カテゴリ:ねずみのこまくら句会( 40 )

2019年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句

2019年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句


 蹲いへ走る山水梅三分

 囀りの喃語こぼせる大樹かな

(喃語などと下手に洒落ない方がいい)

 力士乗りびんつけ匂う暖房車

(「乗り」がすこし引っかかった)

 来て見れば遺跡の濠になずな咲き

 明治の家壊すもならず虎落笛

 母を呼ぶ声のか細き冬の鹿

 母さんが本気になった歌留多取り

 墓碑囲ふ小石に混じる名草の芽

(細かい所を的確に見ている)

 風花を肩に払へば溶けにけり

 梅紋の法被が走る大とんど

 波裏より現るるさーふあー春の海

 独り棲む梅の庵と言ふべきや

 豆の皮ゆるびてきたる福茶かな

 大仏殿霙の叩く大甍

 繕へる糸の淡きや春隣

(淡き vs 薄黄:もう一歩踏み込んで色で明示したら?)

 節分草光豊かに雨上り

(光豊かに:一見適切な表現に見えるが逆に実態を判らなくしている vs 光沢載せて)

 青ぬたや酢の角うまく取れてきて

 水の面のほのかに揺らぐ冬泉

 真っ当な世に送りたし卒業子

 女正月久に結びし矢の字帯

 助六の紫褪せし懸り凧

 初観音おかず横丁廻りけり

 春日影がじゅまるの根がほどけさう

 春節の夜空に赤きタワーの灯

(赤きタワー vs マリンタワー:正確には横浜マリンタワー。これで横濱もしくは神戸の中華街の春節と明示できる)

 出土土偶のどれにも乳房あたたかし

 塾の子の帰宅を待つて鬼は外

 四千キロ三度の旅や小白鳥

 三輪明神摂社末社に寒卵

 座禅終え粥有(しゅうゆう)十利和す春暁

 黒豆炊く雪の一夜の落とし蓋

 御猟場の春鴨を呼ぶ木槌の音

 玄米パンの湯気はふはふと一の午

 懸想文離郷せし子の抽出に

 禁猟区狸の糞の乾きをり

 寒夕焼あつき抱擁老いにこそ

 葛湯吹く胃袋の中撮られ来て

 火が風を風が炎を呼ぶ野焼かな

 鴛鴦の沓平等院の影揺らし

 遠野火のその先に野火富士暮るる

 遠き日や母ゐて妹ゐて日向ぼこ

 円かより生まれるいのち梅の花

(円かより vs つぶらかに:原句どおりだと些か理屈っぽい)

 威勢よき漁師らも居て一の午

(威勢よき漁師 vs (こゆるぎの漁師 or 逗子は小坪の漁師):漁師はもともと威勢がよい。固有名詞の地名を入れたら良い)

 ゆふがたは綿虫の舞ふあたりより

 ムンク展北風に顔削がれ来て

 ひとりぼっちを託つ一輪冬薔薇

 この上に遺跡ありとぞ囀れり

 きさらぎの空の切れ味コントレイル

 うから無き友みまかりぬ寒の入り

 いにしへの清盛道に鴛鴦を見る

(「清盛道」と「鴛鴦」を結ぶのは「朱」であろう。清盛 高熱 朱。平家 赤旗。)

 いつの間に三羽が五羽に初雀

 アルプスに抱かれはもる早春譜

 あたたかや変はらずに居る友ありて


以上



by 575fudemakase | 2019-02-17 19:42 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2019年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句

2019年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句


 あらためて作法確認初手水

 カルテ見る主治医に御慶申しけり

(患者の元気が医者の励みにもなろう)

 スケーターリンクの皺を伸ばし伸ばし

 ポインセチア言葉を返す縫ひぐるみ

 音調は青年のもの除夜の鐘

(音調はvsその音色:音調は少し硬い措辞)

 寒暁の座禅に透る鐘一打

 寒卵割る講宿の馳走かな

(寒卵富士講宿の馳走なる)

 脚ばかり見せて野兎大地駆け

(脚大きく見せて野兎大地駆く)

 去年今年ただひと色に川流る

(川は流れる …仲宗根 美樹の歌を思い出した)

 去年今年夜すがら灯し御仏壇

(去年今年vs(凩の or 大年の))

 居酒屋の肩幅の席十二月

(「肩幅の席」は的確)

 熊野古道塩漬け梅を寒干しに

 元朝参りみな低声に笑み交はし

(みな低声にvs集ふどの娘(こ)も)

 五重塔目差す人波初弘法

(東寺の弘法市などを想像した)

 行く年来る年船笛が橋渡し

(地元を詠う強みだ)

 七度目の干支は終とも年新た

 七日粥未だに慣れぬ水加減

(年季を積んでも仕損ずこともある)

 若水を汲むや真白き割烹着

(新婚時代の華やぎに似たものがある)

 終弘法「シルク」と大書の端切売

 初刷りを担ぎてきたる配達夫

 初日影満つ蹲いの水鏡

 初包丁大根人参花型に

(華やぐ心を容に…)

 初明かり富士湧水の気泡かな

 初暦巻きぐせのまま予定書き

(予定記す巻き癖のある初暦)

 除夜の鐘ひとつを聞いて寝ねにけり

(ひとつを聞いて寝ねにけりvs一つ目聞いて寝に就けり)

 新年の松蒼穹をたなごころ

(おとなしい句だが祝ぎ心如実)

 水掛けて冷えを募らす水子仏

 戦争を我も知る人日向ぼこ

(我も知る人vs吾も知る一人:「戦争を吾も知る一人白ふくらふ(白梟は自己擬人化像)」「日向ぼこ戦争遠く近くに遣り」等どうだろうか?これは直し方で秀句になる可能性あり。)

 大とんど生木の芯に水泡噴く

(芯に水泡噴くvs芯より噴くあぶく)

 大活字の本を積み上げ冬ごもり

(大活字の本vs大活字本:大活字本は造語臭いが用語として成立するのではないか?)

 大寒の日をちりぢりに割れガラス

 大初日太陽の塔ゆるぎなし

 大鷹の飛翔の足に鼠らし

(飛翔の脚vsさらへるは何:「飛翔の足」という措辞がちょっと引っかかった)

 凧うなる高みにありぬ石舞台

(素材の配置が立体的。舞台も申し分ない)

 鉄階を下る凍滝へと下る

 天邪鬼歳の市より句碑めぐり

 兎籠抱きて獣医へ初車

(そう言えば「初車」という季語があった。あまり使われないが…)

 冬日燦上毛三山位に即けり

(龍太に「山河はや冬かがやきて位に即けり」がある。之を踏まえて各々は何点をつけるか)

 冬籠趣味三昧の隠れ部屋

 読初の「一分音読」若菜集

 二日はや焼きたてパンを求む列

(「求む」と駄目を押した処に共感を禁じ得ない)

 日脚伸ぶお巡りさんと立ち話

(お巡りさんvsおまわりさん:一瞬私は「おめぐりさん」と読んだ。お遍路の別称でもあるかと勘違いした。これは損だ。)

 年の市鮑・帆立に水溢れ

(暮の活気が活写されている)

 年詰まる椅子軋ませてクリニック

 年玉を遠慮しもらふ子となりぬ

(孫の仕草を見るようで合点だ)

 年酒酌む富士の裾野に居を構へ

(七五がどっしりして目出度い)

 年明くる視野の限りを青き空

(類句あるやも知れぬがスカッとする一句)

 煤逃げや一年ぶりのルーテイーン

((今年もや or ぶらり出て)煤逃げといふルーティーン)

 白髪の張り頼もしく初鏡

 箸紙に感謝と弱音吐く齢

 八代の鶴二羽にて平成暮にけり

(今年は「年暮れ」と「元号暮れ」が重なって感慨深い。鶴二羽の残像が脳裡に残る)

 夫の物片付かぬ日々日脚伸ぶ

(日脚伸ぶvs年の瀬へ)

 福笹の大判小判鳴らしゆく

 福藁に洞ろな神馬休養す

 暮れ早し一人の旅の一人鍋

(一人鍋vs(茸鍋orひとり鍋):「一人」のリフレインは一寸五月蠅いので…)

 綿虫の意気投合のめくら飛び

 網を張る桶にすっぽん年の市

 餅花をくぐり塩豆求めけり

(小品だが臨場感はあった)

 柚子入れて一番にして仕舞風呂

(柚子入れてvs柚子風呂や:一人暮らしが窺えてほのぼの…)

 玲子さん逝去の知らせ入る七日

(逝去の知らせ入る七日vs身罷る知らせ薺の日: 身罷るは古今哀傷詞と辞書にある)

 鈴生りの金柑に鳥鈴なりに

 蓮根掘引き抜く脚の暮れにけり

(暮れにけりvs暮れかかる)

 巫女咲かす肌の柔さの餅の花

(肌の柔さvsやわ肌いろ:色で勝負したらどうだろう?)

 篝籠乱れて年の明けにけり

(乱れてvs灰白:色で勝負したら。「明けにけり」でなく「明けてをり」であろう)


以上



by 575fudemakase | 2019-01-20 20:16 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 11月 ねずみのこまくら句会の諸句

 

 あれこれに紛れ思はぬ月に逢ふ

 えのころ草独りぼっちと言ふ自由

(「えのころ草独りぼっちと言ふ」vs「狗尾草独りぼっちといふ」 「犬」のイメージ入れたい。故に「狗尾草」)

 ストーブを独り占めしてゐたる贅

 そぞろ寒犬も朝夕薬飲む

(犬猫も薬嚥む世ぞそぞろ寒)

 ともしきは君が掬へる葛湯かな

 どんぶり提げ僧も侍れる大根焚

 ひやひやと昔質草黒紋付

(「ひやひやと」vs「ひんやりと」)

 まずまずの晩年茶の花を愛で

(「まずまずの晩年茶の花」vs「まづまづの晩年お茶の花」)

 鞍馬祭いなせな半裸火の海へ

 姥石を棚田に祀り稲を刈る

 塩梅よき酢締め落鮎づくしなる

(「塩梅よき酢締め」vs「酢加減の程よき」)

 柿熟れて白漆喰の蔵に映ゆ

(漆喰の蔵壁柿の栄ゆるなり ぐらいでどうでしょうか?)

 活字見し眼に薬注し秋暮るる

 寒椿疾(と)くに捨てたる志

(「疾(と)くに捨てたる志」vs「とっくに捨てた志」 此処は口語で遣ってしまった方がよいのでは?もちろん「疾うに捨てたる志」の形もある。)

 雁の列夕日の海へ消えにけり

(「消えにけり」vs「消えゆけり」)

 去来墓日がな筒抜け十夜鉦

(「去来墓」vs「野良の墓」 「去来墓」である必然性果たして有りや?)

 近隣に分くる艶良き庭の柿

 月光の大和三山うす墨に

(出来上るべく出来上った この微妙な処が私には不満)

 五歳児と米寿のオセロ文化の日

 吾が子抱くごと藁塚を束ねゐて

 公孫樹落葉足弱滑るな滑るなよ

(「足弱滑るな滑るなよ」vs「足弱なれば転けるなよ」)

 懇ろとなるペン胼胝と芒傷

 再会や運動場は秋日の海

 妻の留守さざんかの花散り敷くまま

 枝の先の昼月ほうと帰り花

(「ほうと」は「呆と」と書くのであろう。)

 寺の子の宵待ち顔に秋祭

 蛇穴に入りせかせかと一と日終ゆ

(せかせかと一と日過ぎるや… こんな叙法もあろう。より自然体であろう。原句はどこか計算している風がある)

 秋渇き修行僧めくジョコビッチ

 十二神将それぞれの冬構へかな

(季語としての、冬構といふ言葉の遣い方が少しずれていませんか?)

 小春日や画架におかるる未完の絵

(「小春日や」vs「竹の春」「竹」と言う素材感を入れても面白かろう)

 杖持たぬことも自慢や十夜婆

(「や」vs「を」)

 色鳥来人形供養の寺の階

 神無月ビルの腹から電車出で

(東京者なら渋谷辺りと見当がつくところ…)

 水澄みて澄みて晒さる鯉の白

(「晒す」には、いろいろな意味があるが、ここでは「広く人目に示す」の意だろう)

 水澄みて脈々とゆく飛鳥川

 睡蓮の秋冷の色凝らしたる

 星月夜バツクひとつの帰り径

(「バツク」vs「バッグ」 「バッグ」が正しい)

 石蕗に蕾数多よ誕生日

 赤んぼをあやす声して良夜かな

 禅堂の厚き草屋根冬に入る

 霜除の土深深と何の畝

(深深とは、あたりがひっそりと静まりかえっているさま。土の色まで見えて来そう)

 村芝居大きな掌にて見得を切る

(「にて」vs「もて」)

 大熊手担ぎたるままコップ酒

 炭竈樫五百本火入れ待つ

 地に還るかそけき音に紅葉散る

 朝寒の嵯峨野にて逢ふ花売女

(「にて逢ふ」vs「を往けば」 「にて逢ふ」は少し説明的、丁寧過ぎ?)

 朝刊とりに出づれば小鳥来てをりぬ

(ゆったり感が何ともいい)

 長き夜やナースコールの点滅音

(「長き夜をナースコールの呼び出し音」)

 農日誌納屋に新米積むと書く

 飛沫より鮎のこぼるる下り簗

 微笑みを残して逝けり秋の果

 冨冨冨てふ新米届き人寄する

 風呂吹きやこれから続くひとりの餉

(暗澹たる行く末を思っている)

 文化の日古事記歌謡を朗誦し

 平成のその先見えず返り花

(年号改元に老い先不安を重ねている)

 母さんもきっといる筈踊りの輪

 忘れてはならぬに忘る山の講

(上五七の叙法面白し)

 本願寺の蝋燭手向け残る虫

 棉吹きて風にぬくみのありにけり

 門前のバナナを枯らす農学部

 落鮎や生簀に影を沈ませて

(「生簀に影を沈ませて」少し格好をつけ過ぎた感あり)

 陵の濠やにほどりすぐ浮かび

(「すぐ」vs「つと」 少しボヤカシておいた方がいいのかも。副詞「つと」は「さっと」「急に」の意)

 悴めり言い訳の嘘すんなりと

一生を半農婦かな石蕗の花

(一生を半農ぐらし石蕗の花 これなら秀抜。半農婦は苦しい。言葉として成り立つか?)



以上



by 575fudemakase | 2018-12-16 18:26 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 12月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 12月 ねずみのこまくら句会の諸句


 一葉忌ペンを持つこと怠らず

 この冬も籠らむポケットにスマホ

 これはこれはとばかりに石焼き芋

 そう津峡のとことこトレイン秋惜しむ

 そぞろ寒堂の上履き草鞋にて

 そばかすの八百屋の娘毛糸帽

 たばこ屋の名残の小窓毛糸編む

 はや師走やるべき事を箇条書

 愛日や運慶五体仏を観て

 河豚刺しに透ける絵皿の山水画

 見目の佳き生簀の河豚を指名せり

 戸隠の水に締められ走り蕎麦

 行く年の築地に買へる玉子焼

 高輪てふ新駅ができ年行けり

 昨夜雨にものの影濃く十二月

(「昨夜雨に」で一端切れるのであろう。その続きの今日も「ものの影濃く」と言うことであろう)

 桜紅葉三日月濠へ散り込めり

 笹鳴きに耳そばだてて子の家なる

 山住みも良いものですと頬被り

 散紅葉弁柄格子滑りけり

 時雨るや数字はなやぐ乱数表

(上五の表記は平仮名であるべき。しぐるるや数字はなやぐ乱数表 とすべきである)

 煮返しの鰯崩るる一葉忌

 修験者の窟を顕はに枯木山

 小春日の葛根立て掛く海鼠壁

 賞味期限切れを捨つるも歳用意

 城址発掘進む駿府や鷹舞へり

 新蕎麦や使い込まれし箱階段

 新雪の常念岳(じょうねん)槍の穂を見せて

 人の世の殿につき冬ぬくし

 対岸の山に日の差す時雨かな

 大宇陀の坊に薬膳料理かな

 短日や野良着のポッケに疵薬

 中尊の朱唇の紅を足す冬日

 朝なさな富士観るたつき小春凪

 蝶出でてほっこり点る冬日向

 冬うららZ旗揚げてみかさ艦

 冬ざれて名札ばかりの薬草園

 冬の夜のみんな何かを待ってる灯

 冬菜青々衣冠装束密の墓

(「密の墓」とは「前島密」の墓であろう。三浦半島 横須賀 芦名の浄楽寺?)

 冬夕日ボルゾイ影を長く引く

 凍てし薔薇人はどこまで毀れゆく

 二股大根供ふ祠の神も留守

 日めくりの残り少なく懐手

 背開きのうつぼの干され冬怒涛

 煤逃げにあらず為すことなく遠出

 白鳥の朝日に染まり立ち上がる

 隼の猟場としたり三番瀬

 敷松葉雨を含みて雀色

 浮寝鳥天守の影に安らぎて

 綿虫を前後左右に野良帰り

 薬喰法外なこと言ひ出せり

 薬喰落石音に箸止まる

 余生など無くてもともと雪ばんば

 歴代の総理鴨居に時雨けり

 連山の漲る力霜強し

(霜強し蓮華と開く八ヶ岳(前田普羅)、強霜の富士や力を裾にまで(飯田龍太)が既にあるのでなかなか難しかろう。)

 路地を来る咳夫と思ひけり

 老ひぬるよ葛湯に温む夜もありて

 嵌めやるもすぐに手袋もてあそぶ

 撓むほどに実る金柑構はれず

大空へ大きな目玉冬の鯉

(大空へぎょろり目を遣る冬の鯉 なら秀逸)


以上


by 575fudemakase | 2018-12-16 18:21 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 9月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 9月 ねずみのこまくら句会の諸句


 露草の露にや濡れむ朝の試歩

 林火忌や農衣に替えてより力

 揚花火思い出一つ二つ三つ

 幼馴染みいよよ大切生身魂

 約束の窯訪はぬまま夏終わる

(些事に夏の畢りを感じている、その辺の宜しさというところだろう)

 枕辺に秋富士ホテル最上階

 本尊に葦一本の盆の供花

 豊の秋空へと続く棚田かな

 板塀の内の人ごえ子規忌かな

(こうゆう句みていると、根岸の子規庵を訪れている実感が伝わってくる)

 独り旅してゐるごとく秋の蝶

 銅剣の数多出し谷蜥蜴馳す

 桃食うべ何がめでたい九十歳

(ベストセラー佐藤愛子の「九十歳。何がめでたい」をもじったか?私も実は読んだ)

 大文字山より御所へ鰯雲

 台風が運びしちちろ居着きけり

(「が運びし」?「に追われし」)

 窓に来て鳴くすいっちょの髭動く

(「動く」?「立派」 もうちょっと飛躍したい)

 相撲草抜くとて吾れの力瘤

(「吾れの力瘤」?「女の糞力」)

 掃苔や大雑把では済まされぬ

(「大雑把」と言う言葉の替りに「念を入れ」と言う言葉を私なら遣いたい。こうすると心の在りようがちょっと違ってくる。俳句は微妙だ。ところで、当句は自家の墓なのか他者の墓なのか?)

 爽やかや縄文美人ふくよかに

 世話やきの婆の接待地蔵盆

 数珠玉や大寺を出し野川縁り

(「出し」?「出て」)

 笑み給ふ露けき頬を掌につつみ

(これも主語を隠している)

(これもなかなかの句。一瞬、仏様のことを言ったのかと勘違いしそうになる)

 小流れに影泳がせて曼珠沙華

(こんな配置もよく見るところ)

 初嵐芋の葉擦れの音鈍く

 秋刀魚焼く夕風心地よくなりぬ

(「夕風心地よく」は、暑さも峠を越したと言う市井の実感を表現したものであろう)

 秋高し飛行場見学歩け歩け

(表現に工夫の跡が見られる)

 秋雲のすすむ速さよ盆が過ぎ

 種を採る蒔ける確約なきままに

 子規臥せし部屋に糸瓜の長き影

(長きは不要。「糸瓜影」とすればもっと多くのことが言える)

 子規庵の若き自画像小鳥来る

 四人目のこの子は誰似天高し

 黒蝶の影を離さず嵐あと

 高野聖名も疎ましく泥まみれ

 高砂百合あるなしの風捉え揺る

(あの形状に準じた表現を適用している)

 行く川の岸辺に沿へる竹の春

 湖に出てすぐ戻り来る秋の蝶

 孤独とはこんなものかも通草食べ

(「孤独」?「独り身」)

 峡銀座に自販機一つ蓼の花

 休み鵜の小屋鮎の香の強きかな

 帰られしあとのしじまや送り盆

(主語を曖昧にしているのがこの句の特徴。)

 汗を拭くたび老斑の殖ゆるかな

(老斑の殖ゆる思ひも汗拭くたび 「かな」は少し問題だ。一歩引き下がった表現も時に必要ではないか?)

 歓喜天外の稲妻を知らざりき

(彼の象頭の秘仏を見れば、この程度の句は誰でもひねり出せるであろうと推察される)

 噛み捨てて渋抜けきらぬ百匁柿(ひゃくめ柿)

(「噛み捨てて」?「ほき出して」)

 海女小屋にうすき灯とどく盆踊

(「うすき」? 濃い薄いの薄い?ふーむ?)

 花野にて今はの顔を自撮りせり

(「今はの顔を」?「今はの顔よと」 少しおどけた感じにした方がよさそう…)

 押せば開く教会の門小鳥来る

(「押せば開(あ)く」の自然体表現がよろしかろう)

 奥出雲舞茸料理を大盛に

 鵜飼果て波の裏まで月照らす

(「波の裏」?)

 鰯雲バッグにいつも文庫本

 一切れの残りし梨に錆浮けり

(梨は錆やすい。それを判りやすく言った)

 やはらかく掌を蹴り上ぐるばったの子

(原句のままでは散文の一部かとも… 俳句はもう少し叙述にメリハリついたもの)

 はらからの吾れのみ残る愁思かな

(「愁思かな」?ここで収まっちゃっていいのかな?)

 とつときのイエメン珈琲敬老日

(素材だけを押し出した句。評価は蓼喰ふ虫に任せよう)

 お供はいつも連名地蔵盆

(「お供はいつも連名」辺りに市井人らしさが出ていていいじゃないですか?)

 おもとの実の紅に寂しさ失せにけり

(万年青の實老いの寂しさ払拭す)

 あなたより現れてあなたへ鷹渡る

(「あなた」のリフレイン少しうるさいと感ずる人も居るかも…?)


以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:31 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 8月 ねずみのこまくら句会の諸句


 「不忘の碑」青嶺を映す黒御影 兜太揮毫

 あの世行く心地に霧の大花野

 オアシスのかレーズ思ふ熱帯夜

(熱沙をゆくカレーズさしづめ山清水 何故山清水なのか?遠地の日本に結びつけたいが為である。想いは既に日本に飛んでいる。山清水は日本に固有なものである。山の無い砂漠を揶揄しているのである。)

 おしやべりや玻璃を隔てて作り滝 

 お台場に潮のひた寄す鯊日和

 さざ波の湖に山並秋の声

(高点句になるでしょう。只、類型感はある。類型感があるから高点句になる。その辺を理解していないと何処かで足を救われます。一般的に言えば、高点句は御用心なのです。)

 たとうれば薤露(かいろ)のごとき命かな

(成語「薤露」の中に既に「命」の本意が含有されている。即ち「命」は「命」だと言っている。論理学で言うトートロジーだ。内容は唯それだけだ。)

 ちちははの歳にとどかぬ端居かな

(せめてちちははの逝った歳までは生きたいものと願う懸命があって素直と思う)

 ビール酌む云はずもがなの暑さいふ

(「酌む」vs「酌み」)

 ひまわりや北の大地の果てしなく

(これは絵ハガキだ。言葉だけが立ち上がっている)

 ベッドメイクシーツ真白に暑に耐ふる

 ポンポンとテニス青嶺は雲を脱ぎ

 リスボンの居酒屋のファド晩夏光

(これは未だ絵ハガキの域にとどまっている)

 わが齢ねぢ花の秀のこのあたり

(富士登山の今何合目?の言い方と同義だろう)

 悪夢覚め厠窓辺のひでり星

 遺し征く妻の裸婦像終戦忌

(これも絵ハガキだ)

 遺産相続意見平行冷房裡

(「意見」vs「話」)

 印象派白い日傘に青い服

(何となく気になる一句に仕立てた)

 雲の峰抱く児は手足ばたつかせ

 猿が枝に掛けたる小蓑さるをがせ

 何といふ小さな私夏の海

(「夏の海」が一寸茫洋としている。私と海の位置関係がハッキリしない。それを解消したいなら下記はその一例。何といふ小さな私デッキの夏。デッキは船上甲板という立ち位置。)

 夏空や水平線に島が乗り

 夏痩せて常の一杖ふと重き

 寡婦吾れに残生長し百日紅

 蚊遣り腰に女園丁熊手掻く

 会ふ人ごと怒つたやうに暑さ言ふ

 絵と文の叫びぞ無言館灼くる

(句は未だ絵ハガキの域を脱していない)

 空港ピアノザックを肩にせしままに

 原爆忌富士穏やかに坐してをり

(富士に対する安心感が生み出した句と思う)

 広島忌魚の目玉を突きては

 高麗郷の産土を練る祈雨の龍

 山寺の本堂に坐す今朝の秋

 山荘へ白き矢じるし柳蘭

(色彩の交響が美しい)

 山百合を踏みつぶしゆく戦車かな

(富士山麓在住者の句だ)

 飼ひし亀逃がし目高に転向す

(あっさり撤退。高齢者は簡単に心変わりする)

 手が覚えをり故郷の盆踊

 手を入れて噴井の掴みどころなし

 首出して亀が息吐く大暑かな

(「首出して」vs「首突き出し」)

 出水あと蟹腰高に歩きをり

(「歩きをり」? 「歩きをり」vs「大堤」vs「田圃みち」)

 女盛りわたしにありし盆踊

(「にありし」vs「にもある」 現在形になるが、臨場感は大。「懐古」と添え書きを付ける。)

 小津映画とつとつ語り夏炉焚く

 小津旧居夏炉話に原節子

(小津が二句並んだ。後句が勝る。前句の「とつとつ」は常套の合わせで多少減点要素か?)

 森林浴足取り軽く出でにけり

 水の裏目高くすぐる昼下がり

(「水の裏」vs「水面を」。「水の裏」は果たして適語か?と言うより熟している言葉か?)

 星よりも明るく富士に登山の灯

 走馬灯ゆつくり回る葬りかな

 滝壺の水は羽得て舞ひ上がる

(「舞ひ上がる」vs「煙(けむ)と舞ふ」)

 脱衣所に遊びの足りぬ浮袋

(「遊びの足りぬ」は一寸間延びしている用語、言うなら「遊び足らずの浮袋」。この他に以下の展開もあろう)

(脱衣所に投げ出しありぬ浮袋)

(吊し干し遊び足らずの浮袋)

 竹割りしやうに生き来ぬ竹の花

(果たして季語効いているや?)

 通行人ABCに紙の月

(この句の言いまわしが面白い。彼の十返舎一九の東海道中膝栗毛の面白さは狂言の「状況説明文(地の文)」と「台詞」の掛け合いの面白さにある。当句はその「状況説明文」に当たろうか?。膝栗毛を未だ未読の方は是非一読くだされ。続いて「浮世床」「浮世風呂」等も。江戸戯作が如何に優れた物であるか実感出来よう。)

 庭下駄の湿りはつかに今朝の秋

(一寸常套的なところあるが…)

 庭花火揃えし亡夫の下駄照らす

(世の中には、用語「亡夫」が気になる人と気に成らぬ人が居よう。私は前者。私の流儀だとこうなる。連れ合ひの下駄を照らせる庭花火。「揃え」は無くなるが、意図すべきは伝わると思う。現在形が気になるのなら、懐古と添え書きを付せばよい)

(亡父(ぼうふ)、亡母(ぼうぼ)考

私が調べた限り、亡父(ぼうふ)、亡母(ぼうぼ)、亡夫(ぼうふ)、亡妻(ぼうさい)と言う言葉は辞書にある。

亡父(ぼうふ)、亡母(ぼうぼ)については別に、先考(せんこう)、先妣(せんぴ)や考(こう)、妣(ひ)の言い方がある。前者が新しく、後者が古い使われ方だろう。

亡夫(ぼうふ)、亡妻(ぼうさい)については、別の言い方は存在せず。個人主義が確立された時代以降に使われ始めたと推察される。私の言い分は古い言い方があるのなら、古い言い分を踏襲すべきと思う。ましてや江戸からの伝統ある文芸である俳諧では…。これで私のわだかまりは無くなる。スッキリするのである。)

 入魂の一球打たれ夏終わる

 熱帯夜呆けた顔の月があり

 背の闇に大き富士ある踊かな

 白樺の木立抜け来る滝の音

 八月や幾万の穴掘られしか

(いい俳句と思うがさて、現俳協関連者辺りに同様な句がないかどうか?)

 秒針に影の従ふ夜の秋

(悪くはないが一抹の心配は類型臭がありますよと言うこと。同感の人は一方先へ行けますよと言うこと。)

 風音も身に入む松の廊下跡

(確かに江戸城跡に記念碑等あるようだ…)

 墓灼くる水を掛けても掛けてもや

 暮らし向きなにも変らず一葉落つ

(世は移り変われど微動だにせぬ「一葉落つ」の本意。庶民生活を対峙させた)

 訪ふ姉に一病ありて盆の月

 盆棚に朝取り野菜の赤・黄・青

 末伏や投薬のあと一日分

(高齢者片時も薬を手ばなさぬ日々。薬を飲んだかの点検も大事中の大事。)

 無為無策ひたすら蟻の列眺む

 霧深き落葉松樹林鳥一語

 夕端居ふるさと便の荷を解きぬ

(「ぬ」vs「つつ」)

 浴衣帯値をきけば良く締まりさう

(値は高いのか低いのか? 無論前者でしょう。句の攻め方が気が利いている)

 落葉松の松笠拾ふ夏休み

 涼しかり鯱の群れ過ぐ船の旅

(「群れ過ぐ」vs「群れ並(な)む」。並んだ方が涼しそうだし、臨場感がある。)

(「涼しかり」vs「大南風」vs「入道雲」 言いたいのは「涼しかり」よりいい季語がないか)

 霊柩車待つ玄関の蝉時雨

(「玄関の蝉時雨」は言葉がチョツト詰まった感じがする。「玄関」は本質的に必要か?以下ではどうか?霊柩車待つ間を暫し蝉しぐれ)

 老犬の片耳微動溽暑なる

(何処か類型をかんじるが、一句は一句か?)

 驟雨来るはや煮崩れてじゃがたらいも

(驟雨と煮崩れの関係面白し、それに「じゃがたらいも」と邪慳に言ったのもこの句の味だ)

森林浴聞き分けてをり鳥の声

(私流だともっとざっくばらんに遣る。 鳥の声なんのかんのと森林浴)

鯵釣りの夕陽の綺羅を釣り上ぐる

(まあ出来ているかと言えば出来ているのでしょう。特に鯵といふ魚が利いているのでしょう。)

前世は闘鶏ならむ鶏頭花

(「闘鶏」から「鶏頭」への飛躍が小さいのが不満。)

鬼灯のひと鉢下げて向島

(一言で言えば出来過ぎ。これ以上申し上げたら言い過ぎになる。評はここまで。)

墓洗ふまだお迎えははやいわよ

(七五の処理が私の期待に届かない。私流だとこうなる。

墓洗ふ「まだお迎えははやいわよ」と

墓洗ふ「まだお迎えははやいわ」などと)


以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:30 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句



 うすものに師の忌を修す僧の友

 コウノトリ子を連れて来よ青田中

(コウノトリが赤ちゃんを運んで来るのはドイツの逸話から引用だそうだが、その俗説を上手く青田中に当て嵌めた)

 はらからの思い出尽きず宿浴衣

(親族の団欒のひと時、私にも思い当たる)

 モチーフの西瓜用済み後の始末

(「後の始末」?「如何せん」)

 一花咲く木槿の百花忽ちに

(木槿一花咲くより百花忽ちに)

 一人覚め一人朝げの夏至一日

(一人覚め一人朝餉の半夏なる)

 炎暑来通院妻の露払ひ

(炎暑を往き通院妻の露払ひ)

 夏うぐひす鳴き交ふ能登のどんづまり

(半島の尖端、狼煙あたりか?)

 夏寒し津波の浜の石の声

 夏至夕べ漏刻の世をおもんみる

(刻を測るに水時計、水時計と夏至夕べは何処となく親和性あり)

 夏萩や菩提寺守る知己の無し

(私も同じ感慨持ち居ります。私の田舎は栃木 田沼。)

 海胆の棲む海が玄関伊根舟屋

 顔と尾のどっちつかずの蚯蚓かな

(「顔と尾のどっちつかず」の表現 もう一工夫)

 魚河岸をめぐり飛魚仕留めたる

 空濠の草に紛るる梅雨茸

 庫裏外に錆の五斗釜楠落葉

 午後晴れて庭番めける蝮草

(土地柄が思いやられます)

 骨揚げを待ちて麦茶を飲みにけり

(齢ゆけば、この習慣も大分慣れたものとなります)

 司馬さんの里をけぶらす虫篝

 十一鳴く大原問答おさむごと

(十一鳴く大原問答おさむるごと)

 書き出しも結び言葉も暑を案ず

(「暑を案ず言葉並べて見舞状」若しくは「暑を案ず言葉あれこれ見舞状」サラッとやってもよいのでは?)

 新茶濃く淹れて野良出の力とす

(判る判る)

 真炎天鴉の嘴の半開き

 真夜の地震秘湯の長押を大百虫

(これは即吟だろう。ピシッと言い止めた)

 水馬いのちを弾き音もなし

(「いのち」さてここの処が問題であるのかないのか 皆の意見を聞きたいところ)

 睡蓮の葉の朗々と照り返す

(私流だともう少しおとなしくなる。「睡蓮の葉の午過ぎて照り返す」)

 全かり露坐の不動明王(ふどう)に蛇の衣

 全身に真昼日浴びて袋掛

 送り梅雨不意に立ち寄る美容室

(これも即吟だろう。構えぬよろしさ)

 昼酒のすすめ上手や沙羅散れり

 朝顔市売り手の姉御べらんめえ

(「朝顔市」か「酸漿市」か。私は後者を押す。 「売り手」は「売手」の方が締まる)

 町灼けて質の広告車両過ぐ

(「質の広告」と言うことは古い市電辺りの景か?)

 帝塚山少女涼しく電車待つ

(街自慢の俳句大いに結構。帝塚山は「てづかやま」と読む。此処出身の著名人にサッカーの岡田武史。俳人の橋本多佳子。)

 点在の牛を眼下や大南風

 塔頭しんと龍の髭花咲かせをり

 日焼け子のどこで覚えし謙譲語

 日々暇を持て余しつつ夏越かな

 熱帯夜ベッドの四辺即奈落

 梅雨夕焼け雨降嶺の稜炎ゆばかり

 麦茶かな嬰のストロー吸ひはじめ

(些細な処に目が利いている)

 抜き捨ての十薬にほふ太宰の忌

 半ズボン座卓に足をもてあまし

(正に夏の光景。言うまでもなくこれは男の感覚)

 晩学の重たき辞書や稲光

 浜辺には取り残されて死す海月

(「浜辺の海月」で「取り残され」も「死」も既に含意されていると思う。)

 父祖の山持て余しをり遠郭公

(継いだはいいが意外な処で苦労することに…)

 本舞台八十路よりぞとほととぎす

(心意気が出ていて好感もてる)

 民宿の婆の手作り心太

 戻り梅雨混み合ふコインランドリー

 野良疲れ鮎の塩焼きにて忘る

(野良疲れ鮎の塩焼きもて忘る)

 立葵めげることなく咲き上る

(「咲き上る」は不要?)

 緑蔭のシートの四隅靴揃へ

 恋たけなは渓の蛍火河鹿笛

 拗ねる子の尖る口似て花柘榴

(ちまちました比喩表現「似て」など使わずにドカンと勝負したらよい。拗ねる子の尖る口許花柘榴)

 珈琲手に朝出勤のアロハシャツ

(コンビニのテイクアウトなど、今時の流行りの光景)

 瞑想の刻欲しくなる白菖蒲

(峡田にて瞑想三昧白菖蒲)

 葭簀織る音へ葭簀をくぐりけり




以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:29 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 5月 ねずみのこまくら句会の諸句


 〇□▽狭間新樹光

(〇□▽を持ち出したから、仙崖を持ち出すのかと思ったが違った。句を絵画的に描いたのだ)

 SLの縫ふ桑畑武甲聳(た)つ

 あいの風波のちぢらに色が浜

 おーい雲おーい雲よと山法師

 カーテンが外に出たがる若葉風

 キャリーバッグせはし東京駅薄暑

(「せはし」?「軋(きし)ませ」)

 ゴールデンウイーク仰せつかりてひとり留守

 こぼれゐて柿の花咲く頃と知る

(「ゐて」?「ざま」)

 安曇野へ水迸る立夏かな

 夏立つや真白に乾くスニーカー

 花屑を巻き上げてゆくキャタピラー

 幾たびも立休みして浅蜊掘る

(「立休み」と言う言葉遣いが面白く、しかも適切。浅蜊掘と言う情景で遣ってこそ生きる)

 魚棲まぬ水面黒ぐろ杜若

(「杜若」に配してぴったりの色といったら、やはり黒であろう)

 見るたびに形変へゐし花筏

 子どもらのはきはき返事松の芯

 青嵐東京タワーの四肢どっしり

(タワー建設途中の写真を見たことがあるが、異様にどっしりであった)

 石楠花の雨の大粒懸け造り

(「懸け造り」と言えば清水の舞台辺りを想像する。この構図は下から上を見上げた構図か又は「石楠花」の遙か横方向に「懸け造り」を置く構図がふさわしい)

 草笛の歌にはならず仕舞ひなる

(下手くそを絵に描いたようで面白い。全く絵になっていないと言うこと)

 代田掻く後ろに鳥を随へて

(何処か面白さが宿る。俳句とは一寸した処だ。言い過ぎたり、狙い過ぎたり、バタ臭いのは駄目だ)

 朝鮮鐘撞きて播麿野春送る

(国宝朝鮮鐘は福井にある。播磨野には直接繋がらないが、山陽道と言うことであれば適切と言うことになろうか?イメージ的に。「春送る」と言う季語も豊かでよい)

 鳥の名を木樵も知らず長閑けかり

 二度寝して八十八夜の風に覚め

(老人の習性のような物を持ち出して来て感心をそそる。何処か安心感が宿るのである。)

 白牡丹崩れはじめし夕辺かな

(牡丹は散るのでは無く、崩れるのだと作者は強調する)

 反骨の兜太の地なり桑は実に

(兜太への挨拶句としては50点。句造りはこの先だ。知識めいた処で句作できたらそりゃあ楽だ)

 暮るるまで大樹の洞に青葉づく

 母の日や母てふ任を解かれをり

(「をり」?「ゐて」)

 万緑や機関車ポニーラストラン

(「ラストラン」まで言って句に仕上げた)

 明日植うる田水三分をみまわれり

雀の子ちょんちょん離れちょんちょん来

(雀の子ちょんちょん遊べり近所の路地 現句のダブル擬態語ピタリと決まっていない)

 葉桜の雨に籠るや農なき日

 落ちて尚水に彩ます紅椿

 立ち上がり空へ叫べり尺取虫

(「空へ叫べり」?「何を叫(おら)ぶか」 古語を使用してみたら…)

 老いて知る瑞みづしきは韮の花

 六年生の茶摘み実習赤襷

 靄込めに伊吹の失せてえりを挿す

昭和の日向かい同士の国旗立て

(同じ時代を生きてきた企業戦士同士の感情といったようなものが一瞬漂う)


以上



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:27 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 2月 ねずみのこまくら句会の諸句


 お隣の灯もいただいて初昔

 スーパーブルーブラッドムーン睦月果つ

 バレンタインの日やマニキュアのラメ光り

 ひたと止む常の耳鳴り寒明くる

 ページ繰る指先硬く雪催

 ほっこりと身のうちふくる日向ぼこ

 マスクして息をぷかぷか反抗期

 マンホールの蓋絵の消ゆるほどの雪

 越冬す鯛のあら煮と後骨湯

 皆既月食待つ白息をいよよ濃く

 咳をして己が谺と居る山中

 寒雁や嘴深く胸に抱き

 肝油一粒ごくりと呑みし寒夜かな

 鬼の豆もどりにつまむ喫茶店

 鬼は外照れくさそうに豆撒く子

 鍬に乗りまだ眼のあかぬ土蛙

 厳寒の子を待つ夜の耳聡し

 山笑ふ夫あるときも亡き時も

 子の相手いろは歌留多のちりぬるを

 耳長きこと春を待つ観音像

 手さばきの心もとなく注連綯へり

 手袋は軍手で通す還暦後

 手袋を脱いで指切りきっと明日

 洲より洲へ急旋回の群(むら)千鳥

 週一から週二の外出春立ちぬ

 春の泥跳ね上げてゆくダンプカー

 春節を祝ふ一卓一家族

 春炬燵パズル埋まらず高鼾

 初電車坂東太郎越えにけり

 乗客は老人ばかり春の昼

 蝕すすむ寒月とろり黄土色

 振袖を襷に纏め弓始

 神鈴の一息尽きぬ旧正前

 水溜めし仏足跡や春浅き

 節分会の鬼高下駄をもて余す

 雪の原墓標点点しるべなす

 雪原や動画のごとく川流れ

 雪嶺の空ゆくサラブライトマン

 素描なる雑木林の冬景色

 草の穂に縋りしままに蝶の凍つ

 替へて来し鷽と並べて犬張子

 丹頂と道産子即かづ離れづに

 断捨離の進まぬ書棚かじかめり

 注連を綯ふこつの掴めぬままにかな

 注連飾めでたき藁の匂ひかな

 猪鍋や大山詣で遥かにし

 冬満月水の近江の屋根瓦

 冬眠の重なる亀に見張り亀

 梅日和巫女溜まりより笑ひ声

 八十路いま楽しみ探す竜の玉

 富士に向きいよよ春耕はかどれり

 富士真白掌に生みたての寒卵

 風花に佇てばみな吾に向かひ来る

 風花の永き浮遊の跡形なし

 風向きに火の色変はる大とんど

 門松の華やかに縄結はれたる

 立春大吉亡夫の太杖傘立てに

 蝋梅や角をまがれば鼓の音


以上


by 575fudemakase | 2018-10-21 18:26 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

2018年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句

2018年 1月 ねずみのこまくら句会の諸句


 オリオンの耀ふ苅田道に来て

 ゴールしてとんどを囲む陸上部

 こんなところまで山茶花の散りきたる

 ちりぢりに破れて日を浴ぶ芭蕉かな

 つぶやきにつぶやき応え日脚伸ぶ

 とんどの炎鎮めの雨の大粒に

 ニューズウィーク読む翁ゐて掘り炬燵

 ひと塩の浅漬潔かりけり

 プランターにシャベル使ふも鍬始

 海鼠漁着く船の数妻が待つ

 寒月光浴びて心音確かにす

 顔見世や役者の目と会ふ齧り付き

 去年今年いよよ己の殻を守る

 空壕の底が見えゐて歯朶を刈る

 湖のある方の明るき初景色

 交差するエスカレータークリスマス

 皇室の新暦買ひ帰郷せり

 忽ちに鴟尾を取込み冬至暮れ

 今朝の春磴のぼり見ゆ太平洋

 歳晩や隣の家族葬知らず

 山影の早き里なり手毬唄

 子ら去にて早めに湯浴み三日かな

 師の句碑に賜る活や寒牡丹

 初詣柏手を打つちっちゃな手

 初刷りの二面続きの日の出かな

 初刷りや死ぬまで書くと寂聴尼

 初席や老いの笑ひの少しずれ

 初東風やさざめき交はす磯馴松

 初日出ず方ちちははの墓在せり

 松の内開かれてをり宝物殿

 腎臓は綺麗と言はれショール巻く

 石蕗の花家人の出入り承知して

 先ずは記す通院予定初暦

 全円の初日仏具を輝やかす

 待ち合はすマスクの目と目銀座駅

 大晦日恋文横丁小火(ぼや)騒ぎ

 大年の蕎麦さげ久に姉を訪ふ

 猪垣を張りめぐらして家二軒

 天守閣前の松より雪吊りす

 冬ざれの汀に溜まる光かな

 冬至風呂ひたりて喜寿のいのちのぶ

 唐戸市場袋ぜりてふ河豚の糶

 二日はやうすむらさきの芋の粥

 日脚伸ぶ句会に天動説の出て

 買初めに筋トレ用具老いまじく

 膝ひとつ伸ばすに広き炬燵かな

 福詣でむかし吉原このあたり

 物枯るる中流れくる水の音

 焚初といふもスイッチ一つオン

 餅腹に千枚漬けが沁みとほる

 竜の玉貰ふ子の手のぬくみまで

 鈴本へ一家八人初電車

 朗朗と幼なの読める恋歌留多

 鮟肝の舌に蕩けて大吟醸



by 575fudemakase | 2018-10-21 18:20 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

獺魚を祭る の俳句
at 2019-02-19 07:30
磧 河原 川原 の俳句
at 2019-02-19 07:28
磧 の俳句
at 2019-02-19 07:25
川原 の俳句
at 2019-02-19 07:24
河原 の俳句
at 2019-02-19 07:23

外部リンク

記事ランキング