2018年 11月 07日 ( 13 )

白色 あれこれ

白色 あれこれ


真っ白 純白 雪白 皚皚 蒼白 白白 生白 青白 乳白


真っ白


かじかんだ手で真っ白の封を切る 大高 翔

まゆみの実真つ白な雨山消して 八木林之助

眼の裡が真つ白になり昼寝覚む 右城暮石 散歩圏

現身を真つ白にする蜃気楼 下山光子

腰痛の一撃脳天真っ白に 高澤良一 寒暑

菜の花売りに来る日の富士よ真つ白な 林原耒井 蜩

真っ白き部屋はゆっくり夏果てぬティッシュの箱をひとつ残して 吉野裕之

真つ白なあの世見たくて芒原 務中正己

真つ白なシーツを敷けば冬の海 和田耕三郎

真つ白なハンカチ使ひそびれたる 藤本悦子

真つ白なブラウス復活祭のミサ 都筑智子

真っ白な花に群がる風一目 高澤良一 宿好

真っ白な花の二つが触れ虚空 鳴戸奈菜

真つ白な犀が来てゐる春の風邪 齋藤愼爾

真つ白な産着が真中初写真 金森教子

真つ白に雨がふるなり除虫菊 楠部九二緒

真っ白に明恵の咲かす茸なり 高澤良一 宿好

雪残る山田一枚真つ白に 右城暮石 句集外 昭和五十九年

誕生を待つ真つ白な毛糸玉 窪田光代

朝の白鳥真つ白の身をかざす 平畑静塔

冬蕪の真っ白な尻積みあげゆく 古沢太穂 三十代

梅雨茸の裏は真っ白反抗期 川村智香子

白木蓮過去真つ白にぬりつぶす 津田清子

盆棚に薯蕷(じょうよ)饅頭真つ白な 石嶌岳

盆棚に薯蕷饅頭真つ白な 石嶌岳

野葡萄のまだ真つ白に月を待つ 市村究一郎

梨齧る児に真つ白な永久歯 丸山依子

練馬野の月大胆に真つ白に 川端茅舎

六月や能の亡霊足袋真つ白 北野民夫


純白


かりんの実純白同志の看護婦らに 友岡子郷 遠方

しぶく濤の純白凍つる無明界 鷲谷七菜子 銃身

ひとり曇り紅葉の奥は純白に 金子兜太

ヨット純白 煙害の島肌を 截り 伊丹三樹彦

雲が見て過ぐ純白の毛糸編 林翔

遠花火思ひ出のみな純白に 田中とし子

夏手袋純白の刻たいせつに 猪俣千代子 堆 朱

夏濤の発端純白立志めく 香西照雄 素心

火口湖に純白の蝶舞ひ降りる 有馬朗人 母国

花野来て夜は純白の夜具の中 岡本眸

崖さむし海鵜の糞の純白に 矢島渚男 延年

街に雪この純白のいづくより 橋本榮治

干シャツ純白 墓山負うて 飄飄と 伊丹三樹彦

鑑真の寺純白の蓮開く 倉持嘉博

基地扼す大根純白且つ無数 町原木佳

菊純白にかなしみの香を放つ 飯田龍太

久しぶりに純白シーツ冬のバラ 皆吉 司

去年今年いま純白の睡り来る 千代田葛彦

競って純白 城 梅 結飯 旗日の旗 伊丹三樹彦

教堂に純白の壁原爆忌(神戸にて) 飴山實 『おりいぶ』

元日の川純白な鳥の胸 鍵和田[ゆう]子 武蔵野

狐火見し純白の夜を妊れり 斎藤愼爾 冬の智慧

口ケット純白地の汚穢に遺る者ら 神田はじめ

沙羅散るや純白かくも錆び易し 関礼子「逃げ水」

桜桃の花純白を通しけり 福田甲子雄

山百合の純白守り抜く香なり 廣瀬町子

子が持ち来夏純白の通知箋 相馬遷子 山国

師と仰ぐ面影椿純白に 檜垣長子

紙干しの純白結界 茄子咲く村 伊丹三樹彦

杓子菜の茎の純白葉へ伸びて 香西照雄 対話

若菜摘む空に純白天守と雲 林昌華

手を打てば純白の鯉年立てり 渡辺恭子

手袋に純白の白を借しまざる 山口誓子

秋扇のその純白を愛しめり 楠本憲吉 方壺集

春の嬰児山寺に純白の夜光 飯田龍太

春霞衣の純白こころとし 河野多希女

春霰純白永久の旅衣 野見山朱鳥 幻日

純白で私を避ける雪ばかり 櫂未知子 貴族

純白な鶏に冬日がまはり来る 阿部みどり女

純白にこころをのせて餅を切る 岡田 和子

純白に砕けたり冬濤の黝 酒井 京

純白に子をくるまんと編む毛糸 赤松[ケイ]子

純白に柩をつつみ冬に入る 有馬朗人 母国拾遺

純白のばらに咲かれて日々無為に 三橋鷹女

純白のマスクぞ深く受験行 岸風三楼 往来

純白のマスクを楯として会へり 野見山ひふみ

純白の結び目北風の遺骨一つ 成田千空 地霊

純白の幸福雪に散る椿 有馬朗人 母国

純白の砂漠に死にし黄金虫 仙田洋子 雲は王冠

純白の屍衣に翳なし雪満つ窓 内藤吐天 鳴海抄

純白の紙にひたひたと蟲の闇 神生彩史

純白の時間とまらず花辛夷 藤岡筑邨

純白の手袋も買ひそろへたる 西村和子 夏帽子

純白の初蝉にして快翔す 竹下しづの女句文集 昭和二十五年

純白の粧ひは何時子白鳥 林翔

純白の心に今日の花ひらく 阿部みどり女

純白の水泡を潜きとはに陷つ 三橋敏雄

純白の睡蓮われも目覚めよし 桑島啓司

純白の雪の進軍のかたちみえる 阿部完市 にもつは絵馬

純白の想像 影が肩たたく 穴井太

純白の棚の一線梨の花 酒向敏子

純白の点訳楽譜小鳥来る 丹羽啓子

純白の富士をたまはる十一月 川崎展宏 冬

純白の布巾揃へて初厨 芝 由紀

純白の服もて日焼子を飾る 林翔

純白の服着て旅す陽市は 阿部完市 無帽

純白の放つ光に百合の花 今橋眞理子

純白の眠りに入るや雪の鶴 渡辺 昭

純白の霧に夜明けて沼住ひ 石井とし夫

純白の鬱であり暗く大きな鱈 大西健司

純白へ試練まだある子白鳥 安居正浩

純白もて己れ縛せし春手套 田部谷紫

純白考 山茶花を見て 雲を見て 伊丹三樹彦

初釜や傘寿の衿を純白に 及川貞

初秋の純白をもて参籠す 加倉井秋を

初蝶の純白をもて墓地より来 能村登四郎

飾り羽子純白えらびくれしかな 加藤三七子

森に開く手帳純白日雀鳴く 橋本榮治 越在

身ごもれる子に純白の毛糸玉 渡部良子

睡蓮の純白のこす山の暮 桂信子 黄 瀬

息止まるほど純白のアマポーラ 吉原文音

太陽の純白の死の桜谷 攝津幸彦

大滝の音純白と謂つべし 深川正一郎

脱ぎ惜しむ手套純白海鳴る夜 鷲谷七菜子 銃身

朝の日に画布の純白小鳥来る 橋本榮治 麦生

朝戸出のマスク純白なるはよし 岸風三楼 往来

椿真紅椿純白霊気満つ 滝青佳

湯あがりの肌に純白のものを纒く 日野草城

白の中の純白手袋妻へ買ふ 本宮鼎三

白鳥の純白をわが炎とす 高松文月

白鳥の腋の純白恋兆す 平井さち子

白萩に神純白ををしむなく 竹下しづの女句文集 昭和十五年

白木蓮に純白といふ翳りあり 能村登四郎

白木蓮の純白といふ翳りあり 能村登四郎

半衿の純白好む風邪のあと 古賀まり子

斑雪より純白の鳥舞ひあがる 斎藤信義

枇杷の花らしからぬこの純白は 夏井いつき

百合純白検診に髪乱されて 岡本眸

文鳥の純白の秋老母のもの 西東三鬼

母の愛とは純白のさくら草 川原 和子

滅多打つ枯木枯木は純白に 赤尾兜子 蛇

木犀の香や純白の犬二疋 高野素十

夜具の襟純白にして桜の夜 鷹羽狩行

陽の射さぬ純白の椅子むごい微笑 堀葦男

緑星純白の夜は氷るらし 高屋窓秋

林火先生純白諸事言う村咲く 阿部完市 純白諸事

蓮落花泥にささりて純白に 中戸川朝人 残心

鴉の子純白の糞落としけり 西本一都 景色


雪白


あとかたもなし雪白の田の昨日 西東三鬼

ハンカチーフ雪白なりや富士曇る 岸田稚魚

遠山の奥遠山の雪白し 斉藤忠男

花赤く雪白しこゝに年くれぬ 年の暮 正岡子規

寒泳を了へ雪白のタオル纏ふ 内藤吐天

眼裏に雪白満たすメスの下 加藤知世子 花寂び

恵方嶺噴煙もまた雪白に 上田五千石 森林

枯山の上に忽として一雪白 栗生純夫 科野路

御中道堰きたる富士の雪白し 山口誓子

江凍てぬヨットクラブは雪白に 山口誓子

降る雪より積む雪白し避病棟 川村紫陽

紫紅経て雪白ヒマラヤ 遠見のチャイ 伊丹三樹彦

児のケープ雪白にして聖母祭 飯田蛇笏 霊芝

灼くる流沙の果は天山雪白にて 加藤秋邨

上京や霞の奥に雪白し 三宅嘯山

人形を納め帰りて雪白し 中田勘一 『雪礫』

吹雪くなか遠山襞の雪白し 鈴木貞雄

赤石の秀の雪白は尺余のみ 栗生純夫 科野路

切子見る雪白界を尾の内に 皆吉爽雨

雪白し加茂の氏人馬でうて 蕪村 冬之部 ■ 題七歩詩

雪白し天の霊嶺のすでに秋 石原舟月

雪白し飛ぶ雪ふりかけ谷の深しか 中川一碧樓

雪白に命薄きを妻と称ぶ 斎藤玄 クルーケンベルヒ氏腫瘍と妻

雪白に劣らじと葛晒しけり 江口井子

雪白のパン鴉がくはへ涼しけれ 山口青邨

雪白の牡丹に見たり円光を 瀧春一 菜園

雪白の晒を緊めて裸押 檜 紀代

雪白の手袋の手よ善き事為せ 中村草田男

雪白の身の央をゆく亡波郷 斎藤玄 狩眼

雪白の大きダリヤを常背負ふ 三橋鷹女

雪白の中に鴨見の目がつぶれ 平畑静塔

雪白の墓石に供華の金盞花 清崎敏郎

雪白の岬に消えるモナ・リザや 佐藤鬼房

雪白へ泣きじやくる吾子シヤツ干す妻 飴山實 おりいぶ

雪白を心にいざや梵天ヘ 林翔

暖房の雪白の壁もほてりたる 日野草城

冬濤を摶つ雪白の大き翼 内藤吐天

薄暑よし受贈の句集雪白に 亀井糸游

斑雪白不安充満して真夜 飯田龍太

碑の陰の碑に黐の花雪白に 加藤知世子

霧にねむる雪白の猫をかなしみき 加藤秋邨

毛衣の雪白他の子の上ぞ 石塚友二 光塵

優曇華や雪白の布灯いろさす 加藤楸邨

立やまの雪白竜ののたり哉 三浦樗良

煖房や手洗場の舗石雪白に 山口誓子

躑躅照る中雪白のザビエル碑 下村ひろし 西陲集


皚皚


カルストの白皚皚と冬隣 松崎鉄之介

よき庭や岩上馬酔木花皚々 山口青邨

炎天の白皚々の塩湖かな 森田峠 逆瀬川

下曽我の梅皚々の方十里 高澤良一 鳩信

河原石皚々天より下り藤 高澤良一 素抱

海猫の糞皚々宗谷暮れんとす 高澤良一 素抱

月の名をもち皚々と白牡丹 山口青邨

石山の石皚々と冬紅葉 高澤良一 燕音

雪皚々せめて琴の音こなたへ来よ 中村草田男

雪皚々王城の松美なる哉 雪 正岡子規

全貌を見せぬ雪嶺の白皚々 右城暮石 句集外 昭和三十三年

全貌を見せぬ雪嶺白皚々 右城暮石

満洲は皚々の花咲く頃なれば 山口青邨


蒼白


おしなべて蒼白の爪 母系族 楠本憲吉 隠花植物

かたちなきまで蒼白の梅雨の月 野見山朱鳥 愁絶

ごきぶりを打つ蒼白の刻にゐて 小澤克己

どの葱か深みにはまり蒼白に 中原道夫

ひたに蒼白晩秋の立ち岩は 佐藤鬼房

まどろみの後蒼白の牡丹かな 塚本邦雄

わが紅葉蒼白なればいちにちみる 阿部完市 にもつは絵馬

一瞬蒼白の踏切をおき喪の東北 金子兜太 蜿蜿

仮面とれば蒼白の貌ありにける 安住敦

夏休みむかし蒼白の大学生 山口誓子

月見草開く刹那の蒼白に 山口青邨

故郷の蒼白の文字と水の空 阿部完市 証

抗癌剤効きゆく桜蒼白に 中尾杏子

山霧を行かせ蒼白なり氷河 有働亨 汐路

司教にある蒼白の丘疾風の鳥 金子兜太

春暁や蒼白の馬街を去る 有馬朗人 母国拾遺

深昼寝して蒼白に起き出づる 能村登四郎

神戸という街僕という反吐旅蒼白 楠本憲吉 孤客

雪国の燈ぞ蒼白の水銀燈 山口誓子

雪残す山があなたで蒼白紀行 楠本憲吉 方壺集

蒼白きものふるへ来る月の霜 渡邊水巴 白日

蒼白き雲海に富士日の出待つ 沢 聰

蒼白き顔の過ぎゆく梅雨の街 桂信子 草影

蒼白き手もてはらひぬ春の蚊を 大野林火 海門 昭和十年

蒼白き蝉の子を掘りあてにける 三橋敏雄

蒼白くあぢさゐも病む雨の中 村山古郷

蒼白くかもしか佇てる岩の上 坊城としあつ

蒼白く夕かげりたる辛夷かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集

蒼白となりて入りゆくさくらかな 岸田稚魚 『雪涅槃』

蒼白な火事跡の靴下蝶発てり 赤尾兜子 虚像

蒼白に黎明のぼり凍りつく 成田千空 地霊

蒼白のキリスト水餅に触りて 小川双々子

蒼白の軍鶏のたましひ月夜なり 酒井破天

蒼白の国境にきて 哄笑ふかな 富澤赤黄男

蒼白の磔像肋らに夜露ため 後藤綾子

大綿に蒼白の渦浮きあがる 村上高悦

冬の虹水平線に蒼白に 中村苑子

布団いま面蒼白本曇り 高澤良一 暮津

片影を僧の蒼白来つ往きつ 殿村莵絲子 雨 月

母も来て見よ四弁蒼白なるどくだみ 鮫島康子

宝恵篭の妓の蒼白に降り立ちぬ 楠本憲吉 孤客

万緑を抜けし列車は蒼白に 小林 武

勿忘草「蒼白傲岸婦女」いまも遥か 中村草田男

離陸後に会う既望の蒼白と 澁谷道

流氷の蒼白に日をとどめをり 佐藤 国夫

暦日を詰め蒼白の新日記 楠本憲吉 孤客

蕨ひく山の大きさなど蒼白 松澤 昭

瞑れば蒼白なりし羽抜鶏 能村登四郎


白白


しろじろとうなじをのべて昼寝かな 日野草城

しろじろとくだけて寒き仏かな 太田鴻村 穂国

しろじろとむかるる梨なればしたたり 荻原井泉水

しろじろと安女(やすめ)太郎次相擁く 毛利 令

しろじろと一月をはる風の畦 綾部仁喜

しろじろと越後くにはら夜の出水 斉藤美規

しろじろと花を盛りあげて庭ざくらおのが光りに暗く曇りをり 太田水穂

しろじろと金の仏も黴びたまひ 山口青邨

しろじろと月の残れる淑気かな 柴田美枝子

しろじろと月暁けてをり寒稽古 辻岡夏人

しろじろと月光わたる木の芽道 山本智恵子

しろじろと顕ちて真闇の滝の丈 伊東肇

しろじろと春日に甍反りゆけば危うく自恃を喪わんとす 大野とくよ

しろじろと洗ひざらしぬ夏の足袋 西島麦南 人音

しろじろと草木吹かるる厄日過ぎ 片山由美子 水精

しろじろと地梨を咲かせ御師の家 西本一都 景色

しろじろと遅き梅あり藪の中 水原秋櫻子 葛飾

しろじろと豆腐が沈みゐたる午後 小沢青柚子

しろじろと道通りたり祭あと 相馬遷子 山河

しろじろと日は流るるよ散る柳 堤 まさ子

しろじろと病ひを包む春コート 岡本眸

しろじろと風流れゐる切籠かな 吉田速水

しろじろと蔽ひて広し露葎 阿波野青畝

しろじろと母が前掛け羽織の前 中村草田男

しろじろと頬杖たてぬ梅雨安居 赤松[ケイ]子

しろじろと霧の姥捨山があり 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす

しろじろと夜がうねりだす花万朶 那須淳男

しろじろと夜風に揺れて蝉の羽化 岡本昭子

はまゆふに雨しろじろとかつ太く 長谷川素逝

ビキニ忌のしろじろとして海の照り 衣川次郎

ふと羨し息しろじろと地を嗅ぐ犬 川口重美

烏瓜の花しろじろと由布泊 松村越子

河口に浪しろじろと寄り吾子も夏へ 金子兜太 少年/生長

花茗荷しろじろ命燃えてゐし 大石悦子 群萌

海芋生けしろじろいのちありにけり 小坂 順子

海苔干場けふ海苔のなき影しろじろ 中村草田男

干されたる萱しろじろと暮れにけり 阪本早苗

岩走る水しろじろと秋の声 小倉虹男

曲水の夜もしろじろと花筏 冨田みのる

黒屋根の壁しろじろと昼寝どき 鷹羽狩行

窄き門額しろじろと母を恋ひ 川端茅舎

鮭のぼる川しろじろと明けにけり 皆川盤水

手巾の白白として男かな 松本たかし

秋の雲しろじろとして夜に入りし 飯田蛇笏

秋の繭しろじろ枯れてもがれけり 飯田蛇笏

春潮といへどしろじろ曇りけり 藤田湘子 途上

初螢得てしろじろと夜のありぬ 大石悦子 群萌

焼鮎の塩しろじろと熱いかな 日野草城

信楽の涼夜しろじろ狸腹 能村登四郎

信楽の涼夜をしろじろと狸腹 能村登四郎 天上華

神の寒巌にしろじろ鳥の糞 鷹羽狩行

水筒の捨湯しろじろ冬の草 岡本眸

雪山に雪の道あり白白と 松本たかし

早稲の花しろじろと夏忘れ酒 佐野良太 樫

大熊手かつぐしろじろ夜靄ひき 石原八束 空の渚

大蕪しろじろ洗ふ夢の母 松村多美

滝の白残雪の白白同じ 山口誓子

昼の虫しろじろ息を交はしけり 岩田昌寿 地の塩

冬服や襟しろじろとつつがめく 飯田蛇笏 山廬集

梅雨ふかしくろぐろとまたしろじろと 橋閒石 微光以後

白白と塵降れる室に騒がざる 三橋敏雄

白白と脆き岩なり枯芒 松本たかし

姫女苑しろじろ暮れて道とほき 伊東月草

普賢象と申ししろじろ桜わが 山口青邨

父逝きしこの世しろじろ萩月夜 櫛原希伊子

風花の人の面輪のしろじろと 山口青邨

並木がまつ直ぐに路はしろじろ 尾崎放哉 大正時代

放浪もさらしくぢらもしろじろと 藤田湘子 神楽

夜濯ぎの物しろじろと駅舎裏 大村道子

野分の雨止みたる水がしろじろと 右城暮石 句集外 昭和二十二年

里山の明けしろじろと柄長群れ 安西篤

流さるる蚕しろじろ芦に寄る 石原舟月

隣子貼つて灯のしろじろと豫後を住む 石原舟月 山鵲

囁きの息しろじろと嫁ぐとや 鷲谷七菜子 黄炎

鶯や山川の瀬のしろじろと 日野草城


生白


まんじゅさげ生白の茎にょきにょきと 高澤良一 宿好

引きぬきし十薬の根の生白さ 横山房子

蟻はらふときわが肘の生白さ 百合山羽公 故園


青白


サラダ菜の青白をはりはりと噛む 日野草城

甘酒青白禽獣をかぞえはじめる 阿部完市 軽のやまめ

瀬に返す石青白し*ごり掬ふ 右城暮石 天水

浅漬の瓜の青白噛むひびき 日野草城

落ちて間なき岩滝壺に青白し 右城暮石 句集外 昭和三十三年

壺焼の火の青白し夜の宴 大野林火 雪華 昭和三十九年


乳白


巨いなる乳白の灯の静謐よ 日野草城

冬空の乳白の裾飢すがし 佐藤鬼房

乳白の薔薇月明に抽ん出て 佐藤鬼房

毛ごろもは漆黒に人は乳白に 日野草城



以上


by 575fudemakase | 2018-11-07 11:33 | 無季 | Trackback | Comments(0)

赤色 あれこれ

赤色 あれこれ


紅蓮 真紅 唐紅 鮮紅 真っ赤 赤赤


紅蓮

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真紅

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唐紅

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鮮紅

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真っ赤

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赤赤

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以上


by 575fudemakase | 2018-11-07 09:47 | 無季 | Trackback | Comments(0)

赤赤

赤赤

あかあかとあかあかあかとまんじゆさげ 角川春樹(1942-)
あかあかとイクラ丼雪もよひ 辻 桃子
あかあかといざよふ月の熊野灘 夏目隆夫
あかあかとわが行く歩道とほりたりゆく手の蔵王に雲ひとつなし 結城哀草果
あかあかとわが死後はかの唐辛子 平井照敏 猫町
あかあかとをとこが創る今年の火 小松崎爽青
あかあかと杏熟れたり梅雨曇り 内藤吐天
あかあかと一と夜の旅の花柘榴 石塚友二 光塵
あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり 斎藤茂吉
あかあかと一夜の旅の花柘榴 石塚友二
あかあかと鵜匠は夜の漢かな 旭蝸牛
あかあかと駅よ線路よ終戦日 原田喬
あかあかと火を焚き年を歩ましむ 野澤節子 存身
あかあかと柿万燈や神の留守 石塚友二 磊[カイ]集
あかあかと萱と墓透く冬没日 森澄雄
あかあかと菊の咲きたる稲架を解く 岸本尚毅 舜
あかあかと吉野は藷を洗ひあげ 日原傳
あかあかと琴落ちているみち落ちている 阿部完市 にもつは絵馬
あかあかと月の障子や亥の子餅 服部嵐翠
あかあかと見えて夜振の脚歩む 軽部烏頭子
あかあかと己れ欺き返り花 中村正幸
あかあかと紅葉は焚きぬいにしへは三千の威儀おこなはれけむ 前川佐美雄
あかあかと麹のいのち冬隣 長谷川櫂 天球
あかあかと今生の柿夫に買ふ 昆ふさ子 『冬桜』
あかあかと山火の裾の阿修羅像 中田剛 珠樹以後
あかあかと山車灯し過ぐ風邪心地 内藤吐天 鳴海抄
あかあかと山焼のさま金屏に 武藤紀子
あかあかと酸の密集プラムの核(さね) 高澤良一 寒暑
あかあかと飼ひ馴らすべし鎌鼬 黒田杏子
あかあかと秋暮終りぬ樹林の家 金子兜太
あかあかと熟れてトマトの見捨てられ 山田まや
あかあかと春の雪ふる金魚玉 斎藤愼爾 冬の智慧
あかあかと藷ゆたけしや茎漬も 石田波郷
あかあかと藷洗ひあげ終戦日 高澤良一 ねずみのこまくら
あかあかと障子ともれば虫の宿 百合山羽公 春園
あかあかと唇塗る梅に負けぬやう 仙田洋子
あかあかと雛栄ゆれども咳地獄 石田波郷
あかあかと赤痢の家は灯を泄す 日野草城
あかあかと茶碗焼かるる春氷 長谷川櫂 天球
あかあかと通夜の焚火をうち囲む 鈴木 昭次
あかあかと底にさす日や晒井 会津八一
あかあかと天地の間の雛祭 宇佐美魚目
あかあかと点してみても秋灯かな 中村苑子
あかあかと灯して春の風邪ごこち 西山誠
あかあかと灯や向日葵の裏は海 大野林火 月魄集 昭和五十四年
あかあかと日の沈みゆく枯野かな 長谷川櫂 虚空
あかあかと日はつれなくも秋の風 松尾芭蕉
あかあかと日は難面(つれなく)もあきの風 芭蕉
あかあかと日は難面くも秋の風 松尾芭蕉
あかあかと日は難面もあきの風 松尾芭蕉
あかあかと白樺を透く雪解川 飯田蛇笏 雪峡
あかあかと風の上なる椿の実 今井杏太郎
あかあかと夢に綿打つ晩夏かな 小檜山繁子
あかあかと木魚は寒きいきを吹き 川端茅舎
あかあかと野は貧にして富栄えぬ 高屋窓秋
あかあかと野を焼くダヴイデひそむ野を 有馬朗人 天為
あかあかと落葉松林時雨れけり 相馬遷子 山河
あかあかと竜飛の海におつる日をおきざりにする如く帰り来 佐藤佐太郎
あかあかと寶珠のごとき月のぼる 角川春樹(1942-)
あかあかと屏風の裾の忘れもの 波多野爽波
あかあかと柩の底に冬林檎 藺草慶子
あかあかと熾りたる火や冬座敷 久保田万太郎 流寓抄
あかあか燃える火が、ふと泊る 種田山頭火 草木塔
あかしやの花を食べ擬宝珠の花を食べわが胃あかあかとなほ営めり 斎藤史
あをあをとあかあかと絵や種袋 浜 秋邨
イブの夜を沖にあかあか異国船 石川鹿童
くろぐろと行きあかあかと除夜詣 渡辺啓二郎
しとしととあかあかと雨の大文字 矢野 絢
ちちははや炉火あかあかとぢぢばばよ 平畑静塔
つる草はほろびのはてにあかあかと虚空に一つ実を育てたり 玉井清弘
とびとびに家あり柿のあかあかと 小野淳子
ひとつ家の燈のあかあかと魂祭 福田蓼汀 山火
雨後漂水山赤赤と村哀し 金子兜太
鵜の篝夜の殺生の赤々と 橋本多佳子
鵜篝やいのちあかあか人も鵜も 鍵和田[ゆう]子 浮標
黄塵の障子あかあかと日のびけり 川島彷徨子 榛の木
河口家族へ あかあか燃える 師走の魚 伊丹公子 メキシコ貝
火の山の火のあかあかと復活祭 有馬朗人 天為
火の神へ紙赤赤と初御願 當間シズ
寒々と赤々と正一位かな 岸本 尚毅
顔遠しあかあかと冬の人にまみれ 赤尾兜子 蛇
顔見世の京に入日のあかあかと 久保田万太郎 流寓抄
喜雨の灯のあかあかとして更けにけり 清崎敏郎
蟻地獄あかあかと日の果てにいる 中村加津彦
急ぐ蟻にもあかあかとつれなき日 後藤比奈夫
牛のふぐりあかあかと行く祭かな 岩田 諒
錦鯉跳ねて赤赤響きけり 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
軍人の家夏の夜をあかあかと 中村草田男
穴に入る蛇あかあかとかがやけり 沢木欣一
血縁を継ぐ赤赤と蕁麻疹 和田悟朗
鍵穴の大きく棗あかあかと 田中裕明 先生から手紙
枯野来て汽罐あかあかと口ひらく 飴山實 おりいぶ
御所柿のさも赤々と木の空に 上島鬼貫
紅葉を出て腹まで真赤赤い犀 金子兜太
黒姫の雪にあかあか沈む日は谷こえて黙すわが父に射す 田井安曇
昨日今日明日赤々と実*はまなす 成田千空「白光」
鮭のぼる肉の襤褸のあかあかと 小檜山繁子
錆止めをあかあか塗りて年用意 高澤良一 随笑
三日経て恥あかあかと滑 山口広子
山姥の顔あかあかと門火かな 沢木欣一
死後もまたあかあかと火を雪の上 有馬朗人 知命
耳朶に日のあかあかと卯波かな 岸本尚毅 鶏頭
秋のセルあかあか燭し夜も教師 能村登四郎
秋の蛇舌あかあかと押し進む 和田悟朗
舟虫や灯のあかあかと青畳 加藤楸邨
春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕 北原白秋
松へ雪いまもあかあか屠馬裂かれ 宇佐美魚目 秋収冬蔵
焼夷弾あかあかひらき年明けぬ 加藤秋邨
上円き月あかあかと西に照る氷の上も血ににじみたる 尾山篤二郎
新参の身にあかあかと灯りけり 久保田万太郎
身のうちを炉火あかあかとめぐるなり 橋本鶏二
身のうちを爐火あかあかとめぐるなり 橋本鶏二
正月の夕日あかあか曼荼羅図(当麻寺) 細見綾子
製茶場の灯のあかあかと夜もすがら 森田かずを
赤々とさけり日を見ぬ沢つばき 完来
赤々とピラミドかけて月上る 寺田寅彦
赤々とまれに青々烏賊火燃ゆ 後藤比奈夫
赤々と烏賊火は遠し寝るときも 桂樟蹊子
赤々と咲いてま哀しひがんばな 日野草城
赤々と酒場ぬらるる師走かな 前田普羅
赤々と酒場ぬらるゝ師走かな 前田普羅 普羅句集
赤々と酒酔星や盆踊 肥田埜勝美
赤々と杉の葉交る斑雪かな 加瀬美代子
赤々と朝日卒寿の神無月 阿部みどり女
赤々と毒あるものも木の実降る 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
赤々と肉ひろげたる薬喰 千原草之
赤々と年輪みえし年木かな 加藤三七子
赤々と百日紅の旱かな 百日紅 正岡子規
赤赤と氷の音が殺し合う 川崎真彌
赤々と風さかのぼる枝椿 西山泊雲 泊雲句集
赤々と夜空縮みて虫送り 中西舗土
赤々と熾りたる火や冬座敷 久保田万太郎
赤々のあらもの~し門の松 三宅嘯山
切株のあかあかと鳥引き了へぬ 岡本眸
雪とべり蔦あかあかと芽吹けるに 有働亨 汐路
雪夜赤々汝が忌の燭を母の手に 金子晃典 『望郷独語』
戦後の子紅葉のうらに赤々と 中村草田男
禅僧が捨てて赤々牡丹の芽 加藤知世子
喪籠りの燭赤々と蕗を剥く 詫摩まつ子 『卒寿』
早蕨やあかあかと火の曼荼羅図 長谷川櫂
草市の星のはじめはあかあかと 上田日差子
草市や星のはじめはあかあかと 上田日差子
大きめの口あかあかと瓜提灯 高浜朋子
大竃あかあかと稲はこばれぬ 柴田白葉女 遠い橋
大寒の耳あかあかと洗ひ髪 岡本眸
炭火吹き顔あかあかと獄出しなり 秋元不死男
断崖の松あかあかと冬に入る なかのまさこ
竹林の洩れ日あかあか鶴啼けり 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
筑後路や麦焼きの火の赤々と 森永英子
虫追ひの火にあかあかと男かな 水田光雄「田の神」
朝あけの榾火あかあか鵜に熾す 岡井省二 明野
朝市の飛騨の蕪のあかあかと 山田 静穂
沈みゆく日はあかあかと冬木立 大和 美人
蔦の芽のあかあかおつつけ降り出さむ 高澤良一 ももすずめ
土用の日たちまふ鷺にあかあかと 瀧春一 菜園
東あかあか指の繃帯のようにはぐれる人 西川徹郎 瞳孔祭
灯あかあか寒夜熱して精米所 大野林火 雪華 昭和三十八年
楢栗の幹にあかあか秋日射 山口青邨
日の出前より赤赤と椿炭 平畑静塔
日月のあかあか椿白椿 高澤良一 宿好
俳優のあかあかと立つ夕焼川 平井照敏 天上大風
肺病んで炉火赤々と胸に浴ぶ 中山純子
肺病んで炉火赤赤と胸に浴ぶ 中山純子 茜
梅雨の渋滞テールランプの赤赤赤 高澤良一 素抱
夫婦なれば黙せり炭火あかあかと 山口波津女
浮浪児の目があかあかと焚火育つ 田川飛旅子 『花文字』
仏具屋のあかあか灯りゐる良夜 茂里正治
抱かれし野鯉あかあか鉄砲水 金子兜太
末枯のあかあかと新幹線通過駅 一ノ瀬タカ子
夜業終へ福神漬の赤々と 山口昭男
夜神鳴り肉体あかあかと生木 奥山甲子男
夜徹しの船あかあかと雪の村 長谷川櫂 天球
野は林檎町はあかあか晩鴉に満つ 中村草田男
油障子ともりあかあか猪を売る 山口青邨
夕萱に日やあかあかと谷崎忌 青木綾子
夕日あかあか浴衣に身透き日本人 中村草田男
夕方の日が赤々と磯千鳥 星野立子
夕立の法燈二つあかあかと 高野素十
裏山に日が赤々と秋蚕かな 小笠原和男
鈴蘭の実のあかあかと墓を訪ふ 廣瀬之扶子
藁灰の火のあかあかと雨の雁 福島勲
曼珠沙華天与の時はあかあかと 乾燕子
囀やあかあかと積む松の薪 宇佐美魚目
扁桃腺赤々として雨水かな 仲原山帰来
枸杞の実の夕赤々と人若し 天野龍斗
睫毛は蕊かまくらの中あかあかと 成田千空
鮠を焼く炭火あかあか真室川 田川飛旅子
鰒汁の宿赤々と燈しけり 蕪村

by 575fudemakase | 2018-11-07 09:14 | 無季 | Trackback | Comments(0)

真っ赤

真っ赤

「日の丸」が顔にまつはり真赤な夏 中村草田男
いゝぎりの実もて真赤な空ありぬ 飴山實 句集外
いけかへてグラヂオラスの真赤かな 松葉女
ヴァレンタインの日なり灼かれて真赤な鋲 見学玄
うそ寒の爪先に落ち真赤な葉 鷲谷七菜子 游影
うめもどきの真赤感謝のようにあり 北原志満子
オリーブの真赤に熟れて放哉碑 野上美代子
お向ひの壁が真赤で夜なべ鍛冶 藤木清子
お涅槃の頬の真赤な男の子 飯島晴子
かけ金の真赤に錆て寒哉 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
ガスマスクやけに真赤な雲だけだ 平畑静塔
ガソリンの真赤き天馬春の雨 富安風生
くちづけのあとの真っ赤なトマト切る 大高 翔
くびられて山鴉天下真赤なり 中村苑子
ここで昼餉真赤な夏の花佇つゆゑ 中村草田男
こんど来るときは真赤なスキー欲し 後藤比奈夫
さいころの一の目真つ赤雪の国 蝦名石蔵
さびしくてならぬ真赤に火をおこして 阿部完市 無帽
サルビアの真赤な殺し文句かな 徳永球石
サルビヤに真っ赤な風が起ちにけり 高澤良一 寒暑
ジヤケツ真赤く縄飛はまだ出来ず 富安風生
ストーヴを真赤に焚いて蕪村論 太田寛郎
ストーブの真赤受験期どつと来し 宮坂静生 青胡桃
せわしさのふと梅もどきもう真赤 清水素生
たら~と日が真赤ぞよ大根引 川端茅舎
たらたらと日が真赤ぞよ大根引 川端茅舎
ダリヤ真赤に熾んな自己主張 山岡敬典
トマト真赤みな子をつれてきょうだい寄る 古沢太穂 三十代
トマト真赤みな子を連れてきようだい寄る 古沢太穂 古沢太穂句集
トランペット晩夏真赤にまつくらに 小檜山繁子
ななかまど真つ赤盲学校の坂 佐藤淑子
なんばんが真つ赤山の日山の風 冨舛哲郎
はつ日かげさすや真赤の寉ヶ岡 東皐
バレンタインの日なり灼かれて真赤な鉄 見学 玄
ハンカチもネオンで真赤心せはし 中村草田男
ポインセチアの真つ赤をもつて祝福す 山崎ひさを
ポインセチア抱いて真赤なハイヒール 西坂三穂子
ほうずき露に真赤鉈彫り微笑仏 古沢太穂 捲かるる鴎
ボートの腹真赤に塗るは愉快ならむ 西東三鬼
また外れ真っ赤な嘘の油照 高澤良一 寒暑
みじかきは真赤の花の立葵 高木晴子 晴居
みちのくの頬の真赤な雪女郎 渡辺二三雄
みどり児が真っ赤になりて力むとき身丈かすかに延びているらし 土岐恭子
みんみんの響く真赤な砂糖壺 山田径子
メスの記憶真赤な花の地に噴き立つ 野澤節子 未明音
わたしには氷いちごの真っ赤なやつ 高澤良一 ぱらりとせ
杏の核真っ赤に蟻の総掛かり 高澤良一 随笑
一位の実真赤ぞ義仲挙兵の地 江崎成則
一筋に秋や真赤な蟻の道 小檜山繁子
一聯の世にも真赤な唐辛子 遠藤梧逸
芋串にかこまれて炉の炭真赤 大野林火 飛花集 昭和四十七年
烏瓜一つ真赤に不埒なる 浅野昭治
雨貧し花でも真赤に画いてやれ 岡部六弥太
嘘つかぬ舌も真つ赤ぞかき氷 橋本榮治 越在
嘘はいや真赤な薔薇の棘ささる 伊藤道子
雲の裏真赤に燃えて冬木立 梅田ひろし
遠足ややつれし顔が真赤な師 中村草田男
奥阿仁駅しぐれ真赤な箱ポスト 田村九路
鴎翔ぶ晩夏の腋の真赤なり 小檜山繁子
黄いろなる真赤なるこの木瓜の雨
下闇に宮も鳥居も真赤なり 木下闇 正岡子規
何か言へ鬼灯むいて真赤なり 加藤楸邨
何もかも真赤に見える梅漬けて 能村登四郎
家出づる頭上鬼凧の舌真赤 加藤知世子 花寂び
火ぞ真赤雪にけぶらしそれに生きる 赤尾兜子 蛇
火掻棒真赤や雪中にて異郷 小檜山繁子
禾負けの肌を真赤に麦脱穀 大熊輝一 土の香
蚊に刺さる箇所の真っ赤に掻き壊す 高澤良一 暮津
我が供華真赤椎落葉から薮柑子 中村草田男
我の「孤独」は「真赤な血」なるを鵙も知らぬ 中村草田男
海とほき国ぼうたんの日が真赤 鍵和田[のり]子
海神の真赤な歓喜上元会 下村ひろし
絵日記の西瓜真赤に熟れてをり 北見さとる
咳き込んで真赤な薔薇のたちあがる 阪本道子
柿一つ、たつた一つが真赤にうれた 種田山頭火 自画像 落穂集
柿真赤弔者五人の通夜の座に 大野林火 白幡南町 昭和三十年
寒晴の吊りて真赤なフライパン 小檜山繁子
寒木瓜真赤滔々と嘘すすみゐて 加藤秋邨
干布団真赤朱欒は枝に垂れ 高野素十
祈祷師のセーター厚く真赤なる 岩崎照子
鬼の豆食ふ夜真赤に癩の炉火 村越化石
鬼殻の真赤なスープ暑気払ふ 野沢節子
鬼灯の真赤わたくしごころかな 岡井省二 山色
鬼灯や真赤な嘘を吐く女 野村喜舟
鬼殼の真赤なスープ暑気払ふ 野澤節子
亀の鳴くこゑを真赤と思ふなり 鈴木鷹夫 千年
牛通りすぎてすかんぽ真赤なり 内藤吐天
牛通り過ぎてすかんぽ真赤なり 内藤吐天
虚の壁のやぶれ真赤に寒椿 和田悟朗 法隆寺伝承
仰臥さびしき極み真赤な扇ひらく 野澤節子 未明音
銀杏散る中へ真赤なポルシェゆく 小川背泳子
空真つ赤妻に秋刀魚を買はせをり 町田しげき
空梅雨の夕日真赤に落ちにけり 小林一行
鶏のとさか真赤や涅槃西風 尾川政人
鶏頭の真赤な稲を刈りにけり 斉藤美規
鶏頭生けし真赤な水を替へにけり 林翔
月の餅搗くや鶏頭真赤なる 渡辺水巴
犬の舌枯野に垂れて真赤なり 野見山朱鳥 曼珠沙華
厳冬のトマト真赤に情死行 岸本マチ子
古城趾の冬日真赤に四郎の忌 原 菊翁
枯櫟原厳冬の旭を真赤透く 森 澄雄
狐火や真赤な紐の落ちてゐて 藺草慶子
向かいの壁が真赤で夜なべ鍛冶 藤木清子
向日葵と塀を真赤に感じてゐる 白泉
紅葉を出て腹まで真赤赤い犀 金子兜太
耕衣忌のアスパラガスの実が真つ赤 村上幸子
降誕祭布教所真赤な新車来て 鍵和田[ゆう]子 未来図
高層より真赤な金魚提げてくだる 加藤秋邨
今日の余白に真赤な炭と碁盤の斑 平井さち子 完流
妻へ帰る大地真赤や秋の暮 榎本冬一郎 眼光
坂に見て冬日真赤な操車場 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
昨夜真赤な満月ありき東国寒し 金子兜太
傘寿過ぎの夫の真赤な春帽子 中森百合子
山蔭にゆふべ真赤な石を切る 渡邊白泉
山蟻や割れて真赤な桃の幹 長谷川櫂 天球
山寺で商ふ真っ赤な渋団扇 高澤良一 素抱
山寺に筍を炊く火が真つ赤 鈴木鷹夫 春の門
山椒の実が真赤ぞと山の母 飴山實 花浴び
子烏の口中不気味なる真赤 山口 笙堂
子等の絵に真赤な太陽吹雪の街 金子兜太
死ぬときは真赤なドレス鰯雲 小笠原慶子
死の顔の笑みけり唐辛子の真赤 豊山千蔭
死顔覆いやる真赤なうすい冬の花 古沢太穂 火雲
寺町の真赤なポルシエ灼けてをり 佐々木悦子(帆船)
自転車が倒れて真つ赤田植寒 佐々木六戈 百韻反故 初學
七輪の口が真赤に春来る 河野静雲 閻魔
実南天紅葉もして真赤也 花蓑
実南天二段に垂れて真赤かな 富安風生
斜塔となつて見かへれば寒い真赤な絶景 高柳重信
灼けず濡れず真赤な水着肉余る 下田稔
手毬真つ赤堅き大地に跳ね返り 河内静魚
秋水へ真赤な火から煙来る 中村草田男
秋赤城真赤に酔つてはぐれ鳥 金子兜太
秋蝉や槐多の裸僧真赤なり 原田喬
秋落日妻子かげなき真赤な顔 中村草田男
春の月真赤な箱が帰りけり 清水東洋子
春の蝉魚の切口真赤なり 飯田龍太
春著真赤時計も持たぬ齢よし 中村草田男
春日落つ涯や南支那海ただ真赤 山口青邨
初刷の真赤な日の出佳かりけり 野沢節子
小原村土手に真赤な酸葉の芽 渡辺昌代
小春日の章魚は真赤に染められし 川端茅舎
松笠の真赤にもゆる囲炉裏かな 村上鬼城
焼酎の中に真っ赤な人体図 井沢唯夫
常夏の真赤な二時の陽の底冷ゆる 尾崎放哉 大正時代
信頼せり靴下の真赤な男 阿部完市 証
真っ赤か十日戎の日暮れ雲 高澤良一 暮津
真っ赤な魚が獲れ蚕豆の花ざかり 瀧 春一
真実は一つチューリップ真赤 木田千女
真赤い野生のチユーリツプ久女の墓 藤岡筑邨
真赤なり西洋種の赤南瓜 高野素十
真赤なるもの干しにけり夏の草
真赤なる河内の月に夜鷹啼く 大峯あきら
真赤なる汽罐車過ぎぬ秋の暮 山口誓子
真赤なる野火の彼方にはす心 細谷源二 砂金帯
真赤なる友蟹の骸曳き帰る 山口誓子
真赤な花咲きつぐゆゑに蝉減らず 野澤節子 未明音
真赤な日落ちゆくことも猟名残 石井とし夫
真赤にしぐれも待ず唐がらし 諷竹
神の留守ポスト真赤く立てりけり 藤岡筑邨
人の死や納屋に真赤なとうがらし 北原志満子
人を分け真赤な燠の運ばるる 長谷川櫂 天球
水洟やどこも真赤な実南天 爽波
清汁(すまし)椀の見込真赤や飢餓透し 三橋敏雄 畳の上
清汁椀の見込真赤や飢餓遠し 三橋敏雄
聖誕祭冷蔵庫より真赤な肉 上田五千石『田園』補遺
雪の峰真赤になりて入日かな 河東碧梧桐
雪山に日が真赤ぞな薺打 岸田稚魚 紅葉山
千年の節目に唐辛子が真赤 歌津絃子
浅草と書きて真赤な団扇かな 藺草慶子
壮年過ぎし後ろ真赤や曼珠沙華 伊東昌信
草に置くザイル真赤に滝こだま 飯田龍太
草枯に真赤な汀子なりしかな
霜月のめぐすりの木の葉が真つ赤 山田みづえ 草譜
足元の真赤な冬の夕焼かな 石田郷子
大寒や真赤な苺店先に 逸見静江
大木の雪真赤なる火事明り 井上白文地
沢蟹を獲る手真赤にしてゐたり 茨木和生
奪衣婆の口中真つ赤威銃 蓬田紀枝子
狸汁花札の空月真赤 福田蓼汀
狸汁花札の月空真赤 福田蓼汀
地図にないここは真っ赤な風岬 津沢マサ子
着ぶくれてゐて愛などと真赤な嘘 伊藤トキノ
直視あるのみ夏は真赤な花愛し 藤田湘子
沈む日の真赤を囃し鳰の鳴く 石井とし夫
椿真赤嫉みアダムのむかしより 稲垣きくの 黄 瀬
鉄工葬をはり真赤な鉄うてり 細谷源二 鐵
鉄工葬終り真赤な鉄打てる 細谷源二
伝説の途中真赤な椿落つ 大盛和美
土砂降りへ人参真赤にぬきはなつ 秋山淡適
土用灸真赤な雀飛びちがふ 菅裸馬
怒り型なる唐辛子真赤くふもならず 加藤知世子 花寂び
冬ざれの牛に真赤な唐辛子 大貫弘司
冬の海かへり見すれば日の真赤 椎橋清翠
冬の星暗し山の灯真赤なり 阿部みどり女
唐辛子真っ赤子育て奮闘記 福本五都美
桃子今日は真赤な服を着て秋晴 村山古郷
毒茸や赤きは真赤黄は真黄 正岡子規
鳶のこゑ島の椿を真っ赤にす 高澤良一 宿好
敗戦の年の真赤な天井守 川崎展宏 冬
梅雨貧し花でも真赤に画いてやれ 岡部六弥太
梅漬の種が真赤ぞ甲斐の冬 飯田龍太
鳩の街溶けて真赤な氷水 佐川広治
晩稲刈真赤なものを置きにけり 大峯あきら 鳥道
緋鯉うかみでて顔真赤水澄めり 池内友次郎 結婚まで
尾を振れば一面真つ赤金魚玉 小泉洋一(花鳥来)
美ヶ原走る真赤な雪上車 行実みよ子
姫杉の真赤に枯れしあつさ哉 正岡子規 暑
氷下魚釣る夜は真赤な頭燈つけ 若木一朗
氷水真っ赤なやつに歯が浮いて 高澤良一 暮津
苗を植う秋は真赤なかまつかの 林原耒井 蜩
苗代の奥の真赤な松林 飯田龍太
貧しさの村の真赤な七かまど 吉田 慶子
不断燈仏の林檎真赤にす 林火
武者ねぶた瞋恚も恋も真赤ぞよ 行方克巳
葡萄酒はロゼでジヤケツは真赤なる 石田勝彦 雙杵
風の芥子真っ赤にさだかならぬ記憶 木下夕爾 遠雷
風邪熱のあやつる夢の蝶真赤 上村占魚 『自門』
風吹いて故郷明るし真赤な父 阿部完市 絵本の空
服真赤なり枯草を踏みもして 清崎敏郎
福寅の口真赤なる鞍馬かな 辻田克巳
仏前に柿が真赤よ農の葬 大熊輝一 土の香
母よ藷が真赤に晩年もいいね 北原志満子
豊年や夕焼真赤な馬の面 森澄雄
忘れざるために真赤な落葉踏む 石寒太 翔
忘年や真赤な薔薇の束を抱き 吉田トヨ
麻刈りに楕円真赤な日がのぼる 佐藤鬼房
末枯に真赤な富士を見つけゝり 内藤鳴雪
末枯れて真赤な富士を見つけたり 内藤鳴雪
繭玉の中に真赤な大きな玉 京極杞陽
万歳や真赤な月の雑木山 辻桃子
霧笛鳴り真赤な蟹は食はれゆく 加藤秋邨
椋鳥とんで妻にかがやく西真赤 飴山實 おりいぶ
目隠しの中が真つ赤や福笑ひ 阿部静雄
夜祭の秩父別して真赤なり 落合水尾
野に咲けど渋民村辺真赤な百合 中村草田男
野の農夫活かす血真赤か鯉幟 中村草田男
夕焼の真赤に御用納かな 藺草慶子
夕日真赤に湖へ葉ふるふ若狭柿 西村公鳳
夕陽に熟柿いよ~真赤なる 寺田寅彦
溶鉱炉注連飾して真赤なり 富安風生
熔鉱炉注連飾して真赤なり 富安風生
葉鶏頭の露真白にも真赤にも 高浜虚子
葉桜や真赤な夕日揉み揉まれ 加藤秋邨
葉桜や真赤に洗ふ消防車 百合山羽公 故園
踊らんかな(瀕死)真赤な血の手拍子 高柳重信
来る年のための真赤な魚かな 如月 真菜
来年ハ真赤ニ咲クゾ梨ノ花 石寒太 炎環
落日をゆく落日をゆく真赤い中隊 富澤赤黄男
酪農の掌の真赤なる霧の中 久米三汀
林檎食べ真赤な寝巻母と臥す 中村草田男
林檎真つ赤唖者の頷き幾たびも 成田千空 地霊
林檎真赤五つ寄すればかぐろきまで 野澤節子 未明音
輪島塗真赤朝市唐がらし 百合山羽公 樂土
冷し牛夕日いよいよ真赤なり 村山古郷
恋よ夢よ橋のたもとの真赤な実 林原耒井 蜩
路次路次に真赤な月を伊賀上野 加藤秋邨
六月や真言宗が真赤なり 原田喬
藁屋根に干されて真つ赤唐辛子 山地曙子
凩や真赤になつて仁王尊 夏目漱石 明治二十八年
曼珠沙華真赤で稲荷鮨食べる 川端茅舎
曼珠沙華真赤な嘘でかたまれり 伊藤敬子
曼珠沙華真赤な嘘の形して 津田清子
哭いてゐる舌が真赤で涅槃変 阿波野青畝
搦む手の爪の真赤なマリアたち 楠本憲吉 隠花植物
旱天の亀裂真赤な唐辛子 吉田未灰
梟や霜林に出し旭が真赤 森澄雄
罌粟真つ赤思考回路を外れ真つ赤 戸田かづ子
罌粟真赤廃墟の壁に咲くときも 稲垣きくの 黄 瀬
薔薇真っ赤売り込み一切おことわり 高澤良一 素抱
薔薇真赤ひたすらサキソホンを吹き 森田ていじ
藪の家真赤な橇を蔵ひけり 吉本伊智朗
躑躅真赤にいくさごころの消え残る 小出秋光
鋏かざせしままに茹でられ蟹真赤 村山古郷
閻王の燭に真赤な地獄変 福田蓼汀 山火
閻王の真赤な怒り笏落し 小山南火
驟雨来る肉屋で借りる真赤な傘 初村迪子
鮨桶の中が真赤や揚雲雀 波多野爽波
鵯の啄ばみ落す真赤な実 大高芭瑠子

by 575fudemakase | 2018-11-07 09:12 | 無季 | Trackback | Comments(0)

鮮紅

鮮紅

花びらの鮮紅崩す牡丹鍋 関根常夫
掘りあげし筍の疣鮮紅に 飯島晴子
鮭の切身の鮮紅に足とむる旅 能村登四郎
鮭の切身の鮮紅に足止むる旅 登四郎
山蟹の鮮紅の外よるべなし 飯島晴子
鮮紅のサーモン切身聖夜くる 高澤良一 宿好
鮮紅の昼月墜ちる小牛の前 金子兜太
灯蛾や医師鮮紅の薬吾に与へ 橋本榮治
日のみ鮮紅万象暁の凍ての中 福田蓼汀 秋風挽歌
白車馳す鮮紅十字横顔に 日野草城
蓮掘りの脚の鮮紅洗ひ出す 能村登四郎

by 575fudemakase | 2018-11-07 09:10 | 無季 | Trackback | Comments(0)

唐紅

唐紅

りゆくさつく唐紅や小六月 相生垣瓜人 明治草
わが友に唐紅の熟柿あり 相生垣瓜人 負暄
空蝉のからくれないに砕けたり 橋閒石
古草に雉子のからくれない潜む 村越化石
咲きにけり唐紅の大牡丹 正岡子規 牡丹
秋風や唐紅の咽喉仏 夏目漱石
秋風や唐紅の咽喉仏(のどぼとけ) 夏目漱石(1867-1916)
瀧壺に唐紅の蟹走る 川端茅舎
忠義とは唐紅に散る紅葉 菖蒲あや
浮くや金魚唐紅の薄氷 正岡子規 氷
夕やけや唐紅の初氷 一茶
揉み出だす唐紅の梅酢かな 内藤鳴雪

by 575fudemakase | 2018-11-07 09:09 | 無季 | Trackback | Comments(0)

真紅

真紅

アマリリス眠りを知らずただ真紅 堀口星眠
えびは瀬戸物笑止や真紅年の市 山口青邨
お花畑ゆふべ真紅の霧を噴く 堀口星眠
ガーベラの真紅の中に妻が居る 吉原波路
かげろふよ真紅の椅子に掛けたまへ 進藤一考
がまずみの真紅母より便り来ず 石寒太 翔
くつきりと真紅のばらに葉かげかな 高野素十
けふの日も春また夕ベ真紅 高屋窓秋
げんげ田真紅一瞬にして白もどる 三谷昭 獣身
この薔薇のための真紅と思ふほど 今橋眞理子
サルビヤの真紅伴天連ここに瞑る 下村ひろし 西陲集
すさまじき真紅捩れて雁来紅 八木林之介 青霞集
どぜう屋の炭火真紅に冬来る 細見綾子 黄 瀬
ネッカチーフの真紅捲かれぬ踊らむか 毛塚静枝
バラ真紅天の濃淡うばひけり 河野南畦 『硝子の船』
ひとり覚めポンポンダリアの真紅なり 瀧勧進帳
ふくろふに真紅の手鞠つかれをり 加藤楸邨
ふくろふに真紅の手毬つかれをり 加藤秋邨 怒濤
愛染や花の荒びの真紅 長谷川 櫂
雲海に手繰りてザイル真紅 荒川文雄 『銀河』
牡丹に未開の真紅かじか領 原裕 青垣
火炉の天真紅に染みぬ春の闇 樋口玉蹊子
花咲蟹茄でて真紅を越えにけり 吉田紫乃
海人の子に真紅の破魔矢にぎらしむ 原田喬
灰削げば真紅な炭火ちりめん織る 橋本多佳子
活けられて寒薔薇真紅なる呪詛 嶋田麻紀
寒の裸足の指真紅なる藷洗ひ 能村登四郎
寒梅に夕日の真紅浸み透る 笹尾操子
干梅の夜も真紅の香を送る 高橋利雄
甘藷掘りし日明けて真紅なる日の出 山口誓子
眼を冷やす真紅な夕オル冷えきつて 山口誓子
吸ふ息のはげしさ春のばら真紅 杉本寛
巨いなる真紅の如露を農婦提ぐ 石田波郷
玉の緒の今こそ真紅初日いづ 千代田葛彦
金扇に日輪真紅武者飾 山口誓子
句夫婦に真紅の皿や心太 石橋秀野
渓紅葉真紅の妻のふり返る 落合水尾
渓紅葉真紅の妻の振りかへる 落合水尾
鶏冠の真紅ながるる露むぐら 堀口星眠 営巣期
月下にて暗き真紅や蛇苺 加藤秋邨
鍵屋老い九月真紅の鍵作り 三橋鷹女
鍵束の紐を真紅に父亡き秋 神尾久美子 掌
古根に浮きて虎杖の芽や真紅 西山泊雲 泊雲句集
戸の隙に真紅の日あり寒の入 相馬遷子 山河
吾が為に焚きし壁炉が真紅なり 山口誓子
吾にまだ燃ゆるものあり薔薇真紅 石川文子
吾亦紅真紅なるとき銃の音 山口誓子
光陰のいま矢の如く薔薇真紅 後藤比奈夫
厚房の真紅めでたし麻耶参 大谷句佛
口に薔薇それも真紅ぞタラップ゜踏む 本城佐和
行きあはす真紅の薔薇の堕るとき 飯島晴子
轟く古典真紅の虹立つ冬夕焼 中村草田男
婚の燭焔をたつるとき薔薇真紅 加藤耕子
沙翁ここに眠るバラの花真紅 山口青邨
坐禅石椿の真紅宙にあり 大野林火 飛花集 昭和四十五年
菜殻火の立ちしふところこそ真紅 皆吉爽雨 泉声
笹鳴や茨の刺の真紅 川端茅舎
山坊すずし古屏風画中真紅の日 中村草田男
残る葉の中の真紅は叫びをり 林翔
子への愛編み込むセーター真紅なる 杉森かつ江
耳袋真紅に鶴を見てゐたり 喜多みき子
実茨のひとかたまりの真紅かな 岡田日郎
実南天紅葉もして真紅なり 鈴木花蓑
実南天柄まで真紅や自若たり 中村草田男
秋湖澄み富士の落日真紅なり 富安風生
秋航へ鮫の真紅の肺を見て 斎藤愼爾 夏への扉
春の夜の灯を消せばなほ真紅の衣 長谷川かな女 雨 月
春暮るる雉子の頬の真紅 福田蓼汀
初日未だ真紅のままの増す光 中村草田男
初暦真紅をもつて始まりぬ 藤田湘子
鋤きし田を囲みてげんげ田の真紅 鷹羽狩行
昇るまへの朝日真紅に雲を灼く 篠原梵 年々去来の花 中空
畳よりすぐに真紅に雛の段 中田みづほ
森の奥の夜の雪のおくの真紅のまんじ 高柳重信
深山はもはや真紅に紅葉せる 平畑静塔
真紅とはこの花のことアマリリス 川口咲子
真紅とは瞼にともる唐辛子 中村明子
真紅なる蜂や頭上を越え去れり 山口誓子
真紅なる薔薇抱かされぬ秋灯裡 石塚友二 玉縄抄
真紅は蔦と 臨海ベランダ干しの夜具と 伊丹三樹彦
真紅もて白昼を継ぐ灌仏会 小笠原理
数へ日の中に真紅の薔薇を置く 後藤比奈夫
青いのと真紅と笊のたうがらし 川崎展宏 冬
青寒裡真紅の讃歌友を妻を 中村草田男
青天と辛夷とそして真紅な嘘 三橋鷹女
青木の実青きを経たる真紅 貞弘 衛
静かに見れば山帰来けふ実が真紅 加藤秋邨
赤城君真紅の薔薇だよ「さようなら」 橋本夢道 無類の妻
雪の嶺真紅に暮るゝ風の中 相馬遷子 山国
雪の鴉の 真紅な舌にあざけられ 富澤赤黄男
雪をんな襦袢は真紅かも知れぬ 山元志津香
船絵馬の旭真紅に雪解かな 野澤節子 八朶集
礎石うづむ桜落葉や真紅 山口青邨
草田男忌薔薇の真紅がくづれさう 蛯名晶子
送り火の「大」真紅にて蚯蚓脹れ 山口誓子
他の紅は劣る真紅な出初式 山口誓子
多忙は充実真紅の薔薇を瓶に挿す 土田祈久男 『素心』
太子会やかかげて貝の華真紅 飯田晴子
大いなる紅葉の真紅揺らぎをる 京極杞陽 くくたち上巻
大寒や真紅に伸びる日の翼 相馬遷子 山河
凧真紅なり暗がりを買ひ戻る 山口誓子
樽詰の飾海老真紅年の市 山口青邨
短日の照し終せず真紅ゐ 川端茅舎
暖房や真紅の氈を湛へたり 日野草城
檀の実裂ける力ぞ真紅 斎藤素子
地球儀の列島真紅桜の夜 朔多恭
地球儀の列島真紅櫻の夜 朔多恭
朝の日の葭戸真紅に透くは悲し 山口誓子
腸抜きて裡真紅なる猪吊るす 山口誓子
鳥雲に真紅の毬をかなしめり 永島靖子
鳥追や顔よき紐の真紅 飯田蛇笏
鳥道や顔よき紐の真紅 飯田蛇笏 山廬集
椿真紅椿純白霊気満つ 滝青佳
釣られざま鱸真紅の口開く 磯直進
低木にて地を真紅に落椿 山口誓子
冬ばらの真紅に未来うるほへり 柴田白葉女 『夕浪』
冬薔薇の真紅の酷を黒といふ 上田五千石 風景
唐突の真紅がよけれ猩々木 高澤良一 鳩信
逃げ水の中に真紅の一車消え 能村登四郎
動かんとする朝霧に日は真紅 大野林火 冬雁 昭和二十一年
南天の真紅撒きしは鵯か吾子か 堀口星眠 営巣期
難民のツリーに林檎真紅なり 平畑静塔
馬柵の下凍る苔桃真紅なり 堀口星眠 火山灰の道
梅雨めくや入日真紅に真円に 相馬遷子 山河
梅雨空と真紅の薔薇を見比べつ 相生垣瓜人 負暄
梅干の種の真紅と蟻地獄 近藤一鴻
梅干の種の真紅の蟻地獄 近藤一鴻
爆心地真紅は薔薇のほかになし 池田秀水
麦稈を焚く火の真紅その日暮し 平畑静塔
八月の禽の真紅の胴震 飯島晴子
彼女、真紅のガウンを脱ぎ飛魚となるそのまえ 荻原井泉水
皮の真紅身に滲みおり堅き桃 田川飛旅子 花文字
膝掛は真紅花見の人力車 村上美枝
富士茜真紅の冬日しづみければ 篠原梵 年々去来の花 雨
布団はね咳きむせぶもの真紅なり 中尾白雨 中尾白雨句集
仏桑花真紅の声を挙げて基地 山田みづえ
焚火やがて真紅となりぬ四辺なし 栗生純夫 科野路
粉炭の火掻けばたのしき真紅あり 篠原梵 年々去来の花 雨
壁炉燃ゆ薪は蘂まで真紅なり 山口誓子
返り咲くための蕾を真紅にす 池田秀水
鞭かざす馬上の友や薔薇真紅 角田 泰子
母病むや闇に真紅の躑躅燃え 相馬遷子 雪嶺
蓬莱の国の真紅の賀状かな 小宮山政子
鳳凰木真紅に咲けり蝶湧けり 石原八束 『藍微塵』
忘年や醸(う)れて梅酒の真紅 辻桃子
鳴る川と紅葉真紅に明るき恋 飯田龍太
網膜に芥子の真紅を真紅に鐫り 竹下しづの女句文集 昭和十二年
網膜に芥子の裏紅を真紅に鐫り 竹下しづの女 [はやて]
夜を罩めて真紅の幟五月となる 三橋敏雄
野牡丹の一葉真紅に花了る 水原秋櫻子 蘆雁
野菊やゝ飽きて真紅の花恋へり 杉田久女
夕茜真紅な方に雪の嶺 山口誓子
夕焼けて真紅のくらげ渦とゆく 佐野まもる
夕焼へ真紅の玻璃扉ひらき出づ 鷲谷七菜子 黄炎
夕焼雲蒙古襲来以後真紅 鷹羽狩行
夕焼消え真紅の薔薇を抱き来し 野見山朱鳥
踊り子へやんやと放つ薔薇真紅 嶋田麻紀
踊る夜を嬢っこ真紅のしごき帯 高澤良一 素抱
雷鳴のあと真紅なる汽罐開く 山口誓子
落窪を真紅にしたり曼珠沙華 山口誓子
流水に真紅うつらず蛇苺 山口誓子
旅情まづ梯梧の真紅那覇五月 河野静雲
猟期果つ真紅のシャツを風に吊り 菅原多つを
煉瓦館日除真紅に老給仕 中村汀女
老いらくの血を耀かす薔薇真紅 小出秋光
老われを敬ふ慰斗の真紅かな 林翔
佛桑花真紅の声を挙げて基地 山田みづえ 草譜
凭れ合ひ壁炉の薪が真紅なり 山口誓子
渾身の力は真紅冬木の芽 折井眞琴
簪の珠真紅かねたたき 中田剛 珠樹以後
絨毯の真紅に年の豆こぼれ 大野紫水
翔べぬ奈落の無風に石榴花の真紅 佐藤鬼房
芍薬や蕊の心まで真紅にて 鈴木花蓑
薔薇の芽の真紅を洗ふ雨となりぬ 岡田日郎
薔薇の芽の真紅詩の血を師より享け 早崎 明
薔薇は真紅すつくと挿されありにけり ふけとしこ 鎌の刃
鶉籠真紅の総も秋のいろ 三宅嘯山
黐の実の真紅きはまる法隆寺 佐々木蔦芳

by 575fudemakase | 2018-11-07 09:08 | 無季 | Trackback | Comments(0)

紅蓮

紅蓮

うしろにて夕日の紅蓮秋の野路 山口誓子
かまつかのこれが限度といふ紅蓮 高澤良一 石鏡
かまつかの紅蓮を見栄とおもふ日も 高澤良一 随笑
カンナ炎え紅蓮黄焔風になびく 山口青邨
それは紅蓮として蓮の見るかぎり白し 荻原井泉水
たてがみ吹く風も紅蓮の武者侫武多 高澤良一 寒暑
ぬきんでて紅蓮散るを待てるなり 松村蒼石 雁
まるい葉の中の紅蓮母が咲く 和知喜八 同齢
一弁の力の抜けし紅蓮 山田閏子
雲白し山蔭の田の紅蓮華 泉鏡花
火祭や漢紅蓮の匂ひせり 槍田良枝
寒雷や紅蓮の氷わるる夜に 中勘助
休耕田焼く火紅蓮の焔上ぐ 右城暮石 散歩圏
午后九時の西日紅蓮にムンクの町 石原八束 白夜の旅人
口まで来て紅蓮となりしことばかな 河原枇杷男 蝶座 以後
紅蓮 咲くとき 散るとき 枯れるとき 大島道子
紅蓮つひの一花を見届けに 神尾久美子
紅蓮に管絃ひゞく旱かな 日野草城
紅蓮の一とふくらみを加へたる 綾部仁喜 寒木
紅蓮の開かむとしてゆるるなり 秋篠光広
紅蓮の鉢並びたる浄水場 岩瀬鴻水
紅蓮の實飛びぬ白蓮の實も飛ぶ 蓮の実を結ぶ 正岡子規
紅蓮やまだ新発智は素足にて 北原白秋
紅蓮開かんとする揺らぎかな 西尾君子
紅蓮上野の山の負け戦 高澤良一 素抱
紅蓮信濃御寺の嫁迎へ 斎藤夏風
紅蓮大紅蓮の氷瀧壺に 松本たかし
紅蓮天上をいま櫂の音 九鬼あきゑ
紅蓮田一遍踊り来しごとく 神原栄二
紅蓮白蓮咲き立つ雷雨の後の息 赤尾兜子 歳華集
紅蓮靄を払うてひらきけり 日野草城
合掌部落の炎上紅蓮雨夜の夢 金子兜太
山焼の一夜の紅蓮奈良に雪 野澤節子 『駿河蘭』
紫雲山より来し雨や紅蓮 岸風三楼 往来
至福の月日紅蓮白蓮 九鬼あきゑ
耳在れば耳の辺暗き紅蓮かな 枇杷男
耳在れば耳の邊暗き紅蓮かな 河原枇杷男 訶梨陀夜
秋の日やまなこ閉づれば紅蓮の国 白泉
術後の身絞りし尿ぞ紅蓮変 伊丹三樹彦
上野にて紅蓮咲きぬ薔薇散りぬ 金子兜太
身の裡の藁火が付きし紅蓮 斎藤玄 雁道
西方へ日の遠ざかる紅蓮 節子
扇燈籠(おぎどろ)の紅蓮見送り立ちん棒 高澤良一 寒暑
大紅蓮見られ尽くしてさびしがる 津田将也
大紅蓮大白蓮の夜明かな 高浜虚子
跳梁の紅蓮の野火を見放けたり 上田五千石『天路』補遺
都鳥時折紅蓮見せにけり 日原傳
蕩児いま帰る紅蓮の鯉のぼり 浅井周策
道成寺堂の左右の紅蓮 河野静雲
濡れ豆腐焼くや炭火の総紅蓮 中村草田男
白蓮の中の紅蓮を指しぬ 松藤夏山 夏山句集
父童母童とぶ紅蓮かな 永田耕衣
朴の実の紅蓮にけふの風迅し 堀口星眠 営巣期
夢を食む女よ揺るる紅蓮田 鍵和田[ゆう]子 未来図
窯中に紅蓮の炎山眠る 上田佳久子
淋しさも日だまりほどに紅蓮 斎藤玄 狩眼
和上にも見えてや一つ紅蓮 飴山實 辛酉小雪
娑婆といふ紅蓮を堰きて網戸あり 高澤良一 寒暑
榾裏の紅蓮洞窟火の子降り 野見山朱鳥 曼珠沙華
蒟蒻掘紅蓮の焚火あげて暮る 馬場移公子
閻王の紅蓮の舌の埃かな 富安風生
駱駝に乗れば夕焼紅蓮のピラミッド 石原八束 『仮幻』

by 575fudemakase | 2018-11-07 09:06 | 無季 | Trackback | Comments(0)

赤色 あれこれ の俳句

赤色 あれこれ の俳句

紅蓮 真紅 唐紅 鮮紅 真っ赤 赤赤 あかあか からくれない


赤色 あれこれ

赤色 あれこれ 補遺

白色 あれこれ 続補遺
上京や霞の奥に雪白し 三宅嘯山
立やまの雪白竜ののたり哉 三浦樗良

以上

by 575fudemakase | 2018-11-07 07:18 | 無季 | Trackback | Comments(0)

赤色 あれこれ 補遺

赤色 あれこれ 補遺

「日の丸」が顔にまつはり真赤な夏 中村草田男
あかあかとわが死後はかの唐辛子 平井照敏 猫町
あかあかと一と夜の旅の花柘榴 石塚友二 光塵
あかあかと火を焚き年を歩ましむ 野澤節子 存身
あかあかと柿万燈や神の留守 石塚友二 磊[カイ]集
あかあかと萱と墓透く冬没日 森澄雄
あかあかと秋暮終りぬ樹林の家 金子兜太
あかあかと障子ともれば虫の宿 百合山羽公 春園
あかあかと雛栄ゆれども咳地獄 石田波郷
あかあかと赤痢の家は灯を泄す 日野草城
あかあかと点してみても秋灯かな 中村苑子
あかあかと灯や向日葵の裏は海 大野林火 月魄集 昭和五十四年
あかあかと白樺を透く雪解川 飯田蛇笏 雪峡
あかあかと木魚は寒きいきを吹き 川端茅舎
あかあかと野は貧にして富栄えぬ 高屋窓秋
あかあかと落葉松林時雨れけり 相馬遷子 山河
あかあかと屏風の裾の忘れもの 波多野爽波
あかあか燃える火が、ふと泊る 種田山頭火 草木塔
いゝぎりの実もて真赤な空ありぬ 飴山實 句集外
うしろにて夕日の紅蓮秋の野路 山口誓子
うそ寒の爪先に落ち真赤な葉 鷲谷七菜子 游影
えびは瀬戸物笑止や真紅年の市 山口青邨
お涅槃の頬の真赤な男の子 飯島晴子
ガスマスクやけに真赤な雲だけだ 平畑静塔
ガソリンの真赤き天馬春の雨 富安風生
カンナ炎え紅蓮黄焔風になびく 山口青邨
くつきりと真紅のばらに葉かげかな 高野素十
くびられて山鴉天下真赤なり 中村苑子
けふの日も春また夕ベ真紅 高屋窓秋
ここで昼餉真赤な夏の花佇つゆゑ 中村草田男
こんど来るときは真赤なスキー欲し 後藤比奈夫
それは紅蓮として蓮の見るかぎり白し 荻原井泉水
たら~と日が真赤ぞよ大根引 川端茅舎
ちちははや炉火あかあかとぢぢばばよ 平畑静塔
どぜう屋の炭火真紅に冬来る 細見綾子
トマト真赤みな子をつれてきょうだい寄る 古沢太穂 三十代
ぬきんでて紅蓮散るを待てるなり 松村蒼石 雁
ハンカチもネオンで真赤心せはし 中村草田男
ひとつ家の燈のあかあかと魂祭 福田蓼汀 山火
ふくろふに真紅の手毬つかれをり 加藤秋邨
ほうずき露に真赤鉈彫り微笑仏 古沢太穂 捲かるる鴎
ボートの腹真赤に塗るは愉快ならむ 西東三鬼
メスの記憶真赤な花の地に噴き立つ 野澤節子 未明音
りゆくさつく唐紅や小六月 相生垣瓜人 明治草
わが友に唐紅の熟柿あり 相生垣瓜人 負暄
芋串にかこまれて炉の炭真赤 大野林火 飛花集 昭和四十七年
雨後漂水山赤赤と村哀し 金子兜太
遠足ややつれし顔が真赤な師 中村草田男
牡丹に未開の真紅かじか領 原裕 青垣
下闇に宮も鳥居も真赤なり 正岡子規 木下闇
何か言へ鬼灯むいて真赤なら 加藤秋邨
何もかも真赤に見える梅漬けて 能村登四郎
火ぞ真赤雪にけぶらしそれに生きる 赤尾兜子 蛇
火の山の火のあかあかと復活祭 有馬朗人 天為
我が供華真赤椎落葉から薮柑子 中村草田男
我の「孤独」は「真赤な血」なるを鵙も知らぬ 中村草田男
灰削げば真紅な炭火ちりめん織る 橋本多佳子
柿一つ、たつた一つが真赤にうれた 種田山頭火 自画像 落穂集
柿真赤弔者五人の通夜の座に 大野林火 白幡南町 昭和三十年
寒の裸足の指真紅なる藷洗ひ 能村登四郎
寒木瓜真赤滔々と嘘すすみゐて 加藤秋邨
干布団真赤朱欒は枝に垂れ 高野素十
甘藷掘りし日明けて真紅なる日の出 山口誓子
眼を冷やす真紅な夕オル冷えきつて 山口誓子
顔遠しあかあかと冬の人にまみれ 赤尾兜子 蛇
鬼灯の真赤わたくしごころかな 岡井省二 山色
休耕田焼く火紅蓮の焔上ぐ 右城暮石 散歩圏
急ぐ蟻にもあかあかとつれなき日 後藤比奈夫
仰臥さびしき極み真赤な扇ひらく 野澤節子 未明音
金扇に日輪真紅武者飾 山口誓子
句夫婦に真紅の皿や心太 石橋秀野
空蝉のからくれないに砕けたり 橋閒石
掘りあげし筍の疣鮮紅に 飯島晴子
軍人の家夏の夜をあかあかと 中村草田男
鶏頭生けし真赤な水を替へにけり 林翔
月下にて暗き真紅や蛇苺 加藤秋邨
犬の舌枯野に垂れて真赤なり 野見山朱鳥 曼珠沙華
鍵屋老い九月真紅の鍵作り 三橋鷹女
戸の隙に真紅の日あり寒の入 相馬遷子 山河
枯野来て汽罐あかあかと口ひらく 飴山實 おりいぶ
吾が為に焚きし壁炉が真紅なり 山口誓子
吾亦紅真紅なるとき銃の音 山口誓子
光陰のいま矢の如く薔薇真紅 後藤比奈夫
向日葵と塀を真赤に感じてゐる 渡邊白泉
紅葉を出て腹まで真赤赤い犀 金子兜太
紅蓮に管絃ひゞく旱かな 日野草城
紅蓮の實飛びぬ白蓮の實も飛ぶ 正岡子規 蓮の実を結ぶ
紅蓮大紅蓮の氷瀧壺に 松本たかし
紅蓮白蓮咲き立つ雷雨の後の息 赤尾兜子 歳華集
行きあはす真紅の薔薇の堕るとき 飯島晴子
高層より真赤な金魚提げてくだる 加藤秋邨
合掌部落の炎上紅蓮雨夜の夢 金子兜太
轟く古典真紅の虹立つ冬夕焼 中村草田男
沙翁ここに眠るバラの花真紅 山口青邨
坐禅石椿の真紅宙にあり 大野林火 飛花集 昭和四十五年
坂に見て冬日真赤な操車場 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
咲きにけり唐紅の大牡丹 正岡子規 牡丹
昨夜真赤な満月ありき東国寒し 金子兜太
鮭の切身の鮮紅に足とむる旅 能村登四郎
笹鳴や茨の刺の真紅 川端茅舎
山蔭にゆふべ真赤な石を切る 渡邊白泉
山蟹の鮮紅の外よるべなし 飯島晴子
山坊すずし古屏風画中真紅の日 中村草田男
山椒の実が真赤ぞと山の母 飴山實 花浴び
残る葉の中の真紅は叫びをり 林翔
子等の絵に真赤な太陽吹雪の街 金子兜太
死顔覆いやる真赤なうすい冬の花 古沢太穂 火雲
死後もまたあかあかと火を雪の上 有馬朗人 知命
実南天柄まで真紅や自若たり 中村草田男
秋のセルあかあか燭し夜も教師 能村登四郎
秋の日やまなこ閉づれば紅蓮の国 渡邊白泉
秋水へ真赤な火から煙来る 中村草田男
秋赤城真赤に酔つてはぐれ鳥 金子兜太
秋落日妻子かげなき真赤な顔 中村草田男
舟虫や灯のあかあかと青畳 加藤秋邨
術後の身絞りし尿ぞ紅蓮変 伊丹三樹彦
春の蝉魚の切口真赤なり 飯田龍太
春著真赤時計も持たぬ齢よし 中村草田男
春日落つ涯や南支那海ただ真赤 山口青邨
初日未だ真紅のままの増す光 中村草田男
初暦真紅をもつて始まりぬ 藤田湘子
鋤きし田を囲みてげんげ田の真紅 鷹羽狩行
小春日の章魚は真赤に染められし 川端茅舎
昇るまへの朝日真紅に雲を灼く 篠原梵 年々去来の花 中空
焼夷弾あかあかひらき年明けぬ 加藤秋邨
上野にて紅蓮咲きぬ薔薇散りぬ 金子兜太
常夏の真赤な二時の陽の底冷ゆる 尾崎放哉 大正時代
深山はもはや真紅に紅葉せる 平畑静塔
真紅なる蜂や頭上を越え去れり 山口誓子
真紅なる薔薇抱かされぬ秋灯裡 石塚友二 玉縄抄
真紅は蔦と 臨海ベランダ干しの夜具と 伊丹三樹彦
真赤なり西洋種の赤南瓜 高野素十
真赤なる汽罐車過ぎぬ秋の暮 山口誓子
真赤なる野火の彼方にはす心 細谷源二 砂金帯
真赤なる友蟹の骸曳き帰る 山口誓子
真赤な花咲きつぐゆゑに蝉減らず 野澤節子 未明音
身の裡の藁火が付きし紅蓮 斎藤玄 雁道
数へ日の中に真紅の薔薇を置く 後藤比奈夫
正月の夕日あかあか曼荼羅図(当麻寺) 細見綾子
清汁椀の見込真赤や飢餓遠し 三橋敏雄
聖誕祭冷蔵庫より真赤な肉 上田五千石『田園』補遺
青寒裡真紅の讃歌友を妻を 中村草田男
青天と辛夷とそして真紅な嘘 三橋鷹女
静かに見れば山帰来けふ実が真紅 加藤秋邨
赤々とまれに青々烏賊火燃ゆ 後藤比奈夫
赤々と咲いてま哀しひがんばな 日野草城
赤々と酒場ぬらるゝ師走かな 前田普羅 普羅句集
赤々と百日紅の旱かな 正岡子規 百日紅
切株のあかあかと鳥引き了へぬ 岡本眸
雪の峰真赤になりて入日かな 河東碧梧桐
雪の嶺真紅に暮るゝ風の中 相馬遷子 山国
雪の鴉の 真紅な舌にあざけられ 富澤赤黄男
雪山に日が真赤ぞな薺打 岸田稚魚 紅葉山
戦後の子紅葉のうらに赤々と 中村草田男
船絵馬の旭真紅に雪解かな 野澤節子 八朶集
鮮紅の昼月墜ちる小牛の前 金子兜太
礎石うづむ桜落葉や真紅 山口青邨
草に置くザイル真赤に滝こだま 飯田龍太
送り火の「大」真紅にて蚯蚓脹れ 山口誓子
霜月のめぐすりの木の葉が真つ赤 山田みづえ 草譜
他の紅は劣る真紅な出初式 山口誓子
大寒の耳あかあかと洗ひ髪 岡本眸
大寒や真紅に伸びる日の翼 相馬遷子 山河
瀧壺に唐紅の蟹走る 川端茅舎
凧真紅なり暗がりを買ひ戻る 山口誓子
樽詰の飾海老真紅年の市 山口青邨
炭火吹き顔あかあかと獄出しなり 秋元不死男
短日の照し終せず真紅ゐ 川端茅舎
暖房や真紅の氈を湛へたり 日野草城
朝あけの榾火あかあか鵜に熾す 岡井省二 明野
朝の日の葭戸真紅に透くは悲し 山口誓子
腸抜きて裡真紅なる猪吊るす 山口誓子
跳梁の紅蓮の野火を見放けたり 上田五千石『天路』補遺
鳥追や顔よき紐の真紅 飯田蛇笏
鳥道や顔よき紐の真紅 飯田蛇笏 山廬集
直視あるのみ夏は真赤な花愛し 藤田湘子
低木にて地を真紅に落椿 山口誓子
鉄工葬をはり真赤な鉄うてり 細谷源二 鐵
冬薔薇の真紅の酷を黒といふ 上田五千石 風景
桃子今日は真赤な服を着て秋晴 村山古郷
灯あかあか寒夜熱して精米所 大野林火 雪華 昭和三十八年
逃げ水の中に真紅の一車消え 能村登四郎
動かんとする朝霧に日は真紅 大野林火 冬雁 昭和二十一年
楢栗の幹にあかあか秋日射 山口青邨
難民のツリーに林檎真紅なり 平畑静塔
日のみ鮮紅万象暁の凍ての中 福田蓼汀 秋風挽歌
日の出前より赤赤と椿炭 平畑静塔
濡れ豆腐焼くや炭火の総紅蓮 中村草田男
俳優のあかあかと立つ夕焼川 平井照敏
梅雨めくや入日真紅に真円に 相馬遷子 山河
梅雨空と真紅の薔薇を見比べつ 相生垣瓜人 負暄
梅漬の種が真赤ぞ甲斐の冬 飯田龍太
白車馳す鮮紅十字横顔に 日野草城
八月の禽の真紅の胴震 飯島晴子
彼女、真紅のガウンを脱ぎ飛魚となるそのまえ 荻原井泉水
姫杉の真赤に枯れしあつさ哉 正岡子規 暑
苗代の奥の真赤な松林 飯田龍太
不断燈仏の林檎真赤にす 大野林火 雪華 昭和三十八年
富士茜真紅の冬日しづみければ 篠原梵 年々去来の花 雨
浮くや金魚唐紅の薄氷 正岡子規 氷
父童母童とぶ紅蓮かな 永田耕衣
葡萄酒はロゼでジヤケツは真赤なる 石田勝彦 雙杵
服真赤なり枯草を踏みもして 清崎敏郎
粉炭の火掻けばたのしき真紅あり 篠原梵 年々去来の花 雨
壁炉燃ゆ薪は蘂まで真紅なり 山口誓子
母病むや闇に真紅の躑躅燃え 相馬遷子 雪嶺
抱かれし野鯉あかあか鉄砲水 金子兜太
豊年や夕焼真赤な馬の面 森澄雄
麻刈りに楕円真赤な日がのぼる 佐藤鬼房
末枯に真赤な富士を見つけゝり 内藤鳴雪
霧笛鳴り真赤な蟹は食はれゆく 加藤秋邨
椋鳥とんで妻にかがやく西真赤 飴山實 おりいぶ
鳴る川と紅葉真紅に明るき恋 飯田龍太
夜を罩めて真紅の幟五月となる 三橋敏雄
野に咲けど渋民村辺真赤な百合 中村草田男
野の農夫活かす血真赤か鯉幟 中村草田男
野は林檎町はあかあか晩鴉に満つ 中村草田男
野牡丹の一葉真紅に花了る 水原秋櫻子 蘆雁
野菊やゝ飽きて真紅の花恋へり 杉田久女
油障子ともりあかあか猪を売る 山口青邨
夕茜真紅な方に雪の嶺 山口誓子
夕焼へ真紅の玻璃扉ひらき出づ 鷲谷七菜子 黄炎
夕焼雲蒙古襲来以後真紅 鷹羽狩行
夕日あかあか浴衣に身透き日本人 中村草田男
夕方の日が赤々と磯千鳥 星野立子
夕立の法燈二つあかあかと 高野素十
葉桜や真赤な夕日揉み揉まれ 加藤秋邨
葉桜や真赤に洗ふ消防車 百合山羽公 故園
雷鳴のあと真紅なる汽罐開く 山口誓子
落窪を真紅にしたり曼珠沙華 山口誓子
流水に真紅うつらず蛇 山口誓子
林檎食べ真赤な寝巻母と臥す 中村草田男
林檎真赤五つ寄すればかぐろきまで 野澤節子 未明音
淋しさも日だまりほどに紅蓮 斎藤玄 狩眼
輪島塗真赤朝市唐がらし 百合山羽公 樂土
冷し牛夕日いよいよ真赤なり 村山古郷
煉瓦館日除真紅に老給仕 中村汀女
蓮掘りの脚の鮮紅洗ひ出す 能村登四郎
路次路次に真赤な月を伊賀上野 加藤秋邨
老われを敬ふ慰斗の真紅かな 林翔
和上にも見えてや一つ紅蓮 飴山實
佛桑花真紅の声を挙げて基地 山田みづえ 草譜
凭れ合ひ壁炉の薪が真紅なり 山口誓子
曼珠沙華真赤で稲荷鮨食べる 川端茅舎
曼珠沙華真赤な嘘の形して 津田清子
哭いてゐる舌が真赤で涅槃変 阿波野青畝
揉み出だす唐紅の梅酢かな 内藤鳴雪
搦む手の爪の真赤なマリアたち 楠本憲吉 隠花植物
梟や霜林に出し旭が真赤 森澄雄
榾裏の紅蓮洞窟火の子降り 野見山朱鳥 曼珠沙華
翔べぬ奈落の無風に石榴花の真紅 佐藤鬼房
鋏かざせしままに茹でられ蟹真赤 村山古郷
閻王の紅蓮の舌の埃かな 富安風生
閻王の燭に真赤な地獄変 福田蓼汀 山火
鮨桶の中が真赤や揚雲雀 波多野爽波

by 575fudemakase | 2018-11-07 07:12 | 無季 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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