2018年 02月 01日 ( 7 )

冬の川 の俳句

冬の川 の俳句

冬の川

いま鳥になつてゐるのと冬川原 山根真矢
こころの北側とは冬川の流れかな 齋藤愼爾
さへぎるものあれば冬川光りけり 伊藤政美
すべて打消す冬の河逆波立ち 津田清子 礼 拝
トランペット音詰まりながら冬川原 児玉けんじ
はなればなれの鳥へ冬河の夥しい石 牧真砂
ふりむけばもう居ぬ白鷺冬の川 橘昌代
みづからの音に暮れゆく冬の川 米山露女
やすき瀬や冬川わたる鶴の脛 高井几董
ゆらゆらと舟をつなぎて冬の川 星野椿
よるべなき冬の野川の小魚かな 冬の川 正岡子規
鮎死で瀬のほそりけり冬の川 冬の川 正岡子規
一行事終り人去り冬川原 山本 幸代
一水をあまさず搾り冬の河 栗生純夫 科野路
院事妻事抜け醫師冬の川を跳ぶ 藤後左右
渦解きて荒瀬のり越す冬の川 前田普羅 飛騨紬
雲絶えて源涸れぬ冬の川 冬の川 正岡子規
沿ひ行けば夜の雲うつる冬の川 山口誓子
家の裏ばかり流れて冬の川 細見綾子 黄 炎
我が胸に流れて歇まず冬の川 石田あき子 見舞籠
巻尺を出し切り冬の川に沿う 和田悟朗
岸に寄るもの置き去りに冬の川 滝澤 晃
岩の上に冬川の音通ひをり 飯田夷桃
峡の冬川昼は流れて夜は激ちぬ 森澄雄 雪櫟
橋杭にかゝる藻屑や冬の川 冬の川 正岡子規
橋杭に殘る藻屑や冬の川 冬の川 正岡子規
仰向けに冬川流れ無一物 成田千空
金管楽器冬川に水足らざりき 吉井幸子
鶏*むしるべく冬川に出でにけり 飯田龍太
鶏*毟るべく冬川に出でにけり 飯田龍太
鶏むしるべく冬川に出でにけり 飯田龍太 百戸の谿
鶏毟るべく冬川に出でにけり 飯田龍太
犬岩を冬川の一点景に 遠入 たつみ
玄冬の川を見てゐることが旅 鳥居真里子
古代と同じ貌の魚獲る 冬の川 伊丹公子
孤児わらうわらう冬河あるばかり 石橋辰之助
糊代の余白がありしよ冬の川 齋藤愼爾
口数を少なく冬川べり歩く 石川文子
口笛ひそと冬川に籾浮きひろがり 友岡子郷 遠方
孔子像みたびたしかめ冬河越ゆ 久保田慶子
洪水の跡をながるる冬川あり 篠原梵 雨
荒縄の端につながる冬の川 河合凱夫
骨拾ふとき冬川の音絶えし 原 裕
子の積みし石に瀬を変へ冬の川 岩田淑子
師のもとへ冬川の破橋わたる 石川桂郎 含羞
糸引いて石這ふ蜘蛛や冬川原 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
鹿の出て冬川寥とゆきにけり 古舘曹人
捨てられて菊なまなまと冬の川 古舘曹人 樹下石上
蛇籠沈めて冬川と親しめり 古川 淑
小公園片側冬の川流れ 大野林火
織りあがる甲斐絹のひかる冬川原 福田甲子雄
信念を貫く気迫冬の川 河村岳葉
新たなる橋がかゝりて冬の河 坊城 中子
新世紀とは冬川も急ぎゐる 岩岡 中正
森ふかく入り来ぬ冬の川とわれ 木下夕爾 定本木下夕爾句集
神田川冬川にしてなほよどむ 吉田北舟子
人の死にささやくばかり冬の川 石寒太 炎環
人を焼くほのほがたたく冬の河 黒田杏子
人形のできあがる日の冬の川 飯島晴子
人体のどこかで冬の川に寄る 津根元潮
水筋は涸れて芥や冬の川 冬の川 正岡子規
水涸れて轍のあとや冬の川 夏目漱石
酔漢の覗くや野毛の冬の川 高澤良一 石鏡
棲家とづ閑の冬川あきらかに 飯田蛇笏 春蘭
青々と潮のごとし冬の川 長谷川櫂 古志
石多き冬川を過ぐ鉄音たて 大井雅人 龍岡村
石抛り冬川すこし目覚めさす 石川文子
川幅を余して曲る冬の川 成瀬靖子
染料の虎色にじむ冬の河 秋元不死男
走者一掃して冬の山冬の川 飯田龍太 遅速
太陽の力とどめず冬の川 稲畑汀子
大石のころがる冬の河原かな 冬の川 正岡子規
谷深み杉を流すや冬の川 夏目漱石 明治三十二年
朝あけも真昼も曇る冬の川 松村蒼石 雁
直角の渕に渦なす冬の川 横田昌子
吊橋は翼冬川ひかりをり 嶋田麻紀
笛吹きし少年渡る冬の河 対馬康子 吾亦紅
渡り石踏み濡れてあり冬の川 岩木躑躅
冬の河さびしき過去の翳もてる 伊東宏晃
冬の河ふたつ渡りて旅となる 石井薔子
冬の河われに嗅ぎより犬去れり 加藤楸邨
冬の河崖より芥投げ捨てられ 沢木欣一
冬の河浅みの澄みのけふも暮る 松村蒼石
冬の河沈黙のあとの紙人形 保坂敏子
冬の河渡舟に犬を立たせ来る 岡部六弥太
冬の川キンキンたればふところで 富澤赤黄男
冬の川しづかに天を隔てつつ 徳本映水
冬の川はなればなれに紙ながる 桂信子 黄 瀬
冬の川一条に日を絞りきり 橋本榮治
冬の川堰かれては澄む水の影 谷中隆子
冬の川曲がりしあとは光のみ 仙田洋子 雲は王冠
冬の川見てゐし男歩き出す 日比野里江
冬の川見て叱して詩を作る 山口青邨
冬の川見るための眼をつかひけり 藤岡筑邨
冬の川己にひびき流れをり 辻 恵美子
冬の川己れにひびき流れをり 辻恵美子
冬の川黒し酔ふため集ふ灯か 佐藤鬼房
冬の川細りて鯉の一列に 古川充子
冬の川寝覚の床を裂き流れ 野見山朱鳥
冬の川身を脱けゆくは婚の燭 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
冬の川石飛び渡り越えにけり 冬の川 正岡子規
冬の川誰もが己が影を捨てに 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
冬の川潮うすうすと上りつめ 松村蒼石
冬の川白髯橋を以て渡る 山口青邨
冬の川流れゐるとも思はれず 小山白楢
冬の川流木は押す力持つ 吉川綾子
冬の川励み流るゝ瀬あるかな 尾崎迷堂 孤輪
冬の川繃帯の端垂らしをり 齋藤愼爾
冬の日の川釣の竿遺しけり 宇佐美魚目
冬の夜やおとろへうごく天の川 水巴
冬河に新聞全紙浸り浮く 山口誓子
冬河に誰呼びおるや谺なし 石橋辰之助
冬河に貧窮の尻さらしけり 岩田昌寿 地の塩
冬河のきらきらきらわが没主体 小川双々子
冬河の辺にて戦車を童ら囲む 伊東宏晃
冬河へ突き出し寒き一枚の耳にうつし身すがり眠れる 谷井美恵子
冬河わたる空席に新聞紙 横山白虹
冬川が曲る鋼のいろ放ち 山口啓介
冬川が削る赭埴の色新らし 内藤吐天 鳴海抄
冬川といのちの間の滾ちけり 齋藤愼爾
冬川にかゝりて太し石の橋 高野素十
冬川にごみを流してもどる 尾崎放哉
冬川につきあたりたる家族かな 手葉皓史
冬川にみよしふり~つなぎ舟 河野静雲 閻魔
冬川にむさきもの啄(は)む烏かな 几菫 五車反古
冬川にむさきもの啄む烏哉 高井几董
冬川に沿い累代の子守唄 斎藤愼爾 冬の智慧
冬川に沿ひ生きてをり死んでをり 秋澤猛
冬川に沿ひ累代の子守唄 齋藤愼爾
冬川に音して舟の投げ釣瓶 吉武月二郎句集
冬川に赫と日照りし芥かな 清原枴童 枴童句集
冬川に鴨の毛かゝる芥かな 冬の川 正岡子規
冬川に丸太落しの響きかな 牧野蚊文
冬川に塞がる程の芥船 冬の川 正岡子規
冬川に冴える電球を撃つは今 赤尾兜子
冬川に捨てたる犬の屍かな 正岡子規
冬川に出て何を見る人の妻 飯田蛇笏
冬川に青々と見ゆ水藻かな 村上鬼城
冬川に洗ひ場一つ持ちて住む 鶴丸白路
冬川に鯊釣る死相かがやかせ 殿村莵絲子 花寂び 以後
冬川のたしかな落差砂礫澄み 成田千空 地霊
冬川のどん底唄や砂利採女 萩原麦草 麦嵐
冬川のひびきを背に夜の伽 石原八束
冬川の葦に憑かるることもあり 保坂敏子
冬川の音なく氷る孤りの夜 小島健 木の実
冬川の家鴨よごれて集ひけり 河東碧梧桐
冬川の河原ばかりとなりにけり 冬の川 正岡子規
冬川の街や縫ひ来しさゝ濁り 石塚友二
冬川の鏡のごとき一トところ 清原枴童 枴童句集
冬川の向に見ゆる湯本かな 冬の川 正岡子規
冬川の砂とる土手の普請哉 冬の川 正岡子規
冬川の菜屑啄む家鴨かな 冬の川 正岡子規
冬川の刃の削ぎとりし一砂丘 福田蓼汀 秋風挽歌
冬川の水合ししぶきとなる所 細見綾子
冬川の浅みに蜷のみち消えて 松村蒼石 雪
冬川の湛へを誰も気付かずに 松山足羽
冬川の低き橋桁水洗ふ 高木晴子 花 季
冬川の底に写りて魚の渦 永田 勇
冬川の底流れゐて亡父泛かぶ 新谷ひろし
冬川の末はひかりとなりにけり 谷野予志
冬川の流れにこころ合はせつゝ 秋田裕弘
冬川の涸れて蛇籠の寒さ哉 冬の川 正岡子規
冬川やから~きしる綱渡舟 楠目橙黄子 橙圃
冬川やのぼり初めたる夕芥 杉田久女
冬川やほとけの花の流れ去る 蕪村遺稿 冬
冬川や家鴨四五羽に足らぬ水 冬の川 正岡子規
冬川や家鴨七羽に足らぬ水 正岡子規
冬川や芥の上の朝の霜 几董
冬川や朽ちて渡さぬ橋長し 寺田寅彦
冬川や魚の群れ居る水たまり 冬の川 正岡子規
冬川や腰くだけたる石の橋 河野静雲
冬川や砂にひつつく水車 正岡子規
冬川や砂にひつゝく水車 冬の川 正岡子規
冬川や菜屑流るゝ村はづれ 冬の川 正岡子規
冬川や宿雨うちやむ岩だたみ 飯田蛇笏 山廬集
冬川や小さき石に浪の花 村上鬼城
冬川や小魚むれ居る水たまり 冬の川 正岡子規
冬川や水嵩を云はゞ石越して 尾崎迷堂 孤輪
冬川や男山よりはなし声 前田普羅 新訂普羅句集
冬川や日当る水を流し居て 尾崎迷堂 孤輪
冬川や筏に眠る獺を見る 喜谷六花
冬川や筏のすはる草の原 榎本其角
冬川や筏のすわる草の原 其角
冬川や蕪流れて暮かゝり 加舎白雄
冬川や木の葉は黒き岩の間 惟然
冬川や木葉は黒き岩の間 惟然
冬川や繩つたひ行く渡し船 冬の川 正岡子規
冬川や繩をくり行く渡し船 冬の川 正岡子規
冬川や藪の青きに流れ沿ひ 尾崎迷堂 孤輪
冬川をたぐり寄せては布放つ 飴山實
冬川を追ひあげて来ぬ家鴨飼 村上鬼城
冬川原広やかに建ちぬ芝居小屋 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
冬川原石に鳥ゐて飛び失せぬ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
冬川原鳥眼に失せて広さかな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
冬川鳴るただ冬川の鳴るばかり 菅原鬨也
縄跳や冬川の綺羅かぎりなし 堀口みゆき
日ざしつつ冬の河幅現はるる 松村蒼石 雪
日の当たるところゆるびて冬の川 高井瑛子
日の当る所ゆるびて冬の川 高井瑛子
日蔭出て冬川あさく流れをり 藤田湘子 てんてん
縛りある冬川の辺の屋台かな 山尾玉藻
物やあらん烏集まる冬の川 冬の川 正岡子規
歩を合はせ吾も冬川を流るるや 林 翔
北山を沈め冬川夜へ白し 岸原清行
本流に入りて安らぐ冬の川 福川悠子
木を挽いて音あを~と冬の川 秋元不死男
夜はふかく地に沁み冬の川曲る 近藤実
来歴のやうにいつぽん冬の川 伊藤白潮
落潮に乗る冬川の迅みけり 松村蒼石 露
流れ来るもの一つなき冬の川 五十嵐播水
流木の満身創痍冬の川 佐藤篤司
霊柩車より冬の川見るとなく 中尾杏子
梳る女に冬の川蒼し 池上不二子
翡翠の色に流るる冬の川 工藤はるみ

冬の川 補遺

あをあをと流れ天竜は冬の川 村山故郷
いとなみのほつれを冬の川流れ 細見綾子 桃は八重
ここに来てなほ山の瀬の冬の川 山口青邨
すたれたる運河も見えつ冬の川 河東碧梧桐
すべて打消す冬の河逆波立ち 津田清子 礼拝
ときをりは光となれり冬の川 鷲谷七菜子 天鼓
とどまれば黝し冬川迅らねば 岡本眸
ひとの世のうらがはけづる冬の川 平井照敏
ひびきつつ銀河あかりに冬の川 山口青邨
みちのくへ行く汽車通り冬の川 村山故郷
もとよりの影濃き冬の川流る 岡井省二 有時
よるべなき冬の野川の小魚かな 正岡子規 冬の川
りんりんとわが声のせて冬の川 鷲谷七菜子 銃身
鮎死で瀬のほそりけり冬の川 正岡子規 冬の川
渦解きて荒瀬のり越す冬の川 前田普羅 飛騨紬
雲絶えて源涸れぬ冬の川 正岡子規 冬の川
曳船の男突つ立ち冬の川 中村汀女
沿ひ行けば夜の雲うつる冬の川 山口誓子
家の裏ばかり流れて冬の川 細見綾子 伎藝天
花捨てて冬川の一部滞らす 岡本眸
海ちかく潟なせりけり冬の川 水原秋櫻子 雪蘆抄
海まではあとひとうねり冬の川 平井照敏
京紅とわがてのひらと冬の川 岡井省二 前後
峡の冬川昼は流れて夜は激ちぬ 森澄雄
強き灯を間遠に置きて冬の川 岡本眸
橋杭にかゝる藻屑や冬の川 正岡子規 冬の川
橋杭に殘る藻屑や冬の川 正岡子規 冬の川
傾きてわれに斉唱冬の川 山口青邨
茎石やずしりと冬の天の川 加藤秋邨
鶏毟るべく冬川に出でにけり 飯田龍太
見舞ひゐて冬の川音聞かれけり 大野林火 青水輪 昭和二十六年
洪水の跡をながるる冬川あり 篠原梵 年々去来の花 雨
妻若く泣く冬川も躬をしぼり 飯田龍太
三十も半ば冬河逆波立つ 伊丹三樹彦
師のもとへ冬川の破橋わたる 石川桂郎 含羞
捨てられて菊なまなまと冬の川 古舘曹人 樹下石上
手掴みの物捨てて去る冬の川 岡本眸
舟道の深く澄みけり冬の川 村上鬼城
小公園片側冬の川流れ 大野林火 青水輪 昭和二十五年
城の鳶千曲冬川を見てもどる 森澄雄
城を鎖し冬の日城の河に没る 山口誓子
城頭に冬の川霧消えやらず 上村占魚
人形のできあがる日の冬の川 飯島晴子
水に遠き冬川堤の焚火哉 尾崎放哉 大学時代
水筋は涸れて芥や冬の川 正岡子規 冬の川
棲家とづ閑の冬川あきらかに 飯田蛇笏 春蘭
絶壁にふれては渦を冬の川 山口青邨
染料の虎色にじむ冬の河 秋元不死男
走者一掃して冬の山冬の川 飯田龍太
打鋲音冬の河幅ながれをり 草間時彦 中年
大きなる嘴鳥をるや冬川原 河東碧梧桐
大石のころがる冬の河原かな 正岡子規 冬の川
地芝居の白塗にそふ冬の川 飯島晴子
朝あけも真昼も曇る冬の川 松村蒼石 雁
町裏や人無きぶらんこ冬の川 細見綾子
冬の河いま潮合の大平面 山口誓子
冬の河われに嗅ぎより犬去れり 加藤秋邨
冬の河映る高所の旗豊か 秋元不死男
冬の河午後も木影の整はず 秋元不死男
冬の川キンキンたればふところで 富澤赤黄男
冬の川はなればなれに紙ながる 桂信子 月光抄
冬の川まがねのちからにてまがる 平井照敏
冬の川見て叱咤して詩を作る 山口青邨
冬の川黒し酔ふため集ふ燈か 佐藤鬼房
冬の川十一面のばらまかれ 飯島晴子
冬の川石飛び渡り越えにけり 正岡子規 冬の川
冬の川潮うすうすと上りつめ 松村蒼石 雪
冬の川白髯橋を以て渡る 山口青邨
冬の川板のごとくに傾ける 山口青邨
冬の川仏事おほかたうとましき 飯田龍太
冬の川落ち合ふ音もなく流る 大野林火 青水輪 昭和二十六年
冬河にしたしむ玻璃戸一枚開け 山口誓子
冬河に海鳥むるる日を訪へり 橋本多佳子
冬河に新聞全紙浸り浮く 山口誓子
冬河の切口蒼む勝手口 飯田龍太
冬河をはさみ架線の声通ふ 秋元不死男
冬河を流れゆくもの眼の前過ぐ 山口誓子
冬川せつせと洗濯してゐる 尾崎放哉 小豆島時代
冬川とわびし男の饒舌と 三橋鷹女
冬川と水塚や処一の宮 河東碧梧桐
冬川にかゝりて太し石の橋 高野素十
冬川にごみを流してもどる 尾崎放哉 須磨寺時代
冬川に鴨の毛かゝる芥かな 正岡子規 冬の川
冬川に塞がる程の芥船 正岡子規 冬の川
冬川に冴える電球を撃つは今 赤尾兜子 虚像
冬川に捨てたる犬の屍かな 正岡子規 冬の川
冬川に出て河を見る人の妻 飯田蛇笏 家郷の霧
冬川に人の境涯映りけり 後藤比奈夫
冬川に青々見ゆる水藻かな 村上鬼城
冬川のへに第四坑第五坑 高野素十
冬川の河原ばかりとなりにけり 正岡子規 冬の川
冬川の向に見ゆる湯本かな 正岡子規 冬の川
冬川の合へば青淵畏きかも 山口誓子
冬川の砂とる土手の普請哉 正岡子規 冬の川
冬川の菜屑啄む家鴨かな 正岡子規 冬の川
冬川の人声鍛冶の火をひらく 飯島晴子
冬川の刃の削ぎとりし一砂丘 福田蓼汀 秋風挽歌
冬川の水合ししぶきとなる所 細見綾子
冬川の生身ながるる新市街 飯田龍太
冬川の青抜けてゆく孤児の前 飯田龍太
冬川の石群ひかる妻子如何に 角川源義
冬川の浅みに蜷のみち消えて 松村蒼石 雪
冬川の碧りがぱつと注連の上 飯田龍太
冬川の崩れも見せぬ簗おそろし 岡本眸
冬川の涸れて蛇籠の寒さ哉 正岡子規 冬の川
冬川の翡翠を見し一人かな 岡井省二 有時
冬川やのぼり初めたる夕芥 杉田久女
冬川や家鴨四五羽に足らぬ水 正岡子規 冬の川
冬川や家鴨七羽に足らぬ水 正岡子規 冬の川
冬川や魚の群れ居る水たまり 正岡子規 冬の川
冬川や砂にひつゝく水車 正岡子規 冬の川
冬川や菜屑流るゝ村はづれ 正岡子規 冬の川
冬川や宿雨うちやむ岩だたみ 飯田蛇笏 山廬集
冬川や小魚むれ居る水たまり 正岡子規 冬の川
冬川や渡りきらねば橋ならず 岡本眸
冬川や湯田の蟹石出ずなりぬ 河東碧梧桐
冬川や那須の高根のそがひ見ゆ 河東碧梧桐
冬川や未練は水尾と失せがたく 三橋鷹女
冬川や藁塚出来て映りあふ 阿波野青畝
冬川や繩つたひ行く渡し船 正岡子規 冬の川
冬川や繩をくり行く渡し船 正岡子規 冬の川
冬川をたぐり寄せては布放つ 飴山實
冬川をたどらば母にいたるべし 平井照敏
橡胡桃冬川筋の立木かな 河東碧梧桐
日ざしつつ冬の河幅現はるる 松村蒼石 雪
日蔭出て冬川あさく流れをり 藤田湘子 てんてん
日々に見て色忘じをり冬の川 岡本眸
浮子すこしはづかし気なる冬の川 飯田龍太
父の忌や足音落つる冬の河 秋元不死男
物やあらん烏集まる冬の川 正岡子規 冬の川
歩を合はせ吾も冬川を流るるや 林翔 和紙
磨崖仏冬川の砂明らかに(室生・大野寺) 細見綾子
野を行きて終に燈のなき冬の川 山口誓子
夕べにて火屑かけこむ冬の川 佐藤鬼房
磊塊の石にかくれて冬の川 山口青邨

冬の川 続補遺

冬川を二度こす事がおもひかな 夏目成美
冬川や木の葉は黒き岩の間 惟然
冬川や簸に捨てやる鳥の羽 加藤曉台
冬川や筏のすはる草の原 其角
冬川やみなかみかくす柴けぶり 寥松
冬川やこゝらももめば都鳥 馬場存義
冬川やこゝらももめば都鳥 存義 古来庵発句集
冬川に百も捨たる小舟かな 長翠
冬川にむさきもの啄む烏哉 高井几董
やすき瀬や冬川わたる鶴の脛 高井几董


by 575fudemakase | 2018-02-01 10:52 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

喫茶 の俳句

喫茶 の俳句

喫茶

エリカ咲くリタイヤ夫婦の喫茶店 初村迪子
オキザリス雨の茶房に人在らず 中谷朔風
かの夏に未だとどまる喫茶かな 依光陽子
クリスマスツリー飾りて茶房閑 翁長恭子
コゝア喫む茶房二月の棕櫚のかげ 岸風三楼 往来
この茶房静かに年の逝きにけり 森田峠
しぐるるや茶房に大きパリの地図 麻殖生伸子
テーブルに雲の峰生む喫茶店 有田裕子
プールで遇ひ茶房で別れしだけのこと 鈴木榮子(春燈)
ブルゾンや茶房の隅の指定席 片山由美子
ペチカ燃ゆ根室の街の茶房かな 東本礼子
ボースンと云ふ名の茶房涼あらた 山田桃晃
リラの香や押せば鈴鳴る茶房の扉 原柯城
リラ冷えの茶房に鈴の鳴る扉 本庄登志彦
リラ冷えや地下の茶房にランプの灯 内山美江子
りら冷や旧姓呼ばれる地下茶房 明才地禮子
映画出て銀座の夜長喫茶店 成瀬正とし 星月夜
黄落のころこそ森の喫茶店 山岸治子
花冷えの喫茶に旧き蓄音機 杉山青風
葛切や茶房を統ぶる木版画 野末絢子「未来図合同句集」
贋の花咲き冷房の喫茶店 寺岡捷子
喫茶去の乙女の背丈涼しかり 原裕 『王城句帖』
喫茶店いつもの席の受験生 関口美子
喫茶店はオアシス青空よく映る 野木桃花
喫茶店より駅が見ゆ晩夏見ゆ 青木重行
喫茶店混めり流氷見る人に 田村了咲
喫茶房支那楽かけて松の内 飯田蛇笏
喫茶房白樺うゑて暮春かな 飯田蛇笏
喫茶房白樺植ゑて暮春かな 飯田蛇笏 霊芝
久女忌や句会崩れの喫茶店 田村恵子
牛草の山の蔭なる喫茶店 遠藤梧逸
許六忌の真昼の集ひ喫茶店 西坂三穂子
極月の祇園の茶房惜しみ発つ 小原菁々子
金魚田に囲まれ村の喫茶店 西川玲子(岬)
金色の猫翻る 雪の茶房 伊丹公子 メキシコ貝
隅つこが好きで茶房の花すみれ 鈴木かほり
枯柳鮓屋茶房も蔵構へ 瀧 春一
降る橡に頭打たる東独茶房の前 北野民夫
高田馬場純喫茶白鳥にてくさる 攝津幸彦
祭待つ茶房にキツネメイクの男 高澤良一 素抱
子山羊飼ふ茶房に花野締めくくる 横山房子
師に届くる鈴虫茶房にて鳴けり 樋笠文
秋は喫茶白手套ぬぐ愉しき世 飯田蛇笏 雪峡
秋口の夜となる茶房クオ・バディス 長谷川双魚
秋唇の夜となる茶房クオ・バディス 長谷川双魚 『ひとつとや』
十三夜暗く混み合ふ喫茶店 石川文子
春ちかき茶房の花卉をめでにけり 西島麦南 人音
春愁や砂糖こぼるる喫茶店 今泉貞鳳
春愁や旅の終りの喫茶店 藤井法子
春宵を一人名曲喫茶店 成瀬正とし 星月夜
春水に臨む茶房に寄つてみよか 京極杞陽
初蝶に喫茶去の聲かかりたる 中原道夫
書肆街の茶房古風に秋の薔薇 西島麥南
小鳥来る頃の茶房の窓の席 鈴木鷹夫 渚通り
城下町茶房も遺跡花ミモザ 嶋田摩耶子
聖樹たつ喫茶ガールは離れ佇つ 高濱年尾 年尾句集
青蔦やフランス文字の喫茶店 鮫島敬子
青嶺立つ茶房に双眼鏡置かれ 中田尚子
雪嶺の麓再会と言ふ茶房 福田蓼汀 秋風挽歌
第九歌ふむかし音楽喫茶あり 大石悦子
地下茶房夢の眼に追われる怒り 鳴戸 奈菜
茶房あり春雨傘をここにたたむ 上村占魚 球磨
茶房の窓スプレー描きのサンタかな 高澤良一 石鏡
茶房より鴎見てゐるアイスティー 鈴木鷹夫 大津絵
茶房暗し春灯は皆隠しあり
冬の雨降る裏街の喫茶店 成瀬正とし 星月夜
冬の茶房欅の見える窓へゆく 正木ゆう子
日覆して蔦の茶房もエルグレコ 澤田 緑生
年忘れ流れ流れてうたごゑ喫茶 鈴木栄子
皮手袋を忘れたり朝の喫茶店 中拓夫 愛鷹
美術展いで来て喫茶の椅子かたき 岸風三楼 往来
福寿草茶房に妻と親しみぬ 伊藤白雲
閉店茶房に 彩おとろえぬ ゼラニューム 伊丹公子 山珊瑚
繭玉を飾り客呼ぶ喫茶店 六野ふみ
満園の花や屋上喫茶店 五十嵐播水 播水句集
木瓜咲いて山に一つの喫茶店 村井 流水
木彫木菟飾り茶房の愛鳥日 大島民郎「山月」
木歩忌や卓の小さな喫茶店 初谷正行
餅花を天井高く喫茶店 浅見咲香衣
野菊一輪檜の匂ふ喫茶店 安東ふさ子
涼まんと帆船模型置く茶房 高澤良一 随笑
令法活けて昼ほの暗き喫茶店 青木重行
冷房の茶房に芭蕉の行脚説く 関森勝夫
鈴虫のひるも鈴振る地下茶房 福島富美子
撓みふかく冬の茶房にバナナの房 宮津昭彦
檸檬盛つて夜は酒售(う)る駅前茶房 鈴木栄子
櫻餅濡れて入り来し扉かな(こまどり喫茶店) 『定本 石橋秀野句文集』
玻璃越しにスケート場に茶房あり 高浜年尾

喫茶 補遺

からむスイング冷房喫茶の痩せた檳榔 伊丹三樹彦
とある喫茶に顔が燃えてる霧の言葉 金子兜太
ミルク甘し島の茶房の時雨窓 村山故郷
暗くして涼しき茶房マスターも 能村登四郎
駅前茶房秋はこほろぎの音を聴かす 安住敦
夏濤も影ひくころのジヤズ喫茶 藤田湘子
皆日焼けて吹きだまる朝の喫茶店 松崎鉄之介
寒鮒の古池を出ぬ喫茶かな 永田耕衣
贋巴里の テラス喫茶の 春の塵 伊丹三樹彦
喫茶の灯明るしビルの一角に 日野草城
喫茶去の高きに登り下りけり 阿波野青畝
喫茶去の敷居の上の障子かな 阿波野青畝
喫茶房支那楽かけて松の内 飯田蛇笏 春蘭
喫茶房白樺植ゑて暮春かな 飯田蛇笏 霊芝
喫茶房避暑の女流とフアンらと 村山故郷
古風なる茶房の爐竃聖燭す 飯田蛇笏 山響集
最寄り茶房に居るとて電話 桜草 伊丹三樹彦
若布買うて青き扉を押す地下茶房 秋元不死男
秋は喫茶白手套ぬぐ愉しき世 飯田蛇笏 雪峡
春ちかき茶房の花卉をめでにけり 西島麦南 人音
雪嶺の麓再会と言ふ茶房 福田蓼汀 秋風挽歌
相むかふ茶房の隅にひらく梅 鷲谷七菜子 黄炎
窓の蔦刈りて海猫屋といふ茶房 能村登四郎
蒼然と階上喫茶灯ともさず 伊丹三樹彦
茶房あり春雨傘をここにたたむ 上村占魚 球磨
茶房名はコクリコ とんがり屋根の絵ばかり貼り 伊丹三樹彦
茶房晝餐祈祷歌冬のこだませり 飯田蛇笏 山響集
虹の出てゐずやと喫茶店を出づ 右城暮石 散歩圏
氷仕人れゐる秋の夜の茶房かな 中村汀女
用二つ済ます落葉の喫茶店 岡本眸
煖房やロシヤの歌が茶房占め 岡本眸
薔薇のかげ茶房の銀器煮られおり 飴山實 おりいぶ



by 575fudemakase | 2018-02-01 10:50 | 無季 | Trackback | Comments(0)

鉄道 の俳句

鉄道 の俳句

鉄道

「鉄道員」を観て冬帽を目深にす 石川文子
アパートの雛段嶮し鉄路添ひ 香西照雄
かぎろへる遠き鉄路を子等がこゆ 橋本多佳子
かつてここに鉄道馬車駅菊根分 辻桃子
ぎしぎしに鉄路の錆の風が吹く 大橋こと枝(雨月)
きちきちの飛んで鉄道記念の日 藤田あけ烏
しかと見き鉄路を越ゆる秋の蛇 石田あき子 見舞籠
すみれ草辿り鉄路を辿りけり 二村典子
どこまでも単線軌道夏野断つ 相馬遷子 山河
ななかまど赤しシベリヤ鉄道に 依田明倫
はるかひとりの近江の雨意の単線の 阿部完市 にもつは絵馬
はるかまで続く単線春耕す 赤尾恵以
ひかる鉄路冬のゆふべを貫けり 山口誓子
ふつつかな単線なれど藤の花 村瀬誠道
ふるさとは今も単線草の花 原田静子
ベトナムヘ続く鉄路や余花の雨 赤松一鶯
まつすぐなローカル線の風薫る 尾崎美智子
モスクワヘつゞく鉄路や秋桜 稲畑汀子 汀子第三句集
ローカル線の農婦饒舌幽学忌 近藤乙夜
をだまきや山の鉄路の雲匂ふ 脇本星浪
鮎汲みに鉄路の野ばら暮れのこる 宮武寒々 朱卓
安中や凍蝶工女鉄路に消ゆ 橋本夢道 無類の妻
稲匂ふ風のゆたかにローカル線 田山諷子
宇和島に単線尽きて秋の風 川野蓼艸
運河悲し鉄道草の花盛り 川端茅舎
遠い世の一冊買いに単線で 阿部完市 春日朝歌
遠くほど光る単線稲の花 桂 信子
夏野来ぬ鉄路止めたる鉄の鋲 中野文夫
嫁ぐ妹と蛙田を越え鉄路を越え 金子兜太 少年/生長
家鴨小屋の白濁も見え鉄路の音 金子皆子
火の山へ伸びる単線花すすき 高井北杜
花菜濃し鉄路大きく曲るとき 安斎郁子
花万朶ローカル線の長停車 星野閑子
花野より伊賀上野行単線路 加藤耕子
海よりも濡れて薄明単線駅 松田 進
海女として鉄道員の妻として 上野泰
鴨引くや寒き鉄路の走りつゝ 百合山羽公 故園
刈田貫く鉄路で妊婦だけの焚火 久保純夫
喜雨どつとうだる鉄路を冷やしけり 依田明倫
記憶また錆びる単線草に埋もれ 中島斌雄
宮後や鉄路に椎の実を拾ふ 山口誓子
曲らむと鉄路かゞやききりぎりす 軽部烏頭子
桐の花支線一駅ごと貧し 橋本美代子
金欲しく 私鉄小駅のくらがり見る 漆畑利男
栗鼠走りゆく廃線となる鉄路 対馬康子 純情
啓蟄や支線の揺れは上下動 北野民夫
月明の鉄路に沿へば流離めく 菖蒲あや あ や
限りなく鉄道長き夏野哉 夏野 正岡子規
枯野鉄道ところどころに駅と町 加藤 耕子
胡麻咲けり房総単線煙吐く 阿部☆人
五月晴リュックの混みてローカル線 天野美代子
紅葉渓単線かくもさびしきか 石塚 友二
紅葉谿野岩鉄道錆鉄橋 高澤良一 燕音
考へて頷き老婆支線持つ 高島茂
行く春闘や鉄道員の目に涙 八木博信
降り立ちてローカル線の咳き込む時刻表 藤田踏青
山に向く複線工事冬の鵙 飯田弘子
山国は炭焼く焔鉄路まで 辰巳秋冬
山裾の錆びし鉄路や柿熟るる 岩谷照子
止むを知らざるものつばくろと鉄路光 友岡子郷 遠方
時の彼方へ草軽鉄道霧に消ゆ 文挟夫佐恵
灼け鉄路犬方角を失ひて 右城暮石 上下
秋の川いくたび越ゆるローカル線 松澤晴美
春の鳩鉄路にはずむレーニン祭 寺山修司 花粉航海
春嵐鉄路へ墓を吹き寄せぬ 石田波郷
初乗の単線一の宮詣 高橋香帆
初凪や鉄路呑み込む海峡線 鈴木一舜
渚ゆく鉄路しづかなる朝蝉 田中裕明 花間一壺
除雪夫に吹雪のひゞき鉄路うつ 石橋辰之助 山暦
宵闇の鉄路へだてて夫の声 水口楠子 『泉汲む』
少年のリズム麦生の錆び鉄路 細見綾子
省線に秋は見おぼえの木槿垣 瀧春一 菜園
省線に乗るあらそひを雪の日も 瀧春一 菜園
省線のスパイクはげしぬれつばめ 鈴木しづ子
省線の夜の秋風に身を曝らす 瀧春一 菜園
省線や春も吊革に身をよぢり 藤後左右
畳屋の裏は鉄路や立葵 和泉千代
織娘帰る鉄道沿ひに月見草 沢木欣一
寝て待てば鉄道馬車が通るなり 桑原三郎
新松子この単線を小諸まで 大井雅人
親子で飲むラムネ鉄道のない町で 青木啓泰「蛙と羅生門」
身ひとつの惜春運ぶ鉄路あり 山田弘子
杉菜もて鉄路侵せり野の壮時(さかり) 中戸川朝人 残心
星合の更けて鉄路に雨すこし 館岡沙緻
生駒線今も単線稲の花 塩川雄三
青大将よぎるや鞍馬単線路 河前隆三
青嵐鉄路は力をつなぎあふ 磯貝碧蹄館 握手
青嵐倒れずに行くローカル線 久郷紅楓
雪山へ鉄路消えゆく建国日 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
雪埋まる鉄路は能登の命綱 塩川雄三
祖父母父母鉄道草が立つてゐる 折井紀衣
粗塩をこぼす単線霧ふかめ 穴井太 天籟雑唱
草の花鉄路のつくる三角地 高澤良一 ももすずめ
草田男忌天に鉄道草の生ゆ 磯貝碧蹄館
太宰忌の支線岐れて郷に入る 平畑静塔
待春や私鉄の線路錯綜す 植松紫魚
台風下鉄路に蝶となる市民 大井雅人 龍岡村
大陸横断鉄道まっすぐに夏 司雪絵
誰か見る鉄道ぐさの花盛り 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
単線となりてより増す稲架の列 秋川ハルミ
単線に駅を増やして豊の秋 島田芳恵
単線のホームに駅長菊作り 内海節代
単線の下りを待てる時雨かな 平井照敏 天上大風
単線の果てに海あり立葵 石原光徳
単線の汽車くるまでの頬被り 阿部子峡
単線の客車に一人冬の海 今田利子
単線の古びし駅舎布団干す 添野光子
単線の石押しのけて野水仙 杉本艸舟
単線の大曲りして麦の秋 中森無伴
単線の田の海の青きはまれり 久保厚子
単線ゆく花菜の海を浮き沈み 井上純郎
単線駅に立冬旬日の陽の山山 古沢太穂 古沢太穂句集
単線車に一瞥くれて蓮根掘 福原紫朗
弾み降り鉄路歩めり寒鴉 中島美也
地の果てに鉄路の消えて雲の峰 徳永敬二
稚内鉄路の終の月見草 加瀬美代子
竹煮草昔鉄道官舎かな 北見さとる
潮に錆ぶ鉄路の端に浮寝鳥 木村里風子
追伸は鉄路の果ての霜の音 山本敏倖
鉄道に何を群れたる五月蝿ぞや 蝿 正岡子規
鉄道のありと信ずる少年期灯を消せば天の川流るるあたり 森島章人
鉄道のうねりくねりや夏木立 夏木立 正岡子規
鉄道の左右になかし夏木立 夏木立 正岡子規
鉄道も高架となりぬ稲の花 山縣輝夫
鉄道員の襟に届きし冬の星 稲岡巳一郎
鉄道員雨の杉菜を照らしゆく 福田甲子雄
鉄道草われサーカスに売られし子 攝津幸彦 未刊句集
鉄道草赤い夕日に照らされて 川崎展宏
鉄匂ふ単線の土手曼珠沙華 仲道保明
鉄路が血管日本の道程灼けつゝあり 磯貝碧蹄館 握手
鉄路とつばくろひかりは常に先にあり 磯貝碧蹄館
鉄路に釘均らす遊びを終戦日 高澤良一 暮津
鉄路の臭五月はものを忘れ得る 友岡子郷 遠方
鉄路ひかりそこにしんかんと蝶とべり 三谷昭 獣身
鉄路まつすぐもの見ない眼に黴が生える 磯貝碧蹄館 握手
鉄路よりしづけきものなし虫がなき 山口誓子
鉄路越す傘の幾夜ぞかへり梅雨 絵馬 寿
鉄路伸ぶ限り群落ゼンテイカ 高澤良一 燕音
鉄路直に信濃追分のをとこへし 及川貞
鉄路敷く噂も消えて草の花 大河内枯木
鉄路歩くも習慣のように草のように 金子皆子
鉄路暮春大曲りして水際かな 宮武寒々 朱卓
鉄路踰ゆる卯の花月夜ありにけり 藤田湘子
冬の山傷の如くに鉄路あり 柴原保佳
冬の疎林一と跨ぎで越す単線路 北野民夫
冬枯や単線の汽車ひた走る 宮田 保
唐黍のがつしり実る単線区 河本好恵
東西の鉄路真直ぐに霜置けり 山口誓子
東風へ鉄路鳥籠三ついかに運ぶ 友岡子郷 遠方
燈火親し支線の暗き灯にて読む 塩川雄三
豆咲けり鉄路にさらす家の裏 林徹
特急といふも単線山桜 大久保白村
日永さや鉄道馬車のゆれ心地 日永 正岡子規
日本産の象来る閉ざされた鉄路 久保純夫 瑠璃薔薇館
猫じゃらしローカル線の走る道 玉井梅子
波音に鉄道草の月日あり 高野ムツオ
馬追や停車の長きローカル線 阿部寿雄
廃線の鉄道官舎冬ざるる 福原紫朗
廃線の鉄路溶けゆく花の雨 夏目公代
麦に黒穂ひと日のストに鉄路錆び 福田蓼汀 秋風挽歌
麦秋のローカル線の茂吉論 細見綾子 黄 炎
飛燕また火の性ならむ鉄路伸ぶ 柚木 紀子
穂絮舞ふ鉄道の日の梅小路 大島民郎
埋墓へ単線を越え道失せる 林田紀音夫
末枯や単線海とわかれゆく 佐野良太
万愚節自転車提げて鉄路越ゆ 延江金児
岬への単線をどる花大根 林 翔
密林に鉄路一本持ちて冬 桂樟蹊子
霧洞然鉄路北よりひびきくる 長田等
木曽路にも鉄道かけたか時鳥 時鳥 正岡子規
目刺の色弟が去りし鉄路の色 中村草田男
夜も夜とて鉄路守る槌霜冴に 石塚友二 光塵
野焼きの火鉄路ぎはにてつながれる 木村里風子
油でくびれた石白く笑いだす鉄道員 赤尾兜子
夕焼は全裸となりし鉄路かな あざ蓉子
余花ありて鉄路信濃の山に入る 甲田鐘一路
来し鉄路岐れ武蔵野枯れ深き 岡田鉄 『卆心』
留萌川留萌本線春景色 高澤良一 素抱
露の未明鉄路を汚し女靴 寺田京子 日の鷹
露ふかき単線始発無人駅 松本悦子
翡翆のかすめし鉄路梅雨の中 百合山羽公 故園
蟋蟀の寂び附いて居る鉄路哉 永田耕衣 物質
鶯餅鉄路の雨はややしぶく 友岡子郷 遠方

鉄道 補遺

アパートの雛段嶮し鉄路添ひ 香西照雄 対話
うららかや支線の町にクルス聳ち 鷲谷七菜子 游影
かぎろへる遠き鉄路を子等がこゆ
ストの日の鉄路陽炎さかんなり
ストの日の冬草青し鉄路の間
どこまでも単線軌道夏野断つ 相馬遷子 山河
ト口ッコ鉄道猫又駅のみちをしへ 百合山羽公 樂土以後
ひかる鉄路冬のゆふべを貫けり
モスクワヘつゞく鉄路や秋桜
一本の鉄路蟋蟀なきわかる
運河悲し鉄道草の花盛り
炎天に鉄路鳴りをるしゞまかな 「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
遠くほど光る単線稲の花 初夏
遠花火いきいきとして夜の鉄路 大野林火 冬雁 昭和二十二年
何に追はれ単線路跳ぶ羽抜鶏
夏去りぬ鉄路にすだく虫聞けば
嫁ぐ妹と蛙田を越え鉄路を越え
花菖蒲手にゆれ支線しづかなり
海女として鉄道員の妻として
海猫鳴くや鉄路の終は潮くさき
海陸の間の鉄路の曼珠沙華
街の秋鉄路よぎれば葭津あり 大野林火 早桃 太白集
鴨引くや寒き鉄路の走りつゝ 百合山羽公 故園
寒気の中鉄路目覚ます転轍音 上田五千石『田園』補遺
寒波急なる単線に沿ひ戻る
雁とんで鉄路は陸奥の中通り 百合山羽公 樂土
顔の窪ローカル線の蠅とまる
汽罐車を藁巻くそこは何支線
菊好きの菊の鉢置く鉄路際 右城暮石 句集外 昭和三十四年
宮後や鉄路に椎の実を拾ふ
極暑かな背戸に日も夜も光る鉄路
金鳳華昼しんかんと鉄路置き
限りなく鉄道長き夏野哉 夏野
枯山に単線消えまじく光る 大野林火 雪華 昭和三十六年
枯堤焼く単線の際までを
枯野ゆく貨車に日当る鉄路あり 草影
紅葉渓単線かくもさびしきか 「方寸虚実」石塚友二
耕人を右に左に支線かな
行く眼り鉄路かがよふ初詣
国鉄のもの煤黒の冬すすき
国有林芽ぶき鉄路は廃れゆき
山の藤見て来て鉄路跨ぐかな
山中の鉄路を霧の越えわたる
残る雪鉄路両側のみ無傷 右城暮石 句集外 昭和四十一年
支線一駅に盡きて港や飛ぶとんぼ
私鉄怠業ホーム間断なく濡らし
灼け鉄路犬方角を失ひて 右城暮石 上下
秋行くと鉄路の雨を見てゐたり
秋黒し昏れて単線の踏切
春ちかし鉄路の真直ぐなる見れば
春の飛雪鉄路が踊り集まりゆく
春嵐鉄路に草を吹き寄せぬ
少年の手中の胡桃鉄路越す 飴山實 おりいぶ
笑ひ声冬日の鉄路汝居ぬ世
色わかき南瓜這ひをり単線路
新緑の単線電車日光市
雛から 揺れ 家揺れる 鉄路裏
雪原を焚きけぶらして鉄路守る
雪国の国道鉄路同じカーヴ
雪明り死へやすやすと鉄路置き
早梅や鉄路の鳴れる方みんなみ
太宰忌の支線岐れて郷に入る
大枯野兵馬いく夜も鉄路の上
単線となり吉野線深霞
単線になだれて蕎麦の花斜面 上田五千石『田園』補遺
単線の下りを待てる時雨かな
単線の汽車下りてより飛燕に会ふ(伊豆)
単線の狭軌青田に狭められ
単線駅に立冬旬日の陽の山山 古沢太穂 古沢太穂句集
単線待ちの駅 鬼百合の一本挿し
単線待避の 雪片あそぶ 貨車の胴
筑波下り青麦畑の支線駅
銚子電鉄彼岸の客を乗せて混む
鉄道に何を群れたる五月蝿ぞや 蝿
鉄道のうねりくねりや夏木立 夏木立
鉄道のための物積む鳳仙花
鉄道の左右になかし夏木立 夏木立
鉄道の柵猪垣とつながれる 右城暮石 句集外 昭和四十八年
鉄道の大彎曲や横飛ぶ雪
鉄道の日や赤帽がまだ一人 百合山羽公 樂土
鉄道防雪林その役を果すの状
鉄道予定地草生してまた枯らす 上田五千石『田園』補遺
鉄路にもかぶさる茂り裏日本 右城暮石 虻峠
鉄路にも川にも沿へる麒麟草
鉄路は母への直路 真夜歩きを 怪しむな
鉄路へだてて麦を刈り早稲を植う
鉄路まで伊吹の雪の白厚し
鉄路よりしづけきものなし虫がなき
鉄路より低く住着き菊咲かす
鉄路わかれ又岐れ冬深むべく
鉄路一線*う台にこもる南風の音
鉄路一線蝶のもつるるいくところ
鉄路直に信濃追分のをとこへし 及川貞 夕焼
鉄路添ひいたどり赤芽夕氷し
鉄路風のごとく走りて年の暮 廣瀬直人 帰路
鉄路踰ゆる卯の花月夜ありにけり 藤田湘子 途上
土手を焼くたびに私鉄のレール老ゆ
冬ざるる鉄路に砂利(バラス)新らしや
冬の鉄路にかぶさるばかり藪傾ぐ 大野林火 青水輪 昭和二十四年
冬の夜の駅には鉄路賑やかに
冬の旅おもへば鉄路つゞきをり
冬も赭し鉄路奥なるわが甍
冬虹を外れて鉄路の曲りたり 右城暮石 句集外 昭和二十八年
冬日と兵省線の窓にたかまり来
東西の鉄路真直ぐに霜置けり
桃咲くや川の明りの鉄路まで
灯をつなぎ切れず単線沿ひの枯れ
踏切に鉄路濡れつつ鵙の雨
踏切番鉄路に坐して夜の劫暑
道東や泡立草は鉄路の花
虹消えて荒磯に鉄路残りたる
日永さや鉄道馬車のゆれ心地 日永
入営を送り鉄路の野を帰る
馬に雪降るローカル線に老いし駅夫 古沢太穂 火雲
麦に黒穂ひと日のストに鉄路錆び 福田蓼汀 秋風挽歌
麦秋のローカル線の茂吉論
麦秋の鉄路へだてて半麦秋
麦踏みの土を忘れず鉄路越ゆ 廣瀬直人 帰路
八月大名明智鉄道走らせて 百合山羽公 樂土以後
浜へ出る鉄路を跨ぐ木槿垣
夫婦住む鉄路と凍湖見下ろして
墓山も鉄路も風の落花圏
墓地深く行き短日の鉄路見き
母の手に英霊ふるへをり鉄路
岬への単線をどる花大根 林翔 和紙
稔り田は赭き鉄路に道を開け
霧の花満開鉄道防備林
木曽路にも鉄道かけたか時鳥 時鳥
目刺の色弟が去りし鉄路の色
夜の鉄路乗りかへてより雪深き
夜も夜とて鉄路守る槌霜冴に 石塚友二 光塵
油でくびれた石白く笑いだす鉄道員 赤尾兜子 蛇
夕寒し道より高き鉄路に沿ひ
夕暁雲鉄路は昏るる峡に入る
陽炎が鉄路の果を見せしめず
流し場の乾き九月の鉄路沿ひ 右城暮石 句集外 昭和三十一年
旅五日鉄路のさびにつく蝶々(真砂子結婚のため上京、秩父へ行く、原子公平氏、金子兜太氏同行)
林中になまなまし露を置く鉄路
隣田へ鉄路をまたぎ苗運ぶ
旱乙女の憩ひ鉄路のひびく土手
澤越えて鉄道馬車の笛が来る
煖房の支線電車は鳴りて待てり
煖房車捨てて鉄路を歩き出す
煖房車鉄路真赭の駅に著く
翡翆のかすめし鉄路梅雨の中 百合山羽公 故園
茫乎たる西日の面に鉄路岐る
螢火に鉄路つめたき露走る 赤尾兜子 蛇
鳰と目があう鉄道長屋へ粉雪舞い 古沢太穂 火雲

by 575fudemakase | 2018-02-01 10:49 | 無季 | Trackback | Comments(0)

線路 の俳句

線路 の俳句

線路

*ひつじ田に二本のレール小浜線 高野素十
あかあかと駅よ線路よ終戦日 原田喬
あとさきに線路消え去る青芒 赤松*恵子
アパートの雛段嶮し鉄路添ひ 香西照雄
うつぼ草レール撤去の空地かな 草野駝王
かぎろへる遠き鉄路を子等がこゆ 橋本多佳子
ぎしぎしに鉄路の錆の風が吹く 大橋こと枝(雨月)
この軌道の果に繁華な町がある 富澤赤黄男
しかと見き鉄路を越ゆる秋の蛇 石田あき子 見舞籠
スキーはいて渡るやレールの異種な光沢 平井さち子 完流
すみれ草辿り鉄路を辿りけり 二村典子
たんぽぽや線路へ掃きて厨口 岡本眸
どこまでも単線軌道夏野断つ 相馬遷子 山河
どこまでも麦秋どこまでも広軌 鷹羽狩行
どよめきから部隊をもつて行くレールの鉄錆も五月 橋本夢道 無禮なる妻抄
ニイチエ忌尾輛ゆレール光りつ去る 中村草田男
ひかる鉄路冬のゆふべを貫けり 山口誓子
ベトナムヘ続く鉄路や余花の雨 赤松一鶯
モスクワヘつゞく鉄路や秋桜 稲畑汀子 汀子第三句集
よしきりや汽車走らねば線路消ゆ 平松良子
レールにかかはりて揚羽のとびつづく 津田清子 礼 拝
レールに耳当てる工夫や花曇 今井誠人
レールまたぐ虹や明日あれ明後日あれ 川口重美
レールややはずれて生きておでん酒 古田保子
レールゆがみ玩具の汽車に傾く冬 斉藤夏風
レールより雨降りはじむ犬ふぐり 波多野爽波
レールをわたる女たちそのひとりの生誕 林田紀音夫
レール朽ちて昼顔這ふや舊線路 寺田寅彦
レール朽ちて鈴虫鳴くや舊線路 寺田寅彦
レール若し貨車を雪国より発たす 磯貝碧蹄館 握手
レール砥がれ明るくて貴重な湖 林田紀音夫
レール無音にして炎昼悲痛に似る 榎本冬一郎 眼光
レール淋し夏山の崩え遠ざかり 石橋辰之助 山暦
をだまきや山の鉄路の雲匂ふ 脇本星浪
愛されてのびる線路や頤や 中村マサコ
鮎汲みに鉄路の野ばら暮れのこる 宮武寒々 朱卓
安中や凍蝶工女鉄路に消ゆ 橋本夢道 無類の妻
一握の春の蕗摘む線路ぎは 柴田白葉女 『月の笛』
稲を刈りつむる軌条をあばかんと 栗生純夫 科野路
稲刈られ軌条大きくうねりうつ 栗生純夫 科野路
鰯雲線路の下を水くぐる 欣一
雨後の線路に錆新らしく土筆萌ゆ 田川飛旅子 花文字
影みじかく月の線路を越えゆきぬ 柴田白葉女 遠い橋
駅近し灼くる線路の交錯に 原田種茅 径
炎昼の多感な駅夫レールに出て 桜井博道 海上
炎天のレールの襞へ油たらす 古沢太穂 古沢太穂句集
遠く会ふ軌条黒点冬白帆 中戸川朝人
遠く合ふ軌条黒点冬白帆 中戸川朝人 残心
夏の果レールに空のいろを置き 川崎展宏
夏野来ぬ鉄路止めたる鉄の鋲 中野文夫
嫁ぐ妹と蛙田を越え鉄路を越え 金子兜太 少年/生長
家鴨小屋の白濁も見え鉄路の音 金子皆子
河童忌や鴉の二羽のゐる線路 宮田和子
火の山の裾曲軌道に瀧しぶく 佐野まもる
花茨平行線の線路かな 横井 かず代
花菜濃し鉄路大きく曲るとき 安斎郁子
花野より伊賀上野行巣線路 加藤耕子
海沿ひの鰊曇の線路かな 小野内雅子
咳くまじく耳火と燃やしレール越す 赤城さかえ
鴨引くや寒き鉄路の走りつゝ 百合山羽公 故園
刈田貫く鉄路で妊婦だけの焚火 久保純夫
寒光の万のレールを渡り勤む 鈴木六林男
喜雨どつとうだる鉄路を冷やしけり 依田明倫
汽車工場の軌条霜崖へ行き止る 細谷源二 鐵
宮後や鉄路に椎の実を拾ふ 山口誓子
曲らむと鉄路かゞやききりぎりす 軽部烏頭子
栗鼠走りゆく廃線となる鉄路 対馬康子 純情
月になまめき自殺可能のレール走る 林田紀音夫
月明の鉄路に沿へば流離めく 菖蒲あや あ や
犬ふぐり崖石にまでレールの錆 秋元不死男
故郷遠し線路の上の青ガエル 寺山修司
枯野行くやレールに沿うて心ほそ 清原枴童 枴童句集
向日葵に剣のごときレールかな 松本たかし
向日葵に剣の如きレールかな たかし
坑の奥より底冷え軌条音をはこぶ 楸邨
構へたる猟夫の跨間レール馳す 佐野まもる
江の電のレールを渡る穴まどひ 堀 古蝶
洪水のレールをひたす芒かな 会津八一
菜の花や線路を見てもねむくなる 中島ミチ
在りて見えぬ月の軌道や冬至の夜 下村ひろし 西陲集
桜咲く夕日に光るレールあり 大井雅人
山峡のレール秋ひき立ち迎ふ 横光利一
山国は炭焼く焔鉄路まで 辰巳秋冬
山菜採りの袋大きく線路越ゆ 野澤節子 黄 炎
山裾の錆びし鉄路や柿熟るる 岩谷照子
止むを知らざるものつばくろと鉄路光 友岡子郷 遠方
慈姑田を筋違に敷くレールかな 高浜虚子
灼け鉄路犬方角を失ひて 右城暮石 上下
酒買ひに線路越しをり寒の内 石塚友二 光塵
秋の風レールに汽車の音残り 山本歩禅
秋の暮レールが二本ゆゑ愛す 齊藤美規
秋雨や線路の多き駅につく 草田男
秋風やレールまぶしき硫黄山 佐野青陽人 天の川
終点のレール反り立ち夏蕨 中村すみを
十三夜線路いきなり光りだす 四ッ谷 龍
春の線路にぎつしり堅き石つまり 飴山實 『おりいぶ』
春の霜レール曲げたる車止 吉村摂護
春の鳩鉄路にはずむレーニン祭 寺山修司 花粉航海
春暁のレールひかれり文京区 榎本冬一郎 眼光
春嵐鉄路へ墓を吹き寄せぬ 石田波郷
初凪や鉄路呑み込む海峡線 鈴木一舜
初日浴ぶレールきらきら城下町 豊田晃
渚ゆく鉄路しづかなる朝蝉 田中裕明 花間一壺
女礼者レール何条をも跨ぐ 加倉井秋を
除雪夫に吹雪のひゞき鉄路うつ 石橋辰之助 山暦
宵闇の鉄路へだてて夫の声 水口楠子 『泉汲む』
少年のリズム麦生の錆び鉄路 細見綾子
照り昃る信濃つらぬく露軌条 桂信子 花寂び 以後
畳屋の裏は鉄路や立葵 和泉千代
真直ぐ歩く月下のレール曲らぬ故 八木三日女 紅 茸
身ひとつの惜春運ぶ鉄路あり 山田弘子
雛の眼冷ゆ線路工夫の真夜のうた 加藤知世子 黄 炎
杉菜もて鉄路侵せり野の壮時(さかり) 中戸川朝人 残心
星合の更けて鉄路に雨すこし 館岡沙緻
青嵐鉄路は力をつなぎあふ 磯貝碧蹄館 握手
雪の野に狭軌の鉄の路つづく 山口誓子 紅日
雪山へ鉄路消えゆく建国日 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
雪埋まる鉄路は能登の命綱 塩川雄三
線路ごろ石動くと見れば寒雀 津村青岬 『南紀』
線路のみ雪融けやがて響きいづ 佐野良太 樫
線路まで延び人好きの花南瓜 嶋野國夫
線路まで伸びて夜なべの灯なりけり 菖蒲あや
線路越えつつ飯饐える匂ひせり 加倉井秋を
線路越えつつ飯饐る匂ひせり 加倉井秋を
線路工夫の唄か嘆きか雪もよひ 石塚友二
線路工夫の唄か歎きか雪もよひ 石塚友二
草の花鉄路のつくる三角地 高澤良一 ももすずめ
霜の朝一路軌道の如くあり 高澤良一 ぱらりとせ
卒業子線路づたひに帰りくる 津田清子
卒業子線路伝ひに帰り来る 津田清子
太陽も軌道を外れん大嚏 高澤良一 宿好
待春や私鉄の線路錯綜す 植松紫魚
台風下鉄路に蝶となる市民 大井雅人 龍岡村
弾み降り鉄路歩めり寒鴉 中島美也
地の果てに鉄路の消えて雲の峰 徳永敬二
稚内鉄路の終の月見草 加瀬美代子
昼顔にレールを磨く男かな 村上鬼城
昼顔やレールさびたる旧線路 寺田寅彦
昼顔や線路が忘れられてゐる 細見 綾子
虫絶えて海の匂いの線路あり 高野ムツオ 蟲の王
朝焼の軌条聚れり陸橋下 石川桂郎 含羞
潮に錆ぶ鉄路の端に浮寝鳥 木村里風子
追伸は鉄路の果ての霜の音 山本敏倖
底冷えの一駅間を線路夫乗る 右城暮石 声と声
鉄路が血管日本の道程灼けつゝあり 磯貝碧蹄館 握手
鉄路とつばくろひかりは常に先にあり 磯貝碧蹄館
鉄路に釘均らす遊びを終戦日 高澤良一 暮津
鉄路の臭五月はものを忘れ得る 友岡子郷 遠方
鉄路ひかりそこにしんかんと蝶とべり 三谷昭 獣身
鉄路まつすぐもの見ない眼に黴が生える 磯貝碧蹄館 握手
鉄路よりしづけきものなし虫がなき 山口誓子
鉄路越す傘の幾夜ぞかへり梅雨 絵馬 寿
鉄路伸ぶ限り群落ゼンテイカ 高澤良一 燕音
鉄路直に信濃追分のをとこへし 及川貞
鉄路敷く噂も消えて草の花 大河内枯木
鉄路歩くも習慣のように草のように 金子皆子
鉄路暮春大曲りして水際かな 宮武寒々 朱卓
鉄路踰ゆる卯の花月夜ありにけり 藤田湘子
田螺拾ひの素足にて跨ぐ遙かなる音を持つレールを 安斎櫻[カイ]子
冬の山傷の如くに鉄路あり 柴原保佳
冬木立思ひがけなく線路あり 福田清人 麦笛
東京の線路ぴかぴか入社式 富樫均
東西の鉄路真直ぐに霜置けり 山口誓子
東風へ鉄路鳥籠三ついかに運ぶ 友岡子郷 遠方
豆咲けり鉄路にさらす家の裏 林徹
日のレールに虻が生まれるふるさとなり 寺田京子 日の鷹
日盛りの切換線路動きけり 岡本佐和子
日本産の象来る閉ざされた鉄路 久保純夫 瑠璃薔薇館
馬肥えてレール走らす日の光り 秋元不死男
廃線と決まりし線路草紅葉 笹原和代
廃線の鉄路溶けゆく花の雨 夏目公代
梅雨の蝶白しレールにとまるかな 野村喜舟
萩とざす線路いよいよ末路なる 赤松[けい]子 白毫
白き息賑やかに通夜の線路越す 岡本眸
白光のレールを月に向はしむ 上田五千石 田園
白足袋のチラ~として線路越ゆ 中村草田男
白足袋のチラチラとして線路越ゆ 中村草田男
麦に黒穂ひと日のストに鉄路錆び 福田蓼汀 秋風挽歌
飛燕また火の性ならむ鉄路伸ぶ 柚木 紀子
保線夫にレール・泡立草無限 小宅光子 『雲に風に』
墓参り途中線路を渡りけり 佐々木六戈 百韻反故 初學
墓参途中線路を渡りけり 佐々木六戈
豊作ぶどうひと待つレール真つ直に 寺田京子 日の鷹
枕木が木でありしころ川浴びの帰りはレールに耳押し当てき 大島史洋
枕木もレールも梅雨に沈み消ゆ 石塚友二 光塵
万愚節自転車提げて鉄路越ゆ 延江金児
密林に鉄路一本持ちて冬 桂樟蹊子
霧洞然鉄路北よりひびきくる 長田等
綿虫とぶ錆びしレールの待避線 長田等
木の芽晴レール光りてふくらむやう 香西照雄 素心
目高棲む池見むとまた線路越ゆ 光永峡関
目刺の色弟が去りし鉄路の色 中村草田男
夜に埋もれてレールは海の息づかい 林田紀音夫
夜も夜とて鉄路守る槌霜冴に 石塚友二 光塵
夜店の灯裏より洩れて軌道まで 北野民夫
野焼きの火鉄路ぎはにてつながれる 木村里風子
夕焼は全裸となりし鉄路かな あざ蓉子
余花ありて鉄路信濃の山に入る 甲田鐘一路
来し鉄路岐れ武蔵野枯れ深き 岡田鉄 『卆心』
梨売りが線路の上を帰りゆく 日原傳
陸橋から穂芒もレールも夕日の中 シヤツと雑草 栗林一石路
冷害のあけくれ線路をまたぎゆく 永田耕一郎 海絣
列島史線路を低く四、五人ゆく 金子兜太 暗緑地誌
露の未明鉄路を汚し女靴 寺田京子 日の鷹
曼珠沙華軌道ここより岐れゆく 山口波津女 良人
晝顔にレールを磨く男かな 村上鬼城
翡翆のかすめし鉄路梅雨の中 百合山羽公 故園
萬緑のレールを渡る猫の首 鳥居おさむ
蜥蜴来て線路しなやかなる真昼 橋口 等
蟋蟀の寂び附いて居る鉄路哉 永田耕衣 物質
鶯餅鉄路の雨はややしぶく 友岡子郷 遠方
黎明のレールわたるや蓮を見に 佐野青陽人 天の川

線路 補遺

*ひつじ田に二本のレール小浜線 高野素十
アパートの雛段嶮し鉄路添ひ 香西照雄
かぎろへる遠き鉄路を子等がこゆ 橋本多佳子
ここの線路や「冬陽の短かき顔」がのぞく 中村草田男
コスモスに逆光軌条ら 離合し 首都 伊丹三樹彦
この軌道(レール)の果に繁華な町がある 富澤赤黄男
ストの日の鉄路陽炎さかんなり 伊丹三樹彦
ストの日の冬草青し鉄路の間 伊丹三樹彦
たんぽぽや線路へ掃きて厨口 岡本眸
どこまでも単線軌道夏野断つ 相馬遷子 山河
どこまでも麦秋どこまでも広軌 鷹羽狩行
ト口ッコの線路跨ぎて冬の浜 山口誓子
ニイチェ忌尾輛ゆレール光りつ去る 中村草田男
ひかる軌道草蒸す鉄軌秋の暮 山口誓子
ひかる鉄路冬のゆふべを貫けり 山口誓子
モスクワヘつゞく鉄路や秋桜 稲畑汀子
レールにかかはりて揚羽のとびつづく 津田清子 礼拝
レールよりレール岐れて青峡へ 山口誓子
レールより雨降りはじむ犬ふぐり 波多野爽波
レール月冬木の音も絶えにけり 高屋窓秋
伊達の桑信夫の桑に線路あり 阿波野青畝
遺骨かなしレール鉄橋鳴り交し 高屋窓秋
遺骨過ぐ軌条見えぬまで蝗が過ぐ 加藤秋邨
一本の鉄路蟋蟀なきわかる 山口誓子
駅間のレール霧より現れいづる 山口誓子
駅中のレール多くは梅雨錆びし 山口誓子
炎天に鉄路鳴りをるしゞまかな 「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
炎天のレールの襞へ油たらす 古沢太穂 三十代
炎天のレールまつすぐ 種田山頭火 草木塔
遠花火いきいきとして夜の鉄路 大野林火 雁 昭和二十二年
下萌や線路幽かに響き来し 橋閒石 雪
夏去りぬ鉄路にすだく虫聞けば 山口誓子
夏至の日の赤き花買ひ線路越す 岡本眸
嫁ぐ妹と蛙田を越え鉄路を越え 金子兜太
火のレール炎天下にて撃ち曲げらる加藤秋邨
花野いろ濃くなる広軌経て狭軌 鷹羽狩行
貨車に灼けしレール踰えきてなほ病む身 野澤節子 未明音
海猫鳴くや鉄路の終は潮くさき 岡本眸
海陸の間の鉄路の曼珠沙華 山口誓子
街の秋鉄路よぎれば葭津あり 大野林火 早桃 太白集
鴨引くや寒き鉄路の走りつゝ 百合山羽公 故園
寒気の中鉄路目覚ます転轍音 上田五千石『田園』補遺
寒雀線路好みに遊ぶ二羽 村山故郷
寒風に眼を奪はれて線路越ゆ 右城暮石 句集外 昭和三十一年
雁とんで鉄路は陸奥の中通り 百合山羽公 樂土
雁のこゑ遠ざかる夜の線路越ゆ 桂信子 月光抄
汽車そこへ露けき軌道照らし来る 山口誓子
汽車工場の軌条霜崖へ行き止る 細谷源二 鐵
軌条音地底より湧く雪峠 松崎鉄之介
軌道車に下刈の鎌押し立てて 山口青邨
軌道歩く限り地虫の鳴きつづく 右城暮石 句集外 昭和二十五年
菊好きの菊の鉢置く鉄路際 右城暮石 句集外 昭和三十四年
宮後や鉄路に椎の実を拾ふ 山口誓子
狭きかな青野の中の狭軌道 山口誓子
狭軌道両側に咲く曼珠沙華 山口誓子
極暑かな背戸に日も夜も光る鉄路 伊丹三樹彦
金鳳華昼しんかんと鉄路置き 岡本眸
空乾く冬のレールにパンの耳 秋元不死男
月見草レールも歯止石も錆び 鷹羽狩行
月光のレールが二本スト前夜 西東三鬼
犬ふぐり石崖にまでレールの錆 秋元不死男
枯野ゆく貨車に日当る鉄路あり 桂信子 草影
枯野行く狭軌まことに狭くして 山口誓子
行く眼り鉄路かがよふ初詣 山口誓子
国有林芽ぶき鉄路は廃れゆき 鷹羽狩行
山の藤見て来て鉄路跨ぐかな 山口誓子
山中の鉄路を霧の越えわたる 山口誓子
残る雪鉄路両側のみ無傷 右城暮石 句集外 昭和四十一年
車輛庫に混み入るレール西日激し 上田五千石『田園』補遺
灼け鉄路犬方角を失ひて 右城暮石 上下
酒買ひに線路越しをり寒の内 石塚友二 光塵
首のあたりを線路が走る過労となる 金子兜太
秋雨や線路の多き駅につく 中村草田男
秋行くと鉄路の雨を見てゐたり 岡本眸
終点の線路がふつと無いところ 渡邊白泉
春ちかし鉄路の真直ぐなる見れば 山口誓子
春の線路にぎつしり堅き石つまり 飴山實 おりいぶ
春の線路にぎつしり竪き石つまり 飴山實 おりいぶ
春の飛雪鉄路が踊り集まりゆく 石田波郷
春近し子供と汽車の線路あり 細見綾子
春昼の線路どこまでも砂利詰まる 右城暮石 句集外 昭和三十三年
春嵐鉄路に草を吹き寄せぬ 石田波郷
初蝶やレールにひびきありにけり 加藤秋邨
少年の手中の胡桃鉄路越す 飴山實 おりいぶ
照り昃る信濃つらぬく露軌条 桂信子 晩春
笑ひ声冬日の鉄路汝居ぬ世 中村草田男
菖蒲の日一直線のレールかな 桂信子 草影
水田行くときに狭軌のなほ狭し 山口誓子
雛から 揺れ 家揺れる 鉄路裏 伊丹三樹彦
晴天やレール光りて草枯るゝ 日野草城
西日のレール二本青芦沼に沿ひ 大野林火 白幡南町 昭和三十年
青藻にて青し造船所のレール 山口誓子
赤き灯の濡るゝレールを寒夜とす 右城暮石 句集外 昭和二十三年
雪の野に狭軌の鉄の路つづく 山口誓子
雪原を焚きけぶらして鉄路守る 橋本多佳子
雪国の国道鉄路同じカーヴ 山口誓子
雪明り死へやすやすと鉄路置き 岡本眸
線路あさる鴉ありうらゝ汽車待てば 種田山頭火 自画像 層雲集
線路工夫がたゞ一人ゐて藺の花や 細見綾子
線路工夫にのみ明けし朝の堅い土 尾崎放哉 大正時代
線路工夫の唄か嘆きか雪もよひ 「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
早梅や鉄路の鳴れる方みんなみ 中村草田男
草いきれレールも生身磨り減らす 鷹羽狩行
草青き倉庫のかげにレール冴ゆ 大野林火 海門 昭和十三年
卒業子線路伝ひに帰り来る 津田清子
他の線路せり上り草の土手となる 篠原梵 年々去来の花 皿
大寒のかげろふレール少女跳ね 佐藤鬼房
大枯野兵馬いく夜も鉄路の上 伊丹三樹彦
大陸橋春暁のレール抱きかかヘ 大野林火 雪華 昭和三十五年
単線の狭軌青田に狭められ 山口誓子
暖冬の線路が通る家の裏 橋閒石
茶の青き畝にも広軌狭軌あり 山口誓子
昼顔にレールを磨く男かな 村上鬼城
昼顔や右手は海へ向く線路 石塚友二 玉縄抄
昼顔や線路が忘れられてゐる 細見綾子
朝焼の軌条聚れり陸橋下 石川桂郎 含羞
蝶まつすぐ線路の果は砂利の中 飴山實 おりいぶ
底冷えの一駅間を線路夫乗る 右城暮石 声と声
鉄路にもかぶさる茂り裏日本 右城暮石 虻峠
鉄路にも川にも沿へる麒麟草 山口誓子
鉄路は母への直路 真夜歩きを 怪しむな 伊丹三樹彦
鉄路へだてて麦を刈り早稲を植う 鷹羽狩行
鉄路まで伊吹の雪の白厚し 西東三鬼
鉄路よりしづけきものなし虫がなき 山口誓子
鉄路より低く住着き菊咲かす 伊丹三樹彦
鉄路わかれ又岐れ冬深むべく 岡本眸
鉄路一線*う台にこもる南風の音 松崎鉄之介
鉄路一線蝶のもつるるいくところ 山口青邨
鉄路直に信濃追分のをとこへし 及川貞 夕焼
鉄路添ひいたどり赤芽夕氷し 松崎鉄之介
鉄路風のごとく走りて年の暮 廣瀬直人 帰路
鉄路踰ゆる卯の花月夜ありにけり 藤田湘子 途上
電車来つ灼け耀りの軌条とゞろめき 日野草城
土手を焼くたびに私鉄のレール老ゆ 鷹羽狩行
冬ざるる鉄路に砂利(バラス)新らしや 伊丹三樹彦
冬の鉄路にかぶさるばかり藪傾ぐ 大野林火 青水輪 昭和二十四年
冬の日や逃ぐるごとくにレール岐る 秋元不死男
冬の夜の駅には鉄路賑やかに 山口誓子
冬の旅おもへば鉄路つゞきをり 高屋窓秋
冬も赭し鉄路奥なるわが甍 伊丹三樹彦
冬虹を外れて鉄路の曲りたり 右城暮石 句集外 昭和二十八年
東西の鉄路真直ぐに霜置けり 山口誓子
桃咲くや川の明りの鉄路まで 岡本眸
踏み越ゆる軌道の硬さ田植疲れ 津田清子
踏切に鉄路濡れつつ鵙の雨 山口誓子
踏切番鉄路に坐して夜の劫暑 伊丹三樹彦
道東や泡立草は鉄路の花 鷹羽狩行
虹消えて荒磯に鉄路残りたる 橋本多佳子
日はすでに春の軌道や杉木立 岡本眸
入営を送り鉄路の野を帰る 山口誓子
廃軌道なつかしがりて春の蝶 阿波野青畝
白き息賑やかに通夜の線路越す 岡本眸
白光のレールを月に向はしむ 上田五千石 田園
白足袋のチラチラとして線路越ゆ 中村草田男
麦に黒穂ひと日のストに鉄路錆び 福田蓼汀 秋風挽歌
麦秋の鉄路へだてて半麦秋 鷹羽狩行
麦秋や軌道茜にいろづきて 山口誓子
麦踏みの土を忘れず鉄路越ゆ 廣瀬直人 帰路
晩霞たつときもレールの平行に 佐藤鬼房
浜へ出る鉄路を跨ぐ木槿垣 清崎敏郎
夫婦住む鉄路と凍湖見下ろして 中村草田男
墓山も鉄路も風の落花圏 岡本眸
墓地深く行き短日の鉄路見き 岡本眸
母の手に英霊ふるへをり鉄路 高屋窓秋
北海の幹線雪の狭軌道 山口誓子
枕木もレールも梅雨に沈み消ゆ 石塚友二 光塵
稔り田は赭き鉄路に道を開け 山口誓子
木の芽晴レール光りてふくらむやう 香西照雄 素心
目刺の色弟が去りし鉄路の色 中村草田男
夜の鉄路乗りかへてより雪深き 橋本多佳子
夜も夜とて鉄路守る槌霜冴に 石塚友二 光塵
夜を濡るるレール百条五月雨 中村汀女
友等の街も線路も横長緑蔭ゆく 金子兜太
有る眼りレール夕焼く操車場 山口誓子
夕寒し道より高き鉄路に沿ひ 岡本眸
夕暁雲鉄路は昏るる峡に入る 橋本多佳子
夕焼の方へ線路のやゝ曲る 山口誓子
予備レール置く陽炎の拠りどころ 右城暮石 句集外 昭和四十七年
陽炎が鉄路の果を見せしめず 山口誓子
雷鳴のレール傅ひに燕翔くる 右城暮石 句集外 昭和二十五年
裏口に線路が見える蚕飼かな 金子兜太
流し場の乾き九月の鉄路沿ひ 右城暮石 句集外 昭和三十一年
旅五日鉄路のさびにつく蝶々(真砂子結婚のため上京、秩父へ行く、原子公平氏、金子兜太氏同行) 細見綾子
林中になまなまし露を置く鉄路 山口誓子
隣田へ鉄路をまたぎ苗運ぶ 鷹羽狩行
列島史線路を低く四、五人ゆく 金子兜太
露の暾が長きレールに照りわたる 山口誓子
曼珠沙華軌条がこゝに断ち切れて 山口誓子
旱乙女の憩ひ鉄路のひびく土手 鷹羽狩行
煖房車軌条夥しき駅に著く 山口誓子
煖房車捨てて鉄路を歩き出す 伊丹三樹彦
煖房車単軌高原線を来る 山口誓子
煖房車鉄路真赭の駅に著く 山口誓子
翡翆のかすめし鉄路梅雨の中 百合山羽公 故園
苜蓿に日は落ち線路夥し 大野林火 海門 昭和十三年
茫乎たる西日の面に鉄路岐る 加藤秋邨
螢火に鉄路つめたき露走る 赤尾兜子 蛇
隨道の中緑光のレール二本 山口誓子
雉子鳴くや日本海へ線路ぞひ 中村草田男


by 575fudemakase | 2018-02-01 10:47 | 無季 | Trackback | Comments(0)

新幹線 の俳句

新幹線 の俳句

新幹線

ざくろ咲く屋根の上行く新幹線 炭谷種子
マドリード行き新幹線に蝿と居る 堀内幹夫
芽柳に新幹線の風を呼ぶ 石垣久良
啓蟄や東京を出る新幹線 味元昭次
新幹線から見る東京の黒い思想 藤後左右
新幹線に持ち込む兜虫の籠 池田秀水
新幹線の棚の破魔矢の飛ぶごとし 鈴木栄子
新幹線ゆつくり発車さくら冷え 鈴木鷹夫 渚通り
新幹線より牡丹の香に着きぬ 山田弘子
新幹線一を引くなる良夜かな 岩崎照子
新幹線延びし彼の地の走り茶や 熊谷津苗
新幹線止めてしまひし雪女郎 葵 かける
新幹線試走車が行く旱魃田 皆川白陀
新幹線寸幹を乗り牡蠣を食ふ 赤松[ケイ]子
新幹線待つ荷に鳴けりきりぎりす 長谷川春耕
新幹線通る野山の錦かな 川井 梅峰
日脚伸ぶ新幹線の四人かな 大和田隆蕉
風船ゆく新幹線の天井を 三嶋隆英
頬かぶり新幹線にて解きにけり 和田耕三郎
末枯のあかあかと新幹線通過駅 一ノ瀬タカ子
目を借らる新幹線の中にても 茨木和生 倭
芒野に新幹線の狐顔 小宅光子 『雲に風に』

新幹線 補遺

しみじみ師の忌新幹線にソース揺れ 楠本憲吉 方壺集
つづけざま新幹線や花の雨 阿波野青畝
ででむしや新幹線はみちのくへ 山口青邨
黄沙降り新幹線の往来す 百合山羽公 樂土
初富士や新幹線を真一文字 鷹羽狩行
小田原に夏新幹線なまめかし 中村汀女
新幹線より見て盆踊ひとつまみ 岡本眸
田植見る新幹線の速の座に 山口誓子
彦根より雪が積もれる新幹線 山口誓子

by 575fudemakase | 2018-02-01 10:45 | 無季 | Trackback | Comments(0)

モノレール の俳句

モノレール の俳句

モノレール

ふんはりと初モノレール海の上 細川加賀 生身魂
モノレールの窓にもたれてよくある終わり 今泉康弘
モノレール夏大空に弧を描き 高澤良一 暮津
モノレール泰山木の花の上 中戸川朝人 尋声
モノレール入道雲の足下ゆく 高澤良一 暮津
モノレール浮遊の多摩野昼霞 中村将晴
花火揚ぐ入江巡れりモノレール 高澤良一 素抱
絵日傘の真上を走るモノレール 高田とし子(円虹)
春風の先頭を切るモノレール 吉原文音
新涼の海の見え出すモノレール 高澤良一 暮津
星飛んでモノレールといふ弥次郎兵衛 川崎展宏 冬
夕虹の輪にモノレール始発駅 菊地千恵子

モノレール 補遺

北風や女逃げゆくモノレール 雨滴集 星野麥丘人
昼蛙森の端よりモノレール 雨滴集 星野麥丘人
菖蒲葺く屋根見て走るモノレール 阿波野青畝
モノレールはるかをゆけり蓮の上 山口青邨
モノレールいづくにか消ゆ花曇 山口青邨

by 575fudemakase | 2018-02-01 10:44 | 無季 | Trackback | Comments(0)

地下鉄 の俳句

地下鉄 の俳句

地下鉄

牡蠣船に坐し地下鉄の工事音 右城暮石 上下
河の下走る地下鉄木の芽寒 和田耕三郎
寒風の外へ地下鉄躍り出る 宮原嶺司
義士の日の顳に地下鉄の風 伊藤白潮
旧く狭く深き地下鉄十二月 高澤良一 石鏡
啓蟄や軍歌出でくる地下鉄口 鍵和田[ゆう]子 浮標
三つ目で地下鉄を降り酉の市 高澤良一 燕音
時間を切符で売る埋没した地下鉄 東川紀志男
秋の蚊の声や地下鉄馬喰町 大串 章
春の日に立ち地下鉄へ下りてゆく 京極杞陽 くくたち下巻
神農の首振る虎と地下鉄に 藤村克明
震災忌地下鉄出口闇に向き 山下知津子
人逝くはしぐれのしわざ地下鉄へ 吉田透思朗
他人と並び 揺れ 地下鉄も川わたる 伊丹公子 山珊瑚
短夜を蛹にもどり地下鉄に 小檜山繁子
地下鉄が梧桐の地に潜りたり 久保田慶子
地下鉄が地上へ雪の降る日かな ふじむらまり
地下鉄が地上を走り秋の暮 鈴木六林男 後座
地下鉄で「さよなら」せしまま露の世ヘ 中村明子
地下鉄にヴィオロンを聴く巴里祭 岡田百千鳥
地下鉄にかすかな峠ありて夏至 正木ゆう子
地下鉄にべつたら市の帰り客 山田閏子
地下鉄にわれも生きもの咳をして 寺田京子
地下鉄に水流れ入る日蓮忌 横光利一
地下鉄に冬のはじめのねずみの眼 桜井博道 海上
地下鉄に瞑想りをればアマゾンの大逆流(ポロロッカ)ふいにわが胸奔る 影山一男
地下鉄のキップは蝶のようなもの 対馬康子 純情
地下鉄の押し来る空気花疲 小川軽舟
地下鉄の音きれぎれにくる月光 対馬康子 純情
地下鉄の穴出で三社祭かな 稲石實(季節)
地下鉄の混み合ふ中や海芋抱き 七田谷まりうす「北面」
地下鉄の最後尾にて年惜しむ 木村敏男
地下鉄の秋暑の果鋪に姪と逢ふ 宮武寒々 朱卓
地下鉄の出口Aより緑さす 烏丸道子
地下鉄の上はごちゃごちゃ酉の市 高澤良一 暮津
地下鉄の青きシートや単物 中村汀女
地下鉄の地上に出でて姫女苑 小川金魚
地下鉄の地上の寒に出てゐたり 平井照敏 天上大風
地下鉄の入り口四角冬の風 今瀬剛一
地下鉄の風吹き上がり社会鍋 奈良文夫
地下鉄の迷路や梅雨の傘提げて 舘岡沙緻
地下鉄は街の腸秋暑し 長谷川櫂 虚空
地下鉄は楽器みどりの席長く 和田悟朗
地下鉄は詩作工房年惜しむ 皆吉司
地下鉄は青き火花を夜の秋 長谷川櫂 虚空
地下鉄も苦手の一つ震災忌 福井一歩
地下鉄も初日浴びゆく小石川 福島 胖
地下鉄をねずみの走る暑さかな 奥野初枝
地下鉄を出でて銀座の涼新た 鯨井愛子
地下鉄を出て賑はへり義士祭 大牧 梢
地下鉄を出て日のかつと蟻の粒 蓬田紀枝子
地下鉄を出るより三社祭かな 倉田春名
地下鉄を出れば銀座の春の雪 吉屋信子
地下鉄を上がれば神田祭かな 前野雅生
地下鉄を乗り継ぎて来て初大黒 西原明子
地下鉄を兵と出づれば片かげり 高橋馬相 秋山越
猫の恋地下鉄郡部まで延びて 前山松花
晩夏地下鉄翅毟られし者を乗せ 高野ムツオ 鳥柱
勇忌や地下鉄通る京の街 東條艸竹
竜天に昇る地下鉄の通気孔 鈴木きぬ絵
六阿弥陀詣での婆が地下鉄に 小野 博
朧月新設地下鉄にて帰る 板倉セツ子

地下鉄 補遺

唐辛子提げて地下鉄を出て来る子 加藤秋邨
地下鉄道驟雨に濡れしひと乗り来る 山口誓子
地下鉄出る髪ずぶ濡れのデモに向い 金子兜太
地下鉄を涼しと思ひ浅草ヘ 山口青邨
地下鉄を出てプラタナス枯葉と空 高田風人子
地下鉄をせり上り来て年の市 山口青邨
地下鉄は向日葵見んと地を出づる 山口青邨
地下鉄の地上の寒に出てゐたり 平井照敏 天上大風
地下鉄の女のオーデコロンかな 星野麥丘人 2003年
地下鉄の出口に仰ぎ鰯雲 加藤秋邨
雪の日の地下鉄地下を出でにけり 林翔
初袷地下鉄の階いつも風 岡本眸
荷風忌や地下鉄古き銀座線 星野麥丘人 2004年
牡蠣船に坐し地下鉄の工事音 右城暮石 上下
炎昼の奈落地下鉄全燈点け 上田五千石『田園』補遺
しぐれたるまま地下鉄が停車せる 阿波野青畝


by 575fudemakase | 2018-02-01 10:43 | 無季 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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