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カテゴリ:春の季語( 1570 )

拙句 【桜】 (高澤良一)

拙句 【桜】 (高澤良一)

桜 朝桜 夕桜 夜桜 大桜


鳥入れてさくらのうつらうつらかな ねずみのこまくら

追ひ追ひに池の廻りのさくら咲く さざなみやつこ

横浜絵

野毛山のさくら馬上に魯西亜(おろしや)人 さざなみやつこ

曙のさくら一鳥抱へをり ぱらりとせ

幹に花咲かせてさくらはちきれさう ぱらりとせ

海渡りさくら咲かせに一暖雨 ぱらりとせ

宿毎に伊那路のさくら愛でゆくも 鳩信

怪童の腕(かいな)のやうなさくらの枝 鳩信

夫婦して見にゆくさくらありにけり 鳩信

昃りてさくらに彩の戻るなり 鳩信

名庭園ならんとさくらの木も努める 燕音

ソメイヨシノ

人間が構ってやって咲くさくら 燕音

俳句仲間へ

もう十年程ご一緒にさくらの世 燕音

奥山のさくらは白く舂づける 燕音

つくづくとさくら花満ち日に重る 宿好

北国の餅肌いろのさくら咲く 宿好

をととひのさくらがふっと泛かびくる 素抱

人気(ひとけ)なきときをさくらの旺んなり 素抱

人ごゑが近みさくらがそはそはす 素抱

平日の山のさくらを一人占め 石鏡

大石の昼行燈にさくらは似 暮津

枝張りも根張りも石割大桜 宿好

山中に達者なりけり大桜 随笑

山中に何時かは亡ぶ大桜 寒暑

根っこより見上げ端山の大桜 石鏡

朝の気の漲る石割桜是 宿好

北上川の朝の水勢さくら満つ 宿好

この静寂(しじま)破るものなく朝ざくら 素抱

墨堤の浮浪者に湧く朝ざくら 石鏡

蛇口より水迸り朝ざくら 石鏡

朝桜禽掻い潜り掻い潜り 暮津

夜桜にあがる焔の二タ柱 さざなみやつこ

夜桜に誘ってみてはと付け足せり 鳩信

夜桜にしこたま冷えて戻りけり 鳩信

夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと 宿好

夜桜の雪洞尽きるところまで 宿好

夜桜の人に混じりて華やがん 寒暑

道後公園

貸し練炭貸し茣蓙夜桜真っ盛り 寒暑

夜桜の冷え込み上着一枚分 寒暑

夜ざくらを口あんぐりと開けみる児 暮津

夜桜の雪洞高くここ低く 暮津

たんたんと咲く夜ざくらに飛行音 暮津

夜ざくらに酔ふて地に置く紙コップ 暮津

夕桜すっと色調落しけり 宿好

夕風に揉まるる桜ここから帰路 暮津

人の出も日増しにソメイヨシノかな ぱらりとせ

ひよひよと大島桜吹かれをり ぱらりとせ

鳥らいそいそ河津桜の原木へ ぱらりとせ

幹ずんと押し出しのよき里桜 ぱらりとせ

行水所コヒガンザクラ明りして 鳩信

長官愛づ櫻なりきと顎引く 鳩信

横須賀安浦旧鎮守府長官官舎

鎮守府の櫻の上に海展け 鳩信

なかなかの櫻と幹に手を掛けて 鳩信

満開の心を一に濠桜 鳩信

このとほり櫻は場所を選ばない 燕音

櫻の幹叩き鼓舞せる男あり 燕音

大櫻之ある哉の裁判所 燕音

日本の櫻を他国に植う話 燕音

雨ありてあとは櫻の花次第 燕音

振り返る桜がそこにあればなり 燕音

沿線の桜見ながら汽車ぽっぽ 燕音

曙の桜どの木も気を張りて 燕音

年寄ったなりの咲き方桜もす 燕音

咲く桜暦代りの世も絶へて 燕音

思ひも見よ山の桜の根の張り方 燕音

桜には桜の営みそを通す 燕音

野暮天のソメイヨシノといふ勿れ 燕音

一わたり歩き身延の沢櫻 (いずくにて死に候とも墓を身延の沢にさせ候べく候 日蓮) 燕音

風はたと絶えし桜の日に重る 宿好

石割桜

石割のえらい桜を一目見ん 宿好

あれまあと石ぶち割って咲く桜 宿好

野毛の桜昭和の戦見て来しと 随笑

先手取るごとく咲き出すこの桜 随笑

桜誉むこゑもいろいろ女衆 随笑

奢るとはめっそうもなき家桜 随笑

鳥がゐて写真家がゐて桜の木 寒暑

お天道様山の桜に花授け 寒暑

一雨のあと立ち直る桜かな 寒暑

瀬戸内の桜見え来て機は下降 寒暑

都内にしてもう咲く大島桜かな 素抱

失敬す大島桜の花房を 素抱

ひとびとは立ち去り櫻は残りけり 素抱

この山の一押し桜咲きにけり 素抱

枝のさきまだ咲く余地のある桜 素抱

散りしきる桜に欲しき越天楽 素抱

模糊と見て桜のなかに末期の眼 素抱

スタジオに持ち込む河津の初桜 石鏡

平日の桜の中を通りけり 石鏡

水道で洗ふ掌赤し初ざくら 石鏡

馬の背みち山の桜はまばらが佳し 石鏡

横須賀海軍鎮守府

鎮守府の苔むす桜何見て来し 暮津


以上


by 575fudemakase | 2019-07-13 09:16 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

拙句 【花】(高澤良一)

拙句 【花】(高澤良一)

花 花の山 花の昼 花の鳥 花堤 花の風 花明り


(末尾は句集名)


他愛なく花を見てゐる旅ごころ 燕音

花なんぞ見向きもせざる畑鴉 石鏡

花見むと来しリハビリに気散じに 暮津

花咲くと鳥もすっかりその気になり 燕音

早咲きの花のいたづら心かな 寒暑

勘違いして咲く花に相違なき 寒暑

花ほつほつ咲き出す山に悪路なし 寒暑

可借(あたら)花散らしその形大き鳥 ももすずめ

鵯飛来花散るからに散るからに 鳩信

花散らす風の無理強ひしたりけり 素抱

酔どれのそれそれそれと散る花を 暮津

花の間鴨広がりて広がりて 随笑

千鳥ケ淵

花の間を何処まで飛翔長き鳥 随笑

花の間尾長が通り過ぎしのみ 寒暑

鳥ごゑに奥行き深き花の山 ぱらりとせ

だっこしてまたおんぶして花の山 随笑

花の山絶えず子供のこゑがして 寒暑

上からも下からも人花の山 素抱

見通して奥行のある花の山 素抱

禽ごゑのひろがりすぼまり花の山 素抱

花の山騒がしにくる目白かな 素抱

鳥よりも人よく遊ぶ花の山 素抱

精米所横よりのぼる花の山 素抱

いぶりがっこキザミがっこに花の昼 宿好

花の昼人を焼く間の腹ごしらえ 石鏡

垂直に上枝に移る花の鳥 燕音

来年も又来ておくれ花の鳥 燕音

花の鳥あれこれいふを聞き遣りぬ 燕音

間近に来目許くりくり花の鳥 随笑

枝移りして花の鳥こゑ大きく 素抱

すいと来てこんどは小柄花の鳥 素抱

何事かまくし立てたり花の鳥 素抱

桧木内川高堤いま花堤 宿好

花堤万の莚を敷き詰めて 宿好

花堤さてとここらで折り返そ 寒暑

飛来せる一羽花間へもぐり込む ももすずめ

花房に縋れる鳥の紡錘形 ももすずめ

首伸ばしすくめつ鵯の花食める ももすずめ

鳥の尾の上下頻々花隠り ももすずめ

花を発つ鳥の胴より翼出で ももすずめ

木を替へて花ついばめる鳥営々 ももすずめ

雨に風加はり花を駄目にする ももすずめ

花このまゝ仏生会までもたせたし さざなみやつこ

一体に海岸ぷちの花早し さざなみやつこ

ときめける花に湿りをくれに雨 さざなみやつこ

花乏し降られづめなる鵯に さざなみやつこ

ほころぶと告ぐる言葉の花より浮く ぱらりとせ

花の風鯉の背鰭を吹きにけり ぱらりとせ

鉛筆を走らす花鳥諷詠漢 ぱらりとせ

言語野に射して言の葉花明り ぱらりとせ

当たりゐし山の日を花逸したり ぱらりとせ

雨ありし上野の山の花の首尾 ぱらりとせ

花揺るゝは船酔に似て昼日中 ぱらりとせ

何もって本復巷は花の頃 鳩信

高遠花祭り

花に浮かれ来たる奴に高遠城 鳩信

藩校の教場抜けて花の風 鳩信

一雨に花崩れたり北の丸 鳩信

真っ白な花に群がる風一目 鳩信

その説に服しぬ花よ鳥よと詠む 燕音

折角の花が霞んで仕舞ひけり 燕音

ゆとりより生るゝものに花の風 燕音

藤右衛門さんのはちまき花談義 燕音

花も又花を了へたら一服す 燕音

花噴いてぼこんぼこんの桜の幹 燕音

花開くまでいろいろな事があり 燕音

気ふさぎの重たき花となりにけり 燕音

花を押す南アルプスよりの風 燕音

内船寺

花の下先師のおはち頭かな 燕音

老若の一切を度す花の風 燕音

割烹

対岸の花を肴に枕流亭 宿好

中尊寺

清衡が夢みし花の仏国土 宿好

花は楚々岩は恢々厳美渓 宿好

魁(さきがけ)の一花百花の気概もて 宿好

花照る中チンパンジーは何誇示す 随笑

白隠の書画踏み破る花ごころ 随笑

この先も斯うした花の日和あれ 随笑

むさき身を花の押照る中に入れ 随笑

花畳なはり大観の朦朧体 随笑

かんばせに受けて花吹き余る風 随笑

花房へすうっと鳥の首が伸び 随笑

花つきのよき木とあふぐ二人連れ 随笑

朝夕の殊に夕べの花の相 随笑

花眩しむ人を眩しみ通りたり 随笑

花は花椨は椨にて押し通す 随笑

宴闌けて花びらいろの貫主さま 随笑

花は葉に東鑑にのる社 随笑

花の情一入なれば酒にせん 寒暑

花は今高知の城下に来てみいや 寒暑

かんばせに靖国神社の花の風 寒暑

えらき坂の花の靖国神社かな 寒暑

御社に花の東京の標準木 寒暑

満開のけふを逃して何とする 寒暑

無理強いをして花奪ふ風の暴 寒暑

大鴉姿くらます花の奥 寒暑

動くもの一物もなき花の景 寒暑

走り根の傍へが花の死に処 寒暑

一昼夜風に揉まれて花濃くす 寒暑

五人百姓花に広ぐる風流傘 寒暑

称名寺古図には無かり花の布置 寒暑

さきほどの花も佳けれど此も佳し 素抱

さゑずりのありかは花の奥の奥 素抱

大岡川観桜

おしどりに吹雪ける花の余り風 素抱

棒切れで地図を描ける花の許 素抱

野毛花見

花愛づる毛唐の大首横濱絵 素抱

横濱の花を観るなら掃部山 素抱

花愛でて今様本田平八郎 素抱

花啄まむと鵯身をひねり 素抱

かるめ焼きなど賞味して花の人 素抱

花の蜜くすねに来たる大き鳥 素抱

しばし居る木椅子は花のつめたさに 石鏡

花の日々御飯ふっくら炊きあがり 石鏡

写生の眼花と画帖を往き来して 暮津

花奪ふ風に尻尾のあるごとし 暮津

日曜画家絵筆に含ます花のいろ 暮津

花の下ベルのよく鳴る三輪車 暮津

十日程花遅れたり建長寺 暮津

沿線の花に急かされゆくごとし 暮津

いちにち雨心に烟る花を観て 暮津

空耳に盈ち盈つ花のせりふかな 暮津


以上


by 575fudemakase | 2019-07-13 09:15 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

黒文字の花 

黒文字の花 

*たらは芽を黒文字は花つけにけり 後藤比奈夫
くろもじで繕う雛の刀かな 花童遊心
くろもじに粉雪かかりてみづみづし 風生
くろもじの花に人くる信貴の村 岡井省二 五劫集
くろもじの花のうすらな空のこと 古沢太穂 捲かるる鴎
くろもじの花ゆさゆさと下山人 原口絹枝
くろもじの花連山を忘れ咲く 友岡子郷 未草
くろもじの花虔しき山の風 山田みづえ
くろもじの咲きめぐる巌祀りけり 堀口星眠 営巣期
くろもじの咲くを夕日が教ふなる 宮津昭彦
くろもじの宿す雨滴を払ふ南風 高澤良一 暮津
くろもじの箸や北山初時雨 藤崎さだゑ
くろもじを懐紙にくるむ萩猥ら 中原道夫
くろもじを燻べて春の炉なごむかな 古沢太穂
くろもじ若葉雨降ってよし晴れてよし 高澤良一 暮津
とつぜんのくろもじの木や秋の琵琶鳴 飯島晴子
垣繕ふ柴のくろもじにほふなる 山口青邨
枯山にくろもじを折り匂はする 日郎
黒文字と和菓子と八十八夜かな 玉木克子
黒文字の花ざかりなる湯治かな 大岳水一路
黒文字の花はみどりの四月かな 野瀬知佐
黒文字の花を知らずに禅の僧 森澄雄
黒文字の木に水ふえて春の谷 宇佐美魚目 天地存問
黒文字を矯めて香らす垣手入れ 武田和郎
黒文字を斜めに添へて鴬餅 鷹羽狩行
黒文字植え清明の水遣りにけり 高澤良一 素抱
七七忌くろもじの黄の花の壺 岡井省二 山色
千切りの黒文字干して秋彼岸 福島文江
野々宮のくろもじ芽吹く小柴垣 三澤治子

以上

by 575fudemakase | 2019-05-15 16:57 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

茶畑

茶畑

羽拍子よどむ茶畑や雉子の恋 正秀
夏燕茶畑みどり吹き返す 川原典子
関ケ原陣地茶畑青々と 山口誓子
丸刈の茶畑に降る小雨かな 宮澤和俊
居待とて佇つ茶畑のほとりかな 村山古郷
蕎麦刈りて只茶畑となりにけり 高浜虚子
恵方とて宇治の茶畑抜けてゆく 菖蒲あや
月雪や茶畑を見て湖を見て 岡井省二 山色
紫蘇畑茶畑色の違ふのみ 山口誓子
渋柿の下や茶畑大根畠 寺田寅彦
春光やさゞなみのごと茶畑あり 森田峠
春光やさゞ波のごと茶畑あり 森田峠
春二月茶畑の富士窈窕と 富安風生
神池寺の茶畑の荒を摘みに入る 荻野瑤艸
寸又峡へと茶畑を見つつ来し 高木晴子
川霧に川根茶畑ひた濡れに 高澤良一 石鏡
茶畑にうす雪清瀬過ぎてより 水野遼 『鑿』
茶畑に一本高し桐の花 正岡子規 桐の花
茶畑に鶏はぐれをり昼の火事 神田 岩魚
茶畑に宰領声をとばしけり 吉井まさ江
茶畑に施肥の人去り遠かすみ 吉良蘇月
茶畑に川霧やさし奥三河 文挟夫佐恵
茶畑に川靄やさし奥三河 文挾夫佐恵
茶畑に日は炎えはじむ墓一基 野澤節子 遠い橋
茶畑に入日しづもる在所かな 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
茶畑に帽子忘れて日を忘る 八木三日女 落葉期
茶畑に隣の桐の一葉哉 寺田寅彦
茶畑に葭簀かけたる薄日かな 村上鬼城
茶畑に螢袋の白ともる 瀧澤伊代次
茶畑のうねりも秋の声とかな 石川桂郎 四温
茶畑のうねりも八十八夜かな 森田虚逸
茶畑のずり落ちさうでずり落ちず 丘本風彦
茶畑のその畝々の朝の虫 高澤良一 燕音
茶畑のひと雨ありしまろさかな 鷹羽狩行
茶畑のまるみを眠る山も持つ 鷹羽狩行
茶畑の影ひき出づる秋の蛇 山本洋子
茶畑の奥に日当る雛の家 山本洋子
茶畑の沖明りゆく冬の鳶 角川源義
茶畑の間家 家の間茶畠 高澤良一 石鏡
茶畑の丘まろやかに冬ぬくし 道山昭爾
茶畑の空はるかより鰤起し 飯田龍太
茶畑の傾斜どまりに花辛夷 能村登四郎
茶畑の傾斜に立てて魔法壜 長田等
茶畑の月夜にはかに夏隣 小巻豆城
茶畑の小径をかへる山女釣り 飯田龍太
茶畑の畝に潜りし鶉かな 三森鉄治
茶畑の畝間豆植う奥大井 三宅武子
茶畑の畝千条の春かすみ 長谷川喜是
茶畑の青の畝々逆落し 山口誓子
茶畑の青浮き立たす薄暮かな 松崎鉄之介
茶畑の太き青畝鉄軌狭し 山口誓子
茶畑の茶の木古びて花多し 高野素十
茶畑の土にまぎれぬ寒雀 三橋鷹女
茶畑の二番茶待ちへ日のうねり 都筑智子
茶畑の波濤が生みし冬の蝶 富安風生
茶畑の風に押されて春の人 大峯あきら
茶畑は匐ふ虫縦に横に匐ふ 山口誓子
茶畑もありて花咲く御所の中 山口青邨
茶畑やところところに梅の花 梅 正岡子規
茶畑をかこむ茶垣も摘み頃に 大久保白村
摘まるべき茶畑天に至りけり 森田峠
摘みや終へし旦の茶畑光失ふ 原田種茅 径
冬の茶畑雷鳴が頭上より 飯田龍太
働きの場よ青茶畑急斜面 山口誓子
頬白や大茶畑の風の中 清崎敏郎
北限の茶畑臀*なめ蜻蛉舞ふ 詫摩まつ子 『卒寿』
礼者まづ茶畑づたひ隣家より 岩城のり子
囮して茶畑戻る小春かな 会津八一

以上

by 575fudemakase | 2019-05-15 16:50 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

桑畑

桑畑

ひぐらしや妙義影おく桑畑 河野南畦 『湖の森』
ほほえんであなたが沈む桑畑 五島高資
ゆきゆきて人かくれたり桑畑 山口青邨
羽抜鶏山桑畑に来て追はる 石橋辰之助
遠き瀬の鳴るや枯桑畑の中 山口青邨
下萌や春まだ浅き桑畑 渡部穀雨
夏蚕飼ふことなき村の桑畑 安原典代
関路にておほかた雪の桑畑 能村登四郎
桑畑がぬれるほど降る寒の雨 廣江八重櫻
桑畑たちまちにして嶮峻に 山口青邨
桑畑にしづみて村はまだねむる 長谷川素逝 村
桑畑に喰ひつぶしの毛虫かな 五律
桑畑に桑苗ところ~植う 高野素十
桑畑に出て十六夜の月を見し 細見綾子 花寂び
桑畑に春雪降りる揺れながら 川崎展宏
桑畑に初夏の兆しの美くしや 右城暮石 句集外 大正十五年
桑畑に人の足音夜明星 飯田龍太
桑畑に水音かよふ暮春かな 成瀬桜桃子
桑畑に大籠を置きだるま市 森田公司
桑畑に炭挽いてゐる湯治客 皆川盤水
桑畑に摘みし蓬のやはらかし 穴井 まき
桑畑に父出て深くなりし冬 原裕 青垣
桑畑に幣鍬はじめしたるらし 皆吉爽雨
桑畑に無人踏切初筑波 富安風生
桑畑に霧ふる二十三夜月 田口土之子
桑畑に綿の白さの秋の雲(木曾路) 細見綾子
桑畑に鶲の声の淑気かな 皆川盤水
桑畑のかぎりのはての利根堤 上村占魚 球磨
桑畑の暗さを秋のはじめかな 椎名 彰
桑畑の闇がしたしく訪れし 木村蕪城 一位
桑畑の闇を風過ぐ夜の秋 河野南畦 湖の森
桑畑の煙るが如く芽ぶきをり 柴山 つや子
桑畑の奥に人住み雪が降る 細見綾子
桑畑の径湖へ出づ魂まつり 大峯あきら 鳥道
桑畑の畦に野菊の晴れわたり 細見綾子
桑畑の春耕長き立ち話(埼玉県高麗村二句) 細見綾子
桑畑の中に家あり雁の声 細見綾子
桑畑の土留としたり桑の粗朶 中戸川朝人 星辰
桑畑の日向に桑の榾を干し 清崎敏郎
桑畑の木の間を来たる鶲かな 皆川盤水
桑畑へあがる渡舟や春寒し 白水郎句集 大場白水郎
桑畑へ不二の尾きゆる寒さかな 久保田万太郎 草の丈
桑畑も末枯るゝ野のたぐひかな 尾崎迷堂 孤輪
桑畑や一畝の麦の刈らずある 麦 正岡子規
桑畑や枝黄に春の雨上り 滝井孝作 浮寝鳥
桑畑や出水堪へて日の盛り 村山古郷
桑畑や女蓑着て頬被り 高浜虚子
桑畑や女蓑著て頬被り
桑畑より送り火の終を見る 能村登四郎
桑畑をのぼり蚕飼ひの家二三 細見綾子
桑畑を越す双生の石鹸玉 伊藤白潮
桑畑を過ぎ行く時に春を待つ 細見綾子 黄 炎
桑畑を削ぎ落したる雪崩かな 大橋櫻坡子 雨月
桑畑を山風通ふ昼寝かな 松本たかし
桑畑を通る幟や盆芝居 御子柴光子
桑畑を萌黄の雨のとほりけり 岡本まち子
桑畑を裏にし住めば露けしや 細見綾子
桑畑黄葉したる一と昔 高野素十
桑畑枯れて白々月小さく 山口青邨
桑畑中行く秩父遍路かな 高浜年尾
枯桑畑ときどき止まる葬の列 蓬田紀枝子
江崎へ寄つて路銀を貰ひました桑畑冬の日 中川一碧樓
黒牛にかつと夏来て桑畑 臼井千鶴
三月の桑畑のぼる男下駄 桜井博道
山裾の桑畑にまづ秋の風(故郷の丹波青垣町にて二句) 細見綾子
山鳥の羽音つつぬけ桑畑 皆川盤水
山廬見ゆ枯桑畑の日のたむろ 角川源義
七党の地の桑畑や吹きながし 角川源義 『冬の虹』
秋の星遠くしづみぬ桑畑 飯田蛇笏
秋深し桑畑人の丈を越す 廣瀬直人 帰路
秋風の影曳き行くや桑畑 角川源義
秋風は桑畑に吹き札所寺 細見綾子
春ぬくく旋風うつろふ桑畑 飯田蛇笏 家郷の霧
春祭すみて幣立つ桑畑 森田公司
藷畑あり桑畑ありて秋 高野素十
小走りに鶫横切る桑畑 井水貞子
信濃路は鶏(かけろ)もなかず桑畑 角川源義
信濃路は鶏もなかず桑畑 角川源義
雪解の海見える桑畑の大きな株 尾崎放哉 小豆島時代
蝉殻をぬぐや信濃の桑畑 樋笠文
川透きて十一月の桑畑 斎藤道子
早春の火を焚いてゐる桑畑 永方 裕子
霜くすべ桑畑に喉せりせりす 佐藤鬼房
対岸の荒れは桑畑流し黐 茨木和生
淡海路や蚕時を荒れし桑畑 能村登四郎
秩父路の桑畑途切れなくつゞく 高浜年尾
秩父路の末枯葛と桑畑 高浜年尾
長良川少し遡れば桑畑 京極杞陽 くくたち上巻
冬ふかき日の吹かれをり桑畑 金尾梅の門
冬空や峡にくひ入る桑畑 金尾梅の門 古志の歌
冬枯やともし火通ふ桑畑 冬枯 正岡子規
冬枯やともし火通る桑畑 冬枯 正岡子規
梅雨の尾の見え出してゐる桑畑 岡本眸
麦蒔や雉の飛び出し桑畑 藤井紫影
緋桃さく水車の裏の桑畑 寺田寅彦
父在りし日の晩秋の桑畑 倉田絋文
墓山の桑畑に黄の上りゆき 山口誓子
餅搗の息をどりをり桑畑 中澤康人
門松のみどり目立つや桑畑 滝井孝作 浮寝鳥
門前の大桑畑寺富めり 上村占魚 球磨
夕吹雪鴉寄り来る桑畑 角川源義
累々と茫々と桑畑早春 鈴木鷹夫 渚通り
蓮如輿ゆく麦畑桑畑 山内星水
老農とみそさざい桑畑で暮れ 細見綾子
凩に桑畑柿の畑も無し 百合山羽公 故園
雹降りて桑畑はたと無かりけり 高浜虚子

以上

by 575fudemakase | 2019-05-15 16:49 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

垣通

垣通

垣通草盗られて僧の悲しめる 高野素十
わが庭のさても彩り垣通 飴山實 句集外
垣通草花のめをとのひそやかに 高野素十

以上

by 575fudemakase | 2019-05-15 07:22 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

白山吹

白山吹


山吹の白には昔語りなし 後藤夜半 底紅

山吹の白は騒がしからずして 後藤夜半 底紅

奥能登や山吹白く飯白し 前田普羅 能登蒼し


以上


by 575fudemakase | 2019-04-30 02:37 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

拙句 山吹 (高澤良一)

拙句 山吹 (高澤良一)


山吹は雨にもたつく塔ノ沢

山吹や雨に一つの残り花

山吹に響(とよも)しよどみなき山水

ずり落ちし路肩もろとも濃山吹

山吹を打ちて雨脚強まり来

ここ最も奥まる塔頭濃山吹

山吹に隠れもあらぬ山気かな

山吹や沢鳴りのする観音堂

山吹のここより奥は入れません

山吹の花が正面土間明り

山吹に奥州鎮護願う寺 宿好

山吹の黄を突っ切りて正受庵 燕音

いくらかは山吹黄葉してゐたり ぱらりとせ

ご門前朝の山吹なまなまと ぱらりとせ

そこそこに山吹黄葉したりけり さざなみやっこ

山吹の上の断崖底技けし さざなみやっこ

宿の灯のくつきり点る濃山吹 ももすずめ

岳麓の朝日きびきび山吹に ももすずめ

山吹や川波めくれめくれゆく ももすずめ

山吹におはようのこゑ響かせて

開山堂山吹の冷えのぼり詰め

山吹の花散りかかるわさびの葉

山吹にどぶんと鯉の立てる音

山吹のさきセキレイの水遊び

この上にもう一つ村濃山吹

正受庵かすむ山吹明りかな

山吹や人は本来無一物

山吹に一本調子車輌音

山吹のかたまり咲くや身延線

山吹の脇よりのぼる七面山

山吹の塚と云へるに菊手向け

毛越寺の山吹栄ゆる鏡池

山吹咲く毛越寺道を三々五々

義経に背く泰衡濃山吹

山吹の光射し込む旧覆堂

山吹の寺訪ひ阿弥陀来迎図

曲り家の戸口越しなる濃山吹

曲り家の山吹どきの目暗がり

山吹はいささか冷えし風好む

山吹の葉に瑠璃蝿の翅たたむ

かんばせに山吹映ゆる浴仏会

誕生仏山吹いろの甘茶浴み

山吹に登りのバスのエンジン音

山吹とはったと出会ふ九十九折

(末尾は句集名)


以上


by 575fudemakase | 2019-04-30 02:36 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

桜前線 の俳句

桜前線 の俳句


桜前線追ひ山河あり旅三日 河野南畦 『硝子の船』

桜前線追手の兵の皆若き 仁平勝 花盗人

桜前線微熱五体を通過して 倉本 岬

桜前線過ぎてぞ深む海の紺 小金井絢子

桜前線美髯増やして待ちにけり 松山足羽

飛行機で桜前線迎へに行く 品川鈴子

桜前線父母を経て来りけり 正木ゆう子

坊泊りして桜前線待ち伏せす 東野礼子

夫の葬桜前線異状なし 黒木悦子

病棟をさくら前線抜けにけり 羽成 翔

桜前線にさはられてゐる空気かな 内田美紗 魚眼石

病む日日を桜前線北上す 谷中隆子

足踏みの桜前線西東忌 片山由美子 水精

夜想曲さくら前線まだ遠し 鍵和田[ゆう]子 未来図

早過ぎし桜前線混線す 右城暮石 句集外 平成二年

桜前線雨の間に通過せり 右城暮石 散歩圏

我が家を桜前線いつ過ぎし 右城暮石 一芸

蝶が通る、さくら前線お通りです 荻原井泉水

桜前線あまりに急に君かなし 山口青邨

けふの賀や桜前線も駈足に 山口青邨


以上


by 575fudemakase | 2019-04-28 03:07 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

花堤

花堤


桧木内川高堤いま花堤 高澤良一 宿好

花堤空缶一つ流れくる 高澤良一 素抱

花堤万の莚を敷き詰めて 高澤良一 宿好

花堤さてとここらで折り返そ 高澤良一 寒暑

長橋におとろふる日や花堤 飯田蛇笏 山廬集

西方へ歿る日は古風花堤 飯田蛇笏 雪峡


以上


by 575fudemakase | 2019-04-17 23:35 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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