カテゴリ:ねずみのこまくら句会( 26 )

後評(2018・1)

後評(2018・1)


2018年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句


 オリオンの耀ふ苅田道に来て

 ゴールしてとんどを囲む陸上部

 こんなところまで山茶花の散りきたる

(自由律的詠法)

 ちりぢりに破れて日を浴ぶ芭蕉かな

 つぶやきにつぶやき応え日脚伸ぶ

 とんどの炎鎮めの雨の大粒に

(オーソドックスな詠法である)

 ニューズウィーク読む翁ゐて掘り炬燵

(バタ臭い処が作者の味であろう)

 ひと塩の浅漬潔かりけり

 プランターにシャベル使ふも鍬始

 海鼠漁着く船の数妻が待つ

(嬶がいっぱい待機している。リヤカーなぞ持って…)

 寒月光浴びて心音確かにす

 顔見世や役者の目と会ふ齧り付き

 去年今年いよよ己の殻を守る

(「己の殻を守る」と居直った処が俳諧)

 空壕の底が見えゐて歯朶を刈る

 湖のある方の明るき初景色

(まあ尤も俳句らしい叙述のスタイル)

 交差するエスカレータークリスマス

(華やかさ一入)

 皇室の新暦買ひ帰郷せり

(ミーハー的のところを逆に活かして…)

 忽ちに鴟尾を取込み冬至暮れ

(着眼点が面白い)

 今朝の春磴のぼり見ゆ太平洋

(「今朝の春」という古臭い季語を上手く処理している)

 歳晩や隣の家族葬知らず

(近隣の付き合いの形も昔通りではない。変わった。私も今年これを味わった。)

 山影の早き里なり手毬唄

 子ら去にて早めに湯浴み三日かな

(実情そのまんまが出ていてよい)

 師の句碑に賜る活や寒牡丹

 初詣柏手を打つちっちゃな手

(よっぽどのことなければ、俳句の表記方法は話言葉でなく、書き言葉が無難。小さな手)

 初刷りの二面続きの日の出かな

(これは豪勢な!)

 初刷りや死ぬまで書くと寂聴尼

(寂聴さんなら言いそう…)

 初席や老いの笑ひの少しずれ

(季語が気が効いている)

 初東風やさざめき交はす磯馴松

 初日出ず方ちちははの墓在せり

(本当に歳取れば自然にこんな言葉が出て来るのだろう)

 松の内開かれてをり宝物殿

(由緒ある寺などではこうゆうこともあろう。)

 腎臓は綺麗と言はれショール巻く

(腎臓にショールを持って来たことに一つの哀れがある。句の裏にはよっぽどの状況があろう。私

は水腎症である。通常二つある腎臓のひとつが駄目、ひとつで全身をまかなっている。同病愛憐れむ面も少しある)

 石蕗の花家人の出入り承知して

(私は「家人」という言葉が好きで幾つか作っているが、この句も同傾向にあろう)

 先ずは記す通院予定初暦

(ここらへんは誰もやること)

 全円の初日仏具を輝やかす

(「全円の初日」というと、改まって仏壇を見直すことになる)

 待ち合はすマスクの目と目銀座駅

(五七辺りが軽快である)

 大晦日恋文横丁小火(ぼや)騒ぎ

(表現 江戸べらんめい調子。ひばりの唄の文句にありそう…。そう語呂の佳さ)

 大年の蕎麦さげ久に姉を訪ふ

(歳いった弟の感じよく出ている)

 猪垣を張りめぐらして家二軒

(この二軒隣接しているのだろう)

 天守閣前の松より雪吊りす

 冬ざれの汀に溜まる光かな

(大雑把だが何かを掴んでいる。)

 冬至風呂ひたりて喜寿のいのちのぶ

 唐戸市場袋ぜりてふ河豚の糶

 二日はやうすむらさきの芋の粥

(情緒的に表現したか?)

 日脚伸ぶ句会に天動説の出て

(「天動説」で煙りに巻いたか?)

 買初めに筋トレ用具老いまじく

(当世風を句にした)

 膝ひとつ伸ばすに広き炬燵かな

(のうのうと上手いことを謂う)

 福詣でむかし吉原このあたり

(アッサリ流して一句)

 物枯るる中流れくる水の音

(何一つ具体的なこと言わずに句を成立せしめている)

 焚初といふもスイッチ一つオン

(仔細は判らないが味気ないところを詠んでいる)

 餅腹に千枚漬けが沁みとほる

(わたしも「餅腹」という言葉が好きで散々作った。「千枚漬」はあのヒヤッとしたところがイノチ)

 竜の玉貰ふ子の手のぬくみまで

(上手いねエ~この句)

 鈴本へ一家八人初電車

(こんな家族もあ)

 朗朗と幼なの読める恋歌留多

 鮟肝の舌に蕩けて大吟醸

(日本酒の醍醐味である)


以上


by 575fudemakase | 2018-02-18 19:18 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2018・2)

後評(2018・2)


2018年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句


 お隣の灯もいただいて初昔

(お隣のズーと点いている玄関灯を見ての感慨?)

 スーパーブルーブラッドムーン睦月果つ

(片仮名をベタベタ埋め込んで一句作りたくなること時々ありますネ)

 バレンタインの日やマニキュアのラメ光り

(女心はよく解らないが…)

 ひたと止む常の耳鳴り寒明くる

(上手く合わせたか?)

 ページ繰る指先硬く雪催

(「指先硬く」がいいのか?「指の関節」がいいのか!即ち叙述の是非論。)

 ほっこりと身のうちふくる日向ぼこ

(「ようだ俳句」の一つだが是か否か?)

 マスクして息をぷかぷか反抗期

(こんな反応する子居そうである)

 マンホールの蓋絵の消ゆるほどの雪

(もう少し具体化したらどうだろう?マンホールの蓋絵の船を消す粉雪 それとも原句通りでいいか?)

 越冬す鯛のあら煮と後骨湯

(「越冬す」なのか「年籠」なのか? 「後骨湯」はどう読ますのか?)

 皆既月食待つ白息をいよよ濃く

(臨場感出して…)

 咳をして己が谺と居る山中

(こんなこともあろう)

 寒雁や嘴深く胸に抱き

(こんな姿態もあろう)

 肝油一粒ごくりと呑みし寒夜かな

(「かな」止めでなく名詞止めにしたい。肝油一粒ごくりと呑み干し冬夜半)

 鬼の豆もどりにつまむ喫茶店

(サラッとした表現がいいとも…)

 鬼は外照れくさそうに豆撒く子

(類句ありそうではあるが…)

 鍬に乗りまだ眼のあかぬ土蛙

(ほほえまし)

 厳寒の子を待つ夜の耳聡し

(母親とはこんなものと絵に書いて見せて呉れた)

 山笑ふ夫あるときも亡き時も

(自然は人間(じんかん)の突外れに在ると…)

 子の相手いろは歌留多のちりぬるを

(少し疲れたとでも言っているような…)

 耳長きこと春を待つ観音像

(観音像?観世音 「観世音」で句がもっと広がってくるのがわかりませんか?)

 手さばきの心もとなく注連綯へり

(表現もなよなよと…)

 手袋は軍手で通す還暦後

(人によってはこんな感慨も…)

 手袋を脱いで指切りきっと明日

(「きっと明日」の処、指切りの呪文の一部をドカンと持って来る方法もあり。「針千本」)

 洲より洲へ急旋回の群(むら)千鳥

(写生して見た)

 週一から週二の外出春立ちぬ

(磊落な表現に味…)

 春の泥跳ね上げてゆくダンプカー

(もうちょっと説明欲しいが…)

 春節を祝ふ一卓一家族

(中華街に足を運べば…)

 春炬燵パズル埋まらず高鼾

(挙句の果てにはこんな光景も…)

 初電車坂東太郎越えにけり

(謂えばホトトギス的一句)

 乗客は老人ばかり春の昼

(昨今のバスの乗合事情…)

 蝕すすむ寒月とろり黄土色

(彩で攻めた)

 振袖を襷に纏め弓始

(頭でも出来そうな句であるが…)

 神鈴の一息尽きぬ旧正前

(ほんとうに一息つけるのは旧正月以降ということ)

 水溜めし仏足跡や春浅き

(「水溜めし」なのか「雨溜めし」なのか?)

 節分会の鬼高下駄をもて余す

(写生は出来ていると思う)

 雪の原墓標点点しるべなす

(これもよく見る句の一つなのではないか?)

 雪原や動画のごとく川流れ

(今流行りの「動画」を上手く使っている)

 雪嶺の空ゆくサラブライトマン

(好みが偏るが個人的には好きな句柄)

 素描なる雑木林の冬景色

(さらっと言いのけている…)

 草の穂に縋りしままに蝶の凍つ

(出来てはいるが、あたりまえと言えばあたりまえとも)

 替へて来し鷽と並べて犬張子

(面白い配置)

 丹頂と道産子即かづ離れづに

(表記「即かづ」でよいのか?「即かず」)

 断捨離の進まぬ書棚かじかめり

(一応の作と思うが、もう一つ先に行きたい。)

 注連を綯ふこつの掴めぬままにかな

(「こつ」は「コツ」と表記したい。一読して判りやすい為。)

 注連飾めでたき藁の匂ひかな

(「めでたき」の常套を「匂ひ」で外せたか?)

 猪鍋や大山詣で遥かにし

(回想句?何処となく惹かれる)

 冬満月水の近江の屋根瓦

(瓦と冬満月の関係は豊か。著名な瓦処もあろう…それ以上多くを言わずとも充分。)

 冬眠の重なる亀に見張り亀

(冬眠の実態は判り難いと本には書いてある… 見張り亀はどうなのか?)

 梅日和巫女溜まりより笑ひ声

(まあ平均的な詠み方)

 八十路いま楽しみ探す竜の玉

(此の句二つに解釈出来る。それが少し気掛かり?)

 富士に向きいよよ春耕はかどれり

(富士あることが励みとなって…)

 富士真白掌に生みたての寒卵

(白白の連携を演出した)

 風花に佇てばみな吾に向かひ来る

(こんな錯覚よくありますネ)

 風花の永き浮遊の跡形なし

(言い尽くしてしまっているのか そうでないのか?)

 風向きに火の色変はる大とんど

(「火の色」のところ、「焔色(ほいろ)の」ではどうか?)

 門松の華やかに縄結はれたる

(「華やか」は常套か?)

 立春大吉亡夫の太杖傘立てに

(亡夫なお生きているように…)

 蝋梅や角をまがれば鼓の音

(なかなかに小洒落た光景を描いた)


以上



by 575fudemakase | 2018-02-18 19:16 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・12)

後評(2017・12)


2017年 12月 ねずみのこまくら句会の諸句


 「ふるさと」を歌ひて締める年忘

(確かに忘年会は「締める」と言う言葉がふさわしい)

 ゼブラ歩道音符のごとき木の葉かな

(確かに「ゼブラ歩道」は平行線だらけ。だから音符が出てくるのか?)

 どこまでもどこへもゆける刈田みち

(「どこまでもどこへもゆける」と言う措辞が適切であろう)

 ひとつ垂る植ゑし覚えのなき糸瓜

(伏兵に唖然!)

 ゆつくりと野の色変はる初時雨

(どちらかと言えばモノトーンに近い色彩であろう…。初時雨を絵に書かば…と言ったところ。)

 顔にほんのりスマホ明かりやクリスマス

(近頃の待合の景か?)

 菊日和花舗は朝より濡れてをり

 鶏小屋の屋根に三本干し大根

 鍵盤に冬日の反射構わず弾く

(読み手を演奏者の立場に引き込む手法…に注目。)

 枯野揺らしハーレーダビッドソンの列

(確かにアレが来ると野辺は仰天する)

 山茶花の花びら剥がれ飛びにけり

(確かに山茶花には「剥がれ散る」と言う姿態あり)

 山低く入日の遅き小春村

(何でもない表現をとっているが何処か味のある一句)

 子らの継ぐ人形浄瑠璃冬うらら

(地方に地方らしさ、即ち伝統が遺る)

 手に乗りてわたしの一部雪ぼたる

(「わたしの一部」に稚拙を感じるかそれとも納得を感じるか?両論あろう…)

 受付にごろんとかりん植物園

(最近、地方には観光体験型植物園が増えているのだろう)

 秋の海ちりめんぢやこのほどの波

(もう一寸的確な表現欲しい処である。例えば「ちりめんぢやこ程の小波」とか)

 秋霖や介護に暮れる友をふと

(秋霖を契機に友のことがふと… 巧まぬ詩情である)

 小流れに映る紅葉と空の青

(小気味よい程に色彩を取り込んだ)

 小六月眠さふに見ゆ藁ボツチ

(小品然としている処がいい)

 笑ひ声絶えぬ家族や花八手

(花房が混んでいる処が賑やかでよい)

 鯛焼に観てきし芝居の話など

(鯛焼といふ当て方がいい)

 町石に紅葉傘なす高野道

(「町石」と言ふ措辞が効いていよう)

 長元坊柱状節理の崖の上

(長元坊はどこかお坊さんのような響きを持つ)

 通夜の家照らし出したる冬の月

(冬の月夜の通夜の情感を確かに上手く引き出している)

 冬館窓に色なき空映す

(冬空と言えば確かに彩色なき空ですネ)

 島かげの遠ちに島かげ蜜柑山

(伊豆七島辺りの景を想像した。もしくは瀬戸内海辺りか?)

 豆稲架組む飛鳥大仏おん前に

(飛鳥大仏と言えば斑鳩の田畑の拡がりが自ずから感得される。作者は豆稲架を持って来たが、私は白菜を持ち出した。拙句は 白菜をどかと仏へ飛鳥人)

 動き出す池泉の景色雪ぼたる

(「池泉(ちせん)」という言葉が効いている)

 熱燗や錫盃に錫徳利

(「錫盃に錫徳利」とは或る時代性を感じさせる。作者はそうゆう年齢なのだと…)

 夫の戒名喬き松とよ日脚伸ぶ

(夫を偲ぶにこんなやり方があつたのかと感心する)

 風呂吹き料理るなべて面取懇ろに

 目瞑りて寒さ寄せじと朝着替ふ

(朝、肌着を着替える時の様か?上着の筒っぽに躰を通す時の状況を言うたのか?)

 門前に草鞋となるや今年藁

(見方の問題。このようにも謂へると…)

 葉表は吉と拾へり朴落葉

(吉凶を占うごとく落葉を拾うとは微笑ましい)

 竜の玉秘めごともなき齢かな

(「竜の玉」と言ったら「秘む」だろう。「秘め」を媒介して「齢」に繋ぐ。なるほどである)

 蓮枯れて泡も立たぬ放生池

(泡(あぶく)。ルビの問題を提起して置いた。一目で読者に判らせる親切心も重要と)

 筥迫を幾度も落とし七五三

(落とし易い代表「筥迫」とも…)

 蘊蓄に離れられなく菊の前

(菊展に行くと熱心に説明してくれる解説員が居るものだ)

 飄飄と付かず離れず番鴨


by 575fudemakase | 2017-12-18 04:31 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・9)

後評(2017・9)


お花畑天女のやうな雲流れ

恐らくお花畑には山霞等が流れていよう。俳句に詠んだのは目線上のお空の方。

同作者に秋簾の句があったが、アレは明治・大正・昭和初期あたりに既に詠まれてゐてもおかしくないと判断する故ここでは推さない。


歪なることまだ知らず青くわりん

当句に、何処か説教臭が籠もるのは、人に依っては瑕瑾と映ることがあるやもしれない。


青嵐仏横抱き螺髪彫る

仏師か?眼前如実である


葛の花誰も通らぬ道となり

もう誰も通らなくなった小径が葛原に消えている。


行き合ひの空より現れて滝一条

滝が自然に視野に入って来る…そこら辺の呼吸をうまく言い取っている


地獄草紙蛆虫眼ぎよろりかな

絵はマンガチックに出来あがっている。一寸稚拙にさえ感ずる程度に…。一言「ギョロリ」が効いた。今年 盛夏に三井記念美術館で 地獄絵展を見て来た。無論 地獄草紙も展観した。

上記の通りであった。


サングラス街騒シンとする思い

暗色に沈んでゆく想いはこんな感じか?


ゆく秋のこんなに深い空はじめて

独り言俳句のようなところがよい。「こんな」「あんな」は私も多用するところ。この措辞は

句の叙述に当たって、より具体性を与えるのでオススメしたいところ。(指示代名詞の効用)


頭を揺らし夏蚕は繭を作りゆく

夏蚕の頭部に焦点を当てて臨場感を引き出した。


溶けるほど雨に打たるる白芙蓉

雨に遭った芙蓉は正に溶けるが如くである。私は毎日咲いて散る芙蓉を見ているが全くこの通り。

材質感を完全に捉えている。芙蓉は白芙蓉でないと駄目だ。


ほらそことほつれをかがる蜘蛛を指す

逐一言葉を拾って一句と為した。この方の旨さは群を抜いている


鈴の緒のこんなに痩せてきて大暑

「こんなに痩せてきて」は一寸間延びして冗長感は否めないが、実体はシッカリ捉えてはいよう。


虫干の紐より帯のだらりかな

「紐」も「帯」もダラリとぶら下がることには大差はない。なのに、この作者は「帯」の方に敢えて、軍配を挙げる。駄目押しをやるのである。何故か。材質感を明示したいのである。


そのことの一瞬止まる遠花火

「そのことの一瞬止まる」とは進行する花火の一所作、一所作に目を配った時の言葉。この目配り、言い分がこの作者の独自なところ。凡人では「そのことの」は先ず出て来ない。


蓼科の霧閉ざしゆく小津旧居

小品で手堅い


川おこぜ父の近くで追ひし頃

「川おこぜ」なんて在の人の言う言葉であろう


鼠花火行き先を決めかねて果つ

大きな方向転換をするでもなく、足許近辺で愚図愚図しているのを見遣って、この小心者めがとでも内心言っているような一句。


汗の身を合掌一礼して正す

叙述に工夫がある。こんな事だって評価の対象になる。ゆめゆめ油断なさるな…


満月を載せて戻りぬ浚渫船

汚れた浚渫船をこう美しく詠むのも芸の裡


金輪際動く気のなき山椒魚

金輪際動かぬ蓮の間の水 は拙作。「金輪際」と「動く」「動かぬ」は昔から接着剤で貼り付けたような間柄。


滝となる水の真白に迸る

滝に豹変する前の水の本性につき言及した


城址も濠も名のみや蒲の絮

昔の痕跡を辿れるのも「蒲の絮」の御蔭。


白粉花飯盛墓の宿場あと

藤沢の宿には飯盛女がゐてその墓もあの辺りにあるからと誘いを受け吟行をした事もあった。

白粉花は、ちとつき過ぎの感もあるが、まぁこんなところかも…。


湯浴みして目瞑りをれば虫のソロ

「虫のソロ」が小憎い表現。


秋夕焼言の葉浮かぶ前に消ゆ

こんな風に持ってまわった表現が未だあったのか? 貶しているのではない。感心して居るのである。内心に起こって消えた一些事…。



以上


by 575fudemakase | 2017-11-22 06:00 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・11)

後評(2017・11)


2017年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句


5諾へぬ電話の切れず夜の寒し

(これ実感。ご同情申し上げます。)

10この山の夕日集めて木守柿

(うーん 五七多少難無しとせず…厳しく言えば。)

11蝦夷鹿の雄叫びあとは風の音

(良いのか悪いのか?無論句は出来ていますよ…)

16寝座探す椋鳥の騒騒逢摩時

(こんな感じは確かある)

17秋祭り十枚こはぜゆるぎなし

(いざ出陣と言ったところ)

21上の子の鼻緒直せり七五三

(これは母親でなければ出来ない句)

26噂話あれ馬追の髭動く

(話ろくすっぽ聞いてないと言うこと?なら面白い。あれ松虫は確か唱歌の一小節。凝った句だ。)

31立冬や蒼天を突く避雷針

(詠み方としては正攻法)

33唇に残る通草の甘さかな

(局所を押さえたと思った)

39凍空の羽打つ音を返し来る

(ある程度の水準には行っているのでは?)

50眠る児の掌よりこぼるる木の実かな

(「こぼるる」がいいのか「こぼれし」がいいのか)

52秋惜しむ小雨に浮かぶ石舞台

(石舞台がせり出したという感じ…烟る雨に…)

54断捨離の書棚がらんと文化の日

(私も目下その最中なのです。シーザーの「ガリア戦記」等はもう一度読みたいと残した 一冊)

57やや寒や首まで浸かる薪の風呂

(昔は皆こんなだったんじゃあ…と振り返る。)

58無花果を煮詰める雨のひと日かな

(この手の俳句は何処かで見たような…。昔「濱」の女流がよくやったのでは…。)

59同郷の牛飼の墓冬深し

(一つの物語が在るにはあるが…)

66禅林の玉砂利の音初紅葉

(オーソドックスな詠法。先づ間違いない詠法。)

79秋水の己貫くごとくゆく

(こんな秋水もあろう。心理を自句に託した。)

81秋耕の鍬音高し空高し

(内容は然程とは思うが、「高し」のリフレインに引き摺られる)

86仲見世に飴を切る音七五三

(東京の俳人ならこれぐらいはおちゃのこサイサイでは?出来てはいるが季語は未だ動くのでは?。)

87水琴窟ちんちんちんと冬に入る

(個人的には水琴窟は詠まないが、この句の七五はグーと思う)

91雁鳴くやわたし降りれば空のバス

(七五は魅力的。問題は「雁鳴く」。これ以上があるかと言う点?無論 原句で充分だが。その上…。今句会で小生が一番興味をもつたのは当句。というのは、大野林火の句に「紙漉きのこの婆死ねば一人減る 潺潺集 昭和四十一年」と言うのがあって、その口吻がこの句にも見られるのである。林火親しやである)

93千枚田守る田捨てし田草紅葉

(千枚田も荒れ出した… 市松模様に現実が…)

96化粧櫓渡り櫓と紅葉散る

(写生句 まあまあの作品)

97宮跡を巡り巡りて燕去ぬ

(未練を遺しながらと言う「情」が、吉と出るか凶と出るか?)

101絵屏風のラクダの隊商秋惜しむ

(平山郁夫の世界ですネ。それが判ったとして、この先だと言うのかここら辺でokと言うのか)

106投げ釣りや光のやうに秋の鱚

(「光のやうに」が出来ていると思う方おられると思うが、私はこここそ問題と認識している。

「光のやうに」ではまだ句を流しているレベルの話だ。)

110寄鍋を囲む二人となりにけり

(老俳人に類型がありそう。そこが一寸心配)

111日のぬくみ貰うて草のもみぢかな

(私好みの一句。叙し方も自然だし、句の構造もシンプル)

112たったいま掃いたばかりに山茶花散る

(内容は然程無いが語呂としては自然体。言い過ぎになるが、語呂だけでも俳句になるんだよと肝に命じたし!俳句をもっと広義に考えよ!が私の持論である。)

114採りたての蜜柑の届く駐在所

(駐在さんと「さん」が付く関係 。「駐在所」のところ「駐在さん」も有りかも?)

123ベランダの手摺ひやりと後の月

(「後の月」という季語は、どういうところでどう出すかが勝負処)

125黄落や鹿の歯形の残る木々

(類型なしとせずだが…)

126冬の苔日の差さぬ磴ぬめぬめと

(よくもまぁ誰も詠まぬマイナス部分の処を攻めた)

127吹き晴れの空の深さを鳥渡る

( 五七の鷹揚な持って行き方に吸い込まれる…)

132秋風や人の噂のブーメラン

(かなり省略しているが、判らないではない)

140ケリケリと渡り遅れし夜の鳧

(ケリを併せ過ぎた感もあるが、受け手により是非はマチマチか?)

141ぽきぽきと折れて水射す蓮の骨

(作者は「水射す」を言いたいんだろう?その時、蓮は単数、複数どちらが効くか?即ち「ガックリ」か「ぽきぽき」か?)

145日の落ちてぬくもり残る蜜柑山

(山窪のようなところにいるのかな?)

146ころり落つ青き柚子坊夕の鐘

(写生の一種と言ったらいいんでしょうネ 裏でリズムとっているネ)

147鮭のたうつ居繰網漁瀬の疾し

(報告 写生といったところでいやみはなく、スッキリ)

149人の影奪って秋の入日かな

(直ぐには判り難いが、ああそうかと腑に落ちるのでは…)

150白鳥の翔ちたる水のささ濁り

(出来てはいるが、まあまあと言うところか?)

151冬桜仰ぐそびらに天守閣

(寸景描写か?)

158鱗雲うろこ崩さず流れをり

(鱗雲全体が平行移動ということ。 ちょっとした発見)

159大熊手掲げ馴染みのコーヒー店

(下町の珈琲店といったところ… 私は珈琲ゼンゼン駄目だがいるいるコーヒー好き…)

161花八手かくれんぼするもの寄っといで

(「懐古」には弱い)

163葛咲くやくぐり抜けゆく川の音

(葛の紫に川音 清々しくていいじゃない)

166霜の朝硬き音立て牛乳瓶

(「硬き音立て」もいいが、それこそすこし硬き表現じゃあないか?私流だと 霜の朝ことり配達牛乳瓶 )

167猿のこしかけ夫亡き後も育ちをり

(「猿のこしかけ」はガンによいという噂を聴いたことがある。そこら辺の事が入っているんじゃないかこの句には…?)



以上



by 575fudemakase | 2017-11-22 05:52 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・10)

後評(2017・10)



10屈みたる夜店に背後よりの声

(夜店では、後ろから無防備に声を懸けられる恐れがある…)

12雲映す満満のダム鵙日和

(状景をピシと堅めた一句)

13前垂れ・帽子地蔵も後の更衣

(世話役のおばあさんが見えてくる。)

14測量の一歩の碑文秋高し

(伊能忠敬か最上左内かの碑文?)

16夫の寝息聞きて認む良夜かな

(「認(したた)む」とあるから手紙か何かを書き付けているのか?)

18残る蚊に付き纏はるる動物園

(曇日の動物園と言った感じ?小さな古臭い動物園がふさわしい。)

20枯れ蟷螂迫る都電に斧振りあげ

(都電と言えば荒川線?何か勘違いして斧振り上げたか?)

24小鳥来る動物園の供養祭

(私的には、横浜 野毛動物園のつがるさんの末期を知っている。)

27椋一群千鳥破風の天守過ぐ

(キッチリと城を詠めた。)

31爽やかや大仏東(あずま)男振り

(「秋爽の大佛東(あずま)男振り」もあると思った)

39錆び鮎の水滴らす笹の上

(捕獲された一抹の哀れさは出ている。)

40師の家は水の上町月澄めり

(「水の上町」は確か濱の先達、上野さんの棲んだところ。これ知らない方には無縁の句だろう。知己には見逃せない一句。この解釈の多様さが俳句の面白さ。)

43街で遭ふ女医先生の夏帽子

(先生の別の一面見たような…)

49秋果盛る寂しがりやの夫忌日

(「夫忌日」は少し苦しい。ここは字余りの「夫の忌日」でよいのでは…)

52日時計を自慢の教会色鳥来

(ある程度立派な教会らしさが出た。)

54新松子監視カメラの屋敷うち

(首相官邸などこんな具合…)

57宿坊に御師の法話と猿酒

(古臭いが出来上がっている)

60老い母の採り零さじと零余子摘む

(「情」で攻めて来た)

63桐一葉太閤の太刀歯こぼれなし

(秀吉の家紋は確か桐。天守閣かどこかで詠んだのだろう)

64花野あり孔雀の遊ぶワイナリー

(「孔雀の遊ぶワイナリー」はいい。「花野あり」のところまだ上がありそうであるがこれでヨシとして置こう。)

66躓きて満月一瞬吹っ飛べり

(なかなか豪快である。)

68大阪城矢狭間(やざま)をよぎる月の猫

(「らしさ」は出ていると思う。大阪城なんかに行ったことはないんだが…)

73譲り合ひ汲める長寿の水澄めり

(滝の前などでよく見る光景)

74議事堂を弓張月の渡りゆく

(「弓張月」がどうして出てくるのか調べた。馬琴の椿説弓張月で、為朝の「鵺退治」と言うのがある。これが昨今国会で物議を醸している、与党の隠蔽体質暴きと関係あるのか?上記が無くとも「議事堂」と「弓張月」の関係は何となく面白い。どっちみち、時事俳句は一過性のもの。)

77亡き夫の机に月の客となる

(客と己れを客観視した。)

82望の夜の確と唐破風千鳥破風

(天守閣あたりだろうか?)

87東京の地下は洞なり雁渡し

(オリンピック目掛け東京は今、穴ポコだらけ。それに天空の雁を合わせた。)

91汐木焼く煙に釣瓶落としの日

(正統派ならこう来るのであろう。まあ常道。)

96秋の滝をんなが脚を組むやうに

(女が組むのであるから白足であろう。何処と無くエロチック)

98あさがほを破りしほどの雨上がる

(「破りしほど」の措辞がいい)

100水底の石を晒して水澄めり

(晒すとは、だれの目にもつく、むき出しの状態に置くことと辞書にある。「晒す」が効いている。)

104せり上がる城の煌煌月真澄

(色の表記はないが白。白鷺城といったところ…)

105何か始まる湖面に霧の這ひ出でて

(「何か始まる」が軽く意表を衝く)

109バスに乗り遅れて釣瓶落としかな

(気を落としたところに差し込んで来たのは…)

117空堀に萩や芒や月祀る

(城址にての月見。感じ出ている)

119民宿のおやじが頼り茸採り

(「おやじが頼り」などと打ち砕けてていい)

120駅弁も茶も売り切れや豊の秋

(何もかも売り切れていたか?)

122蔦紅葉搦め手登る二手三手 

(「二手三手」と追い込んだところが手柄)

130秋冷の池は五重の塔沈め

(よくある景だ。山口なら瑠璃光寺。)

145サフランの花を巡らせ人嫌ひ

(「人嫌ひ」と庭主の心理を描写した)

148手鏡に鏡のやうな月映す

(月、ピカピカしてたんだろうネ)

150篁の股間に谺ばつたんこ

(「股間に谺」とは大胆に言った)

155肩車ひ孫と爺の地蔵盆

(目線が肉親へと向いたところが面白かった)

165ストレッチャー入れてドア閉づそぞろ寒

(自分のこと言っているのだろうなぁ…)

166翅ふるはせ水吸ふ秋の揚羽かな

(よく見る光景だが、「秋の揚羽」で多少利いたか)

168かつて観し敦煌の月けふの月

(「懐古」には弱い)

178虎尾草のくすぐつてゐる山の空

(一寸と洒落たが許容できる範囲だ)

185夢結びしか山査子の実の真っ赤

(何の夢か判らんが達成感は真紅に通ず)

189富士薊もう一花の穂絮抱き

(もう一華やぎといったところ…。「一花」と「一華」では雲泥の差あり)


句の評などと言うものは、元来大層なものじゃない、読み手がそれを読んで、そこに

流れたたわい無い気分のようなものだと思っている。それ以上のものなんかじゃ決してない。


以上















by 575fudemakase | 2017-10-15 18:21 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 10月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


5星のこと良く知る人と登山小屋

6夫と繰る旅のアルバム月今宵

7ゆく川の流れは絶えず梅花藻咲く

10屈みたる夜店に背後よりの声

11蜂の子を目出度きものと奨めらる

12雲映す満満のダム鵙日和

13前垂れ・帽子地蔵も後の更衣

14測量の一歩の碑文秋高し

15丹精の新米くれて恵比須顔

16夫の寝息聞きて認む良夜かな

18残る蚊に付き纏はるる動物園

20枯れ蟷螂迫る都電に斧振りあげ

21露しぐれ萩は真白にうち伏して

24小鳥来る動物園の供養祭

27椋一群千鳥破風の天守過ぐ

29手捻りの猪口にて啜る走り蕎麦

31爽やかや大仏東(あずま)男振り

33己が身を先づは労はる敬老日

35滝音を心静かに茶屋にかな

39錆び鮎の水滴らす笹の上

40師の家は水の上町月澄めり

43街で遭ふ女医先生の夏帽子

47切り口に種の埋もる西瓜かな

49秋果盛る寂しがりやの夫忌日

50爽やかや車中にすくと盲導犬

52日時計を自慢の教会色鳥来

54新松子監視カメラの屋敷うち

57宿坊に御師の法話と猿酒

58師系みな子規に繋がる獺祭忌

59その中に姉の笛吹く虫時雨

60老い母の採り零さじと零余子摘む

63桐一葉太閤の太刀歯こぼれなし

64花野あり孔雀の遊ぶワイナリー

66躓きて満月一瞬吹っ飛べり

68大阪城矢狭間(やざま)をよぎる月の猫

73譲り合ひ汲める長寿の水澄めり

74議事堂を弓張月の渡りゆく

76従軍の子規仕込み杖身に入めり

77亡き夫の机に月の客となる

82望の夜の確と唐破風千鳥破風

87東京の地下は洞なり雁渡し

88立待の雨音強し早寝かな

91汐木焼く煙に釣瓶落としの日

93猪の皮山影に干す渓の宿

94葱を植う一日を畝に屈まりて

96秋の滝をんなが脚を組むやうに

98あさがほを破りしほどの雨上がる

100水底の石を晒して水澄めり

104せり上がる城の煌煌月真澄

105何か始まる湖面に霧の這ひ出でて

109バスに乗り遅れて釣瓶落としかな

111天守閣下りるに纏ふ秋思かな

117空堀に萩や芒や月祀る

118稲架掛けや稲たば少しねぢりては

119民宿のおやじが頼り茸採り

120駅弁も茶も売り切れや豊の秋

122蔦紅葉搦め手登る二手三手 

130秋冷の池は五重の塔沈め

134名月や水の冷くるダムの上

136木洩れ日の揺るる甘酒飲みにけり

141ポケットの柴栗ひとつお地蔵へ

144秋の声石の蛙の耳澄ます

145サフランの花を巡らせ人嫌ひ

148手鏡に鏡のやうな月映す

150篁の股間に谺ばつたんこ

153打ち損じなるも新蕎麦香り佳し

155肩車ひ孫と爺の地蔵盆

161吹かれゐて気ままがよろし葛の花

165ストレッチャー入れてドア閉づそぞろ寒

166翅ふるはせ水吸ふ秋の揚羽かな

168かつて観し敦煌の月けふの月

176秋刀魚焼く男ひとりの昼餉かな

178虎尾草のくすぐつてゐる山の空

180秋燕や空き家となれる軒端の巣

185夢結びしか山査子の実の真っ赤

186山霧に巻かれて下るループ橋

187残る虫鳴かずに縋る力石

189富士薊もう一花の穂絮抱き


以上















by 575fudemakase | 2017-10-14 22:20 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

後評(2017・8)

後評(2017・8)


ねずみのこまくら句会


青鷺の黙考のふり魚捉ふ

(この一句 何処かユーモラス。そこが買いか?)


湧水に弾き出されし水馬

(例えば、柿田川のあの富士湧水などの例を見れば、湧水の弾力性は半端じゃない。正に弾き出されしなのである)


かがり火の消えていくまで盆踊

(かって秋田、西馬音内の盆踊を最後の最後まで見尽くした。踊上手は夜十一時頃から登場して雁化踊等を舞った。夜の更けるに連れ、秋田音頭も卑猥な代え唄に変じた。篝火がガクッと崩れて踊は終焉を迎える)


朝曇り鎌の切れ味悪からず

(滞り無き表現に、言うべきことは全て言ったとでも申しているような作品)


蜩やわたくし雨の過ぎし杜

(かって小生は八丈島で次句を得た。


八丈島で夕立のことを斯く言えば

明日葉を嬉しがらせる所降


小生の「所降」もこの句の「私雨」も同じ処を狙ったもの。

因みに辞書に依ると、「私雨」は局地的に降る雨のことで、箱根、比叡、丹波などのものが有名とある )


朝の試歩蝉の飛び交ふ並木道

(夏も中、後半を過ぎると蝉もバタバタと乱れ飛ぶ。そんな状況か?)


木偶となりぬ夏風邪に声盗られたる

(「木偶となりぬ」と觀念したところに、軽い納得の念を覚える)


宍道湖の締めは土用の蜆かな

(「宍道湖の締め」は「宍道湖の旅の締め」のことなのだろう。言い足らずなのか?これでオーケーなのか読者に聞いて見たいところである)


水音の途切れぬ鬼無里水芭蕉

(水芭蕉の咲くところは、雪解水なり水量が豊富なところ。「水音の途切れぬ鬼無里」とは言い得てる)


熊除け鈴響ける池の井守かな

(人気の無き山湖の静寂を想う)


白粉の花の乱るる遊女屋(のすかいや)

(正に、造った作と思うが、映画のように情念の世界が伝わって来る面も否めない)


羅や双の乳房を緊縛し

(男故女の心中は察しかねるが、字面通りに伝わって来るもの有りと判断した)


朝顔市のポスターのはや大江戸線

(「大江戸線」から江戸を引き出し朝顔市に結び付けた。ここら辺が手柄)


かの猫も消えてしまひし夏の果て

(些末なものに夏果の風情を詠みとっている)


竹の花見たさに藪に踏み入りぬ

ひつそりと咲くがよろしき竹の花

(両句 何処か無手勝流。そこに好感を持った)


青葦に涼(そよ)いでゐたる鳥の声

(漢和辞典を繰ったが、「涼」をそよぐと読ませる根拠は無いと判断するが、作者の意図を確認したいところ…)


紫陽花のてんまりてまり揺れにけり

(童謡 鞠と殿様を下敷きにした洒落た一句。リズミカルな音調を一句に取り込んだ)


風鈴の鳴る時赤子泣き止みぬ

(ひょっとした発見。たわいもないと言えばたわいもないが…)


五箇山の空うめつくす赤とんぼ

(群舞する赤蜻蛉。空埋め尽くすは常識の範疇だが、固有名詞「五箇山」でこの句は活きたのではないか?)


地獄絵に鬼灯燃ゆる珍皇寺

(目下、小生はFacebookに嵌っている。写真家の写す京都の一葉一葉に頷いている。今夏は珍皇寺も度々登場した。どの写真家も盆花のほおづきを冒頭に持って来ていた。)


山頂に己れちっぽけ星飛べり

(五七の達観したような物言いがユニーク。俳句は尋常では面白くない。尋常ならざることを申してナンボのものである…。と言ってやりすぎるとこれ亦駄目である)


大西瓜まずは佛に褒めてねと

(誰に言い聞かしているのか? 己れ自身にか? それとも孫達にか?亡き夫にか?)


田畑を守りて一人の盂蘭盆会

(一人に…の措辞に、安らぎを覚えるのか?寂寞を思うのか?それとも やれやれを思うのか?)


稲の花ぐっすり眠りし朝かな

(「稲の花」と「ぐっすり眠る」の間にはどういう関連があるのか? 「ぐっすり眠る」の古語に うまい(熟寝)がある。どうやらこの裡の一漢字「熟」にその原因があるようである)


流鏑馬道けふは涼風通ふ道

(流鏑馬から一日間を置いた叙法に、この句の安らかさの原因があろう)


大本山がらんだうなり百日紅

(大本山は本来 がらんどう。大本山は知識の宝庫。「知識の宝庫」なんてそもそもガランドウ也と禅坊主宜しく言いたい)


峯雲や父の掌の添ふ逆上がり

(きめ細かな表現に賛同した)


泥鰌鍋尻ポケットに下足札

(ザックバランな泥鰌屋の雰囲気をザックバランに詠んだ)


たよりなや甘さ控えし土用餅

(元来、土用餅は暑に打ち勝つ為に考案されたものであろう。その為には味もシッカリしていなければならない。それなのに…と言った処なのであろう)


漱石の墓所に金えのころと猫

(何故 金えのころなのか? 私は漱石全集の装丁デザインのことをちらっと想ったりした)


母許や西瓜の躍る自噴井戸

(説明の要無しであろう)


母の紅つけてうれしや祭の子

(これは人様の子を詠んだのではない。自己の懐古詠じゃあないのか? それの方が味わい深い)


雲の峰山の向かうは沸騰中

(訳は判らんが、「沸騰中」の措辞は気になる。それが読者を引っ張って離さない)


八歳の虚空八月十五日

(戦時のある時点に一気呵成に遡っていった作者に共感した)


以上


by 575fudemakase | 2017-08-20 18:37 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2017年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句

2017年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句



予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。

句の前の番号は、選句稿の通し番号


1鉾宿の月讀命「つきよみ」祀る低天井

3野馬追の檄阿武隈山に谺せり

8地平まで北の大地の蕎麦の花

14その中に美しきくれなゐ夏落葉

15拭き艶の箱階段や西鶴忌

16烏瓜の花背戸垣を好みけり

18羅や双の乳房を緊縛し

21黒松の篠突く雨に扇置く

22野萱草佐渡にあまたの能舞台

23宍道湖の締めは土用の蜆かな

27鮎美し古代のままや黄みを帯ぶ

29行く夏の川面に遊ぶ赤き毬

31朝の試歩蝉の飛び交ふ並木道

33水音の途切れぬ鬼無里水芭蕉

38大文字火勢余りて跳ねあがり

39塾の少女雛罌粟ほどの欠伸して

42夏雲立つ丈七丈の鰹塚

43かの猫も消えてしまひし夏の果て

46漱石の墓所に金えのころと猫

48新涼や句集の表紙決まりたる

49舟小屋へ舟曳く漁師朝曇

52秋暑し象舎にのぞく大き尻

55踊り子の紙の雪追ふ羽根扇

56十一や富士山頂より暁けぬ

57新豆腐富士の湧水無尽蔵

62墓灼けて骨の仏も暑からむ

63青鷺の黙考のふり魚捉ふ

68原爆忌採血室のひとひとひと

69八歳の虚空八月十五日

70五箇山の空うめつくす赤とんぼ

72熊除け鈴響ける池の井守かな

73明け易し漁火の陣崩れ初む

74地獄絵に鬼灯燃ゆる珍皇寺

78鉄線を供花としまみゆ師の墓前

82鰡あまた沖飛び熊野灘ひろぐ

83D51の煙朦朦大夏野

85母許や西瓜の躍る自噴井戸

89夏座敷真ん中に犬四肢伸ばし

91エアコンを持ちきし人に扇風機

93暗闇にわれを窺うごきかぶり

95山頂に己れちっぽけ星飛べり

96片蔭を欲る電柱の影さへも

97風鈴の鳴る時赤子泣き止みぬ

98木偶となりぬ夏風邪に声盗られたる

99田畑を守りて一人の盂蘭盆会

100大本山がらんだうなり百日紅

103蓮見舟たゆたふ池や生絹波

107たよりなや甘さ控えし土用餅

108瑠璃鳴くや一人っきりの山の畑

112青芝に沈む踏み石夕まぐれ

114夕河鹿湯ぼてり覚ます川原風

115朝顔市のポスターのはや大江戸線

116泥鰌鍋尻ポケットに下足札

120俎板の鰯は行儀良く並び

124白粉の花の乱るる遊女屋(のすかいや)

128朝曇り鎌の切れ味悪からず

129かがり火の消えていくまで盆踊

130峯雲や父の掌の添ふ逆上がり

131雲の峰山の向かうは沸騰中

136百鬼夜行のありしやとこの梅雨出水

144ひつそりと咲くがよろしき竹の花

147海の日のとても小さなコンサート

149背を向けて夕餉食べをり夜店番

150小躍りして寄り来る海月盥舟

152英会話のテープリピイト生身魂

157稲の花ぐっすり眠りし朝かな

158炎昼の朽ち杭現るる船溜り

159水中花まだ恋知らぬ長睫毛

160竹の花見たさに藪に踏み入りぬ

163大西瓜まずは佛に褒めてねと

168流鏑馬道けふは涼風通ふ道

169母の紅つけてうれしや祭の子

170秋刀魚焼く匂ひの届く奥座敷

174蜩やわたくし雨の過ぎし杜

175雲海を碧き小島や槍・穂高

176湧水に弾き出されし水馬

177接ぎ穂なき言の葉竹の皮散れり

180青葦に涼(そよ)いでゐたる鳥の声


以上






by 575fudemakase | 2017-08-18 05:18 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

ねずみのこまくら句会短評(2017・7)

ねずみのこまくら句会短評(2017・7)



20奪衣婆に帽載せ石工三尺寝

なんとも好ましいポーズを俳句にした


28大琵琶へ峠{たわ}の虹の根潜りけり

「琵琶湖」を「大琵琶」と表記したことに意味がある。「大琵琶」が当地で言い慣らされている言葉ならなおさら良い。今回は此れに 「峠{たわ}」が加わった。


42紫陽花を切るあじさいの中に入り

これでも俳句になると言うお手本のような俳句。素直になる、巧まない。


49滝が滝四十八滝生みにけり

上五七が滝で韻を踏んでをりリズミカル。赤目四十八滝を詠んだのだろう?


56麦秋や赤子に座敷ひと間貸す

57雲の峰赤子にもある力瘤

上記二句は同一作者であろうか?

前句:「ひと間貸す」の使い方が面白い。実のところは、「占有」されてしまったという状況であろう

後句:「力瘤」が共通項として働いているが、どこか類型的。


70風の日の脚持て余すあめんぼう

強風の日、川の遡上をサボっているアメンボウ達であろう。一処に屯して…


73池の面に気泡のぽこり油照

稲田でも池でもよいだろう。類型はあるであろう…


87麦秋の中を迷うて帰りけり

状景が漫然としている。とらまえどころの無い句である。が何処かそそられる。

私が想ったのは北海道辺りの広大な麦畑。実体験したのは女満別空港に向う途中の麦畑群

(むろん、車でだが)。

または、心理的状景と解してもよい。


98暮れながらてらてらてらと柿若葉

柿若葉がピカピカとかテラテラとかは在り来たりの表現。しかし「暮れながら」と夕映の景

をもってきたのは適切。差し込んでくる金色光が眩しい


104後引かぬやうに十粒のさくらんぼ

出して置けば無くなるまで食べてしまう夫や子ども達。それらを目線にした主婦の防衛策?

それとも自らを律した一句?


109浜ひるがほ砂より生まれ来たりけり

「砂より生まれ」と大胆に踏み込んだ。途中を一切省略しているが、なんとなく説得させられる。

小生が実地に体験したのは千葉県 富浦の浜辺。


113白波に裸ぶつけて神輿揉む

こういった祭は全国的に数多あろう。上五七が小気味よい。


116エプロンは現役印梅を干す

元気印とはよく聞く。が現役印はどうか?でも 抵抗なく入ってくる言葉だ。

要は作者が現役ではないと言うこと。それがハリキッテ梅を干すという。ホホウである。


127病床の管の幾筋さみだるる

「人間は管(くだ)より成れる日短(ひみじか)」(川崎展宏)

これが管俳句の嚆矢であろう。管の状態(複数)はまことに五月雨に適う。


148花氷オーシャンビュウのレストラン

船旅に模した洒落た作りである。


by 575fudemakase | 2017-07-16 03:58 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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