人気ブログランキング | 話題のタグを見る

最近の嘱目句あれこれ30  2025年 (高澤良一)

最近の嘱目句あれこれ30  2025年 (高澤良一)


◼️春
荏柄天神進学祈願もそそくさと
ぴんぼけの桃いろ能なし大つつじ
モグラ跡やっと春めく土突き上げ
やどかりの捨て家しかと白日下
逢う魔が時体重預けぶらんこす
紋白蝶と行き遇ふ旅も他生の縁
空見渡す限り黄砂の浅黄ぞら
花時のこれ見て呉れの象の芸
牛乳をのんですっきり昭和の日
鳥雲に申告敬遠面白や(大リーグ)
先づは万作縮れ花見す谷なれや
踏んまへる足しろしろとさし汐や(干潟)
春闘近し殺し文句の三つや四つ
又空へ吹き戻さるゝ花吹雪
経の如滑らかに出てほうほけきょ
海牛ののさばり出たり磯牧場
蒸風呂とぶつくさぬかす田螺かな
天気崩れ気味花も下り坂
月の下浅蜊の砂を吐かせをり
泥牛庵のさくら散るなり急斜面(金澤八景)
ジョギングして腹を減らさん苜蓿
かわら土塀くねくねすみれの裏参道
二月堂灯点し頃の東大寺
二月堂茶所にたいまつささくれて
行きがけの駄賃に虎杖ぶっ叩き
茶はぬるめ、いやいや熱め、茶のみ季(どき)
恋しきもの昭和、明治座でサザエさん
水面に顔出し蛙の目くりくり
受験絵馬三人三色の願ひごと
何言ってんだか田舎ぺーの下手鶯
春氷突けばひょこひょこ池の央

◼️夏
思ひきり叩き潰さん蚊の慾目(よくめ)
毛糸、毛皮、毛衣、毛虫は大嫌い
丸坊主庭の毛虫に先越され
くちびるに何を言はせるナタデココ
お茶会の竹籠統べるクレマチス
立ち葵淡淡として素湯の味
順追って咲く花下から銭葵
お友達ヤマサ、ヒゲタの両醤油(醤油作る)
涼しげや持ち手一つの買物籠
再確認す仙人掌のとぼけ咲
わんぱくの水馬(あめんぼ)飛んだり跳ねたりす
わんぱくの水馬(あめんぼ)鉄脚意のままに
わんぱくの水馬(あめんぼ)鋼(はがね)の脚を持つ
水馬(あめんぼ)の躰の締まり感ず指
百合並みに黙りこくって山の昼
直ぐ動き出す死に下手な金亀子
暇人のかがんぼ相手に手酌酒
終日の雨にずぶ濡れ石榴の花
一夏を掛けっ放しの幽霊図
しとしとと降る雨ぶよが待ちゐたり
あぢさゐの頭を突く雨や梅雨半ば
庭中の葉っぱを打ちに梅雨入あめ
梅雨入の雨がぱちぱち蕗叢打ち
空映す余地あり浮草混める鉢
あぢさゐのたっぷり濡るゝ朝の雨
洗濯機朝から頑張る子供の日

蚊一つで夜も寝られぬ蒸気船(狂歌に「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四はいで夜も眠れず」あれば)
潜水服したたか濡らし通り雨
茫然と何考えてゐる朝茶かな(新茶)
宮毘羅(くびら)大将ふんぞり反って雷下の館(やかた)
この濁世抜け出るやうに蚊帳を出る
あめんぼの喧嘩したあとむつまじげ
蛇いちごあの赤何処か諂(へつら)う赤
蛇いちごのあの赤おべっか使ふ赤
苺にまぶす砂糖多しとこゑありぬ
母真似て苺潰しが上手な娘(こ)
スプーン裏もて苺器用に潰す術(すべ)
竹炭をしつらふことも梅雨支度
とろとろの旬の蓴菜硝子器に
大学の名句ありけり葵月
只見送る許りの夕空胸団扇
真夏日を報ずニュースの殖え来る日々
我楽多で埋まる小部屋を夏仕様
大夕立上がったばかり今しがた
ゲリラ雨に遇ふ貌つきの素っ頓狂
針穴を通すごとくに縫うホタル
富士さんはうしろになりぬ蟾蜍
じっとしてゐても暑さの俘虜なり
着替えねば水着がかわく痒くなる
この居間に何しに来たと藪蚊打つ
一節のみ後をだんまり夏うぐひす
蟻んこの貌をつん出す石の庭
裾分けの奈良漬齧る湯治宿
金葎一際強く稲光り
夏掛けにひっくるまって妻昼寝
液肥遣り肌着汗ばむ庭仕事
近寄っても身じろぎもせぬ青さぎ
大空をのっぺらぼうの夏が逝く
薄明の低空飛行をする藪蚊
玄関から蚊を入れた奴前へ出ろ
千葉、兵庫醤油造りの熱心県
醤油造りに釈迦力発揮する両県
老鶯のお呼びでござるかと参上
頼めるは己が地力とてるてる坊主
雷光に素破と動ける影一つ
見てをれば足腰使ひ棒振り虫
応対に出づるすててこ馴れて来て
涼風に不二さん添へて島茶店
良寛の手鞠程なる額の花
蔵壁に反響しるき閑古鳥
梅雨入の鐘きく朝方ぼんやりす
ほら鳴った雷一雨もう来るぞ
時宜通り六月六日は「梅仕事」
外面は明るくされども話がピーマン(作る俳句も同傾向)
育ち盛りの仔牛に万緑惜しげもなく
新緑の風ふきこめるベッドの上
杜撰なる枇杷の採り方雨のなか
いよいよ夏、日蔭選んで歩く道
黴の季節、カンピロバクターやっつけよ

◼️秋
馬鹿野分に吹き倒されし大銀杏
買物籠素材はくるみの木の皮で
蝉籠にむべ活け野性味をかもす
八十に四つ踏み込む竹の春
あけびの蔓温泉(ゆ)に浸け編める籠職人
野沢温泉あけびの皮の籠作り
今宵月明るくでかい空の央(おう)
酩酊のおももち芙蓉の酔倒れ(酔芙蓉)
辞書替りにスマホを使ふ敬老日
美術の秋十二神将決めポーズ
膏(あぶら)ぎる鮭の切身に進む食
空腹(すきばら)にしみこむライチ(茘枝)味の水
文庫(ふみくら)出づれば半月映す阿字ケ池
湯治客同士夜長の皺くらべ
人も又糞(はこ)して秋の旅続け
  
河原なでしこふすぼる色に河
防波堤で根釣だぶりと寄せる潮
薄が原小野小町の骸骨図
惜しみなく赤い木の葉と黄の木の葉
紅葉狩皆より遅れ老たりな
鳩の世話了ればいちぢくもいで食ぶ
雨まみれなるいちぢくに金蠅が
コスモスの隣りがミズヒキ、植物図鑑
金剛力士の寄せ木三千パーツの秋(東大寺)

◼️冬
みかん盛る籠はまんまる竹素材
荒ぶ世に生れかはらば隼に
枝付きの柿も売らるゝ十夜道
老ぬれば休み休みの十夜道
先々に十夜雲置く鎌倉行
とっとき着の作務衣おろして十夜講
雨の日のお出かけレインブーツの白
三笠通りをニーハイブーツ黒闊歩
空風の紛れ込んだる栃木北
牡蠣揚げて小綺麗な店麻暖簾
昔団欒と云へば、返答「火燵にみかん」
アロエ咲く伊豆半島のとっぱづれ
チャドクガの毒針毛は五十万(山茶花垣)
チャドクガの貌は見えねど喰盛
日溜りの布団を歩く冬の蠅
冬の景、枯れた田んぼに鴨が来る
歩み出す一天に雲十夜道
めちゃうまの上ががちゃうま勇魚かな
酒前に鯨赤味を堪能す
月並みな花を月下の花八手
多分禽がもたらせしもの八手
燗酒に聞きながすそのおべんちゃら

◼️新年
初詣でごにょごにょお願い申し上げ
願はくば上々吉を初詣
年明ければつくねんとして不二の山
銭の恩忘れませんぞ白蛇様(鎌倉銭洗弁天)
親子してをがんで巡る七福神
振り出しに戻る双六ばからしや
目出度さを満喫六十ヨ州かな
電線に貌を並べる初雀
鼻紙を取り出し「ちん」して初詣
年酒遣り一人機嫌のお元日
一昨年並みの元日したりけり
今年もやご覧の通りのお正月
華々しき年など要らず寄る年や

◼️相撲

◼️雑
早口にちんぷんかんのなむあみだ
かあかあとからすは山へ夕飯過ぎ

茶会了って
この娘(こ)たちどうしよう竹籠の花達
耳つきの竹籠茶人に好まれし
無二のもの籠の編み方人そのもの
花籠は蝉籠清朝初期のもの
三亀松風音曲愉快つんつるてん
オルフェウスの首描くルドンの死の景色(オディドン・ルドン)
寝がてらにマンボウの夢期待して
花々のらしさ描きしルドンかな
ルドン好みの青を基調のパステル画
厚塗りのむらさきルドンのパステル画
ルドン描く蜘の目深い精神性
ルドン描く電球の中の人の顔
煌々とルドンの描く黒の人顔
見て納得大正ロマン門司港駅
土偶のまとふ文様縄が関係して
世は全てデジタル、しかし時計はアナログで
句を作る目的、ワクワクしてますか
呑み鉄てふ六角さんのなりゆき旅(NHK BS 六角精児)
コロナの撲滅、計り知れない科学の発達

大佛の再建資金だうなることやら
【東大寺の大仏(盧舎那仏)は、天平時代に造立され、平安時代末期に焼失後、鎌倉時代に俊乗房重源によって再建されました。その後、戦国時代に再度焼失し、江戸時代に公慶上人によって再建されました】

大佛の見方のポイント横よ鼻筋
東大寺堂守る亀に阿呍の相(すがた)(屋根の部分)
東大寺の大鐘撞くは大鐘家
東大寺の大鐘中に入って見よ
東大寺の大鐘落ちたことありし
亀の甲並べて好日阿字ケ池
ホ句作り一茶の言葉漁りをり
故有りて田んぼを有す東大寺
花飾り立てゝも所詮むさい家
五七五(ごしちご)國の蕩児の手になる袖珍本(しゅうちんぼん)
自家製の干物作りも見ずなりぬ
醗酵のお陰で記さるもの「清酒」(ラベル)
包丁研いで己が器量の試し斬り
六十で年寄り扱ひ其(そ)は昔
その装(なり)もシック昼からシネマ観に
掃除とて昼間は錠下る共同湯
雨をんなヘッドホンしてノーメイク
新聞紙丸めて靴に湿気とり
老人の絞り出すよな屁が一つ
わがボロ着切り裂き畳を乾拭きす
毘羯羅神将ふんぞり反って悪口雑言
お上手と云はれてプロに鰐淵氏
言葉を種にして俳諧の門こぢあけぬ
陸前豊里唯々静かに佇む山(NHK こころ旅)
牛乳をしみじみと飲む昭和っ子
甘党で砂糖が好きな昭和っ子
句作りも打って反省打たれて感謝
日産が出て行く横須賀震度七(不況)
逝く人は大方逝きて残る人



以上
(妄言陳謝)


by 575fudemakase | 2025-06-16 05:58 | ブログ | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
j
未分類

以前の記事

2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

坂口昌弘著 忘れ得ぬ俳人と秀..
at 2025-07-14 04:15
石田郷子句集 万の枝を読んで..
at 2025-07-11 06:30
最近の嘱目句あれこれ32 2..
at 2025-07-10 18:25
最近の嘱目句あれこれ31 2..
at 2025-07-01 04:00
最近の嘱目句あれこれ30  ..
at 2025-06-16 05:58
最近の嘱目句あれこれ29  ..
at 2025-06-15 10:40
最近の嘱目句あれこれ28 2..
at 2025-06-07 06:44
最近の嘱目句あれこれ27 2..
at 2025-06-04 20:52
最近の嘱目句あれこれ26 2..
at 2025-06-03 04:03
最近の嘱目句あれこれ25  ..
at 2025-05-27 06:10
金子 敦著 句集 『ポケット..
at 2025-05-24 16:28
小川軽舟著『朝晩』を読んで ..
at 2025-05-24 03:53
小川軽舟著『名句水先案内』を..
at 2025-05-23 07:00
最近の嘱目句あれこれ24  ..
at 2025-04-25 22:18
最近の嘱目句あれこれ23  ..
at 2025-04-20 15:50
最近の嘱目句あれこれ22  ..
at 2025-04-14 08:24
最近の嘱目句あれこれ21  ..
at 2025-04-01 18:06
最近の嘱目句あれこれ20  ..
at 2025-01-31 02:39
俳句年鑑 2025年版 ◆全..
at 2025-01-24 12:02
俳句年鑑2025年版を読んで..
at 2025-01-21 04:45

外部リンク

記事ランキング