2018年 01月 15日 ( 1 )

櫂未知子句集「カムイ」を読んで

櫂未知子句集「カムイ」を読んで

2017・6・30 ふらんす堂


共鳴句を挙げる


南風吹くカレーライスに海と陸

掛香や私雨(わたくしあめ)の脚見えて

夏空をちょっと高枝切り鋏

実家とはあをき蠅帳置くところ

一切の私物を置かず夏座敷

誰からも見えて蠅取リボンかな

働いてこの夕焼を賜りぬ

流木のふるさと知らず夜の秋

水道の水をたのしむ生身魂

流燈の華奢な柱をいたはりぬ

山廬

玄関のくろぐろとあり涼新た

露草のしいんと群れてをりにけり

影としてみな杳として吾亦紅

いちじくの火口を覗く夜なりけり

あをぞらの途中に烏瓜ふたつ

帰心とは水引草にかがむこと

湯ざめして耳の捉ふる夜の川

湯気立てて来世のやうに二人をり

車間距離取るごと年の瀬を歩む

えんぶりの首華やかに振ることよ

余寒とはずらりと蛇口並ぶこと

卒業や見とれてしまふほどの雨

壺焼の奥には雲のやうなもの

陽炎に投函したる手紙かな

はまぐりの殻に遠景らしきもの

桃咲いて戸車おとなしくなりぬ

抽象をきはめて鳥の巣の高き

遠足の子の十人に十の幹

葉桜やわが裡に棲む蝦夷と江戸

夕立や肌よりにほふ正露丸

高原のポスト小さし夏休

えぞにうやほっそりと立つ父の墓

晩婚といふ味はひの葛桜

箱庭に軍隊置いてある夕べ

村にまだ掟がすこし草清水

椅子置けば部屋となりけり遠花火

冷房車三十年はすぐ過ぎて

未生なる風のあれこれ夕端居

炎昼や箸にかからぬものが好き

おほぞらにあたためられて日向水

旅ながら家の話や一夜鮓

ハンカチを小さく使ふ人なりけり

言葉すぐ切り替へてゐる帰省かな

おとうとの遠さにも似て冬銀河

挨拶は雪を払ってからのこと

塩鮭の塩ぼったりと落ちにけり

雛市のくれなゐの中あゆみをり

ほどほどに忘れられたる種物屋

いっぽんの風となりたる鯉のぼり

夏料理水を食べたる心地せり

町会の花火のつくる夜なりけり

サイダーの風のごときを飲み干しぬ

風死して充電すべきものばかり

さまよへる湖に似てビアホール

風少し連れてくるらし撒水車

陶枕の山河に頭のせてをり

経験の多さうな白靴だこと

広島忌振るべき塩を探しをり

海を見ることより始め冬支度

イブノーシンセデスバファリン一葉忌

大空に根を張るつららだと思へ

みづうみの名前のやうな風邪薬

青空に用あるごとく出初式

啓蟄や今宵は刻むものばかり

華のあるものを食べたき彼岸かな

積夜具にもたるる心地して朧

春荒や封書は二十四グラム

本名に少し慣れたる遅日かな

惜春や汽水に生くるもの数へ

母乗せて樟脳舟の出でゆきぬ

一瞬にしてみな遺品雲の峰

風鈴を外し忌中となりにけり

水菓子とともに西日に耐へてをり

仮通夜や冷し中華に紅少し

立秋や意匠を凝らす霊柩車

喪服ぬぐ蝦夷には蝦夷の稲の花

ゆつくりとかなしむために吾亦紅

稲妻や箒に残る母の癖

姉に家われにななかまどを遺し

なほ母をうしなひつづけ霧ぶすま

小海線

押せばよし枯野へ開く釦あり

はつふゆの猫にうつすら静電気

風呂敷は布に還りて一葉忌

餅買って星の気配のする街へ

真悲しやかんじき用の足に生れ

石の貌つぶさに眺め冬の川

深呼吸して雪原を味はひぬ

探梅やかばんをもたぬ者同士

海荒れてこそのふるさと節分会


以上


聞く処によると、氏は戯作文学の研究の徒と云う。

小生も同様な趣向を持っているのでこころ易く感づる。










by 575fudemakase | 2018-01-15 13:41 | 句集評など | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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