2018年 01月 17日 ( 3 )

燐寸 の俳句

燐寸 の俳句

燐寸

あたらしきマッチよくつく涼みかな 成瀬桜桃子
いっぽんの燐寸の燃やす火のいみじき 日野草城
おしろいの蕾はマッチつんつんつん 嶋田麻紀
おびたゞしきマッチの屑や破れ火鉢 寺田寅彦
お返しは小燐寸一つ餅配 池田世津子
かじかめる手にマツチすり渡しけり 星野立子
しばらくはつづく不幸と燐寸の火 徳弘喜子
ストーブのそばに小さきマッチかな 京極杞陽 くくたち下巻
つるやまでマッチもらひにしぐれかな 室生犀星
なん本もマッチの棒を消し海風に話す 尾崎放哉
バット吸ふ梅雨のマッチの暗く灯り 成瀬正とし 星月夜
バツハ聴く蛇をマッチの火に集め 栗林千津
ふしだらに燐寸が立ってさくら咲く 坪内稔典
ボウボウと枯れ木国産マッチの碑(国産マッチ創始者清水誠の碑) 高澤良一 暮津
ポケツトのマッチが誘惑枯の中 原田青児
ポプラの木凩去りてマッチ棒 吉田茂子
またたく北よ島破(ぬ)けの黄燐燐寸 折笠美秋 虎嘯記
マッチすれば森の揺るるよ青葉木菟 関森勝夫
マッチすれば風どこからやつくしんぼ 大谷碧雲居
マッチなき暮しいつより秋時雨 橋本 榮治
マッチの炎の白色男ら厚着して 桜井博道 海上
マッチの火虚空に飛びし夜釣かな 米沢吾亦紅 童顔
マッチの火虚空へとびし夜釣かな 米澤吾亦紅
マッチの火強く匂ひぬ花疲 岩崎照子
マッチの火肩にあふれぬ霧の中 畑耕一
マッチの火消えたる闇の菊人形 細川加賀 生身魂
マッチの火雪に投げたる恋慕かな 遠山 陽子
マッチの火燃えて黄色やセルの胸 大峯あきら
マッチの絵五十三次初時雨 河野南海
マッチの軸散りをり昼の炉は淋し 高濱年尾 年尾句集
マッチの軸頭そろえて冬逞し 金子兜太 少年/生長
マッチの頭くつついてゐる復活祭 大石雄鬼
マッチの頭薬火になる速さ見えて冬 田川飛旅子
マツチの棒で耳かいて暮れてる 尾崎放哉
マッチややにあたたかき色となるを待つ 篠原梵
マッチ擦つて真昼があおし魚市場 寺田京子
マッチ擦るごとき恋の冬帽子 寺田京子 日の鷹
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司
マッチ擦る闇匂ひあり沈丁花 文挟夫佐恵 黄 瀬
マッチ擦る横浜の坂冬日満つ 皆吉司
マッチ擦る星の一生の一端に 高橋正子
マッチ擦れば焔うるはし閑古鳥 渡辺水巴
マッチ擦れば森の揺るるよ青葉木莵 関森勝夫
マッチ擦れば真昼の匂ひ春の芝 緒方句狂
マツチ擦れば発火すはるかな白鳥も 高野ムツオ 陽炎の家
マッチ摺れば玻璃戸に燃えて雪の夜半 西山泊雲 泊雲句集
マッチ売の少女死なせし雪はげし 成瀬櫻桃子 素心
マッチ売る少女の点けし聖樹かも ふけとしこ 鎌の刃
マッチ箱に玉虫入れて都の子 金子兜太
意志表示せまり声なきこえを背にただ掌の中にマッチ擦るのみ 岸上大作
一本のマッチをすれば湖は霧 富沢赤黄男
一本のマツチをすれば湖は霧 富澤赤黄男
炎天が百日続きマッチ擦る 森田智子
下闇や磨りし燐寸の一とあかり 楠目橙黄子 橙圃
河童忌の燐寸一本すりもして 加藤 耕子
花種用喇叭印の燐寸箱 池田澄子
咳けば土管の中にマッチの火 石川桂郎
瓦斯つける袂の燐寸冬籠 宵曲
寒き燐寸十指で囲み教師業 齋藤愼爾
汗の服のポケツトにマッチこぼれいて 古沢太穂 古沢太穂句集
去年今年一と擦りに噴くマッチの火 成田千空
魚の絵のマッチ点すか雪をんな 佐藤喜代子 『水の綺羅』
玉苗にマッチの煙や誘蛾燈 西山泊雲 泊雲句集
形代を燐寸の箱の下にせる 瓜人
湖は霧一本のマッチをすれば 富澤赤黄男
広重の版画のマッチ初竃 河野頼人
劫初の火その子・孫(うまご)のその裔の飛火ぞマッチ摺るに生れたる 高橋睦郎 飲食
昆布の村寒暁マッチ明りほど 鷹羽狩行
歳末の路上ちらばるマッチの軸 穴井太 ゆうひ領
笹鳴きや妻いくたびも燐寸擦る 加倉井秋を 『胡桃』
笹鳴や妻いくたびも燐寸擦る 加倉井秋を
紙雛の衛士へ篝のマッチ棒 嶋田麻紀
芝を焼く美しき火の燐寸かな 中村汀女
捨てマッチ地に燃え青春は霧か 宮坂 静生
朱の色の燐寸の頭一の酉 亀丸公俊
秋の夜の燐寸の火色さす畳 加藤楸邨
秋雨の瓦斯がとびつく燐寸かな 中村汀女
秋雨の瓦斯が飛びつく燐寸かな 中村汀女
春の家はみ出してゐる燐寸棒 小泉八重子
春の道四、五人が行く燐寸が行く 坪内稔典
小春日の空家の椽に燐寸哉 内田百間
掌にかこむ燐寸が濡れし著莪照らす 加藤楸邨
親切のマッチあかりが稲架てらす 京極杞陽
親切のマッチ明りが稲架てらす 京極杞陽
塵穴に燐寸一本冬日和 後藤夜半 底紅
水打つて斜めに流すマッチ棒 岡田史乃
青野ゆく空のマッチを捨てきれず 岸本真紀郎
祖父逝きて蟻とぢこめしマッチ箱 皆吉司
草萌や燐寸ももてるみどりの火 耕二
走る霧紅軸燐寸芝に散り 田川飛旅子 花文字
蝶眩しマッチかすかに燃える音 三谷昭 獣身
冬も終りの外套 数珠とマッチが出て 伊丹三樹彦
冬青空マッチの軸が水に浮き 桜井博道 海上
冬灯蝶々飛び出すマッチ箱 二村典子
冬日なき芝にマッチの軸こぼす 横山白虹
投げ棄てしマッチの火らし霧濃し
桃印の燐寸とろとろ揚雲雀 坪内稔典
二本目のマッチ明るし時雨宿 谷口桂子
薄霜や母の濡れ手がマッチつまむ 桜井博道 海上
摩り跡に寒さただよふ燐寸箱 源 鬼彦
末枯に一とき囲む燐寸の火 沢木欣一
末枯の陽よりも濃くてマッチの火 大野林火
無神の旅あかつき岬をマッチで燃し 金子兜太
霧に擦るマッチのばうと硫黄の香 高澤良一 随笑
木の実独楽マッチの脛を見せて孤独 細谷源二
杢兵衛の燐寸箱の字春灯 角光雄
夜の潟の鳰驚かし燐寸摺る 西村公鳳
夜晒の寒天干し場にマッチ擦る 田中冬二 俳句拾遺
誘蛾燈とぼしきマツチすりにけり 銀漢 吉岡禅寺洞
誘蛾燈点すマッチの消えやすく 田中冬二 麦ほこり
余分のマッチ乞へり単独登攀者 篠田悌二郎
燐寸(まっち)摺りてゴビの砂漠の虫を見き 加藤秋邨 沙漠の鶴
燐寸が燃やした束の間の女体の嵩 林田紀音夫
燐寸しめり帰雁の閑に一藁屋 古舘曹人 能登の蛙
燐寸すりて人を送れるしぐれかな 室生犀星
燐寸すれば森の揺るるよ青葉木莵 関森勝夫
燐寸すれば路傍を照らす年の暮 萩原麦草 麦嵐
燐寸擦りたり冬の来る匂ひせり 永野由美子
燐寸擦る屋根裏部屋の蜘蛛の絲 佐々木六戈 百韻反故 初學
燐寸擦る音ぴしぴしと枯るる潟 齋藤愼爾
燐寸擦る微臭きさらぎ半ばなり 石田京子
燐寸摺りてゴビの沙漠の虫を見き 加藤楸邨
燐寸摺りてゴビの砂漠の虫を見き 加藤楸邨
燐寸買ふ霜ふけし家の蔀かな 室生犀星
燐寸賣るともし火細し枯柳 枯柳 正岡子規
露地晩夏風にマッチの焔先反り 神尾久美子 掌
呵々と寒し君もマッチを持たざるか 林原耒井 蜩
擲げ棄てしマツチの火らし霧の中 高浜虚子
涸川や生きゐるものにマッチの炎 成瀬桜桃子 風色
薔薇よりも淋しき色にマッチの焔 金子兜太
鷭鳴くや男の厚きマッチ箱 飯島晴子

燐寸 補遺

いつぽんの燐寸の燃やす火のいみじき 日野草城
ゲーテイ座址の夜霧にマツチ擦る 大野林火 冬青集 海門以後
なん本もマッチの棒を消し海風に話す 尾崎放哉 小豆島時代
マッチすれば真昼のにほひ芒原 大野林火 冬青集 雨夜抄
マッチつかぬ夕風の涼しさに話す 尾崎放哉 大正時代
マッチの軸短し 楊柳路は四方ヘ 伊丹三樹彦
マッチの軸頭そろえて冬逞し 金子兜太
マツチの棒で耳かいて暮れてる 尾崎放哉 須磨寺時代
マッチややにあたたかき色となるを待つ 篠原梵 年々去来の花 雨
マッチ強く擦りて墓山ひややかに 岡本眸
マツチ擦る短い橋を蟹の怒り 赤尾兜子 蛇
マッチ擦れば焔うるはし閑古鳥 渡邊水巴 白日
マッチ擦れば燐が眼に沁む雪の暮 山口誓子
マッチ摺ればマッチもよき香蝶の昼 中村汀女
マッチ箱に玉虫入れて都の子 金子兜太
マッチ箱落葉へ拗りからなりし 阿波野青畝
悪亦愉し灰皿ぬくめ燐寸の火 楠本憲吉 孤客
一人のたもとがマッチを持つて居た 尾崎放哉 須磨寺時代
一本のマツチをすれば湖は霧 富澤赤黄男
一本のマツチ寒厨照らし出す 大野林火 青水輪 昭和二十五年
一本の遅日の燐寸燃ゆるひま 中村汀女
炎昼のマツチ黒煙噴きて燃ゆ 松崎鉄之介
鴬深き身ほとり明かす燐寸の火 上田五千石『田園』補遺
河童忌やマッチの湿る点燈後も 上田五千石『田園』補遺
花茣蓙の上のマツチを取りにきし 高野素十
芽木くらくマッチは隈をつくり燃ゆ 大野林火 海門 昭和十四年
咳けば土管の中にマッチの火 石川桂郎 含羞
汗の服のポケットにマッチこぼれいて 古沢太穂 三十代
胸もとに梅雨のマッチの迫りともる 大野林火 冬雁 昭和二十一年
形代を燐寸の箱の下にせる 相生垣瓜人 微茫集
見えたりや筍掘りのマッチの火 山口青邨
枯原に使ひ果たせしマッチ箱 右城暮石 句集外 昭和四十四年
枯蓮マッチの軸をすてて赤し 富安風生
吾の知らざる捨燐寸新樹の庭 山口誓子
此処に又落葉掃きためマッチすり 星野立子
昆布の村寒暁マッチ明りほど 鷹羽狩行
山中の蛾に気をもたす燐寸の火 鷹羽狩行
山六月白日に燐寸光りなし 大野林火 早桃 太白集
字余り可マッチの軸が冬燃やす 秋元不死男
耳掻くと燐寸を持てば野火あがる 秋元不死男
失語症マッチの破れたるを擦る 楠本憲吉 隠花植物
芝を焼き煙草は別の燐寸擦る 鷹羽狩行
芝を焼く美しき火の燐寸かな 中村汀女
秋雨の瓦斯が飛びつく燐寸かな 中村汀女
秋蝉や町に出でねばマッチ切らし 安住敦
春暁の靄に燐寸の火をもやす 橋本多佳子
春荒や溺るかたちに燐寸擦る 角川源義
春星や墓地に使ひしマッチほど 岡本眸
春夜の床にマッチ散らばる解放され 金子兜太
飾焚く軸のとぼしきマッチ箱 飯田龍太
人日の一触に咲く燐寸の火 鷹羽狩行
塵穴に燐寸一本冬日和 後藤夜半 底紅
聖菓の燭ともせしマッチの煙尾引く 右城暮石 句集外 昭和三十年
青潮に浮く材燐寸の軸に見ゆ 山口誓子
青葉木菟爪をともして燐寸消ゆ 上田五千石『森林』補遺
雪夜の夢は擦りても擦りても燐寸つかず 森澄雄
虫の闇マツチすりたる火を消さず 右城暮石 句集外 昭和五十五年
朝桜軸をあまさずマツチ燃ゆ 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
冬も終りの外套 数珠とマッチが出て 伊丹三樹彦
日盛りのマッチの匂ひ鼻をさす 右城暮石 句集外 昭和十三年
梅雨の晴マッチは匂ふ火を発し 中村汀女
梅雨の土間一本のマッチ燃え終る 橋閒石
梅雨寒や黄のあと青きマッチの火 鷹羽狩行
梅雨燐寸街ゆすりゆくデモの列 角川源義
梅咲くと擦りしマッチの燃え終る 右城暮石 句集外 昭和十七年
白き俘虜煙草を欲すマッチも置く 渡邊白泉
焚口の燐寸も踏みて蟹隠る 山口誓子
宝石の指輪芝焼くマッチ擦る 山口誓子
末枯の陽よりも濃くてマツチの火 大野林火 昭和十一年
無神の旅あかつき岬をマッチで燃し 金子兜太
霧に擦りしマッチを白き手が囲む 安住敦
霧に擦りしマッチ匂ふとかなしみあふ 安住敦
夜の湖あゝ白い手に燐寸の火 西東三鬼
野火つけしマッチの軸を野火に投げ 鷹羽狩行
欲しきものマッチ白墨落葉踏む 岡本眸
裸子の枕に跳ねるマッチ箱 飯田龍太
涼風にマッチの火またとりもどし 阿波野青畝
緑蔭に蟻の詰まりしマッチ拾ふ 右城暮石 句集外 昭和三十九年
燐寸しめり帰雁の閑に一藁屋 古舘曹人 能登の蛙
燐寸すれば端居の下駄のしばしほど 山口誓子
燐寸ともし闇の溝跳ぶクリスマス 秋元不死男
燐寸摺りてゴビの沙漠の虫を見き 加藤秋邨
燐寸賣るともし火細し枯柳 正岡子規 枯柳
莨すふ燐寸の火おもき白蚊帳 飯田蛇笏 山響集
鷭鳴くや男の厚きマッチ箱 飯島晴子


by 575fudemakase | 2018-01-17 19:01 | 無季 | Trackback | Comments(0)

雪景色 の俳句

雪景色 の俳句

雪景色

*えり挿すや陸の雪景日に穢れ 西島麦南
じぶ食へばたちまち加賀の雪景色 飴山實 『次の花』
ナフキンに糊雪景の食堂車 楠節子
ブリユーゲルの雪景色あり喪服着る 仙田洋子
まゆ玉やきのふとなりし雪げしき 久保田万太郎 草の丈
よべの雪化粧ひて利尻富士泛ぶ(稚内二句) 上村占魚 『自門』
音をたえて寒流のゆく雪げしき 飯田蛇笏 椿花集
化粧はずして雪景のなかにあり 吉野義子
絵の中に居ルや山家の雪げしき 向井去来
銀世界すんでそろそろ泥世界 雪 正岡子規
狐等に銀世界雪降りつづく 池内友次郎
山河の雪景色なる鶫の屍 斉藤美規
若水や映るものみな雪景色 吉武月二郎句集
初寄席の池田の猪の雪景色 飴山實 『花浴び』
心中にひらく雪景また鬼景 赤尾兜子
神山や霽れ雲うつる雪げしき 飯田蛇笏 山廬集
人月の弥陀ケ原なる雪景色 高木晴子 花 季
石段が汀で尽きる雪景色 池田澄子
赤ん坊にこの世の初の雪景色 大内史現
雪のうへの月や金色銀世界 貞徳
雪の銀世界より嫁来たりけり 角 光雄
雪景にいふことなくて朝の刻 飯田蛇笏 椿花集
雪景の湖に雪降り誰も死なず 和知喜八 同齢
雪景の夜はふるさとを皆持てり 小倉緑村
雪景へ口もぐもぐと老婆食ふ 右城暮石 声と声
雪景色だんだん深く次の駅 今井千鶴子
雪景色息するものの潜むらし 塚本泰子
雪景色多摩の横山美しき 川崎展宏
窓開けて銀世界……とは限らない 櫂未知子 貴族
底冷えや一夜のうちに銀世界 北川 晃
湯帰りやあらおもしろの雪景色 尾崎紅葉
白樺のいっぽん交じる雪景色 高澤良一 ぱらりとせ
父笑ふうしろ西日の雪景色 飯田龍太
文書くと机に向ふ雪景色 山口波津女 良人
良寛の遊びし村の雪景色 太田土男
吶喊鶴亀! 一万年ノ雪景色 夏石番矢 真空律
豐年のみつぎの雪か銀世界 雪 正岡子規
飄客の束ね髪なり雪景色 小澤實(1956-)

雪景色 補遺

カアテンの環雪景に走らする 山口誓子
かがやく雪景色の夢がさめた 尾崎放哉 小豆島時代
サンシャインビルの占めたる雪景色 岸田稚魚 紅葉山
じぶ食へばたちまち加賀の雪景色 飴山實
ダンボール焚き雪景の端崩す 岡本眸
てのひらに熱き火桶や雪景色 日野草城
テレビジョン雪景殖えて疎ましき 相生垣瓜人 負暄
われ若きいつやらは此雪げしき 土芳
越の雪化粧つつある枯木山 松本たかし
牡蠣舟を出でゝ天満の雪景色 河東碧梧桐
温室の蘭雪景の不二を聳えしむ 加藤秋邨
音をたえて寒流のゆく雪げしき 飯田蛇笏
花置いて身を退く四囲の雪景色 飯田龍太
絵の中に居ルや山家の雪げしき 去来
顔出でし窓の暗黒雪景色 三橋敏雄
求心の湖放心の雪景色 飯田龍太
魚店に鰒の残るや雪げしき 呂風
銀世界すんでそろそろ泥世界 正岡子規 雪
思い起こす亡者大群雪景忌 永田耕衣
宿根の宿恨は在れ雪景色 永田耕衣
春月の眼胴(めどう)うるほひ雪景色 川端茅舎
初寄席の池田の猪の雪景色 飴山實 花浴び
初雪にあふみの茶店や銀世界 朱拙
心中にひらく雪景また鬼景 赤尾兜子 玄玄
神山や霽れ雲うつる雪げしき 飯田蛇笏 山廬集
雪景にいふことなくて朝の刻 飯田蛇笏
雪景に歩きて転轍手がひとり 山口誓子
雪景の校舎二棟三棟濃し 廣瀬直人 帰路
雪景の放映の度の過ぎにけり 相生垣瓜人 負暄
雪景は死者大群の中ならむ 永田耕衣
雪景へ口もぐもぐと老婆食ふ 右城暮石 声と声
雪景や老松途中如如途中 永田耕衣
船方に三角山の雪景色 佐藤鬼房
鳥高みたる完璧の雪景色 飯田龍太
碑を越して見し早池峯の雪化粧 能村登四郎
平面の老雪景はおろがまむ 永田耕衣
鱒池にひとの近づく雪景色 飯田龍太
薬待つ遠い日向の雪景色 飯田龍太
嬋娟たり雪景胎の如し如し 永田耕衣
焙じ茶の熱しかんばし雪景色 日野草城
翔べと命じて死にぎはおのが雪景色 佐藤鬼房
豐年のみつぎの雪か銀世界 正岡子規 雪

by 575fudemakase | 2018-01-17 19:00 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

煙草 の俳句

煙草 の俳句

煙草

黴の間に置ける火の無き莨盆 京極杞陽 くくたち下巻
雹くると空が教へし煙草畑 若色寿美女
醉ざめや十日の菊にたばこのむ 菊 正岡子規
邯鄲を聞く煙草火か動かざる 阿部ひろし
蠧て下葉ゆかしきたばこ哉 蕪村 秋之部 ■ となせの瀧
螢火に赤き煙草火ひとつくる 百合山羽公 寒雁
蝌蚪の水に煙草火投げて訪ひにけり 銀漢 吉岡禅寺洞
萬歳も煙草すふなり町はづれ 万歳 正岡子規
莨愉し秋は火光をひざのはに 飯田蛇笏 雪峡
莨持つ指の冬陽をたのしめり 篠原鳳作
莨刻む音や戸を漏る夜寒の灯 寺田寅彦
莨火捨て公魚の湖くもらせる 青木泰夫
莨火を咎めて葦を刈りにけり 小西須麻
莨火を樹で消し母校よりはなる 寺山修司
莨火をわかつやとゞろ雪起し 相川背水
莨火をかばふ埋立冬一色 秋元不死男
莨火もねむる妻子も梅雨の闇 西島麥南
莨火の貸借一つ枯峠 上田五千石
莨下ろして天井高き夜寒かな 金尾梅の門 古志の歌
莨一本蒼天の余寒来りけり 中島月笠 月笠句集
莨の火夜寒にひかる銃を抱く 桂樟蹊子
莨なし食後の河が灼けてゐる 片山桃史 北方兵團
莨ともす夜霧もともにふかく吸ひ 林火
莨あまし朝はもぬけの螢宿 寺井谷子
籐椅子に父とは杳き煙草の香 鈴木栄子
簗番の莨火見ゆる橋の上 伊藤いと子
箒木は夏のたばこの火入かな 越人「猫の耳」
棗の実三代守りしわが庭に 煙草谷十三郎
恃みなき梅雨の莨火芙美子の忌 小林康治 玄霜
老人の紫煙涼しき東巴文字 森田かずや
露草にしばらく燻る煙草かな 比叡 野村泊月
露草にかくれ煙草のうまきかな 角川源義
露深しところ~のたばこ畑 白水郎句集 大場白水郎
炉に跼み短き煙草火を得たり 米沢吾亦紅 童顔
恋をせよ煙草を吸ふな初便 野上寛子
令嬢の煙草嗅ぎつつ競馬記者 三谷昭 獣身
輪に吹いた煙草の煙や揚ひばり 揚雲雀 正岡子規
緑陰や昆虫とりの葉巻のむ 銀漢 吉岡禅寺洞
緑蔭にして乞はれたる煙草の火 敦
立春のレンズで点す煙草の火 原子公平
立つ迹を頭巾ではくやたばこ芥 一茶
落葉駆け煙草の灰のころげをり 上野泰 春潮
落柿舎は煙草盆にも柿落葉 阿部小壺
羅や口つけ煙草焔を押して 北野平八
葉巻の名シェヘラザードとや春燈下 マブソン青眼
葉たばこの村を大きく虹渡り 岡本 求仁丸
幼年や隠して植えるたばこぐさ 安井浩司 阿父学
夕暮の莨はあましかけす鳴く 横山白紅
夕煙草孫思ひ居り秋ひとり 阿部次郎 赤頭巾
遊船の中なる莨盆が見ゆ 京極杞陽
友染工まろびて煙草賀茂の春 岸風三楼 往来
油照男が残すたばこの香 吉川与音 『琴柱』
夜半の虫煙草ふかしに起きて来ぬ 高澤良一 随笑
夜祭や炭火に猛ける捨煙草 角川源義
夜塞さや煙草盡きたる汽車の中 寺田寅彦
夜鴨撃掌に煙草火をかばひ待つ 米澤吾亦虹
夜の富士の涼しく見えてゐてたばこぼん 秋山秋紅蓼
夜の香やたばこ寝せ置く庭の隈 太祇
夜の芥子に莨の煙吹きかくる 西村和子 夏帽子
木々照らす月も夏なる煙草吹く 金尾梅の門 古志の歌
木菟やさみしきときは莨喫ふ 三橋鷹女
木曾の秋ガラス瓶より煙草買ふ 栗田やすし
木犀や片目つむりに莨火つく 千代田葛彦 旅人木
網戸抜け行ける煙草の煙かな 本井英
茂吉忌のてのひらに置く莨の火 工藤節朗
綿虫に次の煙草を点すなり 梅田 津
命綱解いて煙草や櫨ちぎり 高崎雨城
名月や莨の煙立ち竝ぶ 名月 正岡子規
娘の髪のお煙草盆や御甘茶 河野静雲 閻魔
霧を見る莨の灰を海におとし 横山白虹
霧の湾煙草を断ちて火を持たず 矢島房利
霧の路次莨すてしが娼婦なり 岸風三楼 往来
夢の茂みに煙草をおとさないで下さい 松本恭子
蓑しいて憩ひ煙草や畔薊 西山泊雲 泊雲句集
岬の夜渡る銀河と煙草の火 対馬康子 愛国
北風やつひに立ちとまり吸ふたばこ 佐野良太 樫
忘れたる如く干しある煙草かな 高柴象外
墓地薄暑壮者しんそこ煙草吸ふ 平井さち子 完流
墓石に煙草一本の白寒椿 中拓夫 愛鷹
片陰に莨銀紙落ちてをる 京極杞陽
粉煙草を指にあつめつ冬に入る 古沢太穂 古沢太穂句集
粉煙草に母むせかへる夜半の秋 富田木歩
物乞ひの煙草吸ひさす春の夕 横光利一
仏法僧鳴くと相寄る煙草の火 瀧 春一
風邪神に煙草の味を抜かれけり 高澤良一 宿好
風高き串茶屋跡やたばこ植う 塚野柊芳
父のセルきざみ莨の匂ふかな 多摩茜「多摩横山」
父と子と晩秋の街に吸う煙草 三谷昭 獣身
表より裏の匂へる若煙草 後藤立夫
氷室守短き煙草吸ひにけり 八木林之助「鶴俳句選集」
百姓のくはへたばこや喜雨休 橋本鶏二 年輪
尾張町を窪とみる池ノ坊氏とたばこで歩く 加藤郁乎
避暑無聊煙草を買ひに街へ出る 成瀬正とし 星月夜
避暑にたつ人の髪刈り了へし煙草 石川桂郎 含羞
八月の朝ぞきたりぬ茶にたばこ 木津柳芽 白鷺抄
肌寒の闇の煙草は深くすふ 木村赤風
薄氷についと落ちたる煙草の火 川崎展宏
白梅や煙草の煙消えて行く 梅 正岡子規
白息とも紫煙とも過ぎ女子高生 角田重明
白ぎくにとどく莨のけぶりかな 蒼[きう]
萩の茶屋出る山伏の巻煙草 河野静雲 閻魔
買置きの煙草の尽きし夜長かな 高澤良一 石鏡
買置きの煙草とライター台風下 高澤良一 暮津
買初の煙草の小窓すぐ締まる 永井東門居
梅雨明けず雨夜の煙草ふかしても 高澤良一 素抱
梅雨寒や外に追はれて煙草吸ふ 加藤昌親
梅雨鎧ふ莨ふかして今日もかな 石塚友二 光塵
梅も散りぬ煙草好きにて淫ら者 中塚一碧樓
馬酔木咲く野にくたびれて煙草かな 幸田露伴 谷中集
芭蕉葉の破れて煙草ふかしをり 川崎展宏
濃紅葉の隙を煙草の輪は天へ 福田蓼汀 山火
年玉やうさわすれぐさ莨入 籾山梓月
濡れて消える煙草証言の後に似て 林田紀音夫
日だまりに煙草のうまし寒雀 源義
日いでて煙草火わかつ冬磧 堀風祭子
匂はしき葉脈なるよ若煙草 長谷川かな女
二三本残る煙草や松の内 会津八一
二階からたばこの煙秋のくれ 除 風
銅鑼単調ひそと煙草をふかす胃に 河合凱夫 藤の実
桃食うて煙草を喫うて一人旅 星野立子
桃咲くや煙草のけむり耳に溜め 穴井太 原郷樹林
凍落葉銀閣寺出て煙草喫ふ 百合山羽公 寒雁
凍土に一枚たばこを巻く紙なり 篠原梵 雨
凍る森舌さとければ莨苦し 宮津昭彦
冬濱に煙草突き刺し大事去る 藤後左右
冬日宙見る見る孤児が煙草吸う 石橋辰之助
冬耕の腰を伸ばせる煙草かな うまきいつこ
冬の夜の語り部となる師のたばこ 小島千架子
冬の墓袂の煙草出してすふ 細見綾子 黄 炎
土用干や軍書虫ばみて煙草の葉 正岡子規
土乾く外国煙草などのむやつ 寺田京子
杜甫草堂煙草ばら売り秋の声 杉本寛
田植布子にしめる莨や笠の中 青木月斗「時雨」
天高し煙草を吹かす癌患者 仙田洋子 橋のあなたに
鉄皿に葉巻のけむり梟の夜 飯田蛇笏
庭芝の東風に下りたつ手に煙草 清原枴童 枴童句集
定斎屋紐の手甲で煙草吸ふ 田中秋琴女
椿の葉まろめて鄙の煙草かな 沢木欣一
長閑な昼煙草はラッキーストライク 高澤良一 寒暑
朝露や飯焚く煙草を這ふ 露 正岡子規
朝涼に煙草の虫を掃きに行く 松瀬青々
朝戸出の煙草うまさよ囀れる 中島月笠 月笠句集
朝煙草喫ふ顔蚊帳の裾に出し 米沢吾亦紅 童顔
朝の水胃に墜ち煙草肺ふかく 片山桃史 北方兵團
朝の間のたけや目覚しの若たばこ 井原西鶴
朝さくら楓の下に煙草吸ふ 渡邊水巴 富士
虫売や火の用心の莨入 寺田寅彦
虫の夜や煙草のけむりふかくはき 高島 鶏子
虫の音に煙草だけ売る灯を消しぬ 林田素朴
虫ついて不出来の煙草掻き捨てる 松尾緑富
茶つくりのかくれ煙草や焙炉陰 斎藤俳小屋
端居更け父のひとりの煙草の火 冨田みのる
達磨忌やけふ煙草屋の店開き 達磨忌 正岡子規
茸狩が莨入拾ふ石の上 寺田寅彦
鷹匠の短きくはへ煙草かな 阪本宮尾
大夕立煙草ふかしてやり過ごす 高澤良一 素抱
大寒や煌たる燈下煙草なし 林原耒井 蜩
苔寺や遅日の縁のたばこ盆 橋本鶏二 年輪
対岸の螢に見せて煙草吸ふ 右城暮石 上下
太宰忌やタバコなくてはねまるより 石川桂郎
霜夜来て何考ふる煙草の輪 森澄雄
草履が片つ方つくられたばこにする 尾崎放哉
窓よりの煙草のけむり木の芽まで 高野冨士子
早春や枯木常盤木たばこ店 渡辺水巴 白日
洗髪束ねしまゝで煙草吸ふ 星野 椿
川狩や土手に投げたる煙草入 楽瓢
雪歇みて晴れず煙草火銜へをり 篠田悌二郎 風雪前
雪晴やひそかに煙草すうて愉し 中尾白雨 中尾白雨句集
雪解富士銜へ煙草をついと立て 川崎展宏
節分の夜や擲ちし煙草の火 山口誓子
節分の月に煙草の匂ひたる 深見けん二
石粉かぶつた親子で頒つ煙草の火 岡沢正義
青写真咥え煙草のイブ・モンタン 安田循子
西日梳き茎脚たかき煙草畑 太田 昌子
雛様の知らぬ道具や煙草盆 雛 正岡子規
雛の店奥に煙草のけむりあり 鈴木鷹夫 風の祭
水洟に諭すふびんの煙草つく 米沢吾亦紅 童顔
吹雪くわが日のいのち一つや煙草は二本 高柳重信
吹きかける煙草にこりるいとどかな 一茶
人夫若し指の切傷葛葉巻き 宮坂静生 青胡桃
人すぎし煙草のにほひ山ぬくし 阿部みどり女
新刊と秋の空あり莨吹く 篠原鳳作
新刊と秋の空ありたばこ吹く 篠原鳳作
寝積むや煙草火つくり独言 角川源義
寝むしろやたばこ吹かける天の川 一茶 ■文化十二年乙亥(五十三歳)
寝ねがての莨一服茶立虫 福田蓼汀 山火
寝ざめます母の莨や遠蛙 芝不器男
触れて鳴る保護帽莨火まず頒つ 政野すず子
燭の灯を煙草火としつチエホフ忌 中村草田男
場末の灯たばこを買へば聖菓あり 百合山羽公 故園
消炭や妻がかくしてゐる煙草 石川桂郎 含羞
消残る火串に点すや煙草の火 寺田寅彦
消す煙草ばかり見てゐる冬座敷 谷口桂子
松手入煙草のうまき日なりけり 小笠原和男
少年のかくれ莨よ春の雨 中村汀女
少年のかくれ莨(たばこ)よ春の雨 中村汀女(1900-88)
女来て枯木に煙草こすり消す 阿波野青畝
女来て煙草供へぬ桜桃忌 小池宗彦
女らの籠る煙草葉茂りけり 綾部仁喜 樸簡
書売つてタバコ買はせぬ孕み猫 石川桂郎
暑気払いとていつまでの酒・煙草 根岸たけを
初氷煙草くささの中也集 竹中宏 饕餮
初凪の煙草火砂にさして消す 藤井 亘
初蝶やたばこを吸つて喉乾き 中拓夫 愛鷹
初雪やころ~けぶるたばこ殻 一茶 ■文政八年乙酉(六十三歳)
春風や釣銭足らぬ煙草店 中島月笠 月笠句集
春潮に飽かなく莨すひをはる 横山白虹
春霜や池のちりなる巻煙草 増田龍雨 龍雨句集
春宵の夫の莨を盗み吸ふ 西村和子
春愁や錐さす胸の煙草吸ふ 『定本石橋秀野句文集』
春愁やひとの煙草の香にむせび 宍戸富美子
春愁の煙草に点す火やくれなゐ 鈴木しづ子
春愁のたばこ一本たはむれに 山田弘子 初期作品
春暁の寝煙草灰にして支ふ 米沢吾亦紅 童顔
春陰や煙草の匂ふ友の辞書 長嶺千晶
春かへるおぼつかなさや粉煙草 芥川龍之介
舟人の莨火もえぬ秋の海 飯田蛇笏 山廬集
秋風やをんなもねまり煙草吸ふ 中山純子
秋風にかがみ煙草火つく女 京極杞陽
秋潮へ心泳がす捨煙草 吉田鴻司
秋晴の白根にかゝる葉巻雲 前田普羅 春寒浅間山
秋晴のけふ何しやう先づ莨 高澤良一 暮津
秋深き床几に置かる煙草盆 石川文子
秋思あり莨火風に燃えやすく 西島麦南
秋雨に煙草臭さを抜いてをり 高澤良一 ぱらりとせ
秋の夜の舞台より来る葉巻の香 内田美紗 誕生日
受験生かなしき莨おぼえけり 篠原鳳作
酒やめよ煙草やめよと青葉木菟 右城暮石 上下
酒もうる煙草もうる店となじみになつた 尾崎放哉
取る日よりかけて詠(なが)むるたばこかな 其角
若葉吹く風やたばこのきざみよし 嵐雪「玄峰集」
若葉ふく風やたばこの割よし 服部嵐雪
若煙草那須の一つ家かくしけり 長谷川かな女
若煙草に袴ぬぎたる帰郷かな 龍胆 長谷川かな女
若たばこ軒むつまじき美濃近江 蕪村
実や蛍夜学の暇たばこの火 守信 選集「板東太郎」
自販機の煙草が鳴らす春隣り 佐藤幸子
自然薯を掘る二本目の煙草かな 山田幸夫
時の日の鉱山霽れ酒保に煙草着く 宮武寒々 朱卓
侍が煙草銜へて秋祭 大倉祥男
事繁く臼ふむ軒やかけたばこ 炭 太祇 太祇句選
詩人ありきセルに煙草の焦げ穴も 中村明子
獅子頭脱いで煙草を買うてをり 吉屋信子
支那の嗅煙草の壷に海霧深み 猿田咲子
四葩挿し朝の煙草のよく売るゝ 翁長恭子
蚕飼部屋たばこ喫むさへ許されず 小原菁々子
散らばりて少女の植うる煙草かな 松藤夏山 夏山句集
山茱萸の黄に染み紫煙ゆらとある 太田鴻村 穂国
山賊の煙草くゆらす夜長かな 寺田寅彦
山雪晴れ誘わるごとく煙草つける 古沢太穂 古沢太穂句集
山国の煙草明りと秋の土 松村蒼石 雁
山を売る煙草火を炉に深く挿し 小林波禮
参詣のたばこにむせな雀の子 一茶 ■文化十三年丙子(五十四歳)
三鬼忌のロビー葉巻の香りして 池田秀水
桜の傘下「身」になる煙草を土工が吸ふ 磯貝碧蹄館 握手
歳晩や火の粉豊かの汽車煙 草田男
沙魚釣や舟中閑に煙草盆 赤木格堂
今春が来たよふす也たばこ盆 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
此頃の燕も帰り干莨 石井露月
国府津駅莨ふかすに片陰無し 高澤良一 石鏡
国男忌や煙草すひ継ぐおもわ顕つ 角川源義
高原夕むんむん煙草掛けおもり 松村蒼石 雁
降りてすぐ煙草の陣へ三鬼の忌 檜山哲彦
行年をふり返りゐる煙草かな 森田桃村
荒壁の西日に掛けて煙草かな 村上鬼城
荒縄をひきよせ女たばこ干す 藤木倶子
紅梅や辛き莨の睡吐く 野村喜舟
更衣ひとの煙草の香の来るも 中村汀女
口の端に煙草ぶらさげアロハ撰る 横山白虹
碁会所に煙草もうもう神無月 鈴木鷹夫 春の門
五裂して喘息煙草薄日差す 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
枯木照り元日の煙草手に白し 渡邊水巴 富士
枯芝に煙草踏み消す直ぐは消えず 森田峠 避暑散歩
枯芝に煙草捨つひとりとなれる シヤツと雑草 栗林一石路
枯れ蓮に捨煙草して去るをんな 石川文子
古軒や錣威に掛煙草 富安風生
元日や葉巻の箱をこぢあける 森鴎外
元朝の煙草を買ひにボテボテ着 高澤良一 暮津
軒に干す束はたばこの色得つつ 西垣 脩
見るかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
見のかぎり煙草むらさき日向ぼこ 『定本石橋秀野句文集』
月の芝煙草すふ手が真白なる 渡辺水巴 白日
穴まどひ酒も煙草も断ちきれず 望月ひろゆき
隙間風寝煙草煙顔に来る 米澤吾亦紅
鶏小屋に鶏閉ぢ込めてたばこ播く 佐藤安憲
警衛のいとまの煙草秋風裡 榎本冬一郎 眼光
茎たばこ刈つては踏んで山に杉 和知喜八 同齢
啓蟄や煙草が抉る舌の苔 石塚友二 方寸虚実
薫風や煙草の煙吹ちらす 薫風 正岡子規
君煙草口になきとき息白し 星野立子
鍬の柄に腰かけたばこ雁の秋 橋本鶏二 年輪
栗焼て煙草を刻む老婆哉 寺田寅彦
金蜂のただよひ焦がす掛煙草 角川源義
金魚売こぼせし水に煙草消す 芹沢常子(鷹)
襟立てゝ濡れし煙草をなほいたはる 米沢吾亦紅 童顔
玉蜀黍葉たばこ人の死へ急ぐ 和知喜八 同齢
胸板に莨火うつる裸かな 橋本鶏二 年輪
巨石占めて莨火擦るや谷の梅 渡辺水巴 白日
泣くまいとたばこを一本吸う 橋本夢道 無礼なる妻
泣くまいたばこを一本吸う 橋本夢道 無禮なる妻抄
吸口をつぶせる煙草やまざくら 中原道夫
黍殻に煙草の殻のもえて居る 寺田寅彦
菊に煙草吹いては雨の日楽し 太田鴻村 穂国
蟻の体にジユツと当てたる煙草の火 鈴木しづ子
蟻の体にジュツと当てたる煙草の火 鈴木しづ子
鬼無里村奥処たばこの苗を植う 高澤良一 燕音
起き~の煙草に菊のつぼみけり 金尾梅の門 古志の歌
気軽に死に一箱の煙草匿しゐき 片山桃史 北方兵團
帰雁の窓煙草を吸へば智恵も出む 北野民夫
雁渡る菓子と煙草を買ひに出て 草田男
眼玉まで煙草が匂ふ冬の番人 栗林千津
干煙草縄目あまさず噛ませあり 西本一都 景色
干し煙草峡の夕日は家貫く 桜井博道
寒波来て燻つてゐるたばこの火 大江まり江
寒釣りの莨火ともす孤影かな 西島麦南
寒釣に手を貸す煙草捨てにけり 吉田とし子
寒食や煙草をのまぬ子は哀れ 寒食 正岡子規
寒紅や酒も煙草もたしなまず 鈴木真砂女 生簀籠
寒き日は猶りきむ也たばこ切 千那 極 月 月別句集「韻塞」
寒いねと彼は煙草に火を点ける 正木ゆう子
噛みタバコの唾吐いて波止場で老いゆく 下山英太郎
鎌鍛冶と莨百姓盆踊 西本一都 景色
掛乞は待つが仕事と煙草吸ふ 小西須麻
掛煙草日にけに匂ひ夜も匂ふ 金子伊昔紅
掛煙草華やかの梁となりにけり 西山泊雲 泊雲句集
郭公や莨くゆらすその間も 高澤良一 暮津
郭公が聞えて朝のたばこ買ふ 百合山羽公 故園
格子戸を出て獅子舞の煙草喫ふ 立子
格子戸を出し獅子舞の煙草喫ふ 星野立子
柿干すや煙草納めて日影迅し 前田普羅
柿の名も富有に次郎たばこ村 和知喜八 同齢
街師走町角ごとの煙草店 高木晴子 晴居
灰皿で腹割る煙草三鬼の忌 楠本憲吉
灰にいろは書くや夜長の煙草盆 寺田寅彦
夏爐の火一つ移しぬ莨盆 橋本鶏二
夏暁や最後の日本の煙草吸ふ 林翔 和紙
夏果ての隠れ煙草を患者らは 高澤良一 暮津
夏のくれ煙草の虫のはなし哉 重厚
夏のくれたばこの虫の咄し聞く 重厚 五車反古
下馬の雪たばこ吸ふべき陰もなし 重丸 選集「板東太郎」
下闇や目睫に在る煙草の火 草城
牡丹咲きぬ恩賜の煙草雪の如し 渡邊水巴 富士
黄落の山のたばこ屋切手も売る 猿橋統流子
遠かなかな煙草買ふ人溜りゆく 林原耒井 蜩
縁に干し庭に干したる煙草かな 高浜虚子
煙草盡きて酒さめぬ獨り火鉢に倚る 火鉢 正岡子規
煙草咥へて木枯の日を偸むかな 石川桂郎
煙草盆までとうすみの来ることも 波多野爽波 『骰子』
煙草盆に雨蛙来し咫尺かな 尾崎迷堂 孤輪
煙草売る燈に傷多き冬の幹 宮津昭彦
煙草買ふ連れをまちても枯野かな 久保田万太郎 草の丈
煙草買ふ間ありて台風中だるみ 高澤良一 暮津
煙草買ふだけの外出の襟巻して 安住敦
煙草買ひに出てぎんなんにつかまりぬ 高澤良一 暮津
煙草買ひにちゃんちゃんこではおかしいか 高澤良一 石鏡
煙草知りそめたる頃の大試験 成瀬正とし 星月夜
煙草伸すひねもす雨の手くらがり 木村蕪城 寒泉
煙草消す露金剛の誕生日 角川源義 『西行の日』
煙草消す男に帰心小夜時雨 谷口桂子
煙草女工に給料木犀よりあかるし 飴山 實
煙草捨て働くための裸となる 宮下時雨
煙草咲くや乳房誇りて佐久の牛 才記翔子
煙草吸ふ菊苗売りの男かな 大野信子
煙草吸ふをかしき顔や秋の雨 かな女
煙草吸ふや夜のやはらかき目借時 森 澄雄
煙草吸うや夜のやはらかき目借時 森 澄雄
煙草吸うて命ありけり裸人 原月舟
煙草喫ひに出れば信濃の名残り雪 檜山哲彦
煙草火を借りて離任す多喜二の忌 国枝隆生
煙草火を海南風の中に乞ふ 山口誓子
煙草火をこぼして赤し草の露 西山泊雲 泊雲句集
煙草火の近づいて来る秋の暮 牛山 敏
煙草火の近づいてくる寒夜かな 盛生高子
煙草火の吸へば明るく梅夕ベ たかし
煙草火のじんじん赤き鳴鳥狩 夏井いつき
煙草火に読む腕時計夜水番 宮野 寸青
煙草火に冬田は闇を匂はしぬ 有働亨 汐路
煙草火に団扇かさして看るや山 尾崎紅葉
煙草火に指ぬくめて去年今年 秋元不死男
煙草火に闇が吸ひつく青葉冷え 西谷是空
煙草屋は未だ起きて居り天の川 田中冬二 麦ほこり
煙草屋の欅落葉をはじめけり 川島彷徨子 榛の木
煙草屋の娘うつくしき柳かな 寺田寅彦
煙草屋の婆ちやん健在寒いねえ 高澤良一 宿好
煙草屋の灯が先づ点り枯部落 宮田正和
煙草一本突きだし佇む梅林に 高澤良一 石鏡
煙草やめよと書き添へて寒見舞 片山由美子
煙草の葉鰈のごとく干されゐる 田中冬二 俳句拾遺
煙草の封切るや炉話長びきさう 猿橋統流子
煙草の香窓より抜けば秋の雨 高澤良一 暮津
煙草の灰ふんわり落とす蟻の上 鈴木しづ子
煙草の火十一月がすたすたと 美馬順子
煙草の火チカリと霧の夜の女 成瀬正とし 星月夜
煙草の煙吹きかけて蓮の実飛ぶ 高浜虚子
煙草のむ他は無口に暦売り 加藤耕子
煙草のむひま旅人も来て早苗とれ 早苗 正岡子規
煙草にがし寄り合ひ食らふ黴家族 小林康治 四季貧窮
煙草にがし寄りあひ食らふ黴家族 小林康治
煙草でも吸ひたし霜の淋しさに 杞陽
煙草つけてすぐ去る人や池氷る 阿部みどり女 笹鳴
煙草すて娼婦しづかに海に入る 東 京三
煙草すて秋の川たり顔うつる 岸風三楼 往来
煙草すてゝ闇いよゝ濃し露時雨 碧雲居句集 大谷碧雲居
煙草したしう笠の夕日にうづくまる シヤツと雑草 栗林一石路
煙草いつか止めねば断たねば深む秋 高澤良一 石鏡
炎天下吸ひし煙草の苦かつた 成瀬正とし 星月夜
炎ゆる日にふかすキャメルといふ莨 高澤良一 寒暑
園丁の跼み煙草や牡丹園 西山泊雲 泊雲句集
園の梅散るや火の無き煙草盆 梅散る 正岡子規
園のもの黄ばむと莨輪に吹ける 篠原鳳作
円のn乗に麻薬煙草(マリワナ)の流れら 加藤郁乎
雲海やまだ夜のごとき莨の火 中村草田男
雨夜の巻たばこのうまさ女は乳を包んで 中塚一碧樓
雨晴や蚊屋のうちなる朝たばこ 一茶 ■文化年間
雨の二の酉坐り込みたる深か煙草 鍵和田[ゆう]子 未来図
宇宙人がいつの間にか煙草に火をつけてくれ 仲上隆夫
右手を吊り街へ煙草の東風の杣 宮武寒々 朱卓
稲光煙草寝させし夜頃かな 小澤碧童 碧童句集
稲架を解く銜へ煙草の灰が落ち 西村和子
一枚もそまつにすまじ莨編む 奥田 草秋
一本の莨をぬくや夜半の梅雨 栗生純夫 科野路
一服の煙草甘さや鯊の秋 宮部寸七翁
一服の煙草甘きや鯊の秋 宮部寸七翁
一筋の煙草のけむり夜学かな
一筋に煙草けぶるや青嵐 青嵐 正岡子規
井戸掘夫腹の底まで煙草吸ふ 新井紅石
闇から来る人来る人この火鉢にて煙草をすひけり 中塚一碧楼
をとこ独り枯野に佇ちて煙草吸ふ 石川文子
わさ蓑に煙の飛ぶや若たばこ 野坡
わかたばこ丹波の鮎の片荷かな 維駒
ろふそくでたばこ吸ひけり時鳥 小林一茶
ローダンセ娘は莨火をくはへをり 石原八束
ろうそくでたばこ吸けり時鳥 一茶 ■文化十二年乙亥(五十三歳)
ヨットあやつり少年すでに煙草知る 長谷川浪々子
よこたはる煙草いつぽん冬帽子 秋元不死男
よい程にたばこのしめる若葉哉 一茶 ■文政四年辛巳(五十九歳)
ゆらゆらと冬日のたばこ稼ぐ時間 椎橋清翠
やや寒の頬突いて出す紫煙の輪 秋元不死男
やぶ入やのんで見せたる巻煙草 藪入 正岡子規
ものかげに煙草吸ふ子よ昼の虫 鈴木しづ子
めざめては蛾の闇染むる莨の火 西島麥南
メーデーゼッケン「酒タバコ値上反対」隊列炎ゆ 橋本夢道 無類の妻
ヘリオトロープ葉巻きのけむり触れて消ゆ 大野雑草子
ふたりとも莨をきらし水すまし 阿南さくら
ふたりとも煙草の切れし夜長かな 角川春樹
ビロウに夕闇 左遷教師の煙草火 燃え 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 島嶼派
ビルに囲まれたばこ屋の蔦紅葉 青木梢
ビニールをかぶせてこれは煙草苗 細川加賀 『玉虫』以後
ひとり夜の煙草火で焼く蝗かな 赤尾兜子
ひとりのむ煙草の味の夜寒かな 野村喜舟 小石川
ひとゝきの煙草三百余のいのち 片山桃史 北方兵團
ひた走る夜汽車たばこの火が寒い 小森清次
はづかしや榾にふすぼる煙草頬 鬼貫
はたち計冨士の烟やわかたばこ 井原西鶴
バス待つや傍を四温の煙草拾ひ 北野民夫
のうぜんや道尋ぬるに煙草買ふ 森澄雄
にんにくと煙草の話文化の日 高澤良一 随笑
なにやら吸ふごとに紫煙無限にひろがり 田口熊太郎
ともかくもくはへしたばこふところ手 木下夕爾
てのひらに消す莨火や鴨を待つ 橋本鶏二 年輪
ちさい子がたばこ吹也麦の秋 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
たもとにたばこがあつて山ふところ 久保白船
たばこ欲りあまきもの欲り雨季ながし 長谷川素逝 砲車
たばこ盆足で尋る夜寒哉 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
たばこ燃ゆ枯木からから吹く風に 細谷源二 鐵
たばこ手に出づるや夜空手に沁みつ 原田種茅 径
たばこ吸ふ猫もゐてよきあたたかさ 嵩 文彦
たばこ吸ふ人の噂や蜆とり 游刀 俳諧撰集「藤の実」
たばこ喫ふときに跼みて秋の暮 今井杏太郎
たばこ喫うてをれば驟雨の風起る 瀧春一 菜園
たばこ干す寺の座敷に旅寝かな 几董
たばこ干す山田の畔の夕日かな 其角
タバコ殻けぶり歩くやうす氷 一茶 ■文化十四年丁丑(五十五歳)
たばこよりはかなき桐の一葉かな 支考
たばこの甘さ枯芝に置く郵便帽 磯貝碧蹄館 握手
たばこの火大文字待つ人の顔 川崎展宏
たばこの火手に打抜て夕涼 一茶 ■文化十三年丙子(五十四歳)
たばこの火あづけし葛の広葉かな 木下夕爾
たばこすふ煙の垂るる夜長かな 芥川龍之介
たばこが消えて居る淋しさをなげすてる 尾崎放哉
たじろぎて踏む青草よ莨に火 稲垣きくの 黄 瀬
その人の煙草の香り聖金曜 能城 檀
セルの袖煙草の箱の軽さあり 波多野爽波
せつろしや若菜摘む手のたばこずき 酒堂 俳諧撰集「藤の実」
ストーヴを見るともなく見煙草吸ひ 成瀬正とし 星月夜
シクラメンたばこを消して立つ女 京極杞陽
この煙草どこで消そうか出初式 橋本昭一
こつ~と鎌の当りて煙草刈る 松藤夏山 夏山句集
くゆらかす甘き煙草や蘭の秋 半春
くはへゐる煙草火うつり蝌蚪の水 林火
くはへたる煙草飛ばされ鴨見人 森田峠 避暑散歩
くちをしう老にけらしな若烟草 若煙草 正岡子規
ギブス嵌めそれでも煙草炎天下 高澤良一 暮津
きがらしの煙草いたはり露さむく 田中冬二 俳句拾遺
かまくらに莨火ひとつ息づけり 横山 房子
かの少女毛莨科と思ふなり 中尾寿美子
かつぎ屋に煙草火借るも狩づかれ 米沢吾亦紅 童顔
かけたばこ畳の上をめづらしむ 廣江八重櫻
かくれすふたばこのけむり秋の風 木下夕爾
オホーツクの夏潮に投げ煙草消え 星野立子
いつ消えしわが手のたばこ啄木忌 木下夕爾
いづれか秋けんこ煙草と信濃蕎麦 昌夏 選集「板東太郎」
あわれ胸のポケットにいつも煙草があるごとく 橋本夢道 無禮なる妻抄
アマリリスうしろを向いて煙草吸ふ 波多洋子 銀化
アネモネや煙草のけむりむらさきに 館岡沙緻
あづま屋に巻煙草ふく木の芽かな 木の芽 正岡子規
あたり待つ夜釣りの煙草唇を焼く 高橋斗志王
あせふけばひらひらゆれる煙草入 細谷源二 砂金帯
アイスホッケー紫煙場内に雲を張る 牧野寥々
「赤い靴」流して薄荷の煙草吸ふ 攝津幸彦 鹿々集

煙草 補遺

あせふけばひらひらゆれる煙草入 細谷源二 砂金帯
あづま屋に巻煙草ふく木の芽かな 正岡子規 木の芽
うらゝかや煙草の先の灰すこし 日野草城
オホツクの夏潮に投げ煙草消え 星野立子
おぼろ夜や女も咥へ煙草して 鈴木真砂女 都鳥
オンドル月夜となれり巻煙草をさがす 尾崎放哉 大正時代
くはへゐるたばこ火うつり蝌蚪の水 大野林火 冬雁 昭和二十一年
けふの暑さはたばこやにたばこがない 種田山頭火 草木塔
スケートの刃に立ちゐても煙草吸ふ 山口誓子
セルの袖煙草の箱の軽さあり 波多野爽波
セルを着て煙草を落す袂あり 森澄雄
たばこが消えて居る淋しさをなげすてる 尾崎放哉 須磨寺時代
たばこの煙よりおそくて遥か曠野の馬 赤尾兜子 歳華集
たばこの火蚊帳のきり取る闇に染む 篠原梵 年々去来の花 皿
たばこやにたばこがない寒の雨ふる 種田山頭火 草木塔
たばこ燃ゆ枯木からから吹く風に 細谷源二 鐵
たばこ欲りあまきもの欲り雨季ながし 長谷川素逝 砲車
たはぶれの莨に妹を酔はしめき 伊丹三樹彦
つくつく法師かくれ煙草をとがめらる 角川源義
ドイツ煙草添へて貰ひし蕗の薹 細見綾子
ねていてくゆらすうまいタバコだ 尾崎放哉 小豆島時代
のうぜんや道尋ぬるに煙草買ふ 森澄雄
はにかみて落す煙草や蓼の花 草間時彦 中年
ビロウに夕闇 左遷教師の煙草火 燃え 伊丹三樹彦
ペルメルは長き煙草よ虫を聴く山口青邨
ホルダーに莨火遠し四月馬鹿 大野林火 月魄集 距和五十七年
もらひたる西洋煙草露の宿 山口青邨
やぶ入やのんで見せたる巻煙草 正岡子規 藪入
やや寒の頬突いて出す紫煙の輪 秋元不死男
よこたはる煙草いつぽん冬帽に 秋元不死男
ローソクを煙草の火とす落葉宿 山口青邨
わがふかす煙草の煙秋の月 日野草城
わが煙草一服の間の冬鴎 加藤秋邨
わが来し天とほく凍れり煙草吸ふ 西東三鬼
鮎なます遁辞ばかりの煙草すふ 角川源義
闇から来る人来る人この火鉢にて煙草をすひけり 中川一碧樓
一筋に煙草けぶるや青嵐 正岡子規 青嵐
一本の煙草くゆらし梅を去る 山口青邨
雲海に煙を加ふ煙草喫ひ 山口誓子
雲海やまだ夜の如き莨の火 中村草田男
園の梅散るや火の無き煙草盆 正岡子規 梅散る
園丁の晝煙草寒椿かな 村山故郷
炎ゆカトレア酒も煙草も断ちし我に 楠本憲吉 方壺集
炎天や煙草畑のうすみどり 村山故郷
煙管の先に煙草立てゝは藤白し 飯島晴子
煙草くさき男北窓開きけり 波多野爽波
煙草すうて酔へり大寒の空青く 村山故郷
煙草すて娼婦しづかに海に入る 秋元不死男
煙草にがし遠く乾きて桐の花 松崎鉄之介
煙草にがし寄り合ひ食らふ黴家族 小林康治 四季貧窮
煙草に火つけて寒さの紛れけり 後藤比奈夫
煙草に火点けて露けきあたりかな 清崎敏郎
煙草のむひま旅人も来て早苗とれ 正岡子規 早苗
煙草の火なつかしきかな霧の夜は 渡邊白泉
煙草の火耳に出てゐて合歓の闇 右城暮石 句集外 昭和十七年
煙草の火梅に預けて句を書ける 右城暮石 散歩圏
煙草の香こもりて石蕗の花は黄を 右城暮石 句集外 昭和十三年
煙草やめて手持無沙汰やおらが春 日野草城
煙草より温きものなくラグビー見る 山口誓子
煙草屋を守り名ばかりの畑も打ち 岡本眸
煙草火に指(および)ぬくめて去年今年 秋元不死男
煙草火の奇しくも梅雨気見するなり 右城暮石 句集外 昭和十三年
煙草火の大きくなりぬ霧の街 飴山實 おりいぶ
煙草火も修二会世外の火ぞ慎しむ 山口誓子
煙草火をともすや赤き流れ星 松崎鉄之介
煙草火を海南風の中に乞ふ 山口誓子
煙草火を分けあふ余り寒ければ 大野林火 方円集 昭和五十二年
煙草火を母にゆだねてわかれ蚊帳 角川源義
煙草火廻す保護帽仲間 椅子などない 伊丹三樹彦
煙草喫ふゆとり冬日の落つるまで 大野林火 早桃 太白集
煙草喫みたし寒昴けぶりゐて 上田五千石『田園』補遺
煙草喫む者雪渓を撫でる者 右城暮石 句集外 昭和三十八年
煙草喫んで何も呉れぬ祖父あたたか 山口誓子
煙草吸ふや夜のやはらかき目借時 森澄雄
煙草吸ふ人はきらひや春炬燵 高浜年尾
煙草捨て唾吐き暑き射手となる 西東三鬼
煙草女工に給料木犀よりあかるし 飴山實 おりいぶ
煙草消す露金剛の誕生日 角川源義
煙草伸すひねもす雨の手くらがり 木村蕪城 寒泉
煙草断ちて金を溜めむと四月馬鹿 村山故郷
煙草断ちて二日三日や五日の梅 村山故郷
煙草買ふだけの外出の衿巻して 安住敦
煙草盆に小さき炭の火消えざる 河東碧梧桐
煙草盆までとうすみの来ることも 波多野爽波
煙草咥へて木枯の日を偸むかな 石川桂郎 含羞
煙草盡きて酒さめぬ獨り火鉢に倚る 正岡子規 火鉢
縁先に春風吹いて煙草盆 星野立子
遠花火我は煙草火投げ上げて 右城暮石 上下
押せばチャイム・ドアで 唄 酒 莨 女 伊丹三樹彦
押迫る枯野や煙草火を得つつ 藤田湘子 途上
横顔の煙草売娘や夏柳 波多野爽波 鋪道の花
黄梅やしきりに煙草吸ひたき日 村山故郷
牡丹咲きぬ恩賜の煙草雪の如し 渡邊水巴 富士
下闇や目睫に在る煙草の火 日野草城
夏鴬句碑さかり来て煙草捨つ 角川源義
夏暁や最後の日本の煙草吸ふ 林翔 和紙
夏天降り白き煙草を口にく啣ふ 山口誓子
夏炉の火煙草火にして月に出づ 大野林火 飛花集 昭和四十四年
火が活きていた捨て煙草 伊丹三樹彦 夕木犀
花圃に来て日々喫みすてる莨かな 中村草田男
花冷のおのづと消えてゐしたばこ 安住敦
花冷の夜気つよく吸ふ莨断ち 能村登四郎
画家去つて煙草臭き家枯れし苑 山口誓子
灰皿で腹割る煙草三鬼の忌 楠本憲吉 孤客
格子戸を出し獅子舞の煙草喫ふ 星野立子
郭公が聞えて朝のたばこ買ふ 百合山羽公 故園
寒牡丹 煙草臭きはメンズコート 伊丹三樹彦
寒紅や酒も煙草もたしなまず 鈴木真砂女
寒食や煙草をのまぬ子は哀れ 正岡子規 寒食
汗し来て絵島の墓に煙草供く 角川源義
間をはかる莨火あって 男対峙 伊丹三樹彦
眼帯の母の 目覚め煙草ヘマッチ擦る 伊丹三樹彦
岩鼻のわが莨火に鯖火殖ゆ 大野林火 雪華 昭和三十九年
雁渡る菓子と煙草を買ひに出て 中村草田
顔つつめるほどの煙草葉峡せめぎ 古沢太穂 火雲
机辺寂と夜半の寒さに煙草すふ村山故郷
議事堂の絵のこの煙草高くなりぬ 西東三鬼
議事堂へ風吹き煙草火がつかぬ 西東三鬼
巨石占めて莨火擦るや谷の梅 渡邊水巴 白日
漁り火を望む莨火 暗黒航 伊丹三樹彦
強き闇にわが巻煙草の小さき火影かな 種田山頭火 自画像 層雲集
薫風や煙草の煙吹ちらす 正岡子規 薫風
啓蟄や煙草が抉る舌の苔 石塚友二 方寸虚実
月の芝煙草すふ手が真白なる 渡邊水巴 白日
月影に煙草すてゆく春寒し 石橋秀野
堅炭を焼きゐる紫煙めでたけれ 山口誓子
見のかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
枯木照り元日の煙草手に白し 渡邊水巴 富士
御飯があつて本があつてそして煙草もあつて 種田山頭火 自画像 落穂集
更衣ひとの煙草の香の来るも 中村汀女
高く上る煙草のけむり冬紅葉 山口青邨
高原夕むんむん煙草掛けおもり 松村蒼石 雁
国男忌や煙草すひ継ぐおもわ顕つ 角川源義
最後の煙草消す標的に靄沈み 橋閒石 風景
妻とほし蒼海へ向き煙草すふ 安住敦
三時の茶たばこのけむり雨の音 日野草城
山国の煙草明りと秋の土 松村蒼石 雁
山霧にひとの莨火あたたかし 能村登四郎
酸焼けの掌に鳴る煙草の紙袋 飴山實 おりいぶ
残しゆく煙草のけむり荻の上 山口青邨
残雪に煙草火を刺し男去る 飯島晴子
指に莨熱くどくだみの中に立つ 大野林火 青水輪 昭和二十六年
指の繊さのタバコと消えてゆく秋と 楠本憲吉 方壺集
支那の女美し巻煙草すひ馬車をかるべく尾崎放哉 大正時代
事務の部屋たばここもるに冬日太し 篠原梵 年々去来の花 皿
自然薯の丈につき合ふ煙草かな 石田勝彦 百千
芝を焼き煙草は別の燐寸擦る 鷹羽狩行
捨墓の枯れざま 煙草火せつに欲しい 伊丹三樹彦
灼け石に消す煙草火や赤く撥ね 大野林火 雪華 昭和三十四年
手花火や火種子のありし煙草盆 福田蓼汀 山火
酒もうる煙草もうる店となじみになつた 尾崎放哉 須磨寺時代
酒やめよ煙草やめよと青葉木菟 右城暮石 上下
州に憩ひ雨の煙草を頒ち喫む 伊丹三樹彦
秋耕や寄りて煙草火分つべし 廣瀬直人 帰路
秋晴の白根にかゝる葉巻雲 前田普羅 春寒浅間山
秋草に女は浅く喫ふたばこ 日野草城
秋風、ひろうてタバコいろいろ味ふ 種田山頭火 自画像 落穂集
秋風にかくれ煙草の煙かな 山口誓子
舟人の莨火もえぬ秋の海 飯田蛇笏 山廬集
春雨に莨短かく吸ひて捨つ 中村汀女
春雨や当直明けの煙草すふ 村山故郷
春画に吹く煙草のけむり黴の家 西東三鬼
春愁や錐さす胸の煙草吸ふ 石橋秀野
春惜しし命減らして煙草のむ 松本たかし
春泥や靴で踏み消したる煙草 細見綾子
春怒濤臥る外はなく煙草吸ふ 角川源義
春風や煙草の煙さきにとぶ 星野立子
春憂しやわが体臭の煙草臭 右城暮石 句集外 昭和四十年
書売つてタバコ買はせぬ孕み猫 石川桂郎 含羞
女去りぬと暗き運河に煙草火捨つ 安住敦
女来て枯木に煙草こすり消す 山口誓子
傷兵の風の遊歩の火なき煙草 伊丹三樹彦
小指より繊き莨や菊の露 日野草城
小春日や飾るが如く煙草盆 山口青邨
少年のかくれ莨よ春の雨 中村汀女
消炭や妻がかくしてゐる煙草 石川桂郎 含羞
場末の灯たばこを買へば聖菓あり 百合山羽公 故園
燭の灯を煙草火としつチエホフ忌 中村草田男
寝てたばこのむくせやまず啄木忌 安住敦
寝ねがての莨一服茶立虫 福田蓼汀 山火
寝積むや煙草火つくり独言 角川源義
新月やかくし煙草はしめりがち 角川源義
新兵ら冬木にひそと煙草すふ 村山故郷
新涼や目覚煙草の煙の色 日野草城
深雪晴たばこのけむり濃むらさき 日野草城
身のまはりさむざむ煙草のけむり棚曳く 篠原梵 年々去来の花 皿
人待つごと余寒の煙草ともしをり 角川源義
雛様の知らぬ道具や煙草盆 正岡子規 雛
青たばこつくづく見れば土葉剥葉 平畑静塔
青萱に赤牛の背と煙草の香 森澄雄
青東風や灰皿に喜怒なす莨の頭 角川源義
青芒白日煙草さへ忘れ 早桃 大野林火 太白集
赤髪に葉巻かくれて夜の涼み 鷹羽狩行
節分の月に煙草の匂ひたる 深見けん二
節分の夜や擲ちし煙草の火 山口誓子
雪に立ちて兵ら煙草を吸ひあかず 村山故郷
雪国や煙草一本甘し深し 森澄雄
雪夜また目にうかぶもの煙草で消す 加藤秋邨
戦車より兵出て煙草くはへけり 日野草城
早春や枯木常盤木たばこ店 渡邊水巴 白日
窓を出る煙草の煙花の雨 波多野爽波 鋪道の花
草履が片つ方つくられたばこにする 尾崎放哉 須磨寺時代
息いたく白く煙草のけむりあやなし 篠原梵 年々去来の花 皿
息白したばこ火口の辺にともる 大野林火 青水輪 昭和二十五年
多摩川が見え山茶花に煙草買ふ 渡邊水巴 富士
太綱を垂らして侏儒の嗅煙草 橋閒石
太宰忌やタバコなくてはねまるより 石川桂郎 含羞
対岸の螢に見せて煙草吸ふ 右城暮石 上下
大寒の日さす営庭や朝煙草 村山故郷
達磨忌やけふ煙草屋の店開き 正岡子規 達磨忌
中学生からたち青み煙草喫む 山口誓子
昼たばこ深くすひこむうらゝかに 村山故郷
昼休み長きいつぽんの煙草すふ 渡邊白泉
昼寝人煙草の煙立てにけり 山口青邨
朝さくら楓の下に煙草吸ふ 渡邊水巴 富士
朝煙草うまし柳の青う垂る 村山故郷
朝露や飯焚く煙草を這ふ 正岡子規 露
鳥雲に筥の中なる黴煙草 飯田龍太
泥手あろうて煙草はやめられぬ煙と秋の雲 荻原井泉水
鉄皿に葉巻のけむり梟の夜 飯田蛇笏 家郷の霧
天高し酒も煙草も断ちしあとの 楠本憲吉 方壺集
店の戸あくるや煙草買ひに来し 尾崎放哉 大正時代
妬心あり寒夜莨火踏み消して 伊丹三樹彦
妬心ふと寒夜莨火踏み消して 伊丹三樹彦
冬ざれや莨火に映ゆ鼻がしら 大野林火 青水輪 昭和二十四年
冬の墓袂の煙草出してすふ 細見綾子
冬椿首きり地蔵に煙草供く 角川源義
冬服に滲む煙草臭我が臭ひ 右城暮石 句集外 昭和三十七年
冬木風残んの煙草惜しみすふ 村山故郷
冬鵙や煙草得て戻る坂の町 角川源義
凍闇に臥てのむ煙草のけむり火を帯ぶ 篠原梵 年々去来の花 皿
凍土に一枚たばこを巻く紙なり 篠原梵 年々去来の花 雨
凍落葉銀閣寺出て煙草喫ふ 百合山羽公 寒雁
桃食うて煙草を喫うて一人旅 星野立子
藤棚の下に来て煙草すふ初夏の風 村山故郷
日だまりに煙草のうまし寒雀 角川源義
日本露けし紅髭の葉巻焦げ 山口誓子
年少の煙草を愛す鵙の昼 山口誓子
濃紅葉の隙を煙草の輪は天へ 福田蓼汀 山火
納涼船煙草は遠く投げて消す 鷹羽狩行
農老いて莨くさしやきりぎりす 山口誓子
婆ら守る地干し煙草は陽が皺む 古沢太穂 火雲
馬車朧馭者と莨の火をわかつ 大野林火 早桃 太白集
梅も散りぬ煙草好きにて淫ら者 中川一碧樓
梅雨の闇疑は莨火の強さに 加藤秋邨
梅雨の夜に出て煙草火を強く吸ふ 右城暮石 句集外 昭和二十七年
梅雨の夜の勁き莨火とすれちがふ 飯島晴子
梅雨鎧ふ莨ふかして今日もかな 石塚友二 光塵
白き俘虜煙草を欲すマッチも置く 渡邊白泉
白日・紅葉煙草廃めたる両手垂らし 中村草田男
白梅や煙草の煙消えて行く 正岡子規 梅
白露に乞食煙草ふかしけり 川端茅舎
髪灼くる煙草を買ひに出しのみに 秋元不死男
半月や噛み煙草売り顔おぼろ 加藤秋邨
晩涼やたばこのけむりふきなびく 日野草城
避暑にたつ人の髪刈り了へし煙草 石川桂郎 含羞
非行めく煙草火 脚下にピガール街 伊丹三樹彦
美しき莨火こぼす夜の逢瀬 伊丹三樹彦
百姓の朝のたばこや蓮開く 上野泰
病人が莨を欲れり夏の果 安住敦
富士寒し指に煙草を絶やさねば 飯田龍太
腐る湾ひとりの煙草喉を刺す 佐藤鬼房
憤るときさむし煙草をおもひ出 加藤秋邨
粉煙草を指にあつめつ冬に入る 古沢太穂 三十代
返り花見る我レの手の煙草染む 右城暮石 句集外 昭和十二年
放心の痩脚 煙草火だけといる 伊丹三樹彦
北風に莨火かばひ獄を出づ 秋元不死男
名月や莨の煙立ち竝ぶ 正岡子規 名月
明易き夜を手渡すや莨の火 中村汀女
綿虫や煙草すてかね癒遠し 角川源義
網棚のスキーたばこにけぶりし燈に 篠原梵 年々去来の花 皿
夜の煙草力一ぱい青田へ投ぐ 右城暮石 句集外 昭和三十四年
夜祭や炭火に猛ける捨煙草 角川源義
夜釣よりもらふ寡黙と莨火と 伊藤白潮
夜涼人煙草けむりを立てかがむ 松崎鉄之
夕焼より濃き煙草火をわがものに 金子兜太
夕風やたばこのけむり妻へなびく 日野草城
裸の胸へ喫ひ込む煙草金歯光り 中村草田男
裸子の煙草を吸へり椅子による 高野素十
落葉駆け煙草の灰のころげをり 上野泰 春潮
蘭を愛で薄暑の葉巻くゆらする 飯田蛇笏 山響集
梨の汁煙草に荒れし咽喉通る 右城暮石 天水
立ちて一目に千本の青たばこ 平畑静塔
流木の焚火のかけら莨火に 角川源義
凌霄や小銭欲しくて煙草買ふ 森澄雄
猟期待つものらの煙草火 銃砲店 伊丹三樹彦
緑陰にして乞はれたる煙草の火 安住敦
輪に吹いた煙草の煙や揚ひばり 正岡子規 揚雲雀
露けさや煙草売る家の軒忍 松本たかし
露草にかくれ煙草のうまきかな 角川源義
咥へ煙草して掛りたる鮎外す 右城暮石 虻峠
恃みなき梅雨の莨火芙美子の忌 小林康治 玄霜
梟やひとつ火の気は誰が煙草 三橋敏雄
珈琲煙草不養生の身や木の葉髪 村山故郷
磧焚火煙草に継ぎてあまかつし 角川源義
籐椅子に煙草をやめるつもりなし 安住敦
莨うまき日なり双耳に法師蝉 林翔
莨すふ燐寸の火おもき白蚊帳 飯田蛇笏 山響集
莨ともす夜霧もともにふかく吸ひ 大野林火 早桃 太白集
莨と口臭暮春を父となり古ぶ 能村登四郎
莨の火降る雪中に点きにけり 中村草田男
莨火にも由布の枯野の燃えやすき 橋本多佳子
莨火に冬木の暮色すでに濃し 大野林火 昭和十二年
莨火の貸借一つ枯峠 上田五千石 田園
莨火の落ちゆくさきに夏夜の濤 大野林火 雪華 昭和三十九年
莨火ひとつ浮べ闇夜を来し汝か 楠本憲吉 孤客
莨火をかばふ埋立冬一色 秋元不死男
莨火をマントを盾として点す 大野林火 早桃 太白集
莨火を崖になげうつ梅雨嵐 加藤秋邨
莨火を借り落柿舎の途すがら 伊丹三樹彦
莨火を人に借られし冬木の下 秋元不死男
莨火を投じて春の焚火了ふ 上田五千石『天路』補遺
莨火を捻り消すなり春の幹 飯島晴子
莨火を涼しく橋の上来たる 上田五千石『琥珀』補遺
莨火継ぐつひに孤りの夜長稿 上田五千石 天路
莨実に喫みたし五位の啼きわたる 秋元不死男
莨分け契みぬ秋日にぬくもりつつ 大野林火 海門 昭和十三年
莨愉し秋は火光をひざのはに 飯田蛇笏 雪峡
萬歳も煙草すふなり町はづれ 正岡子規 万歳
蝙蝠は煙草の意匠二日月 佐藤鬼房
螢火に赤き煙草火ひとつくる 百合山羽公 寒雁
醉ざめや十日の菊にたばこのむ 正岡子規 菊
驟雨待つ真顔莨を吸ふ真顔 伊丹三樹彦


by 575fudemakase | 2018-01-17 18:58 | 無季 | Trackback | Comments(0)


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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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