2017年 12月 01日 ( 1 )

続・佐々木敏光句集「富士山麓・晩年」を読んで

続・佐々木敏光句集「富士山麓・晩年」を読んで

2017・11・30 邑書林


ご恵送深謝。

氏の住まわれる朝霧高原には、かって濱の俳友が居り、一泊したこともあり、その生活ぶりも少しは察しがつく。富士に見守られながらの四時である。



以下に共鳴句を挙げる。


漆黒の闇の爆発大花火

名月やシテとして富士舞ひ始む

天高し不運それぞれさまざまに

月影や幼いぼくがついてくる

月の出やぐんぐんのぼるわが心

五合目

天高し富士裾野より射撃音

歳晩や鼻歌いつか第九へと

桃の花爺(じじい)稼業も佳境なり

初春の輝く海へ富士下る

七十歳に

胸熱く冬てふ生に入にけり

冬の庭春待つ我をのせてゐる

富士ひとつ月もひとつの良夜かな

とぼとぼとしつこく歩む秋の暮

完熟す我家をかこむ杉花粉

塞翁の馬駆けてゐる春の野辺

春の闇黒く輝く黒き星

釣瓶落し

充血の秋のまなこは落下せり

万緑の一角揺れて友来たる

鈴蘭の小さな鈴に耳澄ます

森の中に住む

窓開けて森林浴や風涼し

三光鳥三日鳴きしが去りにけり

青田原沖に孤島のごとく富士

妻悲鳴深夜の虫とり物語

視力検査輪つかの奥の秋の暮

山の子は滝の岩場を猿のごと

糞の主どの夏鳥か洗車する

天井に魑魅魍魎の夜長かな

文化の日歌ふ「ふるさと」名歌なり

霧の中赤いエッフェル歩くのか

鼻歌はいつかシャンソン オ.シャンゼリゼ

新橋(ポン・ヌフ)はパリで最古や秋の蝶

オルセー美術館

開館を並んでパリの秋の冷

凱旋門つるべ落しの光芒に

窓々にパリの生活空を月

モンマルトル墓地 ハイネ、スタンダールたちの墓

死者たちの王国散歩パリの秋

鉢巻雲まきて富士立つ運動会

運転をやめる日いつか鳥雲に

ひつぢ田であったはずなりメガソーラー

七十一歳

気がつけば妻子や孫やお正月

命とは妻や子や孫桜咲く

氷上をすべり歩きの鴨真顔

風邪の夜や魑魅魍魎の暴るまま

冬銀河見上げ待ちゐる救急車

大雪や庭のどこかにおとし穴

3・11 三周年

春の空富士本日も無言なり

秋の暮どうにかなるとただ思ふ

夜明け前最も暗し鉦叩

秋夕べ富士隣人のごとく立つ

泉よりラララ湧きいづ春の声

年賀状「青空」とだけ友若し

水澄むや鱒の鋭き目の光

光年やはるかなるものみな清し

秋天の大きな耳に聞かれゐる

春夕べ鐘つきたくて鐘をつく

藤棚に甘ゆる虻の飛翔かな

悪魔的便秘居座る雲の峰

巨大なる蛾ののぞきゐるよその家

犬吠えて牛は無心や秋牧場

万緑や心放てば蝶となり

市役所のたらひ回しや大西日

いたづらに吹く秋風や蜘蛛の尻

カルガモの一人あそびや紅葉谷

雲間より富士の見おろす祭かな

飛鳥大仏

顔(かんばせ)の傷に刻(とき)古る秋の暮

御仏の指の先へと秋日差し

我が庭の椅子登頂をめざす蛭

かまきりは泰然自若昼の地震

雉子諸君車は急に止まれない

陸橋や靄にうづもれ地方都市

牡丹雪天の小さな道化たち

風光る海賊船に子供群れ

かたかごの花へささやく小川かな

絶壁に春の眼(まなこ)がありて象

動物園うらの林や百千鳥

夏草や遺跡歩めば一古人

炎天やわれにも影のありにけり

頂上やふらここありぬ揺れてみる

カナブンをアブの吸ひ切る小半時

ひぐらしに耳の奥より鳴かれけり

富士山の尻のあたりに住みて夏

鵯たちは我が家のベリー賞味中

笠雲は富士を離れてUFOに

老夫婦 体調不安が続く妻へ

眠るまで妻の手をとる星月夜

晩年や前途洋洋大枯野

薪を割る老人あまた別荘地

六道の辻の落ち葉を振りかぶる

富士晴れて雪輝けりGOOD LUCK

老年や夢の中なる不眠症

富士宮 朝日小滝

初空に富士あり小さな滝元気

雪煙あげて富士立つ神さびて

裏の空き地

日向ぼこ終へてカモシカ森に消ゆ

富士宮 芝川水系発電所 小さいなりに滔々と

発電を終へても元気春の水

年老いた子供となりて春の野を

富士山に見おろされつつ納税す

岸辺騒(さう)春の鮒らの交尾かな

さくら散るしづかな音に出でにけり

I have a dream 花は三分の少年期

遠足の列とりあへず抜いてみる

雪月花最上の今は若葉かな

陸奥のさへづり浴びて目覚めたり

朝寒や囲炉裏にまんづ火をおこす

足湯して石和(いさわ)の春を満喫す

原節子地下隠遁の大暑かな

生き急ぐ声の充満朝の蝉

高原やストラデイバリウスひびく夏

沈黙の最後雄弁花吹雪

遠富士や気合でわたる大枯野


以上



by 575fudemakase | 2017-12-01 08:55 | 句集評など | Trackback | Comments(0)


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(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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