2018年 03月 11日 ( 1 )

駒木根淳子句集「夜の森」を読んで

駒木根淳子句集「夜の森」を読んで

2016・11・25 角川書店 第2句集


以下、多くなるが共鳴句を挙げる。


遠足児邪馬台国を駈けまはる

断層の上にはばたく桜かな

ジーンズの裾の重たき濃あぢさゐ

遠郭公気を付けのまま寝袋に

直登の蜈蚣総身弾みだす

巨き荷とベンチに睡る冬帽子

老優のごとき横顔冬の蠅

海けふは陸よりしづか龍の玉

寝足りたる手足のごとき新樹かな

馬鈴薯の花あはあはとふつふつと

青梅雨や卵を宿す魚煮て

中学生胸筋ひかるまで泳ぐ

滴りの膨らんでくるうすみどり

しばらくは夕日をこらへ滴れり

打水の宙をよぎりしもの濡らす

赤のまま図面ひろげしまま歩く

新さんま傷つきやすき蒼さもて

夕鵙に抜いては燃やす畑のもの

樹樹たかく空なほたかく冬が来る

完結の龍太全集冬の鵙

雪霏霏と神代の暗れを伴なへる

荒梅雨や書庫の脚立にをればなほ

滑落の一瞬蛇の伸びきって

蟻群れて骸のそりと動き出す

地面まで雨届かざり鶏頭花

蛸の脚一本欠くる残暑かな

付添ひの寝床のかたし後の月

トロ箱の水あかく透く冬はじめ

買物の父のまごつく日短

探梅やすずめのやうに日を浴びて

若布漁近し薪を浜に積み

耕人の風を聴きをる背中かな

さくらさくら丹田使ふ登り坂

春の蠅天神裏に魚干せば

ヘルペスの母に居座る残暑かな

芋畑もっとも昼の虫鳴けり

乾きもの戸棚にさがす十三夜

囀やペットボトルの茶に馴染み

のっそりと猫の横切る扇風機

茄子の花寡黙な男なら信ず

きんぴら太し下野の初時雨

冬眠の蛇の薄目になる日差し

鮟鱇の口の向うの怒濤音

涅槃図へみしみし人の近づける

春耕のけむりなやうなもの蒔けり

首抱かれ馬のしづまる朝桜

遠足の終り兎の餌を摘む

底抜けの青空鐘馗幟立つ

翡翠の水裂くやうに飛び去れり

道をしへ虹色に跳び誕生日

江ノ電も橋も傾け神輿来る

ご赦免花つぎの船まで一時間

十三夜電話は来ても来なくても

掛大根潮騒に痩せ月に痩せ

脇腹にみどりひと刷き枯蟷螂

研ぎかけの出刃に指あて暮早し

寒釣のどのポケットもふくらめる

ぬかるみはひかりを集め冬雀

燕来るセピアづくしの写真館

そら豆をつまむ還暦まで二年

ポケットの深くて秋の更衣

流鏑馬のための盛り砂紅葉晴

枯露柿のとろりと雪になる雲か

天上に父の豆撒く声あらむ

遺されて春の小川をうたふ母

陽炎へりヨー素セシウムγ線

見る人もなき夜の森のさくらかな

傾がざる電柱はどれ夏つばめ

土足にて生家を歩く日雷

家毀つ順番来たり雲の峰

弟が父の数珠持ち盂蘭盆会

冬ざるる撮らる全員防護服

石蕗咲いて出船許されざる漁港

牛の仔の涙痕黒き冬日向

梅ふふむ土竜の土の新しく

有楽町さくらまつり

被曝櫻被災地櫻ここに咲き

竹皮を脱ぎてあっさり再稼働

子育ての翡翠の頭の禿げてゐし

すててこを穿き炭鉱の生き字引

新盆の闇じゃんがらは死者を招び

母は手を握れば寝落つつづれさせ

ぼた山のいつか草山葛嵐

稲刈のおほき太陽賜りぬ

虫喰ひの穴にあをぞら柿紅葉

仮設住居三百といふ冬景色

梅咲いてもめん豆腐を好む夫

的中の矢音みじかし山桜

鎌倉五山花御堂より花御堂

豆ごはん夫の職退く日の近し

被曝野と呼ばれやませの吹き荒ぶ

海原に祈る濃き虹また祈る

またたかぬ眼もてくちなは泳ぎけり

炎昼のけりをつけねばならぬこと

和菓子屋に母似の背中秋彼岸

初雪となるはずの雨肩濡らす

独楽よりも紐の汚れてをる日暮

鳥帰る余震一万六千回

個室より母と見てをる遠桜

沖を見るまなざしに似て桐の花

キャンパスに英語北京語四十雀

ビル裏を運河に晒す帰燕かな

テトロンの日の丸うすし鳥帰る

ふらここを一途に鳥になりたき日

もう誰もここには来ない山桜

竹皮を脱ぎ長雨の崖背負ふ

ひまはりの話しかけたくなる高さ

まくなぎを抜けそこなひし眉ふたつ

在りし日は

上京の母のうすものまぶしめり

すでに日のたかだかとあり銭葵

花木槿母に昨日も今日もなく

夕蜩ひと様に母ゆだねをる

切株といふ秋風を待つところ

初雪が来る給食の鯨カツ

黙禱の一分の闇春怒濤

芽吹山首長竜の骨埋み

切株にひとりの時間蝶の昼

この先は奔流ならむ飛花落花

巣つばめに空より鴉地より蛇


以上



by 575fudemakase | 2018-03-11 11:41 | 句集評など | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

文房具の俳句あれこれ
at 2018-07-23 10:16
サインペン の俳句
at 2018-07-23 09:51
クリップ の俳句
at 2018-07-23 09:50
アルバム の俳句
at 2018-07-23 09:47
ホチキス の俳句
at 2018-07-23 09:45

外部リンク

記事ランキング