カテゴリ:無季( 142 )

散歩 の俳句

散歩 の俳句

散歩

あたたかき今日は何せむまづ散歩 新明紫明
オペラ果て町逍遙の白夜かな 岩崎照子
お花畑雲の空中散歩かな 高澤良一 宿好
ここに亦漫ろ歩きの蝸牛 高澤良一 暮津
シードラゴン搗布林を散策す 高澤良一 ぱらりとせ
だんでいな老人散歩さざんか咲いた 柴田美代子
ちゃんちゃんこ着せて住人の犬散歩 高川芳之介
とく起きて散歩かゝさず蓼の露 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
ぶんぶんをつけて戻りし朝散歩 後藤比奈夫
モネの絵の池畔を散歩夢はじめ 大野雑草子
るんるんるんさやちゃん散歩赤い靴 おおしろ健
袷着て人の世のぞく散策に 井沢正江 晩蝉
卯の花くだし上りぬセルを著て散歩 清原枴童 枴童句集
雲と子の散歩ふはふは日の永き 近藤 伸子
雲の散歩わたしの散歩春立ちぬ 石井百合
雲雀野へ何時か伸ばしてゐる散歩 稲畑汀子
炎帝に追ひ返されし散歩かな 相生垣瓜人 明治草抄
黄昏を閉戸先生の散歩かな 尾崎紅葉
温泉の宿の朝の散歩のつるでまり 高浜年尾
夏の月弟妹多き散歩かな 久米正雄 返り花
夏曉の散歩の顔の血色よき 高澤良一 素抱
海見えて真砂路遠き散歩かな 尾崎紅葉
楽屋入までの散歩や朝桜 片岡我当
菊目石ひろひたる避暑散歩かな 岩崎照子
空蝉を机上に置いて散歩果つ 高澤良一 素抱
犬の好きな散歩コースやきりん草 植木登志
犬の美醜競ふ避暑地の散歩かな 谷口桂子
犬老いて散歩をきらふ冬の朝 萩原まさえ
犬蓼にけふの散歩はここ迄と 高澤良一 宿好
見えてゐる海まで散歩風薫る 稲畑汀子
後園の接木を覗く散歩哉 接木 正岡子規
高原の銀河は低し夜の散歩 塙告冬
国喪の夜 ほら屋根裏に散歩者が 江里昭彦 ロマンチック・ラブ・イデオ口ギー
桜しべ踏んで散歩のブルドッグ 川崎展宏 冬
山鳩のあゆむに蹤きて避暑散歩 岸野千鶴子
散策に春夜の北斗擡頭す 山口誓子
散策の遅日の道を伸ばしけり 田原幹一郎
散策圏出でず綿虫光り飛ぶ 樋笠文
散歩から帰りさし出す松ぼくり 太田富士子
散歩して少しのぼりぬ登山道 比叡 野村泊月
散歩して紐外れきし秋のセル 百合山羽公 寒雁
散歩の杖もちて 此の日 ぶどうの雲の下 あるく(勝沼) 荻原井泉水
散歩圏伸ばして河鹿鳴くところ 右城暮石
散歩杖二本を縁に避暑ふたリ 皆吉爽雨
散歩人行き交ひ小路帰り花 野口和子
散歩途上出合ひし犬も冬着着て 高澤良一 寒暑
散歩又七時のニユースカンナの家 上野泰 春潮
蛇となり水滴となる散歩かな 富澤赤黄男
主人散歩のそりのそりと竃猫 山口青邨
秋気澄む伊能忠敬的散歩 佐々木六戈 百韻反故 初學
秋出水散歩の芝も泥の中 国久黄実
秋潮のにほふ散歩は胸張って 高澤良一 石鏡
秋日濃し縁側散歩されし縁 上野泰
秋日和散歩唱歌も忘れゐし 相生垣瓜人
春暁の散歩どこかで戻らねば 小野恵美子
春暁や片足散歩の音はじまる 加藤知世子 花 季
春風のやさしき散歩車椅子 窪田佐以
春風の句を案じつゝ散歩哉 春風 正岡子規
春隣しんじつ死人と散歩せり 攝津幸彦 鹿々集
初茜犬との散歩変わりなく 青山郁子
初雲雀鳴くや常なる散歩圏 徳永山冬子
初鴨のつきし湖畔と朝散歩 小原菁々子
初声に驚きて且つ散策す 小川武夫
初蝉を遠くにききぬ夕散歩 内田八重子
初鴉わが散策を待ちゐたり 相生垣瓜人
上の瀬に鮎釣るゝ見て漫歩かな 比叡 野村泊月
杖捨てて手をふる散歩春暮るる 皆吉爽雨
杖振つて単りの散歩薔薇の朝 中尾白雨 中尾白雨句集
新緑の名城公園散策す 籠谷充喜
森の奥ではしすしすしすひとめをしのぶ蛇性の散歩 高柳重信
水に沿ふけふの散歩は柳まで 矢島渚男 延年
水鳥の江に沿うて散歩眼明らか 清原枴童 枴童句集
雀隠れ母の散歩のポストまで 古賀まり子 緑の野以後
世界との距離か白バラまで散歩 坪内稔典
星涼し遊歩甲板の籐椅子に 岸風三楼 往来
青瓢ふらり散歩に出でしまま 櫛原希伊子
雪虫や犬の散歩に道ゆづる 山下喜美子
船を出て月に散歩す遊女町 月 正岡子規
選句半日遊歩半日唐がらし 百合山羽公 寒雁
霜朝のしやれた服着し犬散歩 戸沢綾乃
大根引く畑にそふて散歩哉 大根引 正岡子規
大露の寺前町の散歩かな 高澤良一 暮津
朝霧に散歩の下駄の緒の緩し 高澤良一 素抱
吊し柿文學散歩バス連ね 石田あき子 見舞籠
哲学の道沿ひ鴨も散歩する 高澤良一 宿好
冬帽を着そめぬそこら散歩にも 皆吉爽雨
藤村の墓へ散歩の落し文 伊澤織江
踏み外しさうな歩板を避暑散歩 森田純一郎
入学の出でゆくあとを祖父散歩 皆吉爽雨
梅雨晴間ぷらんぷらんと母散歩 高澤良一 寒暑
梅遠近そぞろあるきす昨日今日 夏目漱石 明治三十二年
被害妄想者そこらを散歩冬の蝶 山口青邨
避暑散歩奥の院まで行かずとも 坂本杜紀郎
避暑散歩手作りジャムの小店まで 高間礼子
百歩にて返す散歩や母子草 水原秋櫻子
文学散歩墨東に来て黄落期 長谷川かな女 花 季
漫々と散歩満天星芽を用意 清水清山
木の芽ふく十坪の庭を散歩かな 木の芽 正岡子規
木犀の花屑カレー粉めく散歩 高澤良一 石鏡
木犀を歴訪すべき散歩かな 相生垣瓜人
木苺をたうべ足らひて朝散歩 和田暖泡
餅腹を空かさんそこらまで散歩 木内悠起子
門火して西方入日にと散歩 皆吉爽雨
夜の散歩銀河の岸にそふ如し 井沢正江
遊歩杖あづかられ二科の階上ヘ 日野草城
夕河岸や散歩がてらの泊り客 信太和風
夕蟇を杖にかけたる散歩かな 池内たけし
夕餉すみて濱の散歩や鰯網 鰯 正岡子規
竜宮の森を散策大海馬 高澤良一 燕音
老神父カーネーシヨンを持ち散歩 星野立子
藁草履みなよろこべり避暑散歩 山本さい
曼珠沙華にこゝろ置きつゝ散歩かな 五十崎古郷句集
漱石の散歩どこまでぬかごまで 坪内稔典
蜻蛉や散歩の教授細面 柴田白葉女 遠い橋
麥を蒔く畑にそふて散歩哉 麦蒔 正岡子規
麥を蒔く畑に出でゝ散歩哉 麦蒔 正岡子規

散歩 補遺

いづくへと檜の垣つづく避暑散歩 阿波野青畝
おしやべりを変へしせせらぎ避暑散歩 阿波野青畝
お迎へに来し車椅子避暑散歩 阿波野青畝
コーヒーを飲みに出るのが避暑散歩 阿波野青畝
つくづくし散歩の道の伸び縮み 鷹羽狩行
つくり雨蛙がそぞろあるきする 阿波野青畝
ハブをらぬ安けさ蘇鉄林漫歩 上村占魚
ぶんぶんをつけて戻りし朝散歩 後藤比奈夫
ホールよりホールヘと皆避暑散歩 阿波野青畝
よろづ枯れ散歩の父の見えたまふ 山口誓子
炎帝に追ひ返されし散歩かな 相生垣瓜人 明治草
夏深し縁側散歩の縁側も 飯島晴子
果圃の朝ブロォチ散歩せり光る 伊丹三樹彦
街散歩人が愉快やあたたかに 高田風人子
郭公の森が散歩をつづけたり 平井照敏
寒き船上遊歩引返し引返し 三橋敏雄
寒影を伴ひたりし散歩かな 相生垣瓜人 負暄
看護婦の散歩ひらひら麦の秋 伊丹三樹彦
雁の夜や鼻を先立て散歩する 永田耕衣
牛留守の枯高原に日の漫歩 角川源義
虚子がせし縁側散歩身に入みぬ 阿波野青畝
金閣をおりて漫歩や花曇 日野草城
銀漢や酔余の漫歩とゞまらず 日野草城
元日の散歩を猫に声出して 平畑静塔
虎の尾が膝がしら博つ散歩かな 阿波野青畝
後園の接木を覗く散歩哉 正岡子規 接木
沙羅双樹春の朝日の庭散歩 星野立子
散策の道に坂あり鴎外忌 上田五千石『風景』補遺
散策の歩をのばさむと春の足袋 角川源義
散策や野末に得たる月まどか 日野草城
散策圏南限樗咲かせけり 安住敦
散歩して紐外れきし秋のセル 百合山羽公 寒雁
散歩又七時のニユースカンナの家 上野泰 春潮
使ひ捨てする写真機よ避暑散歩 阿波野青畝
試験官屋上散歩大試験 山口青邨
試歩と言ひたるも可成の避暑散歩 阿波野青畝
蛇となり水滴となる散歩かな 富澤赤黄男
若葉濃し雨後の散歩の快く 久女
秋日和散歩唱歌も忘れゐし 相生垣瓜人 明治草
秋風に突き当られし散歩かな 百合山羽公 樂土以後
淑気濃し乃ち衝きて散歩せり 相生垣瓜人 負暄
出戻りの美人の散歩麦の秋 日野草城
春潮や遊歩甲板きよらかに 日野草城
春風の句を案じつゝ散歩哉 正岡子規 春風
春落葉近頃会はぬ散歩翁 百合山羽公 樂土
初蝶を声援すべき散歩かな 相生垣瓜人 負暄
初鴉わが散策を待ちゐたり 相生垣瓜人 負暄
宵散歩懐中燈に霧たかる 山口誓子
新樹等に憐まるべき散歩かな 相生垣瓜人 負暄
甚平でいづる散歩をとどめられ 水原秋櫻子 緑雲
酔うて漫歩接骨木の芽のさかしまに 山口青邨
船を出て月に散歩す遊女町 正岡子規 月
選句半日遊歩半日唐がらし 百合山羽公 寒雁
霜消えし後蒼黄と散策す 相生垣瓜人 明治草
大根引く畑にそふて散歩哉 正岡子規 大根引
知らぬ方敢へて行くべき避暑散歩 阿波野青畝
朝散歩しぐるるほどのうれしさに 阿波野青畝
通勤に見て散策に摘む土筆 鷹羽狩行
哲学散歩みち綿虫は日和虫 平畑静塔
冬木冬木一列縦隊義足で散歩時間です 荻原井泉水
二科を出てわが遊歩杖手に還る 日野草城
二日酔金く知らぬ避暑散歩 阿波野青畝
梅雨晴や午後の屋上遊歩園 日野草城
白鳥も森林浴の散歩かな 平畑静塔
被害妄想者そこらを散歩冬の蝶 山口青邨
避暑散歩とは局へ稿搬ぶこと 阿波野青畝
避暑散歩パラボラまでは行けずとも 阿波野青畝
避暑散歩ポニーの速歩抑へたる 阿波野青畝
百歩にて返す散歩や母子草 水原秋櫻子 餘生
病快し雨後の散歩の若葉かげ 久女
片道の哲学散歩枯れてこそ 平畑静塔
慕散歩目借時には非らずとも 阿波野青畝
木の芽ふく十坪の庭を散歩かな 正岡子規 木の芽
木犀の香に飽きたりし散歩かな 相生垣瓜人 負暄
木犀を歴訪すべき散歩かな 相生垣瓜人 明治草
遊歩杖あづかられ二科の階上ヘ 日野草城
夕餉すみて濱の散歩や鰯網 正岡子規 鰯
葉牡丹畑散歩圏内に見事なり 水原秋櫻子 蘆雁
立ちいでし散歩に温くき枯野かな 石橋秀野
廊下散歩降り出して梅雨はじまるか 大野林火 月魄集 距和五十七年
涸池を散歩袖ふれ合はざるまま 永田耕衣
筍香を覚ゆべきなる散歩かな 相生垣瓜人 負暄
鵙聞いて散歩の杖を一振りす 山口誓子
鵙聞けば散策のわが胸進む 山口誓子
麥を蒔く畑にそふて散歩哉 正岡子規 麦蒔
麥を蒔く畑に出でゝ散歩哉 正岡子規 麦蒔

散歩 続補遺
もつれつゝ散歩行けり水馬 三宅嘯山

以上

by 575fudemakase | 2018-10-18 06:36 | 無季 | Trackback | Comments(0)

薔薇の俳句 あれこれ

薔薇の俳句 あれこれ

薔薇

秋薔薇

冬薔薇

以上

by 575fudemakase | 2018-10-18 05:40 | 無季 | Trackback | Comments(0)

ビュッフェ の俳句

ビュッフェ の俳句
ビュッフェ館へ道の裸木線描画 関森勝夫
落日のビュッフェの裸木殺到す 桜井博道 海上
冬景色殊にビュッフェの垂直線 高澤良一 宿好
切り刻むビュッフェの描線卓と百合 高澤良一 宿好
シャガールの月にビュッフェの一枯木 高澤良一 さざなみやつこ
ビュッフェの垂線に蜘蛛垂りにけり 中戸川朝人 尋声
遠嶺まだ雪失意のビュッフェ窓・孤客 楠本憲吉 方壺集
ビュッフェで酔う 誰彼来ない旅終幕 楠本憲吉 楠本憲吉集
葉桜にビュッフェの貌となりて佇つ 草間時彦 中年
以上

by 575fudemakase | 2018-10-18 04:26 | 無季 | Trackback | Comments(0)

新宿 の俳句

新宿 の俳句

新宿

あはあはと虹立つ新宿副都心 大森いく
オーバーぬがず新宿夜話を語り去り 成瀬正とし 星月夜
すすきのの新宿横丁十二月 鈴木のぶ子
どの流木も故郷消して着く新宿 鷹島牧二
ほたる籠新宿風の真夜となる 石橋秀野
ぽつと出の社員に新宿秋夕焼 高澤良一 さざなみやつこ
マフラーや銀座新宿人違ふ 高田風人子
鰯雲渋谷新宿池袋 星野昌彦
雨の来る新宿にをり健次の忌 福原知子
花の旅新宿の灯に了りけり 久保田万太郎 流寓抄以後
空中に新宿うかぶ無月かな 松野苑子
殺戮/札束/新宿の夜に/<逝>く少女 林 桂
手術終へ新宿の町天高し 近藤良一
秋霖や新宿長き地下歩廊 石塚友二 方寸虚実
暑にかすむ新宿が見え烏龍茶 高澤良一 ももすずめ
新宿(しんやど)は麦に穂がつく春の暮 中村史邦
新宿に荷馬ならぶや夕時雨 時雨 正岡子規
新宿に会ふは別るる西鶴忌 石川桂郎
新宿に山の荷とあり十三夜 望月たかし
新宿に星の流るる秋燕忌 佐川広治
新宿に灯が点き鰯雲紅し 京極杞陽 くくたち上巻
新宿に風つれて来し赤とんぼ 廣田 幸子
新宿に落葉一枚ふみし音 皆吉司
新宿のしぶとき暑さ盆の月 下鉢清子
新宿のノエルのたたみいわしかな 池田澄子
新宿の空は凸凹薄暑来る 中村明子
新宿の最上階に月祀る 上田日差子
新宿の女も老いぬ桜桃忌 木下ひでを
新宿の地価折り込みの氷水 高澤良一 随笑
新宿の町外れなる時計草 岸本尚毅「健啖」
新宿の日中に売る初螢 阿部みどり女
新宿はいつも場末やさくらもち 山口青邨
新宿ははるかなる墓碑鳥渡る 福永耕二
新宿は鍵の無い空春の暮 前田保子
新宿は朝より雨の三の酉 石川桂郎 高蘆
新宿は麦に穂がつく春の暮 史邦 芭蕉庵小文庫
新宿もここらはさびし夕燕 山口青邨
新宿や春月嘘つぽくありて 山元文弥
新宿や冬夕焼のすぐさめて 石田郷子
新宿や氷河の色のラムネ瓶 後藤眞吉
新宿を洗はむ霧のかかりをり 辻美奈子
新宿を夜の雨洗ふ西鶴忌 大嶽青児
新宿伊勢丹虹目高(グッピー)の胎落ちさうな 宮坂静生
新宿二丁目にて優曇華の合唱す 高野ムツオ 雲雀の血
草の実を付け新宿に降り立ちぬ 前田玲子
大試験子と新宿でカレー食ぶ 栗田やすし
短夜の新宿の灯の汚れをり 成瀬正とし 星月夜
凍ててなほ蛍光ペンを抱いて新宿 櫂未知子 貴族
灯の海の沖に新宿年守る 片山由美子 風待月
舗道に血梅雨の新宿劇に似て 成瀬正とし 星月夜
夕焼や新宿の街棒立ちに 奥坂まや
夕立性一雨新宿駈け抜けり 高澤良一 暮津
腋毛より暗い森なり新宿は 高野ムツオ 蟲の王

新宿 補遺

バスに乗れば風船のとぶ新宿に 山口青邨
ほたる籠新宿風の真夜となる 石橋秀野
マフラーや銀座新宿人違ふ 高田風人子
秋霖や新宿長き地下歩廊 石塚友二 方寸虚実
初荷の本おろす新宿雑閙裡 山口青邨
新宿に荷馬ならぶや夕時雨 正岡子規 時雨
新宿のよべぞセル著てゆくべかり 三橋鷹女
新宿の空一片の落花あり 山口青邨
新宿の御苑すゐれん紅葉して 細見綾子
新宿の人ごみ暮るゝ春の雨 古郷
新宿の雪に買ひ来し豆ラムプ 三橋鷹女
新宿の猫原宿のねこじやらし 亭午 星野麥丘人
新宿はいつも場末やさくらもち 山口青邨
新宿は呼ぶよ野川に水草生ひ 山口青邨
新宿は朝より雨の三の酉 石川桂郎 高蘆
新宿もここらはさびし夕燕 山口青邨
風花や新宿のひとに圧されゆく 角川源義

新宿 続補遺
新宿は麦に穂がつく春の暮 史邦

以上

by 575fudemakase | 2018-10-17 09:30 | 無季 | Trackback | Comments(0)

栗鼠 の俳句

栗鼠 の俳句

栗鼠

こけももの実と栗鼠の眼とまだねむし 中戸川朝人
さかしまに栗鼠のはりつく冬木かな 日原傳
スキー戻りの車中や栗鼠の骸携げ 北野民夫
すたれたる井戸の小径ゆ栗鼠ひとつー跳びて林にかくれたるかも 三好達治 俳句拾遺
つゆ霜に栗鼠のしはぶく林かな 三好達治 俳句拾遺
つゆ霜に木鼠啼くや佛國寺 三好達治 路上百句
てのひらに栗鼠の齧りし木の実かな 井上弘美
どんぐりに栗鼠の歯型よ新月なり 村越化石 山國抄
はじけさう木の実を詰めし栗鼠の頬 小堀亜起
ぼろ市や児を釘づけに栗鼠の籠 佐藤 瑠璃
リスの子に筆の穂ほどの芽からまつ 吉野義子
リス走りゆれる小枝や新松子 常原公子
リス跳ねて雨の重さの八重桜 吉野義子
リス跳んでからまつの露こぼしけり 関森勝夫
暗転や貂のみちより暁けの栗鼠 平井さち子 紅き栞
餌付栗鼠空飛んで来る紅葉晴 棚山波朗
夏百舌鳥の騒ぐは栗鼠に挑むらし 堀口星眠 営巣期
蝦夷栗鼠の胸白く夏冷えにけり 堀口星眠 営巣期
芽吹くものばかりでリスの速さを追う 内海かつ子
寒施行栗鼠も来てゐる屋敷神 水上 勇
寒林の栗鼠が落ちこむ空ま青 龍居五琅
幹なめて人忘れをり春の栗鼠 堀口星眠 営巣期
幾つもの死がありてとぶ枯葉栗鼠 和知喜八 同齢
峡の子の栗鼠を飼ひつつ夏休み 加藤楸邨
強霜や栗鼠と遊びて日の出待つ 伊藤敬子
金網の秋の空栗鼠に尾の豊かに飛べり 安斎櫻[カイ]子
栗を売る少女の頸の栗鼠に似て 川端青踏
栗拾ふ栗鼠の歯型のつくものも 田中佳嵩枝
栗鼠あそぶ今日を祭の布留の宮 水原秋桜子
栗鼠あそぶ氷河の裾の花野かな 城谷文城
栗鼠がかくれし木の穴へ雪降り出せり 田川飛旅子 花文字
栗鼠が子を咥へ小走る木下闇 星紫陽子
栗鼠が食む木の実のすべてうまさうな 鈴木貞雄
栗鼠が踏み傾けにけり山の蕗 田川飛旅子 『植樹祭』
栗鼠が捧げ 大森林へ消える神託 伊丹公子
栗鼠つひに胡桃を割りし日暮時 堀口星眠 営巣期
栗鼠となる女体若葉を駈けのぼる 柴田白葉女 花寂び 以後
栗鼠と懸巣が棲む大学の胡桃の木 伊藤敬子
栗鼠にパン盗まれしてふキャンプかな 岡田安代
栗鼠のごとし聖菓包装する指は 辻田克巳
栗鼠の子に見つめられゐる涼しさよ 仙田洋子 雲は王冠
栗鼠の子に胡桃落して森は母 山田孝子
栗鼠の死に青深みゆく秋摩周 文挟夫佐恵 黄 瀬
栗鼠の春並木の果に塔光り 有働亨 汐路
栗鼠の尾のひらりと胡桃若葉せり 遠藤夕星子
栗鼠の尾の土牢を掃き春遅し 大木あまり 山の夢
栗鼠はしりゐる春泥の葡萄園 仙田洋子 雲は王冠
栗鼠はしる音に歩を止む木の芽晴 つじ加代子
栗鼠も来て土はしたしや秋近き 室生とみ子
栗鼠を呼ぶなんと貧しき英語にて 対馬康子 吾亦紅
栗鼠を追ひ異国の露に膝濡らす 毛塚静枝
栗鼠走りゆく廃線となる鉄路 対馬康子 純情
栗鼠跳ねしあとゑくぼなす春の雪 宮津昭彦
栗鼠跳ねて深山落葉の音覚ます 鷲谷七菜子 花寂び
栗鼠跳んで背の縞遺る霧の崖 鍵和田[ゆう]子 武蔵野
栗鼠跳んで尾の炎めく花胡桃 杉山やす子 『梅東風』
栗鼠跳んで露の日輪森を出づ 堀口星眠 火山灰の道
栗鼠渡る秋深き樹を皆仰ぎ 阿部みどり女
栗鼠馴れて榧の実かくす寺の畑 黒木野雨
栗鼠入れしボールころがる箪 中戸川朝人 尋声
栗鼠飛んで夏の朝日は白樺に 中山砂光子 『納沙布』
栗鼠飛んで爽涼騒ぐ樅の枝 石塚友二
枯るる頭を潜望鏡のやうにリス 高澤良一 ぱらりとせ
胡桃・栗・花咲く小屋よ栗鼠呼んで 八牧美喜子
胡桃割る栗鼠となりゐて夜の家族 猪俣千代子 堆 朱
考える栗鼠 針葉樹から 陽の散弾 伊丹公子 アーギライト
三月やうつつに栗鼠のよこぎりて 小池文子 巴里蕭条
山寺や月見てあれば栗鼠が鳴 露月句集 石井露月
山門の栗鼠はつとせり椿落つ 八木林之介 青霞集
時頼忌親しみ貌に栗鼠現れて 河野南畦
縞栗鼠の跳ねてはゆらぐちんぐるま 行廣すみ女
秋風や栗鼠が驚く尾を立てて 羽部洞然
秋立つとしきりに栗鼠のわたりけり 久保田万太郎
熟睡子を栗鼠来てのぞくハンモック 野辺祥子 『遠野火』
春の靴齧りに駆けて来る栗鼠よ 仙田洋子 雲は王冠
初富士の輝やく窓にリス踊る 碓井のぼる
小学校 日暮 尻尾の重たい栗鼠がきて 伊丹公子 アーギライト
小綬鶏よぶ方へ誘はれ栗鼠に逢ふ 平井さち子 紅き栞
小雀居てリス居て島の展望台 山田裕理子
鐘楼に栗鼠とび移る青嵐 池田慶子
新緑に栗鼠の神出鬼没かな 神田貴代
水霜の芝生にあそぶ小リスかな 左右木韋城
青胡桃飛ばして栗鼠ぞ木がくるゝ 石塚友二
雪の栗鼠樹のうら側へ葬の楽 田川飛旅子 花文字
雪の山からくる栗鼠に林檎置く 和知喜八 同齢
素早さは栗鼠の身上青木の実 田中水桜
草は実に栗鼠の尾ほのとさまよふも 小池文子 巴里蕭条
走りてもとびてもリスと青ぐるみ 高木晴子 花 季
谷の梅栗鼠は瀟洒に尾をあげて 飯田蛇笏 春蘭
探梅や栗鼠の声する円覚寺 駒形祐右子
団栗を栗鼠より先に拾ひけり 鈴木はつ子
朝から栗鼠のごとく働き秋草挿し 鈴木栄子
朝涼や栗鼠がきて食ふ花メロン 軽部烏頭子「*さしの花」
電気柵すたこらさつと夏のリス 加藤知世子 花 季
冬の栗鼠樅の青波乗りゆけり 堀口星眠
冬山の窪みはリスの貸金庫 百木千木
冬霧にぼう~としてリスの尾よ 高橋馬相 秋山越
髪梳いて胡桃の栗鼠をこころ待ち 稲垣きくの 黄 瀬
避暑期きて栗鼠おどろかすことばかり 稲垣きくの 黄 瀬
美しき栗鼠の歯型やーつ栗 前田普羅
美しき栗鼠の歯形や一つ栗 前田普羅
百千鳥酣にして榛の栗鼠 飯田蛇笏
墓域抽く櫟直々栗鼠とばし 成田千空 地霊
墨の香や栗鼠の聴耳すずしとも 宮坂静生 山開
牧神の髭白しと栗鼠は巣にひそむ 内藤吐天 鳴海抄
霧の栗鼠胡桃噛む音をこぼすこと 小林康治 玄霜
霧未明栗鼠の総身ふくらみ飛ぶ 加藤知世子
木の実だく栗鼠木がくれに秋しぐれ 飯田蛇笏
木鼠の葡萄棚這ふ月夜哉 寺田寅彦
木鼠の落す実猿が植ゑにけり 安斎桜[カイ]子
夕露に栗鼠の逃げたるあたりかな 銀漢 吉岡禅寺洞
落胡桃運び去りしは栗鼠のわざ 花津谷鼓草
裏山の栗鼠が来てをり避寒宿 堤 京子
旅人に栗鼠は木の実を抱きたる 中島 藤女
露涼し芝生につきし栗鼠の径 神田九思男
六月のストーヴ栗鼠にのぞかれて 平井さち子 紅き栞
凩の樹を木鼠のはひ下りる 高田蝶衣
囀や幹の蔭より栗鼠のぞき 山本歩禅
囀りも栗鼠も石斫るおとに馴れ 西本一都 景色
灌木を三月の栗鼠生剥ぎに 高澤良一 素抱
臘八会栗鼠が走りて塵少し 牧岡歌子
藪巻のふところがくれ栗鼠あそぶ 掛札常山
飄々と栗鼠跳ぶ迅さ十二月 堀口星眠 営巣期

栗鼠 補遺

いのちひそかに黎明の栗鼠の歯音 飯田龍太
からまつの芽立ち女が栗鼠見付く 大野林火 雪華 昭和三十七年
リスめく少年 灯台で知る沖の丸さ 伊丹三樹彦
リス跳ぶや富士も友らも朝早き 古沢太穂 捲かるる鴎以後
記憶を持たざるもの新雪と跳ぶ栗鼠と 中村草田男
飢えがはしゃぎの リスら 梢の雪をこぼし 伊丹三樹彦
峡の子の栗鼠を飼ひつつ夏休み 加藤秋邨
栗園の焚火接待栗鼠も出し 平畑静塔
栗鼠あそぶ今日を祭の布留の宮 水原秋櫻子 緑雲
栗鼠くるかピーターパンまで落葉径糸 山口青邨
栗鼠すずし末子を趨(お)ひて孫有つ 中村草田男
栗鼠のごと手足揃へて菊に寝る 右城暮石 句集外 昭和十八年
栗鼠のパン乾き切りたり桜咲く 右城暮石 句集外 昭和五十六年
栗鼠の居ぬその巣や孫の昼寝時 中村草田男
栗鼠の智慧月へ月へと泪ひく 赤尾兜子 蛇
栗鼠はしり草の実小径晴れやすし 鷲谷七菜子 花寂び
栗鼠は粟鼠で 木の実転がし サルナート 伊丹三樹彦
栗鼠失せて露の巨幹と老の枝 中村草田男
栗鼠走り日あたる雪間恋ひにけり 阿波野青畝
栗鼠跳ねて深山落葉の音覚ます 鷲谷七菜子 花寂び
栗鼠跳んで満天星紅葉越え行けり 水原秋櫻子 蘆雁
栗鼠覗く古城日光シエリのごとし 橋閒石 風景
肩に栗鼠のせ炎天を買物に 野見山朱鳥 愁絶
胡桃四五箇栗鼠の巣小舎に雪来つつ 石田勝彦 百千
喉元をすぎる氷片消えたる栗鼠 橋閒石 風景
耳張つて栗鼠走せ満目露の光 中村草田男
樹の栗鼠に蔓の鴉は通草啄む 飯田蛇笏 山響集
秋夜塗る吾子の芝居の栗鼠の帽 能村登四郎
小鳥屋の栗鼠の子に梅雨まだ明けず 岸田稚魚 紅葉山
森の栗鼠口に手をあて不安心 三橋敏雄
青胡桃栗鼠が夕闇はひ出でて 松崎鉄之介
大き葉の舞ひ来と見しが栗鼠渡る 佐藤鬼房
谷の梅栗鼠は瀟洒に尾をあげて 飯田蛇笏 山響集
団欒の焚火とて栗鼠樹を下りし 平畑静塔
柱廊に武二の口笛 栗鼠の愛語 伊丹三樹彦
朝の間の露の木に来て栗鼠遊ぶ 高浜年尾
朝涼や栗鼠は木瘤になりすまし 鷹羽狩行
朝涼や飼はれて山の赤毛栗鼠 能村登四郎
跳躍の栗鼠石楠花を出つ入りつ 阿波野青畝
轍の中老とし行けば栗鼠跳ぶ秋 中村草田男
天に鳶 地に栗鼠 神の廻し者 伊丹三樹彦
道のさき白雨の過ぎしあとに栗鼠 大野林火 飛花集 昭和四十四年
白露や栗鼠来る森の話も出で 大野林火 青水輪 昭和二十六年
磐座に 尾立ての栗鼠の 消えて 現れて 伊丹三樹彦
尾で払ふ栗鼠の頭上の露すずし 中村草田男
尾で睦む栗鼠に カジュラホ仏の媚態 伊丹三樹彦
美しき栗鼠の歯形や一つ栗 前田普羅 飛騨紬
百千鳥酣にして榛の栗鼠 飯田蛇笏 山響集
葡萄垂る野鼠のため栗鼠のため 津田清子
仏蹟に キリ・リル・キリ・リル 雌呼ぶ栗鼠 伊丹三樹彦
霧の栗鼠胡桃噛む音をこぼすこと 小林康治 玄霜
鳴く栗鼠ら ヒンズー石祠の天上楽 伊丹三樹彦
木の実だく栗鼠木がくれに秋しぐれ 飯田蛇笏 春蘭
木耳の耳より栗鼠の尾を垂らす 阿波野青畝
夜神楽の灯に 尾であそぶ梢の栗鼠 伊丹三樹彦
落葉ふむわれにつきくる栗鼠いとし 山口青邨
落葉径リス死んでをり瞑目す 高田風人子
落葉松にけじめなし露の迷ひ栗鼠 中村草田男
瑠璃鳴けば栗鼠が顔出す夏の空 飯田龍太
珈琲豆挽く山番 床に栗鼠走らせ 伊丹三樹彦
臘梅の日向を栗鼠の走りけり 亭午 星野麥丘人

栗鼠 続補遺
月日の栗鼠葡萄かづらの甘露有 其角

以上

by 575fudemakase | 2018-10-15 06:35 | 無季 | Trackback | Comments(0)

美人美女… の俳句

美人美女… の俳句

美人美女…

いさき船横づけにして弁天屋 高澤良一 素抱
いなづまやどの傾城とかり枕 去来
ウイグルの美女はけだるし蝿叩 山田真砂年
おほかたは卒塔婆小町の盆踊り 七田谷まりうす
おぼろ月素足の美女のくさめかな 幸田露伴 拾遺
かがみ見るそれぞれ佳人蓮浮葉 和田暖泡
がさ~と粽をかぢる美人哉 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
かなかなや独り占めして美人の湯 山本秋穂
かはほりや傾城出づる傘の上 太祇「太祇句選後篇」
かりそめの小町となりて月を待つ 鈴木節子
かるた札うつくしからぬ小町なり 下村 梅子
くくられて小町ゆかりの芒かな 下村梅子
くちなしの小町のやうに萎れゆき 岡本輝久
けし垣の内や硯の小町形 万里 俳諧撰集玉藻集
けふの月婆とはよばぬ小町かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
コスモスの佳人の如きたたずまひ 高澤良一 鳩信
さくら狩り美人の腹や減却す 蕪村
さくら狩美人の腹や減却す 蕪村 春之部 ■ 一片花飛減却春
しぐるゝや行手に仰ぐ小町寺 比叡 野村泊月
すみれさくつかのぬし美人なりけらし 森鴎外
ダリア大輪ルヰ王朝に美女ありき 福田蓼汀
ダリヤ大輪ルヰ王朝に美女ありき 福田蓼汀「暁光」
としひとつ積るや雪の小町寺 蕪村 冬之部 ■ 春泥舎に遊びて
はねず唄小町の塚の春落葉 長柄公子
ビードロの根付を帯に小町の忌 西村弘子
ひこばえや絵図の小町をたづね得ず 角川源義
ヒブダイの佳人とりわけ歯が見事 高澤良一 燕音
ひらひらとひとりあるきの蛭美人 辻田克巳
ふつくらと体格美人新社員 日向野花郷
ベビー蒲団干してミルクの匂ひ立つ 栗山妙子
ベビー靴の子を福藁に抱きおろす 俵土紀子
ベビー帽に落葉をのせて帰り来ぬ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
ぼうたんは紅にして江戸小町 高澤良一 随笑
ぽつぺんを吹ける横顔美人かな 茨木和生 三輪崎
マスクして小町の墓を訪ねけり 神郡 貢
みちすがら麗人多き柳かな 会津八一
みちのくに小町の里や雪蛍 佐藤一星
みちのくや小町草咲く屋根の上 矢島渚男 延年
もう少しこころ美人の柚子湯かな 白石菊代
モンローの忘れ睫の美女柳 杉本京子
ゆくとしや老を誉めたる小町の絵 園女 俳諧撰集玉藻集
よろと卒塔婆小町の萩の託言も失せてけり 文挟夫佐恵
衣うつよ田舎の果の小傾城 高井几董
一行の詩は金色に美女柳 都川一止
羽蟻たつ家にとつがぬ美人あり 大江丸「はいかい袋」
羽子板市美男美女みな似た顔で 藤岡筑邨
羽子板買ふ美人競べの眼して 関森勝夫
雨乞の小町が果やをとし水 蕪村 秋之部 ■ 須磨寺にて
雨乞の小町が果や落し水 蕪村
卯浪立ち黄昏迫る蛾眉の三保 長谷川かな女 花寂び
姥ふえてしかも美女なし年忘 其角
姥百合や獣身美女の絵の下に 堀口星眠 青葉木菟
延年舞禰宜言ひ寄れば美女躱す 長田白日夢
炎天に美人の顔の定りぬ 宋屋「瓢箪集」
炎天を来て燦然と美人たり 久米三汀
鉛入り白粉美人杜若 桑原三郎 晝夜 以後
牡丹咲て美人の鼾聞えけり 正岡子規
乙女らの小町顔なる春まつり 村松 堅
佳人逝き残るエンゼルフィッシュかな 室賀杜桂
夏痩や脣かんで小傾城 寺田寅彦
夏草や嵯峨に美人の墓多し 正岡子規
歌いづれ小町躍や伊勢躍 貞徳
歌いづれ小町踊や伊勢踊 貞徳
歌麿の美人は紙魚に犯されし 太田一石
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半
花かぼちや美女の家系に異変あり 関口ふさの「晩晴」
花の枝あふるる卒都婆小町かな 黒田杏子 花下草上
花火尽きて美人は酒に身を投げけむ 高井几菫
花火尽て美人は酒に身投げけん 几董
花合歓に蛾眉なが~し午後三時川端茅舎
花手折美人縛らん春ひと夜 高井几董
花桃のおたふく美人笑ひづめ 高澤良一 素抱
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 山口素堂
花李美人の影の青きまで 泉鏡花
花筵夫の視線の先に美女 川崎榮子
華麗なる空箱のこる小町の忌 平坂万桑
蚊帳の月美人の膝を閑却す 尾崎紅葉
骸骨やこれも美人のなれの果 夏目漱石 明治二十四年
垣間見れば美人涼み居る簾かな 会津八一
角巻の雑魚売り秋田美人かな 園部蕗郷
笠深く鸚鵡小町の出の涼し 加藤三七子「無言詣」
笠美人右手右足左手左足や紅鼻緒 橋本夢道 無類の妻
鎌倉の小町通りも小春かな 金田元彦
寒しとは小町が嘘よほとゝぎす 高井几董
寒の滝美女狂態の祷り為す 鍵和田[ゆう]子 未来図
甘茶番して新発意の嫁美人 河野静雲
関寺の小町の塚の蛇いちご 村木佐紀夫
岐阜提灯小野小町は野に倒れ 高澤良一 暮津
幾夜ふる小野の小町のかた鶉 如流 選集「板東太郎」
帰り花桃李の美人覚束な 黒柳召波 春泥句集
帰花桃李の美人覚束な 召波
鬼女の像灼けつつ内面夜叉美人 加藤知世子 花寂び
菊人形小町世にふる眺めして 百合山羽公
吉兆や佳人に足を踏まるるも 大野素郎
鏡餅弁天池の石となれ 阿波野青畝
業平と小町の並ぶ歌がるた 下村梅子
金魚売弁天さまの水もらふ 結城美津女
金色の蛾眉をあらはにクロッカス 西村和子 夏帽子
掘り上げて陽に当つ藷の紅小町 森田公司
薫風や出迎へ呉れし美女二人 小出秋光
傾城に歌心あり春の宵 寺田寅彦
傾城に喰ひつかれたるあはせかな 程己 四 月 月別句集「韻塞」
傾城に鳴くは故郷の雁ならん 夏目漱石 明治四十年
傾城に腕見せけり角力取 松花
傾城に腕見せけり相撲取 松化 五車反古
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
傾城のうすき眉毛や春の暮 松瀬青々
傾城のうゑしや御田のしどろなる 蝶夢「草根発句集」
傾城のぬけがらに寝る夜寒哉 正岡子規
傾城のわらべがましき手鞠かな 万容
傾城の夏書やさしや仮の宿 榎本其角
傾城の霞に傘の見えしかな 長谷川かな女 雨 月
傾城の蚊屋にきのふの螢かな 瓢水
傾城の汗の身をうる暑哉 横井也有 蘿葉集
傾城の汗臭くなるをどりかな 木導 七 月 月別句集「韻塞」
傾城の傘の上行く胡蝶かな 麦水
傾城の蚕飼ふとは何事ぞ 寺田寅彦
傾城の小歌はかなし九月尽 其角
傾城の小哥はかなし九月尽 其角
傾城の生れかはりか猫の妻 木導 正 月 月別句集「韻塞」
傾城の朝風呂匂ふ菖蒲かな 太祇「題林集」
傾城の拝んで笑ふ涅槃かな 青蘿
傾城の畠見たがるすみれかな 岩田涼菟
傾城の鼻を大きく金魚玉 小島健 木の実
傾城の物ほすかたや鳴蛙 蓼太
傾城の疱瘡うゑる日永かな 寺田寅彦
傾城の蹠白き絵踏かな 芥川龍之介
傾城は後の世かけて花見かな 蕪村 春之部 ■ 雨日嵐山にあそぶ
傾城もいとどねられね寒念仏 奚魚 極 月 月別句集「韻塞」
傾城も廓返りのすみれ哉 竹裡
傾城も手玉に取られ羽子板市 高澤良一 鳩信
月朧美人スパイにならんかな 長谷川照子
見返り美人秋興の手を袖の中 小堀紀子
元日や雨に美人の高鼾 蓼太
古も美女はありけり春灯 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
古袷傾城人の妻となり 佐々醒雪
古蚊帳に病傾城や眼をつむり 清原枴童 枴童句集
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
枯蘆に傾城町の夕日哉 百里
五月雨や暗きに馴れて支那美人 比叡 野村泊月
口少し開けしは美形梅雨鯰 斎藤梅子
江ノ島の裸弁天東風吹けり 高澤良一 寒暑
糠雨に少し乱れし美女柳 安斉君子
紅梅や畦より低き小町塚 野崎ゆり香
紅葉冷絶世美人と刻せし碑 西本一都 景色
行く年や老を誉めたる小町の絵 斯波園女
行としや古傾城のはしり書 高井几董
合点して傾城買ふやあきの夕 田原 也竺 五車反古
国芳の肉筆美人門涼み 高澤良一 燕音
此花を小町草とは知らざりし 原月舟
今小町つらつら椿いきみんたん 加藤郁乎
妻が美女に見える日ごしごし手を洗う 瀬戸青天城
菜の花や袖〔を〕苦にする小傾城 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
在るがままの花でありたし小町の忌 松谷雅子
冴え返る入谷小町を挟み撃ち 攝津幸彦 鹿々集
桜影かなし世の風美女が幽霊か 井原西鶴
桜々散つて佳人の夢に入る 上田無腸
桜狩美人の腹や減却す 與謝蕪村
笹鳴や小町通りをそれてすぐ 川崎展宏
三光鳥鳴き弁天の厨子ひらく 深海利代子「雉俳句集」
山はえむ上野東の美人ならん 椎本才麿
山宿に美女生れつぎて芹を摘む 西本一都 景色
桟橋の先に鯔跳ぶ弁天屋 高澤良一 随笑
四万六千日小町屋で買ふつけ睫毛 鈴木栄子
子は亡くてやはらかく折るベビー毛布 蓬田紀枝子
実に泣く傾城もありとしの暮 也有
捨松も小町も居りて福笑ひ 太田 昌子
手折れるはりふじんなれや美人草 季吟「山の井」
秋の蚊や夢二の描く美人像 押本京子
秋絢爛をとこならねど美女はよし 稲垣きくの
秋近し七夕恋ふる小傾城 正岡子規
秋灯や要かなめの小町針 橋本白木
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女 西東三鬼
俊寛も小町も果の施米かな 青木月斗
春の土踏むはじめてのベビー靴 山田弘子 こぶし坂
春雨に大欠(あくび)する美人哉 一茶
春雨に大欠〔伸〕する美人哉 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
春雨やてうちん持ちの小傾城 一茶
春雨やてうちん持の小傾城 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
春寒や日長けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春寒や日闌(た)けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春寒や日闌けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春愁や使はず褪せし絹小町 勝又寿々子 『春障子』
春落葉浮けり小町の化粧井戸 龍頭美紀子
春筍が二つ佳人は来ぬものか 星野麥丘人
初午や美女の影ふむ素浪人 沾徳
暑を見詰めゐし眼が遠き美女捉ふ 有働亨 汐路
書出しに小町が返事なかりけり 黒柳召波 春泥句集
小傾城行きてなぶらん年の暮 其角
小傾城行てなぶらんとしの昏 其角
小傾城行てなぶらん年の暮 榎本其角
小春日のうたたね哀れ小傾城 会津八一
小春日の黒子美人に出合ひけり 村山三郎
小町の忌歌詠むときは化粧して 大元祐子
小町忌のなき淋しさや業平忌 野村喜舟
小町忌のはんなり香る桜餅 中御門あや
小町忌の歌膝ゆゆし九十九髪 高橋睦郎
小町忌の反物のまま二十年 北柳あぶみ
小町忌の老いても母の富士額 西浦昭美
小町忌の褪せし押花詩集より 斎藤静枝
小町忌は人丸忌なり井水汲む 高橋睦郎
小町忌や花の透しのあそび紙 高山 檀
小町忌や鴨の啄む紅椿 藤原口佐子
小町忌や芍薬の芽の紅に 山口マサエ
小町寺とうとうたらり春の舞 井本農一
小町寺枯木ざくらもゆかしけれ 高濱年尾 年尾句集
小町寺尼がかむれる綿帽子 大森積翠
小町草花壇に盛りすぎにけり 高野素十
小町草咲きひろがりぬ尼が庵 高浜虚子
小町草石屋の石の間かな 矢島渚男 延年
小町塚弔ふに摘む都草 小野たか子
小町塚訪ふと蝗を跳ばしたり 神蔵 器
小町墳言葉少なに時雨傘 浅野アツ子
小町崩れの姉ふらふら来小正月 たむらちせい
小野の小町こらへ情有二夜の月 云奴子 選集「板東太郎」
松むしよ美人の袖に落て死子 松岡青蘿
飾りたる小町雛のうれひ眉 阿部みどり女 笹鳴
色鳥やケーキのやうなベビー靴 轡田 進
色変へぬ松に囲まれ弁天沼 檜 紀代
振り向く大月氏の傾城もう雪か 加藤郁乎
振向ばはや美女過る柳哉 一茶 ■寛政七年乙卯(三十三歳)
針供養母の使ひし小町針 有賀三枝子
水仙や美人かうべをいたむらし 蕪村
睡蓮の一花水浴美人めく 江川虹村
数珠下げていよ~美女の寒さかな 久保田万太郎 流寓抄以後
雛の日が忌日となりし佳人かな 稲岡達子
青すだれ白衣の美人通ふ見ゆ 一茶 ■寛政五年癸丑(三十一歳)
青梅に眉あつめたる美人かな 蕪村
青葉冷え鎌倉小町通りにて 川崎展宏
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し 松村蒼石 雁
積年の朽葉をためて小町井戸 中村姫路
切り売りの西瓜は美人揃ひにて 三好潤子
雪女郎美女を描くといふ掟 庄子紅子
仙がい筆薄と小町のされかうべ 高澤良一 暮津
先生を美人に画いて夏休み 渡辺みつ
川ゆたか美女を落第せしめむか 平畑静塔
銭洗弁天(しろへびさま)春は巳の日の験(げん)あらな 高澤良一 寒暑
銭洗弁天寒の卵かな 細川加賀 生身魂
霜がれや鍋の炭かく小傾城 一茶
袋絵の小町ほほえむ今年米 松本由美子
大原や小町が果の夏花つみ 一 茶
大根煮て小町も年をとりにけり 龍岡晋
沢瀉による傾城や御祓川 蕪村「落日庵句集」
短日のひとり弁天詣かな 鈴木しげを
竹皮を脱ぐ美人画はうしろ向き 逢坂幸子
朝火事の寺町小町革枕 攝津幸彦 鹿々集
朝陽より傾城匂ふあやめかな 言水
腸うるか竜野の美人送り来し 青木月斗
腸うるか龍野の美人送り来し 青木月斗
蝶々の葎深しや小町寺 星野立子
鳥雲にどぶ板小町嫁ぎけり 岡田鉄 『卆心』
鳥雲に美人動けばわれ動く 三橋敏雄(1920-2002)
椿数多花異なりて美女生誕 長谷川かな女 花寂び
椿挿す死相も音戸小町よと 赤松[ケイ]子
冬の虹藪の弁天瞳にしづく 加藤知世子 花寂び
凍蝶の蛾眉衰へずあはれなり 高浜虚子
嶋の雪弁天堂の破風赤し 正岡子規
桃の日や蟹は美人に笑るゝ 服部嵐雪
湯を浴びて湯かけ弁天かげろひぬ 大越正子
南風に奏づは弁天様にまします歟 高澤良一 随笑
廿とせの小町が眉に落花かな 高井几董
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
日傘得て辨天よりの戻り船 北野民夫
日本に小野小町や合歓の花 辰巳あした(雨月)
葱の香や傾城町の夕あらし 蝶夢
年玉に傾城の香のうつりけり 松瀬青々
年経たる小町のにほひ蓬原 鷲谷七菜子
年棚にまだ土つかぬベビー靴 橋本榮治 麦生
年籠して小面は美女と思ふ 阿波野青畝
年籠りして小面は美女と思ふ 阿波野青畝
波音や弁天様の孑孑に 岸本尚毅 舜
梅の精は美人にて松の精は翁也 夏目漱石 明治三十二年
梅白し佳人のひと世をろがみぬ 藤田湘子 てんてん
煤逃げの真白きベビー毛布かな 山崎ひさを
柏餅届けてくれし美人記者 町春草
白芥子の美人かくるゝ草の庵 松岡青蘿
白玉の美形を探しゐたりけり 仙田洋子 雲は王冠以後
薄幸の見返り美人一葉忌 磯崎ゆきこ
半面の美女かいま見ぬ春のくれ 几董
枇杷一顆載りて弁天みちしるべ 中戸川朝人 尋声
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
美女に逢ふ美男蔓を手に提げて 京極杞陽
美女のゐて老僧喜色ねはん講 堀口星眠 青葉木菟
美女現前鬼女も招ばんと紅葉焚く 中村草田男
美女谷や髪に飾りて常山木の実 嶋田麻紀
美女美男灯籠にてらす迷ひかな 其角
美女病みて水族館の鱶に笑む 西東三鬼
美人とはなべてふくよか蝌蚪の国 岸田雨童
美人画の顔にもメモや古暦 今井風狂子
美人画の髷黒々と捨団扇 梅里全子 『祝矢』
美人老て疎影の痩を水鏡 椎本才麿
美禄はんなりでろれん美女はしたゝりぬ 加藤郁乎
百歳の小町目を張り秋の暮 大橋敦子 匂 玉
百日紅ややちりがての小町寺 蕪村
夫のある美人参りそ文覚忌 伊藤松宇
負ひ真綿里の小町も古りにけり 永田青嵐
蕪こそ肥えて美人に似たりけれ 松瀬青々
風の盆誰の言ひたる顎美人 浅川青磁
風邪引の鼻のつまりし美人かな 高浜虚子
焚髪の茫煙か紅葉美女の屍に 内田百間
壁つゞる傾城町やくれのあき 炭 太祇 太祇句選
別嬪な鳥が来てゐる二日の木 高澤良一 さざなみやつこ
別嬪の降つて来さうなゆだちかな 加藤郁乎
片しぐれ幾日つづくぞ小町寺 麦水
弁天に烏甘ゆる春の水 八木三日女
弁天に口紅供へ御開帳 山崎祐子
弁天に少女の乳房さくら散る 檜山哲彦
弁天の笑ふ眼のふちきりぎりす 磯貝碧蹄館
弁天の竹生に近き竹瓮舟 大石悦子 聞香
弁天の琵琶の卯波に打ち消され 木村紀美子
弁天の膝に大きな盆だんご 長江克江
弁天の祠の岬磯開く 鈴木 灰山子
弁天へ秋風波をたてまつる 川崎展宏
弁天を抜けたあたりでみずてんのふらここ 加藤郁乎
弁天堂に湧く歓声や一の富 上原真澄
弁天様に下船の一歩雲の峯 毛塚静枝
頬の落ち卒都婆小町のしたたかさ 須崎美穂子
盆狂言怨霊なべて美女なりし 成瀬桜桃子
盆踊清少納言小町の国 西本一都 景色
柾の実昔小町のあちら向き 相原澄江
柾を葺く仮宮かなし小町草 富安風生
万の手がベビー・ユニヴァースをくすぐる 夏石番矢
万緑や鈴の緒いたむ弁天堂 中村冨美子
眠りの森の美女を見にゆく六日かな 須川洋子
名月や海に向かへば七小町 松尾芭蕉
夜ざくらや美人天から下るとも 一茶
夜の秋を小町寺より遊び尼 山口誓子
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
野菜曳く村の小町の頬被り 松浦 釉
柳の芽弁天さまを素描せり 渡辺恭子
優曇華や寺に小町の九相図 三矢らく子
夕桜小町塚まで足のばす 板谷芳浄
夕立に看板の美女抱き入るる 右城暮石
踊りそろへば小町桜は咲きにけり 長谷川かな女 雨 月
落鮎のはらわたを抜く美人かな 吉崎不二夫
利根流域美女群浴に出会う 金子兜太 詩經國風
裏富士やかかる里にも美人草 不白「不白翁句集」
流星の果てなる鸚鵡小町かな 黒田杏子
両の手にうちは遣ふや小傾城 蓼太「蓼太句集初編」
瑠璃鳴きて靄の晴れゆく美女平 朝妻 力
麗人の立居が透ける青簾 秋山青潮(鉾)
麗人をいざなふ僕の白手袋 筑紫磐井 婆伽梵
簾(みす)に入りて美人に馴るゝ燕かな 服部嵐雪
簾に入て美人に馴る燕かな 服部嵐雪
簾に入りて美人に馴るる燕かな 嵐雪
蓮の骨哀は美女の屍哉 服部嵐雪
蓮の骨哀れは美女の屍かな 服部嵐雪
露の川小野小町の山を出づ 八木林之介 青霞集
辨天や蛙の干物おもしろき 尾崎紅葉
曼珠沙華喜寿と思へぬ美女ばかり 永瀬千枝子
囀りや苔盛り上がる小町塚 巽恵津子
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ たかし
涅槃会に佳人のまじる日の翳り 桂信子 遠い橋
筍や目黒の美人ありやなし 子規
絨毯の美女とばらの絵ひるまず踏む 柴田白葉女
芍薬のくづれ艶めく小町塚 高橋一経
菫咲川をとび越す美人哉 一茶
蟷螂や見返り美人さながらに 藤脇美樹
踵まで浴衣美人でありにけり 山田弘子 懐
鞆の津のささやき橋に小町草 高橋六一
鵙なくや笑ひけうとき小傾城 素丸
黴の香の弁天窟に百の燭 宮内とし子(沖)
鼈甲を磨く老眼小町の忌 中野青雁

美人美女… 補遺

*はまなすのたとへば夜の黒眸美女(マラゲーニア) 佐藤鬼房
あかゞりや傾城老いて上根岸 正岡子規 皸
いつの世も美男美女よし菊人形 右城暮石 虻峠
うすものに堪へざる美女の立居かな 正岡子規 羅
うそ寒き暗夜美人に逢着す 正岡子規 うそ寒
うそ寒の誠を泣くや小傾城 正岡子規 うそ寒
お守りの辨天賣て肌寒し 正岡子規 肌寒
かの佳人ならむ枯山生野糞 佐藤鬼房
きぶし群落美女韆浴は乳房見せぬ 金子兜太
クインメリー麗人を求む年の暮 山口青邨
ゴルフアーの佳人の自動車春泥を 日野草城
その青年のもの美女の顔平手打ち 三橋敏雄
その夕べ京にをりたる小町の忌 森澄雄
だが秋田美人に逢へずきりたんぽ 鷹羽狩行
ひこばえや絵図の小町をたづね得ず 角川源義
ひた寒し萎えし垂乳の小町みて 能村登四郎
ぶをとこも美人も出たる小春哉 正岡子規 小春
ものうしや傾城をまつ蚊帳の中 正岡子規 蚊帳
わが庭のにぎやか秋田美人の蕗の薹 山口青邨
衣更へて美人はいつも美人かな 星野立子
一景は熔岩を野積みに小町草 上田五千石『風景』補遺
姥等とよ小町がはてをこれ見よや 正岡子規 姥等
駅家去る車塵 磧に美女残し 伊丹三樹彦
遠目にも茶摘畑の祖谷美人 鷹羽狩行
襖絵の美女に囲まれ寝正月 鷹羽狩行
黄鳥きて美女群浴の死せしや 金子兜太
牡丹栽て美人土かふ春の風 正岡子規 春風
牡丹咲て美人の鼾聞えけり 正岡子規 牡丹
佳人に会へり途上黄落ただならず 古郷
佳人もたらせし木犀の香に睡る 伊丹三樹彦
佳人花の如し我衣破れたり 正岡子規 花
夏に籠る傾城もあり百日紅 正岡子規 百日紅
夏山の記憶の中の一佳人 高野素十
夏草や嵯峨に美人の墓多し 正岡子規 夏草
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半 底紅
火盗りとてかぐはしき蛾眉もたらせり 上田五千石 琥珀
花の山浮世画の美人来る哉 正岡子規 花
花合歓に蛾眉なが~し午後三時川端茅舎
花晴れて佳人の眼鏡度の強き 日野草城
花南瓜*つつの美女には会へずとも 後藤比奈夫
花薄こゝも小町のふしど哉 正岡子規 薄
蚊帳ツラデ畫美人見ユル夜寒カナ 正岡子規 夜寒
海棠に鼾の細き美人哉 正岡子規 海棠
外梯子降りる一佳人花衣 山口青邨
蛙田に尼の通ひ路小町寺 高野素十
茅花さく家を傾城のなれのはて 正岡子規 茅花
寒梅や抜け弁天の土日向 上田五千石『琥珀』補遺
寒美人嬋娟として尿意あり 日野草城
汗くさしうしろ向たる小傾城 正岡子規 汗
亀鳴くを待てず弁天池を去る 鷹羽狩行
菊人形源氏も美男美女ばかり 右城暮石 句集外 昭和五十四年
菊人形小町世にふる眺めして 百合山羽公 樂土
鏡餅弁天池の石となれ 阿波野青畝
業平も小町もをりぬ花の稚児 伊藤白潮
金屏風傾城こもる秋の暮 正岡子規 秋の暮
傾城が筆のすさひや燕子花 正岡子規 杜若
傾城と千鳥聞く夜の寒さ哉 正岡子規 千鳥
傾城にあふがれて居る団哉 正岡子規 団扇
傾城にいつわりのなき熱さ哉 正岡子規 暑
傾城にとへども知らず紅の花 正岡子規 紅花
傾城にとりかくされし扇哉 正岡子規 扇
傾城にふられてひとりすゞみ哉 正岡子規 納涼
傾城にまことありけり秋のくれ 正岡子規 秋の暮
傾城にものかゝれたる扇哉 正岡子規 扇
傾城に可愛がらるゝ暑さ哉 正岡子規 暑
傾城に歌よむはなしけふの月 正岡子規 今日の月
傾城に起請の外の夏書哉 正岡子規 夏書
傾城に死んで見せけり火取虫 正岡子規 火取虫
傾城に袖引かれたる夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城に電話をかけん秋のくれ 正岡子規 秋の暮
傾城に問へども知らず秋の風 正岡子規 秋風
傾城に約束のあり酉の市 正岡子規 酉の市
傾城のうそも上手にさよしくれ 正岡子規 時雨
傾城のうらやまれけり蝸牛 正岡子規 蝸牛
傾城のお白粉はげて朝桜 正岡子規 朝桜
傾城のなるゝ柱も一夜鮓 正岡子規 鮓
傾城のぬけがらに寐る夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城のぬけ殻に蚤のはねる哉 正岡子規 蚤
傾城のひとり寐ねたる寒さかな 正岡子規 寒さ
傾城の噂を語れ納豆汁 正岡子規 納豆汁
傾城の花に泣く夜となりにけり 正岡子規 花
傾城の海を見て居る夕涼み 正岡子規 納涼
傾城の海を背にする夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城の外はしくるゝとも知らず 正岡子規 時雨
傾城の噛み砕きけり夏氷 正岡子規 夏氷
傾城の顔にあてたる団扇哉 正岡子規 団扇
傾城の古郷遠し京の春 正岡子規 初春
傾城の故郷や思ふ柏餅 正岡子規 柏餅
傾城の悟り顔なり蓮の花 正岡子規 蓮の花
傾城の在所をきけば藪蚊哉 正岡子規 蚊
傾城の罪をつくるや紅の花 正岡子規 紅花
傾城の姿あらはす蚊遣哉 正岡子規 蚊遣
傾城の耳たぶ広しほとゝきす 正岡子規 時鳥
傾城の汐干見て居る二階哉 正岡子規 汐干狩
傾城の鹿呼ぶ奈良の夕淋し 正岡子規 鹿
傾城の手つからくへる蚊遣哉 正岡子規 蚊遣
傾城の重ね着苦し汗の玉 正岡子規 汗
傾城の出しぬかれたる師走哉 正岡子規 師走
傾城の寝顔にあつしほつれ髪 正岡子規 暑
傾城の息酒くさし夕桜 正岡子規 夕桜
傾城の足音更ける火鉢哉 正岡子規 火鉢
傾城の団扇に這はす蛍哉 正岡子規 蛍
傾城の昼寝はあつし金屏風 正岡子規 昼寝
傾城の燈籠のぞくや寶巖寺 正岡子規 燈籠
傾城の瓶にしぼみし牡丹哉 正岡子規 牡丹
傾城の腹をひやさん氷餅 正岡子規 氷餅
傾城の文とゝきけり五月雨 正岡子規 五月雨
傾城の文にも春を惜むかな 正岡子規 春惜しむ
傾城の文反古まじる紙帳哉 正岡子規 紙帳
傾城の夢に殿御の照射哉 正岡子規 照射
傾城の娘もちける鵜匠哉 正岡子規 鵜匠
傾城の名をつけて見ん竹婦人 正岡子規 竹婦人
傾城の紋は何紋衣配り 正岡子規 衣配
傾城の門まで出たり凧 正岡子規 凧
傾城の猶うつくしき燈籠哉 正岡子規 燈籠
傾城の涙煮えけり玉子酒 正岡子規 玉子酒
傾城の咄ときるゝ夜長かな 正岡子規 夜長
傾城の泪にやれし紙衣かな 正岡子規 紙衣
傾城の菫は痩せて鉢の中 正岡子規 菫
傾城の裲襠着て見つ春の雨 正岡子規 春の雨
傾城の顏見て過ぬ酉の市 正岡子規 酉の市
傾城の鼾おそろしほとゝきす 正岡子規 時鳥
傾城はうしろ姿の寒さ哉 正岡子規 寒さ
傾城はなれてよく寐る鹿の聲 正岡子規 鹿
傾城は格子の内や夏の月 正岡子規 夏の月
傾城は五階の上の霞哉 正岡子規 霞
傾城は誠にあつき者なりけり 正岡子規 暑
傾城は痩せて小さき蒲團哉 正岡子規 蒲団
傾城は知らじ三夜さのむら時雨 正岡子規 時雨
傾城は屏風の萩に旅寐哉 正岡子規 萩
傾城も居らず蝶飛ぶ仲の町 正岡子規 蝶
傾城も石になりたる夏野哉 正岡子規 夏野
傾城も南瓜の畑で生れけり 正岡子規 南瓜
傾城も猫もそろふて雜煮哉 正岡子規 雑煮
傾城も娘めきたり青簾 正岡子規 青簾
傾城やしくれふるとも知らで寐る 正岡子規 時雨
傾城や格子にすがる籠の虫 正岡子規 虫
傾城や客に買はれて夕涼み 正岡子規 納涼
傾城や年よりそむる五月雨 正岡子規 五月雨
傾城をかむろとりまく粽哉 正岡子規 粽
傾城をよぶ声夏の夜は明けぬ 正岡子規 夏の夜
傾城を見たる師走の温泉かな 正岡子規 師走
傾城を舟へ呼ぶ夜の寒さかな 正岡子規 寒さ
傾城を買ひに往く夜や鮟鱇鍋 正岡子規 鮟鱇
傾城曰く歸らしやんすか此雪に 正岡子規 雪
月が出て美女群浴の白照す 金子兜太
見まゐらす寝釈迦あはれ蛾眉御若き 山口青邨
遣羽子に負けし美人の怒哉 正岡子規 遣羽根
古里や秋に痩せたる小傾城 正岡子規 秋
枯野行く美人をしばし眺めたり 永田耕衣
五月雨や傾城のぞく物の本 正岡子規 五月雨
行かんとして雁飛び戻る美人哉 正岡子規 帰雁
行く鳥や傾城国に帰る船 正岡子規 鳥帰る
行水や美人住みける裏長屋 正岡子規 行水
香煙の美人にもならず年暮れぬ 正岡子規 年の暮
高殿に美人佇む柳かな 正岡子規 柳
此里に美女二人あり桃の花 正岡子規 桃の花
三彩の唐の美女見し牡丹かな 森澄雄
三椀の雜煮喰ひぬ小傾城 正岡子規 雑煮
傘さして傾城なぶる春の雨 正岡子規 春の雨
残雪や小町の母郷は雨けぶる 角川源義
師走能かぞへて老女小町もの 能村登四郎
紫陽花や舌を見せたる小傾城 正岡子規 紫陽花
七小町二つは知らず朧にて 能村登四郎
七夕に草履を貸すや小傾城 正岡子規 七夕
七夕や弁天さまに水かよひ 上田五千石『天路』補遺
七夕を寝てしまひけり小傾城 内藤鳴雪
朱兀げて辨天堂の月見哉 正岡子規 月見
酒の名は山陰美人花三分 山口青邨
樹下美人ならばと梅の咲く下に 津田清子
秋陰に常百歳の小町かな 阿波野青畝
秋近し七夕恋ふる小傾城 正岡子規 秋近し
秋風や傾城町の晝下り 正岡子規 秋風
秋風や小野の小町の笑ひ聲 正岡子規 秋風
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女 西東三鬼
終ひ弁天暗きに咳をこぼしけり 安住敦
襲着の佳人に冬の泉鳴る 佐藤鬼房
出戻りの美人の散歩麦の秋 日野草城
春の夜のともし消ちたり小傾城 正岡子規 春の夜
春の夜や傾城町の電気燈 正岡子規 春の夜
春の夜や傾城買ひに小提灯 正岡子規 春の夜
春の夜や見知顔する小傾城 正岡子規 春の夜
春駒や美人もすなる物貰ひ 内藤鳴雪
春宵の美酒とは美人注げばこそ 鷹羽狩行
春憂う美女群浴の交交(こもごも) 金子兜太
春筍が二つ佳人は来ぬものか 星野麥丘人 2001年
女王花ただちに卒塔婆小町かな 阿波野青畝
小傾城蚊遣に顔をそむけゝり 正岡子規 蚊遣
小傾城蕣の君と申しけり 正岡子規 朝顔
小町忌やうつくしき人ら歌合 山口青邨
小町忌や八重山吹も散りにけり 山口青邨
小町忌や北斎ゑがく七小町 山口青邨
小町草花壇に盛りすぎにけり 高野素十
小町像遅日垂乳の先の朱 飯島晴子
小町足袋覆いて演ずる役のこと 後藤比奈夫
身受けせし傾城くやし衣かへ 正岡子規 更衣
刃のごとき涼気佳人とすれ違ひ 鷹羽狩行
水汲みの美女現れよ靫草 佐藤鬼房
水馬辨天堂は荒れにけり 川端茅舎
水無月の傾城並ぶ格子かな 正岡子規 水無月
翠簾ごしの美人の顔や朧月 正岡子規 朧月
世に古りて小町草とは呼ばれけり 後藤比奈夫
青梅や傾城老いて洗ひもの 正岡子規 青梅
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し 松村蒼石 雁
川ゆたか美女を落第せしめむか 平畑静塔
川岸に二番芽の*たら佳人亡し 佐藤鬼房
銭洗ひ来し弁天の青葉冷え 鷹羽狩行
早乙女のむかしを語れ小傾城 正岡子規 早乙女
早乙女や小町の墓のこと知らず 阿波野青畝
草刈女小野小町は好きならず 後藤比奈夫
待宵の姿にうしろ向き小町 能村登四郎
大津絵やかすむ湖水の七小町 河東碧梧桐
短夜やわりなくなじむ小傾城 正岡子規 短夜
茶の花の思うツボなる美人哉 永田耕衣
昼顔に傾城眠きさかり哉 正岡子規 昼顔
虫干や傾城の文親の文 正岡子規 土用干
朝がほや梦の美人の消え處 正岡子規 朝顔
朝顔に傾城だちの鼾かな 正岡子規 朝顔
朝顔や傾城町のうら通り 正岡子規 朝顔
朝顔や夢裡の美人は消えて行く 正岡子規 朝顔
朝顏に傾城眠きさかり哉 正岡子規 朝顔
朝顏の垣根荒れたり小傾城 正岡子規 朝顔
長き夜や古傾城のささめ言 正岡子規 夜長
鳥雲に美人うごけばわれ動く 三橋敏雄
椿饐ゑ百歳の小町祀りけり 能村登四郎
摘むや薺小町の墓を二めぐり 内藤鳴雪
都踊り美女嬋娟を競ひけり 古郷
冬ぬくし獣肉をむさぼり啖ふ美人 日野草城
冬扇シテの美女出て国なまり 角川源義
嶋の雪辨天堂の破風赤し 正岡子規 雪
桃色は弁天様のはちすかな 正岡子規 蓮の花
踏青や美人群れたる水の隈 正岡子規 青き踏む
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
年経たる小町のにほひ蓬原 鷲谷七菜子 天鼓
年箭して小面は美女と思ふ 阿波野青畝
破れ扇これも小町かなれのはて 正岡子規 捨扇
破れ扇小町かはてを見付たり 正岡子規 捨扇
梅雨ふるや美女は採用せず帰す 古郷
梅白し佳人のひと世をろがみぬ 藤田湘子 てんてん
萩薄小町が笠は破れけり 正岡子規 萩
萩薄小町が笠は破れたり 正岡子規 萩
白足袋の 小町で老いて 葛の花 伊丹三樹彦
微笑、美女、槍の貫きし箱を出でて立つ 荻原井泉水
美女の手に狩られて鮎の錆きはやか 上田五千石『琥珀』補遺
美女の深情のありて近松忌 鷹羽狩行
美女去りしその墓にわれも詣でけり 古郷
美女更に美女涅槃哭く顔ゆがめ 山口誓子
美女立テリ秋海棠ノ如キカナ 正岡子規 秋海棠
美女蹌踉の絵とあり白蓮の西安 金子兜太
美人の図無銘にして艶昼寝覚 山口青邨
美男美女に異常乾燥期の園 西東三鬼
鼻をするどく 刻んで 美女生むカメオ職人 伊丹三樹彦
百歳の小町の像の冷まじき 高野素十
芙蓉咲き見えぬ月見えぬ蛾眉山 金子兜太
米飾る米にも小町.ひとめぼれ 鷹羽狩行
弁天のうしろ姿は柳かな 正岡子規 柳
弁天のおん旅支度かいまみし 山口青邨
弁天の参詣絶えぬ桜かな 正岡子規 桜
弁天の山茶花折つて挿す句会 山口青邨
弁天の石橋低し蓮の花 正岡子規 蓮の花
弁天の奏で給ふ琵琶鴨送る 山口青邨
弁天の池にぎやかに鴨涼し 山口青邨
弁天の竹生に見たる石蕗の花 森澄雄
弁天の楼門赤き桜哉 正岡子規 桜
弁天の鰐口が鳴る浮寝鳥 山口青邨
弁天の已年美し町の春 内藤鳴雪
弁天や江戸へ流るゝ春の水 正岡子規 春の水
弁天をとりまく柳桜かな 正岡子規 柳
飽食の美人わらへり寒潮に 日野草城
鉾粽京美人の前に落下せり 古郷
柾を葺く仮宮かなし小町草 富安風生
末枯の中なる屏風七小町 能村登四郎
夢にたつかの薩摩美女牡丹の芽 佐藤鬼房
夢に美人来れり曰く梅の精と 正岡子規 梅
名月や美人の顏の片あかり 正岡子規 名月
夜の雪辻堂に寐て美女を夢む 正岡子規 雪
夕顔ノ垣根覗キソ美人禅 正岡子規 夕顔
夕立に看板の美女抱き入るる 右城暮石 上下
夕立や簀戸に押されし小傾城 正岡子規 夕立
葉桜や傾城しらぬ夏の景 正岡子規 葉桜
落花にて白し小町の屋敷跡 山口誓子
落花無し小町の深き化粧井に 山口誓子
蘭の香や佳人髣髴として來る 正岡子規 蘭
利根流域美女群浴に出会う 金子兜太
梨花白し此頃美女を見る小家 正岡子規 梨の花
凌霄やからまる縁の小傾城 正岡子規 凌霄花
冷えそそり歯剥く笑ひの老小町 能村登四郎
蓮の題即ち飾る支那美人 山口青邨
蓮枯て辨天堂の破風赤し 正岡子規 枯蓮
老いし小町に花冷の燭虹なせり 能村登四郎
嬌羞や団扇を洩れて蛾眉二つ 日野草城
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ 松本たかし
晝中の傾城寐たるこたつ哉 正岡子規 炬燵
稻妻や闇に美人の笑ひ聲 正岡子規 稲妻
筍や目黒の美人ありやなし 正岡子規 筍
蓼科を美人に譬へ避暑日記 阿波野青畝
蕣やきのふ死んだる小傾城 正岡子規 朝顔
薔薇一枝美人の胸にしぼみけり 正岡子規 薔薇
遽かの暑美人の汗に眼をとどむ 日野草城
錢湯を出づる美人や松の内 正岡子規 松の内
鶯や京へ売らるゝ小傾城 正岡子規 鶯

美人美女… 続補遺

いざゝくら小町が姉の名はしらず 其角
いなづまやどの傾城とかり枕 去来
かはず乗る経木は卒都婆小町なり 木導
かまくらの小町米町秋のくれ 白雪
けし垣の内や硯の小町形 万里女
けふの月小町が哥のうへを行 小西来山
すゝ掃や是も小町が古足駄 存義 古来庵発句集
つく~と小町が姉や冬籠 白雪
なでしこや美人手づから灌ぬる 黒柳召波
はつ雪やこゝろあてある小傾城 存義 古来庵発句集
はるかぜにおさるゝ美女のいかりかな 曉台
ふたり寐は汐干の岩も小町哉 土芳
ほし逢や心の友は伊勢小町 曉台
れき~の小町のはてや茶つみ哥 許六
衣うつよ田舎の果の小傾城 高井几董
衣張の指図まばゆし美人草 中川乙由
稲遠く傾城涼む夜明かな 泥足
稲妻の皃ひく窓の美人哉 露印
姥ふえてしかも美女なし年忘 其角
永き日や雨に物干す小傾城 晋阿 江都近在所名集
炎天に美人の皃の定りぬ 望月宋屋
花火尽きて美人は酒に身投げけむ 高井几董
花火尽て美人は酒に身投けむ 高井几董
花手折美人縛らん春ひと夜 高井几董
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 山口素堂
芥子痩てたゞ中~に美人草 路通
寒しとは小町が嘘よほとゝぎす 高井几董
寒声の恨むが如し小傾城 吐月 発句類聚
関寺の月や小町にほえん犬 旦藁
帰花桃李の美人覚束な 黒柳召波
鬼ゆりもやは傾城の敵役 沾圃
橘やむかし小町が袖の露 除風
桐の花局に悩む美人あり 三宅嘯山
金くるゝ小町が手より花の春 支考
傾城と腰掛て見む秋の暮 晩得 哲阿弥句藻
傾城にさりとてはなきあふぎかな 貞佐 桑々畔発句集
傾城に喰つかれたるあはせ哉 程已
傾城に枯て見せたる柳かな 田川鳳朗
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
傾城のかはゆがりけり団売 木導
傾城のきらつく秋の夕かな 紫道
傾城のその足わたせ天河 中川乙由
傾城のたまりしあとを蛙かな 晩得 哲阿弥句藻
傾城のつめ共にがしふきのとう 吾仲
傾城の塩梅淡し後夜の蠣 午心 発句類聚
傾城の夏書やさしや仮の宿 其角
傾城の楽屋おそろし蕃椒 蓼太 蓼太句集初編
傾城の汗臭くなるをどり哉 木導
傾城の賢なるは此柳かな 其角 五元集
傾城の賢なるは此柳哉 其角
傾城の市にかくれて頭巾かな 蓼太 蓼太句集初編
傾城の小哥はかなし九月尽 其角
傾城の生れがはりか猫の妻 木導
傾城の膳をあづかる月夜かな 吾仲
傾城の知た顔なり更衣 中川乙由
傾城の昼寐はいたく雉子かな 支考
傾城の拝んで笑ふ涅槃哉 松岡青蘿
傾城の畠見たがるすみれかな 岩田涼菟
傾城の比丘尼老ぬる紙子かな 三宅嘯山
傾城の負れて行や藤の花 木導
傾城の服紗捌きや大晦日 抱一 軽挙観句藻
傾城の母親おもふ霜夜かな 許六
傾城の枕ふみてや菊つくり 蓼太 蓼太句集初編
傾城や傾城を見る夕涼 百里
傾城を干か二階の桜華 凉菟
傾城を紅葉と照や後の月 吾仲
故人に落馬なさせそ美人草 魯九
枯芦に傾城町の夕日かな 百里
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
行としや古傾城のはしり書 高井几董
行年や老を誉たる小町の絵 園女
腰かけて浅き水ふむ美人かな 東皐
桜~散つて佳人の夢に入る 上田無腸
桜ちる小野の小町も茶の木原 句空
桜影かなし世の風美女が幽霊か 井原西鶴
三筋ほど葱喰美女のひそみ哉 三宅嘯山
山はえむ上野東の美人ならん 椎本才麿
捨笠は小町が塚かすみれ草 千那
捨笠は小町が塚か菫草 角上
終年や美人に似たるすみだ川 蓼太 蓼太句集三編
十六は美人の図なり月の色 支考
出代や小野の小町も衣装がら 木導
書出しに小町が返事なかりけり 黒柳召波
小傾城行てなぶらんとしの昏 其角 五元集
小傾城行てなぶらん年の暮 其角
小傾城是見てをけよ茶引草 馬場存義
小宿には傾城をらずきくのはな 桜井梅室
松むしよ美人の袖に落て死子 松岡青蘿
笑ふ時美人消へけり水仙華 越人
象潟の冬は美人の墨絵にて 望月宋屋
色~の田うへ出立や七小町 露川
吹かへす萩や小町が歌のさま 諷竹
吹て着る美人の息や綿帽子 三宅嘯山
水仙を小町が哥の姿かな 十丈
石竹やづらりと並ぶ小傾城 毛〔ガン〕
積雪や紅粉吹かけし小傾城 曉台
雪の花ひろくうつろふ小町かな 舎羅
草花の果は野水に小町哉 白雪
袋には小野小町がいのこ哉 尚白
大かたは美女なりけらし月のまヘ 曉台
虫の音や美人の涙いきかはり 曉台
虫ばむと朽木の小町ほされけり 其角
唐秬の美人こそあれ西の方 朱拙
桃の日や蟹は美人に笑るゝ 嵐雪
廿とせの小町が眉に落花かな 高井几董
乳母ふへてしかも美女なし年忘 其角 五元集
梅花美人来れり漸二更 黒柳召波
白芥子の美人かくるゝ草の庵 松岡青蘿
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
美女美男灯籠にてらす迷哉 其角
美人草散つた処が芥子坊主 桃後
美人老て疎影の痩を水鏡 椎本才麿
筆始今の美人は誰~ぞ 木因
富士詣傾城の名も懺悔せん 琴風
壁つゞる傾城町やくれのあき 炭太祇
弁天は見いでも今朝の水鏡 木節
埋火や傾城ふたり夜ぞ更くる 人左 新類題発句集
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
梨花一枝傾城の名に汚れたり 尚白
両の手にうちわ遣ふや小傾城 蓼太 蓼太句集初編
簾に入て美人に馴る燕かな 嵐雪
簾に入りて美人に馴るゝ燕かな 嵐雪 玄峰集
簾上て美人の夢や泉どの 三宅嘯山
蓮の骨哀れは美女の屍かな 嵐雪
蓮采や美人の手にも水馴棹 三宅嘯山
嘸小町我も因果の姥ざくら 智月尼
朧月小町が哥の風情あり 三宅嘯山
蕣はつよし小町がなれのはて りん女
蕣や傾城買ひの溜る金 越人
鵙なくや笑ひけうとき小傾城 素丸 素丸発句集

以上

by 575fudemakase | 2018-09-28 07:04 | 無季 | Trackback | Comments(0)

美人美女… の俳句

美人美女… の俳句

美人美女…

いさき船横づけにして弁天屋 高澤良一 素抱
いなづまやどの傾城とかり枕 去来
ウイグルの美女はけだるし蝿叩 山田真砂年
おほかたは卒塔婆小町の盆踊り 七田谷まりうす
おぼろ月素足の美女のくさめかな 幸田露伴 拾遺
かがみ見るそれぞれ佳人蓮浮葉 和田暖泡
がさ~と粽をかぢる美人哉 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
かなかなや独り占めして美人の湯 山本秋穂
かはほりや傾城出づる傘の上 太祇「太祇句選後篇」
かりそめの小町となりて月を待つ 鈴木節子
かるた札うつくしからぬ小町なり 下村 梅子
くくられて小町ゆかりの芒かな 下村梅子
くちなしの小町のやうに萎れゆき 岡本輝久
けし垣の内や硯の小町形 万里 俳諧撰集玉藻集
けふの月婆とはよばぬ小町かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
コスモスの佳人の如きたたずまひ 高澤良一 鳩信
さくら狩り美人の腹や減却す 蕪村
さくら狩美人の腹や減却す 蕪村 春之部 ■ 一片花飛減却春
しぐるゝや行手に仰ぐ小町寺 比叡 野村泊月
すみれさくつかのぬし美人なりけらし 森鴎外
ダリア大輪ルヰ王朝に美女ありき 福田蓼汀
ダリヤ大輪ルヰ王朝に美女ありき 福田蓼汀「暁光」
としひとつ積るや雪の小町寺 蕪村 冬之部 ■ 春泥舎に遊びて
はねず唄小町の塚の春落葉 長柄公子
ビードロの根付を帯に小町の忌 西村弘子
ひこばえや絵図の小町をたづね得ず 角川源義
ヒブダイの佳人とりわけ歯が見事 高澤良一 燕音
ひらひらとひとりあるきの蛭美人 辻田克巳
ふつくらと体格美人新社員 日向野花郷
ベビー蒲団干してミルクの匂ひ立つ 栗山妙子
ベビー靴の子を福藁に抱きおろす 俵土紀子
ベビー帽に落葉をのせて帰り来ぬ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
ぼうたんは紅にして江戸小町 高澤良一 随笑
ぽつぺんを吹ける横顔美人かな 茨木和生 三輪崎
マスクして小町の墓を訪ねけり 神郡 貢
みちすがら麗人多き柳かな 会津八一
みちのくに小町の里や雪蛍 佐藤一星
みちのくや小町草咲く屋根の上 矢島渚男 延年
もう少しこころ美人の柚子湯かな 白石菊代
モンローの忘れ睫の美女柳 杉本京子
ゆくとしや老を誉めたる小町の絵 園女 俳諧撰集玉藻集
よろと卒塔婆小町の萩の託言も失せてけり 文挟夫佐恵
衣うつよ田舎の果の小傾城 高井几董
一行の詩は金色に美女柳 都川一止
羽蟻たつ家にとつがぬ美人あり 大江丸「はいかい袋」
羽子板市美男美女みな似た顔で 藤岡筑邨
羽子板買ふ美人競べの眼して 関森勝夫
雨乞の小町が果やをとし水 蕪村 秋之部 ■ 須磨寺にて
雨乞の小町が果や落し水 蕪村
卯浪立ち黄昏迫る蛾眉の三保 長谷川かな女 花寂び
姥ふえてしかも美女なし年忘 其角
姥百合や獣身美女の絵の下に 堀口星眠 青葉木菟
延年舞禰宜言ひ寄れば美女躱す 長田白日夢
炎天に美人の顔の定りぬ 宋屋「瓢箪集」
炎天を来て燦然と美人たり 久米三汀
鉛入り白粉美人杜若 桑原三郎 晝夜 以後
牡丹咲て美人の鼾聞えけり 正岡子規
乙女らの小町顔なる春まつり 村松 堅
佳人逝き残るエンゼルフィッシュかな 室賀杜桂
夏痩や脣かんで小傾城 寺田寅彦
夏草や嵯峨に美人の墓多し 正岡子規
歌いづれ小町躍や伊勢躍 貞徳
歌いづれ小町踊や伊勢踊 貞徳
歌麿の美人は紙魚に犯されし 太田一石
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半
花かぼちや美女の家系に異変あり 関口ふさの「晩晴」
花の枝あふるる卒都婆小町かな 黒田杏子 花下草上
花火尽きて美人は酒に身を投げけむ 高井几菫
花火尽て美人は酒に身投げけん 几董
花合歓に蛾眉なが~し午後三時川端茅舎
花手折美人縛らん春ひと夜 高井几董
花桃のおたふく美人笑ひづめ 高澤良一 素抱
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 山口素堂
花李美人の影の青きまで 泉鏡花
花筵夫の視線の先に美女 川崎榮子
華麗なる空箱のこる小町の忌 平坂万桑
蚊帳の月美人の膝を閑却す 尾崎紅葉
骸骨やこれも美人のなれの果 夏目漱石 明治二十四年
垣間見れば美人涼み居る簾かな 会津八一
角巻の雑魚売り秋田美人かな 園部蕗郷
笠深く鸚鵡小町の出の涼し 加藤三七子「無言詣」
笠美人右手右足左手左足や紅鼻緒 橋本夢道 無類の妻
鎌倉の小町通りも小春かな 金田元彦
寒しとは小町が嘘よほとゝぎす 高井几董
寒の滝美女狂態の祷り為す 鍵和田[ゆう]子 未来図
甘茶番して新発意の嫁美人 河野静雲
関寺の小町の塚の蛇いちご 村木佐紀夫
岐阜提灯小野小町は野に倒れ 高澤良一 暮津
幾夜ふる小野の小町のかた鶉 如流 選集「板東太郎」
帰り花桃李の美人覚束な 黒柳召波 春泥句集
帰花桃李の美人覚束な 召波
鬼女の像灼けつつ内面夜叉美人 加藤知世子 花寂び
菊人形小町世にふる眺めして 百合山羽公
吉兆や佳人に足を踏まるるも 大野素郎
鏡餅弁天池の石となれ 阿波野青畝
業平と小町の並ぶ歌がるた 下村梅子
金魚売弁天さまの水もらふ 結城美津女
金色の蛾眉をあらはにクロッカス 西村和子 夏帽子
掘り上げて陽に当つ藷の紅小町 森田公司
薫風や出迎へ呉れし美女二人 小出秋光
傾城に歌心あり春の宵 寺田寅彦
傾城に喰ひつかれたるあはせかな 程己 四 月 月別句集「韻塞」
傾城に鳴くは故郷の雁ならん 夏目漱石 明治四十年
傾城に腕見せけり角力取 松花
傾城に腕見せけり相撲取 松化 五車反古
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
傾城のうすき眉毛や春の暮 松瀬青々
傾城のうゑしや御田のしどろなる 蝶夢「草根発句集」
傾城のぬけがらに寝る夜寒哉 正岡子規
傾城のわらべがましき手鞠かな 万容
傾城の夏書やさしや仮の宿 榎本其角
傾城の霞に傘の見えしかな 長谷川かな女 雨 月
傾城の蚊屋にきのふの螢かな 瓢水
傾城の汗の身をうる暑哉 横井也有 蘿葉集
傾城の汗臭くなるをどりかな 木導 七 月 月別句集「韻塞」
傾城の傘の上行く胡蝶かな 麦水
傾城の蚕飼ふとは何事ぞ 寺田寅彦
傾城の小歌はかなし九月尽 其角
傾城の小哥はかなし九月尽 其角
傾城の生れかはりか猫の妻 木導 正 月 月別句集「韻塞」
傾城の朝風呂匂ふ菖蒲かな 太祇「題林集」
傾城の拝んで笑ふ涅槃かな 青蘿
傾城の畠見たがるすみれかな 岩田涼菟
傾城の鼻を大きく金魚玉 小島健 木の実
傾城の物ほすかたや鳴蛙 蓼太
傾城の疱瘡うゑる日永かな 寺田寅彦
傾城の蹠白き絵踏かな 芥川龍之介
傾城は後の世かけて花見かな 蕪村 春之部 ■ 雨日嵐山にあそぶ
傾城もいとどねられね寒念仏 奚魚 極 月 月別句集「韻塞」
傾城も廓返りのすみれ哉 竹裡
傾城も手玉に取られ羽子板市 高澤良一 鳩信
月朧美人スパイにならんかな 長谷川照子
見返り美人秋興の手を袖の中 小堀紀子
元日や雨に美人の高鼾 蓼太
古も美女はありけり春灯 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
古袷傾城人の妻となり 佐々醒雪
古蚊帳に病傾城や眼をつむり 清原枴童 枴童句集
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
枯蘆に傾城町の夕日哉 百里
五月雨や暗きに馴れて支那美人 比叡 野村泊月
口少し開けしは美形梅雨鯰 斎藤梅子
江ノ島の裸弁天東風吹けり 高澤良一 寒暑
糠雨に少し乱れし美女柳 安斉君子
紅梅や畦より低き小町塚 野崎ゆり香
紅葉冷絶世美人と刻せし碑 西本一都 景色
行く年や老を誉めたる小町の絵 斯波園女
行としや古傾城のはしり書 高井几董
合点して傾城買ふやあきの夕 田原 也竺 五車反古
国芳の肉筆美人門涼み 高澤良一 燕音
此花を小町草とは知らざりし 原月舟
今小町つらつら椿いきみんたん 加藤郁乎
妻が美女に見える日ごしごし手を洗う 瀬戸青天城
菜の花や袖〔を〕苦にする小傾城 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
在るがままの花でありたし小町の忌 松谷雅子
冴え返る入谷小町を挟み撃ち 攝津幸彦 鹿々集
桜影かなし世の風美女が幽霊か 井原西鶴
桜々散つて佳人の夢に入る 上田無腸
桜狩美人の腹や減却す 與謝蕪村
笹鳴や小町通りをそれてすぐ 川崎展宏
三光鳥鳴き弁天の厨子ひらく 深海利代子「雉俳句集」
山はえむ上野東の美人ならん 椎本才麿
山宿に美女生れつぎて芹を摘む 西本一都 景色
桟橋の先に鯔跳ぶ弁天屋 高澤良一 随笑
四万六千日小町屋で買ふつけ睫毛 鈴木栄子
子は亡くてやはらかく折るベビー毛布 蓬田紀枝子
実に泣く傾城もありとしの暮 也有
捨松も小町も居りて福笑ひ 太田 昌子
手折れるはりふじんなれや美人草 季吟「山の井」
秋の蚊や夢二の描く美人像 押本京子
秋絢爛をとこならねど美女はよし 稲垣きくの
秋近し七夕恋ふる小傾城 正岡子規
秋灯や要かなめの小町針 橋本白木
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女 西東三鬼
俊寛も小町も果の施米かな 青木月斗
春の土踏むはじめてのベビー靴 山田弘子 こぶし坂
春雨に大欠(あくび)する美人哉 一茶
春雨に大欠〔伸〕する美人哉 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
春雨やてうちん持ちの小傾城 一茶
春雨やてうちん持の小傾城 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
春寒や日長けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春寒や日闌(た)けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春寒や日闌けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春愁や使はず褪せし絹小町 勝又寿々子 『春障子』
春落葉浮けり小町の化粧井戸 龍頭美紀子
春筍が二つ佳人は来ぬものか 星野麥丘人
初午や美女の影ふむ素浪人 沾徳
暑を見詰めゐし眼が遠き美女捉ふ 有働亨 汐路
書出しに小町が返事なかりけり 黒柳召波 春泥句集
小傾城行きてなぶらん年の暮 其角
小傾城行てなぶらんとしの昏 其角
小傾城行てなぶらん年の暮 榎本其角
小春日のうたたね哀れ小傾城 会津八一
小春日の黒子美人に出合ひけり 村山三郎
小町の忌歌詠むときは化粧して 大元祐子
小町忌のなき淋しさや業平忌 野村喜舟
小町忌のはんなり香る桜餅 中御門あや
小町忌の歌膝ゆゆし九十九髪 高橋睦郎
小町忌の反物のまま二十年 北柳あぶみ
小町忌の老いても母の富士額 西浦昭美
小町忌の褪せし押花詩集より 斎藤静枝
小町忌は人丸忌なり井水汲む 高橋睦郎
小町忌や花の透しのあそび紙 高山 檀
小町忌や鴨の啄む紅椿 藤原口佐子
小町忌や芍薬の芽の紅に 山口マサエ
小町寺とうとうたらり春の舞 井本農一
小町寺枯木ざくらもゆかしけれ 高濱年尾 年尾句集
小町寺尼がかむれる綿帽子 大森積翠
小町草花壇に盛りすぎにけり 高野素十
小町草咲きひろがりぬ尼が庵 高浜虚子
小町草石屋の石の間かな 矢島渚男 延年
小町塚弔ふに摘む都草 小野たか子
小町塚訪ふと蝗を跳ばしたり 神蔵 器
小町墳言葉少なに時雨傘 浅野アツ子
小町崩れの姉ふらふら来小正月 たむらちせい
小野の小町こらへ情有二夜の月 云奴子 選集「板東太郎」
松むしよ美人の袖に落て死子 松岡青蘿
飾りたる小町雛のうれひ眉 阿部みどり女 笹鳴
色鳥やケーキのやうなベビー靴 轡田 進
色変へぬ松に囲まれ弁天沼 檜 紀代
振り向く大月氏の傾城もう雪か 加藤郁乎
振向ばはや美女過る柳哉 一茶 ■寛政七年乙卯(三十三歳)
針供養母の使ひし小町針 有賀三枝子
水仙や美人かうべをいたむらし 蕪村
睡蓮の一花水浴美人めく 江川虹村
数珠下げていよ~美女の寒さかな 久保田万太郎 流寓抄以後
雛の日が忌日となりし佳人かな 稲岡達子
青すだれ白衣の美人通ふ見ゆ 一茶 ■寛政五年癸丑(三十一歳)
青梅に眉あつめたる美人かな 蕪村
青葉冷え鎌倉小町通りにて 川崎展宏
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し 松村蒼石 雁
積年の朽葉をためて小町井戸 中村姫路
切り売りの西瓜は美人揃ひにて 三好潤子
雪女郎美女を描くといふ掟 庄子紅子
仙がい筆薄と小町のされかうべ 高澤良一 暮津
先生を美人に画いて夏休み 渡辺みつ
川ゆたか美女を落第せしめむか 平畑静塔
銭洗弁天(しろへびさま)春は巳の日の験(げん)あらな 高澤良一 寒暑
銭洗弁天寒の卵かな 細川加賀 生身魂
霜がれや鍋の炭かく小傾城 一茶
袋絵の小町ほほえむ今年米 松本由美子
大原や小町が果の夏花つみ 一 茶
大根煮て小町も年をとりにけり 龍岡晋
沢瀉による傾城や御祓川 蕪村「落日庵句集」
短日のひとり弁天詣かな 鈴木しげを
竹皮を脱ぐ美人画はうしろ向き 逢坂幸子
朝火事の寺町小町革枕 攝津幸彦 鹿々集
朝陽より傾城匂ふあやめかな 言水
腸うるか竜野の美人送り来し 青木月斗
腸うるか龍野の美人送り来し 青木月斗
蝶々の葎深しや小町寺 星野立子
鳥雲にどぶ板小町嫁ぎけり 岡田鉄 『卆心』
鳥雲に美人動けばわれ動く 三橋敏雄(1920-2002)
椿数多花異なりて美女生誕 長谷川かな女 花寂び
椿挿す死相も音戸小町よと 赤松[ケイ]子
冬の虹藪の弁天瞳にしづく 加藤知世子 花寂び
凍蝶の蛾眉衰へずあはれなり 高浜虚子
嶋の雪弁天堂の破風赤し 正岡子規
桃の日や蟹は美人に笑るゝ 服部嵐雪
湯を浴びて湯かけ弁天かげろひぬ 大越正子
南風に奏づは弁天様にまします歟 高澤良一 随笑
廿とせの小町が眉に落花かな 高井几董
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
日傘得て辨天よりの戻り船 北野民夫
日本に小野小町や合歓の花 辰巳あした(雨月)
葱の香や傾城町の夕あらし 蝶夢
年玉に傾城の香のうつりけり 松瀬青々
年経たる小町のにほひ蓬原 鷲谷七菜子
年棚にまだ土つかぬベビー靴 橋本榮治 麦生
年籠して小面は美女と思ふ 阿波野青畝
年籠りして小面は美女と思ふ 阿波野青畝
波音や弁天様の孑孑に 岸本尚毅 舜
梅の精は美人にて松の精は翁也 夏目漱石 明治三十二年
梅白し佳人のひと世をろがみぬ 藤田湘子 てんてん
煤逃げの真白きベビー毛布かな 山崎ひさを
柏餅届けてくれし美人記者 町春草
白芥子の美人かくるゝ草の庵 松岡青蘿
白玉の美形を探しゐたりけり 仙田洋子 雲は王冠以後
薄幸の見返り美人一葉忌 磯崎ゆきこ
半面の美女かいま見ぬ春のくれ 几董
枇杷一顆載りて弁天みちしるべ 中戸川朝人 尋声
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
美女に逢ふ美男蔓を手に提げて 京極杞陽
美女のゐて老僧喜色ねはん講 堀口星眠 青葉木菟
美女現前鬼女も招ばんと紅葉焚く 中村草田男
美女谷や髪に飾りて常山木の実 嶋田麻紀
美女美男灯籠にてらす迷ひかな 其角
美女病みて水族館の鱶に笑む 西東三鬼
美人とはなべてふくよか蝌蚪の国 岸田雨童
美人画の顔にもメモや古暦 今井風狂子
美人画の髷黒々と捨団扇 梅里全子 『祝矢』
美人老て疎影の痩を水鏡 椎本才麿
美禄はんなりでろれん美女はしたゝりぬ 加藤郁乎
百歳の小町目を張り秋の暮 大橋敦子 匂 玉
百日紅ややちりがての小町寺 蕪村
夫のある美人参りそ文覚忌 伊藤松宇
負ひ真綿里の小町も古りにけり 永田青嵐
蕪こそ肥えて美人に似たりけれ 松瀬青々
風の盆誰の言ひたる顎美人 浅川青磁
風邪引の鼻のつまりし美人かな 高浜虚子
焚髪の茫煙か紅葉美女の屍に 内田百間
壁つゞる傾城町やくれのあき 炭 太祇 太祇句選
別嬪な鳥が来てゐる二日の木 高澤良一 さざなみやつこ
別嬪の降つて来さうなゆだちかな 加藤郁乎
片しぐれ幾日つづくぞ小町寺 麦水
弁天に烏甘ゆる春の水 八木三日女
弁天に口紅供へ御開帳 山崎祐子
弁天に少女の乳房さくら散る 檜山哲彦
弁天の笑ふ眼のふちきりぎりす 磯貝碧蹄館
弁天の竹生に近き竹瓮舟 大石悦子 聞香
弁天の琵琶の卯波に打ち消され 木村紀美子
弁天の膝に大きな盆だんご 長江克江
弁天の祠の岬磯開く 鈴木 灰山子
弁天へ秋風波をたてまつる 川崎展宏
弁天を抜けたあたりでみずてんのふらここ 加藤郁乎
弁天堂に湧く歓声や一の富 上原真澄
弁天様に下船の一歩雲の峯 毛塚静枝
頬の落ち卒都婆小町のしたたかさ 須崎美穂子
盆狂言怨霊なべて美女なりし 成瀬桜桃子
盆踊清少納言小町の国 西本一都 景色
柾の実昔小町のあちら向き 相原澄江
柾を葺く仮宮かなし小町草 富安風生
万の手がベビー・ユニヴァースをくすぐる 夏石番矢
万緑や鈴の緒いたむ弁天堂 中村冨美子
眠りの森の美女を見にゆく六日かな 須川洋子
名月や海に向かへば七小町 松尾芭蕉
夜ざくらや美人天から下るとも 一茶
夜の秋を小町寺より遊び尼 山口誓子
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
野菜曳く村の小町の頬被り 松浦 釉
柳の芽弁天さまを素描せり 渡辺恭子
優曇華や寺に小町の九相図 三矢らく子
夕桜小町塚まで足のばす 板谷芳浄
夕立に看板の美女抱き入るる 右城暮石
踊りそろへば小町桜は咲きにけり 長谷川かな女 雨 月
落鮎のはらわたを抜く美人かな 吉崎不二夫
利根流域美女群浴に出会う 金子兜太 詩經國風
裏富士やかかる里にも美人草 不白「不白翁句集」
流星の果てなる鸚鵡小町かな 黒田杏子
両の手にうちは遣ふや小傾城 蓼太「蓼太句集初編」
瑠璃鳴きて靄の晴れゆく美女平 朝妻 力
麗人の立居が透ける青簾 秋山青潮(鉾)
麗人をいざなふ僕の白手袋 筑紫磐井 婆伽梵
簾(みす)に入りて美人に馴るゝ燕かな 服部嵐雪
簾に入て美人に馴る燕かな 服部嵐雪
簾に入りて美人に馴るる燕かな 嵐雪
蓮の骨哀は美女の屍哉 服部嵐雪
蓮の骨哀れは美女の屍かな 服部嵐雪
露の川小野小町の山を出づ 八木林之介 青霞集
辨天や蛙の干物おもしろき 尾崎紅葉
曼珠沙華喜寿と思へぬ美女ばかり 永瀬千枝子
囀りや苔盛り上がる小町塚 巽恵津子
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ たかし
涅槃会に佳人のまじる日の翳り 桂信子 遠い橋
筍や目黒の美人ありやなし 子規
絨毯の美女とばらの絵ひるまず踏む 柴田白葉女
芍薬のくづれ艶めく小町塚 高橋一経
菫咲川をとび越す美人哉 一茶
蟷螂や見返り美人さながらに 藤脇美樹
踵まで浴衣美人でありにけり 山田弘子 懐
鞆の津のささやき橋に小町草 高橋六一
鵙なくや笑ひけうとき小傾城 素丸
黴の香の弁天窟に百の燭 宮内とし子(沖)
鼈甲を磨く老眼小町の忌 中野青雁

美人美女… 補遺

*はまなすのたとへば夜の黒眸美女(マラゲーニア) 佐藤鬼房
あかゞりや傾城老いて上根岸 正岡子規 皸
いつの世も美男美女よし菊人形 右城暮石 虻峠
うすものに堪へざる美女の立居かな 正岡子規 羅
うそ寒き暗夜美人に逢着す 正岡子規 うそ寒
うそ寒の誠を泣くや小傾城 正岡子規 うそ寒
お守りの辨天賣て肌寒し 正岡子規 肌寒
かの佳人ならむ枯山生野糞 佐藤鬼房
きぶし群落美女韆浴は乳房見せぬ 金子兜太
クインメリー麗人を求む年の暮 山口青邨
ゴルフアーの佳人の自動車春泥を 日野草城
その青年のもの美女の顔平手打ち 三橋敏雄
その夕べ京にをりたる小町の忌 森澄雄
だが秋田美人に逢へずきりたんぽ 鷹羽狩行
ひこばえや絵図の小町をたづね得ず 角川源義
ひた寒し萎えし垂乳の小町みて 能村登四郎
ぶをとこも美人も出たる小春哉 正岡子規 小春
ものうしや傾城をまつ蚊帳の中 正岡子規 蚊帳
わが庭のにぎやか秋田美人の蕗の薹 山口青邨
衣更へて美人はいつも美人かな 星野立子
一景は熔岩を野積みに小町草 上田五千石『風景』補遺
姥等とよ小町がはてをこれ見よや 正岡子規 姥等
駅家去る車塵 磧に美女残し 伊丹三樹彦
遠目にも茶摘畑の祖谷美人 鷹羽狩行
襖絵の美女に囲まれ寝正月 鷹羽狩行
黄鳥きて美女群浴の死せしや 金子兜太
牡丹栽て美人土かふ春の風 正岡子規 春風
牡丹咲て美人の鼾聞えけり 正岡子規 牡丹
佳人に会へり途上黄落ただならず 古郷
佳人もたらせし木犀の香に睡る 伊丹三樹彦
佳人花の如し我衣破れたり 正岡子規 花
夏に籠る傾城もあり百日紅 正岡子規 百日紅
夏山の記憶の中の一佳人 高野素十
夏草や嵯峨に美人の墓多し 正岡子規 夏草
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半 底紅
火盗りとてかぐはしき蛾眉もたらせり 上田五千石 琥珀
花の山浮世画の美人来る哉 正岡子規 花
花合歓に蛾眉なが~し午後三時川端茅舎
花晴れて佳人の眼鏡度の強き 日野草城
花南瓜*つつの美女には会へずとも 後藤比奈夫
花薄こゝも小町のふしど哉 正岡子規 薄
蚊帳ツラデ畫美人見ユル夜寒カナ 正岡子規 夜寒
海棠に鼾の細き美人哉 正岡子規 海棠
外梯子降りる一佳人花衣 山口青邨
蛙田に尼の通ひ路小町寺 高野素十
茅花さく家を傾城のなれのはて 正岡子規 茅花
寒梅や抜け弁天の土日向 上田五千石『琥珀』補遺
寒美人嬋娟として尿意あり 日野草城
汗くさしうしろ向たる小傾城 正岡子規 汗
亀鳴くを待てず弁天池を去る 鷹羽狩行
菊人形源氏も美男美女ばかり 右城暮石 句集外 昭和五十四年
菊人形小町世にふる眺めして 百合山羽公 樂土
鏡餅弁天池の石となれ 阿波野青畝
業平も小町もをりぬ花の稚児 伊藤白潮
金屏風傾城こもる秋の暮 正岡子規 秋の暮
傾城が筆のすさひや燕子花 正岡子規 杜若
傾城と千鳥聞く夜の寒さ哉 正岡子規 千鳥
傾城にあふがれて居る団哉 正岡子規 団扇
傾城にいつわりのなき熱さ哉 正岡子規 暑
傾城にとへども知らず紅の花 正岡子規 紅花
傾城にとりかくされし扇哉 正岡子規 扇
傾城にふられてひとりすゞみ哉 正岡子規 納涼
傾城にまことありけり秋のくれ 正岡子規 秋の暮
傾城にものかゝれたる扇哉 正岡子規 扇
傾城に可愛がらるゝ暑さ哉 正岡子規 暑
傾城に歌よむはなしけふの月 正岡子規 今日の月
傾城に起請の外の夏書哉 正岡子規 夏書
傾城に死んで見せけり火取虫 正岡子規 火取虫
傾城に袖引かれたる夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城に電話をかけん秋のくれ 正岡子規 秋の暮
傾城に問へども知らず秋の風 正岡子規 秋風
傾城に約束のあり酉の市 正岡子規 酉の市
傾城のうそも上手にさよしくれ 正岡子規 時雨
傾城のうらやまれけり蝸牛 正岡子規 蝸牛
傾城のお白粉はげて朝桜 正岡子規 朝桜
傾城のなるゝ柱も一夜鮓 正岡子規 鮓
傾城のぬけがらに寐る夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城のぬけ殻に蚤のはねる哉 正岡子規 蚤
傾城のひとり寐ねたる寒さかな 正岡子規 寒さ
傾城の噂を語れ納豆汁 正岡子規 納豆汁
傾城の花に泣く夜となりにけり 正岡子規 花
傾城の海を見て居る夕涼み 正岡子規 納涼
傾城の海を背にする夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城の外はしくるゝとも知らず 正岡子規 時雨
傾城の噛み砕きけり夏氷 正岡子規 夏氷
傾城の顔にあてたる団扇哉 正岡子規 団扇
傾城の古郷遠し京の春 正岡子規 初春
傾城の故郷や思ふ柏餅 正岡子規 柏餅
傾城の悟り顔なり蓮の花 正岡子規 蓮の花
傾城の在所をきけば藪蚊哉 正岡子規 蚊
傾城の罪をつくるや紅の花 正岡子規 紅花
傾城の姿あらはす蚊遣哉 正岡子規 蚊遣
傾城の耳たぶ広しほとゝきす 正岡子規 時鳥
傾城の汐干見て居る二階哉 正岡子規 汐干狩
傾城の鹿呼ぶ奈良の夕淋し 正岡子規 鹿
傾城の手つからくへる蚊遣哉 正岡子規 蚊遣
傾城の重ね着苦し汗の玉 正岡子規 汗
傾城の出しぬかれたる師走哉 正岡子規 師走
傾城の寝顔にあつしほつれ髪 正岡子規 暑
傾城の息酒くさし夕桜 正岡子規 夕桜
傾城の足音更ける火鉢哉 正岡子規 火鉢
傾城の団扇に這はす蛍哉 正岡子規 蛍
傾城の昼寝はあつし金屏風 正岡子規 昼寝
傾城の燈籠のぞくや寶巖寺 正岡子規 燈籠
傾城の瓶にしぼみし牡丹哉 正岡子規 牡丹
傾城の腹をひやさん氷餅 正岡子規 氷餅
傾城の文とゝきけり五月雨 正岡子規 五月雨
傾城の文にも春を惜むかな 正岡子規 春惜しむ
傾城の文反古まじる紙帳哉 正岡子規 紙帳
傾城の夢に殿御の照射哉 正岡子規 照射
傾城の娘もちける鵜匠哉 正岡子規 鵜匠
傾城の名をつけて見ん竹婦人 正岡子規 竹婦人
傾城の紋は何紋衣配り 正岡子規 衣配
傾城の門まで出たり凧 正岡子規 凧
傾城の猶うつくしき燈籠哉 正岡子規 燈籠
傾城の涙煮えけり玉子酒 正岡子規 玉子酒
傾城の咄ときるゝ夜長かな 正岡子規 夜長
傾城の泪にやれし紙衣かな 正岡子規 紙衣
傾城の菫は痩せて鉢の中 正岡子規 菫
傾城の裲襠着て見つ春の雨 正岡子規 春の雨
傾城の顏見て過ぬ酉の市 正岡子規 酉の市
傾城の鼾おそろしほとゝきす 正岡子規 時鳥
傾城はうしろ姿の寒さ哉 正岡子規 寒さ
傾城はなれてよく寐る鹿の聲 正岡子規 鹿
傾城は格子の内や夏の月 正岡子規 夏の月
傾城は五階の上の霞哉 正岡子規 霞
傾城は誠にあつき者なりけり 正岡子規 暑
傾城は痩せて小さき蒲團哉 正岡子規 蒲団
傾城は知らじ三夜さのむら時雨 正岡子規 時雨
傾城は屏風の萩に旅寐哉 正岡子規 萩
傾城も居らず蝶飛ぶ仲の町 正岡子規 蝶
傾城も石になりたる夏野哉 正岡子規 夏野
傾城も南瓜の畑で生れけり 正岡子規 南瓜
傾城も猫もそろふて雜煮哉 正岡子規 雑煮
傾城も娘めきたり青簾 正岡子規 青簾
傾城やしくれふるとも知らで寐る 正岡子規 時雨
傾城や格子にすがる籠の虫 正岡子規 虫
傾城や客に買はれて夕涼み 正岡子規 納涼
傾城や年よりそむる五月雨 正岡子規 五月雨
傾城をかむろとりまく粽哉 正岡子規 粽
傾城をよぶ声夏の夜は明けぬ 正岡子規 夏の夜
傾城を見たる師走の温泉かな 正岡子規 師走
傾城を舟へ呼ぶ夜の寒さかな 正岡子規 寒さ
傾城を買ひに往く夜や鮟鱇鍋 正岡子規 鮟鱇
傾城曰く歸らしやんすか此雪に 正岡子規 雪
月が出て美女群浴の白照す 金子兜太
見まゐらす寝釈迦あはれ蛾眉御若き 山口青邨
遣羽子に負けし美人の怒哉 正岡子規 遣羽根
古里や秋に痩せたる小傾城 正岡子規 秋
枯野行く美人をしばし眺めたり 永田耕衣
五月雨や傾城のぞく物の本 正岡子規 五月雨
行かんとして雁飛び戻る美人哉 正岡子規 帰雁
行く鳥や傾城国に帰る船 正岡子規 鳥帰る
行水や美人住みける裏長屋 正岡子規 行水
香煙の美人にもならず年暮れぬ 正岡子規 年の暮
高殿に美人佇む柳かな 正岡子規 柳
此里に美女二人あり桃の花 正岡子規 桃の花
三彩の唐の美女見し牡丹かな 森澄雄
三椀の雜煮喰ひぬ小傾城 正岡子規 雑煮
傘さして傾城なぶる春の雨 正岡子規 春の雨
残雪や小町の母郷は雨けぶる 角川源義
師走能かぞへて老女小町もの 能村登四郎
紫陽花や舌を見せたる小傾城 正岡子規 紫陽花
七小町二つは知らず朧にて 能村登四郎
七夕に草履を貸すや小傾城 正岡子規 七夕
七夕や弁天さまに水かよひ 上田五千石『天路』補遺
七夕を寝てしまひけり小傾城 内藤鳴雪
朱兀げて辨天堂の月見哉 正岡子規 月見
酒の名は山陰美人花三分 山口青邨
樹下美人ならばと梅の咲く下に 津田清子
秋陰に常百歳の小町かな 阿波野青畝
秋近し七夕恋ふる小傾城 正岡子規 秋近し
秋風や傾城町の晝下り 正岡子規 秋風
秋風や小野の小町の笑ひ聲 正岡子規 秋風
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女 西東三鬼
終ひ弁天暗きに咳をこぼしけり 安住敦
襲着の佳人に冬の泉鳴る 佐藤鬼房
出戻りの美人の散歩麦の秋 日野草城
春の夜のともし消ちたり小傾城 正岡子規 春の夜
春の夜や傾城町の電気燈 正岡子規 春の夜
春の夜や傾城買ひに小提灯 正岡子規 春の夜
春の夜や見知顔する小傾城 正岡子規 春の夜
春駒や美人もすなる物貰ひ 内藤鳴雪
春宵の美酒とは美人注げばこそ 鷹羽狩行
春憂う美女群浴の交交(こもごも) 金子兜太
春筍が二つ佳人は来ぬものか 星野麥丘人 2001年
女王花ただちに卒塔婆小町かな 阿波野青畝
小傾城蚊遣に顔をそむけゝり 正岡子規 蚊遣
小傾城蕣の君と申しけり 正岡子規 朝顔
小町忌やうつくしき人ら歌合 山口青邨
小町忌や八重山吹も散りにけり 山口青邨
小町忌や北斎ゑがく七小町 山口青邨
小町草花壇に盛りすぎにけり 高野素十
小町像遅日垂乳の先の朱 飯島晴子
小町足袋覆いて演ずる役のこと 後藤比奈夫
身受けせし傾城くやし衣かへ 正岡子規 更衣
刃のごとき涼気佳人とすれ違ひ 鷹羽狩行
水汲みの美女現れよ靫草 佐藤鬼房
水馬辨天堂は荒れにけり 川端茅舎
水無月の傾城並ぶ格子かな 正岡子規 水無月
翠簾ごしの美人の顔や朧月 正岡子規 朧月
世に古りて小町草とは呼ばれけり 後藤比奈夫
青梅や傾城老いて洗ひもの 正岡子規 青梅
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し 松村蒼石 雁
川ゆたか美女を落第せしめむか 平畑静塔
川岸に二番芽の*たら佳人亡し 佐藤鬼房
銭洗ひ来し弁天の青葉冷え 鷹羽狩行
早乙女のむかしを語れ小傾城 正岡子規 早乙女
早乙女や小町の墓のこと知らず 阿波野青畝
草刈女小野小町は好きならず 後藤比奈夫
待宵の姿にうしろ向き小町 能村登四郎
大津絵やかすむ湖水の七小町 河東碧梧桐
短夜やわりなくなじむ小傾城 正岡子規 短夜
茶の花の思うツボなる美人哉 永田耕衣
昼顔に傾城眠きさかり哉 正岡子規 昼顔
虫干や傾城の文親の文 正岡子規 土用干
朝がほや梦の美人の消え處 正岡子規 朝顔
朝顔に傾城だちの鼾かな 正岡子規 朝顔
朝顔や傾城町のうら通り 正岡子規 朝顔
朝顔や夢裡の美人は消えて行く 正岡子規 朝顔
朝顏に傾城眠きさかり哉 正岡子規 朝顔
朝顏の垣根荒れたり小傾城 正岡子規 朝顔
長き夜や古傾城のささめ言 正岡子規 夜長
鳥雲に美人うごけばわれ動く 三橋敏雄
椿饐ゑ百歳の小町祀りけり 能村登四郎
摘むや薺小町の墓を二めぐり 内藤鳴雪
都踊り美女嬋娟を競ひけり 古郷
冬ぬくし獣肉をむさぼり啖ふ美人 日野草城
冬扇シテの美女出て国なまり 角川源義
嶋の雪辨天堂の破風赤し 正岡子規 雪
桃色は弁天様のはちすかな 正岡子規 蓮の花
踏青や美人群れたる水の隈 正岡子規 青き踏む
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
年経たる小町のにほひ蓬原 鷲谷七菜子 天鼓
年箭して小面は美女と思ふ 阿波野青畝
破れ扇これも小町かなれのはて 正岡子規 捨扇
破れ扇小町かはてを見付たり 正岡子規 捨扇
梅雨ふるや美女は採用せず帰す 古郷
梅白し佳人のひと世をろがみぬ 藤田湘子 てんてん
萩薄小町が笠は破れけり 正岡子規 萩
萩薄小町が笠は破れたり 正岡子規 萩
白足袋の 小町で老いて 葛の花 伊丹三樹彦
微笑、美女、槍の貫きし箱を出でて立つ 荻原井泉水
美女の手に狩られて鮎の錆きはやか 上田五千石『琥珀』補遺
美女の深情のありて近松忌 鷹羽狩行
美女去りしその墓にわれも詣でけり 古郷
美女更に美女涅槃哭く顔ゆがめ 山口誓子
美女立テリ秋海棠ノ如キカナ 正岡子規 秋海棠
美女蹌踉の絵とあり白蓮の西安 金子兜太
美人の図無銘にして艶昼寝覚 山口青邨
美男美女に異常乾燥期の園 西東三鬼
鼻をするどく 刻んで 美女生むカメオ職人 伊丹三樹彦
百歳の小町の像の冷まじき 高野素十
芙蓉咲き見えぬ月見えぬ蛾眉山 金子兜太
米飾る米にも小町.ひとめぼれ 鷹羽狩行
弁天のうしろ姿は柳かな 正岡子規 柳
弁天のおん旅支度かいまみし 山口青邨
弁天の参詣絶えぬ桜かな 正岡子規 桜
弁天の山茶花折つて挿す句会 山口青邨
弁天の石橋低し蓮の花 正岡子規 蓮の花
弁天の奏で給ふ琵琶鴨送る 山口青邨
弁天の池にぎやかに鴨涼し 山口青邨
弁天の竹生に見たる石蕗の花 森澄雄
弁天の楼門赤き桜哉 正岡子規 桜
弁天の鰐口が鳴る浮寝鳥 山口青邨
弁天の已年美し町の春 内藤鳴雪
弁天や江戸へ流るゝ春の水 正岡子規 春の水
弁天をとりまく柳桜かな 正岡子規 柳
飽食の美人わらへり寒潮に 日野草城
鉾粽京美人の前に落下せり 古郷
柾を葺く仮宮かなし小町草 富安風生
末枯の中なる屏風七小町 能村登四郎
夢にたつかの薩摩美女牡丹の芽 佐藤鬼房
夢に美人来れり曰く梅の精と 正岡子規 梅
名月や美人の顏の片あかり 正岡子規 名月
夜の雪辻堂に寐て美女を夢む 正岡子規 雪
夕顔ノ垣根覗キソ美人禅 正岡子規 夕顔
夕立に看板の美女抱き入るる 右城暮石 上下
夕立や簀戸に押されし小傾城 正岡子規 夕立
葉桜や傾城しらぬ夏の景 正岡子規 葉桜
落花にて白し小町の屋敷跡 山口誓子
落花無し小町の深き化粧井に 山口誓子
蘭の香や佳人髣髴として來る 正岡子規 蘭
利根流域美女群浴に出会う 金子兜太
梨花白し此頃美女を見る小家 正岡子規 梨の花
凌霄やからまる縁の小傾城 正岡子規 凌霄花
冷えそそり歯剥く笑ひの老小町 能村登四郎
蓮の題即ち飾る支那美人 山口青邨
蓮枯て辨天堂の破風赤し 正岡子規 枯蓮
老いし小町に花冷の燭虹なせり 能村登四郎
嬌羞や団扇を洩れて蛾眉二つ 日野草城
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ 松本たかし
晝中の傾城寐たるこたつ哉 正岡子規 炬燵
稻妻や闇に美人の笑ひ聲 正岡子規 稲妻
筍や目黒の美人ありやなし 正岡子規 筍
蓼科を美人に譬へ避暑日記 阿波野青畝
蕣やきのふ死んだる小傾城 正岡子規 朝顔
薔薇一枝美人の胸にしぼみけり 正岡子規 薔薇
遽かの暑美人の汗に眼をとどむ 日野草城
錢湯を出づる美人や松の内 正岡子規 松の内
鶯や京へ売らるゝ小傾城 正岡子規 鶯

美人美女… 続補遺

いざゝくら小町が姉の名はしらず 其角
いなづまやどの傾城とかり枕 去来
かはず乗る経木は卒都婆小町なり 木導
かまくらの小町米町秋のくれ 白雪
けし垣の内や硯の小町形 万里女
けふの月小町が哥のうへを行 小西来山
すゝ掃や是も小町が古足駄 存義 古来庵発句集
つく~と小町が姉や冬籠 白雪
なでしこや美人手づから灌ぬる 黒柳召波
はつ雪やこゝろあてある小傾城 存義 古来庵発句集
はるかぜにおさるゝ美女のいかりかな 曉台
ふたり寐は汐干の岩も小町哉 土芳
ほし逢や心の友は伊勢小町 曉台
れき~の小町のはてや茶つみ哥 許六
衣うつよ田舎の果の小傾城 高井几董
衣張の指図まばゆし美人草 中川乙由
稲遠く傾城涼む夜明かな 泥足
稲妻の皃ひく窓の美人哉 露印
姥ふえてしかも美女なし年忘 其角
永き日や雨に物干す小傾城 晋阿 江都近在所名集
炎天に美人の皃の定りぬ 望月宋屋
花火尽きて美人は酒に身投げけむ 高井几董
花火尽て美人は酒に身投けむ 高井几董
花手折美人縛らん春ひと夜 高井几董
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 山口素堂
芥子痩てたゞ中~に美人草 路通
寒しとは小町が嘘よほとゝぎす 高井几董
寒声の恨むが如し小傾城 吐月 発句類聚
関寺の月や小町にほえん犬 旦藁
帰花桃李の美人覚束な 黒柳召波
鬼ゆりもやは傾城の敵役 沾圃
橘やむかし小町が袖の露 除風
桐の花局に悩む美人あり 三宅嘯山
金くるゝ小町が手より花の春 支考
傾城と腰掛て見む秋の暮 晩得 哲阿弥句藻
傾城にさりとてはなきあふぎかな 貞佐 桑々畔発句集
傾城に喰つかれたるあはせ哉 程已
傾城に枯て見せたる柳かな 田川鳳朗
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
傾城のかはゆがりけり団売 木導
傾城のきらつく秋の夕かな 紫道
傾城のその足わたせ天河 中川乙由
傾城のたまりしあとを蛙かな 晩得 哲阿弥句藻
傾城のつめ共にがしふきのとう 吾仲
傾城の塩梅淡し後夜の蠣 午心 発句類聚
傾城の夏書やさしや仮の宿 其角
傾城の楽屋おそろし蕃椒 蓼太 蓼太句集初編
傾城の汗臭くなるをどり哉 木導
傾城の賢なるは此柳かな 其角 五元集
傾城の賢なるは此柳哉 其角
傾城の市にかくれて頭巾かな 蓼太 蓼太句集初編
傾城の小哥はかなし九月尽 其角
傾城の生れがはりか猫の妻 木導
傾城の膳をあづかる月夜かな 吾仲
傾城の知た顔なり更衣 中川乙由
傾城の昼寐はいたく雉子かな 支考
傾城の拝んで笑ふ涅槃哉 松岡青蘿
傾城の畠見たがるすみれかな 岩田涼菟
傾城の比丘尼老ぬる紙子かな 三宅嘯山
傾城の負れて行や藤の花 木導
傾城の服紗捌きや大晦日 抱一 軽挙観句藻
傾城の母親おもふ霜夜かな 許六
傾城の枕ふみてや菊つくり 蓼太 蓼太句集初編
傾城や傾城を見る夕涼 百里
傾城を干か二階の桜華 凉菟
傾城を紅葉と照や後の月 吾仲
故人に落馬なさせそ美人草 魯九
枯芦に傾城町の夕日かな 百里
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
行としや古傾城のはしり書 高井几董
行年や老を誉たる小町の絵 園女
腰かけて浅き水ふむ美人かな 東皐
桜~散つて佳人の夢に入る 上田無腸
桜ちる小野の小町も茶の木原 句空
桜影かなし世の風美女が幽霊か 井原西鶴
三筋ほど葱喰美女のひそみ哉 三宅嘯山
山はえむ上野東の美人ならん 椎本才麿
捨笠は小町が塚かすみれ草 千那
捨笠は小町が塚か菫草 角上
終年や美人に似たるすみだ川 蓼太 蓼太句集三編
十六は美人の図なり月の色 支考
出代や小野の小町も衣装がら 木導
書出しに小町が返事なかりけり 黒柳召波
小傾城行てなぶらんとしの昏 其角 五元集
小傾城行てなぶらん年の暮 其角
小傾城是見てをけよ茶引草 馬場存義
小宿には傾城をらずきくのはな 桜井梅室
松むしよ美人の袖に落て死子 松岡青蘿
笑ふ時美人消へけり水仙華 越人
象潟の冬は美人の墨絵にて 望月宋屋
色~の田うへ出立や七小町 露川
吹かへす萩や小町が歌のさま 諷竹
吹て着る美人の息や綿帽子 三宅嘯山
水仙を小町が哥の姿かな 十丈
石竹やづらりと並ぶ小傾城 毛〔ガン〕
積雪や紅粉吹かけし小傾城 曉台
雪の花ひろくうつろふ小町かな 舎羅
草花の果は野水に小町哉 白雪
袋には小野小町がいのこ哉 尚白
大かたは美女なりけらし月のまヘ 曉台
虫の音や美人の涙いきかはり 曉台
虫ばむと朽木の小町ほされけり 其角
唐秬の美人こそあれ西の方 朱拙
桃の日や蟹は美人に笑るゝ 嵐雪
廿とせの小町が眉に落花かな 高井几董
乳母ふへてしかも美女なし年忘 其角 五元集
梅花美人来れり漸二更 黒柳召波
白芥子の美人かくるゝ草の庵 松岡青蘿
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
美女美男灯籠にてらす迷哉 其角
美人草散つた処が芥子坊主 桃後
美人老て疎影の痩を水鏡 椎本才麿
筆始今の美人は誰~ぞ 木因
富士詣傾城の名も懺悔せん 琴風
壁つゞる傾城町やくれのあき 炭太祇
弁天は見いでも今朝の水鏡 木節
埋火や傾城ふたり夜ぞ更くる 人左 新類題発句集
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
梨花一枝傾城の名に汚れたり 尚白
両の手にうちわ遣ふや小傾城 蓼太 蓼太句集初編
簾に入て美人に馴る燕かな 嵐雪
簾に入りて美人に馴るゝ燕かな 嵐雪 玄峰集
簾上て美人の夢や泉どの 三宅嘯山
蓮の骨哀れは美女の屍かな 嵐雪
蓮采や美人の手にも水馴棹 三宅嘯山
嘸小町我も因果の姥ざくら 智月尼
朧月小町が哥の風情あり 三宅嘯山
蕣はつよし小町がなれのはて りん女
蕣や傾城買ひの溜る金 越人
鵙なくや笑ひけうとき小傾城 素丸 素丸発句集

以上

by 575fudemakase | 2018-09-28 07:04 | 無季 | Trackback | Comments(0)

別嬪 の俳句

別嬪 の俳句

別嬪

いさき船横づけにして弁天屋 高澤良一 素抱
いなづまやどの傾城とかり枕 去来
ウイグルの美女はけだるし蝿叩 山田真砂年
おほかたは卒塔婆小町の盆踊り 七田谷まりうす
おぼろ月素足の美女のくさめかな 幸田露伴 拾遺
かがみ見るそれぞれ佳人蓮浮葉 和田暖泡
がさ~と粽をかぢる美人哉 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
かなかなや独り占めして美人の湯 山本秋穂
かはほりや傾城出づる傘の上 太祇「太祇句選後篇」
かりそめの小町となりて月を待つ 鈴木節子
かるた札うつくしからぬ小町なり 下村 梅子
くくられて小町ゆかりの芒かな 下村梅子
くちなしの小町のやうに萎れゆき 岡本輝久
けし垣の内や硯の小町形 万里 俳諧撰集玉藻集
けふの月婆とはよばぬ小町かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
コスモスの佳人の如きたたずまひ 高澤良一 鳩信
さくら狩り美人の腹や減却す 蕪村
さくら狩美人の腹や減却す 蕪村 春之部 ■ 一片花飛減却春
しぐるゝや行手に仰ぐ小町寺 比叡 野村泊月
すみれさくつかのぬし美人なりけらし 森鴎外
ダリア大輪ルヰ王朝に美女ありき 福田蓼汀
ダリヤ大輪ルヰ王朝に美女ありき 福田蓼汀「暁光」
としひとつ積るや雪の小町寺 蕪村 冬之部 ■ 春泥舎に遊びて
はねず唄小町の塚の春落葉 長柄公子
ビードロの根付を帯に小町の忌 西村弘子
ひこばえや絵図の小町をたづね得ず 角川源義
ヒブダイの佳人とりわけ歯が見事 高澤良一 燕音
ひらひらとひとりあるきの蛭美人 辻田克巳
ふつくらと体格美人新社員 日向野花郷
ベビー蒲団干してミルクの匂ひ立つ 栗山妙子
ベビー靴の子を福藁に抱きおろす 俵土紀子
ベビー帽に落葉をのせて帰り来ぬ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
ぼうたんは紅にして江戸小町 高澤良一 随笑
ぽつぺんを吹ける横顔美人かな 茨木和生 三輪崎
マスクして小町の墓を訪ねけり 神郡 貢
みちすがら麗人多き柳かな 会津八一
みちのくに小町の里や雪蛍 佐藤一星
みちのくや小町草咲く屋根の上 矢島渚男 延年
もう少しこころ美人の柚子湯かな 白石菊代
モンローの忘れ睫の美女柳 杉本京子
ゆくとしや老を誉めたる小町の絵 園女 俳諧撰集玉藻集
よろと卒塔婆小町の萩の託言も失せてけり 文挟夫佐恵
衣うつよ田舎の果の小傾城 高井几董
一行の詩は金色に美女柳 都川一止
羽蟻たつ家にとつがぬ美人あり 大江丸「はいかい袋」
羽子板市美男美女みな似た顔で 藤岡筑邨
羽子板買ふ美人競べの眼して 関森勝夫
雨乞の小町が果やをとし水 蕪村 秋之部 ■ 須磨寺にて
雨乞の小町が果や落し水 蕪村
卯浪立ち黄昏迫る蛾眉の三保 長谷川かな女 花寂び
姥ふえてしかも美女なし年忘 其角
姥百合や獣身美女の絵の下に 堀口星眠 青葉木菟
延年舞禰宜言ひ寄れば美女躱す 長田白日夢
炎天に美人の顔の定りぬ 宋屋「瓢箪集」
炎天を来て燦然と美人たり 久米三汀
鉛入り白粉美人杜若 桑原三郎 晝夜 以後
牡丹咲て美人の鼾聞えけり 正岡子規
乙女らの小町顔なる春まつり 村松 堅
佳人逝き残るエンゼルフィッシュかな 室賀杜桂
夏痩や脣かんで小傾城 寺田寅彦
夏草や嵯峨に美人の墓多し 正岡子規
歌いづれ小町躍や伊勢躍 貞徳
歌いづれ小町踊や伊勢踊 貞徳
歌麿の美人は紙魚に犯されし 太田一石
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半
花かぼちや美女の家系に異変あり 関口ふさの「晩晴」
花の枝あふるる卒都婆小町かな 黒田杏子 花下草上
花火尽きて美人は酒に身を投げけむ 高井几菫
花火尽て美人は酒に身投げけん 几董
花合歓に蛾眉なが~し午後三時川端茅舎
花手折美人縛らん春ひと夜 高井几董
花桃のおたふく美人笑ひづめ 高澤良一 素抱
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 山口素堂
花李美人の影の青きまで 泉鏡花
花筵夫の視線の先に美女 川崎榮子
華麗なる空箱のこる小町の忌 平坂万桑
蚊帳の月美人の膝を閑却す 尾崎紅葉
骸骨やこれも美人のなれの果 夏目漱石 明治二十四年
垣間見れば美人涼み居る簾かな 会津八一
角巻の雑魚売り秋田美人かな 園部蕗郷
笠深く鸚鵡小町の出の涼し 加藤三七子「無言詣」
笠美人右手右足左手左足や紅鼻緒 橋本夢道 無類の妻
鎌倉の小町通りも小春かな 金田元彦
寒しとは小町が嘘よほとゝぎす 高井几董
寒の滝美女狂態の祷り為す 鍵和田[ゆう]子 未来図
甘茶番して新発意の嫁美人 河野静雲
関寺の小町の塚の蛇いちご 村木佐紀夫
岐阜提灯小野小町は野に倒れ 高澤良一 暮津
幾夜ふる小野の小町のかた鶉 如流 選集「板東太郎」
帰り花桃李の美人覚束な 黒柳召波 春泥句集
帰花桃李の美人覚束な 召波
鬼女の像灼けつつ内面夜叉美人 加藤知世子 花寂び
菊人形小町世にふる眺めして 百合山羽公
吉兆や佳人に足を踏まるるも 大野素郎
鏡餅弁天池の石となれ 阿波野青畝
業平と小町の並ぶ歌がるた 下村梅子
金魚売弁天さまの水もらふ 結城美津女
金色の蛾眉をあらはにクロッカス 西村和子 夏帽子
掘り上げて陽に当つ藷の紅小町 森田公司
薫風や出迎へ呉れし美女二人 小出秋光
傾城に歌心あり春の宵 寺田寅彦
傾城に喰ひつかれたるあはせかな 程己 四 月 月別句集「韻塞」
傾城に鳴くは故郷の雁ならん 夏目漱石 明治四十年
傾城に腕見せけり角力取 松花
傾城に腕見せけり相撲取 松化 五車反古
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
傾城のうすき眉毛や春の暮 松瀬青々
傾城のうゑしや御田のしどろなる 蝶夢「草根発句集」
傾城のぬけがらに寝る夜寒哉 正岡子規
傾城のわらべがましき手鞠かな 万容
傾城の夏書やさしや仮の宿 榎本其角
傾城の霞に傘の見えしかな 長谷川かな女 雨 月
傾城の蚊屋にきのふの螢かな 瓢水
傾城の汗の身をうる暑哉 横井也有 蘿葉集
傾城の汗臭くなるをどりかな 木導 七 月 月別句集「韻塞」
傾城の傘の上行く胡蝶かな 麦水
傾城の蚕飼ふとは何事ぞ 寺田寅彦
傾城の小歌はかなし九月尽 其角
傾城の小哥はかなし九月尽 其角
傾城の生れかはりか猫の妻 木導 正 月 月別句集「韻塞」
傾城の朝風呂匂ふ菖蒲かな 太祇「題林集」
傾城の拝んで笑ふ涅槃かな 青蘿
傾城の畠見たがるすみれかな 岩田涼菟
傾城の鼻を大きく金魚玉 小島健 木の実
傾城の物ほすかたや鳴蛙 蓼太
傾城の疱瘡うゑる日永かな 寺田寅彦
傾城の蹠白き絵踏かな 芥川龍之介
傾城は後の世かけて花見かな 蕪村 春之部 ■ 雨日嵐山にあそぶ
傾城もいとどねられね寒念仏 奚魚 極 月 月別句集「韻塞」
傾城も廓返りのすみれ哉 竹裡
傾城も手玉に取られ羽子板市 高澤良一 鳩信
月朧美人スパイにならんかな 長谷川照子
見返り美人秋興の手を袖の中 小堀紀子
元日や雨に美人の高鼾 蓼太
古も美女はありけり春灯 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
古袷傾城人の妻となり 佐々醒雪
古蚊帳に病傾城や眼をつむり 清原枴童 枴童句集
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
枯蘆に傾城町の夕日哉 百里
五月雨や暗きに馴れて支那美人 比叡 野村泊月
口少し開けしは美形梅雨鯰 斎藤梅子
江ノ島の裸弁天東風吹けり 高澤良一 寒暑
糠雨に少し乱れし美女柳 安斉君子
紅梅や畦より低き小町塚 野崎ゆり香
紅葉冷絶世美人と刻せし碑 西本一都 景色
行く年や老を誉めたる小町の絵 斯波園女
行としや古傾城のはしり書 高井几董
合点して傾城買ふやあきの夕 田原 也竺 五車反古
国芳の肉筆美人門涼み 高澤良一 燕音
此花を小町草とは知らざりし 原月舟
今小町つらつら椿いきみんたん 加藤郁乎
妻が美女に見える日ごしごし手を洗う 瀬戸青天城
菜の花や袖〔を〕苦にする小傾城 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
在るがままの花でありたし小町の忌 松谷雅子
冴え返る入谷小町を挟み撃ち 攝津幸彦 鹿々集
桜影かなし世の風美女が幽霊か 井原西鶴
桜々散つて佳人の夢に入る 上田無腸
桜狩美人の腹や減却す 與謝蕪村
笹鳴や小町通りをそれてすぐ 川崎展宏
三光鳥鳴き弁天の厨子ひらく 深海利代子「雉俳句集」
山はえむ上野東の美人ならん 椎本才麿
山宿に美女生れつぎて芹を摘む 西本一都 景色
桟橋の先に鯔跳ぶ弁天屋 高澤良一 随笑
四万六千日小町屋で買ふつけ睫毛 鈴木栄子
子は亡くてやはらかく折るベビー毛布 蓬田紀枝子
実に泣く傾城もありとしの暮 也有
捨松も小町も居りて福笑ひ 太田 昌子
手折れるはりふじんなれや美人草 季吟「山の井」
秋の蚊や夢二の描く美人像 押本京子
秋絢爛をとこならねど美女はよし 稲垣きくの
秋近し七夕恋ふる小傾城 正岡子規
秋灯や要かなめの小町針 橋本白木
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女 西東三鬼
俊寛も小町も果の施米かな 青木月斗
春の土踏むはじめてのベビー靴 山田弘子 こぶし坂
春雨に大欠(あくび)する美人哉 一茶
春雨に大欠〔伸〕する美人哉 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
春雨やてうちん持ちの小傾城 一茶
春雨やてうちん持の小傾城 一茶 ■文化九年壬甲(五十歳)
春寒や日長けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春寒や日闌(た)けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春寒や日闌けて美女の嗽ぐ 尾崎紅葉
春愁や使はず褪せし絹小町 勝又寿々子 『春障子』
春落葉浮けり小町の化粧井戸 龍頭美紀子
春筍が二つ佳人は来ぬものか 星野麥丘人
初午や美女の影ふむ素浪人 沾徳
暑を見詰めゐし眼が遠き美女捉ふ 有働亨 汐路
書出しに小町が返事なかりけり 黒柳召波 春泥句集
小傾城行きてなぶらん年の暮 其角
小傾城行てなぶらんとしの昏 其角
小傾城行てなぶらん年の暮 榎本其角
小春日のうたたね哀れ小傾城 会津八一
小春日の黒子美人に出合ひけり 村山三郎
小町の忌歌詠むときは化粧して 大元祐子
小町忌のなき淋しさや業平忌 野村喜舟
小町忌のはんなり香る桜餅 中御門あや
小町忌の歌膝ゆゆし九十九髪 高橋睦郎
小町忌の反物のまま二十年 北柳あぶみ
小町忌の老いても母の富士額 西浦昭美
小町忌の褪せし押花詩集より 斎藤静枝
小町忌は人丸忌なり井水汲む 高橋睦郎
小町忌や花の透しのあそび紙 高山 檀
小町忌や鴨の啄む紅椿 藤原口佐子
小町忌や芍薬の芽の紅に 山口マサエ
小町寺とうとうたらり春の舞 井本農一
小町寺枯木ざくらもゆかしけれ 高濱年尾 年尾句集
小町寺尼がかむれる綿帽子 大森積翠
小町草花壇に盛りすぎにけり 高野素十
小町草咲きひろがりぬ尼が庵 高浜虚子
小町草石屋の石の間かな 矢島渚男 延年
小町塚弔ふに摘む都草 小野たか子
小町塚訪ふと蝗を跳ばしたり 神蔵 器
小町墳言葉少なに時雨傘 浅野アツ子
小町崩れの姉ふらふら来小正月 たむらちせい
小野の小町こらへ情有二夜の月 云奴子 選集「板東太郎」
松むしよ美人の袖に落て死子 松岡青蘿
飾りたる小町雛のうれひ眉 阿部みどり女 笹鳴
色鳥やケーキのやうなベビー靴 轡田 進
色変へぬ松に囲まれ弁天沼 檜 紀代
振り向く大月氏の傾城もう雪か 加藤郁乎
振向ばはや美女過る柳哉 一茶 ■寛政七年乙卯(三十三歳)
針供養母の使ひし小町針 有賀三枝子
水仙や美人かうべをいたむらし 蕪村
睡蓮の一花水浴美人めく 江川虹村
数珠下げていよ~美女の寒さかな 久保田万太郎 流寓抄以後
雛の日が忌日となりし佳人かな 稲岡達子
青すだれ白衣の美人通ふ見ゆ 一茶 ■寛政五年癸丑(三十一歳)
青梅に眉あつめたる美人かな 蕪村
青葉冷え鎌倉小町通りにて 川崎展宏
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し 松村蒼石 雁
積年の朽葉をためて小町井戸 中村姫路
切り売りの西瓜は美人揃ひにて 三好潤子
雪女郎美女を描くといふ掟 庄子紅子
仙がい筆薄と小町のされかうべ 高澤良一 暮津
先生を美人に画いて夏休み 渡辺みつ
川ゆたか美女を落第せしめむか 平畑静塔
銭洗弁天(しろへびさま)春は巳の日の験(げん)あらな 高澤良一 寒暑
銭洗弁天寒の卵かな 細川加賀 生身魂
霜がれや鍋の炭かく小傾城 一茶
袋絵の小町ほほえむ今年米 松本由美子
大原や小町が果の夏花つみ 一 茶
大根煮て小町も年をとりにけり 龍岡晋
沢瀉による傾城や御祓川 蕪村「落日庵句集」
短日のひとり弁天詣かな 鈴木しげを
竹皮を脱ぐ美人画はうしろ向き 逢坂幸子
朝火事の寺町小町革枕 攝津幸彦 鹿々集
朝陽より傾城匂ふあやめかな 言水
腸うるか竜野の美人送り来し 青木月斗
腸うるか龍野の美人送り来し 青木月斗
蝶々の葎深しや小町寺 星野立子
鳥雲にどぶ板小町嫁ぎけり 岡田鉄 『卆心』
鳥雲に美人動けばわれ動く 三橋敏雄(1920-2002)
椿数多花異なりて美女生誕 長谷川かな女 花寂び
椿挿す死相も音戸小町よと 赤松[ケイ]子
冬の虹藪の弁天瞳にしづく 加藤知世子 花寂び
凍蝶の蛾眉衰へずあはれなり 高浜虚子
嶋の雪弁天堂の破風赤し 正岡子規
桃の日や蟹は美人に笑るゝ 服部嵐雪
湯を浴びて湯かけ弁天かげろひぬ 大越正子
南風に奏づは弁天様にまします歟 高澤良一 随笑
廿とせの小町が眉に落花かな 高井几董
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
日傘得て辨天よりの戻り船 北野民夫
日本に小野小町や合歓の花 辰巳あした(雨月)
葱の香や傾城町の夕あらし 蝶夢
年玉に傾城の香のうつりけり 松瀬青々
年経たる小町のにほひ蓬原 鷲谷七菜子
年棚にまだ土つかぬベビー靴 橋本榮治 麦生
年籠して小面は美女と思ふ 阿波野青畝
年籠りして小面は美女と思ふ 阿波野青畝
波音や弁天様の孑孑に 岸本尚毅 舜
梅の精は美人にて松の精は翁也 夏目漱石 明治三十二年
梅白し佳人のひと世をろがみぬ 藤田湘子 てんてん
煤逃げの真白きベビー毛布かな 山崎ひさを
柏餅届けてくれし美人記者 町春草
白芥子の美人かくるゝ草の庵 松岡青蘿
白玉の美形を探しゐたりけり 仙田洋子 雲は王冠以後
薄幸の見返り美人一葉忌 磯崎ゆきこ
半面の美女かいま見ぬ春のくれ 几董
枇杷一顆載りて弁天みちしるべ 中戸川朝人 尋声
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
美女に逢ふ美男蔓を手に提げて 京極杞陽
美女のゐて老僧喜色ねはん講 堀口星眠 青葉木菟
美女現前鬼女も招ばんと紅葉焚く 中村草田男
美女谷や髪に飾りて常山木の実 嶋田麻紀
美女美男灯籠にてらす迷ひかな 其角
美女病みて水族館の鱶に笑む 西東三鬼
美人とはなべてふくよか蝌蚪の国 岸田雨童
美人画の顔にもメモや古暦 今井風狂子
美人画の髷黒々と捨団扇 梅里全子 『祝矢』
美人老て疎影の痩を水鏡 椎本才麿
美禄はんなりでろれん美女はしたゝりぬ 加藤郁乎
百歳の小町目を張り秋の暮 大橋敦子 匂 玉
百日紅ややちりがての小町寺 蕪村
夫のある美人参りそ文覚忌 伊藤松宇
負ひ真綿里の小町も古りにけり 永田青嵐
蕪こそ肥えて美人に似たりけれ 松瀬青々
風の盆誰の言ひたる顎美人 浅川青磁
風邪引の鼻のつまりし美人かな 高浜虚子
焚髪の茫煙か紅葉美女の屍に 内田百間
壁つゞる傾城町やくれのあき 炭 太祇 太祇句選
別嬪な鳥が来てゐる二日の木 高澤良一 さざなみやつこ
別嬪の降つて来さうなゆだちかな 加藤郁乎
片しぐれ幾日つづくぞ小町寺 麦水
弁天に烏甘ゆる春の水 八木三日女
弁天に口紅供へ御開帳 山崎祐子
弁天に少女の乳房さくら散る 檜山哲彦
弁天の笑ふ眼のふちきりぎりす 磯貝碧蹄館
弁天の竹生に近き竹瓮舟 大石悦子 聞香
弁天の琵琶の卯波に打ち消され 木村紀美子
弁天の膝に大きな盆だんご 長江克江
弁天の祠の岬磯開く 鈴木 灰山子
弁天へ秋風波をたてまつる 川崎展宏
弁天を抜けたあたりでみずてんのふらここ 加藤郁乎
弁天堂に湧く歓声や一の富 上原真澄
弁天様に下船の一歩雲の峯 毛塚静枝
頬の落ち卒都婆小町のしたたかさ 須崎美穂子
盆狂言怨霊なべて美女なりし 成瀬桜桃子
盆踊清少納言小町の国 西本一都 景色
柾の実昔小町のあちら向き 相原澄江
柾を葺く仮宮かなし小町草 富安風生
万の手がベビー・ユニヴァースをくすぐる 夏石番矢
万緑や鈴の緒いたむ弁天堂 中村冨美子
眠りの森の美女を見にゆく六日かな 須川洋子
名月や海に向かへば七小町 松尾芭蕉
夜ざくらや美人天から下るとも 一茶
夜の秋を小町寺より遊び尼 山口誓子
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
野菜曳く村の小町の頬被り 松浦 釉
柳の芽弁天さまを素描せり 渡辺恭子
優曇華や寺に小町の九相図 三矢らく子
夕桜小町塚まで足のばす 板谷芳浄
夕立に看板の美女抱き入るる 右城暮石
踊りそろへば小町桜は咲きにけり 長谷川かな女 雨 月
落鮎のはらわたを抜く美人かな 吉崎不二夫
利根流域美女群浴に出会う 金子兜太 詩經國風
裏富士やかかる里にも美人草 不白「不白翁句集」
流星の果てなる鸚鵡小町かな 黒田杏子
両の手にうちは遣ふや小傾城 蓼太「蓼太句集初編」
瑠璃鳴きて靄の晴れゆく美女平 朝妻 力
麗人の立居が透ける青簾 秋山青潮(鉾)
麗人をいざなふ僕の白手袋 筑紫磐井 婆伽梵
簾(みす)に入りて美人に馴るゝ燕かな 服部嵐雪
簾に入て美人に馴る燕かな 服部嵐雪
簾に入りて美人に馴るる燕かな 嵐雪
蓮の骨哀は美女の屍哉 服部嵐雪
蓮の骨哀れは美女の屍かな 服部嵐雪
露の川小野小町の山を出づ 八木林之介 青霞集
辨天や蛙の干物おもしろき 尾崎紅葉
曼珠沙華喜寿と思へぬ美女ばかり 永瀬千枝子
囀りや苔盛り上がる小町塚 巽恵津子
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ たかし
涅槃会に佳人のまじる日の翳り 桂信子 遠い橋
筍や目黒の美人ありやなし 子規
絨毯の美女とばらの絵ひるまず踏む 柴田白葉女
芍薬のくづれ艶めく小町塚 高橋一経
菫咲川をとび越す美人哉 一茶
蟷螂や見返り美人さながらに 藤脇美樹
踵まで浴衣美人でありにけり 山田弘子 懐
鞆の津のささやき橋に小町草 高橋六一
鵙なくや笑ひけうとき小傾城 素丸
黴の香の弁天窟に百の燭 宮内とし子(沖)
鼈甲を磨く老眼小町の忌 中野青雁

別嬪 補遺

*はまなすのたとへば夜の黒眸美女(マラゲーニア) 佐藤鬼房
あかゞりや傾城老いて上根岸 正岡子規 皸
いつの世も美男美女よし菊人形 右城暮石 虻峠
うすものに堪へざる美女の立居かな 正岡子規 羅
うそ寒き暗夜美人に逢着す 正岡子規 うそ寒
うそ寒の誠を泣くや小傾城 正岡子規 うそ寒
お守りの辨天賣て肌寒し 正岡子規 肌寒
かの佳人ならむ枯山生野糞 佐藤鬼房
きぶし群落美女韆浴は乳房見せぬ 金子兜太
クインメリー麗人を求む年の暮 山口青邨
ゴルフアーの佳人の自動車春泥を 日野草城
その青年のもの美女の顔平手打ち 三橋敏雄
その夕べ京にをりたる小町の忌 森澄雄
だが秋田美人に逢へずきりたんぽ 鷹羽狩行
ひこばえや絵図の小町をたづね得ず 角川源義
ひた寒し萎えし垂乳の小町みて 能村登四郎
ぶをとこも美人も出たる小春哉 正岡子規 小春
ものうしや傾城をまつ蚊帳の中 正岡子規 蚊帳
わが庭のにぎやか秋田美人の蕗の薹 山口青邨
衣更へて美人はいつも美人かな 星野立子
一景は熔岩を野積みに小町草 上田五千石『風景』補遺
姥等とよ小町がはてをこれ見よや 正岡子規 姥等
駅家去る車塵 磧に美女残し 伊丹三樹彦
遠目にも茶摘畑の祖谷美人 鷹羽狩行
襖絵の美女に囲まれ寝正月 鷹羽狩行
黄鳥きて美女群浴の死せしや 金子兜太
牡丹栽て美人土かふ春の風 正岡子規 春風
牡丹咲て美人の鼾聞えけり 正岡子規 牡丹
佳人に会へり途上黄落ただならず 古郷
佳人もたらせし木犀の香に睡る 伊丹三樹彦
佳人花の如し我衣破れたり 正岡子規 花
夏に籠る傾城もあり百日紅 正岡子規 百日紅
夏山の記憶の中の一佳人 高野素十
夏草や嵯峨に美人の墓多し 正岡子規 夏草
歌留多の絵小町は老いずありにけり 後藤夜半 底紅
火盗りとてかぐはしき蛾眉もたらせり 上田五千石 琥珀
花の山浮世画の美人来る哉 正岡子規 花
花合歓に蛾眉なが~し午後三時川端茅舎
花晴れて佳人の眼鏡度の強き 日野草城
花南瓜*つつの美女には会へずとも 後藤比奈夫
花薄こゝも小町のふしど哉 正岡子規 薄
蚊帳ツラデ畫美人見ユル夜寒カナ 正岡子規 夜寒
海棠に鼾の細き美人哉 正岡子規 海棠
外梯子降りる一佳人花衣 山口青邨
蛙田に尼の通ひ路小町寺 高野素十
茅花さく家を傾城のなれのはて 正岡子規 茅花
寒梅や抜け弁天の土日向 上田五千石『琥珀』補遺
寒美人嬋娟として尿意あり 日野草城
汗くさしうしろ向たる小傾城 正岡子規 汗
亀鳴くを待てず弁天池を去る 鷹羽狩行
菊人形源氏も美男美女ばかり 右城暮石 句集外 昭和五十四年
菊人形小町世にふる眺めして 百合山羽公 樂土
鏡餅弁天池の石となれ 阿波野青畝
業平も小町もをりぬ花の稚児 伊藤白潮
金屏風傾城こもる秋の暮 正岡子規 秋の暮
傾城が筆のすさひや燕子花 正岡子規 杜若
傾城と千鳥聞く夜の寒さ哉 正岡子規 千鳥
傾城にあふがれて居る団哉 正岡子規 団扇
傾城にいつわりのなき熱さ哉 正岡子規 暑
傾城にとへども知らず紅の花 正岡子規 紅花
傾城にとりかくされし扇哉 正岡子規 扇
傾城にふられてひとりすゞみ哉 正岡子規 納涼
傾城にまことありけり秋のくれ 正岡子規 秋の暮
傾城にものかゝれたる扇哉 正岡子規 扇
傾城に可愛がらるゝ暑さ哉 正岡子規 暑
傾城に歌よむはなしけふの月 正岡子規 今日の月
傾城に起請の外の夏書哉 正岡子規 夏書
傾城に死んで見せけり火取虫 正岡子規 火取虫
傾城に袖引かれたる夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城に電話をかけん秋のくれ 正岡子規 秋の暮
傾城に問へども知らず秋の風 正岡子規 秋風
傾城に約束のあり酉の市 正岡子規 酉の市
傾城のうそも上手にさよしくれ 正岡子規 時雨
傾城のうらやまれけり蝸牛 正岡子規 蝸牛
傾城のお白粉はげて朝桜 正岡子規 朝桜
傾城のなるゝ柱も一夜鮓 正岡子規 鮓
傾城のぬけがらに寐る夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城のぬけ殻に蚤のはねる哉 正岡子規 蚤
傾城のひとり寐ねたる寒さかな 正岡子規 寒さ
傾城の噂を語れ納豆汁 正岡子規 納豆汁
傾城の花に泣く夜となりにけり 正岡子規 花
傾城の海を見て居る夕涼み 正岡子規 納涼
傾城の海を背にする夜寒哉 正岡子規 夜寒
傾城の外はしくるゝとも知らず 正岡子規 時雨
傾城の噛み砕きけり夏氷 正岡子規 夏氷
傾城の顔にあてたる団扇哉 正岡子規 団扇
傾城の古郷遠し京の春 正岡子規 初春
傾城の故郷や思ふ柏餅 正岡子規 柏餅
傾城の悟り顔なり蓮の花 正岡子規 蓮の花
傾城の在所をきけば藪蚊哉 正岡子規 蚊
傾城の罪をつくるや紅の花 正岡子規 紅花
傾城の姿あらはす蚊遣哉 正岡子規 蚊遣
傾城の耳たぶ広しほとゝきす 正岡子規 時鳥
傾城の汐干見て居る二階哉 正岡子規 汐干狩
傾城の鹿呼ぶ奈良の夕淋し 正岡子規 鹿
傾城の手つからくへる蚊遣哉 正岡子規 蚊遣
傾城の重ね着苦し汗の玉 正岡子規 汗
傾城の出しぬかれたる師走哉 正岡子規 師走
傾城の寝顔にあつしほつれ髪 正岡子規 暑
傾城の息酒くさし夕桜 正岡子規 夕桜
傾城の足音更ける火鉢哉 正岡子規 火鉢
傾城の団扇に這はす蛍哉 正岡子規 蛍
傾城の昼寝はあつし金屏風 正岡子規 昼寝
傾城の燈籠のぞくや寶巖寺 正岡子規 燈籠
傾城の瓶にしぼみし牡丹哉 正岡子規 牡丹
傾城の腹をひやさん氷餅 正岡子規 氷餅
傾城の文とゝきけり五月雨 正岡子規 五月雨
傾城の文にも春を惜むかな 正岡子規 春惜しむ
傾城の文反古まじる紙帳哉 正岡子規 紙帳
傾城の夢に殿御の照射哉 正岡子規 照射
傾城の娘もちける鵜匠哉 正岡子規 鵜匠
傾城の名をつけて見ん竹婦人 正岡子規 竹婦人
傾城の紋は何紋衣配り 正岡子規 衣配
傾城の門まで出たり凧 正岡子規 凧
傾城の猶うつくしき燈籠哉 正岡子規 燈籠
傾城の涙煮えけり玉子酒 正岡子規 玉子酒
傾城の咄ときるゝ夜長かな 正岡子規 夜長
傾城の泪にやれし紙衣かな 正岡子規 紙衣
傾城の菫は痩せて鉢の中 正岡子規 菫
傾城の裲襠着て見つ春の雨 正岡子規 春の雨
傾城の顏見て過ぬ酉の市 正岡子規 酉の市
傾城の鼾おそろしほとゝきす 正岡子規 時鳥
傾城はうしろ姿の寒さ哉 正岡子規 寒さ
傾城はなれてよく寐る鹿の聲 正岡子規 鹿
傾城は格子の内や夏の月 正岡子規 夏の月
傾城は五階の上の霞哉 正岡子規 霞
傾城は誠にあつき者なりけり 正岡子規 暑
傾城は痩せて小さき蒲團哉 正岡子規 蒲団
傾城は知らじ三夜さのむら時雨 正岡子規 時雨
傾城は屏風の萩に旅寐哉 正岡子規 萩
傾城も居らず蝶飛ぶ仲の町 正岡子規 蝶
傾城も石になりたる夏野哉 正岡子規 夏野
傾城も南瓜の畑で生れけり 正岡子規 南瓜
傾城も猫もそろふて雜煮哉 正岡子規 雑煮
傾城も娘めきたり青簾 正岡子規 青簾
傾城やしくれふるとも知らで寐る 正岡子規 時雨
傾城や格子にすがる籠の虫 正岡子規 虫
傾城や客に買はれて夕涼み 正岡子規 納涼
傾城や年よりそむる五月雨 正岡子規 五月雨
傾城をかむろとりまく粽哉 正岡子規 粽
傾城をよぶ声夏の夜は明けぬ 正岡子規 夏の夜
傾城を見たる師走の温泉かな 正岡子規 師走
傾城を舟へ呼ぶ夜の寒さかな 正岡子規 寒さ
傾城を買ひに往く夜や鮟鱇鍋 正岡子規 鮟鱇
傾城曰く歸らしやんすか此雪に 正岡子規 雪
月が出て美女群浴の白照す 金子兜太
見まゐらす寝釈迦あはれ蛾眉御若き 山口青邨
遣羽子に負けし美人の怒哉 正岡子規 遣羽根
古里や秋に痩せたる小傾城 正岡子規 秋
枯野行く美人をしばし眺めたり 永田耕衣
五月雨や傾城のぞく物の本 正岡子規 五月雨
行かんとして雁飛び戻る美人哉 正岡子規 帰雁
行く鳥や傾城国に帰る船 正岡子規 鳥帰る
行水や美人住みける裏長屋 正岡子規 行水
香煙の美人にもならず年暮れぬ 正岡子規 年の暮
高殿に美人佇む柳かな 正岡子規 柳
此里に美女二人あり桃の花 正岡子規 桃の花
三彩の唐の美女見し牡丹かな 森澄雄
三椀の雜煮喰ひぬ小傾城 正岡子規 雑煮
傘さして傾城なぶる春の雨 正岡子規 春の雨
残雪や小町の母郷は雨けぶる 角川源義
師走能かぞへて老女小町もの 能村登四郎
紫陽花や舌を見せたる小傾城 正岡子規 紫陽花
七小町二つは知らず朧にて 能村登四郎
七夕に草履を貸すや小傾城 正岡子規 七夕
七夕や弁天さまに水かよひ 上田五千石『天路』補遺
七夕を寝てしまひけり小傾城 内藤鳴雪
朱兀げて辨天堂の月見哉 正岡子規 月見
酒の名は山陰美人花三分 山口青邨
樹下美人ならばと梅の咲く下に 津田清子
秋陰に常百歳の小町かな 阿波野青畝
秋近し七夕恋ふる小傾城 正岡子規 秋近し
秋風や傾城町の晝下り 正岡子規 秋風
秋風や小野の小町の笑ひ聲 正岡子規 秋風
秋満つ寺蝶の行方に黒衣美女 西東三鬼
終ひ弁天暗きに咳をこぼしけり 安住敦
襲着の佳人に冬の泉鳴る 佐藤鬼房
出戻りの美人の散歩麦の秋 日野草城
春の夜のともし消ちたり小傾城 正岡子規 春の夜
春の夜や傾城町の電気燈 正岡子規 春の夜
春の夜や傾城買ひに小提灯 正岡子規 春の夜
春の夜や見知顔する小傾城 正岡子規 春の夜
春駒や美人もすなる物貰ひ 内藤鳴雪
春宵の美酒とは美人注げばこそ 鷹羽狩行
春憂う美女群浴の交交(こもごも) 金子兜太
春筍が二つ佳人は来ぬものか 星野麥丘人 2001年
女王花ただちに卒塔婆小町かな 阿波野青畝
小傾城蚊遣に顔をそむけゝり 正岡子規 蚊遣
小傾城蕣の君と申しけり 正岡子規 朝顔
小町忌やうつくしき人ら歌合 山口青邨
小町忌や八重山吹も散りにけり 山口青邨
小町忌や北斎ゑがく七小町 山口青邨
小町草花壇に盛りすぎにけり 高野素十
小町像遅日垂乳の先の朱 飯島晴子
小町足袋覆いて演ずる役のこと 後藤比奈夫
身受けせし傾城くやし衣かへ 正岡子規 更衣
刃のごとき涼気佳人とすれ違ひ 鷹羽狩行
水汲みの美女現れよ靫草 佐藤鬼房
水馬辨天堂は荒れにけり 川端茅舎
水無月の傾城並ぶ格子かな 正岡子規 水無月
翠簾ごしの美人の顔や朧月 正岡子規 朧月
世に古りて小町草とは呼ばれけり 後藤比奈夫
青梅や傾城老いて洗ひもの 正岡子規 青梅
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し 松村蒼石 雁
川ゆたか美女を落第せしめむか 平畑静塔
川岸に二番芽の*たら佳人亡し 佐藤鬼房
銭洗ひ来し弁天の青葉冷え 鷹羽狩行
早乙女のむかしを語れ小傾城 正岡子規 早乙女
早乙女や小町の墓のこと知らず 阿波野青畝
草刈女小野小町は好きならず 後藤比奈夫
待宵の姿にうしろ向き小町 能村登四郎
大津絵やかすむ湖水の七小町 河東碧梧桐
短夜やわりなくなじむ小傾城 正岡子規 短夜
茶の花の思うツボなる美人哉 永田耕衣
昼顔に傾城眠きさかり哉 正岡子規 昼顔
虫干や傾城の文親の文 正岡子規 土用干
朝がほや梦の美人の消え處 正岡子規 朝顔
朝顔に傾城だちの鼾かな 正岡子規 朝顔
朝顔や傾城町のうら通り 正岡子規 朝顔
朝顔や夢裡の美人は消えて行く 正岡子規 朝顔
朝顏に傾城眠きさかり哉 正岡子規 朝顔
朝顏の垣根荒れたり小傾城 正岡子規 朝顔
長き夜や古傾城のささめ言 正岡子規 夜長
鳥雲に美人うごけばわれ動く 三橋敏雄
椿饐ゑ百歳の小町祀りけり 能村登四郎
摘むや薺小町の墓を二めぐり 内藤鳴雪
都踊り美女嬋娟を競ひけり 古郷
冬ぬくし獣肉をむさぼり啖ふ美人 日野草城
冬扇シテの美女出て国なまり 角川源義
嶋の雪辨天堂の破風赤し 正岡子規 雪
桃色は弁天様のはちすかな 正岡子規 蓮の花
踏青や美人群れたる水の隈 正岡子規 青き踏む
日のテラス雪嶺へ展べ佳人亡し 木村蕪城 寒泉
年経たる小町のにほひ蓬原 鷲谷七菜子 天鼓
年箭して小面は美女と思ふ 阿波野青畝
破れ扇これも小町かなれのはて 正岡子規 捨扇
破れ扇小町かはてを見付たり 正岡子規 捨扇
梅雨ふるや美女は採用せず帰す 古郷
梅白し佳人のひと世をろがみぬ 藤田湘子 てんてん
萩薄小町が笠は破れけり 正岡子規 萩
萩薄小町が笠は破れたり 正岡子規 萩
白足袋の 小町で老いて 葛の花 伊丹三樹彦
微笑、美女、槍の貫きし箱を出でて立つ 荻原井泉水
美女の手に狩られて鮎の錆きはやか 上田五千石『琥珀』補遺
美女の深情のありて近松忌 鷹羽狩行
美女去りしその墓にわれも詣でけり 古郷
美女更に美女涅槃哭く顔ゆがめ 山口誓子
美女立テリ秋海棠ノ如キカナ 正岡子規 秋海棠
美女蹌踉の絵とあり白蓮の西安 金子兜太
美人の図無銘にして艶昼寝覚 山口青邨
美男美女に異常乾燥期の園 西東三鬼
鼻をするどく 刻んで 美女生むカメオ職人 伊丹三樹彦
百歳の小町の像の冷まじき 高野素十
芙蓉咲き見えぬ月見えぬ蛾眉山 金子兜太
米飾る米にも小町.ひとめぼれ 鷹羽狩行
弁天のうしろ姿は柳かな 正岡子規 柳
弁天のおん旅支度かいまみし 山口青邨
弁天の参詣絶えぬ桜かな 正岡子規 桜
弁天の山茶花折つて挿す句会 山口青邨
弁天の石橋低し蓮の花 正岡子規 蓮の花
弁天の奏で給ふ琵琶鴨送る 山口青邨
弁天の池にぎやかに鴨涼し 山口青邨
弁天の竹生に見たる石蕗の花 森澄雄
弁天の楼門赤き桜哉 正岡子規 桜
弁天の鰐口が鳴る浮寝鳥 山口青邨
弁天の已年美し町の春 内藤鳴雪
弁天や江戸へ流るゝ春の水 正岡子規 春の水
弁天をとりまく柳桜かな 正岡子規 柳
飽食の美人わらへり寒潮に 日野草城
鉾粽京美人の前に落下せり 古郷
柾を葺く仮宮かなし小町草 富安風生
末枯の中なる屏風七小町 能村登四郎
夢にたつかの薩摩美女牡丹の芽 佐藤鬼房
夢に美人来れり曰く梅の精と 正岡子規 梅
名月や美人の顏の片あかり 正岡子規 名月
夜の雪辻堂に寐て美女を夢む 正岡子規 雪
夕顔ノ垣根覗キソ美人禅 正岡子規 夕顔
夕立に看板の美女抱き入るる 右城暮石 上下
夕立や簀戸に押されし小傾城 正岡子規 夕立
葉桜や傾城しらぬ夏の景 正岡子規 葉桜
落花にて白し小町の屋敷跡 山口誓子
落花無し小町の深き化粧井に 山口誓子
蘭の香や佳人髣髴として來る 正岡子規 蘭
利根流域美女群浴に出会う 金子兜太
梨花白し此頃美女を見る小家 正岡子規 梨の花
凌霄やからまる縁の小傾城 正岡子規 凌霄花
冷えそそり歯剥く笑ひの老小町 能村登四郎
蓮の題即ち飾る支那美人 山口青邨
蓮枯て辨天堂の破風赤し 正岡子規 枯蓮
老いし小町に花冷の燭虹なせり 能村登四郎
嬌羞や団扇を洩れて蛾眉二つ 日野草城
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ 松本たかし
晝中の傾城寐たるこたつ哉 正岡子規 炬燵
稻妻や闇に美人の笑ひ聲 正岡子規 稲妻
筍や目黒の美人ありやなし 正岡子規 筍
蓼科を美人に譬へ避暑日記 阿波野青畝
蕣やきのふ死んだる小傾城 正岡子規 朝顔
薔薇一枝美人の胸にしぼみけり 正岡子規 薔薇
遽かの暑美人の汗に眼をとどむ 日野草城
錢湯を出づる美人や松の内 正岡子規 松の内
鶯や京へ売らるゝ小傾城 正岡子規 鶯

別嬪 続補遺

いざゝくら小町が姉の名はしらず 其角
いなづまやどの傾城とかり枕 去来
かはず乗る経木は卒都婆小町なり 木導
かまくらの小町米町秋のくれ 白雪
けし垣の内や硯の小町形 万里女
けふの月小町が哥のうへを行 小西来山
すゝ掃や是も小町が古足駄 存義 古来庵発句集
つく~と小町が姉や冬籠 白雪
なでしこや美人手づから灌ぬる 黒柳召波
はつ雪やこゝろあてある小傾城 存義 古来庵発句集
はるかぜにおさるゝ美女のいかりかな 曉台
ふたり寐は汐干の岩も小町哉 土芳
ほし逢や心の友は伊勢小町 曉台
れき~の小町のはてや茶つみ哥 許六
衣うつよ田舎の果の小傾城 高井几董
衣張の指図まばゆし美人草 中川乙由
稲遠く傾城涼む夜明かな 泥足
稲妻の皃ひく窓の美人哉 露印
姥ふえてしかも美女なし年忘 其角
永き日や雨に物干す小傾城 晋阿 江都近在所名集
炎天に美人の皃の定りぬ 望月宋屋
花火尽きて美人は酒に身投げけむ 高井几董
花火尽て美人は酒に身投けむ 高井几董
花手折美人縛らん春ひと夜 高井几董
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 山口素堂
芥子痩てたゞ中~に美人草 路通
寒しとは小町が嘘よほとゝぎす 高井几董
寒声の恨むが如し小傾城 吐月 発句類聚
関寺の月や小町にほえん犬 旦藁
帰花桃李の美人覚束な 黒柳召波
鬼ゆりもやは傾城の敵役 沾圃
橘やむかし小町が袖の露 除風
桐の花局に悩む美人あり 三宅嘯山
金くるゝ小町が手より花の春 支考
傾城と腰掛て見む秋の暮 晩得 哲阿弥句藻
傾城にさりとてはなきあふぎかな 貞佐 桑々畔発句集
傾城に喰つかれたるあはせ哉 程已
傾城に枯て見せたる柳かな 田川鳳朗
傾城に菎蒻くはす彼岸哉 高井几董
傾城のかはゆがりけり団売 木導
傾城のきらつく秋の夕かな 紫道
傾城のその足わたせ天河 中川乙由
傾城のたまりしあとを蛙かな 晩得 哲阿弥句藻
傾城のつめ共にがしふきのとう 吾仲
傾城の塩梅淡し後夜の蠣 午心 発句類聚
傾城の夏書やさしや仮の宿 其角
傾城の楽屋おそろし蕃椒 蓼太 蓼太句集初編
傾城の汗臭くなるをどり哉 木導
傾城の賢なるは此柳かな 其角 五元集
傾城の賢なるは此柳哉 其角
傾城の市にかくれて頭巾かな 蓼太 蓼太句集初編
傾城の小哥はかなし九月尽 其角
傾城の生れがはりか猫の妻 木導
傾城の膳をあづかる月夜かな 吾仲
傾城の知た顔なり更衣 中川乙由
傾城の昼寐はいたく雉子かな 支考
傾城の拝んで笑ふ涅槃哉 松岡青蘿
傾城の畠見たがるすみれかな 岩田涼菟
傾城の比丘尼老ぬる紙子かな 三宅嘯山
傾城の負れて行や藤の花 木導
傾城の服紗捌きや大晦日 抱一 軽挙観句藻
傾城の母親おもふ霜夜かな 許六
傾城の枕ふみてや菊つくり 蓼太 蓼太句集初編
傾城や傾城を見る夕涼 百里
傾城を干か二階の桜華 凉菟
傾城を紅葉と照や後の月 吾仲
故人に落馬なさせそ美人草 魯九
枯芦に傾城町の夕日かな 百里
枯尾花醜き小町臥りけり 高井几董
行としや古傾城のはしり書 高井几董
行年や老を誉たる小町の絵 園女
腰かけて浅き水ふむ美人かな 東皐
桜~散つて佳人の夢に入る 上田無腸
桜ちる小野の小町も茶の木原 句空
桜影かなし世の風美女が幽霊か 井原西鶴
三筋ほど葱喰美女のひそみ哉 三宅嘯山
山はえむ上野東の美人ならん 椎本才麿
捨笠は小町が塚かすみれ草 千那
捨笠は小町が塚か菫草 角上
終年や美人に似たるすみだ川 蓼太 蓼太句集三編
十六は美人の図なり月の色 支考
出代や小野の小町も衣装がら 木導
書出しに小町が返事なかりけり 黒柳召波
小傾城行てなぶらんとしの昏 其角 五元集
小傾城行てなぶらん年の暮 其角
小傾城是見てをけよ茶引草 馬場存義
小宿には傾城をらずきくのはな 桜井梅室
松むしよ美人の袖に落て死子 松岡青蘿
笑ふ時美人消へけり水仙華 越人
象潟の冬は美人の墨絵にて 望月宋屋
色~の田うへ出立や七小町 露川
吹かへす萩や小町が歌のさま 諷竹
吹て着る美人の息や綿帽子 三宅嘯山
水仙を小町が哥の姿かな 十丈
石竹やづらりと並ぶ小傾城 毛〔ガン〕
積雪や紅粉吹かけし小傾城 曉台
雪の花ひろくうつろふ小町かな 舎羅
草花の果は野水に小町哉 白雪
袋には小野小町がいのこ哉 尚白
大かたは美女なりけらし月のまヘ 曉台
虫の音や美人の涙いきかはり 曉台
虫ばむと朽木の小町ほされけり 其角
唐秬の美人こそあれ西の方 朱拙
桃の日や蟹は美人に笑るゝ 嵐雪
廿とせの小町が眉に落花かな 高井几董
乳母ふへてしかも美女なし年忘 其角 五元集
梅花美人来れり漸二更 黒柳召波
白芥子の美人かくるゝ草の庵 松岡青蘿
美女にちれば愚かにうらむ桜狩 井原西鶴
美女美男灯籠にてらす迷哉 其角
美人草散つた処が芥子坊主 桃後
美人老て疎影の痩を水鏡 椎本才麿
筆始今の美人は誰~ぞ 木因
富士詣傾城の名も懺悔せん 琴風
壁つゞる傾城町やくれのあき 炭太祇
弁天は見いでも今朝の水鏡 木節
埋火や傾城ふたり夜ぞ更くる 人左 新類題発句集
野を焼や小町が髑髏不言 高井几董
梨花一枝傾城の名に汚れたり 尚白
両の手にうちわ遣ふや小傾城 蓼太 蓼太句集初編
簾に入て美人に馴る燕かな 嵐雪
簾に入りて美人に馴るゝ燕かな 嵐雪 玄峰集
簾上て美人の夢や泉どの 三宅嘯山
蓮の骨哀れは美女の屍かな 嵐雪
蓮采や美人の手にも水馴棹 三宅嘯山
嘸小町我も因果の姥ざくら 智月尼
朧月小町が哥の風情あり 三宅嘯山
蕣はつよし小町がなれのはて りん女
蕣や傾城買ひの溜る金 越人
鵙なくや笑ひけうとき小傾城 素丸 素丸発句集

以上

by 575fudemakase | 2018-09-28 06:57 | 無季 | Trackback | Comments(0)

江ノ島 の俳句

江ノ島 の俳句

江ノ島

あたたかに江の島電車めぐりくる 永井龍男
ラムネ飲む江ノ島青く傾ぎおり 大給圭泉
一島を母として翔ぶ冬の鳶(江の島) 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
卯波高し七里ヶ浜も江の島も 星野 椿
海光の江の島山や初詣 不破 博
岩鼻まで江の島あるき栄螺焼く 和知喜八
去年今年江ノ島の波瞼にす 渡辺桂子
橋広く渡る江の島海ほおずき 諏訪あき与
江の島が鯨に見ゆる冬霞 宮脇白夜
江の島が大きく見ゆる冬の海 咲樹一樹
江ノ島と富士のあひだに蒲団干す 大森春子
江の島にどつかと雲やお元日 横山節子
江の島に太鼓とどろく七五三 阿部悦子
江の島に朝寒の旭のあたりけり 西山泊雲
江の島に遊ぶ支度や夏羽織 夏羽織 正岡子規
江の島のせばき渚や後の月 松本たかし
江の島のせりあがるまで百千鳥 猿田咲子
江ノ島のやや遠のける九月かな 中原道夫
江ノ島の栄螺焼く香や汀まで 吉田 米
江の島の往来せまし蝉しぐれ 増田龍雨 龍雨句集
江の島の海女が来て居り宮の秋 池上浩山人
江の島の外ゆく舟の日傘かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
江ノ島の橋たもとなるおでん酒 堤 靭彦
江ノ島の穴をうなるや穐の夢 服部嵐雪
江ノ島の春ふかまりし貝供養 太田昌子
江ノ島の春深まりし貝供養 太田 昌子
江ノ島の初東雲を見て返す 横山節子
江の島の茶店の春の煖炉かな 風間啓二
江の島の灯の早き鰯引く 加倉井秋を 『胡桃』
江の島の蛤分つ土産かな 蛤 正岡子規
江の島の浜見てきたり初笑ひ 辻桃子
江ノ島の風ゆるびいる焼栄螺 山中蛍火
江の島の風連れて来し貝風鈴 榎本幸一郎
江の島の焚火の中を歩みけり 山西雅子
江ノ島の模糊と浮べり年忘 水原春郎
江ノ島の裸弁天東風吹けり 高澤良一 寒暑
江の島の裏はましろの秋の波 長谷川櫂 虚空
江ノ島の浪と真白き破魔矢かな 佐野青陽人 天の川
江の島はにはかに近し秋の海 吉屋信子
江の島は海に浮んだ夏帽子 原田喜久子
江の島へ女の旅や春の風 春風 正岡子規
江ノ島も褪せゐし春の夢いづこ 石塚友二 光塵
江の島や薫風魚の新らしき 薫風 正岡子規
江ノ島や五日の磯に人のせて 星野恒彦
江の島や傘さしかけし夏肴 巣兆「寂砂子集」
江の島や傘さしかけて夏肴 巣兆
江の島や秋立つ松葉ちくちくす 辻桃子
江ノ嶋の穴をうなるや秋の夢 服部嵐雪
江の嶋ハ龜になりけりけふの月 今日の月 正岡子規
江の嶋は龜になれなれけふの月 今日の月 正岡子規
江之島の活辯天か玉椿 高澤良一 素抱
残雪やからつぽの電車江の島へ 大谷碧雲居
初凪の岩より舟に乗れといふ 茅舎 (己巳江之島詣)
雀蛤となる江の島の露店かな 辻桃子
日盛りやみな江の島へ寄せる浪 増田龍雨 龍雨句集
波のりに松の江の島うきたてる 鈴鹿野風呂 浜木綿
病む窓にのぞむ江の島けふ祭 木村蕪城 一位
柚子をもぐ江ノ島をみてゐたりしが 斉藤夏風
夕霞片瀬江の島灯り合ひ たかし
夕桜江の島の灯の見え初めぬ 星野椿
冷し瓜江の島沖に白波立つ 中拓夫
寐返れば江の島見ゆる葭戸哉 竹囲

江ノ島 補遺

江の島に遊ぶ支度や夏羽織 正岡子規 夏羽織
江の島に茫々として芒かな 河東碧梧桐
江の島の蛤分つ土産かな 正岡子規 蛤
江の島へ女の旅や春の風 正岡子規 春風
江の島へ渡りゆく人初詣 星野立子
江ノ島も褪せゐし春の夢いづこ 石塚友二 光塵
江の島や薫風魚の新らしき 正岡子規 薫風
江の嶋ハ龜になりけりけふの月 正岡子規 今日の月
江の嶋は龜になれなれけふの月 正岡子規 今日の月
病む窓にのぞむ江の島けふ祭 木村蕪城 一位
母の日の去年は相州江の島に 石塚友二 玉縄以後

江ノ島 続補遺

江の島の菜漬めづらしはるの月 寥松
江の島は湖の中なり桃の花 長翠
江の島を台にも見るや国の春 馬場存義
江ノ嶋の穴をうなるや秋の夢 嵐雪
江の嶋や傘さしかけし夏ざかな 建部巣兆

以上

by 575fudemakase | 2018-09-27 06:21 | 無季 | Trackback | Comments(0)

孤独 の俳句

孤独 の俳句

孤独

あたたかし背後はいつも孤独にて 石原八束
いくたびも鷹の孤独を放ちけり 水田光雄
えびがにを釣る受験後の孤独顔 殿村莵絲子 遠い橋
おなじ速さに円を描きてゐる鳥よかかるかたちの孤独もあらむ 谷井美恵子
おほき孤独が鮟鱇にぶら下がる 辻美奈子
かくれんぼ鬼の孤独や夕焼くる 佐土井智津子
カナリヤの孤独校長室に飼はれ 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
かりそめの孤独は愉しビール酌む 杉本零
キーパーの孤独へ流れ鰯雲 小島健
くさめして鶴の番人孤独なり 成瀬櫻桃子
くちなはの遮るもののなき孤独 吉野十夜
ことばもたぬ守衛の孤独夏草に 栗林一石路
さきがけはいつも孤独の山茱萸黄 岩岡中正
したたかに水打ち孤独なる夕 柴田白葉女
しみじみとわれの孤独を照らしをり札幌麦酒のこの一つ星 荻原裕幸
しんがりを行きて野遊び孤独もち 甲斐 とくえ
スケートの渦に乗りゐて孤独なり 黒坂紫陽子
すさまじき孤独や象の花吹雪 加藤楸邨
チューリップ原色はみな孤独なる 中村正幸
つきまとふ咳に孤独のはじまりぬ 新田充穂
とほい風の孤独に堪えて塩は白いか 金井明
ドラマーの孤独の眼鏡僕の眼鏡 鈴木六林男 桜島
ナイターの最上段にあり孤独 南雲愁子
ナイターの芝生役手こそ孤立像 河野南畦 『風の岬』
ねむりいて耳が孤独よ雪夜の父 寺田京子 日の鷹
パラソルの中を孤独と思はずや 鷲巣ふじ子
はんざきに夜来て孤独透き透る 山崎政江
ひとなかに弁当開き孤立せり 冨山としを
ひとりぼつちにはまなすの花の数 石田郷子
ひとりぼつちの泊灯ね 寒いわ お父さん 伊丹三樹彦 樹冠
ひまはりの迷路孤独は鋭利なもの 今井豊
ひろひためし栗を孤独の灯にひろげ 瀧春一 菜園
ふくろふの声ふところに孤独かな 高屋窓秋
ペンペン草孤独あつまる山羊の額 岡崎ゆき子
マーライオンの灯に寄る守宮 しかと孤独 伊丹公子 ドリアンの棘
またもとのひとりぼつちの夜釣かな 加藤 覚範
マラソンの背に負ふ孤独北風つよし 中尾みどり
ゆく秋の孤独が抱く膝がしら 高橋光子
るいるいといそぎんちやくの咲く孤独 土橋石楠花
るいるいと磯巾着の咲く孤独 土橋石楠花
葦火してしばし孤独を忘れをる 竹下しづの女
飴舐めて孤独擬や十三夜 佐藤鬼房 「何處へ」以降
粟蒔いて孤独の影をかへりみず 中村秋一
衣更孤独を隠すこと覚ゆ 森 敏子
一億年ぽっちの孤独春の雨 高野ムツオ 蟲の王
鰯雲鼻の孤独の極まるなり 加藤楸邨
雲の無く月は孤独でありにけり 粟津松彩子
雲雀仰ぐ/孤独や/山姿は/字國定 林桂 銀の蝉
雲雀野を行き一人づつひとりぼつち 行方克巳
影も又孤独となりて冬木立つ 田中 蘇水
永き日のことに孤独を愛しけり 高橋淡路女 梶の葉
永き日の銀座大路にゐて孤独 田中兼豊
泳ぎつつ水に孤独になつてゆく 粟津松彩子
炎天やひとりぼつちの父の墓 松崎あき子「貴船菊」
炎熱の日々を過ごせり氷塊のやうなる孤独地獄とともに 江畑實
遠花火ひとりぼつちにあきるまで 片山芙美子
遠足にとり囲まれて象孤独 野中亮介
黄金虫の羽根美しき孤独かな 細見綾子
黄門祭の沸点にゐて孤独かな 馬籠よ志子
乙字の忌孤独地獄といふ寒気 新谷ひろし
夏草やひとりぼつちに吾子の墓 田子鴨汀
花桐や孤独でありし少年期 吉村ひさ志
花終る春蘭のまた孤独かな 北原志満子
華やかな孤独へ太古からの舌 松本恭子 二つのレモン 以後
華やかに咲いても孤独アマリリス 川口咲子
芽柳の孤独の淵に心欲る 高澤晶子
蟹孤独炎ゆる砂どち歌へるに 川口重美
外套の肩の断崖孤独かな 不破博
街の灯や岩の孤独はひとに告げず 石橋辰之助
蛙の子飼つて孤独の性子にも 安住敦
蛙鳴く孤独を耐へてゐる夜も 雨宮抱星
柿冷ゆる重みよ孤独なる手相 品川鈴子
寒晴や釘は一本づつ孤独 奥坂まや
寒地獄孤独なるとき笑ひけり 小林康治
寒釣の孤独まさぐる糸長し 斉藤満子
寒梅の孤独と言へぬ花の数 江口竹亭
寒夜孤独反古だまうごきつゝ燃ゆる 川口重美
館孤独梅雨晴雀戸に来ても 下村ひろし 西陲集
眼帯の朝来て原子炉孤独なり 宮川としを
岩頭の孤独な恋ぞ鵜のもてり 田原俊夫
亀の子の買はれて乾く孤独な背 乾鉄片子
蟻地獄孤独地獄のつゞきけり 橋本多佳子
蟻地獄孤独地獄のつづきけり 橋本多佳子「紅絲」
掬はれて金魚の孤独始まれり 森高たかし
吉良常と名づけし鶏は孤独らし 穴井太
玉葱の厨に芽吹く孤独かな 野崎宮子
桐の実の孤独へ風の音乾く 古市絵未
金魚も孤独気泡を一つまた一つ 三谷昭 獣身
熊穴に入るや孤独の風の音 中谷真風
群なして孤立無援の曼珠沙華 吉田静子
群れてゐて一花の孤独曼珠沙華 上原白水
群像のいづれも孤立夏館 鍵和田[ゆう]子 未来図
畦塗つて峡に孤独の田となせり 宮津昭彦
茎立や子なき夫婦の相孤独 西本一都
犬ふぐり一ぱい咲いてゐる孤独 加倉井秋を
元旦の孤独を映画館にもまれ 藤木清子
元日の孤独を映画館にもまれ 藤木清子
孤独かと問はる湯治の甲斐の春 及川 貞
孤独このとき夕顔が咲きました 清水径子
孤独とは息らふためか風の中われと駝鳥は柵をへだてて 小中英之
孤独なやつさ茅の焚火をでかくして 細谷源二
孤独なり冬木にひしととりまかれ 木下夕爾
孤独なるブロンズに夜の雪積り 山本歩禅
孤独なる姿惜しみて吊し経し塩鮭も今日ひきおろすかな 宮柊二
孤独なれば浮草浮くを見にいづる 細見綾子
孤独にも仲間は在りし帰り花 平林 良
孤独の勝利黒き秋衣に躯をつつめば 内藤吐天 鳴海抄
孤独よろしみそさゞえ更らに遠くのみそさゞえ 安斎櫻[カイ]子
孤独育つ古りて銘なき夏茶碗 殿村菟絲子
孤独三人豆撒くときの心寄る 殿村菟絲子
孤独参上むしっては食べる絹糸草 岸本マチ子
孤独汝枯野の丘に今日も見つ 中尾白雨 中尾白雨句集
孤独無限あざらし温む水くぐり 稲垣きくの 牡 丹
孤立して秋の火を焚く石の上 椎橋清翠
孤立せる老鶏頭を一瞥す 相生垣瓜人 明治草抄
枯れるものすべて孤独となりにけり 大竹喜代子
枯れる滝女教師喋らねば孤独 河合凱夫 飛礫
枯草の大孤独居士ここに居る 永田耕衣
枯草の大孤独居士此処に居る 永田耕衣
枯雄羊歯からから孤独の音こぼす 加藤房子
胡桃の実カサと割りつつ酒を飲む夫の孤独の縁にわが座す 平林静代
五月祭の汗の青年病むわれは火のごとき孤独もちてへだたる 塚本邦雄
耕耘機畦の黄菊を孤独にす 津村青岬 『南紀』
妻がゐて子がゐて孤独いわし雲 安住 敦
雑炊や猫に孤独といふものなし 三鬼
雑踏の中の孤独や春愁い 井上かつ枝
三羽いて 三羽の孤独 汐木の鳶 伊丹三樹彦 樹冠
傘で指すボタ山するどく孤立して 穴井太 穴井太集
散るさくら孤独はいまにはじまらず 桂 信子
四葩淡し個が孤立して己れなる 河野多希女 こころの鷹
詩は孤独風向き変へて野火走る 中村明子
七夕や孤独をしらずして老ゆる 池上不二子
煮大根を煮かへす孤独地獄なれ 久保田万太郎
煮大根煮かへす孤独地獄なれ 久保田万太郎
謝肉祭の肺(ルンゲ)の孤独海に染まず 石原八束 『雪稜線』
灼くる宙に眼ひらき麒麟孤独なり 中島斌男
手入れよき庭が鈴蘭孤独にす 稲畑汀子
種子島鳴つて孤独・熊腑抜けたり 筑紫磐井 婆伽梵
秋の日や凭るべきものにわが孤独 木下夕爾
秋汐に泳ぐ孤独の男あり 鈴木真砂女 夕螢
秋風の吹き抜く孤独地獄の底 小林康治
終戦日孤独の風呂を溢れさす 雨宮抱星
俊寛孤独のごとき蓬髪藪拓く 加藤知世子 花寂び
春の草孤独がわれを鍛へしよ 藤田湘子 てんてん
春愁や孤りと孤独とは違ふ 田畑美穂女
春燈のもと愕然と孤独なる 桂 信子
春嶺の気流に孤独の鳶乗れり 渡邊日亜木
初庚申長蛇の列にゐて孤独 山本美智子
初紅葉なる一本の木の孤独 今橋眞理子
除草機押すひとりびとりの孤独境 伊丹三樹彦 人中
小春日を跳んでも跳んでも孤独です 上村益穂
少年の孤独捕へし蟻地獄 清水節子
少年早や魚割く孤独野分充つ 楠本憲吉
松過ぎて個室の孤独始まれり 朝倉和江
消灯は孤独の一つ虫しぐれ 桂樟蹊子
鉦叩たゝきて孤独地獄かな 安住 敦
常高き麒麟の孤独花吹雪 恩田野生
色鳥がひとりぼつちの妻に来る 細川加賀
真清水に口痺らして孤独癖 内藤吐天 鳴海抄
真青なる孤独に乗りぬハングライダー 水野良明
身を吊る巌流汗冷ゆるとき孤独 小松崎爽青
辛夷ついに開く孤立に堪えられず 田邊香代子
人去りて孤独に戻る座禅草 八木澤高原
人込みを抜けて孤独や*きりぎりす 佐藤栄一
甚平の肩怒らせて孤独なる 堀内一子
水着着て身軽く出でて孤独なり 倉橋羊村
棲むものの孤独月牙の泉あり 稲畑汀子
逝く年の孤独大手を振つて通る 山田みづえ
青蜥蜴孤独ならずよ交ひ落つ 稲垣きくの 牡 丹
赤とんぼこんな孤独な世があろうか 細谷源二
赤もまた孤独なりけり寒椿 和田律子
赤鬼と孤独分けあふ春の月 斎藤光子
節分の火の粉を散らす孤独の手 鈴木六林男
雪やなぎ母に孤独の刻多し 田中灯京
雪礫うちし孤独のかへりけり 小林康治 玄霜
蝉のごとあをあをとゐて孤独なり 栗林千津
蝉生る孤独の殻を脱ぎすてて 渡辺寛子
仙人掌の花の孤独を持ち帰る 上田日差子
船火事は孤独の業火妻に見す たむらちせい
善丁また孤独の冬に入りにけり 下村ひろし
草の花孤独は天に蝶ふゆる 窓秋
足組むも孤独のかたち落葉ふる 米岡幸子
足袋外套脱ぎ散らさでや孤独慣れ 石塚友二 方寸虚実
太宰の夏孤独は湖へ置いて来し 河野南畦 湖の森
太陽に埋れてやぬくき孤独かな 永田耕衣 陸沈考
太陽は孤独でありし草の花 澤井我来
台風の眼に入る街の孤独かな 加藤はま子
大都市を孤独に歩くサングラス 山田弘子 螢川
滝の大音響吾を孤立さす 津田清子 礼 拝
瀧の大音響吾を孤立さす 津田清子
茸山の茸の孤独に囲まるる 三谷 昭
炭焼きは孤立無援に煙あぐ 末近国成
団栗にうたれし孤独地獄かな 藤田湘子
暖かな孤立ありけり試着室 隈元拓夫
男と女海の孤独を泳ぎぬけ 三谷昭 獣身
地下街の柱の孤独去年今年 戸板幽詩
地虫こそ自我の孤独の声放つ 殿村 莵絲子
蜘蛛の囲は蜘蛛の孤独の広さとも 長山あや
着飾りて磯巾着の孤独かな 市野川豊昭
昼は疲れ夜は孤独な田掻牛 中山純子
虫の闇大黒柱孤独なり 澁谷道
虫鳴けば孤独も詩の肥しかな 富田潮児
張り終へし大蜘蛛の巣の蜘蛛孤独 後藤 寿美
帝王の孤独のやうに月あがる 地平に眠る雲を照らして 高島裕
天が下孤独に堪へて種蒔ける 小林鹿郎
天を指す土筆一本づつ孤独 福本五都美
冬ざれや石に腰かけ我孤独 虚子
冬待つやひとりぼつちの神威岩 細川加賀 生身魂
冬凪をゆけば孤独もゆたかなり 中川和子
冬帽子冠りてよりの孤独なる 毛塚静枝
凍鶴を見しより孤独ふかみけり 成瀬桜桃子
灯を消して孤独の孤独たのしきかな 藤木清子
灯台の孤独な佇立吾亦紅 奥平考芦
白という孤独運動靴の少年 高階健一
白蚊帳に孤独の母が透きとほる 藤井 亘
白菜の孤独 太陽を見送つている 吉岡禅寺洞
白鞘の孤独な反りも冬に入る 宮城白路
白息に眼を湿らせし孤独かな 三浦紀水 『湖その後』
白桃を剥けば夜が来て孤独が来 鈴木真砂女 夕螢
麦秋駈る天地孤独のトラクター 平井さち子 完流
筏鳴に鳴き移らるゝ孤独も佳し 石塚友二
鳩吹く風リフトにひとりぼつちかな 鈴木寿美子
百年も孤独でいれば枯葎 石井嗣子
百落ちて百の孤独の木の実かな 梅本伸子
病葉や孤独楽しむ老人ら 村田脩(萩)
浜木綿の花のしろさ 琉球はいま 孤独です 吉岡禅寺洞
風が来て廻す孤独の風車 山口素人閑
風に咲く薊荒寥たる孤独 内藤吐天 鳴海抄
風の花葛/ももんがに/かの/紺色孤独 林桂 銀の蝉
風花や孤独と云いて自由なり 豊福芳枝
文芸の孤独を訪はれ火取虫 山田弘子 懐
方正の囲炉裏孤独の二人哉 露月句集 石井露月
万緑や巨岩の孤独はじまれる 殿村菟絲子 『晩緑』
万緑や巨石の孤独はじまれり 殿村菟絲子
蓑虫の綴れ錦を着て孤独 田中英夫
霧とぶよ青田孤独の貌ばかり 宮坂静生 雹
椋鳥の樹を埋めつくす孤独かな 岩切雅人
毛虫焼く焔このとき孤独でなし 橋本多佳子
木の実独楽マッチの脛を見せて孤独 細谷源二
門出でてすでに孤独やあきの暮 米澤吾亦紅
夜が好きで孤独が好きで茶立虫 高岡智照
夕焼のひろがるほどに孤独知る 山本歩禅
落葉降る一葉一葉に孤独埋め 服部初枝
立版古仕立屋銀次孤独なり 久米三汀
涼風は四通八達孤独の眼 中村草田男
冷蔵庫と真夜の孤独を共にせり 熊谷愛子
冷蔵庫開けて孤独をまのあたり 風間 圭
曼珠沙華孤立無援が好きですか 田邊香代子
囀や孤独になれて部屋広し 小松崎爽青
狆曳きの雛の孤独を今知れり 殿村菟絲子
筍梅雨地球の孤独深めけり 脇本星浪
胼割れの指に孤独の血が滲む 三橋鷹女
蘆火してしばし孤独を忘れをる 竹下しづの女
蜥蜴去り石切る孤独また戻る 三谷昭 獣身
鮑かむ鼻が重たき孤独かな 渡部陽子
鳰ひとりぼつちの水輪描き 西村和子 かりそめならず
鵯は睦み鵙は孤独のしぐれどり 千代田葛彦
黴咲かせ孤独地獄と現じけり 小林康治 玄霜

孤独 補遺

*あぎとふ金魚孤立無援を気にするな 佐藤鬼房
アシカの演技映す孤独なバーのテレビ 金子兜太
カンナ散り孤独の日々を愉しめり 三橋鷹女
クリスマスカードを送り来て孤独 後藤比奈夫
こころいつか蟇の孤独の唱に和す 能村登四郎
すさまじき孤独や象の花吹雪 加藤秋邨
その家の孤立はじまる稲架組んで 能村登四郎
トンネルの口や孤独の曼珠沙華 渡邊白泉
ひとりぼつちのふたりぼつちや桜桃 平井照敏 猫町
ふくろふの声ふところに孤独かな 高屋窓秋
みな孤独金亀子まろび竃馬跳ね 安住敦
わが孤独ひしと黄套ひるがへし 伊丹三樹彦
飴舐めて孤独擬や十三夜 佐藤鬼房
一日一日鰥寡孤独の秋深む 山口誓子
鰯雲鼻の孤独の極まるなり 加藤秋邨
駅前緑地老いて孤独の朝から坐す 伊丹三樹彦
黄金虫の羽根美しき孤独かな 細見綾子
花に泣く眼には孤独の病む涙 高屋窓秋
荷役後の舷の孤独に水夫(かこ)眠る 金子兜太
我の「孤独」は「真赤な血」なるを鵙も知らぬ 中村草田男
蛙の子飼つて孤独の性、子にも 安住敦
寒地獄孤独なるとき笑ひけり 小林康治 玄霜
汗の孤独九十九里浜に歩み出で 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
蟻地獄孤独地獄のつづきけり 橋本多佳子
吸入の顎拭き孤独きはまりぬ 岡本眸
空罐のなかには泥鰌孤独者 阿波野青畝
月夜霧孤立キヤンプがをのゝけり 能村登四郎
孤独かと問はる湯治の甲斐の春 及川貞 夕焼
孤独なりさぼてん蒼き花を挙げ 三橋鷹女
孤独なり鴉おびただしく鳴き去り 伊丹三樹彦
孤独なれば浮草浮くを見にいづる 細見綾子
孤独な鹿草けり水けり追われる鹿 金子兜太
孤独のあかんぼちんぼこさらし裸麦 金子兜太
孤独登山者に巌裏ほそき滝一条 能村登四郎
孤立してより寒のししむら艶を帯ぶ 能村登四郎
孤立せる老鶏頭を一瞥す 相生垣瓜人 明治草
枯尾花すつくと孤立せるがあり 佐藤鬼房
枯木星孤立無援の吾に点く 津田清子
湖に不眠の手足浸らせ孤独癖 楠本憲吉 孤客
香水のおのが香にゐる孤独かな 岡本眸
高原の孤独日傘の絹を張り 津田清子 礼拝
妻がゐて子がゐて孤独いわし雲 安住敦
朔風の天に円月の大孤独 日野草城
桜くもり鏡に写す孤独の舌 西東三鬼
雑炊や猫に孤独といふものなし 西東三鬼
三羽いて 三羽の孤独 汐木の鳶 伊丹三樹彦
散るさくら孤独はいまにはじまらず 桂信子 月光抄
珊瑚採る男端居に夜も孤独 大野林火 雪華 昭和三十四年
時かけて酌みしビールや孤立無援 楠本憲吉 孤客
手には雀が 鳩が 孤独を忘れている 伊丹三樹彦
秋汐に泳ぐ孤独の男あり 鈴木真砂女
秋風の吹き抜く孤独地獄の底 小林康治 玄霜
春の草孤独がわれを鍛へしよ 藤田湘子 てんてん
春灯のもと愕然と孤独なる 桂信子 月光抄
除草機押すひとりひとりの孤独境 伊丹三樹彦
少年早や魚割く孤独野分充つ 楠本憲吉 孤客
掌の木の実ひとに孤独をのぞかるる 橋本多佳子
樟大樹孤独の翡翆翔けまどひ 中村草田男
鉦叩たたきて孤独地獄かな 安住敦
棲むものの孤独月牙の泉あり 稲畑汀子
逝く年の孤独大手を振つて通る 山田みづえ 忘
青簾真昼爪きり孤独もよし 鈴木真砂女 夏帯
雪礫うちし孤独のかへりけり 小林康治 玄霜
草の花孤独は天に蝶ふゆる 高屋窓秋
足袋外套脱ぎ散らさでや孤独慣れ 石塚友二 方寸虚実
鯛の打菓子尾鰭より食み孤独の孤独 三橋鷹女
滝の大音響吾を孤立さす 津田清子 礼拝
団栗にうたれし孤独地獄かな 藤田湘子 途上
漬菜石つひの孤独の重み出す 能村登四郎
天澄むに孤独の手足わが垂らす 桂信子 月光抄
冬天に鳥敏く去りわが孤独 伊丹三樹彦
冬磧孤独の石の掘り出され 能村登四郎
働らくうしろ孤独の見学者と虫音 大野林火 雪華 昭和三十八年
日の中の孤独枯木に雲とどかず 鷲谷七菜子 黄炎
熱湯の孤独を寸長き素顔 橋閒石 風景
波あげて鵜岩の孤独わだなかに 橋本多佳子
白桃を剥けば夜が来て孤独が来 鈴木真砂女 夕螢
白癬の山山にはや孤独なし 佐藤鬼房
麦秋の孤独地獄を現じけり 安住敦
晩春の樅の孤立に日けぶれる 佐藤鬼房
壁白く孤独のわれとなりてゐる 日野草城
片虹に瞑目孤独などあらず 佐藤鬼房
歩哨小屋 いまも孤立し 曼珠沙華 伊丹三樹彦
埋立沙漠の果で魚釣る 孤独強め 伊丹三樹彦
稔田を眼下精英樹の孤独 佐藤鬼房
柚子の香に追ひぬかれたる孤独かな 加藤秋邨
夕焼に孤独なりけりゆまりして 山口誓子
流燈やひとりぼつちのタイ嘆く 秋元不死男
憐れまず孤独を好む蜘蛛なれど 相生垣瓜人 明治草
胼割れの指に孤独の血が滲む 三橋鷹女
薔薇の花期吾より孤独に強き吾娘 中村草田男
飆天に孤独なる月よ照るほかなし 日野草城
黴る日々不安を孤独と詐称して 中村草田男
黴咲かせ孤独地獄と現じけり 小林康治 玄霜

以上


by 575fudemakase | 2018-09-12 09:10 | 無季 | Trackback | Comments(0)


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by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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