最近の嘱目句あれこれ19 2024年 (高澤良一)
最近の嘱目句あれこれ19 2024年 (高澤良一)
◼️春
俳人に一流二流四月馬鹿
これら駄句群エイプリルフールと掃き捨てよ
遊ぶでもトコトン遣る子昭和の日
山笑ひ人間万事塞翁が馬
雲雀のごと少年達のファルセット
種袋三つ揃へり種類別
たまさかに回る梅林逆廻り
もう無理と思ふ梅林山の上
梅ちらほらの鎌倉へ足の向く
その履歴諸所を遍歴新社員
梅林は高処にありて見下ろす街
前山の梅見尽して下り道
梅林のうへの鉄塔北風(きた)に鳴る
長者ヶ崎正東風を受けて鳶四散
船内にあらせいとうの気高き香
衝動買ひ室咲き背高あらせいとう
小春日に目刺の横腹生乾き
南極の氷解け出す一大事
梅の見頃おっとり構へ待つことに
オキザリス撚れてのた打つ花黄色
犬ふぐりこちらの一群そちらの一群
雛壇の端に置きあるイヤリング
防風の我慢して風遣り過ごす様
引き季(どき)の来てゐる鴨か羽ばたきす
ぶらんこの一しなひしてビルの上
コーヒー牛乳ぐびと胃の腑に落ち暮春
ランドセル背負う子撮し入学式
◼️夏
読書には五百ルーメン夜の秋
馬鹿になり突っ走るものあめんぼう
蟻・人間・象にも運命、宿命あり
汗かきに言葉「すぐそこ」禁句なり
小悪魔めく海猫(ごめ)の流し目鋭かり
トナカイの餌やり苔類名は知らねど
その穴はものぐさ太郎の蝉の穴
この陽気で蛇は蛻(もぬけ)の薄衣
ゴカイ掘蛻(もぬけ)の穴を掘り当てぬ
柿田川湧水いろんな所より
ゴカイ掘りに生活用水垂れ流し
ほじくって大漁ゴカイ・アオイソメ
方々に蜘蛛の巣箒で薙ぎ払ふ
腰を上ぐ最後の花火かここかしこ
海岸の諸所で歓声大花火
気の毒と云はんばかりの早松茸(さまつ)也
深梅雨の裂けやすき空雷落とす
蟹食う時石にぶっつけラッコ達(ラッコは道具を使う動物)
のっけから焼酎今夜の六角さん
ビールで乾杯豊肥本線皮切りに
外輪山のトンネル抜けて赤牛食べに
半農で百年変はらぬ酒造り(熊本酵母)
赤牛にビールが合ふ合ふ阿蘇南鉄道
麦麹使って大分麦焼酎
この家の主は俺と蠅虎
日の当る雨戸に陣取る蠅虎
天が下足許の蟻見てをりぬ
じりじりと海霧の押し出す氷見の海
山古志の空木の花の崩れ咲き
得手不得手ハッキリしをり姫卯木
器量よしピンクのマーガレットを愛(め)づ
バスで来てマーガレットの咲く半島
地ビールは我が村自慢のヒノキビール
木造コンビニその他駅カフェ日田の夏
ウッドテラスに佇ちて遠望夕焼け富士
八十の朝餉や蛸の噛み具合
漁師料理皮剥ベロッと剥き出しに
岸壁に寄り付くべらの赤青黄
看板もこれ又乙な鱚料理
夏魚往時の八景食堂にて(金沢八景駅前)
ペケでも金魚一匹貰へるこれが佳し(夜店)
水底も燃ゆることあり緋鯉の乱
鮎解禁上流下流無制限
食堂に蠅帳 選り取り見取りの昼餉
宝永の鯰が降らす不二の灰(称名寺境内の井戸跡より大量の火山灰発見さる)
子供達するめを餌にざりがに釣る
音痴そもそも「目高の学校」辺りより
美容師の髷がぼってり熱帯魚
◼️秋
ベッドで読書鶴の首めく蛍光スタンド
風吹けば風に籠る音(ね)虫の秋
ボタン押せばピポとオーブン働く秋
新涼の書棚歳事記コンクール
日翳りてさざんか寒さう四つ目垣
生垣のさざんか名前は「太陽」とぞ
嘲笑ふ石榴の如きお人にて
嘲笑ふ石榴の如き御仁にて
私の良夜「私はピアノので、ピアノは私」(フジコ・ヘミング)
晩秋のフジコ私はベジタリアン
爽やかにピアノを弾くのは生きること
漂泊の乞食坊主や枯れ蟷螂
ホ句又本人次第昼の月
美術の秋到来会場一巡して
ごり押しの棟方版画見倣ふは(棟方志功)
真っ平に撫で切りさざんか国道沿ひ
サインポールくるくるまことによき天気
仰向けの油蝉(あぶら)や遂に力尽き
絶え間なくあぶく上げをり沼の秋
君のゆく道を吾も行く獺祭忌
多忙な日々どぶろくなんぞかっ喰らひ
大震災正しく学び正しく恐れる
フロント嬢笑みを振る舞ひ女郎花
雨後殊に見目うるはしき女郎花
よく見れば瓢の文鎮書物の上
エンジェルトランペット花了え宙ぶらりん
猪のこんちきしょうめ畑荒し
空いてゐる田んぼをとんぼ折り返し
晴れがましく胸突き出して赤い羽根
月夜茸ぺろりと嘘をつく月夜
敗荷の不様を晒す源平池
破芭蕉の破れ具合はそりゃあもう
靴先で踏めばぱふぱふ煙茸
白樺の黄落背後に日本海
白神の日のつらつらと千手(せんじゅ)ブナ
森に入り小鳥と話をする博士
ピッピッヂヂヂ鵙は文章解す鳥(ピッピッは集まれという単語 ヂヂヂは警戒せよという単語 これを繋げて文章にする能力がある 博士は実際に剥製の鵙を森に置き、これを鳴かせ集まって来た鳥たちの反応を観察した その結論として鳥達に文章を解する能力があるということを確信した)
鯛の山作られ唐津くんちかな(鯛は古事記の赤海底魚のこと。赤は魔除けの色。)
鯛山の引き子少年時代より
鯛山はうるし塗りにて中は空洞
黒豆・赤飯・のし餅鯛の添え物に
霧の中信号は赤豊肥本線
阿蘇山頂ガスって石積む露河原
泡立草のはるかその上跨線橋
炭火焼もぎ取り椎茸計り売(農家レストラン)
採れたてのかりかり椎茸油上げ(菌園)
秋の装いスポーティ派とダンディー派
盆波に揉まれ空ら瓶さすらふ海
色変へぬ松あそこにも兼六園
侘びしさの極み地虫はジーと啼く
チチチと小鳥梢に何唄ふ
大風に大撓みして鳥威し
鮞(はららご)乗せ間違ひ無しのほくほく飯(めし)
俺達安すぎと不揃いのリンゴ達
杖あづけ露の身あづけ亀遊館
文化の日日の暮れてくる亀遊館
明日の天気関東カラッと日本晴れ
本日の釣り物鯊と弁天屋
大震災の肘鉄正午の一寸前
◼️冬
口中もからからに冬深むなり
足の裏かさかさ冬晴るゝ日の
大銀杏地中に根を張り春を待つ
酷寒のこくりと飲める水甘し
ベッド出てベッドに戻る夜寒の尿(しと)
ベッド出てベッドに潜り込む夜尿
玄冬の鶴の首めく蛍光スタンド
年用意の一つに歳事記カレンダー
奮発して今年は大版日めくりぞ
大ゴミとしてふん縛る厚布団
どちらかと言へば頻尿春隣
膀胱が小さきと云はれ吾(あ)の真冬(母曰く)
寒暁の底の底よりコケコッコー
ちゅちゅぴーとことり来てゐる小春の庭
夜中ぢゅう暖房さむくなりました
冬来ると歳事記主婦の友社版
年の瀬の俳壇俯瞰どーれと鳶(俳句年鑑発売さる)
加湿器据えこの厳寒に立ち向かはん
夜を徹し夜気ざうざうと暖房音
ベッドの裡(うち)サマリヤ人のやうな妻
電燈の紐引きベッドを起つ寒中
ベッドにて数独の妻イヴ今宵
電燈の紐引き寒夜の尿(しと)に起つ
「今年の百句」こんなもんじぁございません(俳句年鑑発売)
樟脳舟の如きものなり合評鼎談(俳句年鑑2025年版)
手にもってずっしりことしの俳句年鑑
裸木の仙台枝垂れ蛇(じゃ)の如し
すっからかん後数葉の枯銀杏
さるすべりの筋骨隆々たる姿
雪雲の出張ってゐたる海の上
トランスをでんと吊るして年の空
凍て雲の一塊海に上をゆく
スクワットを二回三回今朝寒し
逝く年の光集へる雲の奥
着る物に厚みが欲しき十二月
鴉が巣作る槇の木今裸
白内障持ちの視界に凍てし鳶
油性ペンシール便利と凍て杖にも
浅黒くもみぢ深まる冬なりけり
電気ストーヴ悪魔の如く真っ赤っか
後生楽の翁となりて枯蟷螂
サッカー少年励みに励む試練の日々
来年へと首が繋がるサラリーマン
冬夕焼の如き一念道を拓(ひら)く
寒菊の硬き蕾に手を遣りて
肌突きさすはふりの風は槍のやう
日向ぼこ黒地のボアの上下着て
遠出する好みはだぶだぶカーディガン
冬至湯客に湯屋の親爺のこんにちわ
年の湯や小股すり抜け泡浮上
職安の煤掃き玻璃戸に水ぶっかけ
雪ぐもを峨々と置きたるビルの上
カツカレーカレーの海に匙の舟(松屋にて)
木枯らしに追はれ入店CoCo壱番
西日浴ぶ有馬記念ぞ刻一刻
なだれ込むルメールを見ずこの一戦
雲の名に疎くて退屈冬の空
圧倒し打ちのめす雪五所川原
横並びに熊手と箒公民館
有馬記念最後の直線叩き合ひ
有馬記念ゴールへ全馬西日浴び
有馬記念どこかで誰が仕掛けるか
どんなドラマ生るかことしの有馬記念
戦いは一回こっきり有馬記念
年忘れ持ち歌「一円玉の旅がらす」
凍て落暉山の向うに落つところ
痛々しき言吐くことも年の果(桃子さん)
年の火に焙る全身折り曲げて
紅白への憧れめっちゃ涙して(ことし大ブレークの紅白出場)
年末の買物ガッテン承知之助
四時半で日の没り冬至目前よ
七面鳥焙らるごとく寒夕焼け
本日の呑み鉄本線五所川原
切り売らるチーズの断面雪白(せっぱく)よ
雪舞ってふぶき吹き込む機関車庫
サンタ皆ラップランドの住人なり
硬券のギザの手ざはり江南線
サンタ訪ねて地の果サンタクロースの村(フィンランド)
雪原を窓にストーブ列車かな
迷ひ込む六角雪のスナック街(六角精児)
しばれる夜は魚介満載じゃっぱ汁
こんばんわ私はサンタ北極より
カフェラテの底を掴んで悴む手
冬晴れの雪原をゆく一車両(ラッセル車)
地ふぶきにビールがすすむ五能線
トナカイの角にもちょっぴり雪積り
フィンランド寒さのレベルも二倍三倍
夜も更けてクリスマスキャンドルほほゑむよ
よき出来のリンゴ菓子売るマーケット
太陽風(たいようふう)オーロラの國フィンランド
オーロラの下トナカイと生きる人々
白息の濃淡「オーロラ出でし」と云ふ
白息の濃淡オーロラ出でし 出たその時
一寸おしゃれウイーン生まれのオペラニスト
クリスマス便り欧州の街角より
街中が豪華に煌めくイヴその日
聖なる夜の楽都ウイーンのクリスマス
今年復活ライトアップの大聖堂(ノートルダム)
きよしこの夜のデパート創業百八十年
雪片の冷たさカルピスウォーターは
エッセイスト何書く聖夜のパリを見て
ウインドショッピングパリ随一のデパートで
デパートのショーウィンドに張りついて
イヴ近き皇居のライトアップかな
クリスマスと云へばホーム・アローン見て
デパートの真ん真ん中のこのツリー
石畳の街並み聖夜のマーケット
聖夜の一品砂糖菓子にてシュネーバル(家庭の味)
オペラ歌手歌ふは「ウイーン夢の町」
クリスマスツリーの点灯大広場
灯を連ね連ね独逸のクリスマスこの
石だたみドイツのクリスマスマーケット
この寸劇博士三人(みたり)は東方より
白息に聖歌響ける大聖堂
大聖堂パイプオルガン宙吊りに(十字架は中央)
聖果にして渦巻き形焼ソーセージ
色型とりどりクリスマスツリーのオーナメント
ドイツ語で丁々イエスの生誕劇
年の瀬のストリートピアノの透る空
オーブンのチキンやばいぞクリスマス
酒喰らひ文句が云へぬ海鼠の日々
しろしろと気持ちが息に漏れる日で
消えかけし年の火そろと起ち上がり
溜息をつくよな木菟の夜の続く
聖夜過ぎ鼻が少々馬鹿になり
聖夜過ぎ鼻が不通の朝である
かずら橋のかけかえ了えて春を待つ(シラクチカズラ)
プレゼントの思案あれこれクリスマス
つかむ時のひやつとがよろし竜の玉
嬰児(やや)のおもちや噛んだり舐めたりイヴ間もなく
ていねいに筋取り退けて蜜柑S
こんな日は温泉(ゆ)にあたたまりたき冬至
大晦日何か忘れていやせぬか
年賀状に書く句決まらずもどかしき
暖冬の柿ちぢかんで枝の先
罠に掛かり狸ジタバタする目付
極月の何處から出て来た肥後守
除夜除夜と云ひつゝやっつけ仕事かな
金(かな)切り鋸(のこ)重きを使ふ十二月
当節は少なくなりし忘年会
暖房音聞きつゝベッドに一昼夜
忘年会は仲良し同士でホテルにて(最近の傾向)
風邪を理由「一身上の都合により」
急ピッチ諸処の事情で年末工事
手の温み移れる竜の玉なれば捨て
歳末の勇者の注文激辛ぞ(ラーメン店)
横浜で初雪未来都市の空
横濱で初雪こりゃまただうしたこと
暮に聞くテレサのシルキーヴォイスかな(「愛人」という曲)(🎶 尽くして泣きぬれて愛されて 「ててて」で繋げてゆくテクニックが見事………一青窈)
ことし又時の流れに身を寄せて
国民的お菓子鯛焼一丁焼
鯛焼の創業明治四十年
頭から齧ってあつあつ鯛焼は
へぎ造り鯛は別嬪さんの魚
焼鯛のうろこ掻き等年末に
焼鯛をとことん味はう姿と味
桜鍋人の好みはそれぞれで
寒風にくしゃみはなひる漁師の子
瘡蓋(かさぶた)の廻りが痒く憂国忌
極月の新橋を練るチンドン屋
冬晴れの新橋に立つサンドイッチマン
散る木の葉残る木の葉の脇抜けて
冬の鳶磯風受けて急旋回
三崎あり其処を目指せば北風ぴゅう
湯豆腐の肩寄せ合って鍋のなか
又しても蒲団がズレて寝られぬ夢
私奴(わたくしめ)の好みは前あきカーディガン
タチ悪き風邪を引いたら百年目
曖昧な返事返せり忘年会
セーターの毛玉丸めて屑籠へ
漁師の焚火磯より木片拾ひ来て
犬けしかけ猪焙り出す猟夫
雑炊の具を知る為の御膳箸
よく見れば隙間だらけの雪囲
竹馬の遊び草子に描かれて
堅炭の焔あをあを夜の静寂(しじま)
世は令和電気炬燵に様変り
安んじて焚火にあたる者同士
話すこともう失くなりて庭焚火
竹馬の俳句と云へば万太郎(久保田万太郎)
お小言は炭つぎながら金のこと
備長てふ堅炭使ひ焼鳥屋
焼鳥を焼くにも値の張る備長にて
物臭の何でも乗せる炬燵板
昼過ぎのぬるき炬燵にうたた寝す
使ひ易さこの上なしの掘り火燵
花見上げ皇帝ダリヤの家の前
暮ともなれば映画はドンパチ其れに尽き
この辺と横丁に入る探梅行
探梅行おぼつかなき道とぼとぼと
火事恐ろし輪島一帯総なめに
クリスマスリース送られ大感激
野水仙見頃のころの下田行
南極の氷の厚さ思ふ冬
海山のもの皆枯れて人間も
魚沼の雪に覆はれ失す田んぼ
朝もやに茶の花の黄の漂へる
木枯らしや記憶に残る芥川(芥川龍之介讃)
マスクして街ぶらつける日本人
マスクして街のし歩く日本人
夏風邪にも唯々びくつく日本人
春信も魚信もひたすら待つことより
手の届く位置に侍らす紙屑籠
小鳥には見定め難き実万両
氷上に朝日殺到穴釣す
氷上の穴釣り釣糸神妙に
日輪の高々渡る結氷湖
諏訪の湖(うみ)時に結氷時に融氷
普段着のまゝで突入冬休み
斑(むら)も又一興庭の冬紅葉
彩(いろ)どりの乏しき庭に石蕗の花
クリスマスローズ開花の下準備
軍用機か冬の青空切り裂くは
クリスマスリース飾りて華やぐ扉
クリスマスリース位置どりここら辺
クリスマスリース位置どり愉しみながら
クリスマスローズ枯れ葉を横たへて
クリスマスローズ俯き咲きが得手
クリスマスローズ花上ぐ時待たれ
クリスマスローズ屋敷と言はれたく
クリスマスローズ植え込み鉢々に
グラディエーターII観てこの年おさらばす
ホーム・アローンに続く楽しみ歌の紅白
子供向けコメディホーム・アローンの夜
シリーズものホーム・アローン見て失笑
妻と二人ホーム・アローン見てニュース見て
クリスマスカクタス思へば剣闘士
実千両目当てに来宅小鳥達
就中黄の実千両愛蔵(あいぞう)す
実千両盗(と)られぬやうに網掛けて
進撃の巨人なぞ見て逝く年ぞ
歌の紅白紹介番組目白押し
鳰(かいつぶり)時折り見せる長潜り
水鳥の仕草まちまち冬の海
小鳥達飢ゑてむさぼる実千両
天が下燻る街の師走かな
ふすぼれるねずみのふんの手触りよ
垣越しにねずみのこまくら爪弾き
啼き声の遠くて聞こえず鳰(かいつぶり)
厚氷日差しが通り抜けにけり
厚着してつるんと滑る霜のみち
富士山の麓の熱き浴槽に(銭湯)
両の手に鉢より外す氷面鏡(ひもかがみ)
早々とイヴの聖樹か亀遊館
ぽつねんと聖樹窓辺に亀遊館
けふの日和まるで秋晴れ暖冬か
洗濯物抱へ階下へ師走妻
LP聞きちんとんしゃんと云ふお店(ボロ市)
クリスマスケーキもチキンもファミマにて
世田谷ボロ市お天道様も顔出して
たわわなる実の南天は難を福に
飛行機の航跡凍てゝ一文字
暖(だん)をとる一刻(ひととき)ファミマの「ころじゃが」に
見物す藁で作った大ゴジラ(藁仕事)
藁ゴジラ「えーもん見せてもろうた」(渡辺謙 心旅 NHKBS)
はやばやと聖樹点滅亀遊館
クリスピー口に放るやイヴ近し
歳末にあーあー疲れてクリスピー
十二月国道アスファルト壊す音
病院前バス停長蛇の列なす冬
日に浴す電信柱国道沿ひ
街路樹の片側日当り十二月
歳末の買い物疲れにアイスティ
クリエイト六浦師走の白亜のビルの
吉野屋出て真っ向北風(きた)に揉まれゆく
北風(きた)に靡く牛すきテイクアウトの旗
北風(きた)荒れる中来て吉野屋黒カレー
ほっこりするさくらの和み冬のころ
チャリ疾走冬場の桜並木かな
歳末のサッカー等見て亀遊館
大三十日やってをるなり亀遊館
門松の幣靡き詰め大三十日
ジ・アルフィー歌ふ明日へ明日へ明日へと
鐘撞き出す逝く年来る年長谷寺より
湯屋出れば真底晴れて年の空
終湯(しまひゆ)とて湯屋入れかはりたちかはり
口々に云う言(こと)決まって「明年も」
コカコーラで乾杯逝く年来たる年
来たる年良きお年をと湯屋主(あるじ)
コーヒー牛乳いつものやうに浴後の湯屋
ゆきつけの湯屋にふやけて送る年
門松が立つ家 人が住む家ぞ(近頃 町内に廃屋殖えれば)
お天道さん湯屋の後の雑木林
年の移る明日はどんな風が吹く
へんぽんと煙突のけむ小晦日
金ピカの海平穏に年末へ
歳末の富士山工場群の上
フェリーゆく窓に必死の冬かもめ
富士ちょっぴり枯れ山の上に顔出して
南部市場ごった返しぬこの歳末(横浜市 金沢区)
こつごもり餃子は皮からせつせと巻き
大三十日社殿に向い老夫婦
煤の日はマックで一服カフェラテで
杖いっぽん持ちて散策煤の日は
日めくりを買ひ忘れをり小晦日
大祓茅の輪は海の方向いて(瀬戸神社)
スパチキは噛みつくものよ大三十日
大祓十五時斎行瀬戸神社
川上に竹瓮や朝(あした)回収す
◼️新年
東京湾の向うは房総初日の出
諸家自選先づ冒頭に新年号
蛇年の蛇の図案や新年号
ストーブをがんがん焚いて太郎月
初詣芋づる式に句が出来て
新玉の精出す年と肚(はら)括り
御降が唯降るばかり社の森
ニューイヤー祝しラデツキ行進曲
初夢にゴカイの正しい掘り方等
初日の出見んとて蛻(もぬけ)のベッドかな(妻)
火の粉飛ぶ四方八方どんど焼
万祝の大漁旗は鯛図柄
楕円・菱形・三角鯛の造形は
お飾りに目出度き鯛の金花糖
三ヶ日明け食ぶ睨み鯛なりしが(現在は正月から)
片しある御用始めの街の雪
どかと落つ社務所の雪や早や五日
庭木に来る雀丸見えお正月
読初めに彼の大黒屋光太夫
読初めに眞下喜太郎著の歳時記
左義長了ふ黒焦げ達磨びしょ濡れに
とんどの火積み上ぐ達磨を一なめに
銭湯の初富士裾野霞みをり
新玉のサウナに遊ぶ男ども
初晴れの富士に遊びて亀遊館
乳(ちち)色に定かならざる初東雲(はつしののめ)
初夢にまざと写楽の大首絵
先々に「浦」の付く駅乗り初めに
初社遠く微かに水の音
大河ドラマ「べらぼう」放映五日より(NHK 蔦屋重三郎)
◼️雑
謙さんへバトンタッチの心旅(NHKBS 心旅 俳優 渡辺謙)
謙さんは到って活発楚々と出発
謙さんは到って活発様変り
ひったるむ電線電柱より電柱へ
センサーライト据へて空き巣に強き家(新設)
水田開発怪我の功名重ねけり
遊び呆けて飯・クソ・風呂の昭和っ子
子規並みの句為すには九十まで生きないかん
我武者羅(がむしゃら)に男は忍(にん)の五十年
好もしやカレーの海の黄土色
風向きが気まぐれことしの最終レース(競艇)
東京はWiFiスポット十四萬
三橋美智也の声は深空に吸はるる声
桃次郎忘れちゃならねぇ男意気(トラック野郎 男一匹桃次郎)
なだれ込むルメール馬体にムチ入れて
必死なる一句求めて「童子」の衆
アカペラでトントントンゲレゲレトンと健人(けんと)
乗りに乗るキレキレダンス格好よし
あざとくて松本まりかの甘き声
今年の人 ロバーツ監督語る正平(大谷正平)
躍る躍る年末こっちのケントさん(アカペラで)
今はカフェ昭和五年の旧駅舎
崩れ落つ尖塔復活ノートルダム
日本旅乗っては飲んで飲んでは乗って
倍賞千恵子絶唱「死んだ男の残したもの」
谷川死す言葉遊びはあの世でも(谷川俊太郎)
緑青が年代語る伽藍かな
ハクスブルグ家エリザベートの装飾品
ヨーデルが一寸入った歌合唱(ウイーン少年合唱団)
本音隠しカミングアウトし十八フェス
本音言ひへらへら笑って十八フェス
ギター掻き鳴らし本音を少しづつ
醤油味の昭和ラーメン懐かしや
ブナの根同士交差し一つの生命体
樹幹流真っ直ぐ雨の通り路
腐葉土が雨を濾過してブナの森
白神岳の絶景360度
白神は岩木岩手を両睨み
ブナの森日本海は紺深く(世界遺産)
山合いの町なればこそ酒造り
六角さん乗ってる乗ってる呑み鉄本線
雀焼夜半二時間三時間
何にもない台地に木が生え雲流れ
白川橋梁ゴトゴト走って阿蘇カルデラへ
南阿蘇鉄道復旧トロッコ列車にて
萬延蔵熊本地震に耐へし蔵(創業)
雀焼き夜半二時間開ける店
深酒のあとの乗り越し沼津まで(終電)
潜水艦映画大好き「眼下の敵」(ロバート・ミッチャム クルト・ユルゲンス出演)
サワー飲み博多のぐる皮黒つくね
そそくさと焼ソバファミマのイートイン
午後二時の日が上ずってビルの壁
雑談の途切れずファミマのコーヒーに
こころ旅正平さんも謙さんも(NHKBS 渡辺謙 火野正平)
すすきのにて昭和の味の味噌ラーメン
愛想(あいそ)無きワンオペ亭主のサンマーメン(北海亭)
正平の歌に必至の謙走る(NHKBS 心旅 渡辺謙)
お隣は雑談弾みDOUTOR追浜
運転手声を枯らして諸注意促す(バス車内)
DOUTORのFreeWiFi渡りに舟
DOUTORにて読書する人乳(ちち)やる女(ひと)
跨線橋するっと過ぎる電車の灯
必至こいて書いてアルフィー五十年
シーパラへ馳すモノレール上下して(八景島 シーパラダイス)
この道路富士に直結真っ直ぐに
これはこれそれはそれだとホ句の道
イースト菌等の微生物利用の木造
木からの酒造 杉・黒モジ・白樺・水楢 フルーティ
地震大國日本で木造耐震7・5
法隆寺法堂 古来の技法で強き壁
街を森に子供を育てる場所は木造
粘土状おが屑利用し立体画
木糸(もくし)利用の洋服目指すは通気性
鉛筆は木屑二千万本の木糸
未来の建物 コスパに長ける 木造なり
未来の高層 免震装置(めんしん)無しの木造
間伐材使用の村の薪ボイラー
大学で林業の勉強 地方の時代
樟の香のコンビニ 木造店舗にて
純木造8階ビルの国立劇場
木造図書館木の温もりが程よくて
柱無しの木造空間寿(いのちなが)
木の香して木に囲まれて木尽くめ図書館
坊主山で竹切る遊び肥後守
坊主山で竹切る遊びわが青春
以上
(妄言陳謝)
by 575fudemakase
| 2025-01-03 08:33
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by 575fudemakase

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例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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