足で二度程行った程の街
軒深く入る陽に感謝君子蘭
◼️夏
夏涼しの云ひ出しぺは鴨長明
カルスト台地秋吉台は水温年中14°C
湧水がこんこん別府弁天池
猛暑日の数など目じゃない秋吉台
勤勉者の街 関東は焦げさうな
勤勉者の街 関東は灼けさうな
峯雲より不快な朝の続ける日々
ゲスト皆んなで飛んでけ飛んでけ熱いの夏
真っ白な峯雲が隣家の屋根の上
室外機も一つ上り隣家の屋根
電柱丸ごと吸ひ込みさうな青空けふ
立科の空の真下を行く小径
焙じ茶懸け掻き氷屋がここにあり
球(たま)と球(たま)の足し算蓮(はちす)の葉っぱの上
クラークゲーブルの出てゐた映画灯を点す
隣家より一と脚先に灯を灯す
あめんぼう睫毛のやうなその美(み)脚(あし)
うだる日々スマホじゃないが炎上す
壊れかけ水道管より夜の点滴
蚊帳吊ったこと覚えゐし八畳間
鯉に餌斑(ぶち)と紅蓮(ぐれん)が入り乱れ
誕生日に頼むバーガー肉ぶあつ 🍔
髪洗ひさっぱり顔の妻眼前(がんぜん)
夕顔の正体見せたり干瓢に
風鈴を外し忘れし今年又
新聞の切抜きさし込む西日の中
十二神将武(ぶ)ばる面々西日のなか
むせび食ぶ妻七十の新生姜
一と吹きに殺生界の海霧晴らす(泥亀新田)
音無しの雨が降るなりうしみつどき
うらめしとお岩初演の染五郎
懸命をモットー上総(かずさ)のあめんぼう
くすぐって見たくなるもの含羞草
俯瞰して皇帝ダリアと云ふ巨人
風蘭を欅に宿し昏るゝ寺
盆帰省ならぬをあれこれ長電話
拡散のむらさき放つ雨虎(あめふらし)
驟雨来て淫らな萩となり下り
消しゴムのカス爪弾く短夜にて
◼️秋
もう夏が終る木槿が背伸びしてる
台風は発達しながら中国へ
球入れより球あふれ落つ青天
午後からは元気いっぱい運動会
ヘリコプターの音タントンと秋の空
老人は皆んな早寝よ十五夜とて
雲あっても無くても良夜仲秋の
初風に黍の葉擦れや石垣島
初風に赤き巻き毛のとうもろこし
雨月の夜コップ磨きてぴっかぴか
暗闇で挨拶誰が誰だか無月の夜
幕の内は四時からその前何とせう
サッカーのゴールの向う天の川
銀河系傾ぎっぱなし芋の露
新秋と云ひて浸れる新刊書
韓国料理辛しそうだよ唐辛子 🌶️
お隣りの国の珍品唐辛子 🌶️
紫蘇の実のつぶつぶ噛んでごちそうさま
眼をぱちぱち摘み菜が椀にひっついて
自然薯の包装凝って来ることも
貝割や人手仕事に手抜きなし
タロ芋は南洋の芋にょきにょきと
砂利道の農道ゆけば芋水車
広告に牛蒡は健康食品と
交通死と一重の処稲の花
葉生姜のザックリ切り捨てられまな板
妻の云ふ醤油かけ過ぎ新生姜
ぬかご落つパチンコ球のやうに落つ
大方は肥満児クラスの級長も
トコトコとネズミ走りの芋水車 🐀
いがらっぽき芋茎の味噌汁覚え居る
八頭(やつがしら)実りの秋に感謝して
紙を切る薄き紙ならショリショリと
紙を切るボール紙ならジョリジョリと
紙を切るボール紙には硬き音
じゃが芋の煮つけどっさり肉入れて
圧力鍋で蒸かすに如かずじゃがたら芋
川崎に秋来てアピタ・ららぽーと
青ふくべいいからもってゆけと云ふ
又律を叱る声する糸瓜棚
床材の張り替えせねばと思う秋
どうなるか知らんが雀蛤に
照り返し家の奥まで後の彼岸
だんだんに其処を離れて草の絮
横降りの雨の激しや草の花
棒状の雨が斜めに草の花
秋草の流れて来る川どんぶらこ
秋草とはここらに咲く花全部を云ふ
さねさしの相模の国の花煙草
秋草の後から後から流れ来る
秋草の押し流さるゝ濁り川
事あれば村は結束藍の花
昨夜(よべ)よりの雨水に浸かり穭の穂
交通死と紙一重にて稲の花
新小豆ザラっとあけて筵の上 🫘
手作りの三角揚げや新大豆
川風に流されながら啼く秋蝉
堰の音日に日に高く秋半ば
棒のやうな雨が降るなり蕎麦畑ケ
風ハタと落ちてだんまり虫一帯
菊と軍刀よろしと時代大正へ
濡れ光る水神様の秋海棠
海底ケーブル延々渡り鳥黙々
のらりくらり体操などして吾の午後の部
訳の分からぬ体操などして吾の午後の部
桂の木葉むらの中に三カの月
傘の骨等もかかれり下り簗
ヘリコプターの音(ね)も絶えいつしか根釣の闇
盆の僧自転車漕いで向うより
盆のもの引っかかりをりともづなに
蝋燭の芯のパチパチ蓮の飯
「菊と刀」語り継がれてとこしなへ
無患子の落つるは不平零すごと
桐の実の落ちて天下の秋を知る
階(きざはし)は殊に掃かれて高山寺
芒とは手の掛かる花時には枯れ
芒とは厄介な花時には枯れ
夜の雨は夜通し苑は露曼荼羅
詣でたし鎌倉一の萩寺に
心地よき風にこと寄せ萩見物
尋ねたき寺の名聞けば宝戒寺
背に付きし草の実どーれとはたきやる
ぱたぱたと穂絮を払ふ池の端
五色沼木々を尋ねて色鳥来
桧原湖のその又奥の草もみぢ
穂絮より軽ろき足どり裏磐梯
くるぶしに泥(ひぢ)こびりつく花野行
草の絮頰の辺りを擦り抜けて
萩散るや一目散に走る土手
萩の露どどどど零さん許りにて
八千草に露置く寺の朝ぼらけ
うすら寒寺は梵鐘打ち始め
水の上に末枯れ見する最上川
芒とは手の掛かる花時には枯れ
象潟の尾花恨めしお岩の手
象潟の尾花や牡蠣の白づくめ
堰の水全てを映す地蔵盆
手拍子の草津よい処蕎麦の花
長考の人のうしろの上野山
隠元の棚組み立てゝ嬬恋村
帰郷して蓼の垂り穂の田舎みち
香煙のけむる中来て菊供養
樫の実落つ水をいっぱい跳ね退けて
橡の実落つ歯止めかからぬままに落つ
銀杏散る音筒抜けに建長寺
栴檀の見れば黄熟する其の実
鶏頭の顎の辺りの種子を採る
大根蒔く名寄へバスの立ち寄って 🚌
ひいばあさん手慣れたもんだよ小豆引く
太陽は真上にありて小豆干す
土地人の紫雲英を撒ける休耕田
秋蒔の畝を鍬もて作りをり
名寄へとバスは立ち寄る懸莨
朝顔の種採り鉢の後始末
コスモスより遠のき始めてゐる船影
コスモスに風の乱れのありありと
西鶴忌下手でも鉄砲打ちゃ当る
俳諧はずどんと荒木田守武忌
立山と対為す前田普羅なり
横濱が茫っと見える汀女の忌
八景島先々週も鯊釣った
分類は些末に渡る獺祭忌
林火忌や孱潺集に遊びけり
鵯の莫迦口開けて啼きにけり
山葡萄誰も見てない処に熟れ
秋茱萸の小粒なる実の埃(ほこり)っぽく
ひらひらと宇津ノ谷峠の葛あらし
しろしろと宇津ノ谷峠の葛あらし
広重が描く処の真葛原
ずず珠の真白くもあり真緑も
ずず珠の返す光のちらちらと
引っ張って見たくなるもの通草蔓
山萩の雨をこぼして止まぬなり
芒とは厄介な花雲隠れ
手の窪に茱萸のやりとり島の子等
皂莢の実のぶらぶらを朝夕に
仙石の尾花何処から昏れて来る
ぎんなんは人無き処を選り落ちぬ
ぎんなんは人無き処へ落つるもの
こりゃ遺憾何処ぞでぎんなん踏んで来し
鼻摘みもののぎんなんもて余す
椎の実の掃き溜め一つ此処にあり
時かけてアイヌは滅びおんこの実
◼️冬
象潟の牡蠣食ふ口をあんぐりと 🦪
◼️新年
◼️雑
玉虫いろの回答幾つも政治と金
息長き事の一つに龍角散
はてなだが国のかじとり誰がやる
結論を云へば断然一番よ
純ちゃん散歩昭和の匂ひの残ってる街
旗屋があり昭和がここで休んでいる
彼のアリス歌詞は谷村歌はべいやん
今聞けばワクワクアリスのチャンピオン
父方の何兵衛とかの古ルーペ
押入れにふじと名のある裁鋏(おん母の名は高澤ふじ)
古株のルミネ・森ビル灯点す街
駅前の樟の葉騒とキーテナント
何故か好き燻製職人スモークカルパス
食欲はもりもり出演徹子さん
食欲はバッチリ出演徹子さん
アリスの谷村逝く今後を問われて
とりあへず明るく今後もアリスだよ
人身事故在りし鉄路や真っ直ぐ伸び
人身事故在りし鉄路を轟と過ぐ
わが家の真上ここ飛行機の通り路
ストラスバリウス見する幽明つまびらか
七いろに油色為す棚田かな
空覚えのアイネ・クライネ・ナハトムジーク
手彫りなるストラスバリウス聴けとなん
ストラドの命の鼓動聞けや君
乗りに乗るこちらのストラドじゃじゃ馬ストラド
艶々のストラティバリウスみやをと弾く
コロナ経て巣ごもり需要映画にも
コロッケの揚げ立て中濃ソース浸け
お初に見る夢の中での阿茶羅漬
川崎の命運背負ひららぽーと
古株のルミネ・森ビル灯点す街
以上
(妄言陳謝)
by 575fudemakase
| 2024-09-13 09:41
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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