カテゴリ:句評など( 51 )

追悼 大峯あきら

きのふけふと雨あぢさゐも一息つく 高澤良一


大峯あきらが亡くなった。

「俳句」四月号(2018年)で追悼記事があったので、山本洋子氏の100句選を読んでみた。

その中で、「私なりのそれは」を選んで見たら次のようになった。


帰り来て吉野の雷に座りをり

南瓜咲き室戸の雨は湯のごとし

柿接ぐや遠白波の唯一度

つちふると小さき机に向ひゐる

みづうみに四五枚洗ふ障子かな

薪棚まんなか減って蝶の昼

越中の山くろぐろと踊かな

白山を大廻りして小鳥来る

今更にして大湖なり年忘

噴煙を鳥の横切る大暑かな

金銀の木の芽の中の大和かな

凹みたるところに家や春の山

みづうみに出ては戻るや稲雀

稲雀伊勢路に入ればうねり飛ぶ


以上



by 575fudemakase | 2018-05-30 17:54 | 句評など | Trackback | Comments(0)

俳句年鑑2018年版 諸家自選五句を読んで

俳句年鑑2018年版 諸家自選五句を読んで

656名 角川学芸出版 2017.12.7発行


共鳴句を挙げる。ブランク(空白)行に挟まれた句群は同一作者。

作者名は割愛。原著にあたられたし。

先ずは作品本位で句に対し、〝俳句は無名がよい〝を実践されたし。


毛羽立つて少し凹んで冬帽子

大晦日夜は序曲のように来る


蝉時雨遠景あまりにもしづか


飾取る遠くが聞こえきたりけり


朝粥の輝き釈迦の誕生日


毬は海を 海胆は林を夢想して


しやぼん玉 天下国家の世とは別


水筒に歳月の傷清水汲む

土を出て土の一穢もなき蚯蚓


隧道の涼しその先見えてきて


冬の雲兜太の猪首ふり返り


日の差せる小径が見えてゐて寒し

爆竹を猿に鳴らさむ松納

金縷梅のほとりに人の消えやすき


夜桜に包まれ旅寝深かりし


後ろから来て立秋の風となる


蒸しタオルの顔春昼のどの椅子も


糊利きし浴衣四角く歩きをり

台風の落としてゆきし月ひとつ


涅槃図を離れてこの世動くかな

春濤も岩も迷へる者同士


わが思ふところに潜くかいつむり


ニコライの鐘鳴る町に日記買ふ

偕老やほふほふ手繰る晦日蕎麦

夏場所やまはし叩きてにらみあひ

九十三どんぐり見ればすぐ拾ふ


小流れはそこより見えず蕗広葉


春雷の次を待つごと立ちつくす


雑煮餅それとなく余生のかたち

生きていること思い出す夏座敷


闇といふ魔法じかけや猫の恋


銀座百年年の瀬となりにけり


師にありて我になきもの昼寝の句


更衣見るべき花を見尽して


ひるがへる銀座育ちの蚊食鳥


星空は戴冠式のごとく凍つ


切り落としたる鯰の頭なほ笑ふ

ネアンデルタール以来なる鬱冬籠


滝仰ぐ退りて仰ぎまたすさる


たいそうな名前がついて花菖蒲


稲妻の一閃病なきごとし


切干のちりちり時を刻みけり


豊年の暮れてしまへば大月夜

稲雀伊勢路に入ればうねり飛ぶ


アテルイの面構へして鮭のぼる


凍鶴のかたはうの足下りて来ず


寒晴や高さ貪るビルの群


青空へ狐のあげし雪けむり


郷愁に似たる涼感奥座敷


濡れ縁やほたるの闇に足を垂れ


残像に風のコスモスまたコスモス


行春の雑巾となる布巾かな


布を裁つ一瞬の息万愚節


胡桃割るとほき祖に尾の有りやなし


朝早く蚊帳を抜け出てゆきにけり

庭に出て石撫で木撫で年新た


水打つてしばらく人を遠ざけて

はじかみのはじらふごとき肌かな


冬日向歩けばよいのに歩かない


ありふれしをとこと女宵祭


法螺貝の内のくれなゐ春を待つ


なんという落日ぼおんぼおんと時計


父の日を母とならざる我と祝ぐ


日をのせて上へ下へと赤とんぼ


玉虫のごと褒めらるる死後ありや

野に山に兎走らす今日の月


頬杖の机上は獺の祭かな


二人して上座に在す生身魂


ところどころ渇筆雨の大文字


海女若し火につややかな脚を投げ


しやぼんだま炎の色をして割るる


初御空空には空の貌がある

人生に逃げ場など無し十二月


おぼろ夜の仁王ゆるめし力瘤


夕映のいろ水にある夏越かな


花冷えのなかなか沸かぬ湯に苛つ


たらちねの春眠にして永眠す


隧道の入口ミモザ出て辛夷

深海魚やたら出廻り冴返る


育つとは汚すことなり燕の子


老いらくの恋とは本を読みて秋


嚔鼻水ときどき涙三月来


食べるほど薬を飲んで夏に入る


通帳と桜貝あり抽斗に


どのやうなことばでもない竹落ち葉

花蘇芳この世はといひ身をそらし


春雷の数撃ありし夕餉かな

秋風やお腹のうすき女の児


冬薔薇満場一致とはしづか


虚子が好き立子が好きで爽波の忌


水鉄砲にやられてやるも一つかな


油蝉ばっか弟三回忌


新樹また新樹爪先立つやうに

揺れながらビールの泡の到着す


すみれ目のひとたちが自転車で来る

火が紙にくひ込んでゐる麦の秋

山鳩のこゑの風呂敷包みかな


喜雨亭忌その懐のなつかしき


揺れるだけゆれる椿をあくがれつ


秋の暮むかし銀巴里・ルパン・姫


開戦日表皮ぽろぽろクロワッサン


草氷柱草より抜けて流れけり


くちばしをあげて降ろして初鴉

囀りや鴉は鴉だけで居る


日の丸よ赤から黒になるなかれ


行列に並んで春の風邪もらふ


流氷のひそと寄せ来てひしと組む

泣き初のその執念ぞたのもしき


閂を外して桜見てもらふ


土用波ひびきくらみて返しくる


草の根を引けば手こずる素十の忌


脱ぎ捨てて木は木の形十二月


結んで開いて手を打てば春


胸像のはやくも馴染む茂かな

天心となりたる月に川の音


赤まんま還らぬものは忘じけり

冬眠を忘れた亀のごとくゐる


たんぽぽや湖の平らは野に及び


喧嘩して違ふ夕焼見て帰る


初雪に戸惑ふ事もまた楽し


風に落ちまた風に飛ぶ天道虫


穴まどいさては彼奴に奪られたな

ちゃんちゃんこ着込んで一生俳句馬鹿


子雲雀のぶらぶら歩き虫咥へ


琵琶湖北端蘆の角蘆の角


縁側に厚き日差しが載って冬

波を追ひ波に追はれて遅日の子


許されぬことして来しかうかれ猫


老人のよろけ出できし鉢たたき


まだ赤といふにはあらず苗金魚

誰も知らず秋蝉の声止みたる日


生身魂数珠揉むごとく箸洗ふ


セーターの毛玉仕方のなき人よ


浜焚火ほったらかされなほ燃ゆる


かたつむり海から生まれきし形


畳み皺ついてゐるなり鯉のぼり


晴つづき吉野の花も早からん

所々にまだ過日の雪や京の路地


海鼠かむ音かはしけり女正月


揚ひばり血が止まるまでしゃぶる指


先程の雨の滲める団扇かな


塔頭より塔頭へ猫の恋


風鈴に母の亡き世の音興る

旧盆や川瀬にをどる草の屑


大広間開けられしとき涼しかり



●合評鼎談 今年の秀句からは


雨すぐに雨粒となり吾亦紅

花の雨大和に今日は横に飛ぶ

誰がこともいつか昔にほととぎす

誰もゐぬ港に虹の立ちにけり

短日の斜めの雨となつてゆく

秋の暮青空のまだありながら

水鳥といふ水鳥や日の当たる

返信に大患のこと霞草

ハンケチに一日の皺夕桜

秋風や遺影にそなへオムライス


を挙げて置きたい。


しかし、下記は等類が擦り寄ってくるようで一抹の危うさがあると思う。

誰もが簡単に作れてしまうところがありそうなのである。


蕗剥くや臨時ニュースを聞きながら

界隈の残る桜を見て歩く

旅先にあるがごとくに端居かな


又下記の共選句には、良し悪しは別にして、どうやら下敷きがあるような気もした。


東北本線全線眠る蛇である

詫びひとつ言ひて死にたし金魚玉


に対し


長距離列車(ブルートレイン)のスパークを浴び白長須鯨(シロナガス)

繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり


以上









by 575fudemakase | 2018-03-25 08:11 | 句評など | Trackback | Comments(0)

夜半と比奈夫

夜半と比奈夫


俳句界(2017・4)で特集「夜半と比奈夫」をやっていたので、覗いて見た。

既読の著名な作品は外して、その他の作品で現在の小生の好みに合う作品を

メモってみた。


後藤夜半

春の月上りて暗き波間かな

松の内相見ゆこと美しく

嗜むは草木の薬十三夜

手にお瀧足にお瀧と寒垢離女

噴水の穂をはなれゆく水の玉

端居して遠きところに心置く

風邪を引くいのちありしと思ふかな


後藤比奈夫

人の世をやさしと思ふ花菜漬

雲は行き懸大根はとどまれり

流さるる雛に桟俵の隙間

文字摺の花が次第に渇筆に

腰振ってゐる孑孒といふ字かな


「諷詠」主要作家からは以下。(作者名は同書を参照ください)

陽炎を抜け出して来る馬が勝つ

暗闇を祭の色として使ふ

顔見世のはねて夜だけ残りたる

力抜き金魚を掬ふ手となりぬ

水よりも冷たき鮎をつかみけり

水の味頼りなければ風邪らしき

雨空が雨蛙ばら撒きにけり

鹿の背がいつも静かに逃ぐるなり

雪渓を渡る還らぬ人のごと

悴むんでならないものに糶の声

アフリカに蚤の季節といふがあり

菜の花に明けてゆくなり筑後川

カチューシャを妻が歌へば冬近し

一日は一日蟻も人間も


とりわけ、

雨空が雨蛙ばら撒きにけり

が現在の時候にあって素晴らしい。


以上





by 575fudemakase | 2017-05-27 13:08 | 句評など | Trackback | Comments(0)

後評(2017・2)

後評(2017・2)


38林泉の浮島めぐる鴛鴦の沓
「林泉」「浮島」「鴛鴦」等と並べられると絵巻だとか
大和絵だとかを想像して仕舞う。雅な色合い、構図を思い浮かべるのである。

78春立ちぬ固き結び目解くやうに
凍てが解ける の内の 「解ける」を「紐の結び目が解ける」に換骨奪胎した。


86鷽替えて亀戸大根提げ帰る
作者が主婦ということを大っぴらに持ち出して詠ったところに
共感。市民感覚が横溢している。

128磐座に喰ひ入る寒の椎の幹
樹木とコンクリート、樹木と金属、樹木と岩石の相克するさまを折々目に
することがある。例えば、樹木の幹に針金を巻きつけて置くと数年後には
樹皮がそれを呑み込んで仕舞う。樹皮は軟体生物のようなもの。
樹木は逞しい。岩手の石割り桜を思い出した。

138松明の煙の匂ふ節分会
「煙の匂ふ」に鄙びた感じが宿る。野趣あふれる一句。
チマチマした節分会に終わっていない。

153雪垂る音のとり巻く浮御堂
「とり巻く」の措辞がうまい。それに「浮御堂」の「浮」の一漢字が効いている。
春先に向かうウキウキ感に繋がるのである。

165春障子ひとりとなりて久しけれ
句柄に余裕がある。確か小説に余裕派というのがあった。漱石だったか?
何事にも余裕のあるのが佳い。

177深海魚やたら出回り冴返る
皆さんは金目鯛が深海魚であることをご存知ですか?
あろうことか、水産資源が枯渇して深海魚の金目まで網に
掛けるようになった。もうジリ貧である。(金目漁は、金目が朝方、深海から浮上して
来る性質を狙って捕獲する漁だという)
中国では内陸部の人間までが魚を食うようになった。仲買で中国に競り負ける事態と
なっている。魚好きの私としては慨嘆の日々である。

197稜線を越え来る木霊春立てり
「稜線」「木霊」「春立つ」等変哲のない用語を三つ並べただけだが、それでも匂ってくる季感
がある。

200雛店のシアトル宛の発送荷
日本人も海外に頻繁に出向く時代となった。一時的にしろ、永住にしろ、海外は
もう身近だ。そでも古い人間には、海外は ヤレ一入の感がある。
by 575fudemakase | 2017-02-20 18:08 | 句評など | Trackback | Comments(0)

後評 2017年一月ねずみのこまくら句会

後評 2017年一月ねずみのこまくら句会


●天水に篝燃えゐる除夜詣
この頃 足許不如意となったので近場の除夜詣ばかりやっている。
そんな親近感があって頂いた。

●初春の尾道水道碧豊か
かって良寛さんの里を詠もうと思って一人旅をやった。
そこから良寛さんが発心を起こして旅立ったのが尾道。
「初春の尾道水道」と先ず据えた。「碧豊か」とはよう享けたとおもう。

●仄明かり障子九枚に九体仏
これはおそらく浄瑠璃寺の作であろう。
一つの堂に九体の阿弥陀さまが祀られている。上品 中品 下品 の三体づつが一つの堂宇
に祀られている。何といっても、あの堂宇の開放的な空間が魅力である。
堂障子の向こうはお池。堂障子が明り取りである。以下は拙句。季は同じく冬。

うすらひをつつつつと鶸浄瑠璃 ねずみのこまくら 昭和五十八年

●東京の無垢の青空お元日
東京と言えば、女房方の会津の俳人 新城杏児 の次句を思い出す。
東京の悪に触れたる冬銀河 杏児
新城杏児は栄泉と並ぶ会津の造り酒屋 末廣の当主で、わが女房の父親はその新城家の
七男である。その縁もあって、過日 その新城家の墓地を訪れたことがあったが、その中に
出稼ぎ先のここ会津で亡くなった杜氏の墓を見い出して、その〝あわれ〟を想ったこと
があった。杏児句はたしか、平凡社の歳時記、冬銀河の部に例句として載っている筈である。
そんな訳があって掲句に関心が及ぶのである。

●屠蘇祝ふ喜寿も傘寿も夫は亡く
高齢者さん 淡々と境涯をお詠みになる。
俳句の行き着く先はかくなる所か?ブレずに行こう。

●元朝や定位置にある潜水艦
このところ、横須賀参りが続いている。
イオンにある映画館行とヴェルニー公園からみる軍艦の勇姿がハラショーである。
小生はそれを楽しむ極めて危ない老人である。
三が日から護衛艦 出雲を撮りたくてパチパチやって来たが、尖閣方面へでも行ったのか
お留守であった。帰路は、銭湯が好きなので、その近くの吉倉というところの新湯にザブン
と入って来た。今年の読み初めは「米中戦争 その時日本は(渡辺悦和)」「米中もし戦わば
戦争の地政学(ピーター・ナヴァロ)」と潜水艦の本 4、5冊である。(「潜水艦の戦う技術 現代の「海の忍者」-その実際に迫る」「潜水艦のメカニズム完全ガイド なぜ、日本の潜水艦は世界最高水準と言われるのか?」「知られざる潜水艦の秘密 海中に潜んで敵を待ち受ける海の一匹狼」等)
渡辺悦和氏は元東部方面総監、ピーター・ナヴァロ氏は教授で、対中強硬派で、ドナルド・トランプ政権の国家通商会議代表。
話変わって、掲句に係わる点については、かって貞雄さんの句集紹介をした折に指摘した
一部を以下抜粋する。下記一連につらなる句である。
あと正月に観た映画と言えば、「この世界の片隅に」である。横須賀と並ぶ軍港 呉の戦前 戦中 戦後を描いたアニメである。空襲のシーンだったか、忘れたが呉と言う地名の謂れが印象的であった。後でグーグルマップで地形を調べたら、たしかにここは天然の要塞。戦艦大和が建造されるのにふさわしい地である。
「灰ヶ峰」をはじめとする呉一帯をつつむ連峰を「九嶺(きゅうれい)」と呼びそれが訛って「 くれ」になったという説があります…

(抜粋)
季語別 田中貞雄句集を読んで(特徴を中心に)

俳誌のサロン 2015・5・10

貞雄さんとのおつき合いは、そもそも俳句初学の頃
俳句結社 濱の同人であった 下田稔氏の教えを共に
受けたというご縁であった。句会を共にするように
なって15年を経た。目下、作句力は爆発しているようだ。

▼ご自宅周辺
お住まいは横須賀 田浦 。軍港に近く港町に因んだ町名が
多い。因みに、田浦 長浦 船越 汀橋等々…
とりわけ〝潜水艦が街の顔〟の句は、自宅周辺を詠って秀逸
である。

ぼんやりと尾をひく汽笛年替はる
艦艇の舳先ずらりと年迎ふ
初明り潜水艦が街の顔
浅蜊汁分の浅蜊を採つて足る
きぶし咲く素掘隧道出入口
春眠を引きずるやうに油槽船
泣き言の代りに鳴らす海酸漿
軍艦碑竜舌蘭を供花とせむ
釣瓶落し艦旗降納見届けて
行く年の憂さの捨て場の転舵渦
釣瓶落し艦旗降納見届けて
潮溜りあれば覗きて秋うらら

●冬しんしん妻の塗絵の根気よき
高齢者が塗り絵をするシーンと言えば、デイケアでよく見かけるところ。
ちょっと切ない一句。わが妻と思えば…。

●年の市身を乗り出せる嗄れ声
かって浅草 浅草寺の年の市に出向いたことがあった。この年の市、元来、仲買人が相手で
小売は無かったのではなかろうか?冬の寒さの中、股火鉢でもしながらの商売であった。
こんな中で詠んだ拙句は

年の市海山の幸積み上げて さざなみやっこ
神棚の値切り落とさる年の市 HAIKU199812sono3

健脚であった当時を懐かしむばかり。

●冬牡丹眺め居る間の陽の翳り
わたしの感覚では、「眺め居る間の」では無く「眺め居る間を」である。
いろいろな日の翳りの句があろうが、冬牡丹への日の翳りは、微妙であり、格別である。
かっての上野 牡丹園での寒牡丹当日詠の興奮を思い出す。拙作(細見綾子特選)は以下。
寒牡丹こゑあたたかく讃へらる ねずみのこまくら 昭和五十八年

●七日粥泣くも笑ふも一人なり
泣くも笑ふも一人 とは切ない。
孤独に耐えるのが老人の仕事 と言ったのが佐藤愛子。
今 彼女の 「九十歳。何がめでたい」を読んでる最中。
キンドルのペーパーホワイトを買ったので、これからは全て電子書籍。
寝床の真っ暗闇でポーッとした明りの中で読んでるいる。
by 575fudemakase | 2017-02-20 18:06 | 句評など | Trackback | Comments(0)

2016年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

2016年 7月 ねずみのこまくら句会の諸句(コメント付)

予選でザッと句を抜いてみたら、下記の如くとなった。
句の前の番号は、選句稿の通し番号
気づいた点ズバズバとやりますが妄言陳謝。

1ラベンダー弧をゆったりと地平線
4梅雨晴間浚渫船が勢を出す 精を出す?
8茅葺村青嶺囲ひの三十三棟 音律的にもキリのよいところで 三十棟
12けふ一花木槿の永き花期始まる
14鑑真像睫毛一本づつ涼し
20街の名を負へる和菓子や檜扇咲く
21雨あがり百足を運ぶ百の蟻 百の蟻?蟻見たり
22青葉木兎疲れしときは眠れとよ
23ヨツトの帆夕陽に染めて畳まるる
25校庭は芋畑その下に壕 戦時下?
30鮎釣りの波を腰簑徒渡る 鮎釣りの腰簑大川徒渡る 又は 鮎釣りの腰簑激流徒渡る
31眠る子の捻り鉢巻き夏祭
38徒然は虎蜘蛛なぞ指で追ふ 虎蜘蛛は蠅虎と女郎蜘蛛の意あるが前者か?
50夏蝶の大小に遭ふ昼下がり
53晩涼の会釈に一語加へけり
54まだ傷を持たぬ梔子朝の雨
56梅を干す三日三晩の約を守り
57蚊の唸り採血の跡撫でをれば
62空堀へ虎口開く青葉闇 虎口をこぐちと読ませるなら一音足りない
74指で溶く絵具のうぜん描きにけり 描きにけり?描きけり
79首立てて屋敷番めく蝮草
82二番子の燕の巣立ち寂しめり
85梵鐘の余韻いんいん夕焼け空
90正座して位牌を拭ふ盆の夫
93湯ほてりを冷ます程よき青田風
97また義理を欠く梅雨冷が足の枷
99夏草に腰を下ろせば芳しき
105リズミカルに広場横切る梅雨鴉
106熱帯魚翻るとき七色に
113朝曇着てゆくものの決まらない ものの?ものが 現在は口語の世の中故「ガ」が
ふさわしいか?
119夏の日のボートサファリや河馬の群
123夏潮のしぶき翼にクルーズ船
125青鬼灯笑ひ忘ぜし月日あり
126しばらくは登拝の汗風まかせ
128老鶯の声の沁みたる朝の山
129そこばくの風に人寄る作り滝
136神苑に梅の実一つ落つる音
140老いらくの間柄なり竹婦人
142鮎飯を旅の宴の上がりとす
143水神へ蛇のお通り草揺れぬ 草揺れぬ?ここ一考したいところ
155日覆や道にはみ出す履物屋
156オルガンに「海の子」唄ふ大南風
163明易のことことと来る牛乳屋
166水母ひとつ所在なく浮く潮溜まり
171園丁のニツカポツカに菊を挿す
175万緑や寝そべる牛の向き同じ
176余儀あらず南無三宝とばかり滝
177路地に干す天草跨ぎ浦住まひ
178取り敢へず地蔵に預く落し文
182蝉声が押し包みゆく何もかも
189吾以外皆ケータイの冷房車
196どの軽鳬が親とも子とも寄り離れ 寄り離れ?畦道ゆく
198開演にもうあと少し扇揺れ
by 575fudemakase | 2016-07-13 07:49 | 句評など | Trackback | Comments(0)

螢見て部屋に小さな燈をともす

螢見て部屋に小さな燈をともす


選句時、掲句を見て後ろ髪を引かれるように、掲句にたち戻ったのは何かを感じたとったからである。
それは一寸突拍子もない話だが、絵巻の「異時同図法」という技法。

【参考】
絵巻のよさはこれにとらわれずに左右をもっと長く描くことも自由だ。大きなものを人が追いかける、 大勢の人が群がっているさまなどは、横に広がると躍動感や迫力が出る。群衆が驚くさまをカメラが移 動しながら追っていく映画的手法と同じである。さらに一枚の長い絵に同じ人物が二度出てくることが 許されており、動きや時間の流れを表現する。これを「異時同図法」といって、日本の絵巻が発明した 手法といってよい。たとえば、絵の右側では男が訪ねて建物に近づく画面を描き、左側にはその男がす でに部屋に入っていて女性と接している、というふうにである。 広げながら時間軸を追うことで空間が繰り広げるさまざまな事態が体験できる仕組みになる。これが、 日本のアニメーションの発達に大きく寄与したところである。

(ねずみのこまくら句会 2016年6月より)
by 575fudemakase | 2016-06-20 06:11 | 句評など | Trackback | Comments(0)

素十の一句 を読みて

素十の一句 を読みて

日野傳著 ふらんす堂 2013・10・15発行

あとがきに依れば、従来注目されなかった作品を発掘する意気込みでのぞんだが、結果の何如は覚束ないとある。
本選は日野氏指摘のその中から小生の琴線に響くものを掬った。
自分の句作が覚束無いと思った時や句仲間の句作りがかったるいと思った時などに取り出して一瞥するのに適していよう。先づはメモる。(旧知の句は割愛した)

一月
お降りといへる言葉も美しく
七種のはじめの芹ぞめでたけれ
夕霰枝にあたりて白さかな
漂へる手袋のある運河かな
繭玉や夕はやけれど灯しけり
雁木中大きな犬の濡れて行く
山吹の花さくまでの炉と云ひし
黄楊の雪大きく割れてゐたるかな
蒲団干すなもしなもしと言ひながら
(「なもし」は文末に用いる終助詞。念を押したり、軽い詠嘆を添える)

二月
大いなる春といふもの来るべし
泡のびて一動きしぬ薄氷
惜別の一盞ここに白魚汁
火の山の太き煙に春の星
足もとに消え沈みたる畔火かな
高菜かき人間もたべ鶏もたべ
百千鳥堂塔いまだ整はず
一堂のあれば一塔 百千鳥
お遍路に嶮しき道のありがたし
ふるさとの芹飯ならばいただかん

三月
たんぽぽのサラダの話野の話
薪割をしつつ初蝶心まち
日おもてに咲いてよごれぬ沈丁花
田打鍬一人洗ふや一人待ち
田打花咲けばみちのく人田打つ
悉くこれ一日の蜷のみち
耕牛の一歩一歩の見守られ

四月
妻連れて兵曹長や花ぐもり
ある寺の障子ほそめに花御堂
ゆれ合へる甘茶の杓をとりにけり
鞦韆や灯台守の垣のうち
半日の用擲つて花下に在り
一日の終るぺんぺん草の花
柳絮とぶ道の真中に立ちて見る
苗代に落ち一塊の畔の土

五月
オホツクへ出漁花の港より
ひるがへる葉に沈みたる牡丹かな
もちの葉の落ちたる土にうらがへる
水馬流るる黄楊の花を追ふ
芍薬や土這へる蜂風の蜂
 牡丹のこと何年も前のこと
三人の斜めの顔や祭笛
いつまでも一つ郭公早苗取
早苗束濃緑植田浅緑
早苗饗の御あかしあぐる素っ裸
小波の立ちてうれしき植田かな

六月
悉く繭となりたる静けさよ
花菖蒲ゆれかはし風去りにけり
花びらを流るゝ雨や花菖蒲
牛蠅といふなりいつも二三とぶ
母の膝娘の膝や粽結ふ
(対偶仕立て)
ともし灯に来るは大方沼の虫
大梅雨の茫茫と沼らしきもの

七月
蓮の花とらんと向けし舳かな
くも糸をわたり返して葉のさきに
竃また夕立風に燃えいでし
雲の峰立ちていよいよ土佐は夏
夏山の大噴火口隠すなし
蝶歩く百日草の花の上
一つづつ団扇を添へて革蒲団
身辺にものの少なき大暑かな
喪の家の大勢立ちて夕立見る
塵とりに凌霄の花と塵すこし

八月
みちのくのまつくらがりの夜涼かな
蛇籠より蛇籠へ渡り灸花
打水や萩より落ちし子かまきり
 桃青し赤きところの少しあり
棚経の上りゐる間も威し銃
稲妻にインカの民は灯さず
割れて二つ割れて二つに水の月
かたまりて通る霧あり霧の中
かなぶんぶんの頭に泥や萩の花

九月
秋風やくわらんと鳴りし幡の鈴
船員とふく口笛や秋の晴
秋雷や旧会津領山ばかり
なきそめし今宵の虫は鉦叩
馬追の緑逆立つ萩の上
鰯雲はなやぐ月のあたりかな
白浪やうちひろがりて月明り
月うすうす人の縁のうすうすと
日日の是好日や秋茄子
石一つ崩して水を落しけり
コスモスの倒れ倒れし花の数

十月
秋の日の笛吹川を一見す
触れてこぼれひとりこぼれて零余子かな
百姓の秋の戻りはまつ暗な
初猟や一水蘆に澄みわたり
稲刈の姉のしぶきのはげしさよ
雁の声のしばらく空に満ち
裏山の日なき紅葉に下りけり
午までが夜までとなり稲架下ろし
まつすぐな道に出でけり秋の暮

十一月
蘆刈の天を仰いで梳る
行秋の朝な朝なの日田の霧
時雨るると四五歩戻りて仰ぎけり
山中湖凧のあがれる小春かな
落葉道みづうみ見えて下りかな
顔上げてからかはれをり蓮根掘
冬の蜂おさへ掃きたる箒かな
箒さき吹き返さるる落葉かな
枯枝のひつかかりゐる枯木かな
悲しみのあり枯山に来りけり

十二月
誰といふことなく当る大炉あり
いく度の大火の草津盛衰記
女の子枯木に顔をあてて泣く
自動車のとまりしところ冬の山
柏手の二つひびきし冬日かな
冬波の百千万の皆起伏
凍鶴のやをら片足下しけり
頰被りしつかと覗く噴火口
雪卸す人に通りし煙かな
一ひらの枯葉に雪のくぼみをり
餅搗くや框にとびし餅のきれ


過日 麥丘人の遺句集(「小椿居以後」)を読んでいたら
行く春や俳句は久保田万太郎
なる句に出会って妙に感じ入ったが、この久保田万太郎のところ 高野素十と遣ってもまんざら悪くもない。一茶と遣っても…。
変な話だが、小生は腹の調子が悪いとき、大正製薬のパンシロンを嚥むとスッキリする。それと同じで、万太郎も素十も一茶も同効果を齎す御仁である。万太郎様様、素十様様、一茶様様である。

以上

by 575fudemakase | 2016-04-12 04:56 | 句評など | Trackback | Comments(0)

龍太俳句二句の背景

龍太俳句二句の背景

俳句界一月号を覗いたら「蛇笏と龍太」特集をやっていた。
その中で雨宮氏の「妻子への眼差し」が 目にとまった。
幾つかの龍太俳句の句の背景に言及していたが、小生が興味を
持ったのは下記二句の背景。
なるほどそうだったのかと納得した次第…。

どの子にも涼しく風の吹く日かな
強霜の富士や力を裾までも

以下、その言及箇所を摘出しておく。

龍太の句は端正にして強く鋭い傾向にある一方、心の奥底には常に優しさと
温もりを宿している。それが顕著に窺えるのが、とりわけ家族への眼差しで
ある。温か味の籠った句が著書に散見出来る。
例えば、昭和二十六年の句に〈抱く吾子も梅雨の重みといふべしや〉がある。
これが龍太の慈愛ではないか。膝に乗っている子は、前年に生まれた純子である。
しかし昭和三十一年秋、不幸にして龍太は次女純子の急死と云う悲運を纏ってし
まった。〈露の土踏んで脚透くおもひあり〉〈枯れ果てて誰か火を焚く子の墓域〉
直情と号泣に他ならない句である。
月日を幾許か経て〈風ぬくし旅半ばより亡き子見ゆ〉〈秋空にひとり日暮れて一周忌〉
と詠む。更に逆縁の悲劇から十年を経た頃に、〈子の皿に塩ふる音もみどりの夜〉と
続く一家団欒は、俊子夫人、長女公子二十二歳、長男秀實十四歳?、次男恵二二十八歳、
三女由美子六歳の家族構成であった。表面は幸せ溢れる様子であるが、塩振る微かな音に
龍太は純子のこえを聴いたのではないか。亡き純子の存在想起である。
〈どの子にも涼しく風の吹く日かな〉高名な句である。前句と同列の思いの作品。龍太の
心底に沈殿するのは矢張り次女純子への追想である。



献身的に龍太に尽くす妻への視点は、長男秀實生誕の年、妻の実家で詠んだ句である。
〈強霜の富士や力を裾までも〉夫人はいたって穏やかな人品であった。妻への全幅の
信頼を寄せた句意が潜んでいまいか。美しく、気高く、どっしりと構える秀嶺富士に
重ねた愛妻讃歌である。
目下のところ、この句を凌ぐ富嶽の句は見当たらないと言っていい。
更に〈螢火や箸さらさらと女の刻〉と感謝の眼差しを向けた、晩餐後の廚を詠んでいる。

(「妻子への眼差し」  雨宮更聞 より)


その他、もう一つ龍太句の解説で関心を持った箇所があったので
それも引用しておく。

鰯雲日かげは水の音迅く

その頃、同じ鰯雲を詠んだ句に〈ひややかに夜は地を送り鰯雲〉があり、
金子兜太先生はこちらのほうを褒めておられました。毎月、麥南先生宅に伺い
俳句談義をしていたのですが、その際、私は前者の句のほうが好きで、後者は
まだ若さが見える、と話すと、麥南先生も納得してくださいました。

(「インタビュー」 淺井一志より)

小生も昨年、後期高齢者の部類に属しましたので、淺井氏の感想よく判ります。
 

以上
by 575fudemakase | 2016-03-15 02:10 | 句評など | Trackback | Comments(0)

メモ 青々100句

メモ 青々100句

ある雑誌で茨木和生さんが 松瀬青々 100句を抽いていた。
その中から小生の胸にピンときた句を拾えば…

舷や手に春潮を弄ぶ
石段にのる事二尺春の潮
乾鮭のあるが上にも貰ひけり
正月にちょろくさい事お言やるな
すてし花は氷の上にこほりけり
鳥の巣が木にも土にも山畠
菜の花やむうと日のてる雨上り
鵙なきぬ曇りのどことわかたねど
秋の風地をふきたてゝ澄みにけり
春風が空の中から吹いて来る
黄河よりいざよふ雲の五月かな
どこ迄も奥あるやうに蛍とぶ
鴨の嘴黄によごれたる寒さかな
水にては水の色なる白魚かな
春たつやどこがどこかとも無けれども
ぼっかりと雪ほどのもの世にあらず
まんもすの骨を掘り出す枯野かな
顔よする二尺一尺梅の花
大和岡寺菩薩の子なり蛙子も
秋来ぬとさやかに雲のうすれ飛ぶ
月見して如来の月光三昧や

以上
by 575fudemakase | 2016-01-09 05:32 | 句評など | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
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尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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