カテゴリ:ねずみのこまくら句会( 36 )

2018年 9月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 9月 ねずみのこまくら句会の諸句


 露草の露にや濡れむ朝の試歩

 林火忌や農衣に替えてより力

 揚花火思い出一つ二つ三つ

 幼馴染みいよよ大切生身魂

 約束の窯訪はぬまま夏終わる

(些事に夏の畢りを感じている、その辺の宜しさというところだろう)

 枕辺に秋富士ホテル最上階

 本尊に葦一本の盆の供花

 豊の秋空へと続く棚田かな

 板塀の内の人ごえ子規忌かな

(こうゆう句みていると、根岸の子規庵を訪れている実感が伝わってくる)

 独り旅してゐるごとく秋の蝶

 銅剣の数多出し谷蜥蜴馳す

 桃食うべ何がめでたい九十歳

(ベストセラー佐藤愛子の「九十歳。何がめでたい」をもじったか?私も実は読んだ)

 大文字山より御所へ鰯雲

 台風が運びしちちろ居着きけり

(「が運びし」?「に追われし」)

 窓に来て鳴くすいっちょの髭動く

(「動く」?「立派」 もうちょっと飛躍したい)

 相撲草抜くとて吾れの力瘤

(「吾れの力瘤」?「女の糞力」)

 掃苔や大雑把では済まされぬ

(「大雑把」と言う言葉の替りに「念を入れ」と言う言葉を私なら遣いたい。こうすると心の在りようがちょっと違ってくる。俳句は微妙だ。ところで、当句は自家の墓なのか他者の墓なのか?)

 爽やかや縄文美人ふくよかに

 世話やきの婆の接待地蔵盆

 数珠玉や大寺を出し野川縁り

(「出し」?「出て」)

 笑み給ふ露けき頬を掌につつみ

(これも主語を隠している)

(これもなかなかの句。一瞬、仏様のことを言ったのかと勘違いしそうになる)

 小流れに影泳がせて曼珠沙華

(こんな配置もよく見るところ)

 初嵐芋の葉擦れの音鈍く

 秋刀魚焼く夕風心地よくなりぬ

(「夕風心地よく」は、暑さも峠を越したと言う市井の実感を表現したものであろう)

 秋高し飛行場見学歩け歩け

(表現に工夫の跡が見られる)

 秋雲のすすむ速さよ盆が過ぎ

 種を採る蒔ける確約なきままに

 子規臥せし部屋に糸瓜の長き影

(長きは不要。「糸瓜影」とすればもっと多くのことが言える)

 子規庵の若き自画像小鳥来る

 四人目のこの子は誰似天高し

 黒蝶の影を離さず嵐あと

 高野聖名も疎ましく泥まみれ

 高砂百合あるなしの風捉え揺る

(あの形状に準じた表現を適用している)

 行く川の岸辺に沿へる竹の春

 湖に出てすぐ戻り来る秋の蝶

 孤独とはこんなものかも通草食べ

(「孤独」?「独り身」)

 峡銀座に自販機一つ蓼の花

 休み鵜の小屋鮎の香の強きかな

 帰られしあとのしじまや送り盆

(主語を曖昧にしているのがこの句の特徴。)

 汗を拭くたび老斑の殖ゆるかな

(老斑の殖ゆる思ひも汗拭くたび 「かな」は少し問題だ。一歩引き下がった表現も時に必要ではないか?)

 歓喜天外の稲妻を知らざりき

(彼の象頭の秘仏を見れば、この程度の句は誰でもひねり出せるであろうと推察される)

 噛み捨てて渋抜けきらぬ百匁柿(ひゃくめ柿)

(「噛み捨てて」?「ほき出して」)

 海女小屋にうすき灯とどく盆踊

(「うすき」? 濃い薄いの薄い?ふーむ?)

 花野にて今はの顔を自撮りせり

(「今はの顔を」?「今はの顔よと」 少しおどけた感じにした方がよさそう…)

 押せば開く教会の門小鳥来る

(「押せば開(あ)く」の自然体表現がよろしかろう)

 奥出雲舞茸料理を大盛に

 鵜飼果て波の裏まで月照らす

(「波の裏」?)

 鰯雲バッグにいつも文庫本

 一切れの残りし梨に錆浮けり

(梨は錆やすい。それを判りやすく言った)

 やはらかく掌を蹴り上ぐるばったの子

(原句のままでは散文の一部かとも… 俳句はもう少し叙述にメリハリついたもの)

 はらからの吾れのみ残る愁思かな

(「愁思かな」?ここで収まっちゃっていいのかな?)

 とつときのイエメン珈琲敬老日

(素材だけを押し出した句。評価は蓼喰ふ虫に任せよう)

 お供はいつも連名地蔵盆

(「お供はいつも連名」辺りに市井人らしさが出ていていいじゃないですか?)

 おもとの実の紅に寂しさ失せにけり

(万年青の實老いの寂しさ払拭す)

 あなたより現れてあなたへ鷹渡る

(「あなた」のリフレイン少しうるさいと感ずる人も居るかも…?)


以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:31 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句


 「不忘の碑」青嶺を映す黒御影 兜太揮毫

 あの世行く心地に霧の大花野

 オアシスのかレーズ思ふ熱帯夜

(熱沙をゆくカレーズさしづめ山清水 何故山清水なのか?遠地の日本に結びつけたいが為である。想いは既に日本に飛んでいる。山清水は日本に固有なものである。山の無い砂漠を揶揄しているのである。)

 おしやべりや玻璃を隔てて作り滝 

 お台場に潮のひた寄す鯊日和

 さざ波の湖に山並秋の声

(高点句になるでしょう。只、類型感はある。類型感があるから高点句になる。その辺を理解していないと何処かで足を救われます。一般的に言えば、高点句は御用心なのです。)

 たとうれば薤露(かいろ)のごとき命かな

(成語「薤露」の中に既に「命」の本意が含有されている。即ち「命」は「命」だと言っている。論理学で言うトートロジーだ。内容は唯それだけだ。)

 ちちははの歳にとどかぬ端居かな

(せめてちちははの逝った歳までは生きたいものと願う懸命があって素直と思う)

 ビール酌む云はずもがなの暑さいふ

(「酌む」vs「酌み」)

 ひまわりや北の大地の果てしなく

(これは絵ハガキだ。言葉だけが立ち上がっている)

 ベッドメイクシーツ真白に暑に耐ふる

 ポンポンとテニス青嶺は雲を脱ぎ

 リスボンの居酒屋のファド晩夏光

(これは未だ絵ハガキの域にとどまっている)

 わが齢ねぢ花の秀のこのあたり

(富士登山の今何合目?の言い方と同義だろう)

 悪夢覚め厠窓辺のひでり星

 遺し征く妻の裸婦像終戦忌

(これも絵ハガキだ)

 遺産相続意見平行冷房裡

(「意見」vs「話」)

 印象派白い日傘に青い服

(何となく気になる一句に仕立てた)

 雲の峰抱く児は手足ばたつかせ

 猿が枝に掛けたる小蓑さるをがせ

 何といふ小さな私夏の海

(「夏の海」が一寸茫洋としている。私と海の位置関係がハッキリしない。それを解消したいなら下記はその一例。何といふ小さな私デッキの夏。デッキは船上甲板という立ち位置。)

 夏空や水平線に島が乗り

 夏痩せて常の一杖ふと重き

 寡婦吾れに残生長し百日紅

 蚊遣り腰に女園丁熊手掻く

 会ふ人ごと怒つたやうに暑さ言ふ

 絵と文の叫びぞ無言館灼くる

(句は未だ絵ハガキの域を脱していない)

 空港ピアノザックを肩にせしままに

 原爆忌富士穏やかに坐してをり

(富士に対する安心感が生み出した句と思う)

 広島忌魚の目玉を突きては

 高麗郷の産土を練る祈雨の龍

 山寺の本堂に坐す今朝の秋

 山荘へ白き矢じるし柳蘭

(色彩の交響が美しい)

 山百合を踏みつぶしゆく戦車かな

(富士山麓在住者の句だ)

 飼ひし亀逃がし目高に転向す

(あっさり撤退。高齢者は簡単に心変わりする)

 手が覚えをり故郷の盆踊

 手を入れて噴井の掴みどころなし

 首出して亀が息吐く大暑かな

(「首出して」vs「首突き出し」)

 出水あと蟹腰高に歩きをり

(「歩きをり」? 「歩きをり」vs「大堤」vs「田圃みち」)

 女盛りわたしにありし盆踊

(「にありし」vs「にもある」 現在形になるが、臨場感は大。「懐古」と添え書きを付ける。)

 小津映画とつとつ語り夏炉焚く

 小津旧居夏炉話に原節子

(小津が二句並んだ。後句が勝る。前句の「とつとつ」は常套の合わせで多少減点要素か?)

 森林浴足取り軽く出でにけり

 水の裏目高くすぐる昼下がり

(「水の裏」vs「水面を」。「水の裏」は果たして適語か?と言うより熟している言葉か?)

 星よりも明るく富士に登山の灯

 走馬灯ゆつくり回る葬りかな

 滝壺の水は羽得て舞ひ上がる

(「舞ひ上がる」vs「煙(けむ)と舞ふ」)

 脱衣所に遊びの足りぬ浮袋

(「遊びの足りぬ」は一寸間延びしている用語、言うなら「遊び足らずの浮袋」。この他に以下の展開もあろう)

(脱衣所に投げ出しありぬ浮袋)

(吊し干し遊び足らずの浮袋)

 竹割りしやうに生き来ぬ竹の花

(果たして季語効いているや?)

 通行人ABCに紙の月

(この句の言いまわしが面白い。彼の十返舎一九の東海道中膝栗毛の面白さは狂言の「状況説明文(地の文)」と「台詞」の掛け合いの面白さにある。当句はその「状況説明文」に当たろうか?。膝栗毛を未だ未読の方は是非一読くだされ。続いて「浮世床」「浮世風呂」等も。江戸戯作が如何に優れた物であるか実感出来よう。)

 庭下駄の湿りはつかに今朝の秋

(一寸常套的なところあるが…)

 庭花火揃えし亡夫の下駄照らす

(世の中には、用語「亡夫」が気になる人と気に成らぬ人が居よう。私は前者。私の流儀だとこうなる。連れ合ひの下駄を照らせる庭花火。「揃え」は無くなるが、意図すべきは伝わると思う。現在形が気になるのなら、懐古と添え書きを付せばよい)

(亡父(ぼうふ)、亡母(ぼうぼ)考

私が調べた限り、亡父(ぼうふ)、亡母(ぼうぼ)、亡夫(ぼうふ)、亡妻(ぼうさい)と言う言葉は辞書にある。

亡父(ぼうふ)、亡母(ぼうぼ)については別に、先考(せんこう)、先妣(せんぴ)や考(こう)、妣(ひ)の言い方がある。前者が新しく、後者が古い使われ方だろう。

亡夫(ぼうふ)、亡妻(ぼうさい)については、別の言い方は存在せず。個人主義が確立された時代以降に使われ始めたと推察される。私の言い分は古い言い方があるのなら、古い言い分を踏襲すべきと思う。ましてや江戸からの伝統ある文芸である俳諧では…。これで私のわだかまりは無くなる。スッキリするのである。)

 入魂の一球打たれ夏終わる

 熱帯夜呆けた顔の月があり

 背の闇に大き富士ある踊かな

 白樺の木立抜け来る滝の音

 八月や幾万の穴掘られしか

(いい俳句と思うがさて、現俳協関連者辺りに同様な句がないかどうか?)

 秒針に影の従ふ夜の秋

(悪くはないが一抹の心配は類型臭がありますよと言うこと。同感の人は一方先へ行けますよと言うこと。)

 風音も身に入む松の廊下跡

(確かに江戸城跡に記念碑等あるようだ…)

 墓灼くる水を掛けても掛けてもや

 暮らし向きなにも変らず一葉落つ

(世は移り変われど微動だにせぬ「一葉落つ」の本意。庶民生活を対峙させた)

 訪ふ姉に一病ありて盆の月

 盆棚に朝取り野菜の赤・黄・青

 末伏や投薬のあと一日分

(高齢者片時も薬を手ばなさぬ日々。薬を飲んだかの点検も大事中の大事。)

 無為無策ひたすら蟻の列眺む

 霧深き落葉松樹林鳥一語

 夕端居ふるさと便の荷を解きぬ

(「ぬ」vs「つつ」)

 浴衣帯値をきけば良く締まりさう

(値は高いのか低いのか? 無論前者でしょう。句の攻め方が気が利いている)

 落葉松の松笠拾ふ夏休み

 涼しかり鯱の群れ過ぐ船の旅

(「群れ過ぐ」vs「群れ並(な)む」。並んだ方が涼しそうだし、臨場感がある。)

(「涼しかり」vs「大南風」vs「入道雲」 言いたいのは「涼しかり」よりいい季語がないか)

 霊柩車待つ玄関の蝉時雨

(「玄関の蝉時雨」は言葉がチョツト詰まった感じがする。「玄関」は本質的に必要か?以下ではどうか?霊柩車待つ間を暫し蝉しぐれ)

 老犬の片耳微動溽暑なる

(何処か類型をかんじるが、一句は一句か?)

 驟雨来るはや煮崩れてじゃがたらいも

(驟雨と煮崩れの関係面白し、それに「じゃがたらいも」と邪慳に言ったのもこの句の味だ)

森林浴聞き分けてをり鳥の声

(私流だともっとざっくばらんに遣る。 鳥の声なんのかんのと森林浴)

鯵釣りの夕陽の綺羅を釣り上ぐる

(まあ出来ているかと言えば出来ているのでしょう。特に鯵といふ魚が利いているのでしょう。)

前世は闘鶏ならむ鶏頭花

(「闘鶏」から「鶏頭」への飛躍が小さいのが不満。)

鬼灯のひと鉢下げて向島

(一言で言えば出来過ぎ。これ以上申し上げたら言い過ぎになる。評はここまで。)

墓洗ふまだお迎えははやいわよ

(七五の処理が私の期待に届かない。私流だとこうなる。

墓洗ふ「まだお迎えははやいわよ」と

墓洗ふ「まだお迎えははやいわ」などと)


以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:30 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句



 うすものに師の忌を修す僧の友

 コウノトリ子を連れて来よ青田中

(コウノトリが赤ちゃんを運んで来るのはドイツの逸話から引用だそうだが、その俗説を上手く青田中に当て嵌めた)

 はらからの思い出尽きず宿浴衣

(親族の団欒のひと時、私にも思い当たる)

 モチーフの西瓜用済み後の始末

(「後の始末」?「如何せん」)

 一花咲く木槿の百花忽ちに

(木槿一花咲くより百花忽ちに)

 一人覚め一人朝げの夏至一日

(一人覚め一人朝餉の半夏なる)

 炎暑来通院妻の露払ひ

(炎暑を往き通院妻の露払ひ)

 夏うぐひす鳴き交ふ能登のどんづまり

(半島の尖端、狼煙あたりか?)

 夏寒し津波の浜の石の声

 夏至夕べ漏刻の世をおもんみる

(刻を測るに水時計、水時計と夏至夕べは何処となく親和性あり)

 夏萩や菩提寺守る知己の無し

(私も同じ感慨持ち居ります。私の田舎は栃木 田沼。)

 海胆の棲む海が玄関伊根舟屋

 顔と尾のどっちつかずの蚯蚓かな

(「顔と尾のどっちつかず」の表現 もう一工夫)

 魚河岸をめぐり飛魚仕留めたる

 空濠の草に紛るる梅雨茸

 庫裏外に錆の五斗釜楠落葉

 午後晴れて庭番めける蝮草

(土地柄が思いやられます)

 骨揚げを待ちて麦茶を飲みにけり

(齢ゆけば、この習慣も大分慣れたものとなります)

 司馬さんの里をけぶらす虫篝

 十一鳴く大原問答おさむごと

(十一鳴く大原問答おさむるごと)

 書き出しも結び言葉も暑を案ず

(「暑を案ず言葉並べて見舞状」若しくは「暑を案ず言葉あれこれ見舞状」サラッとやってもよいのでは?)

 新茶濃く淹れて野良出の力とす

(判る判る)

 真炎天鴉の嘴の半開き

 真夜の地震秘湯の長押を大百虫

(これは即吟だろう。ピシッと言い止めた)

 水馬いのちを弾き音もなし

(「いのち」さてここの処が問題であるのかないのか 皆の意見を聞きたいところ)

 睡蓮の葉の朗々と照り返す

(私流だともう少しおとなしくなる。「睡蓮の葉の午過ぎて照り返す」)

 全かり露坐の不動明王(ふどう)に蛇の衣

 全身に真昼日浴びて袋掛

 送り梅雨不意に立ち寄る美容室

(これも即吟だろう。構えぬよろしさ)

 昼酒のすすめ上手や沙羅散れり

 朝顔市売り手の姉御べらんめえ

(「朝顔市」か「酸漿市」か。私は後者を押す。 「売り手」は「売手」の方が締まる)

 町灼けて質の広告車両過ぐ

(「質の広告」と言うことは古い市電辺りの景か?)

 帝塚山少女涼しく電車待つ

(街自慢の俳句大いに結構。帝塚山は「てづかやま」と読む。此処出身の著名人にサッカーの岡田武史。俳人の橋本多佳子。)

 点在の牛を眼下や大南風

 塔頭しんと龍の髭花咲かせをり

 日焼け子のどこで覚えし謙譲語

 日々暇を持て余しつつ夏越かな

 熱帯夜ベッドの四辺即奈落

 梅雨夕焼け雨降嶺の稜炎ゆばかり

 麦茶かな嬰のストロー吸ひはじめ

(些細な処に目が利いている)

 抜き捨ての十薬にほふ太宰の忌

 半ズボン座卓に足をもてあまし

(正に夏の光景。言うまでもなくこれは男の感覚)

 晩学の重たき辞書や稲光

 浜辺には取り残されて死す海月

(「浜辺の海月」で「取り残され」も「死」も既に含意されていると思う。)

 父祖の山持て余しをり遠郭公

(継いだはいいが意外な処で苦労することに…)

 本舞台八十路よりぞとほととぎす

(心意気が出ていて好感もてる)

 民宿の婆の手作り心太

 戻り梅雨混み合ふコインランドリー

 野良疲れ鮎の塩焼きにて忘る

(野良疲れ鮎の塩焼きもて忘る)

 立葵めげることなく咲き上る

(「咲き上る」は不要?)

 緑蔭のシートの四隅靴揃へ

 恋たけなは渓の蛍火河鹿笛

 拗ねる子の尖る口似て花柘榴

(ちまちました比喩表現「似て」など使わずにドカンと勝負したらよい。拗ねる子の尖る口許花柘榴)

 珈琲手に朝出勤のアロハシャツ

(コンビニのテイクアウトなど、今時の流行りの光景)

 瞑想の刻欲しくなる白菖蒲

(峡田にて瞑想三昧白菖蒲)

 葭簀織る音へ葭簀をくぐりけり




以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:29 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句


 〇□▽狭間新樹光

(〇□▽を持ち出したから、仙崖を持ち出すのかと思ったが違った。句を絵画的に描いたのだ)

 SLの縫ふ桑畑武甲聳(た)つ

 あいの風波のちぢらに色が浜

 おーい雲おーい雲よと山法師

 カーテンが外に出たがる若葉風

 キャリーバッグせはし東京駅薄暑

(「せはし」?「軋(きし)ませ」)

 ゴールデンウイーク仰せつかりてひとり留守

 こぼれゐて柿の花咲く頃と知る

(「ゐて」?「ざま」)

 安曇野へ水迸る立夏かな

 夏立つや真白に乾くスニーカー

 花屑を巻き上げてゆくキャタピラー

 幾たびも立休みして浅蜊掘る

(「立休み」と言う言葉遣いが面白く、しかも適切。浅蜊掘と言う情景で遣ってこそ生きる)

 魚棲まぬ水面黒ぐろ杜若

(「杜若」に配してぴったりの色といったら、やはり黒であろう)

 見るたびに形変へゐし花筏

 子どもらのはきはき返事松の芯

 青嵐東京タワーの四肢どっしり

(タワー建設途中の写真を見たことがあるが、異様にどっしりであった)

 石楠花の雨の大粒懸け造り

(「懸け造り」と言えば清水の舞台辺りを想像する。この構図は下から上を見上げた構図か又は「石楠花」の遙か横方向に「懸け造り」を置く構図がふさわしい)

 草笛の歌にはならず仕舞ひなる

(下手くそを絵に描いたようで面白い。全く絵になっていないと言うこと)

 代田掻く後ろに鳥を随へて

(何処か面白さが宿る。俳句とは一寸した処だ。言い過ぎたり、狙い過ぎたり、バタ臭いのは駄目だ)

 朝鮮鐘撞きて播麿野春送る

(国宝朝鮮鐘は福井にある。播磨野には直接繋がらないが、山陽道と言うことであれば適切と言うことになろうか?イメージ的に。「春送る」と言う季語も豊かでよい)

 鳥の名を木樵も知らず長閑けかり

 二度寝して八十八夜の風に覚め

(老人の習性のような物を持ち出して来て感心をそそる。何処か安心感が宿るのである。)

 白牡丹崩れはじめし夕辺かな

(牡丹は散るのでは無く、崩れるのだと作者は強調する)

 反骨の兜太の地なり桑は実に

(兜太への挨拶句としては50点。句造りはこの先だ。知識めいた処で句作できたらそりゃあ楽だ)

 暮るるまで大樹の洞に青葉づく

 母の日や母てふ任を解かれをり

(「をり」?「ゐて」)

 万緑や機関車ポニーラストラン

(「ラストラン」まで言って句に仕上げた)

 明日植うる田水三分をみまわれり

雀の子ちょんちょん離れちょんちょん来

(雀の子ちょんちょん遊べり近所の路地 現句のダブル擬態語ピタリと決まっていない)

 葉桜の雨に籠るや農なき日

 落ちて尚水に彩ます紅椿

 立ち上がり空へ叫べり尺取虫

(「空へ叫べり」?「何を叫(おら)ぶか」 古語を使用してみたら…)

 老いて知る瑞みづしきは韮の花

 六年生の茶摘み実習赤襷

 靄込めに伊吹の失せてえりを挿す

昭和の日向かい同士の国旗立て

(同じ時代を生きてきた企業戦士同士の感情といったようなものが一瞬漂う)


以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:27 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句


 お隣の灯もいただいて初昔

 スーパーブルーブラッドムーン睦月果つ

 バレンタインの日やマニキュアのラメ光り

 ひたと止む常の耳鳴り寒明くる

 ページ繰る指先硬く雪催

 ほっこりと身のうちふくる日向ぼこ

 マスクして息をぷかぷか反抗期

 マンホールの蓋絵の消ゆるほどの雪

 越冬す鯛のあら煮と後骨湯

 皆既月食待つ白息をいよよ濃く

 咳をして己が谺と居る山中

 寒雁や嘴深く胸に抱き

 肝油一粒ごくりと呑みし寒夜かな

 鬼の豆もどりにつまむ喫茶店

 鬼は外照れくさそうに豆撒く子

 鍬に乗りまだ眼のあかぬ土蛙

 厳寒の子を待つ夜の耳聡し

 山笑ふ夫あるときも亡き時も

 子の相手いろは歌留多のちりぬるを

 耳長きこと春を待つ観音像

 手さばきの心もとなく注連綯へり

 手袋は軍手で通す還暦後

 手袋を脱いで指切りきっと明日

 洲より洲へ急旋回の群(むら)千鳥

 週一から週二の外出春立ちぬ

 春の泥跳ね上げてゆくダンプカー

 春節を祝ふ一卓一家族

 春炬燵パズル埋まらず高鼾

 初電車坂東太郎越えにけり

 乗客は老人ばかり春の昼

 蝕すすむ寒月とろり黄土色

 振袖を襷に纏め弓始

 神鈴の一息尽きぬ旧正前

 水溜めし仏足跡や春浅き

 節分会の鬼高下駄をもて余す

 雪の原墓標点点しるべなす

 雪原や動画のごとく川流れ

 雪嶺の空ゆくサラブライトマン

 素描なる雑木林の冬景色

 草の穂に縋りしままに蝶の凍つ

 替へて来し鷽と並べて犬張子

 丹頂と道産子即かづ離れづに

 断捨離の進まぬ書棚かじかめり

 注連を綯ふこつの掴めぬままにかな

 注連飾めでたき藁の匂ひかな

 猪鍋や大山詣で遥かにし

 冬満月水の近江の屋根瓦

 冬眠の重なる亀に見張り亀

 梅日和巫女溜まりより笑ひ声

 八十路いま楽しみ探す竜の玉

 富士に向きいよよ春耕はかどれり

 富士真白掌に生みたての寒卵

 風花に佇てばみな吾に向かひ来る

 風花の永き浮遊の跡形なし

 風向きに火の色変はる大とんど

 門松の華やかに縄結はれたる

 立春大吉亡夫の太杖傘立てに

 蝋梅や角をまがれば鼓の音


以上


by 575fudemakase | 2018-10-21 18:26 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句


 オリオンの耀ふ苅田道に来て

 ゴールしてとんどを囲む陸上部

 こんなところまで山茶花の散りきたる

 ちりぢりに破れて日を浴ぶ芭蕉かな

 つぶやきにつぶやき応え日脚伸ぶ

 とんどの炎鎮めの雨の大粒に

 ニューズウィーク読む翁ゐて掘り炬燵

 ひと塩の浅漬潔かりけり

 プランターにシャベル使ふも鍬始

 海鼠漁着く船の数妻が待つ

 寒月光浴びて心音確かにす

 顔見世や役者の目と会ふ齧り付き

 去年今年いよよ己の殻を守る

 空壕の底が見えゐて歯朶を刈る

 湖のある方の明るき初景色

 交差するエスカレータークリスマス

 皇室の新暦買ひ帰郷せり

 忽ちに鴟尾を取込み冬至暮れ

 今朝の春磴のぼり見ゆ太平洋

 歳晩や隣の家族葬知らず

 山影の早き里なり手毬唄

 子ら去にて早めに湯浴み三日かな

 師の句碑に賜る活や寒牡丹

 初詣柏手を打つちっちゃな手

 初刷りの二面続きの日の出かな

 初刷りや死ぬまで書くと寂聴尼

 初席や老いの笑ひの少しずれ

 初東風やさざめき交はす磯馴松

 初日出ず方ちちははの墓在せり

 松の内開かれてをり宝物殿

 腎臓は綺麗と言はれショール巻く

 石蕗の花家人の出入り承知して

 先ずは記す通院予定初暦

 全円の初日仏具を輝やかす

 待ち合はすマスクの目と目銀座駅

 大晦日恋文横丁小火(ぼや)騒ぎ

 大年の蕎麦さげ久に姉を訪ふ

 猪垣を張りめぐらして家二軒

 天守閣前の松より雪吊りす

 冬ざれの汀に溜まる光かな

 冬至風呂ひたりて喜寿のいのちのぶ

 唐戸市場袋ぜりてふ河豚の糶

 二日はやうすむらさきの芋の粥

 日脚伸ぶ句会に天動説の出て

 買初めに筋トレ用具老いまじく

 膝ひとつ伸ばすに広き炬燵かな

 福詣でむかし吉原このあたり

 物枯るる中流れくる水の音

 焚初といふもスイッチ一つオン

 餅腹に千枚漬けが沁みとほる

 竜の玉貰ふ子の手のぬくみまで

 鈴本へ一家八人初電車

 朗朗と幼なの読める恋歌留多

 鮟肝の舌に蕩けて大吟醸



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:20 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句


 オルガンに声合はす児ら秋桜

(表記としては、「秋桜」より「秋ざくら」だろう)

 ほどほどの我が生なりし温め酒

 むかご飯幼馴染みと囲む膳

 稲雀投網のごとく飛びたてり

(「投網」と大仰にしたところが適切)

 浦町の洗ひ干しある秋簾

 泳ぐよに人の消えゆく大花野

(「泳ぐよに」が気が効いている)

 猿来しと媼掃き寄す栗の毬

(「猿(さる)来しと」vs「猿(ましら)来(く)と」 読ませ方の問題。)

 塩害の柿の葉の落つ野分あと

(今年の野分の性格を捉えたと思う。内容的にはさしたる物でないかも知れないが、俳句ではこの一面大切と思う。即ち正直であること。)

 黄菊咲く独り住まいの庭の栄え

(こうゆう句が出来ると云うことは、作者の内面が豊かであると推察される)

 温め酒涙腺ゆるくなりにけり

(季語 効果的に働いています)

 寡婦十年全く以って夜の長し

(こんな愚痴も楽しく聞くことが出来よう?)

 果樹園のハウスを飛ばし野分あと

 歌女鳴くや自問自答に果てあらぬ

(文句なく上手。もちろん褒めています)

 蟹ひとつ横切る水の落とし口

(小品だがいいですネ)

 菊供養老妓と半玉連れ立ち来

 球入れの紅白空にハイタッチ

(句がリズミカル)

 供養の菊抱き仲見世の人混みに

 駆け出して花野の風を掬ひけり

(駆け出しぬ花野の風を掬はんと の形もある)

 繋ぐ手の影ひらひらと小望月

 月まるし両手を耳に児の跳ねて

 月光の黄河を超えし旅おもふ

 吾亦紅好きかと問へば好きといふ

 降り立ちて刈田の鷺はプリマなる

(何かリズムがおかしい気がする。 降り立ちてプリマドンナの刈田の鷺)

 今日は晴運動会のリハーサル

 再開発さんま焼く香の路地失せぬ

 咲き続けなほ十月の百日紅

 桜紅葉タカラジェンヌとすれ違ひ

 師の忌過ぎ咲く頃ほひの藤袴

 自転車の母子しりとり秋うらら

 手枕の寝釈迦の傍に小鳥来る

 種茄子もう見栄など気にかけぬ

 秋燕雨の湖中に翻り

(湖中?湖央)

 秋扇はなしの継ぎ穂さがしをり

 秋霖や両目に兆す麦粒腫

 女らの歓声上がる茸狩

 新酒酌む検診結果表を手に

 新藁の切り刻まれて吐き出さる

 水引草風と綾取りしてをりぬ

 爽籟にみちみつ御油の松並木

 速さ違ふ点滴二本良夜なる

田の一角手刈りて入るる稲刈機

(「手刈りて」という日本語有りや?「手刈りして」なら判るが…)

 苔庭の甘味処や竹の春

 台風一過会話弾けるカフェテラス

 鷹渡るぐんぐん標ある如く

 柘榴裂け友の脳「なづき」のこはれゆく

(「」はルビの意? 現状は「柘榴」なのだろうがあまりにもストレートの感じがする。「枇杷の花」と和らげたらどうか? 「枇杷の花」もそんな感じ与える故)

 庭の柿熟れ訪ふ人の増えにけり

(キチンとリズム、切れを入れたい。庭の熟れ柿訪(おとな)ふ人の増えにけり)

 灯下親し辞書を片手にエアーメール

 藤袴あさぎまだらに恋ひめやも

 内海の真珠筏を月渉る

(内海vs一湾 「一湾」だと多少立体感が出ると思うが。又真珠筏は大体波の穏やかな内海に置かれるので屋上に屋を重ねる感がしないでもない)

 稗一本見ざる寺領の黄金波

(黄金波vs稲穂波)

 撫五鈷杵撫でお大師の冷えたまふ

 墓石の上雨の蛙の秋惜しむ

 落柿舎の縁に座すれば小鳥来る

 藁塚と峡の日分かち六地蔵

 嫂の栗飯愛でてともに寡婦

 藪茗荷お稲荷さんの道なりに

 蘊蓄のほど無患子の用あれこれ

 蚯蚓鳴く耐へねばならぬことばかり

(「鳴く」は少し重くれる感あり。「聞き」はどうか?「蚯蚓聞き」が言葉遣いとして成立するかどうかだが。)


以上


by 575fudemakase | 2018-10-21 18:17 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 6月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 6月 ねずみのこまくら句会の諸句



 かの鶯名残りでありしその後聞かず

 ぐづぐづと積む本崩れ部屋薄暑

(ぐづぐづと?あれこれと)

 スコンクの句会帰りや梨花月夜

蜜豆や歌舞伎座の灯のとどきたる

(位置関係を含め「とどきたる」が判り難い。)

 ドタバタを逃れて啜る心太

 トルストイ自筆の書簡紙魚寄せず

(悪くはない。が、この型いっぱいある。例えば 天皇の宸筆 紙魚寄せず とか)

 ペダル踏み茅花流しに逆らへる

 ほうたる来い蛍袋がささやけり

(がささやけり?もささやくか)

 みな大漁ねらふ出で立ち鮎解禁

 ランニングマシン新樹へひた走る

 一言に心円かとなり涼し

 雨夜座しハエ取り蜘蛛の視界のなか

(ハエ取り蜘蛛?蠅虎 視界に対し虎視眈々と言う言葉があるあるじゃあないですか?どうして蠅虎という漢字を使わないのか?)

 雲の峰履かぬ仁王に替え草鞋

(語順が? 替え草鞋履かぬ仁王や雲の峰)

 夏服にブル-ベリーを摘みにゆく

(「夏服に」の手軽さがよい)

 花びらの回りてをりぬ蜘蛛の糸

 花栗の匂ふ里曲に産屋かな

 近づけどなほ筒鳥の遠音かな

(面白いところを衝いている)

 原生林に絶えず啼く鳥明易し

 狐の提灯いよよ裏木戸古びたり

 五つ玉算盤机上に鉄線忌

(松崎鉄之介師が税理士であったことを踏まえた挨拶句)

 鯉過ぎる尾鰭にゆるぶ蝌蚪の紐

(過ぎる?擦りて 若しくは 触れて)

 荒梅雨に呂川律川音乱る

 黒子なるひそかに演じゐて涼し

(なる?をば)

 黒南風や彼の兄弟の撥捌き

(津軽三味線の有名な兄弟名前は何って言うんでしたっけ?吉田兄弟?季語の引き当てもよい)

 祭礼の大幟見え途中下車

(旅中の寅さんのようで微笑ましい)

 参道に蚯蚓ひからぶ九品仏

 山鳩の啼きて「ホ」で止む走り梅雨

(芸が細かい)

 山門に入るや目に沁む若楓

 子ども列車若葉へ汽笛ひびかせて

 終点の駅舎出てよりほととぎす

(「ほととぎす」のところ「遠郭公」の方がハッキリするか?)

 祝婚に噴水の穂の高らかに

 乗馬終へポニーに礼す子の涼し

(涼し?すゞやか すゞやかは清々しくて爽やかの意 秋の季語になろう)

 新樹光湧水池の揺れ止まず

 新緑の溶け込んでゐる錦川

 森を出て見上げる泰山木の花

 深呼吸にけふの始まる茄子の花

(俳句の種は身辺些事にあることを気付かせて呉れる一句である)

 青年のゆるがぬ倒立雲の峰

(青年?上の子 青年はあまりにも整い過ぎている。真偽の問題は別にして…)

 待つほどに一番蛍名乗り出づ

 泰山木天辺に咲きファンファーレ

(少し分かり難い表現だが、咲きざまはファンファーレの如しと言っている様だ)

 鳥立ちてこぼす木雫梅雨に入る

 辻説法跡地引き継ぐ夏鶯

 吊橋の揺れ人の揺れ朴の花

 滴りの間遠は刻の止まるごと

(滴りの間遠なる音の何時消滅 とか。 原句では未だ句意が伝わり難い)

 田に水の張られて昏し近江富士

 田草取り束の間ならば買つて出る

(束の間ならば?小半時なら)

 日の差せし水底数珠子揺れ合へり

 梅雨に入る指にほのかよ書の湿り

(入梅を詠んで、なかなか繊細な句と思った)

 梅雨茸鮮やかすぎて手を触れず

 梅雨入りや衣桁に羽織るもの掛けて

 柏餅濃き葉脈を選びをり

(葉脈の濃き柏餅選びけり)

 麦の秋大きな風を通しけり

(大景ゆえ大きな風としたか? これ力説すれば秀句かも? いやそうじゃないかも?い)

 父の忌や飴色なせる籐寝椅子

(壺に嵌まった。この手の俳句、よくあるんじゃない?)

 武蔵野の空の深さへ今年竹

(深さ?深き)

 風貰ひ遊んでゐるよ余り苗

(「風貰ひ」とざっくりと言い退けた処に味がある。大人振りの句である)

 噴水の大空残し止まりけり

 母の日の八十路いまだに母の役

(「いまだに」の本音がいい)

 毎年の習ひ十薬軒に吊る

 野良疲れしばしわするる冷やし汁

 陵へ翡翠の碧一直線

 冷奴今日はお酒にしませうか

(今日?けふ 古風に「しませうか」とやっているんだから、「けふ」と表記も古臭く辻褄をあわせるべき)

 筍堀りに猪の来たると方丈さん

(「方丈さん」と言う表現の磊落さが気に入った)

 薔薇の家いまベランダのティータイム

(提案句とどちらがよきか? 薔薇の家ベランダにてのティータイム 。原句の「いま」は果して利いて要るや?)

聴いているだけの電話や走り梅雨

(漏れ聴こえてくる電話をさりげなく一句に仕上げた)

墨東にありて団扇を放さざり

(句意は作者が墨東在住者なのか、単なる一過客なのかに依って変わる。一過客なら、「団扇」のところは「扇子」でよかろう。さて当句会メンバーで墨東在住者が居るかと言えばノーである。では一体これは何なのだ。そこら辺がスッキリしない。句の作者は句の主(あるじ)であることを徹底すべきだ。)


下記二句の形(表現)なら、最終選に残したと思う。

黒子をばひそかに演じゐて涼し

薔薇の家ベランダにてのティータイム


以上



by 575fudemakase | 2018-06-17 17:56 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 4月 ねずみのこまくら句会の諸句



花どきの三度乗り替え日帰り旅

花咲満ち散るも楽しと風に乗る

500号しだれ桜の絵のしだる

(「500号しだれに枝垂る桜の絵」 もあるがどちらがよいか。画のサイズも大きいのだから少し大袈裟でもよかろう)

ゴンドラが春の画廊に揺れてをり

ぶれたるが良し白鷺を写しけり

(ブレたるが佳し白鷺の接写像 もあり。カタカナ表記は、時に、意味の伝達を一目瞭然にする)

よな曇り長城に果てありにけり

(回想句か?)

遺されし刻(とき)いとしみつ垣繕ふ

一樹の桜昼月掲げ淋しからず

花くず掃くジーパン似合う大黒さん

(「似合う」の処、「似合ひの」では?)

花に合ひ花に疲れる齢かな

(素直に、ストレートに表現)

花の河岸たどれば逝きし人ばかり

(うつつから一瞬、幽明界に入る)

花の酒持病を熱く語り合ふ

(「花の酒」がいいのか、「花見酒」がいいのか。後者の方が少し親密感が出るか?)

花の夜好きだった人また逝けり

(「夜」の処、「夜が」では?)

花冷えや酒屋・本屋が閉店す

(酒屋・本屋と二つ並べた方がよいのか?「こたびは本屋が閉店す」とした方がよいのか)

芽柳の大枝垂れして眠気さす

芽柳の明るさにつひ近寄りぬ

(「つひ」は最終的に効いているや否や?)

教室を辞して仰げり春の月

啓蟄や野良出の手甲堅く締め

鯉のぼり稽古相撲の声路地に

(空間配置の関係がよろしいのでは…と思った)

高みより思い切り良き春落葉

(ほほうと思った。「良き」の処、「良く」もあると思った。)

菜の花の畑に売地の札の褪せ

(うらぶれた感じが出ている)

菜畑を見え隠れしつランドセル

山峡の桜誰にも見られずに

(「誰にも見られずに」の処、もう少し上手にやって欲しいところだが、まあこれでも…)

山桜白し昼月その上に

思ひ出はかなしき器桃の花

(五七の思わせぶりに「桃の花」は応えているか?私の判断は「難しい」だ。)

紫木蓮散りて真白に裏返る

(新鮮とも思えるが既に在るか?)

児らの描く人みな笑顔桃の花

(まぁ出来ていると言った程度か?)

時に春眠貪りもして寡婦十年(ととせ)

(ズズッと表現した 。齢はとっても勢いがある)

耳敏き目高足音に散る早さ

(「足音に散る」の処、一寸洒落て、「跫に散る」の表記もある)

辞世句を詠みに吉野の桜狩

七たびの春めぐり来もなほ仮設

春隣絵本を持って膝に来る

(絵本を持って跨り来る子春隣 とか 絵本を持って押し掛け来る子春隣 とか。原句の語順がおかしい)

初燕歩けるうちは旅せよと

触れてみるこのやはらかきものの芽に

(「やはらかきもの」で一旦ぶったぎりたい。その後に「xxの芽」とやりたい。尋常では面白くない。さて何を持って来るのか。ヒントを言えば、とことんマイナーなものがよい)

触れなんと我先に追ふしゃぼん玉

身ほとりに清らな大気利休梅

(利休梅の質感は出せていると想う)

人間の生まれる話桃の花

(出来てはいるが。桃太郎の童話が下敷きにありそうなので、そうなると多少減点か?

それとも桃太郎のことをそれとなく言ったのか?それなら「桃太郎の生まれる話」だろう。この時の末尾の季語の決め方は難しい。但しこれが決まれば秀吟)

生まれるも死すもこの里花の雨

(飾らずに出てきた言葉だろう)

雪嶺の見ゆる家家いぐね垣

断捨離の何から始む花は葉に

(季語適切)

遅日かな湖心に白帆集まりて

摘みにけりぽぽと煙吐くつくづくし

(類型がありそう。既に小生の句に以下がある。爪弾くつくしの頭よりぱと煙 ももすずめ)

日蓮像の膝下人寄る竹の秋

廃屋やあととりが花仰ぎゐて

(いいが、句柄が一寸古過ぎの感あり)

背に触れて枝垂桜は揺り籠めき

(この句を見ていて、車椅子生活者の視点といふのを想像してみた。)

白布掛けプチパン寝かす花曇

(プチパンの援用がなかなか効いている)

八十路とかく空仰ぎみること多し

(老人の習性が板に付いて来た)

抜けし歯をいつまで捨てぬ万愚節

(「いつまで捨てぬ」の処、「後生大事に」もありと思った)

晩年の憧れの職桜守

(出来れば「晩年の」程度で終わりたくない、「云ふなれば」とかまだまだやれそう。)

避難者は未だ七万鳥帰る

富士快晴庭のつづきの蕨畑

木組美し鼓櫓の廻廊飛花落花

野を焼いて小さな川の生まれけり

(「小さな川」が現出することもあろう。ここで本質的に「小さな」が必要か?唯の「小川」ではいけないか?そうだとすると、「野を焼いて小川が生まれゐたりけり」)

愉色・憂色スダジイの芽吹き時

(「スダジイの芽吹き」は一種異様であろう。光陰から引き出されるものとして愉色・憂色を挙げている)

夕桜へアクセルを踏む会ひたくて

(アクセルはアクセルペダルの略。自動車関連用語。表現少し洒落てみたか?)

夕桜明智の妻の墓に散る

恋猫の痩せ細りたる眠りかな

老ふまじや一人歩きの花の夜

(健気や自分自身に言い聞かせている。ここで「や」の処、「と」もある。どちらがよいか?)

賤ヶ岳湖に影濃き斑雪村

鶯の正調目覚めよき朝(あした)

(調子が外れるなんていうことが皆無)


以上


by 575fudemakase | 2018-04-15 18:13 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 3月 ねずみのこまくら句会の諸句


 2月尽ペット探しの貼り紙破れ

(「二月尽」と表記すべきだ)

 いとはんの三人官女や凛と立つ

 ぢぢばばの唄ふ本堂春めける

(お寺が幼稚園を兼ねているケースが多々ある。そんな事を思った。所で、お寺がやっているディサービスあるのかなぁ)

 てのひらに朝(あした)の彩の蕗のたう

 もてなしは摘みたて芹と手打ち蕎麦

 リベラルを装っているハンチング

 浦の駅花菜明りに長停車

 駅ベンチに春泥ぬぐふ会社員

(「駅ベンチに」?簡単に「ベンチにて」でいいのでは…?)

 縁側に置くアマリリスまだ起きず

(寝床からアマリリスが見えるのだろう。そう言う私はまだ寝床にしがみついていると…。)

 芽出し雨軒にトレモロ奏でをり

 芽柳や一糸一糸に風あそび

(弱点ありとせば、「一糸一糸に風あそび」。等類あるかも…)

 海光に目を細めいるひひな達

(「いる」は「ゐる」の方が… 「ひひな」など使っているので…)

 干しわかめ紙の音して仕舞はるる

 岩海苔をあぶり単身赴任かな

(私小説風に仕立てた)

 亀鳴くや復刻剣に復刻銘

(「復刻」のダブりが気になる人とそうでない人。)

 競ふ気などさらさらなくて春の山

 芹洗ふ楽しくなりぬ水仕事

(「芹洗ふ」で切れてよいのか?「芹浸し」でどうか?)

 金縷梅や堰落つ水音唄ふごと

 啓蟄の堆肥を掘れば動くもの

 啓蟄の田圃をつつく湖の鳥

 啓蟄や麺麭だね寝かす冷蔵庫

 枯れきって蓮に昏さ無かりけり

 虎杖の赤芽路肩の注意標

 耕人の腰伸ばしては富士を見き

 桜花芽雲と話してきりもなや

 車椅子に一卓譲る梅見茶屋

 酒蒸しの浅蜊舌だす独り酒

(つくねんと手酌の感じ…)

 春しぐれ平らな湖に皺(しぼ)殖やし

 春の雨久方ぶりの農休日

 春の暮ガス燈模した街路灯

 春の夜若者がゆく笑ひ声

 春疾風生徒ら自転車突いて行く

(「突いて」という動詞に興が湧いた)

 春節やメインデッシュの金目鯛

(昨今、日本近海ではどうでもいいような魚しか獲れない。そんな状況下の春節の一句)

 初節句児のさわりたき雛飾

 焼きそばの中にたつぷり春キャベツ

 上物の取り払はれし春の土

 親切な防衛大生春の旅

 針供養一つ身三つ見奉納せり

 水行の始まる手桶風光る

 雛飾る北前船の旅籠かな

(オーソドックスな詠み方)

 洗ひ場に野蒜屑あり飛鳥川

 秩父路の風まだ荒し花三椏

 鳥雲にまだまだ行けぬ夫の空

(厳密に言うと「夫の空」の処、もう一工夫欲しいところ。)

 鳥雲に名画は海を渡りけり

(ノスタルジーを誘うところのある一句。読者一人一人に名画を想像させている。)

 笛太鼓山車の軋みや春祭

 桃の日や隣席の嬰よく笑ひ

(よく見る景。「桃の日」が適切な感じ)

 日向ぼこ猫の寝息をききながら

 梅しだる中やふうっと軽くなる

(途中かなり省略しているが伝わるものはある。大野林火に「しだれざくら女の囲む中に垂る 雪華 昭和四十年」がある。それと一面通ずるものがある。)

 梅はらり散りて兜太の忌を加ふ

(龍太 澄雄に遣り込められていた兜太が生き残って威張っていたが、その兜太も消えた。

金子兜太さんご苦労様という処である)

 白子売鷲掴みして笊の銭

(強いて言えば「白子売」の処はいろいろありそう。)

 比良荒れの波立つ湖に梅散れり

 夫婦岩ひたひた石蓴裳裾曳く

 婦人会総出の売店梅まつり

 払子より春の蚊の声此処山寺

(「払子より春の蚊の声」は何処か民話や童話の世界。和尚さんは左卜全のようなお方?)

 抱卵のまろき頭を見せ鴉の巣

 盆梅のだらりの帯のごと枝垂れ

 妙義嶺を風除けにして梅の里

(絶妙と言う訳ではないが、此処まで出来ればいいじゃあありませんか?)

 友半ば草葉の蔭や草を摘む

(同情の念湧きますネ…)

 余呉湖まで田畑一面雪残る

 落椿塚に洩れ来る一弦琴

 連れ立ちて大殿大路春惜しむ

(「連れ立ちて」に味がある。ゆったりした感じに遊ばせて貰う)

 磴けはし昨夜の雨溜む落椿

トンネルを抜けるたび春引き寄せぬ

(なるほど「春引き寄せぬ」と言う感じありますネ。車中なのか歩行中なのか)

地を割って菩薩菩薩の蕗の薹

(「地を割って菩薩」「菩薩」とリズムで繋いでいる処に工夫がある。そして最後は「菩薩の蕗の薹」と言い納めた。直喩だ。)

針供養一つ身三つ身奉納せり

(男の私なんぞは、「一つ身三つ身」を辞書でひいた)

耀ひの捻れてゐたる若布干す

(「耀ひの」と洒落たがあまり感心しない。「おもいきり」でどうか?句は極力複雑にしない方が得策と考える。焦点を分散させない。)

ささやかに急がぬ齢蜆汁

(「ささやかに」?「此処に来て」 でしょう?)

秩父晴れぢぢばば咲ける札所みち

(「ぢぢばば」を言いたかったのだろう。)

クレーンも艦も取込みしゃぼん玉

(「クレーン」?「起重機」 原句では音数が合わない)

風信子お隣さんは新婚さん

(フットワーク軽くていい句)

靴に砂足裏の痛し啄木忌

てのひらに朝(あした)の彩の蕗のたう

神将の忿怒を宥む百千鳥

(こうした見方あってもよさそう…)

啓蟄やシャベルの好きな三歳児

(何気なく詠んでいるところがいい)


以上


by 575fudemakase | 2018-03-19 08:39 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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