カテゴリ:春の季語( 1516 )

雨虎(あめふらし)、海牛の俳句

雨虎(あめふらし)、海牛の俳句


春の季語に「雨虎・海虎」というのがある。「あめふらし」と訓む。通常の歳時記には未掲載だが、山本健吉編『最新俳句歳時記(春)』(新潮社 昭和46年12月第五刷)には、「海牛(うみうし)」と並んで載っている。雨虎は巻貝の仲間だが、殻は退化して無いに等しい。触覚が二本。体長は大きい物で40cmある。体色は暗褐色で、白い斑点がある。春先、産卵で浅い所に集まって来る。卵は素麺に似て、その名を「海素麺」という。この名前では別のモズク科の海草があるので、紛らわしいが、こちらは本当に麺そっくりである。昔から、いじめると雨が降るというのでこの名前が付けられたそうだ。

 今朝もそのヤキソバのような黄色い塊が浜に打ち上げられていた。知らない人が見たら、捨てられたインスタントラーメンと勘違いしそうです。(ウィキペディア)

初版 角川の季寄せには当季語の記載は無い。私見を申せば、記載あるべきである。



拙句 雨虎 海牛(高澤良一)


遊ばれて磯に置き去りあめふらし ねずみのこまくら

雨虎(あめふらし)花魁道中歩きせり さざなみやつこ

あめふらし遊びあかして磯日暮れ 鳩信

あめふらし好(す)いた事して潮溜り 燕音

一生を棒にふりたるあめふらし 燕音

観音崎

装ひも定九郎めくあめふらし 随笑

遠浅の海の牧場にあめふらし 素抱

海牛の二日の波にたゆたへり ももすずめ

よき浪が来て海牛を泳がしむ ももすずめ

海牛の泳ぎ歩きといふものす ももすずめ

比類なきオトメウミウシ捕らへたり さざなみやつこ

つまみ上げ大海牛の段袋 さざなみやつこ

えんぴつで海牛つつく冬渚 随笑

海牛のモウモウ歩きしたりけり 随笑

海牛をおいてけぼりに忘れ潮 随笑

海牛の頭上を跨ぎ浅蜊掘 素抱

(末尾は句集名)


以上



by 575fudemakase | 2018-07-19 04:09 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

樺の花 白樺の花 の俳句

樺の花 白樺の花 の俳句

がくがくと山の電車や花かんば 藤田湘子
もくもくと花冷えどきの樺細工 高澤良一 宿好
ゆれやまぬ樺の花房空すがし 伊藤晴輝
花かんばさらさら漣立つ山湖 角田双柿
花かんば伊那より諏訪へ花嫁来 和気佐和子
花かんば北軽井沢夜明けたり 佐川広治
花かんば靄立ちこめし霧ヶ峰 石塚ユリ
花樺の花粉がすみといひつべし 伊藤凍魚
花樺空に愁ひの昏れのこり 藤田西子雲
樺の花アイヌは和人より清し 飯田龍太
樺の花高きにありてみな眩し 深谷雄大
樺の花村にかもしか診療所 山口あつ子
樺の咲く山なみ低くどこまでも 飯田蛇笏
樺咲いて牧夫の村は四五戸のみ 有働亨 汐路
樺咲くや氷河に逝きしガイドの墓 有働亨 汐路
赤坊馥郁と座す花かんば 小池文子
雪嶺の肩に雲燃え樺の花 西村公鳳
濁河の水を掬せば樺の花 伊藤敬子
男唄ひて湖上を帰る樺の花 野沢節子
置きざりの蒼き庭石花かんば 姥澤愛水
朝の日は真水のひかり樺の花 鷲谷七菜子
乳いろの靄の吹かるる樺の花 石原八束
風音を高行かせをり花樺 石田勝彦 雙杵
満月の黄をしたたらす花樺 森澄雄
ブロンズの力瘤見よ花白樺 藤岡筑邨
花ゆらぐ白樺立てり雪解風 水原秋櫻子 殉教
花白樺風になびける開拓村 大野林火 白幡南町 昭和三十一年
再会や白樺二本花垂れし 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
耳聡き犬に白樺の花散るも 堀口星眠
春もやゝ白樺花を垂れにけり 清崎敏郎
送らるる山羊に白樺の花散るも 相馬遷子
送らるゝ山羊に白樺の花散るも 相馬遷子
息一縷白樺の花仰ぎけり 藤田湘子 てんてん
白樺の花に微風の信濃口 稲垣法城子
白樺の花のこぼるる丸木橋 福田甲子雄
白樺の花の塵かも温泉を流れ 水原秋櫻子 緑雲
白樺の花や高嶺は北へ拠る 藤田湘子
白樺の花をあはれと見しがわする 水原秋桜子
白樺の花を覚えて穂高去る 後藤比奈夫
白樺の花岳人に独語なし 小川軽舟
白樺の花太陽をあてにせず 丸山佳子
白樺の咲くとは知らず岳を見る 水原秋桜子
白樺の大露に咲く鳥兜 飯田蛇笏
牧開白樺花を了りけり 水原秋桜子
旅びとの誰か白樺の花を知る 水原秋櫻子
露台の日あつく白樺の花すぎぬ 水原秋桜子

以上

by 575fudemakase | 2018-07-16 09:15 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

河原鶸の俳句

河原鶸の俳句


居りよさに河原鶸来る小菜畠 支考

水あみてひら~揚る川原鶸 村上鬼城

佐保川の水光るなり河原鶸 濱田のぶ子

庭の木に河原鶸くる昨日今日 柏戸知子

河原鶸あそぶ朝涼の水流す 柴田白葉女 『夕浪』

河原鶸しぐれの道となりにけり 尾林朝太

河原鶸ひよいと頭沈め餌をあさる 高澤良一 さざなみやっこ

河原鶸平等院を羽摶ち飛ぶ 皆川盤水

河原鶸来てをりファックス受信中 小林せつ子

河原鶸機屋のひるのしづもりに 山谷春潮

河原鶸水を群れ立つ水立てり 都倉義孝

河原鶸翔けて柳絮にまぎれけり 堀口星眠 営巣期

河原鶸風にながされ鳴きまどふ 上村占魚

渦の上翔けてかすめり河原鶸 下村ひろし 西陲集

照り降りの沼が日射せば河原鶸 鈴木多江子

矢車の実に犀川の河原鶸 西本一都 景色

石に戯るる水のこゑとも河原鶸 山口草堂

笹叢に日の移りたる川原鶸 黒川純吉

紋の黄を晒して歩く河原鶸 櫻井掬泉

腋パッと開きて河原鶸立てり 高澤良一 さざなみやっこ

虎杖の揺れにのつたる河原鶸 安部孝一郎

ふるさとや正月を啼く川原鶸 木下夕爾


以上


by 575fudemakase | 2018-07-03 16:20 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

かりんの花 の俳句

かりんの花 の俳句
かりんの花

*かりんの花散つても紅し鬼城の居 松本 旭
*かりんの花数へたくなるやさしさに 相馬遷子 山河
*かりん咲くと見て眠りたり霽れてをり 臼田亜浪
たそがれの肉限可視星花くわりん 高澤良一 ももすずめ
花かりん約束ありて日々はづむ 田中英子
花くわりん間をゆつたりと里言葉 佐藤俊子 『雪の本丸』
花くわりん空気の透けて来たるかな 松崎鉄之介
花くわりん宙を伝ひて日のあゆむ 高澤良一 素抱
花くわりん夜間飛行の灯のちらちら 高澤良一 素抱
宿の湯の沸くいとまあり花*かりん 塚田秋邦
達治の忌過ぎて*かりんの花あまた 古川照子
かりんの花 補遺

*かりんの花数へたくなるやさしさに 相馬遷子 山河
一茶旧居くわりんの花といふ白し(信濃) 細見綾子
花くわりん空気の透けて来たるかな 松崎鉄之介
山の陽に透きて遊ぶ子花*かりん 松崎鉄之介
大寺のしかも禅寺花かりん 森澄雄
蝶揚る*かりんの花を高しとせず 安住敦
鉄の幹くわりんの花のすべり落つ 山口青邨
以上

by 575fudemakase | 2018-04-18 08:07 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

落花 飛花 花吹雪 花屑 散る花 の俳句

落花 飛花 花吹雪 花屑 散る花 の俳句


落花 飛花 花吹雪 花屑 散る花(1)

http://fudemaka57.exblog.jp/22447608/


落花 飛花 花吹雪 花屑 散る花(2)

http://fudemaka57.exblog.jp/22447600/


落花 飛花 花吹雪 花屑 散る花(3)

http://fudemaka57.exblog.jp/22447597/


以上


by 575fudemakase | 2018-04-04 03:01 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

夜桜 の俳句

夜桜 の俳句
夜桜

ある夜の桜に懸る飛行服 攝津幸彦
うつくしき桜の雨や電気燈 夜桜 正岡子規
おぼろ夜の桜吹雪を知つてをり 角川春樹 夢殿
おもしろの世の夜桜と仰ぐかな 大石悦子 群萌
しばらくはその夜桜に佇ちにけり 細井新三郎
ながながと桜の上や月一つ 夜桜 正岡子規
ひと刻をこぼさぬように夜の桜 藤井冨美子
ふるへとも朧夜桜露もなし 夜桜 正岡子規
ぼんぼりに匂ひのありし夜の櫻 高澤良一 鳩信
またの世のあるべき夜の桜かな 山本洋子
ゆふざくらを往きて夜桜を復る 亀丸公俊 銀化
わらうて呑みこむ山盛り飯か夜櫻は 竹中宏 句集未収録
愛憎の果ての夜桜見て歩く 小林康治 『潺湲集』
悪友の欲しくなりたる夜の桜 清水浩
一期の火消したるあとの夜の桜 佐藤文子
一本の桜を出づる夜の雲 藤田あけ烏 赤松
可惜夜の桜かくしとなりにけり 斉藤美規
観劇後夜桜と闇同じうす 堺 点子
既にして夜桜となる篝かな 日野草城
吉原の夜桜なかを通ひけり 野村喜舟
吉原の朧夜桜露もなし 夜桜 正岡子規
吉原や雨の夜桜蛇目傘 夜桜 正岡子規
客夫婦夜桜を見に出かけたり 比叡 野村泊月
金泥を溶く夜桜の冷えのなか はりまだいすけ
九時の鐘に茶店を鎖す桜かな 夜桜 正岡子規
九分咲きの夜桜に灯をあびせたる 京極杞陽
月の夜の桜に蝶の朝寝かな 千代尼
月よひよひ桜の一重二重哉 夜桜 正岡子規
月よひよひ桜日に日に満てる哉 夜桜 正岡子規
更くる夜をしづまる村の桜かな 夜桜 正岡子規
更くる夜を静まる里の桜哉 夜桜 正岡子規
思ふまま歩きたき夜の桜かな 渡辺桂子
持重る月夜桜の雫かな 夜桜 正岡子規
春月の下に夜桜下に町 京極杞陽 くくたち上巻
寝耄御前山路に初夜の桜狩 井原西鶴
人顔に夜桜いたく更けにけり 石原舟月 山鵲
清水や桜の上の鉄燈籠 夜桜 正岡子規
生国に来て夜桜の人となる 辻口秋草子
雪と見る桜の上や月一つ 夜桜 正岡子規
雪洞の人肌いろに夜の櫻 高澤良一 鳩信
想像のつく夜桜を見に来たわ 池田 澄子
息ひとつひとつ餅切る父の夜 桜井博道
貸し練炭貸し茣蓙夜桜真っ盛り 高澤良一 寒暑
大門や夜桜深く灯ともれり 正岡子規
誰そや上野の月夜桜に詩を吟す 夜桜 正岡子規
地の蝉冷たし//夜桜の国/麦の国 林 桂
朝桜夜桜わが家への近道 桂信子 花寂び 以後
電気を運ぶ臨時の柱夜桜へ 田川飛旅子 花文字
電燈の雨うつくしき桜哉 夜桜 正岡子規
賭けごとの椅子は腰高夜の桜 星野紗一
途切るるとなき夜桜の人通り 行方克己 知音
湯けむりに夜桜没す野天風呂 大熊輝一 土の香
灯のともる雨夜の桜いぢらしや 夜桜 正岡子規
灯を消して観る夜桜の息づかひ 堀口星眠(1923-)
髪湿るまで夜桜の下歩む 朝倉和江
半玉が燭の心剪る桜かな 夜桜 正岡子規
非常口より出でて夜桜見にゆかな 嶋田麻紀
膝立てて眠る夜桜実となる夜 二村典子
百花とは百語に似たり夜の桜 平松良子
病室は誰も叫ばぬ夜の桜 対馬康子 吾亦紅
風のほかにも夜桜を揺らすもの 三村純也
焚きし火の燠となりゐて夜の桜 塚腰杜尚
母婦会の帰路夜桜へ連れ立ちて 竹下しづの女句文集 昭和十年
門の花夜行く人の小唄哉 夜桜 正岡子規
夜ざくらを口あんぐりと開けみる児(称名寺夜桜) 高澤良一 暮津
夜の桜うしろに暗き崖懸る 加藤楸邨
夜の桜めいめいに来てともに酔ひ 橋本榮治 逆旅
夜の桜時間のすべて盗まれる 高野ムツオ 雲雀の血
夜の桜傷つき合つて散りにけり 岬雪夫
夜の桜少年野性をあらはにす 田村一翠
夜の桜満ちて暗くて犬噛み合ふ 西東三鬼
夜桜となる灯ともりぬ一斉に 佐々木遡舟
夜桜と照らし出されて一老樹 小島千架子
夜桜と濡れてゐるなり恋ひつのり 仙田洋子
夜桜と夜桜までのくらさかな 渡辺乃梨子
夜桜と離れてゐるなり恋ひつのり 仙田 洋子
夜桜にあがる焔の二タ柱 高澤良一 さざなみやつこ
夜桜にカーテンコールありにけり 山田弘子 懐
夜桜にこもる茶店の煙かな 夜桜 正岡子規
夜桜にしこたま冷えて戻りけり 高澤良一 鳩信
夜桜にすこし早くて鴨食へり 鈴木鷹夫 春の門
夜桜ににぎはふ恋の神籤かな 大橋櫻坡子 雨月
夜桜にひとりでゐると耳が散る 林桂 銅の時代
夜桜にほつ~雨もよからずや 水守萍浪
夜桜にマグネシウムの煙かな 阿部みどり女
夜桜にわれは黒子となり通る 行方克己 知音
夜桜に逢ひたる人を憶ひ出せず 下村梅子
夜桜に逢ひたる人を思ひ出せず 下村 梅子
夜桜に音のみ激つ湯檜曾川 堀口星眠 営巣期
夜桜に顔衝きあうて出逢ひけり 大橋櫻坡子 雨月
夜桜に寄せオートバイまだ熱し 奥坂 まや
夜桜に客を送りて女中達 松藤夏山 夏山句集
夜桜に琴の音ひびく松本城 松橋昭夫
夜桜に月は七日か八日かな 高橋淡路女
夜桜に古きインキが飛んでゆく 攝津幸彦 鹿々集
夜桜に呼ばれてゆきぬまた一人 山田弘子 懐
夜桜に後ろの闇のありてこそ 今井つる女
夜桜に高く灯れり如意輪寺 松藤夏山 夏山句集
夜桜に魂の抜けゆく音すなり 角川春樹 夢殿
夜桜に三線長けて名護城址 伊舎堂根自子
夜桜に若く悩みて一歩一歩 森田智子
夜桜に愁の面あげにけり 阿部みどり女
夜桜に真つ赤な鯛が隠れをり 金子青銅
夜桜に星無き空の濃紫 成瀬正とし 星月夜
夜桜に青侍が音頭かな 高井几董
夜桜に池を隔てゝ篝かな 高浜年尾
夜桜に通りすがりの尼法師 高橋淡路女 梶の葉
夜桜に透く痩身の十七歳 末里杏介
夜桜に背広の冷えて帰宅せり 正木ゆう子
夜桜に眉失へば妻の妖 長谷川秋子
夜桜に浮びて消えし面輪かな 下村梅子
夜桜に僻地教師の小酒盛 田中静竜
夜桜に歩きて誰も明日知らず 西村 和子
夜桜に帽子を深くしてゆけり 藤田あけ烏 赤松
夜桜に誘ってみてはと付け足せり 高澤良一 鳩信
夜桜に誘はれ出でて父の墓 古賀まり子 緑の野以後
夜桜に来し船の音波の音 塩川雄三
夜桜に攫われし如人消ゆる 村井杜子
夜桜のかなたに暗き伽藍かな 伊藤柏翠
夜桜のざわめきにとり囲まるる 大竹淑子
夜桜のふかれてくれば掌をひらく 細谷源二 鐵
夜桜のフランクフルトソーセージ 高澤良一 寒暑
夜桜のぼんぼりの字の粟おこし 後藤夜半
夜桜のみしみし搖るゝまへうしろ 川崎展宏
夜桜のむらさき色に責めらるる 宇多喜代子
夜桜の一枝長き水の上 高野素十
夜桜の一樹の化粧濃かりけり 行方 克巳
夜桜の雨夜咲き満ちたわゝなり 秋櫻子
夜桜の影うつりたる車椅子 仙田洋子 橋のあなたに
夜桜の円山ゆるき坂がかり 江島つねを
夜桜の宴へ運ぶよ鍋焜炉 北野民夫
夜桜の遠き一本われを待つ 片山由美子 風待月
夜桜の音のひとつに救急車 秋山幸穂
夜桜の下うつうつと蟇急ぐ 矢島渚男 延年
夜桜の下自転車が迅く通る 波多野爽波 鋪道の花
夜桜の鬼気迫りきて通さざる 松山足羽
夜桜の月につらねし障子かな 阿部みどり女
夜桜の三分は淋し身のほとり 立川華子
夜桜の出口を探している二人 対馬康子 吾亦紅
夜桜の鐘聞得たり寒山寺 尾崎紅葉
夜桜の深みに入りて行方知れず 斎藤愼爾
夜桜の真只中に吹かれをり 仙田洋子 橋のあなたに
夜桜の真白に闇を焦がしけり 吉田千嘉子
夜桜の人に混じりて華やがん 高澤良一 寒暑
夜桜の水底に見ゆ高台寺 松尾初美
夜桜の雪洞ここから称名寺 高澤良一 暮津
夜桜の雪洞高くここ低く 高澤良一 暮津
夜桜の雪洞尽きるところまで 高澤良一 宿好
夜桜の全てが見えるプレパラート 対馬康子 純情
夜桜の地霊こもれる高さまで 勝又民樹
夜桜の中に火ともす小家哉 夜桜 正岡子規
夜桜の汀に湖が来て湛ふ 榎本冬一郎 眼光
夜桜の天蓋ゆるびなかりけり 行方克己 昆虫記
夜桜の灯うらの瀬音なりしかな 山田弘子 こぶし坂
夜桜の灯の消えし奈落かな 土屋秀穂
夜桜の白を極めて女人堂 影島智子
夜桜の分厚き天を戴ける 嶋田麻紀
夜桜の幕の隙間の海黒し 皆川白陀
夜桜の夜も藍の香浴衣染 百合山羽公 寒雁
夜桜の冷え込み上着一枚分 高澤良一 寒暑
夜桜の和歌山城に寄るも旅 田辺虹志
夜桜の篝の籠や昼閑なり 西山泊雲 泊雲句集
夜桜の頤に河流れゐる 岡井省二
夜桜へわれらまあるく崩えてゆく 穴井太 ゆうひ領
夜桜へ悪徳灸師と錠前師 攝津幸彦 未刊句集
夜桜へ開け放ちあり城の門 安原久雄
夜桜へ高張ともす高台寺 吉岡保子
夜桜へ志功の菩薩うかれ出づ 柳下舟灯
夜桜へ社を抜けて行きにけり 高濱年尾 年尾句集
夜桜へ出てしまひたる下宿かな 五十嵐播水 播水句集
夜桜へ出不精の夫さそひけり 上原瑞子 『燈台草』
夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと 高澤良一 宿好
夜桜も思ひて父の忌を待てる 百合山羽公 故園
夜桜も淋しきことでありにけり 比叡 野村泊月
夜桜やうらわかき月本郷に 石田波郷
夜桜やながながと鳴る警報機 片山由美子 天弓
夜桜やなだれうつかに師の遺稿 斉藤夏風
夜桜やひとつ筵に恋敵 黛まどか(1965-)
夜桜や雨ふる中の電気燈 夜桜 正岡子規
夜桜や宴に一品持ち寄りて 小川 守
夜桜や遠くに光る潦 阿部みどり女
夜桜や嫁の仕事を打遣りて 津田ひびき
夜桜や介護の人の少し酔ひ たかおさむ
夜桜や海の底にも峰聳え 三森鉄治
夜桜や幹黒々と逞しき 石崎鬼門
夜桜や汽車の白煙ふんだんに 山口誓子
夜桜や香典返しの酒がある 武田和郎
夜桜や此の桶は此の馬のもの 星野紗一
夜桜や祭見んとて老いにゆく 森澄雄 浮鴎
夜桜や四五人帰る小提灯 島村はじめ
夜桜や寺の一室カーテン引く 右城暮石 上下
夜桜や蒔絵に似たる三日の月 夜桜 正岡子規
夜桜や修善寺に買ふ髪飾り 南雲秀子
夜桜や十二欄干灯幽かなり 夜桜 正岡子規
夜桜や松を境に花明り 夜桜 正岡子規
夜桜や梢にうつろあるごとく 高濱年尾 年尾句集
夜桜や梢は闇の東山 田中王城
夜桜や上野を通る戻り道 夜桜 正岡子規
夜桜や真珠のピアスつけしまま 徳田千鶴子
夜桜や人静まりて雨の音 夜桜 正岡子規
夜桜や星あふるると誰か言ふ 岡田 和子
夜桜や星なき空に花高く 岩田由美 夏安
夜桜や声かけられてゐるは憂し 仙田洋子 橋のあなたに
夜桜や相馬は松も大ぶりに 世古諏訪
夜桜や大雪洞の空うつり 子規
夜桜や誰やら打し紙礫 井上井月
夜桜や池田はふるき酒どころ 北市秋帆
夜桜や辻燈籠の片うつり 夜桜 正岡子規
夜桜や灯明ゆらり人ゆらり 広戸英二
夜桜や波見えずして海動く 高橋悦男
夜桜や扉の御紋章月ふれず 渡邊水巴 富士
夜桜や風湧いて人影の立つ 原田種茅 径
夜桜や物の怪通るとき冷ゆる 春樹
夜桜や歩むひびきに水揺るる 阿部みどり女
夜桜や葉桜や三味爪弾いて 小坂 順子
夜桜や露ちりかゝる辻行燈 夜桜 正岡子規
夜桜や老いて妖しき夢をみる 清水基吉
夜桜を暗くす墨をつけし爪 長谷川かな女 花寂び
夜桜を家康公と見てをりぬ 新川澄子
夜桜を駆け抜け行きし漢かな 行方克巳
夜桜を駈け抜け行きし漢かな 行方克己 知音
夜桜を見ずに別れの談義かな 宇津木玲華
夜桜を見て横丁の三ノ輪線 両角玲子
夜桜を見て今日のことけふ忘る 金田咲子
夜桜を見て来し裾の汚れかな 茨木和生
夜桜を見にと男を募りけり 金久美智子
夜桜を見るにタオルを首に巻き 平松荻雨
夜桜を見んとて場所を移しけり 高村寿山
夜桜を見上げて言葉胸に秘め 松村久美子
夜桜を見上げ生者の側に居る 大串章
夜桜を産みたき処女と手を繋ぐ 林桂 銅の時代
夜桜を思ひ寝にせむ雨の音 小沢碧童
夜桜を鎮めて雨の少し降る 高澤良一 寒暑
夜櫻となりゆく川の面かな 綾部仁喜 寒木
夜櫻にまじる裸木恐ろしく 千原叡子
夜櫻に人牛(くだん)の通るお濠ばた 筑紫磐井 婆伽梵
夜櫻に毒婦いたぶる巡羅をり 筑紫磐井 婆伽梵
夜櫻に話の後を出かけけり 池内たけし
夜櫻のどこにも亡き父ばかり酔う 永田耕一郎
夜櫻のぼんぼりの字の粟おこし 後藤夜半
夜櫻の一枝長き水の上 高野素十
夜櫻の月につらねし障子かな 阿部みどり女
夜櫻の中有にあそぶおもひかな 横田昭子
夜櫻やこゝより見えぬ東山 高野素十
夜櫻や街あかりさす雲低し 富田木歩
夜櫻や中に電燈の赤き青き 寺田寅彦
夜櫻や二階灯りて大藁屋 島村はじめ
遊行とは夜桜に鳴る吉野川 鈴木鷹夫 春の門
夜桜 補遺
うつくしき桜の雨や電気燈 正岡子規 夜桜
そこには灯遠き夜桜遠木蓮 中村草田男
そよりともせぬ夜櫻に立ちゐたり 星野立子
ながながと桜の上や月一つ 正岡子規 夜桜
ふぶかんとおもひ朝昼夜の桜 鷹羽狩行
ふりかへるとき夜桜のはばたける 上田五千石 天路
ふるへとも朧夜桜露もなし 正岡子規 夜桜
みつみつの夜桜鬼気を醸したる 能村登四郎
一枝折り二枝折り盗る夜の桜 右城暮石 句集外 昭和三十年
炎えている他人の心身夜の桜 西東三鬼
既にして夜桜となる篝かな 日野草城
吉原の朧夜桜露もなし 正岡子規 夜桜
吉原や雨の夜桜蛇目傘 正岡子規 夜桜
九時の鐘に茶店を鎖す桜かな 正岡子規 夜桜
空の路きて夜桜の人となる 鷹羽狩行
月よひよひ桜の一重二重哉 正岡子規 夜桜
月よひよひ桜日に日に満てる哉 正岡子規 夜桜
工笛が一散に去る夜の桜 山口誓子
更くる夜をしづまる村の桜かな 正岡子規 夜桜
更くる夜を静まる里の桜哉 正岡子規 夜桜
産月近づく夜桜に櫂の音近づく 中村草田男
持重る月夜桜の雫かな 正岡子規 夜桜
人稀のハイドパークの夜桜に 上野泰
清水や桜の上の鉄燈籠 正岡子規 夜桜
雪と見る桜の上や月一つ 正岡子規 夜桜
川音に高低のあり夜の桜 細見綾子
大門や夜桜深く灯ともれり 正岡子規 夜桜
誰そや上野の月夜桜に詩を吟す 正岡子規 夜桜
誰も来てゐぬ夜櫻や寂として 高浜年尾
朝桜夜桜わが家への近道 桂信子 晩春
転舵せしとき夜桜の強燭光 鷹羽狩行
電燈の雨うつくしき桜哉 正岡子規 夜桜
灯のともる雨夜の桜いぢらしや 正岡子規 夜桜
半玉が燭の心剪る桜かな 正岡子規 夜桜
病篤き人と故人と夜櫻と 星野立子
並みゆけど歎けばさむし夜の桜 鷲谷七菜子 黄炎
門の花夜行く人の小唄哉 正岡子規 夜桜
夜の桜咲き極まれば息苦し 橋閒石
夜の桜満ちて暗くて犬噛み合ふ 西東三鬼
夜の桜翼なきもの地に騒ぐ 桂信子「草影」以後
夜の桜麓の道の八方に 角川源義
夜の櫻咲き満つ枝に手届かず 右城暮石 句集外 昭和二十八年
夜桜となりはて星がきらびやか 日野草城
夜桜にこもる茶店の煙かな 正岡子規 夜桜
夜桜に何も持たぬ手冷たしや 右城暮石 句集外 昭和三十一年
夜桜に後歩きも妻恋ひつつ 中村草田男
夜桜に坐す凸凹も興とせり 右城暮石 一芸
夜桜に読むこれがわが表札か 鷹羽狩行
夜桜に来し手じんじん血が通ふ 右城暮石 句集外 昭和三十三年
夜桜に燿りし木椅子の釘ゆるぶ 上田五千石『田園』補遺
夜桜のふかれてくれば掌をひらく 細谷源二 鐵
夜桜のぼんぼりの字の粟おこし 後藤夜半 翠黛
夜桜の意外の寒さから戻る 鷹羽狩行
夜桜の一枝長き水の上 高野素十
夜桜の下自転車が迅く通る 波多野爽波 鋪道の花
夜桜の瓦斯燈の蔭に見しは犬 加藤秋邨
夜桜の中に火ともす小家哉 正岡子規 夜桜
夜桜の灯のさきがけに厠の灯 鷹羽狩行
夜桜の灯のつづきにて暗き家路 津田清子 礼拝
夜桜の夜も藍の香浴衣染 百合山羽公 寒雁
夜桜の篝火が生む化鳥かな 佐藤鬼房
夜桜の頤に河流れゐる 岡井省二 有時
夜桜も思ひて父の忌を待てる 百合山羽公 故園
夜桜やさんらんとして星満天 村山故郷
夜桜やそのかみ父母へ帰りし道 中村草田男
夜桜や雨ふる中の電気燈 正岡子規 夜桜
夜桜や影の大きな人往き来 桂信子 花影
夜桜や忌むにをんなと灯と月と 上田五千石『琥珀』補遺
夜桜や汽車の白煙ふんだんに 山口誓子
夜桜や月の紋章月の中 中村草田男
夜桜や港の船の見ゆる園 山口誓子
夜桜や寺の一室カーテン引く 右城暮石 上下
夜桜や蒔絵に似たる三日の月 正岡子規 夜桜
夜桜や手頃荷振りて人の母 中村草田男
夜桜や十二欄干灯幽かなり 正岡子規 夜桜
夜桜や十本ばかり雪洞を 山口青邨
夜桜や松を境に花明り 正岡子規 夜桜
夜桜や上野を通る戻り道 正岡子規 夜桜
夜桜や人静まりて雨の音 正岡子規 夜桜
夜桜や星数透くは山桜 中村草田男
夜桜や先生は死にき師は死にき 村山故郷
夜桜や大雪洞の空うつり 正岡子規 夜桜
夜桜や辻燈籠の片うつり 正岡子規 夜桜
夜桜や灯の障子より男子のこゑ 野澤節子 未明音
夜桜や扉の御紋章月ふれず 渡邊水巴 富士
夜桜や露ちりかゝる辻行燈 正岡子規 夜桜
夜桜を見にゆく帯を締め直し 鈴木真砂女 紫木蓮
夜桜を扇びらきに御苑かな 鷹羽狩行
夜櫻の仰ぎてうつろなるところ 高浜年尾
夜櫻の体重計に銭をおとす 水原秋櫻子 蘆刈
夜櫻やうらわかき月本郷に 石田波郷
夜櫻やこゝより見えぬ東山 高野素十
夜櫻や遠ざかり来てかへりみる 富安風生
夜櫻や高尾を照す月くらき 水原秋櫻子 残鐘
夜櫻や祭見んとて老いにゆく 森澄雄
夜櫻や梢にうつろあるごとく 高浜年尾
夜櫻や城陥りて四百年 水原秋櫻子 殉教
夜櫻や仙丈ケ岳にひかる雪 水原秋櫻子 殉教
夜櫻や疲れて知らぬ町ゆけば 水原秋櫻子 霜林
夜櫻や篝の煙ほそ~と 高野素十
夕ざくら見て夜桜を思ひをり 岸田稚魚 紅葉山
夜桜 続補遺

月の夜の桜に蝶の朝寐哉 千代尼
寝耄御前山路に初夜の桜狩 井原西鶴
夜桜に青侍が音頭かな 几董
夜桜に諷う拍子もなかりけり 杉風
以上


by 575fudemakase | 2018-03-28 07:13 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

浜大根の花

浜大根の花


舟を置く浜大根の花の中 草間時彦 櫻山

浜大根何處から降りても小網代湾 高澤良一 石鏡

浜大根咲いて三里の砂丘鳴る 白井眞貫

風垣の海側が好き浜大根 岩坂満寿枝

浜大根節くれ立てる豆の莢 高澤良一 素抱

この先に径無ささうで浜大根 高澤良一 素抱

週末の海ひろびろと浜大根 高澤良一 随笑

浜大根咲くやひねもすささら波 藤田れい子

浜大根網も五色の御座の磯 鈴木公二

風はたゞ浜大根の花を吹く 森田 峠

野大根も花咲きにけり鳴く雲雀 一茶

七種や常はやせたる野大根 嵐青


by 575fudemakase | 2018-03-25 16:26 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

種痘 の俳句

種痘 の俳句
種痘

あゝ誰も種痘の痕を窶しゆく 中原道夫
いとけなき腕に種痘の華四つ 福田蓼汀
こでまりの花さき種痘よくつきぬ 金子伊昔紅
その中に妓もまじれる種痘かな 五十嵐播水 播水句集
たのもしき発句の医(くすし)や吾子種痘(片山郷邨氏に) 『定本石橋秀野句文集』
ぬかるんで植疱瘡の戻りみち 石川桂郎 四温
鋭きもののこちら向きなる種痘かな 山口誓子
横むいて種痘のメスを堪えにけり 篠原鳳作
沖遠く白き船ゆく種痘かな 安住 敦
皆若き職場の種痘我もうく 右城暮石 声と声
菊作り顏に疱瘡のある男なり 菊 正岡子規
泣き声のつぎつぎ雪の種痘室 福田甲子雄
泣声のつぎつぎ雪の種痘室 福田甲子雄
灸花疱瘡神にからみつく 滝沢伊代次
供待に医者の俥が種痘の日 石川桂郎 四温
傾城の疱瘡うゑる日永かな 寺田寅彦
固き帯に肌おしぬぎて種痘かな 竹下しづの女 [はやて]
枯るる邑仏と棲ふ疱瘡神 大熊輝一 土の香
梧桐のやゝ暗かりし種痘かな 岩田潔
種ゑ疱瘡つきし一顆も天瓜粉まみれ 篠原梵
種痘ある寺の境内人往来 山内十夜
種痘うくかひなしづかにあづけたる 亀井糸游
種痘うむ熱のいとまの朝日かな 『定本石橋秀野句文集』
種痘する机の角がそこにある 波多野爽波
種痘する児のいとしさや抱き上げて 島田青峰
種痘する女ながらも校医かな 松浦 沙風郎
種痘する村のいつもの老医かな 高浜虚子
種痘する肌の魔幽くかゞやけり 飯田蛇笏 霊芝
種痘つく柱の中を汽車が過ぎ 宮坂静生
種痘の子冷たき器具にためらへり 塚原麦生
種痘の児泣きつつ我をにらみけり 中田品女
種痘の児讃歌のごと泣きいでぬ 石田波郷
種痘の日まだ少女めく母もゐし 車谷弘
種痘医に老醜の肘せまりつゝ 軽部烏頭子
種痘痕薄れつつあり更衣 坂野宜枝
種痘針きめこまかなる娘をさしぬ 飯田蛇笏 春蘭
種痘日の教師を淡く記憶せり 藤田湘子
種痘日の尼院の椿もえにけり 石原舟月 山鵲
焼跡の植疱瘡の列あはれ 石田波郷
進水待つ子等種痘の赤さまた見せあひ 加藤知世子 花寂び
星月夜おびえさめつゝ種痘うむ 『定本石橋秀野句文集』
昔むかしの種痘の痕のまだ痒し 能村登四郎 寒九
赤幟疱瘡の神を送りけり 神送 正岡子規
雪の夜の子にほのぼのと種痘熱 細川加賀 『傷痕』
雪歇まず入学の子の種痘日よ 千代田葛彦
凧あぐる風にこぼすやいも(疱瘡)麻疹 白良 芭蕉庵小文庫
桃の門種痘と書いて張札す 寺田寅彦
灯ちら~疱瘡小家の雪吹哉 一茶 ■寛政六年甲寅(三十二歳)
灯ちらちら疱瘡小家の雪吹かな 一茶
酉の市疱瘡神も照らさるる 高野素十
美しく血色見え来し種痘かな 水原秋桜子
父の日や父に種痘の痕六つ 増田栄子
母の乳のしぼみ給へる種痘かな 飯田蛇笏
毛氈の赤き座敷に種痘する 田中冬二 俳句拾遺
予防注射したもののさあどうなんだ 高澤良一 宿好
旅立の疱瘡神もしんがりに 宇田川八重子
六十余年あっといふ間や種痘痕 高澤良一 暮津
疱瘡(いもい)する児(ちご)も見えけり麦の秋 浪化 俳諧撰集「有磯海」
疱瘡のさんだらぼしへ蛙哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
疱瘡の児に春雪の川走る 中拓夫
疱瘡の神へ彼岸詣のついで哉 彼岸 正岡子規
疱瘡神佐保の小橋を彩りて 桂樟蹊子
茱萸をもぐ女の腕の種痘跡 高澤良一 石鏡
萬壽菊天然痘の神の手に 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
種痘 補遺

いとけなき腕に種痘の華四つ 福田蓼汀 山火
かりそめの種痘のときも医にたよる 山口誓子
たのもしき発句の医や吾子種痘 石橋秀野
ぬかるんで植疱瘡の戻りみち 石川桂郎 四温
ゑんどう咲いて天日濛き日の種痘 佐藤鬼房
鋭きものゝこちら向きなる種痘かな 山口誓子
沖遠く白き船ゆく種痘かな 安住敦
皆若き職場の種痘我もうく 右城暮石 声と声
寒の月硝子に炎えて種痘かゆし 西東三鬼
菊作り顏に疱瘡のある男なり 正岡子規 菊
供待に医者の俥が種痘の日 石川桂郎 四温
古草のばうばう包む疱瘡神 大野林火 月魄集 昭和五十六年
種ゑ疱瘡つきし一顆も天瓜粉まみれ 篠原梵 年々去来の花 皿
種痘うむ熱のいとまの朝日かな 石橋秀野
種痘かゆし枯木に赤きもの干され 西東三鬼
種痘して鏡から出る夜のひかり 藤田湘子
種痘する机の角がそこにある 波多野爽波 鋪道の花
種痘する肌の魔幽くかゞやけり 飯田蛇笏 霊芝
種痘医に寄する腕の肥瘠かな 日野草城
種痘児の寝顔見下ろす着替へつつ 伊丹三樹彦
種痘針きめこまかなる娘をさしぬ 飯田蛇笏 山響集
種痘日の教師を淡く記憶せり 藤田湘子
秋夕立疱瘡神の樹下に避け 上田五千石『琥珀』補遺
焼跡の植疱瘡の列あはれ 石田波郷
星月夜おびえさめつゝ種痘うむ 石橋秀野
昔むかしの種痘の痕のまだ痒し 能村登四郎
赤幟疱瘡の神を送りけり 正岡子規 神送
扇子もて種痘のあとをかくしけり 山口青邨
酉の市疱瘡神も照らさるゝ 高野素十
播水にして貰うたる種痘かな 日野草城
母の乳のしぼみ給へる種痘かな 飯田蛇笏
疱瘡の神へ彼岸詣のついで哉 正岡子規 彼岸
疱瘡神の尖り顎のこし野の円空 金子兜太
種痘 続補遺

はつ雪や乞食疱瘡する菰の下 木導
出がはりは疱瘡ぐしまでもあはれ也 李由
灯ちら~疱瘡小屋の吹雪哉 小林一茶
梅が香や小家の奥の疱瘡病 許六
梅の花つぼむや疱瘡のうみ過し 許六
疱瘡したる顔をならべてかるた哉 〔ブン〕村
疱瘡する児も見えけり麦の秋 浪化
疱瘡のあとは遥に幟哉 其角
疱瘡の跡まだ見ゆるはな見哉 傘下
疱瘡の薬が啼やほとゝぎす 桃後
疱瘡神のねだり事いふ亥の子哉 田川鳳朗
以上

by 575fudemakase | 2018-03-24 07:35 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

桜の俳句 自句(高澤良一)

桜の俳句 自句(高澤良一)


さる俳句雑誌で ”桜の季語”として 桜にまつわる諸季語と

その例句を特集していた。さて自句ではどうなるか?と 早速 出来た

ばかりの 季題別高澤良一全句集を索いてみた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

桜にまつわる自句


以下

「ねず」は句集「ねずみのこまくら」、「もも」は句集「ももすずめ」、

「さざ」は句集「さざなみやつこ」、「ぱら」は句集「ぱらりとせ」の略。



●花 花の山 花の昼 花の鳥 花堤 花の風 花明り  

他愛なく花を見てゐる旅ごころ  燕音

花なんぞ見向きもせざる畑鴉  石鏡

花見むと来しリハビリに気散じに  暮津

花咲くと鳥もすっかりその気になり  燕音

早咲きの花のいたづら心かな  寒暑

勘違いして咲く花に相違なき  寒暑

花ほつほつ咲き出す山に悪路なし  寒暑

可借花散らしその形大き鳥  もも

鵯飛来花散るからに散るからに  鳩信

花散らす風の無理強ひしたりけり  素抱

酔どれのそれそれそれと散る花を  暮津

千鳥ケ淵

花の間鴨広がりて広がりて  随笑

花の間を何処まで飛翔長き鳥  随笑

花の間尾長が通り過ぎしのみ  寒暑

鳥ごゑに奥行き深き花の山  ぱら

だっこしてまたおんぶして花の山  随笑

花の山絶えず子供のこゑがして  寒暑

上からも下からも人花の山  素抱

見通して奥行のある花の山  素抱

禽ごゑのひろがりすぼまり花の山  素抱

花の山騒がしにくる目白かな  素抱

鳥よりも人よく遊ぶ花の山  素抱

精米所横よりのぼる花の山  素抱

いぶりがっこキザミがっこに花の昼  宿好

花の昼人を焼く間の腹ごしらえ  石鏡

垂直に上枝に移る花の鳥  燕音

来年も又来ておくれ花の鳥  燕音

花の鳥あれこれいふを聞き遣りぬ  燕音

間近に来目許くりくり花の鳥  随笑

枝移りして花の鳥こゑ大きく  素抱

すいと来てこんどは小柄花の鳥  素抱

何事かまくし立てたり花の鳥  素抱

桧木内川高堤いま花堤  宿好

花堤万の莚を敷き詰めて  宿好

花堤さてとここらで折り返そ  寒暑

飛来せる一羽花間へもぐり込む  もも

花房に縋れる鳥の紡錘形  もも

首伸ばしすくめつ鵯の花食める  もも

鳥の尾の上下頻々花隠り  もも

花を発つ鳥の胴より翼出で  もも

木を替へて花ついばめる鳥営々  もも

雨に風加はり花を駄目にする  もも

花このまゝ仏生会までもたせたし  さざ

一体に海岸ぷちの花早し  さざ

ときめける花に湿りをくれに雨  さざ

花乏し降られづめなる鵯に  さざ

ほころぶと告ぐる言葉の花より浮く  ぱら

花の風鯉の背鰭を吹きにけり  ぱら

鉛筆を走らす花鳥諷詠漢  ぱら

言語野に射して言の葉花明り  ぱら

当たりゐし山の日を花逸したり  ぱら

雨ありし上野の山の花の首尾  ぱら

花揺るゝは船酔に似て昼日中  ぱら

何もって本復巷は花の頃  鳩信

高遠花祭り

花に浮かれ来たる奴に高遠城  鳩信

藩校の教場抜けて花の風  鳩信

一雨に花崩れたり北の丸  鳩信

真っ白な花に群がる風一目  鳩信

その説に服しぬ花よ鳥よと詠む  燕音

折角の花が霞んで仕舞ひけり  燕音

ゆとりより生るゝものに花の風  燕音

藤右衛門さんのはちまき花談義  燕音

花も又花を了へたら一服す  燕音

花噴いてぼこんぼこんの桜の幹  燕音

花開くまでいろいろな事があり  燕音

気ふさぎの重たき花となりにけり  燕音

花を押す南アルプスよりの風  燕音

内船寺

花の下先師のおはち頭かな  燕音

老若の一切を度す花の風  燕音

割烹

対岸の花を肴に枕流亭  宿好

中尊寺

清衡が夢みし花の仏国土  宿好

花は楚々岩は恢々厳美渓  宿好

魁の一花百花の気概もて  宿好

花照る中チンパンジーは何誇示す  随笑

白隠の書画踏み破る花ごころ  随笑

この先も斯うした花の日和あれ  随笑

むさき身を花の押照る中に入れ  随笑

花畳なはり大観の朦朧体  随笑

かんばせに受けて花吹き余る風  随笑

花房へすうっと鳥の首が伸び  随笑

花つきのよき木とあふぐ二人連れ  随笑

朝夕の殊に夕べの花の相  随笑

花眩しむ人を眩しみ通りたり  随笑

花は花椨は椨にて押し通す  随笑

宴闌けて花びらいろの貫主さま  随笑

花は葉に東鑑にのる社  随笑

花の情一入なれば酒にせん  寒暑

花は今高知の城下に来てみいや  寒暑

靖国神社

かんばせに靖国神社の花の風  寒暑

えらき坂の花の靖国神社かな  寒暑

御社に花の東京の標準木  寒暑

満開のけふを逃して何とする  寒暑

無理強いをして花奪ふ風の暴  寒暑

大鴉姿くらます花の奥  寒暑

動くもの一物もなき花の景  寒暑

走り根の傍へが花の死に処  寒暑

一昼夜風に揉まれて花濃くす  寒暑

五人百姓花に広ぐる風流傘  寒暑

称名寺古図には無かり花の布置  寒暑

さきほどの花も佳けれど此も佳し  素抱

さゑずりのありかは花の奥の奥  素抱

大岡川観桜

おしどりに吹雪ける花の余り風  素抱

棒切れで地図を描ける花の許  素抱

野毛花見

花愛づる毛唐の大首横濱絵  素抱

横濱の花を観るなら掃部山  素抱

花愛でて今様本田平八郎  素抱

花啄まむと鵯身をひねり  素抱

かるめ焼きなど賞味して花の人  素抱

花の蜜くすねに来たる大き鳥  素抱

しばし居る木椅子は花のつめたさに  石鏡

花の日々御飯ふっくら炊きあがり  石鏡

写生の眼花と画帖を往き来して  暮津

花奪ふ風に尻尾のあるごとし  暮津

日曜画家絵筆に含ます花のいろ  暮津

花の下ベルのよく鳴る三輪車  暮津

十日程花遅れたり建長寺  暮津

沿線の花に急かされゆくごとし  暮津

いちにち雨心に烟る花を観て  暮津

空耳に盈ち盈つ花のせりふかな  暮津

●花時 桜時  

身延山

祖師さまの山へのぼらん桜どき  燕音

この人のかうゆう句が好きさくら時  宿好

さくら時堤ゆく人豆粒大  宿好

銭湯の熱くて痒し桜どき  随笑

花どきの鵯のうわまえはね雀  随笑

花どきの乳首の脇へ聴診器  寒暑

里山の下り口三つさくら季  石鏡

●花冷  

花冷の河馬の図体ただよへる  ねず

増上寺

花冷えの此の鐘撞かば木更津まで  もも

花冷えの青天井に及びをり  ぱら

身延山花冷からかね灯籠に  燕音

もくもくと花冷えどきの樺細工  宿好

動物園

花冷えのコンドル無垢の襟巻す  随笑

達磨圖にべたと花冷え花押かな  随笑

花冷えの坊ちゃん列車待機せる  寒暑

花冷えのしんしん山鳥黙すとき  石鏡

花冷えの底出棺の釘打たる  石鏡

●花守 桜守  

わからんと云ひて笑へり櫻守  燕音

●桜 朝桜 夕桜 夜桜 大桜  

鳥入れてさくらのうつらうつらかな  ねず

追ひ追ひに池の廻りのさくら咲く  さざ

横浜絵おろしや

野毛山のさくら馬上に魯西亜人  さざ

曙のさくら一鳥抱へをり  ぱら

幹に花咲かせてさくらはちきれさう  ぱら

海渡りさくら咲かせに一暖雨  ぱら

宿毎に伊那路のさくら愛でゆくも  鳩信

怪童の腕のやうなさくらの枝  鳩信

夫婦して見にゆくさくらありにけり  鳩信

昃りてさくらに彩の戻るなり  鳩信

名庭園ならんとさくらの木も努める  燕音

ソメイヨシノ

人間が構ってやって咲くさくら  燕音

俳句仲間へ

もう十年程ご一緒にさくらの世  燕音

奥山のさくらは白く舂づける  燕音

つくづくとさくら花満ち日に重る  宿好

北国の餅肌いろのさくら咲く  宿好

をととひのさくらがふっと泛かびくる  素抱

人気なきときをさくらの旺んなり  素抱

人ごゑが近みさくらがそはそはす  素抱

平日の山のさくらを一人占め  石鏡

大石の昼行燈にさくらは似  暮津

枝張りも根張りも石割大桜  宿好

山中に達者なりけり大桜  随笑

山中に何時かは亡ぶ大桜  寒暑

根っこより見上げ端山の大桜  石鏡

朝の気の漲る石割桜是  宿好

北上川の朝の水勢さくら満つ  宿好

この静寂破るものなく朝ざくら  素抱

墨堤の浮浪者に湧く朝ざくら  石鏡

蛇口より水迸り朝ざくら  石鏡

朝桜禽掻い潜り掻い潜り  暮津

夜桜にあがる焔の二タ柱  さざ

夜桜に誘ってみてはと付け足せり  鳩信

夜桜にしこたま冷えて戻りけり  鳩信

夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと  宿好

夜桜の雪洞尽きるところまで  宿好

夜桜の人に混じりて華やがん  寒暑

道後公園

貸し練炭貸し茣蓙夜桜真っ盛り  寒暑

夜桜の冷え込み上着一枚分  寒暑

夜ざくらを口あんぐりと開けみる児  暮津

夜桜の雪洞高くここ低く  暮津

たんたんと咲く夜ざくらに飛行音  暮津

夜ざくらに酔ふて地に置く紙コップ  暮津

夕桜すっと色調落しけり  宿好

夕風に揉まるる桜ここから帰路  暮津

人の出も日増しにソメイヨシノかな  ぱら

ひよひよと大島桜吹かれをり  ぱら

鳥らいそいそ河津桜の原木へ  ぱら

幹ずんと押し出しのよき里桜  ぱら

行水所コヒガンザクラ明りして  鳩信

長官愛づ櫻なりきと顎引く  鳩信

横須賀安浦旧鎮守府長官  官舎

鎮守府の櫻の上に海展け  鳩信

なかなかの櫻と幹に手を掛けて  鳩信

満開の心を一に濠桜  鳩信

このとほり櫻は場所を選ばない  燕音

櫻の幹叩き鼓舞せる男あり  燕音

大櫻之ある哉の裁判所  燕音

日本の櫻を他国に植う話  燕音

雨ありてあとは櫻の花次第  燕音

振り返る桜がそこにあればなり  燕音

沿線の桜見ながら汽車ぽっぽ  燕音

曙の桜どの木も気を張りて  燕音

年寄ったなりの咲き方桜もす  燕音

咲く桜暦代りの世も絶へて  燕音

思ひも見よ山の桜の根の張り方  燕音

桜には桜の営みそを通す  燕音

野暮天のソメイヨシノといふ勿れ  燕音

いずくにて死に候とも墓を身延の沢にさせ候べく候 日蓮

一わたり歩き身延の沢櫻  燕音

風はたと絶えし桜の日に重る  宿好

石割桜

石割のえらい桜を一目見ん  宿好

あれまあと石ぶち割って咲く桜  宿好

野毛の桜昭和の戦見て来しと  随笑

先手取るごとく咲き出すこの桜  随笑

桜誉むこゑもいろいろ女衆  随笑

奢るとはめっそうもなき家桜  随笑

鳥がゐて写真家がゐて桜の木  寒暑

お天道様山の桜に花授け  寒暑

一雨のあと立ち直る桜かな  寒暑

瀬戸内の桜見え来て機は下降  寒暑

都内にしてもう咲く大島桜かな  素抱

失敬す大島桜の花房を  素抱

ひとびとは立ち去り櫻は残りけり  素抱

この山の一押し桜咲きにけり  素抱

枝のさきまだ咲く余地のある桜  素抱

散りしきる桜に欲しき越天楽  素抱

模糊と見て桜のなかに末期の眼  素抱

スタジオに持ち込む河津の初桜  石鏡

平日の桜の中を通りけり  石鏡

水道で洗ふ掌赤し初ざくら  石鏡

馬の背みち山の桜はまばらが佳し  石鏡

横須賀海軍鎮守府

鎮守府の苔むす桜何見て来し  暮津

●山桜  

山ざくら吹き割る風のいくそたび  もも

いつときは光帯びけり山桜  ぱら

揺れ出して息呑むほどの山ざくら  ぱら

本来の彩は斯くなる山ざくら  ぱら

日本語乱れ初めても山櫻  ぱら

山櫻さう山櫻葉の臙脂  鳩信

好きな木を一つ挙げれば山櫻  燕音

地味ありて枝隆々の山櫻  燕音

ぽんぽんと山桜置き遠山並み  燕音

法燈の山櫻いろ夕づきぬ  燕音

野毛山の十日も早き山ざくら  寒暑

尾根辿れば当り籤めく山ざくら  寒暑

山ざくら遽か下界といふものあり  寒暑

一行に飛花ふるまへり山ざくら  寒暑

山桜天を伝ひて風響き  寒暑

山ざくら散るとき音色あらまほし  寒暑

烈風にどうするどうする山桜  石鏡

●八重桜  

かろがろと昼月上げて八重櫻  もも

八重桜大社を巫女の往き交へる  随笑

八重桜瞼重たくなりにけり  随笑

日は闌けに闌けて悶々八重櫻  暮津

八重櫻足懈く道戻りけり  暮津

●遅桜  

山腹に鳥を下ろせし遅櫻  もも

●桜蘂降る  

さくら蘂降る制服の紺の肩  ねず

桜蘂ばかりの赭き木となれり  ぱら

桜蘂降らすや三嶋大明神  随笑

樹下にゐて雀もさくら蘂浴めり  寒暑

良寛像足許埋む桜しべ  寒暑

桜蘂降らせて雨の粗くなる  暮津

●花見 花見客 桜狩 桜見に 花筵  

昼下り自転車で来てさくら狩  燕音

当山の門徒ならねど桜狩  燕音

桜狩たぷんと水筒背に鳴りて  石鏡

地下街で稲荷購ひ桜狩  石鏡

花を見る心ええならええ花見  燕音

花見客杖を忘れし身延線  燕音

ネクタイをして花見とは上野山  宿好

出来れば近場妻との花見何處にせん  宿好

川沿ひにセスナ機飛んで花見時  宿好

東京の花見がてらの通院日  寒暑

花見支度し居れば雨や肩すかし  寒暑

お花見のおあづけとなる朝の雨  寒暑

腰どんと地べたに据えて花見かな  寒暑

松山中学校跡

濠端の花見に夏目金之助  寒暑

花見客もう百段に顔見合はせ  寒暑

称名寺鴨も花見と洒落にけり  素抱

その頃となれば花見に徒心  素抱

花見弁当ひらけば鳩の優しく寄る  石鏡

沿線の花見切符を撫しながら  石鏡

母の云へる

米寿まで生きたついでの花見せむ  石鏡

花見衆持ち込む小ぶりの瓦斯ボンベ  暮津

花見客に唸る屋台のバッテリー  暮津

かわず掛け河津が郷のさくら見に  ぱら

楽しんでよるひるざくらあさざくら  燕音

夜ざくらを見にゆく元気既になし  燕音

花は佳し桜しべまで見尽して  燕音

まどろんで先師が花に遊べる図  燕音

人間の勝手放題花を見る  燕音

根っからの浜っ子野毛の桜見に  燕音

ホテル

花巡り今日の泊りは武蔵坊  宿好

花莚抱え挨拶交しをり  随笑

花を見る目配りにさへお人柄  寒暑

花を見て花の生み継ぐ風を見て  寒暑

沿線の桜見ながら羽田まで  寒暑

花筵てふ大仰なもの持たず  素抱

靴脱げる処が玄関花筵  暮津

走り根の出っ張り避けて花筵  暮津

●花人  

墨堤に花人となる足慢ろ  寒暑

花人にはいごめんよと上り駕籠  寒暑

花人の足腰問はる象頭山  寒暑

明日雨の予報に繰り出す花の人  石鏡

●花疲  

大仏を割愛したる花疲れ  随笑

花疲れまくりしシャツの袖おろす  石鏡

●落花 花散る 散る花 花吹雪 花屑 花の塵  

 飛花  花筏

散るさくらタイムカプセル埋めし地に  ねず

*北条実時銅像。重時は極楽寺殿、時頼は最明寺殿と称されれば

称名寺殿の頭に花散れり  さざ

一巻の終りの花の水に散る  燕音

海浜の雨は曲者花散らす  燕音

堤より花の散り込む遊び舟  宿好

あとは散るばかりの花にふふむ酒  随笑

けふあたり出向きおかねば散る花ぞ  寒暑

朝風に流離流離と花散るも  寒暑

石手寺に花は散るのみ徒遍路  寒暑

山鳥の呂律に合はせ花の散る  石鏡

日曜の花散らす雨罪作り  石鏡

登り詰め櫻吹雪の別天地  燕音

横目にて象は吹雪ける花を見ぬ  随笑

花吹雪次の一ト吹き待ちゐる眼  随笑

花吹雪そびらに駈け出したくなりぬ  随笑

花吹雪く度に両掌をひらく人  随笑

立ちつくしそのまま浴びぬ花吹雪  随笑

花吹雪人の話の腰折りて  随笑

吹雪くたびこれはこれはの山ざくら  随笑

こんな日が三日続けば花吹雪  寒暑

林間を真一文字に花吹雪  寒暑

花吹雪こりゃまたなんと佳き風情  寒暑

花吹雪ぱっぱと金比羅大権現  寒暑

花吹雪雪洞にまだ吹き足らず  素抱

花吹雪小公園を突っ切りて  素抱

谷戸住みの醍醐味は是花吹雪  石鏡

花吹雪易者は八卦うち振りて  石鏡

春疾風それに倍する花吹雪  暮津

唐破風をつゝと花屑奔りけり  ぱら

花屑に小旋毛風立ちぬ愛宕山  燕音

走り根に花屑の風堰かれけり  燕音

蹼のたわたわ花屑踏みつけに  燕音

シーソーの花屑吹いて跨りぬ  燕音

花屑の犇めき合へる轍あり  随笑

花屑の中のひとひら返す風  随笑

夕雀花屑蹴って発ちにけり  随笑

花屑に風そろそろとたちつてと  素抱

青空へ一二三と飛花発ちて  燕音

本山の飛花つきあたる堂障子  燕音

身延山ひたすら空を亘る飛花  燕音

飛花よぎりけり北之坊岸之坊  燕音

繽紛と飛花の舞ふ方衣川  宿好

渓底の甌穴に飛花あやまたず  宿好

オオヘビガイ出土貝塚飛花よぎり  随笑

杖を突く音のぱったり飛花あふぐ  随笑

石畳飛花着地して石のいろ  随笑

風太郎よこぎる飛花に眼を上げて  寒暑

鼻先をよぎりて飛花の舞踏団  寒暑

一行に飛花ふるまへり山ざくら  寒暑

腰下ろすところへ飛花の次から次  素抱

てのひらに飛花を掬へば浮き立つ彩  素抱

弘明寺観音観桜

赤塗りのひょうげた仁王飛花よぎり  素抱

飛花の風辺りが透けて見えにけり  素抱

飛花当る雪洞舟和の芋ようかん  石鏡

洪鐘に飛花の当たりてはたと落つ  暮津

エナメルの靴先に飛花舞ひ込める  暮津

とびっきり遠くへとべる飛花一つ  暮津

飛花舞はす風の一変フォルテッシモ  暮津

只管になること落花には如かず  鳩信

階に池に落花の選り好み  宿好

落花ひとひら二本松少年隊  宿好

落花踏み歩む堤よ北上よ  宿好

高館の落花しづしづ静の舞  宿好

クルス

外人墓地十字架の間を落花抜け  随笑

上枝より落花飛脚の発つごとし  随笑

落花受く地べた凹凸ありにけり  随笑

落花嗅ぎ年寄る象の浜子さん  寒暑

町雀雨の落花を足蹴にす  寒暑

赤銅いろ陸上トラック落花馳せ  素抱

鷲掴み落花放してみせにけり  素抱

花筏などとはとても云へぬもの  燕音

花降れる地べたに雀色動く  燕音

川原石の隙を見つけて花の塵  燕音

花筵山の夕冷え払ひけり  寒暑

花筏日を経し彩を泛かべをり  石鏡

石組の石を押すなり花筏  暮津

●花曇 養花天  

鈍器もて物を割る音花曇り  燕音

嘴のずんと重たき花曇り  燕音

養花天選挙合戦空ラ響き  素抱

●葉桜  

葉の混んできたるさくらの幹にほふ  ねず

葉ざくらの候と書き出し本降りに  ねず

身の廻り小出しに詠ひ葉ざくら季  ねず

葉ざくらに一も二もなく染まりけり  ぱら

葉ざくらに葉ざくらのいろ正受庵  燕音

葉ざくらの葉末までゆきわたる風  宿好

葉桜を猶猶蒼く風吹けり  随笑

無為の日々葉ざくらを風養へり  随笑

百葉箱葉ざくらの青一途なる  寒暑

葉桜の毛虫垂るるによき暗さ  素抱

葉ざくらや日の斑を顔に胸肩に  暮津



by 575fudemakase | 2018-03-24 01:42 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

郁李の花 の俳句

郁李の花 の俳句
郁李の花

にはうめの咲いてあたりの風甘し 大島早苗
安らぎの日々郁李の花ほどに 高澤良一 寒暑
郁李に春光あはき蝶のかげ 西島麦南 人音
郁李の咲けば出がけに立寄りて 高澤良一 さざなみやつこ
郁李は見る人に見ゆそんな花 高澤良一 寒暑
郁李や早め早めとなる起居 高澤良一 暮津
曙や郁李の匂ふ家の前 青木月斗
是しきの雨に郁李散れるなり 高澤良一 さざなみやつこ
先住の愛でし郁李今も咲く 手塚基子
庭桜ほつたらかして来し吉野 大久保白村
庭桜轟音近代を誇示し去る 林原耒井 蜩
庭桜返り咲きたる今年かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
庭梅の今を盛りと老にけり
転居シテ椿咲ク庭梅ちる戸 椿 正岡子規
洞然と白昼の庭梅もどき 飯田蛇笏
父母老いて朝餉静かや庭桜 高浜年尾
風花の如郁李の散る日かな 橋本 道子
母の影うつろふ庭の花郁李 麻生 良昭
命得てまためぐりあふ庭桜 大高霧海
郁李の花 補遺

この空に月をおきてむ庭桜 山口青邨
郁李に春光あはき蝶のかげ 西島麦南 人音
月のせて夜は更けゆく庭桜 山口青邨
書屋の灯雪洞めかし庭桜 山口青邨
庭桜よき月をのせ寝ぬるころ 山口青邨
庭桜咲いて夜風に敏くゐる 鷹羽狩行
転居シテ椿咲ク庭梅ちる戸 正岡子規 椿
以上

by 575fudemakase | 2018-03-21 09:30 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)


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by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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