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カテゴリ:秋の季語( 1335 )

拙句 八月の俳句

拙句 八月の俳句


屑籠の屑仕分けして八月尽 高澤良一 暮津


手すさびの手のゆく腋毛八月尽 高澤良一 暮津


這ひ止まぬ蔓の八月終りけり 高澤良一 暮津


小遣いの前借りなどして八月盡 高澤良一 暮津


真水飲み噎ぶ八月十五日 高澤良一 暮津


八月の雨ここちよき韻きかな 高澤良一 暮津


記憶すら風化八月十五日 高澤良一 暮津


ひっちぎる日めくり八月十五日 高澤良一 暮津


無防備な裸の八月十五日 高澤良一 暮津


もの溢る屑籠八月十五日 高澤良一 暮津


物故者一名俳誌八月号末尾 高澤良一 暮津


揚げものの蒜肴に八月尽 高澤良一 暮津


煮浸しの鮃を返す八月尽 高澤良一 石鏡


かさぶたを掻きこはす癖八月尽 高澤良一 石鏡


八月の擦り傷の跡ほの白し 高澤良一 素抱


供華枯れて八月の墓茫とあり 高澤良一 素抱


八月盡つまめる梨の口当り 高澤良一 素抱


メモ帖に八月盡の鉛筆書き 高澤良一 素抱


八月盡おいてきぼりの蝉が鳴く 高澤良一 素抱


八月の器に満たす水の音 高澤良一 素抱


八月の口開けてゐる夢の中 高澤良一 素抱


八月の負ふてゐるもの何々ぞ 高澤良一 素抱


少し酸きぶだう八月始まれり 高澤良一 素抱


八月の暗室に入り胸部撮る 高澤良一 随笑


八月の雀と仰ぐ八ヶ岳 高澤良一 随笑


八月の巖のか黝く東尋坊 高澤良一 宿好


八月を乗り切る麻婆豆腐(まあぼうどうふ)食べ 高澤良一 寒暑


かざし見る眼鏡の塵や八月盡 高澤良一 寒暑


八月の山毛欅の木洩れ日薬草に 高澤良一 寒暑


八月のフェリー向かふは苫小牧 高澤良一 寒暑


人を呑む波の八月まったなし 高澤良一 寒暑


頭の赤く八月盡の醤油壜 高澤良一 寒暑


八月も終りに降れる雨に斑 高澤良一 ぱらりとせ


(末尾は句集名)

以上


by 575fudemakase | 2019-05-20 04:09 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

稲田

稲田

ガソリンの活性の香よ稲田べり 山口誓子
キャタピラーならず稲田の祭山車 山口誓子
ことばかけては人通る稲田いちにち シヤツと雑草 栗林一石路
この雨に刈り兼ねてある稲田かな 深見けん二 日月
ゴルフ網いまは稲田の黄を透かす 山口誓子
ころり往生稲田の案山子見て御座りし 矢田鹿苑子 『白雲悠々』
たわわなる稲田に低き川原寺 松崎鉄之介
なほ稲田ゆく汽車妻が下りし汽車 山口誓子
ふるさとの稲田は低し野辺送り 広瀬みわ
みちのくの空の広さの稲田かな 鈴木わかば
よく育つ稲田に深き靴のあと 澤内ゆき子
一家鮮し稲田へだてて手を振れば 堀 葦男
一石路の「鎌の柄談議」君の故郷の貧乏稲田 橋本夢道 良妻愚母
一坪の園児の稲田案山子立つ 内久根眞也
一望の稲田母なる大野川 渡辺 彦陽
一望の稲田豊かな湯川村 山口瑞穂
一路国道九号線稲田一望 荻原井泉水
稲妻の百刄稲田湿りもつ 吉田銀葉
稲田あり*どあり日本に似たるかな
稲田とる巾あり峡のこの辺り 高澤良一 燕音
稲田の黄見れば見るほどよき色す 右城暮石 句集外 平成四年
稲田の上にわがシャツも浮き夜明けの車窓 金子兜太
稲田バス軽き老母の揺れどほし 津田清子
稲田へぬけてゆく跫音を更けてきく 川島彷徨子 榛の木
稲田ゆくまぢかの稲の一つづつ 桂郎
稲田ゆく自転車重き農婦乗せ 山口誓子
稲田より襁褓吹かるるわが家指す 伊丹三樹彦
稲田より雉子のとびたる丹波かな 高野素十
稲田を前富士は富士のみとして大き 松崎鉄之介
稲田黄に山は落とす辛亥の木の実 山口青邨
稲田黄に全盲の画家犬と戯(ざ)れて 金子兜太
稲田描く油絵の具を盛り上げて 高澤良一 寒暑
稲田風総身にうけ熟睡せり 佐川広治
稲田夜も黄色し海にこだま走り 金子兜太
稲田夕焼、有明の海に入る日見に行く 荻原井泉水
稲田来ていつの間に手の甲の傷 山口誓子
稲田来て燈のあたたかき家の間 山口誓子
雨の日は雨の日の色稲田の黄 右城暮石 散歩圏
雲州橘の袖の香ぞする稲田姫 椎本才麿
往診の俥やなほも稲田ゆく 山口誓子
黄となりし稲田にはみな窪みあり 山口誓子
黄は貴色い行くに稲田継ぎ目なし 薄 多久雄
黄をすさまじ底無し沼につづく稲田 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
花に名の稲田堤は昔の名 高浜年尾
我が思ふ如く人行く稲田かな 中村汀女
会津の山山雲揚げ雲つけ稲田の民 金子兜太
海ちかく稲田の中に蘆荻生ふ 山口誓子
刈りごろの稲田やさしくなる暮光 大井雅人 龍岡村
刈る前の稲田ふくらみ畦かくす 池田秀水
刈拡ぐ稲田むかしの広さでなし 太田土男
冠水の稲田に雲の尾の垂るる 佐久間俊子 『むさし野』
干拓稲田貝殻群が畦に散り 河野南畦 湖の森
干拓稲田夜は遠き灯に睦むとか 河野南畦 湖の森
雁渡る月の稲田の眩しさを 中村汀女
奇稲田姫の須勢理姫の恋の秋峠 伊藤いと子
奇稲田媛の宮処の薄すみれ 荒井正隆
汽車は過ぐ稲田が浜となるところ 山口誓子
丘ちかき稲田の面すでに冷ゆ 山口誓子
牛小屋に牛ゐて曇らざる稲田 原 裕
凶作や伊豆の稲田の蝗捕 石塚友二 光塵
近々と稲田の生みし月そこに 中村汀女
区画無く地の果までも稲田なり 山口誓子
犬蓼の稲田になだれ込むところ 高澤良一 ももすずめ
見はるかす豊の稲田も御苑内 下村ひろし 西陲集
古みち往く吾はも吉備の稲田人 上田五千石『琥珀』補遺
五輪塔稲田に地水火風空 山口誓子
行かむとす燈火もなき稲田みち 山口誓子
惚けぎみの婆よ稲田に立つと光る 田中はるよ
佐高いま佐大稲田も街中に 下村ひろし 西陲集
妻の汽車はや茂福の稲田浜 山口誓子
祭笛主客稲田を巡りをり 松倉ゆずる
細りつつ日ぐれ晩稲田薬師みち 古沢太穂
山越え来し架線稲田の上にたるむ 津田清子
宍道湖の波のかよへる稲田かな 大場白水郎
秋風やどこにも稲田うちひらけ 久保田万太郎 草の丈
出羽言葉に馬が従きゆく晴れ稲田(月山) 河野南畦 『風の岬』
出穂の稲田のつづく方十里 椛沢田人
徐々にして稲田に月の道敷かれ 能村登四郎 有為の山
除々にして稲田に月の道敷かれ 能村登四郎
小松原稲田明りに立ちいでし 石原舟月
松代や入るも出るも稲田越え 清水杏芽
照り曇る檀風城址稲田寄す 野沢節子
深稲田より足を抜くをとめを見る 山口誓子
真直ぐに育つよろこび稲田にも 大倉箏子
人生に倦む駅柵に稲田見て 山口誓子
吹き降りや稲田へ橋のゆきもどり 飯田蛇笏 山廬集
星合の稲田は暗し黝(あをぐろ)し 佐藤鬼房
盛装を稲田の夕日照らしけり 山口誓子
西日して大和の稲田黄の厚み 大野林火 雪華 昭和三十五年
青帯びし稲田千人塚を攻め 原裕 新治
千枚の稲田陥ちゆく据乱し 山口誓子
太宰の通ひ路稲田の遠さ雲の丈 中村草田男
中国の民も稲田に腕を組む 山口誓子
猪の這入りし稲田どれどれと 飯島晴子
猪よぎり晩稲田いたく潰えたり 農口鶴仙渓
猪荒れて畳のごとき稲田かな 岡田耿陽
町すぐに果てて秋づく遠稲田 能村登四郎
直立の止め葉揃ひし青稲田 西川雅文
通り来し稲田をいまはー眸す 山口誓子
泥と血で結ばる晩稲田の兄弟 斎藤慎爾
唐招提寺門前稲田実る頃 村山古郷
堂の影稲田に落つる月夜かな 大谷句佛 我は我
道ありと思へず稲田ひと通る 山口誓子
鈍行の中まで稲田の照り返し 高澤良一 随笑
白山の神を稲田に勧請して 山口誓子
晩稲田に音のかそけき夜の雨 五十崎古郷
晩稲田に守護の及べり塞の神 春名章市
晩稲田に垂れて信濃の鉛空 草間時彦 櫻山
晩稲田の色濃き雨に故郷あり 宮津昭彦
晩稲田や畦間の水の澄みきりて 飯田蛇笏 山廬集
稗多き稲田月夜ぞ酒汲まむ 石田波郷
百姓が稲田走せいつまでも走す 山口誓子
百姓の胸もと隠す稲田も見 山口誓子
病み籠りゐたり稲田の黄なるまで 山口誓子
風と競ふ帰郷のこころ青稲田 福永耕二
風炎の稲田をはしる青鴉 柴田白葉女 『夕浪』
穂を孕む稲田も面平らなり 山口誓子
豊作の稲田は稲田姫の国 山口誓子
明治節稲田の日和歩きけり 日野草城
木曾谷の深し稲田を積み重ね 守屋井蛙
目を細め農夫の如く稲田看る 伊丹三樹彦
門前の稲田また減り宗鑑忌 高橋鬼灯
夜の稲田母の子宮にひろがれり 高野ムツオ 雲雀の血
友が住めるは此の里か稲田ひろびろ 荻原井泉水
友信じつつ湯をかぶる稲田見え 友岡子郷 遠方
夕日が逃げる稲田黍原北信濃 古賀まり子 緑の野以後
窯開けやぐるり稲田にとりまかれ 鈴木真砂女 夕螢
窯元のときに稲田を刈ることも 鈴木真砂女
落花生掛けある稲田御坊かな 西本一都 景色
里山の間埋む稲田後三年 高澤良一 素抱
旅は神無月黄に照る稲田伴連れに 金子兜太
列車音稲田をキタカタキタカタと 高澤良一 石鏡
露乾ねば稲田をおほふ黄も暗し 篠原梵 雨
和讃の夜殊に稲田は熟れいそぐ 能村登四郎
烽火待つごとく稲田に立ちてをり 廣瀬直人
磬子の余韻仏が稲田へ出で立つよ 磯貝碧蹄館 握手
藪の風稲田に落ちてたはれ居り 西山泊雲 泊雲句集
靄下りて稲田暮れゆく悲しさよ 山口誓子
颱風圏稲田に禾を立たしめず 山口誓子
鵙ゆきて稲田の幣にとまりけり 石田波郷

以上

by 575fudemakase | 2019-05-15 14:47 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

秋の鳶

秋の鳶

*えりの門に鳶は動かず秋燕 比叡 野村泊月
印南野に初見の鳶や秋の風 永田耕衣
浦山に甲乙なくて鳶の秋 上田五千石 琥珀
夏秋へ転ずる崎の鳶を見て 高澤良一 暮津
海の上に逆光の鳶秋乾く 松崎鉄之介
鎌倉に吹き込む風や秋の鳶 高澤良一 素抱
鎌倉の秋いくたびも視野に鳶 佐藤鬼房
顔老いし鞍馬の鳶や竹の秋 大峯あきら
仰がるゝ鳶の破れ羽や秋の風 飯田蛇笏
高岡に今日泛く鳶を秋のかぜ 三橋敏雄
此の世をばわが世と鳶や秋麗ら 林翔
秋の鳶おのれさびしとひるがへり 安住敦
秋の鳶松の枝鳴らす時大きし 長谷川かな女 雨 月
秋の鳶城の森出て宙に遊ぶ 西東三鬼
秋の鳶熔岩礁に強きかな 長谷川かな女 雨 月
秋の波鳶の激しさときに見ゆ 福田甲子雄
秋の浜女が欷くゆゑ鳶が啼く 三橋鷹女
秋空に鳶の打ったる感嘆符 高澤良一 ぱらりとせ
秋空や子をかずつれし鳶の笛 飯田蛇笏 霊芝
秋耕は鍬の気侭に鳶の笛 松浦 釉
秋高し鳶飛んで天に到るべう 秋高し 正岡子規
秋高し鳶舞ひ沈む城の上
秋澄むや下りて肩身の狭き鳶 鷹羽狩行
秋晴たり上總の烟安房の鳶 秋晴 正岡子規
秋晴に鳶の肩凝る裏日本 鷹羽狩行
秋晴の湖上に鳶の恋の笛 長田等
秋晴や鳶のまひ出て海の上 村上鬼城
秋潮を掴みて鳶の脚ちぢむ 石田勝彦 秋興
秋浜は歎きの鳶と浪ばかり 三橋鷹女
尋常の高さにあらず秋の鳶 山口誓子
澄み切て鳶舞ふ空や秋うらゝ 正己
澄切りて鳶舞ふ空や秋うらら 京-正己 俳諧撰集「藤の実」
川越の鳶と舞たり秋の水 仙化
地に降りて人に動じぬ秋の鳶 高澤良一 素抱
低く来て宙に糞する秋の鳶 角川春樹 夢殿
鳶が舞ふけろりと秋の行くことよ 行く秋 正岡子規
鳶の羽のかの裂け様や秋の空 野村喜舟 小石川
鳶の輪に斬り込む烏秋高し 茂恵一郎
鳶の輪の遠のいてゆく秋ぐもり 塩崎敦子
鳶ひくし秋明菊の紅ひらく 柴田白葉女 花寂び 以後
鳶稀に鳩は常なり秋深む 阿部みどり女
鳶降りて秋深うしぬ東慶寺 青木重行
鳶三たび四たび反転竹の秋 大峯あきら 宇宙塵
鳶舞ふや本郷台の秋日和
鳶舞ふや本郷臺の秋日和 秋日和 正岡子規
鳶喘ぎ喘ぎ秋禿頭の上に 金子兜太
鳶翔くる秋の中天高天を 山口誓子
鳶鴉空は隙なし秋の雲 鼠弾
病院船港に入りぬ鳶の秋 椎橋清翠
噴煙に高さをゆづり秋の鳶 鷹羽狩行
鵙よりも鳶よりも高し秋の空 秋の空 正岡子規

以上

by 575fudemakase | 2019-04-12 09:00 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

花鶏 の俳句

花鶏 の俳句

花鶏

ちりぢりになる楽しさの花鶏かな 堀口星眠
ついばむは花鶏(あとり)はなやぐ胸の色 小池文子
花鶏(あどり)くる空の羽ばたき骨ばかり 金子兜太
花鶏来て燻るかまどの煙かな 根岸かなた
花鶏来とさわさわと鳴る樫の木よ 木倉フミヱ
花鶏来る下部の古りし湯治宿 倉林美保
空はみささぎ花鶏など居させむ 飯島晴子
黒姫山に花鶏溢れる味噌焚けば 金子兜太
山荘の雨の夕暮れ花鶏鳴く 田中満
山里のモノクロの景花鶏鳴く 野村ぎはく
象や鹿の骨掘る人へ花鶏(あどり)くる 金子兜太
伸び縮みして田渡りの群花鶏 岡部六弥太
幣摶ちて句碑に入魂花鶏来る 駒木逸歩
命日の近づく花鶏あそびをり 佐々木六戈
囀りの樹より花鶏のこぼれ飛ぶ 岡田日郎
翔たしめて花鶏(あとり)に暗む鯰取 飴山實
翔たしめて花鶏に暗む鯰取 飴山實 『次の花』

以上

by 575fudemakase | 2019-04-12 08:56 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

拙句 牛蒡連作 高澤良一

拙句 牛蒡連作 高澤良一


新牛蒡どちの雑談牛蒡語で 随笑

上の牛蒡が下の牛蒡に何やらいふ

喜雨聴きつ牛蒡をこそげおとす音

あつあつの牛蒡のささ掻き開化丼

繊維質をうんぬんけふも牛蒡出づ

牛蒡ばかり食はする妻のおたんこなす

目もさやに秋は来にけり牛蒡の葉 素抱

腸によき献立牛蒡一点張り 寒暑

腸の為よろしき牛蒡召し上がれ 随笑

託(ことづか)る注連・松・牛蒡忘れまじ 宿好

牛蒡サラダに軽井沢風コッペパン 燕音

朝市の牛蒡せり出す寺門脇 ねずみのこまくら 昭和六十一年

ごきげんよう朝の畑の新牛蒡

新牛蒡秩父の雨の荒叩き

みるからに黒土こんもり牛蒡引

(末尾は句集名)


【参考】


●「目もさやに秋は来にけり牛蒡の葉」の俳句で

「目もさやに」は どういう意味ですか


「目にもはっきりと」の意味になります。


これは『古今和歌集』巻四、秋歌上に見える、藤原敏行のよく知られた歌:


秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

(立秋になって秋が来たと目にははっきりとその様子が見られないが、吹く風に秋が来たとはっと気づかされる)


を踏まえて、『古今集』の立秋の日を詠う古歌には「目にはさやかに見えねども」と詠うけれども、この俳句の作者は「牛蒡の葉」が風にそよぐのを見て、「目もさやに(=「目にもさやかに」を略した言い方)」、つまり、「目にもはっきりと」秋が訪れたのが見える、と言っているのです。(ウィキペディアより)


● 牛蒡ばかり食はする妻のおたんこなす

無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 橋本夢道


「無礼なる妻よ」「毎日馬鹿げたものを食わしむ」。最初、「えっ!」と思いましたよ。でもこんなことを詩でもある俳句にする筈がない、と思いながら繰り返し読んでましたら、そのうち何だか面白くなってきて、笑ってしまいました。

「毎日馬鹿げたものを食わしむ」、「不味いものを」ではなく、「馬鹿げたものを」という不可思議な言い回し、それに「無礼なる妻よ」という呼びかけにも似た呟き。

「不味いものを」でしたらもう字義通りに読むしかなく、「無礼なる妻よ」は怒っている時に使う言葉になってしまう。

「馬鹿げたもの」というのは「いろいろ残り物を工夫して作ったおかずで、何の料理かわからないもの」という意味だと思います。「食わしむ」は「食べさせてくれる」です。少しの詠嘆のニュアンスもあります。

つまり、「すまんこっちゃ、俺の稼ぎが悪いせいでこいつはあるものでどうにかやりくりして、いろいろ食事を作ってくれる。世間のやつだったら文句の一つも言うだろうにこいつは愚痴一つこぼさずにいやがる。ほんにすまんことじゃ。ほんにありがたいことじゃ」と。

いかがですか?以前この句、私は読んだことがありますのでたぶん私の読みは間違ってはいないだろうと思います。


今から橋本さんのことを調べますが、間違ってたらごめんなさい。

*橋本夢道=1903~1974。徳島県生まれ。「秋刀魚」創刊主宰。句集「無礼なる妻」「不類の妻」など。

(村上護著「きょうの一句」より)


以上


by 575fudemakase | 2019-03-26 01:41 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

尉鶲 の俳句

尉鶲 の俳句

尉鶲

しばらくは声を聞かせて尉鶲 市野沢弘子
なきがらの還るを迎ふ尉鶲 松崎鉄之介
ふくらむで水浴び飛んで尉鶲 石原八束 人とその影
ゆく年の庭見てをれば尉鶲 飯田龍太
尉鶲かの世の径のごとくゐる 能村登四郎
尉鶲つかまり立ちの児を囃す 小熊一人
尉鶲ほのかな老いを置いてゆく 山田みづえ
尉鶲わが目前にさびれる庭 貫井爽水
尉鶲柿の木に来て栗の木へ 高橋悦男
尉鶲告げよ落城ものがたり 山田みづえ まるめろ
尉鶲枝移りせり虫獲つつ 片桐美江
尉鶲瀬より来てゐる能舞台 宮岡 計次
尉鶲朝日胸毛に杭の上 高尾富美子
尉鶲灯台へ灯を点けに来る 赤塚五行
尉鶲二度来て日暮初七日 小林わたる
尉鶲来鳴くあしたの風邪ごもり 山谷 春潮
尉鶲話の端を折られけり 石田あき子 見舞籠
一羽来てすぐ一羽来て尉鶲 坂本宮尾
雨降るに裸の柿の尉鶲 石塚友二 光塵
奥多摩は藁塚の日和や尉鶲 石田勝彦
火袋になにかかくして尉鶲 飴山實 句集外
花衰ふる紅梅に尉鶲 廣瀬直人
葛を売る庭から庭へ尉鶲 古賀寿代
枯山や振り返るとき尉鶲 草間時彦 櫻山
午後の茶やたがはずに来る尉鶲 福永みち子
今年また忘れず庭へ尉鶲 吉田静子
実茨の蔓を撥ねしは尉鶲 鈴木しげを
硝子戸に体当りして尉鶲 右城暮石 散歩圏
吹き来たる風に遅れて尉鶲 岩田由美
水のんでしづかに去りし尉鶲 黒田杏子 花下草上
生垣の仕上り来鳴く尉鶲 雨宮美智子
青竹の垣に来てゐる尉鶲 藤島咲子
大山の男坂なる尉鶲 松尾隆信
東籬より来て慇懃の尉鶲 松本進
豆腐屋の音やみにけり尉鶲 飴山實 次の花
波郷忌の林に入れば尉鶲 鈴木しげを
畑の火の夕べをさまり尉鶲 飴山實 花浴び
浮島の枯れの明るし尉鶲 宮坂静生
風絶えて玉垣移る尉鶲 鍛治桂子
藁を焼く煙に逃げず尉鶲 長谷川草洲
咥へゐるもの見せに来し尉鶲 後藤比奈夫
蹲の杓落し翔つ尉鶲 川澄祐勝

以上

by 575fudemakase | 2019-03-21 09:39 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

月と雁 の俳句

月と雁 の俳句

月と雁

おほどかに月こそかかれ雁踊 西本一都 景色
さえざえと翔けて高みへ月の雁 渡辺 恭子
ただ一羽来る夜ありけり月の雁 夏目漱石
ひむがしの月より高く雁ゆけり 向田貴子
ほの白き月の残りし雁の道 田中妙子
羽音さへ聞えて寒し月の雁 松岡青蘿
雨の雁ひとり屏風の月を見る 雁 正岡子規
雨月今殊にあかさや雁落つる 西山泊雲 泊雲句集
遠い月雁のおわりの箱ひとつ 豊口陽子
海原にどこ行く雁そけふの月 今日の月 正岡子規
寒雁に仄めく月の上りけり 飯田蛇笏 椿花集
雁いくつ一手は月を渡りけり 雁 正岡子規
雁かねの腹に月さす夕かな 雁が音 正岡子規
雁さわぐ冬の田面の月もなし 冬田 正岡子規
雁ないて額に月の来てゐたり 片山桃史 北方兵團
雁のみち雲かゞやきて月をよぶ 米澤吾亦紅
雁の声かとも聞こえし月の空 石井とし夫
雁の声海より月の裏弥彦 研 斎史
雁の声雪山は月に見えてか 佐野良太 樫
雁もまた鳴や沼田のおぼろ月 五橋
雁や太陽がゆき月がゆき 長谷川 櫂
雁や父の声のみ月明に 雅人
雁ゆくや月照る海と月ありて 山口波津女 良人
雁引くや月に錆びゆく座礁船 政木紫野
雁帰る月の光を背に浴びて 阿部月山子
雁渡る月の稲田の眩しさを 中村汀女
雁風呂や月を泛べて汐到る 田中田士英
雁列に入りて羽博てば月の前 加藤楸邨
帰る雁田ごとの月の曇る夜に 蕪 村
菊痩せて雁が音ふとる後の月 許六
空に水尾引くかに月の帰雁かな 倉田 晴生
栗駒の朝月よぎり雁帰る 柏原眠雨
鶏頭に後れず或夜月の雁 夏目漱石 明治四十三年
月の雁をりをりさわぐ田面哉 雁 正岡子規
月の雁蘆ちる中へ下しけり 雁 正岡子規
月の出の艀だまりや冬の雁 小島千架子
月の出や皆首立てゝ小田の雁 雁 正岡子規
月の出や皆首立てて小田の雁 正岡子規
月の前足をそろへて雁わたる 眞鍋呉夫
月の道日の道雁の渡る道 小坂 順子
月ひらひら落ち来る雁の翅かな 闌更
月潜む靄のかがよひ雁寒し 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
湖や雁下り尽くし芦の月 東洋城千句
雇はれてをりしはむかし月に雁 黒田杏子 花下草上
行く雁は月の裾野を啼き渡るいづこの国もかなしからむに 飯田明子
砂山にほかと月あり雁供養 永田青嵐
砂山にぽかと月あり雁供養 永田青嵐
蒔繪なんぞ小窓の月に雁薄 雁 正岡子規
秋はあはれ冬はかなしき月の雁 原石鼎 花影以後
秋はあはれ冬は悲しき月の雁 原石鼎
春の雁ひかりて月の大河あり 石原舟月
春の月雁々松のみゆるかな 久保田万太郎 草の丈
初雁や目に相手なき海の月 黒柳召波 春泥句集
沼の水月を動かし雁渡る 阿部みどり女
心中に雁舞うてゐる雨月かな 徳永山冬子
静さやつばさはりきる月の雁 高田蝶衣
大空に雁がねくらし春の月 暁台
樽前山は月の高座雁帰る 古舘曹人 砂の音
朝月の消えなむとあり雁渡る 吉年虹二
追ひ縋るものふりきつて月の雁 長田等
冬の雁細月掛かる空の端 平田君代
日に雀月に雁過ぎゆけり 攝津幸彦 未刊句集
落ちかかる月をめぐりて帰る雁 飯田蛇笏 雪峡
齢一つ読み違えおり月に雁 長谷川草々
藁いろの月天にあり雁の頃 櫛原希伊子
歸る雁田ごとの月の曇る夜に 蕪村 春之部 ■ ある人のもとにて
瀟湘の雁のなみだやおぼろ月 蕪村 春之部 ■ 春夜聞琴

月と雁 補遺

うす月を雁なきたつる霜夜かな 原石鼎 花影
雨の雁ひとり屏風の月を見る 正岡子規 雁
海原にどこ行く雁そけふの月 正岡子規 今日の月
寒雁に仄めく月の上りけり 飯田蛇笏 椿花集
雁いくつ一手は月を渡りけり 正岡子規 雁
雁かねの腹に月さす夕かな 正岡子規 雁が音
雁さわぐ冬の田面の月もなし 正岡子規 冬田
雁のこゑ月の干潟にひびき消ゆ 大野林火 早桃 太白集
雁列に入りて羽摶てば月の前 加藤秋邨
月の雁をりをりさわぐ田面哉 正岡子規 雁
月の雁蘆ちる中へ下しけり 正岡子規 雁
月の出や皆首立てゝ小田の雁 正岡子規 雁
月よぎるけむりのごとき雁の列 大野林火 早桃 太白集
蒔繪なんぞ小窓の月に雁薄 正岡子規 雁
秋はあはれ冬はかなしき月の雁 原石鼎 花影以後
象潟をいま過ぐらしも月の雁 藤田湘子 神楽
樽前山は月の高座雁帰る 古舘曹人 砂の音
有明の灘江の月に雁落ちぬ 阿波野青畝
落ちかかる月をめぐりて帰る雁 飯田蛇笏 雪峡

月と雁 続補遺

*かやの端に雁も白きを后の月 馬場存義
一行の雁や端山に月を印す 与謝蕪村
羽音さへ聞えて寒し月の雁 松岡青蘿
月に来て我もひとりの雁の代 土芳
月のある夜を唐めきて雁の行 松窓乙二
月の数空見せ顔や天津雁 野坡
月ひら~落来る雁の翅かな 高桑闌更
月更て雁は寐言の相手かな 杉風
月高く雁がね低し淡路島 井上士朗
初雁や目に相手なき海の月 黒柳召波
燭台にあさる雁みゆ月の友 土芳
伏見田に友や待つらん月の雁 上田無腸
蓬生に入とまで見る月の雁 蒼虬
鳴すてゝいざよふ月や雁の声 土芳

以上

by 575fudemakase | 2018-12-27 17:54 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

瑠璃鶲 の俳句

瑠璃鶲 の俳句


銀山のかの世のこゑの瑠璃鶲 飯田龍太

衣かけて岩に銭おく瑠璃鶲 古舘曹人 樹下石上


以上


by 575fudemakase | 2018-12-12 07:17 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

瑠璃鶲 の俳句

瑠璃鶲 の俳句


銀山のかの世のこゑの瑠璃鶲 飯田龍太

衣かけて岩に銭おく瑠璃鶲 古舘曹人 樹下石上


以上


by 575fudemakase | 2018-12-12 07:16 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

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銀山のかの世のこゑの瑠璃鶲 飯田龍太

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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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