2018年 02月 18日 ( 2 )

後評(2018・1)

後評(2018・1)


2018年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句


 オリオンの耀ふ苅田道に来て

 ゴールしてとんどを囲む陸上部

 こんなところまで山茶花の散りきたる

(自由律的詠法)

 ちりぢりに破れて日を浴ぶ芭蕉かな

 つぶやきにつぶやき応え日脚伸ぶ

 とんどの炎鎮めの雨の大粒に

(オーソドックスな詠法である)

 ニューズウィーク読む翁ゐて掘り炬燵

(バタ臭い処が作者の味であろう)

 ひと塩の浅漬潔かりけり

 プランターにシャベル使ふも鍬始

 海鼠漁着く船の数妻が待つ

(嬶がいっぱい待機している。リヤカーなぞ持って…)

 寒月光浴びて心音確かにす

 顔見世や役者の目と会ふ齧り付き

 去年今年いよよ己の殻を守る

(「己の殻を守る」と居直った処が俳諧)

 空壕の底が見えゐて歯朶を刈る

 湖のある方の明るき初景色

(まあ尤も俳句らしい叙述のスタイル)

 交差するエスカレータークリスマス

(華やかさ一入)

 皇室の新暦買ひ帰郷せり

(ミーハー的のところを逆に活かして…)

 忽ちに鴟尾を取込み冬至暮れ

(着眼点が面白い)

 今朝の春磴のぼり見ゆ太平洋

(「今朝の春」という古臭い季語を上手く処理している)

 歳晩や隣の家族葬知らず

(近隣の付き合いの形も昔通りではない。変わった。私も今年これを味わった。)

 山影の早き里なり手毬唄

 子ら去にて早めに湯浴み三日かな

(実情そのまんまが出ていてよい)

 師の句碑に賜る活や寒牡丹

 初詣柏手を打つちっちゃな手

(よっぽどのことなければ、俳句の表記方法は話言葉でなく、書き言葉が無難。小さな手)

 初刷りの二面続きの日の出かな

(これは豪勢な!)

 初刷りや死ぬまで書くと寂聴尼

(寂聴さんなら言いそう…)

 初席や老いの笑ひの少しずれ

(季語が気が効いている)

 初東風やさざめき交はす磯馴松

 初日出ず方ちちははの墓在せり

(本当に歳取れば自然にこんな言葉が出て来るのだろう)

 松の内開かれてをり宝物殿

(由緒ある寺などではこうゆうこともあろう。)

 腎臓は綺麗と言はれショール巻く

(腎臓にショールを持って来たことに一つの哀れがある。句の裏にはよっぽどの状況があろう。私

は水腎症である。通常二つある腎臓のひとつが駄目、ひとつで全身をまかなっている。同病愛憐れむ面も少しある)

 石蕗の花家人の出入り承知して

(私は「家人」という言葉が好きで幾つか作っているが、この句も同傾向にあろう)

 先ずは記す通院予定初暦

(ここらへんは誰もやること)

 全円の初日仏具を輝やかす

(「全円の初日」というと、改まって仏壇を見直すことになる)

 待ち合はすマスクの目と目銀座駅

(五七辺りが軽快である)

 大晦日恋文横丁小火(ぼや)騒ぎ

(表現 江戸べらんめい調子。ひばりの唄の文句にありそう…。そう語呂の佳さ)

 大年の蕎麦さげ久に姉を訪ふ

(歳いった弟の感じよく出ている)

 猪垣を張りめぐらして家二軒

(この二軒隣接しているのだろう)

 天守閣前の松より雪吊りす

 冬ざれの汀に溜まる光かな

(大雑把だが何かを掴んでいる。)

 冬至風呂ひたりて喜寿のいのちのぶ

 唐戸市場袋ぜりてふ河豚の糶

 二日はやうすむらさきの芋の粥

(情緒的に表現したか?)

 日脚伸ぶ句会に天動説の出て

(「天動説」で煙りに巻いたか?)

 買初めに筋トレ用具老いまじく

(当世風を句にした)

 膝ひとつ伸ばすに広き炬燵かな

(のうのうと上手いことを謂う)

 福詣でむかし吉原このあたり

(アッサリ流して一句)

 物枯るる中流れくる水の音

(何一つ具体的なこと言わずに句を成立せしめている)

 焚初といふもスイッチ一つオン

(仔細は判らないが味気ないところを詠んでいる)

 餅腹に千枚漬けが沁みとほる

(わたしも「餅腹」という言葉が好きで散々作った。「千枚漬」はあのヒヤッとしたところがイノチ)

 竜の玉貰ふ子の手のぬくみまで

(上手いねエ~この句)

 鈴本へ一家八人初電車

(こんな家族もあ)

 朗朗と幼なの読める恋歌留多

 鮟肝の舌に蕩けて大吟醸

(日本酒の醍醐味である)


以上


by 575fudemakase | 2018-02-18 19:18 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2018・2)

後評(2018・2)


2018年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句


 お隣の灯もいただいて初昔

(お隣のズーと点いている玄関灯を見ての感慨?)

 スーパーブルーブラッドムーン睦月果つ

(片仮名をベタベタ埋め込んで一句作りたくなること時々ありますネ)

 バレンタインの日やマニキュアのラメ光り

(女心はよく解らないが…)

 ひたと止む常の耳鳴り寒明くる

(上手く合わせたか?)

 ページ繰る指先硬く雪催

(「指先硬く」がいいのか?「指の関節」がいいのか!即ち叙述の是非論。)

 ほっこりと身のうちふくる日向ぼこ

(「ようだ俳句」の一つだが是か否か?)

 マスクして息をぷかぷか反抗期

(こんな反応する子居そうである)

 マンホールの蓋絵の消ゆるほどの雪

(もう少し具体化したらどうだろう?マンホールの蓋絵の船を消す粉雪 それとも原句通りでいいか?)

 越冬す鯛のあら煮と後骨湯

(「越冬す」なのか「年籠」なのか? 「後骨湯」はどう読ますのか?)

 皆既月食待つ白息をいよよ濃く

(臨場感出して…)

 咳をして己が谺と居る山中

(こんなこともあろう)

 寒雁や嘴深く胸に抱き

(こんな姿態もあろう)

 肝油一粒ごくりと呑みし寒夜かな

(「かな」止めでなく名詞止めにしたい。肝油一粒ごくりと呑み干し冬夜半)

 鬼の豆もどりにつまむ喫茶店

(サラッとした表現がいいとも…)

 鬼は外照れくさそうに豆撒く子

(類句ありそうではあるが…)

 鍬に乗りまだ眼のあかぬ土蛙

(ほほえまし)

 厳寒の子を待つ夜の耳聡し

(母親とはこんなものと絵に書いて見せて呉れた)

 山笑ふ夫あるときも亡き時も

(自然は人間(じんかん)の突外れに在ると…)

 子の相手いろは歌留多のちりぬるを

(少し疲れたとでも言っているような…)

 耳長きこと春を待つ観音像

(観音像?観世音 「観世音」で句がもっと広がってくるのがわかりませんか?)

 手さばきの心もとなく注連綯へり

(表現もなよなよと…)

 手袋は軍手で通す還暦後

(人によってはこんな感慨も…)

 手袋を脱いで指切りきっと明日

(「きっと明日」の処、指切りの呪文の一部をドカンと持って来る方法もあり。「針千本」)

 洲より洲へ急旋回の群(むら)千鳥

(写生して見た)

 週一から週二の外出春立ちぬ

(磊落な表現に味…)

 春の泥跳ね上げてゆくダンプカー

(もうちょっと説明欲しいが…)

 春節を祝ふ一卓一家族

(中華街に足を運べば…)

 春炬燵パズル埋まらず高鼾

(挙句の果てにはこんな光景も…)

 初電車坂東太郎越えにけり

(謂えばホトトギス的一句)

 乗客は老人ばかり春の昼

(昨今のバスの乗合事情…)

 蝕すすむ寒月とろり黄土色

(彩で攻めた)

 振袖を襷に纏め弓始

(頭でも出来そうな句であるが…)

 神鈴の一息尽きぬ旧正前

(ほんとうに一息つけるのは旧正月以降ということ)

 水溜めし仏足跡や春浅き

(「水溜めし」なのか「雨溜めし」なのか?)

 節分会の鬼高下駄をもて余す

(写生は出来ていると思う)

 雪の原墓標点点しるべなす

(これもよく見る句の一つなのではないか?)

 雪原や動画のごとく川流れ

(今流行りの「動画」を上手く使っている)

 雪嶺の空ゆくサラブライトマン

(好みが偏るが個人的には好きな句柄)

 素描なる雑木林の冬景色

(さらっと言いのけている…)

 草の穂に縋りしままに蝶の凍つ

(出来てはいるが、あたりまえと言えばあたりまえとも)

 替へて来し鷽と並べて犬張子

(面白い配置)

 丹頂と道産子即かづ離れづに

(表記「即かづ」でよいのか?「即かず」)

 断捨離の進まぬ書棚かじかめり

(一応の作と思うが、もう一つ先に行きたい。)

 注連を綯ふこつの掴めぬままにかな

(「こつ」は「コツ」と表記したい。一読して判りやすい為。)

 注連飾めでたき藁の匂ひかな

(「めでたき」の常套を「匂ひ」で外せたか?)

 猪鍋や大山詣で遥かにし

(回想句?何処となく惹かれる)

 冬満月水の近江の屋根瓦

(瓦と冬満月の関係は豊か。著名な瓦処もあろう…それ以上多くを言わずとも充分。)

 冬眠の重なる亀に見張り亀

(冬眠の実態は判り難いと本には書いてある… 見張り亀はどうなのか?)

 梅日和巫女溜まりより笑ひ声

(まあ平均的な詠み方)

 八十路いま楽しみ探す竜の玉

(此の句二つに解釈出来る。それが少し気掛かり?)

 富士に向きいよよ春耕はかどれり

(富士あることが励みとなって…)

 富士真白掌に生みたての寒卵

(白白の連携を演出した)

 風花に佇てばみな吾に向かひ来る

(こんな錯覚よくありますネ)

 風花の永き浮遊の跡形なし

(言い尽くしてしまっているのか そうでないのか?)

 風向きに火の色変はる大とんど

(「火の色」のところ、「焔色(ほいろ)の」ではどうか?)

 門松の華やかに縄結はれたる

(「華やか」は常套か?)

 立春大吉亡夫の太杖傘立てに

(亡夫なお生きているように…)

 蝋梅や角をまがれば鼓の音

(なかなかに小洒落た光景を描いた)


以上



by 575fudemakase | 2018-02-18 19:16 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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