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夜桜 の俳句

夜桜 の俳句
夜桜

ある夜の桜に懸る飛行服 攝津幸彦
うつくしき桜の雨や電気燈 夜桜 正岡子規
おぼろ夜の桜吹雪を知つてをり 角川春樹 夢殿
おもしろの世の夜桜と仰ぐかな 大石悦子 群萌
しばらくはその夜桜に佇ちにけり 細井新三郎
ながながと桜の上や月一つ 夜桜 正岡子規
ひと刻をこぼさぬように夜の桜 藤井冨美子
ふるへとも朧夜桜露もなし 夜桜 正岡子規
ぼんぼりに匂ひのありし夜の櫻 高澤良一 鳩信
またの世のあるべき夜の桜かな 山本洋子
ゆふざくらを往きて夜桜を復る 亀丸公俊 銀化
わらうて呑みこむ山盛り飯か夜櫻は 竹中宏 句集未収録
愛憎の果ての夜桜見て歩く 小林康治 『潺湲集』
悪友の欲しくなりたる夜の桜 清水浩
一期の火消したるあとの夜の桜 佐藤文子
一本の桜を出づる夜の雲 藤田あけ烏 赤松
可惜夜の桜かくしとなりにけり 斉藤美規
観劇後夜桜と闇同じうす 堺 点子
既にして夜桜となる篝かな 日野草城
吉原の夜桜なかを通ひけり 野村喜舟
吉原の朧夜桜露もなし 夜桜 正岡子規
吉原や雨の夜桜蛇目傘 夜桜 正岡子規
客夫婦夜桜を見に出かけたり 比叡 野村泊月
金泥を溶く夜桜の冷えのなか はりまだいすけ
九時の鐘に茶店を鎖す桜かな 夜桜 正岡子規
九分咲きの夜桜に灯をあびせたる 京極杞陽
月の夜の桜に蝶の朝寝かな 千代尼
月よひよひ桜の一重二重哉 夜桜 正岡子規
月よひよひ桜日に日に満てる哉 夜桜 正岡子規
更くる夜をしづまる村の桜かな 夜桜 正岡子規
更くる夜を静まる里の桜哉 夜桜 正岡子規
思ふまま歩きたき夜の桜かな 渡辺桂子
持重る月夜桜の雫かな 夜桜 正岡子規
春月の下に夜桜下に町 京極杞陽 くくたち上巻
寝耄御前山路に初夜の桜狩 井原西鶴
人顔に夜桜いたく更けにけり 石原舟月 山鵲
清水や桜の上の鉄燈籠 夜桜 正岡子規
生国に来て夜桜の人となる 辻口秋草子
雪と見る桜の上や月一つ 夜桜 正岡子規
雪洞の人肌いろに夜の櫻 高澤良一 鳩信
想像のつく夜桜を見に来たわ 池田 澄子
息ひとつひとつ餅切る父の夜 桜井博道
貸し練炭貸し茣蓙夜桜真っ盛り 高澤良一 寒暑
大門や夜桜深く灯ともれり 正岡子規
誰そや上野の月夜桜に詩を吟す 夜桜 正岡子規
地の蝉冷たし//夜桜の国/麦の国 林 桂
朝桜夜桜わが家への近道 桂信子 花寂び 以後
電気を運ぶ臨時の柱夜桜へ 田川飛旅子 花文字
電燈の雨うつくしき桜哉 夜桜 正岡子規
賭けごとの椅子は腰高夜の桜 星野紗一
途切るるとなき夜桜の人通り 行方克己 知音
湯けむりに夜桜没す野天風呂 大熊輝一 土の香
灯のともる雨夜の桜いぢらしや 夜桜 正岡子規
灯を消して観る夜桜の息づかひ 堀口星眠(1923-)
髪湿るまで夜桜の下歩む 朝倉和江
半玉が燭の心剪る桜かな 夜桜 正岡子規
非常口より出でて夜桜見にゆかな 嶋田麻紀
膝立てて眠る夜桜実となる夜 二村典子
百花とは百語に似たり夜の桜 平松良子
病室は誰も叫ばぬ夜の桜 対馬康子 吾亦紅
風のほかにも夜桜を揺らすもの 三村純也
焚きし火の燠となりゐて夜の桜 塚腰杜尚
母婦会の帰路夜桜へ連れ立ちて 竹下しづの女句文集 昭和十年
門の花夜行く人の小唄哉 夜桜 正岡子規
夜ざくらを口あんぐりと開けみる児(称名寺夜桜) 高澤良一 暮津
夜の桜うしろに暗き崖懸る 加藤楸邨
夜の桜めいめいに来てともに酔ひ 橋本榮治 逆旅
夜の桜時間のすべて盗まれる 高野ムツオ 雲雀の血
夜の桜傷つき合つて散りにけり 岬雪夫
夜の桜少年野性をあらはにす 田村一翠
夜の桜満ちて暗くて犬噛み合ふ 西東三鬼
夜桜となる灯ともりぬ一斉に 佐々木遡舟
夜桜と照らし出されて一老樹 小島千架子
夜桜と濡れてゐるなり恋ひつのり 仙田洋子
夜桜と夜桜までのくらさかな 渡辺乃梨子
夜桜と離れてゐるなり恋ひつのり 仙田 洋子
夜桜にあがる焔の二タ柱 高澤良一 さざなみやつこ
夜桜にカーテンコールありにけり 山田弘子 懐
夜桜にこもる茶店の煙かな 夜桜 正岡子規
夜桜にしこたま冷えて戻りけり 高澤良一 鳩信
夜桜にすこし早くて鴨食へり 鈴木鷹夫 春の門
夜桜ににぎはふ恋の神籤かな 大橋櫻坡子 雨月
夜桜にひとりでゐると耳が散る 林桂 銅の時代
夜桜にほつ~雨もよからずや 水守萍浪
夜桜にマグネシウムの煙かな 阿部みどり女
夜桜にわれは黒子となり通る 行方克己 知音
夜桜に逢ひたる人を憶ひ出せず 下村梅子
夜桜に逢ひたる人を思ひ出せず 下村 梅子
夜桜に音のみ激つ湯檜曾川 堀口星眠 営巣期
夜桜に顔衝きあうて出逢ひけり 大橋櫻坡子 雨月
夜桜に寄せオートバイまだ熱し 奥坂 まや
夜桜に客を送りて女中達 松藤夏山 夏山句集
夜桜に琴の音ひびく松本城 松橋昭夫
夜桜に月は七日か八日かな 高橋淡路女
夜桜に古きインキが飛んでゆく 攝津幸彦 鹿々集
夜桜に呼ばれてゆきぬまた一人 山田弘子 懐
夜桜に後ろの闇のありてこそ 今井つる女
夜桜に高く灯れり如意輪寺 松藤夏山 夏山句集
夜桜に魂の抜けゆく音すなり 角川春樹 夢殿
夜桜に三線長けて名護城址 伊舎堂根自子
夜桜に若く悩みて一歩一歩 森田智子
夜桜に愁の面あげにけり 阿部みどり女
夜桜に真つ赤な鯛が隠れをり 金子青銅
夜桜に星無き空の濃紫 成瀬正とし 星月夜
夜桜に青侍が音頭かな 高井几董
夜桜に池を隔てゝ篝かな 高浜年尾
夜桜に通りすがりの尼法師 高橋淡路女 梶の葉
夜桜に透く痩身の十七歳 末里杏介
夜桜に背広の冷えて帰宅せり 正木ゆう子
夜桜に眉失へば妻の妖 長谷川秋子
夜桜に浮びて消えし面輪かな 下村梅子
夜桜に僻地教師の小酒盛 田中静竜
夜桜に歩きて誰も明日知らず 西村 和子
夜桜に帽子を深くしてゆけり 藤田あけ烏 赤松
夜桜に誘ってみてはと付け足せり 高澤良一 鳩信
夜桜に誘はれ出でて父の墓 古賀まり子 緑の野以後
夜桜に来し船の音波の音 塩川雄三
夜桜に攫われし如人消ゆる 村井杜子
夜桜のかなたに暗き伽藍かな 伊藤柏翠
夜桜のざわめきにとり囲まるる 大竹淑子
夜桜のふかれてくれば掌をひらく 細谷源二 鐵
夜桜のフランクフルトソーセージ 高澤良一 寒暑
夜桜のぼんぼりの字の粟おこし 後藤夜半
夜桜のみしみし搖るゝまへうしろ 川崎展宏
夜桜のむらさき色に責めらるる 宇多喜代子
夜桜の一枝長き水の上 高野素十
夜桜の一樹の化粧濃かりけり 行方 克巳
夜桜の雨夜咲き満ちたわゝなり 秋櫻子
夜桜の影うつりたる車椅子 仙田洋子 橋のあなたに
夜桜の円山ゆるき坂がかり 江島つねを
夜桜の宴へ運ぶよ鍋焜炉 北野民夫
夜桜の遠き一本われを待つ 片山由美子 風待月
夜桜の音のひとつに救急車 秋山幸穂
夜桜の下うつうつと蟇急ぐ 矢島渚男 延年
夜桜の下自転車が迅く通る 波多野爽波 鋪道の花
夜桜の鬼気迫りきて通さざる 松山足羽
夜桜の月につらねし障子かな 阿部みどり女
夜桜の三分は淋し身のほとり 立川華子
夜桜の出口を探している二人 対馬康子 吾亦紅
夜桜の鐘聞得たり寒山寺 尾崎紅葉
夜桜の深みに入りて行方知れず 斎藤愼爾
夜桜の真只中に吹かれをり 仙田洋子 橋のあなたに
夜桜の真白に闇を焦がしけり 吉田千嘉子
夜桜の人に混じりて華やがん 高澤良一 寒暑
夜桜の水底に見ゆ高台寺 松尾初美
夜桜の雪洞ここから称名寺 高澤良一 暮津
夜桜の雪洞高くここ低く 高澤良一 暮津
夜桜の雪洞尽きるところまで 高澤良一 宿好
夜桜の全てが見えるプレパラート 対馬康子 純情
夜桜の地霊こもれる高さまで 勝又民樹
夜桜の中に火ともす小家哉 夜桜 正岡子規
夜桜の汀に湖が来て湛ふ 榎本冬一郎 眼光
夜桜の天蓋ゆるびなかりけり 行方克己 昆虫記
夜桜の灯うらの瀬音なりしかな 山田弘子 こぶし坂
夜桜の灯の消えし奈落かな 土屋秀穂
夜桜の白を極めて女人堂 影島智子
夜桜の分厚き天を戴ける 嶋田麻紀
夜桜の幕の隙間の海黒し 皆川白陀
夜桜の夜も藍の香浴衣染 百合山羽公 寒雁
夜桜の冷え込み上着一枚分 高澤良一 寒暑
夜桜の和歌山城に寄るも旅 田辺虹志
夜桜の篝の籠や昼閑なり 西山泊雲 泊雲句集
夜桜の頤に河流れゐる 岡井省二
夜桜へわれらまあるく崩えてゆく 穴井太 ゆうひ領
夜桜へ悪徳灸師と錠前師 攝津幸彦 未刊句集
夜桜へ開け放ちあり城の門 安原久雄
夜桜へ高張ともす高台寺 吉岡保子
夜桜へ志功の菩薩うかれ出づ 柳下舟灯
夜桜へ社を抜けて行きにけり 高濱年尾 年尾句集
夜桜へ出てしまひたる下宿かな 五十嵐播水 播水句集
夜桜へ出不精の夫さそひけり 上原瑞子 『燈台草』
夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと 高澤良一 宿好
夜桜も思ひて父の忌を待てる 百合山羽公 故園
夜桜も淋しきことでありにけり 比叡 野村泊月
夜桜やうらわかき月本郷に 石田波郷
夜桜やながながと鳴る警報機 片山由美子 天弓
夜桜やなだれうつかに師の遺稿 斉藤夏風
夜桜やひとつ筵に恋敵 黛まどか(1965-)
夜桜や雨ふる中の電気燈 夜桜 正岡子規
夜桜や宴に一品持ち寄りて 小川 守
夜桜や遠くに光る潦 阿部みどり女
夜桜や嫁の仕事を打遣りて 津田ひびき
夜桜や介護の人の少し酔ひ たかおさむ
夜桜や海の底にも峰聳え 三森鉄治
夜桜や幹黒々と逞しき 石崎鬼門
夜桜や汽車の白煙ふんだんに 山口誓子
夜桜や香典返しの酒がある 武田和郎
夜桜や此の桶は此の馬のもの 星野紗一
夜桜や祭見んとて老いにゆく 森澄雄 浮鴎
夜桜や四五人帰る小提灯 島村はじめ
夜桜や寺の一室カーテン引く 右城暮石 上下
夜桜や蒔絵に似たる三日の月 夜桜 正岡子規
夜桜や修善寺に買ふ髪飾り 南雲秀子
夜桜や十二欄干灯幽かなり 夜桜 正岡子規
夜桜や松を境に花明り 夜桜 正岡子規
夜桜や梢にうつろあるごとく 高濱年尾 年尾句集
夜桜や梢は闇の東山 田中王城
夜桜や上野を通る戻り道 夜桜 正岡子規
夜桜や真珠のピアスつけしまま 徳田千鶴子
夜桜や人静まりて雨の音 夜桜 正岡子規
夜桜や星あふるると誰か言ふ 岡田 和子
夜桜や星なき空に花高く 岩田由美 夏安
夜桜や声かけられてゐるは憂し 仙田洋子 橋のあなたに
夜桜や相馬は松も大ぶりに 世古諏訪
夜桜や大雪洞の空うつり 子規
夜桜や誰やら打し紙礫 井上井月
夜桜や池田はふるき酒どころ 北市秋帆
夜桜や辻燈籠の片うつり 夜桜 正岡子規
夜桜や灯明ゆらり人ゆらり 広戸英二
夜桜や波見えずして海動く 高橋悦男
夜桜や扉の御紋章月ふれず 渡邊水巴 富士
夜桜や風湧いて人影の立つ 原田種茅 径
夜桜や物の怪通るとき冷ゆる 春樹
夜桜や歩むひびきに水揺るる 阿部みどり女
夜桜や葉桜や三味爪弾いて 小坂 順子
夜桜や露ちりかゝる辻行燈 夜桜 正岡子規
夜桜や老いて妖しき夢をみる 清水基吉
夜桜を暗くす墨をつけし爪 長谷川かな女 花寂び
夜桜を家康公と見てをりぬ 新川澄子
夜桜を駆け抜け行きし漢かな 行方克巳
夜桜を駈け抜け行きし漢かな 行方克己 知音
夜桜を見ずに別れの談義かな 宇津木玲華
夜桜を見て横丁の三ノ輪線 両角玲子
夜桜を見て今日のことけふ忘る 金田咲子
夜桜を見て来し裾の汚れかな 茨木和生
夜桜を見にと男を募りけり 金久美智子
夜桜を見るにタオルを首に巻き 平松荻雨
夜桜を見んとて場所を移しけり 高村寿山
夜桜を見上げて言葉胸に秘め 松村久美子
夜桜を見上げ生者の側に居る 大串章
夜桜を産みたき処女と手を繋ぐ 林桂 銅の時代
夜桜を思ひ寝にせむ雨の音 小沢碧童
夜桜を鎮めて雨の少し降る 高澤良一 寒暑
夜櫻となりゆく川の面かな 綾部仁喜 寒木
夜櫻にまじる裸木恐ろしく 千原叡子
夜櫻に人牛(くだん)の通るお濠ばた 筑紫磐井 婆伽梵
夜櫻に毒婦いたぶる巡羅をり 筑紫磐井 婆伽梵
夜櫻に話の後を出かけけり 池内たけし
夜櫻のどこにも亡き父ばかり酔う 永田耕一郎
夜櫻のぼんぼりの字の粟おこし 後藤夜半
夜櫻の一枝長き水の上 高野素十
夜櫻の月につらねし障子かな 阿部みどり女
夜櫻の中有にあそぶおもひかな 横田昭子
夜櫻やこゝより見えぬ東山 高野素十
夜櫻や街あかりさす雲低し 富田木歩
夜櫻や中に電燈の赤き青き 寺田寅彦
夜櫻や二階灯りて大藁屋 島村はじめ
遊行とは夜桜に鳴る吉野川 鈴木鷹夫 春の門
夜桜 補遺
うつくしき桜の雨や電気燈 正岡子規 夜桜
そこには灯遠き夜桜遠木蓮 中村草田男
そよりともせぬ夜櫻に立ちゐたり 星野立子
ながながと桜の上や月一つ 正岡子規 夜桜
ふぶかんとおもひ朝昼夜の桜 鷹羽狩行
ふりかへるとき夜桜のはばたける 上田五千石 天路
ふるへとも朧夜桜露もなし 正岡子規 夜桜
みつみつの夜桜鬼気を醸したる 能村登四郎
一枝折り二枝折り盗る夜の桜 右城暮石 句集外 昭和三十年
炎えている他人の心身夜の桜 西東三鬼
既にして夜桜となる篝かな 日野草城
吉原の朧夜桜露もなし 正岡子規 夜桜
吉原や雨の夜桜蛇目傘 正岡子規 夜桜
九時の鐘に茶店を鎖す桜かな 正岡子規 夜桜
空の路きて夜桜の人となる 鷹羽狩行
月よひよひ桜の一重二重哉 正岡子規 夜桜
月よひよひ桜日に日に満てる哉 正岡子規 夜桜
工笛が一散に去る夜の桜 山口誓子
更くる夜をしづまる村の桜かな 正岡子規 夜桜
更くる夜を静まる里の桜哉 正岡子規 夜桜
産月近づく夜桜に櫂の音近づく 中村草田男
持重る月夜桜の雫かな 正岡子規 夜桜
人稀のハイドパークの夜桜に 上野泰
清水や桜の上の鉄燈籠 正岡子規 夜桜
雪と見る桜の上や月一つ 正岡子規 夜桜
川音に高低のあり夜の桜 細見綾子
大門や夜桜深く灯ともれり 正岡子規 夜桜
誰そや上野の月夜桜に詩を吟す 正岡子規 夜桜
誰も来てゐぬ夜櫻や寂として 高浜年尾
朝桜夜桜わが家への近道 桂信子 晩春
転舵せしとき夜桜の強燭光 鷹羽狩行
電燈の雨うつくしき桜哉 正岡子規 夜桜
灯のともる雨夜の桜いぢらしや 正岡子規 夜桜
半玉が燭の心剪る桜かな 正岡子規 夜桜
病篤き人と故人と夜櫻と 星野立子
並みゆけど歎けばさむし夜の桜 鷲谷七菜子 黄炎
門の花夜行く人の小唄哉 正岡子規 夜桜
夜の桜咲き極まれば息苦し 橋閒石
夜の桜満ちて暗くて犬噛み合ふ 西東三鬼
夜の桜翼なきもの地に騒ぐ 桂信子「草影」以後
夜の桜麓の道の八方に 角川源義
夜の櫻咲き満つ枝に手届かず 右城暮石 句集外 昭和二十八年
夜桜となりはて星がきらびやか 日野草城
夜桜にこもる茶店の煙かな 正岡子規 夜桜
夜桜に何も持たぬ手冷たしや 右城暮石 句集外 昭和三十一年
夜桜に後歩きも妻恋ひつつ 中村草田男
夜桜に坐す凸凹も興とせり 右城暮石 一芸
夜桜に読むこれがわが表札か 鷹羽狩行
夜桜に来し手じんじん血が通ふ 右城暮石 句集外 昭和三十三年
夜桜に燿りし木椅子の釘ゆるぶ 上田五千石『田園』補遺
夜桜のふかれてくれば掌をひらく 細谷源二 鐵
夜桜のぼんぼりの字の粟おこし 後藤夜半 翠黛
夜桜の意外の寒さから戻る 鷹羽狩行
夜桜の一枝長き水の上 高野素十
夜桜の下自転車が迅く通る 波多野爽波 鋪道の花
夜桜の瓦斯燈の蔭に見しは犬 加藤秋邨
夜桜の中に火ともす小家哉 正岡子規 夜桜
夜桜の灯のさきがけに厠の灯 鷹羽狩行
夜桜の灯のつづきにて暗き家路 津田清子 礼拝
夜桜の夜も藍の香浴衣染 百合山羽公 寒雁
夜桜の篝火が生む化鳥かな 佐藤鬼房
夜桜の頤に河流れゐる 岡井省二 有時
夜桜も思ひて父の忌を待てる 百合山羽公 故園
夜桜やさんらんとして星満天 村山故郷
夜桜やそのかみ父母へ帰りし道 中村草田男
夜桜や雨ふる中の電気燈 正岡子規 夜桜
夜桜や影の大きな人往き来 桂信子 花影
夜桜や忌むにをんなと灯と月と 上田五千石『琥珀』補遺
夜桜や汽車の白煙ふんだんに 山口誓子
夜桜や月の紋章月の中 中村草田男
夜桜や港の船の見ゆる園 山口誓子
夜桜や寺の一室カーテン引く 右城暮石 上下
夜桜や蒔絵に似たる三日の月 正岡子規 夜桜
夜桜や手頃荷振りて人の母 中村草田男
夜桜や十二欄干灯幽かなり 正岡子規 夜桜
夜桜や十本ばかり雪洞を 山口青邨
夜桜や松を境に花明り 正岡子規 夜桜
夜桜や上野を通る戻り道 正岡子規 夜桜
夜桜や人静まりて雨の音 正岡子規 夜桜
夜桜や星数透くは山桜 中村草田男
夜桜や先生は死にき師は死にき 村山故郷
夜桜や大雪洞の空うつり 正岡子規 夜桜
夜桜や辻燈籠の片うつり 正岡子規 夜桜
夜桜や灯の障子より男子のこゑ 野澤節子 未明音
夜桜や扉の御紋章月ふれず 渡邊水巴 富士
夜桜や露ちりかゝる辻行燈 正岡子規 夜桜
夜桜を見にゆく帯を締め直し 鈴木真砂女 紫木蓮
夜桜を扇びらきに御苑かな 鷹羽狩行
夜櫻の仰ぎてうつろなるところ 高浜年尾
夜櫻の体重計に銭をおとす 水原秋櫻子 蘆刈
夜櫻やうらわかき月本郷に 石田波郷
夜櫻やこゝより見えぬ東山 高野素十
夜櫻や遠ざかり来てかへりみる 富安風生
夜櫻や高尾を照す月くらき 水原秋櫻子 残鐘
夜櫻や祭見んとて老いにゆく 森澄雄
夜櫻や梢にうつろあるごとく 高浜年尾
夜櫻や城陥りて四百年 水原秋櫻子 殉教
夜櫻や仙丈ケ岳にひかる雪 水原秋櫻子 殉教
夜櫻や疲れて知らぬ町ゆけば 水原秋櫻子 霜林
夜櫻や篝の煙ほそ~と 高野素十
夕ざくら見て夜桜を思ひをり 岸田稚魚 紅葉山
夜桜 続補遺

月の夜の桜に蝶の朝寐哉 千代尼
寝耄御前山路に初夜の桜狩 井原西鶴
夜桜に青侍が音頭かな 几董
夜桜に諷う拍子もなかりけり 杉風
以上


by 575fudemakase | 2018-03-28 07:13 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

浜大根の花

浜大根の花


舟を置く浜大根の花の中 草間時彦 櫻山

浜大根何處から降りても小網代湾 高澤良一 石鏡

浜大根咲いて三里の砂丘鳴る 白井眞貫

風垣の海側が好き浜大根 岩坂満寿枝

浜大根節くれ立てる豆の莢 高澤良一 素抱

この先に径無ささうで浜大根 高澤良一 素抱

週末の海ひろびろと浜大根 高澤良一 随笑

浜大根咲くやひねもすささら波 藤田れい子

浜大根網も五色の御座の磯 鈴木公二

風はたゞ浜大根の花を吹く 森田 峠

野大根も花咲きにけり鳴く雲雀 一茶

七種や常はやせたる野大根 嵐青


by 575fudemakase | 2018-03-25 16:26 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

俳句年鑑2018年版 諸家自選五句を読んで

俳句年鑑2018年版 諸家自選五句を読んで

656名 角川学芸出版 2017.12.7発行


共鳴句を挙げる。ブランク(空白)行に挟まれた句群は同一作者。

作者名は割愛。原著にあたられたし。

先ずは作品本位で句に対し、〝俳句は無名がよい〝を実践されたし。


毛羽立つて少し凹んで冬帽子

大晦日夜は序曲のように来る


蝉時雨遠景あまりにもしづか


飾取る遠くが聞こえきたりけり


朝粥の輝き釈迦の誕生日


毬は海を 海胆は林を夢想して


しやぼん玉 天下国家の世とは別


水筒に歳月の傷清水汲む

土を出て土の一穢もなき蚯蚓


隧道の涼しその先見えてきて


冬の雲兜太の猪首ふり返り


日の差せる小径が見えてゐて寒し

爆竹を猿に鳴らさむ松納

金縷梅のほとりに人の消えやすき


夜桜に包まれ旅寝深かりし


後ろから来て立秋の風となる


蒸しタオルの顔春昼のどの椅子も


糊利きし浴衣四角く歩きをり

台風の落としてゆきし月ひとつ


涅槃図を離れてこの世動くかな

春濤も岩も迷へる者同士


わが思ふところに潜くかいつむり


ニコライの鐘鳴る町に日記買ふ

偕老やほふほふ手繰る晦日蕎麦

夏場所やまはし叩きてにらみあひ

九十三どんぐり見ればすぐ拾ふ


小流れはそこより見えず蕗広葉


春雷の次を待つごと立ちつくす


雑煮餅それとなく余生のかたち

生きていること思い出す夏座敷


闇といふ魔法じかけや猫の恋


銀座百年年の瀬となりにけり


師にありて我になきもの昼寝の句


更衣見るべき花を見尽して


ひるがへる銀座育ちの蚊食鳥


星空は戴冠式のごとく凍つ


切り落としたる鯰の頭なほ笑ふ

ネアンデルタール以来なる鬱冬籠


滝仰ぐ退りて仰ぎまたすさる


たいそうな名前がついて花菖蒲


稲妻の一閃病なきごとし


切干のちりちり時を刻みけり


豊年の暮れてしまへば大月夜

稲雀伊勢路に入ればうねり飛ぶ


アテルイの面構へして鮭のぼる


凍鶴のかたはうの足下りて来ず


寒晴や高さ貪るビルの群


青空へ狐のあげし雪けむり


郷愁に似たる涼感奥座敷


濡れ縁やほたるの闇に足を垂れ


残像に風のコスモスまたコスモス


行春の雑巾となる布巾かな


布を裁つ一瞬の息万愚節


胡桃割るとほき祖に尾の有りやなし


朝早く蚊帳を抜け出てゆきにけり

庭に出て石撫で木撫で年新た


水打つてしばらく人を遠ざけて

はじかみのはじらふごとき肌かな


冬日向歩けばよいのに歩かない


ありふれしをとこと女宵祭


法螺貝の内のくれなゐ春を待つ


なんという落日ぼおんぼおんと時計


父の日を母とならざる我と祝ぐ


日をのせて上へ下へと赤とんぼ


玉虫のごと褒めらるる死後ありや

野に山に兎走らす今日の月


頬杖の机上は獺の祭かな


二人して上座に在す生身魂


ところどころ渇筆雨の大文字


海女若し火につややかな脚を投げ


しやぼんだま炎の色をして割るる


初御空空には空の貌がある

人生に逃げ場など無し十二月


おぼろ夜の仁王ゆるめし力瘤


夕映のいろ水にある夏越かな


花冷えのなかなか沸かぬ湯に苛つ


たらちねの春眠にして永眠す


隧道の入口ミモザ出て辛夷

深海魚やたら出廻り冴返る


育つとは汚すことなり燕の子


老いらくの恋とは本を読みて秋


嚔鼻水ときどき涙三月来


食べるほど薬を飲んで夏に入る


通帳と桜貝あり抽斗に


どのやうなことばでもない竹落ち葉

花蘇芳この世はといひ身をそらし


春雷の数撃ありし夕餉かな

秋風やお腹のうすき女の児


冬薔薇満場一致とはしづか


虚子が好き立子が好きで爽波の忌


水鉄砲にやられてやるも一つかな


油蝉ばっか弟三回忌


新樹また新樹爪先立つやうに

揺れながらビールの泡の到着す


すみれ目のひとたちが自転車で来る

火が紙にくひ込んでゐる麦の秋

山鳩のこゑの風呂敷包みかな


喜雨亭忌その懐のなつかしき


揺れるだけゆれる椿をあくがれつ


秋の暮むかし銀巴里・ルパン・姫


開戦日表皮ぽろぽろクロワッサン


草氷柱草より抜けて流れけり


くちばしをあげて降ろして初鴉

囀りや鴉は鴉だけで居る


日の丸よ赤から黒になるなかれ


行列に並んで春の風邪もらふ


流氷のひそと寄せ来てひしと組む

泣き初のその執念ぞたのもしき


閂を外して桜見てもらふ


土用波ひびきくらみて返しくる


草の根を引けば手こずる素十の忌


脱ぎ捨てて木は木の形十二月


結んで開いて手を打てば春


胸像のはやくも馴染む茂かな

天心となりたる月に川の音


赤まんま還らぬものは忘じけり

冬眠を忘れた亀のごとくゐる


たんぽぽや湖の平らは野に及び


喧嘩して違ふ夕焼見て帰る


初雪に戸惑ふ事もまた楽し


風に落ちまた風に飛ぶ天道虫


穴まどいさては彼奴に奪られたな

ちゃんちゃんこ着込んで一生俳句馬鹿


子雲雀のぶらぶら歩き虫咥へ


琵琶湖北端蘆の角蘆の角


縁側に厚き日差しが載って冬

波を追ひ波に追はれて遅日の子


許されぬことして来しかうかれ猫


老人のよろけ出できし鉢たたき


まだ赤といふにはあらず苗金魚

誰も知らず秋蝉の声止みたる日


生身魂数珠揉むごとく箸洗ふ


セーターの毛玉仕方のなき人よ


浜焚火ほったらかされなほ燃ゆる


かたつむり海から生まれきし形


畳み皺ついてゐるなり鯉のぼり


晴つづき吉野の花も早からん

所々にまだ過日の雪や京の路地


海鼠かむ音かはしけり女正月


揚ひばり血が止まるまでしゃぶる指


先程の雨の滲める団扇かな


塔頭より塔頭へ猫の恋


風鈴に母の亡き世の音興る

旧盆や川瀬にをどる草の屑


大広間開けられしとき涼しかり



●合評鼎談 今年の秀句からは


雨すぐに雨粒となり吾亦紅

花の雨大和に今日は横に飛ぶ

誰がこともいつか昔にほととぎす

誰もゐぬ港に虹の立ちにけり

短日の斜めの雨となつてゆく

秋の暮青空のまだありながら

水鳥といふ水鳥や日の当たる

返信に大患のこと霞草

ハンケチに一日の皺夕桜

秋風や遺影にそなへオムライス


を挙げて置きたい。


しかし、下記は等類が擦り寄ってくるようで一抹の危うさがあると思う。

誰もが簡単に作れてしまうところがありそうなのである。


蕗剥くや臨時ニュースを聞きながら

界隈の残る桜を見て歩く

旅先にあるがごとくに端居かな


又下記の共選句には、良し悪しは別にして、どうやら下敷きがあるような気もした。


東北本線全線眠る蛇である

詫びひとつ言ひて死にたし金魚玉


に対し


長距離列車(ブルートレイン)のスパークを浴び白長須鯨(シロナガス)

繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり


以上









by 575fudemakase | 2018-03-25 08:11 | 句評など | Trackback | Comments(0)

種痘 の俳句

種痘 の俳句
種痘

あゝ誰も種痘の痕を窶しゆく 中原道夫
いとけなき腕に種痘の華四つ 福田蓼汀
こでまりの花さき種痘よくつきぬ 金子伊昔紅
その中に妓もまじれる種痘かな 五十嵐播水 播水句集
たのもしき発句の医(くすし)や吾子種痘(片山郷邨氏に) 『定本石橋秀野句文集』
ぬかるんで植疱瘡の戻りみち 石川桂郎 四温
鋭きもののこちら向きなる種痘かな 山口誓子
横むいて種痘のメスを堪えにけり 篠原鳳作
沖遠く白き船ゆく種痘かな 安住 敦
皆若き職場の種痘我もうく 右城暮石 声と声
菊作り顏に疱瘡のある男なり 菊 正岡子規
泣き声のつぎつぎ雪の種痘室 福田甲子雄
泣声のつぎつぎ雪の種痘室 福田甲子雄
灸花疱瘡神にからみつく 滝沢伊代次
供待に医者の俥が種痘の日 石川桂郎 四温
傾城の疱瘡うゑる日永かな 寺田寅彦
固き帯に肌おしぬぎて種痘かな 竹下しづの女 [はやて]
枯るる邑仏と棲ふ疱瘡神 大熊輝一 土の香
梧桐のやゝ暗かりし種痘かな 岩田潔
種ゑ疱瘡つきし一顆も天瓜粉まみれ 篠原梵
種痘ある寺の境内人往来 山内十夜
種痘うくかひなしづかにあづけたる 亀井糸游
種痘うむ熱のいとまの朝日かな 『定本石橋秀野句文集』
種痘する机の角がそこにある 波多野爽波
種痘する児のいとしさや抱き上げて 島田青峰
種痘する女ながらも校医かな 松浦 沙風郎
種痘する村のいつもの老医かな 高浜虚子
種痘する肌の魔幽くかゞやけり 飯田蛇笏 霊芝
種痘つく柱の中を汽車が過ぎ 宮坂静生
種痘の子冷たき器具にためらへり 塚原麦生
種痘の児泣きつつ我をにらみけり 中田品女
種痘の児讃歌のごと泣きいでぬ 石田波郷
種痘の日まだ少女めく母もゐし 車谷弘
種痘医に老醜の肘せまりつゝ 軽部烏頭子
種痘痕薄れつつあり更衣 坂野宜枝
種痘針きめこまかなる娘をさしぬ 飯田蛇笏 春蘭
種痘日の教師を淡く記憶せり 藤田湘子
種痘日の尼院の椿もえにけり 石原舟月 山鵲
焼跡の植疱瘡の列あはれ 石田波郷
進水待つ子等種痘の赤さまた見せあひ 加藤知世子 花寂び
星月夜おびえさめつゝ種痘うむ 『定本石橋秀野句文集』
昔むかしの種痘の痕のまだ痒し 能村登四郎 寒九
赤幟疱瘡の神を送りけり 神送 正岡子規
雪の夜の子にほのぼのと種痘熱 細川加賀 『傷痕』
雪歇まず入学の子の種痘日よ 千代田葛彦
凧あぐる風にこぼすやいも(疱瘡)麻疹 白良 芭蕉庵小文庫
桃の門種痘と書いて張札す 寺田寅彦
灯ちら~疱瘡小家の雪吹哉 一茶 ■寛政六年甲寅(三十二歳)
灯ちらちら疱瘡小家の雪吹かな 一茶
酉の市疱瘡神も照らさるる 高野素十
美しく血色見え来し種痘かな 水原秋桜子
父の日や父に種痘の痕六つ 増田栄子
母の乳のしぼみ給へる種痘かな 飯田蛇笏
毛氈の赤き座敷に種痘する 田中冬二 俳句拾遺
予防注射したもののさあどうなんだ 高澤良一 宿好
旅立の疱瘡神もしんがりに 宇田川八重子
六十余年あっといふ間や種痘痕 高澤良一 暮津
疱瘡(いもい)する児(ちご)も見えけり麦の秋 浪化 俳諧撰集「有磯海」
疱瘡のさんだらぼしへ蛙哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
疱瘡の児に春雪の川走る 中拓夫
疱瘡の神へ彼岸詣のついで哉 彼岸 正岡子規
疱瘡神佐保の小橋を彩りて 桂樟蹊子
茱萸をもぐ女の腕の種痘跡 高澤良一 石鏡
萬壽菊天然痘の神の手に 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
種痘 補遺

いとけなき腕に種痘の華四つ 福田蓼汀 山火
かりそめの種痘のときも医にたよる 山口誓子
たのもしき発句の医や吾子種痘 石橋秀野
ぬかるんで植疱瘡の戻りみち 石川桂郎 四温
ゑんどう咲いて天日濛き日の種痘 佐藤鬼房
鋭きものゝこちら向きなる種痘かな 山口誓子
沖遠く白き船ゆく種痘かな 安住敦
皆若き職場の種痘我もうく 右城暮石 声と声
寒の月硝子に炎えて種痘かゆし 西東三鬼
菊作り顏に疱瘡のある男なり 正岡子規 菊
供待に医者の俥が種痘の日 石川桂郎 四温
古草のばうばう包む疱瘡神 大野林火 月魄集 昭和五十六年
種ゑ疱瘡つきし一顆も天瓜粉まみれ 篠原梵 年々去来の花 皿
種痘うむ熱のいとまの朝日かな 石橋秀野
種痘かゆし枯木に赤きもの干され 西東三鬼
種痘して鏡から出る夜のひかり 藤田湘子
種痘する机の角がそこにある 波多野爽波 鋪道の花
種痘する肌の魔幽くかゞやけり 飯田蛇笏 霊芝
種痘医に寄する腕の肥瘠かな 日野草城
種痘児の寝顔見下ろす着替へつつ 伊丹三樹彦
種痘針きめこまかなる娘をさしぬ 飯田蛇笏 山響集
種痘日の教師を淡く記憶せり 藤田湘子
秋夕立疱瘡神の樹下に避け 上田五千石『琥珀』補遺
焼跡の植疱瘡の列あはれ 石田波郷
星月夜おびえさめつゝ種痘うむ 石橋秀野
昔むかしの種痘の痕のまだ痒し 能村登四郎
赤幟疱瘡の神を送りけり 正岡子規 神送
扇子もて種痘のあとをかくしけり 山口青邨
酉の市疱瘡神も照らさるゝ 高野素十
播水にして貰うたる種痘かな 日野草城
母の乳のしぼみ給へる種痘かな 飯田蛇笏
疱瘡の神へ彼岸詣のついで哉 正岡子規 彼岸
疱瘡神の尖り顎のこし野の円空 金子兜太
種痘 続補遺

はつ雪や乞食疱瘡する菰の下 木導
出がはりは疱瘡ぐしまでもあはれ也 李由
灯ちら~疱瘡小屋の吹雪哉 小林一茶
梅が香や小家の奥の疱瘡病 許六
梅の花つぼむや疱瘡のうみ過し 許六
疱瘡したる顔をならべてかるた哉 〔ブン〕村
疱瘡する児も見えけり麦の秋 浪化
疱瘡のあとは遥に幟哉 其角
疱瘡の跡まだ見ゆるはな見哉 傘下
疱瘡の薬が啼やほとゝぎす 桃後
疱瘡神のねだり事いふ亥の子哉 田川鳳朗
以上

by 575fudemakase | 2018-03-24 07:35 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

桜の俳句 自句(高澤良一)

桜の俳句 自句(高澤良一)


さる俳句雑誌で ”桜の季語”として 桜にまつわる諸季語と

その例句を特集していた。さて自句ではどうなるか?と 早速 出来た

ばかりの 季題別高澤良一全句集を索いてみた。



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桜にまつわる自句


以下

「ねず」は句集「ねずみのこまくら」、「もも」は句集「ももすずめ」、

「さざ」は句集「さざなみやつこ」、「ぱら」は句集「ぱらりとせ」の略。



●花 花の山 花の昼 花の鳥 花堤 花の風 花明り  

他愛なく花を見てゐる旅ごころ  燕音

花なんぞ見向きもせざる畑鴉  石鏡

花見むと来しリハビリに気散じに  暮津

花咲くと鳥もすっかりその気になり  燕音

早咲きの花のいたづら心かな  寒暑

勘違いして咲く花に相違なき  寒暑

花ほつほつ咲き出す山に悪路なし  寒暑

可借花散らしその形大き鳥  もも

鵯飛来花散るからに散るからに  鳩信

花散らす風の無理強ひしたりけり  素抱

酔どれのそれそれそれと散る花を  暮津

千鳥ケ淵

花の間鴨広がりて広がりて  随笑

花の間を何処まで飛翔長き鳥  随笑

花の間尾長が通り過ぎしのみ  寒暑

鳥ごゑに奥行き深き花の山  ぱら

だっこしてまたおんぶして花の山  随笑

花の山絶えず子供のこゑがして  寒暑

上からも下からも人花の山  素抱

見通して奥行のある花の山  素抱

禽ごゑのひろがりすぼまり花の山  素抱

花の山騒がしにくる目白かな  素抱

鳥よりも人よく遊ぶ花の山  素抱

精米所横よりのぼる花の山  素抱

いぶりがっこキザミがっこに花の昼  宿好

花の昼人を焼く間の腹ごしらえ  石鏡

垂直に上枝に移る花の鳥  燕音

来年も又来ておくれ花の鳥  燕音

花の鳥あれこれいふを聞き遣りぬ  燕音

間近に来目許くりくり花の鳥  随笑

枝移りして花の鳥こゑ大きく  素抱

すいと来てこんどは小柄花の鳥  素抱

何事かまくし立てたり花の鳥  素抱

桧木内川高堤いま花堤  宿好

花堤万の莚を敷き詰めて  宿好

花堤さてとここらで折り返そ  寒暑

飛来せる一羽花間へもぐり込む  もも

花房に縋れる鳥の紡錘形  もも

首伸ばしすくめつ鵯の花食める  もも

鳥の尾の上下頻々花隠り  もも

花を発つ鳥の胴より翼出で  もも

木を替へて花ついばめる鳥営々  もも

雨に風加はり花を駄目にする  もも

花このまゝ仏生会までもたせたし  さざ

一体に海岸ぷちの花早し  さざ

ときめける花に湿りをくれに雨  さざ

花乏し降られづめなる鵯に  さざ

ほころぶと告ぐる言葉の花より浮く  ぱら

花の風鯉の背鰭を吹きにけり  ぱら

鉛筆を走らす花鳥諷詠漢  ぱら

言語野に射して言の葉花明り  ぱら

当たりゐし山の日を花逸したり  ぱら

雨ありし上野の山の花の首尾  ぱら

花揺るゝは船酔に似て昼日中  ぱら

何もって本復巷は花の頃  鳩信

高遠花祭り

花に浮かれ来たる奴に高遠城  鳩信

藩校の教場抜けて花の風  鳩信

一雨に花崩れたり北の丸  鳩信

真っ白な花に群がる風一目  鳩信

その説に服しぬ花よ鳥よと詠む  燕音

折角の花が霞んで仕舞ひけり  燕音

ゆとりより生るゝものに花の風  燕音

藤右衛門さんのはちまき花談義  燕音

花も又花を了へたら一服す  燕音

花噴いてぼこんぼこんの桜の幹  燕音

花開くまでいろいろな事があり  燕音

気ふさぎの重たき花となりにけり  燕音

花を押す南アルプスよりの風  燕音

内船寺

花の下先師のおはち頭かな  燕音

老若の一切を度す花の風  燕音

割烹

対岸の花を肴に枕流亭  宿好

中尊寺

清衡が夢みし花の仏国土  宿好

花は楚々岩は恢々厳美渓  宿好

魁の一花百花の気概もて  宿好

花照る中チンパンジーは何誇示す  随笑

白隠の書画踏み破る花ごころ  随笑

この先も斯うした花の日和あれ  随笑

むさき身を花の押照る中に入れ  随笑

花畳なはり大観の朦朧体  随笑

かんばせに受けて花吹き余る風  随笑

花房へすうっと鳥の首が伸び  随笑

花つきのよき木とあふぐ二人連れ  随笑

朝夕の殊に夕べの花の相  随笑

花眩しむ人を眩しみ通りたり  随笑

花は花椨は椨にて押し通す  随笑

宴闌けて花びらいろの貫主さま  随笑

花は葉に東鑑にのる社  随笑

花の情一入なれば酒にせん  寒暑

花は今高知の城下に来てみいや  寒暑

靖国神社

かんばせに靖国神社の花の風  寒暑

えらき坂の花の靖国神社かな  寒暑

御社に花の東京の標準木  寒暑

満開のけふを逃して何とする  寒暑

無理強いをして花奪ふ風の暴  寒暑

大鴉姿くらます花の奥  寒暑

動くもの一物もなき花の景  寒暑

走り根の傍へが花の死に処  寒暑

一昼夜風に揉まれて花濃くす  寒暑

五人百姓花に広ぐる風流傘  寒暑

称名寺古図には無かり花の布置  寒暑

さきほどの花も佳けれど此も佳し  素抱

さゑずりのありかは花の奥の奥  素抱

大岡川観桜

おしどりに吹雪ける花の余り風  素抱

棒切れで地図を描ける花の許  素抱

野毛花見

花愛づる毛唐の大首横濱絵  素抱

横濱の花を観るなら掃部山  素抱

花愛でて今様本田平八郎  素抱

花啄まむと鵯身をひねり  素抱

かるめ焼きなど賞味して花の人  素抱

花の蜜くすねに来たる大き鳥  素抱

しばし居る木椅子は花のつめたさに  石鏡

花の日々御飯ふっくら炊きあがり  石鏡

写生の眼花と画帖を往き来して  暮津

花奪ふ風に尻尾のあるごとし  暮津

日曜画家絵筆に含ます花のいろ  暮津

花の下ベルのよく鳴る三輪車  暮津

十日程花遅れたり建長寺  暮津

沿線の花に急かされゆくごとし  暮津

いちにち雨心に烟る花を観て  暮津

空耳に盈ち盈つ花のせりふかな  暮津

●花時 桜時  

身延山

祖師さまの山へのぼらん桜どき  燕音

この人のかうゆう句が好きさくら時  宿好

さくら時堤ゆく人豆粒大  宿好

銭湯の熱くて痒し桜どき  随笑

花どきの鵯のうわまえはね雀  随笑

花どきの乳首の脇へ聴診器  寒暑

里山の下り口三つさくら季  石鏡

●花冷  

花冷の河馬の図体ただよへる  ねず

増上寺

花冷えの此の鐘撞かば木更津まで  もも

花冷えの青天井に及びをり  ぱら

身延山花冷からかね灯籠に  燕音

もくもくと花冷えどきの樺細工  宿好

動物園

花冷えのコンドル無垢の襟巻す  随笑

達磨圖にべたと花冷え花押かな  随笑

花冷えの坊ちゃん列車待機せる  寒暑

花冷えのしんしん山鳥黙すとき  石鏡

花冷えの底出棺の釘打たる  石鏡

●花守 桜守  

わからんと云ひて笑へり櫻守  燕音

●桜 朝桜 夕桜 夜桜 大桜  

鳥入れてさくらのうつらうつらかな  ねず

追ひ追ひに池の廻りのさくら咲く  さざ

横浜絵おろしや

野毛山のさくら馬上に魯西亜人  さざ

曙のさくら一鳥抱へをり  ぱら

幹に花咲かせてさくらはちきれさう  ぱら

海渡りさくら咲かせに一暖雨  ぱら

宿毎に伊那路のさくら愛でゆくも  鳩信

怪童の腕のやうなさくらの枝  鳩信

夫婦して見にゆくさくらありにけり  鳩信

昃りてさくらに彩の戻るなり  鳩信

名庭園ならんとさくらの木も努める  燕音

ソメイヨシノ

人間が構ってやって咲くさくら  燕音

俳句仲間へ

もう十年程ご一緒にさくらの世  燕音

奥山のさくらは白く舂づける  燕音

つくづくとさくら花満ち日に重る  宿好

北国の餅肌いろのさくら咲く  宿好

をととひのさくらがふっと泛かびくる  素抱

人気なきときをさくらの旺んなり  素抱

人ごゑが近みさくらがそはそはす  素抱

平日の山のさくらを一人占め  石鏡

大石の昼行燈にさくらは似  暮津

枝張りも根張りも石割大桜  宿好

山中に達者なりけり大桜  随笑

山中に何時かは亡ぶ大桜  寒暑

根っこより見上げ端山の大桜  石鏡

朝の気の漲る石割桜是  宿好

北上川の朝の水勢さくら満つ  宿好

この静寂破るものなく朝ざくら  素抱

墨堤の浮浪者に湧く朝ざくら  石鏡

蛇口より水迸り朝ざくら  石鏡

朝桜禽掻い潜り掻い潜り  暮津

夜桜にあがる焔の二タ柱  さざ

夜桜に誘ってみてはと付け足せり  鳩信

夜桜にしこたま冷えて戻りけり  鳩信

夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと  宿好

夜桜の雪洞尽きるところまで  宿好

夜桜の人に混じりて華やがん  寒暑

道後公園

貸し練炭貸し茣蓙夜桜真っ盛り  寒暑

夜桜の冷え込み上着一枚分  寒暑

夜ざくらを口あんぐりと開けみる児  暮津

夜桜の雪洞高くここ低く  暮津

たんたんと咲く夜ざくらに飛行音  暮津

夜ざくらに酔ふて地に置く紙コップ  暮津

夕桜すっと色調落しけり  宿好

夕風に揉まるる桜ここから帰路  暮津

人の出も日増しにソメイヨシノかな  ぱら

ひよひよと大島桜吹かれをり  ぱら

鳥らいそいそ河津桜の原木へ  ぱら

幹ずんと押し出しのよき里桜  ぱら

行水所コヒガンザクラ明りして  鳩信

長官愛づ櫻なりきと顎引く  鳩信

横須賀安浦旧鎮守府長官  官舎

鎮守府の櫻の上に海展け  鳩信

なかなかの櫻と幹に手を掛けて  鳩信

満開の心を一に濠桜  鳩信

このとほり櫻は場所を選ばない  燕音

櫻の幹叩き鼓舞せる男あり  燕音

大櫻之ある哉の裁判所  燕音

日本の櫻を他国に植う話  燕音

雨ありてあとは櫻の花次第  燕音

振り返る桜がそこにあればなり  燕音

沿線の桜見ながら汽車ぽっぽ  燕音

曙の桜どの木も気を張りて  燕音

年寄ったなりの咲き方桜もす  燕音

咲く桜暦代りの世も絶へて  燕音

思ひも見よ山の桜の根の張り方  燕音

桜には桜の営みそを通す  燕音

野暮天のソメイヨシノといふ勿れ  燕音

いずくにて死に候とも墓を身延の沢にさせ候べく候 日蓮

一わたり歩き身延の沢櫻  燕音

風はたと絶えし桜の日に重る  宿好

石割桜

石割のえらい桜を一目見ん  宿好

あれまあと石ぶち割って咲く桜  宿好

野毛の桜昭和の戦見て来しと  随笑

先手取るごとく咲き出すこの桜  随笑

桜誉むこゑもいろいろ女衆  随笑

奢るとはめっそうもなき家桜  随笑

鳥がゐて写真家がゐて桜の木  寒暑

お天道様山の桜に花授け  寒暑

一雨のあと立ち直る桜かな  寒暑

瀬戸内の桜見え来て機は下降  寒暑

都内にしてもう咲く大島桜かな  素抱

失敬す大島桜の花房を  素抱

ひとびとは立ち去り櫻は残りけり  素抱

この山の一押し桜咲きにけり  素抱

枝のさきまだ咲く余地のある桜  素抱

散りしきる桜に欲しき越天楽  素抱

模糊と見て桜のなかに末期の眼  素抱

スタジオに持ち込む河津の初桜  石鏡

平日の桜の中を通りけり  石鏡

水道で洗ふ掌赤し初ざくら  石鏡

馬の背みち山の桜はまばらが佳し  石鏡

横須賀海軍鎮守府

鎮守府の苔むす桜何見て来し  暮津

●山桜  

山ざくら吹き割る風のいくそたび  もも

いつときは光帯びけり山桜  ぱら

揺れ出して息呑むほどの山ざくら  ぱら

本来の彩は斯くなる山ざくら  ぱら

日本語乱れ初めても山櫻  ぱら

山櫻さう山櫻葉の臙脂  鳩信

好きな木を一つ挙げれば山櫻  燕音

地味ありて枝隆々の山櫻  燕音

ぽんぽんと山桜置き遠山並み  燕音

法燈の山櫻いろ夕づきぬ  燕音

野毛山の十日も早き山ざくら  寒暑

尾根辿れば当り籤めく山ざくら  寒暑

山ざくら遽か下界といふものあり  寒暑

一行に飛花ふるまへり山ざくら  寒暑

山桜天を伝ひて風響き  寒暑

山ざくら散るとき音色あらまほし  寒暑

烈風にどうするどうする山桜  石鏡

●八重桜  

かろがろと昼月上げて八重櫻  もも

八重桜大社を巫女の往き交へる  随笑

八重桜瞼重たくなりにけり  随笑

日は闌けに闌けて悶々八重櫻  暮津

八重櫻足懈く道戻りけり  暮津

●遅桜  

山腹に鳥を下ろせし遅櫻  もも

●桜蘂降る  

さくら蘂降る制服の紺の肩  ねず

桜蘂ばかりの赭き木となれり  ぱら

桜蘂降らすや三嶋大明神  随笑

樹下にゐて雀もさくら蘂浴めり  寒暑

良寛像足許埋む桜しべ  寒暑

桜蘂降らせて雨の粗くなる  暮津

●花見 花見客 桜狩 桜見に 花筵  

昼下り自転車で来てさくら狩  燕音

当山の門徒ならねど桜狩  燕音

桜狩たぷんと水筒背に鳴りて  石鏡

地下街で稲荷購ひ桜狩  石鏡

花を見る心ええならええ花見  燕音

花見客杖を忘れし身延線  燕音

ネクタイをして花見とは上野山  宿好

出来れば近場妻との花見何處にせん  宿好

川沿ひにセスナ機飛んで花見時  宿好

東京の花見がてらの通院日  寒暑

花見支度し居れば雨や肩すかし  寒暑

お花見のおあづけとなる朝の雨  寒暑

腰どんと地べたに据えて花見かな  寒暑

松山中学校跡

濠端の花見に夏目金之助  寒暑

花見客もう百段に顔見合はせ  寒暑

称名寺鴨も花見と洒落にけり  素抱

その頃となれば花見に徒心  素抱

花見弁当ひらけば鳩の優しく寄る  石鏡

沿線の花見切符を撫しながら  石鏡

母の云へる

米寿まで生きたついでの花見せむ  石鏡

花見衆持ち込む小ぶりの瓦斯ボンベ  暮津

花見客に唸る屋台のバッテリー  暮津

かわず掛け河津が郷のさくら見に  ぱら

楽しんでよるひるざくらあさざくら  燕音

夜ざくらを見にゆく元気既になし  燕音

花は佳し桜しべまで見尽して  燕音

まどろんで先師が花に遊べる図  燕音

人間の勝手放題花を見る  燕音

根っからの浜っ子野毛の桜見に  燕音

ホテル

花巡り今日の泊りは武蔵坊  宿好

花莚抱え挨拶交しをり  随笑

花を見る目配りにさへお人柄  寒暑

花を見て花の生み継ぐ風を見て  寒暑

沿線の桜見ながら羽田まで  寒暑

花筵てふ大仰なもの持たず  素抱

靴脱げる処が玄関花筵  暮津

走り根の出っ張り避けて花筵  暮津

●花人  

墨堤に花人となる足慢ろ  寒暑

花人にはいごめんよと上り駕籠  寒暑

花人の足腰問はる象頭山  寒暑

明日雨の予報に繰り出す花の人  石鏡

●花疲  

大仏を割愛したる花疲れ  随笑

花疲れまくりしシャツの袖おろす  石鏡

●落花 花散る 散る花 花吹雪 花屑 花の塵  

 飛花  花筏

散るさくらタイムカプセル埋めし地に  ねず

*北条実時銅像。重時は極楽寺殿、時頼は最明寺殿と称されれば

称名寺殿の頭に花散れり  さざ

一巻の終りの花の水に散る  燕音

海浜の雨は曲者花散らす  燕音

堤より花の散り込む遊び舟  宿好

あとは散るばかりの花にふふむ酒  随笑

けふあたり出向きおかねば散る花ぞ  寒暑

朝風に流離流離と花散るも  寒暑

石手寺に花は散るのみ徒遍路  寒暑

山鳥の呂律に合はせ花の散る  石鏡

日曜の花散らす雨罪作り  石鏡

登り詰め櫻吹雪の別天地  燕音

横目にて象は吹雪ける花を見ぬ  随笑

花吹雪次の一ト吹き待ちゐる眼  随笑

花吹雪そびらに駈け出したくなりぬ  随笑

花吹雪く度に両掌をひらく人  随笑

立ちつくしそのまま浴びぬ花吹雪  随笑

花吹雪人の話の腰折りて  随笑

吹雪くたびこれはこれはの山ざくら  随笑

こんな日が三日続けば花吹雪  寒暑

林間を真一文字に花吹雪  寒暑

花吹雪こりゃまたなんと佳き風情  寒暑

花吹雪ぱっぱと金比羅大権現  寒暑

花吹雪雪洞にまだ吹き足らず  素抱

花吹雪小公園を突っ切りて  素抱

谷戸住みの醍醐味は是花吹雪  石鏡

花吹雪易者は八卦うち振りて  石鏡

春疾風それに倍する花吹雪  暮津

唐破風をつゝと花屑奔りけり  ぱら

花屑に小旋毛風立ちぬ愛宕山  燕音

走り根に花屑の風堰かれけり  燕音

蹼のたわたわ花屑踏みつけに  燕音

シーソーの花屑吹いて跨りぬ  燕音

花屑の犇めき合へる轍あり  随笑

花屑の中のひとひら返す風  随笑

夕雀花屑蹴って発ちにけり  随笑

花屑に風そろそろとたちつてと  素抱

青空へ一二三と飛花発ちて  燕音

本山の飛花つきあたる堂障子  燕音

身延山ひたすら空を亘る飛花  燕音

飛花よぎりけり北之坊岸之坊  燕音

繽紛と飛花の舞ふ方衣川  宿好

渓底の甌穴に飛花あやまたず  宿好

オオヘビガイ出土貝塚飛花よぎり  随笑

杖を突く音のぱったり飛花あふぐ  随笑

石畳飛花着地して石のいろ  随笑

風太郎よこぎる飛花に眼を上げて  寒暑

鼻先をよぎりて飛花の舞踏団  寒暑

一行に飛花ふるまへり山ざくら  寒暑

腰下ろすところへ飛花の次から次  素抱

てのひらに飛花を掬へば浮き立つ彩  素抱

弘明寺観音観桜

赤塗りのひょうげた仁王飛花よぎり  素抱

飛花の風辺りが透けて見えにけり  素抱

飛花当る雪洞舟和の芋ようかん  石鏡

洪鐘に飛花の当たりてはたと落つ  暮津

エナメルの靴先に飛花舞ひ込める  暮津

とびっきり遠くへとべる飛花一つ  暮津

飛花舞はす風の一変フォルテッシモ  暮津

只管になること落花には如かず  鳩信

階に池に落花の選り好み  宿好

落花ひとひら二本松少年隊  宿好

落花踏み歩む堤よ北上よ  宿好

高館の落花しづしづ静の舞  宿好

クルス

外人墓地十字架の間を落花抜け  随笑

上枝より落花飛脚の発つごとし  随笑

落花受く地べた凹凸ありにけり  随笑

落花嗅ぎ年寄る象の浜子さん  寒暑

町雀雨の落花を足蹴にす  寒暑

赤銅いろ陸上トラック落花馳せ  素抱

鷲掴み落花放してみせにけり  素抱

花筏などとはとても云へぬもの  燕音

花降れる地べたに雀色動く  燕音

川原石の隙を見つけて花の塵  燕音

花筵山の夕冷え払ひけり  寒暑

花筏日を経し彩を泛かべをり  石鏡

石組の石を押すなり花筏  暮津

●花曇 養花天  

鈍器もて物を割る音花曇り  燕音

嘴のずんと重たき花曇り  燕音

養花天選挙合戦空ラ響き  素抱

●葉桜  

葉の混んできたるさくらの幹にほふ  ねず

葉ざくらの候と書き出し本降りに  ねず

身の廻り小出しに詠ひ葉ざくら季  ねず

葉ざくらに一も二もなく染まりけり  ぱら

葉ざくらに葉ざくらのいろ正受庵  燕音

葉ざくらの葉末までゆきわたる風  宿好

葉桜を猶猶蒼く風吹けり  随笑

無為の日々葉ざくらを風養へり  随笑

百葉箱葉ざくらの青一途なる  寒暑

葉桜の毛虫垂るるによき暗さ  素抱

葉ざくらや日の斑を顔に胸肩に  暮津



by 575fudemakase | 2018-03-24 01:42 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

郁李の花 の俳句

郁李の花 の俳句
郁李の花

にはうめの咲いてあたりの風甘し 大島早苗
安らぎの日々郁李の花ほどに 高澤良一 寒暑
郁李に春光あはき蝶のかげ 西島麦南 人音
郁李の咲けば出がけに立寄りて 高澤良一 さざなみやつこ
郁李は見る人に見ゆそんな花 高澤良一 寒暑
郁李や早め早めとなる起居 高澤良一 暮津
曙や郁李の匂ふ家の前 青木月斗
是しきの雨に郁李散れるなり 高澤良一 さざなみやつこ
先住の愛でし郁李今も咲く 手塚基子
庭桜ほつたらかして来し吉野 大久保白村
庭桜轟音近代を誇示し去る 林原耒井 蜩
庭桜返り咲きたる今年かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
庭梅の今を盛りと老にけり
転居シテ椿咲ク庭梅ちる戸 椿 正岡子規
洞然と白昼の庭梅もどき 飯田蛇笏
父母老いて朝餉静かや庭桜 高浜年尾
風花の如郁李の散る日かな 橋本 道子
母の影うつろふ庭の花郁李 麻生 良昭
命得てまためぐりあふ庭桜 大高霧海
郁李の花 補遺

この空に月をおきてむ庭桜 山口青邨
郁李に春光あはき蝶のかげ 西島麦南 人音
月のせて夜は更けゆく庭桜 山口青邨
書屋の灯雪洞めかし庭桜 山口青邨
庭桜よき月をのせ寝ぬるころ 山口青邨
庭桜咲いて夜風に敏くゐる 鷹羽狩行
転居シテ椿咲ク庭梅ちる戸 正岡子規 椿
以上

by 575fudemakase | 2018-03-21 09:30 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

柳 の俳句

柳 の俳句


http://fudemaka57.exblog.jp/28201415/

柳 補遺

http://fudemaka57.exblog.jp/28201437/

柳 続補遺

http://fudemaka57.exblog.jp/28201440/


以上


by 575fudemakase | 2018-03-20 17:08 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

柳 続補遺

柳 続補遺

あかい物縫た目で見る柳哉 木導
あけぼのや柳の春も一しきり 寥松
あつき日や柳を横に詠めても 句空
あばら屋のとなりも持ぬ柳かな 舎羅
あはれさを掃除過たる柳哉 ト宅
あら鐘をさらし置たる柳哉 呂風
あら青の柳の糸や水の流れ 鬼貫
あら壁にけさは影ある柳かな 蒼虬
あれる日もひとりあしらふ柳哉 三宅嘯山
あを柳に目のゆく方や宇治の里 芙雀
あを柳の前髪たれつ太郎月 存義
いかづちのはるかにうごく柳かな 大島蓼太
いかのぼりきれてかゝれる柳哉 〔ブン〕村
いそがしき野鍛冶をしらぬ柳哉 荷兮
いつはりし姿は風の柳かな 其角
いとまあるものや柳にもどる舟 蒼虬
いと長き枝にえだ継ぐ柳かな 桜井梅室
いね~と蝉ふりはなつ柳かな 蓼太 蓼太句集三編
うぐひすのふまへごゝろや梅柳 〔ブン〕村
うぐひすの声すべりたる柳哉 木導
うぐひすの柳はそれとのちの月 釣壺
うぐひすは起せどねぶる柳哉 千代尼
うぐひすや柳桜に松楓 〔ブン〕村
うちうへて風にほどくる柳哉 りん女
うまく眠る鷺や柳を星月夜 早野巴人
うめ柳この一里は椿かな 井上士朗
うめ柳ひとつふたつはとしもとれ 成美
おがむ手にいとゞしだるゝ柳哉 錦江女
おそろしき根を耻入て柳哉 千代尼
おだまきを付て引度柳哉 りん女
おもしろふ狂へ柳のみだれ髪 中川乙由
おもしろや柳の間を人のゆく 成美
おもひ出でて物なつかしき柳かな 椎本才麿
おもひ出て物なつかしき柳かな 才麿
おもふ柳見にゆくころとなりに鳧 白雄
おもむきを答そめけり桐柳 琴風
かいむすびかいほどきたる柳哉 傘下
かくれ家や柳も植ず藪の中 許六
かけはしに雀もつるゝいと柳 舎羅
かたり合いかにもそこの柳哉 黒柳召波
かなしさやつかねて見ても糸柳 路健
かねてより一ふししだれ柳哉 露川
から~と柳かれけり空也堂 五明
から風にしだれ柳ややはらとり 長虹
かんこ鳥柳のむしもかくれけり 成美
きかぬ気の江戸の門にも柳かな 一茶 七番日記
きさらぎの心もとけて柳かな 浪化
きつとさせて見たひ日も有柳哉 中川乙由
きぬかけたやうに成けり江の柳 蒼虬
きのふけふ雨を持たる柳かな 木導
くつさめの顔はづかしき柳哉 木導
くもの峯されば柳の涼しさよ 荊口
けふの日を柳にやりて川端に 鬼貫
こゝろ添心はなるゝ柳かな 田川鳳朗
こつきりと松の日なたの柳かな 荻人
ことはじめ又や梅から柳から 尚白
この塚は柳なくてもあはれなり 鬼貫
さかさまに鷺の影見る柳哉 其角
さかな屋がはいつた門は柳哉 浪化
さからはぬ薄は草の柳哉 三宅嘯山
さし枝に所望のたえぬ柳哉 田川鳳朗
さし柳たゞ直なるもおもしろし 一笑(津島)
さし柳はかなきものゝ気力かな 加藤曉台
さし柳五尺の春を見せにけり 黒柳召波
さても富士尾張に見たる柳かな 野水
しかられし夢は柳のしもとかな 成美
しぐるゝや葱の台の片柳 其角
しげれ~柳にとゞけ苔の花 来山
しだり枝や柳の髪の生さがり 無端 続山の井
しだれたる柳とらえて咄し哉 十丈
しのばるゝ人聞そへて柳かげ 加藤曉台
しばしとて高足とまれ柳かげ 西鶴
しばし見む柳がもとの小鮒市 几董
しぼるほどぬれてしだるゝ柳哉 木因
しらぬ人ともなふみちの柳哉 りん女
ずい~と田べりの柳色たちぬ 寥松
すかし見て星にさびしき柳哉 樗良
すがれ~柳は風にとりつかむ 一笑(津島)
すゞしさや水に柳のかげ法師 山崎宗鑑
すゞしさや柳に音はなけれども 三宅嘯山
すべて此浦は柳の名に涼し 凉菟
すら~といく夜も明日柳かな 田川鳳朗
ずらりずう柳は風に吹れても 車庸
そよめくやあつらへの風梅柳 知足
そらはまだ鴨の羽音の柳かな 木導
それ~にもまれて高き柳哉 りん女
それ~の朧の形や梅柳 千那
たゝかれて柳に遊ぶ野馬かな 中川乙由
たつた今油壺から柳かな 塵生
ちかづきの門覚えよき柳哉 風国
ちか道を教へぢからや古柳 李由
ついさした枝と言ふなり江の柳 蒼虬
つか~と行ば小寺の柳かな 蒼虬
つきがねのひびきに動く柳かな 才麿
つばくらのうかべてすべる柳哉 角上
つや~と柳に霜のふる夜哉 加藤曉台
としの尾や柳に青ふ結び行 千代尼
どちへやら柳を出て飛燕 凉菟
どちらへもそなたまかせの柳哉 舎羅
とろ~と見て寐ル昼の柳哉 林紅
ながれこして鞍ゆり直す柳かな 卓池
ながれては又根にかへる柳かな 千代尼
なき跡のたとへに暮ゝ柳かな 基継
なにも応かも応~と柳かな 去来
ぬれ色に春のうきたつ柳哉 許六
ねぢ上戸今日は柳にやらしませ 智月尼
のら~と柳見に行つゝみ哉 加藤曉台
はからずも見てもどりたる柳哉 樗良
はつ春の柳や篭の作りかけ 素覧
はつ春の落つくかたや梅柳 浪化
はねあがる柳の下やなぎの花 紫貞女
はや秋の柳をすかすあさ日かな 成美
はり物の相手にならぬ柳かな 一蝶 一丁墨
はるさめの大ふり袖や梅柳 小鸞 軽挙観句藻
はるさめや柳の雫梅の塵 黒柳召波
はるもまだ柳はげしき霜夜かな 完来
ひかりさす闇のあらしの柳哉 松岡青蘿
ひとしきり竹に柳にぎやう~子 白雄
ひと筋は手艶も見ゆる柳かな 蒼虬
ふたつには友にもよるや梅柳 五明
ふた股に屋根振合す柳哉 紫白女
ふた輪三輪盥にたまる柳かな 蒼虬
ふり上る杵すれ~の柳かな 桜井梅室
ふるさとや梅に柳に人の皃 樗良
へなたりをへな~と吹柳かな 松窓乙二
へり道や松と柳にはねらるゝ 尾頭
ほとり哉動く柳に魚迯す 来山
ほんぼりと日のあたりたる柳かな 野坡
まがふもの二月にもなき柳かな 田川鳳朗
まばゆひに柳うごくな水の上 東皐
みだるゝを棹にのせたる柳かな 野坡
みよし野に闇一結び柳かな 千代尼
むつとしてもどれば庭に柳かな 大島蓼太
むめ柳餅あり春がいま来ても 存義
もつれッゝ見事や雨の糸柳 樗良
もつれては柳にはいる持病かな 配力
ものひとつ柳にあます入日哉 芙雀
もろ~の心柳にまかすべし 凉菟
やすらかに風のごとくの柳かな 一笑(金沢)
やよ卒都婆楊柳ゆすれともいはず 一笑(金沢)
ゆかしさや柳がもとのかきつばた 早野巴人
ゆかしさをともにうなづく柳かな 正秀
ゆかしさをまねき合たる柳哉 正秀
ゆら~と蛙ゆらるゝ柳哉 北鯤
よこた川植処なき柳かな 尚白
よりあへど逢ぬ悲しき糸柳 越人
わが庵の草木をかねし柳かな 桜井梅室
わざとならぬ庭のしげりや竹柳 凉菟
わたりふたつ見えて夕日の柳哉 几董
わるがねの上にしだるゝ柳かな 許六
をしよせてたばぬる程の柳哉 探志
をのが根のふときにも似ぬ柳哉 一笑(金沢)
をのづから横たふ船に柳哉 凉菟
暗くなる柳の肌や郭公 寂芝
案内に五本の柳静なり 三宅嘯山
伊勢鯉や柳の滝の朝日影 早野巴人
井の柳きのふを桐の一葉哉 其角
一すじにどこの柳もやなぎ哉 露川
一すぢも仇にはたれぬ柳かな 吏登 吏登句集
一筋にどこの柳も柳かな 露川
一村が川汲に出る柳かな 井上士朗
一日に柳見古す袷かな 吐月 発句類聚
一葉づゝ日数算へる柳かな 中川乙由
稲村を町家にまぜて柳かな 建部巣兆
引あげて水音くらき柳かな 園女
引よせて放し兼たる柳かな 丈草
引寄て折手をぬける柳かな 太祇
烏さへ気づかひさうに寄柳 玄梅
雨の日は先みるはづの柳かな 桜井梅室
雨の柳糸なき琵琶のほこり掃 来山
雨ひと日降ばことしの柳かな 桜井梅室
雨一日おのが柳になじみけり 蒼虬
雨雲のおしひらめたる柳哉 文鳥
雨雲のさばけて風の柳かな 牧童
雨燕うつくし風を舞ふ柳 才麿
雨晴てくつろぐそらの柳かな 木導
雨風を得手にまかする柳かな 蘆本
卯の花の月柳の闇や杜鵑 中川乙由
鵜の觜のどこやら青き柳かな 鈴木道彦
曳ば来て相手にならぬ柳哉 田川鳳朗
曳当た宝見せうぞ梅柳 田川鳳朗
永き日や柳の月が出てある 道彦 続蔦本集
延~て春も一日柳哉 林紅
燕の乗かためたる柳かな 正秀
燕より先へ柳に客ふたり 中川乙由
猿曳のさるかつぎ出る柳かな 井上士朗
遠くから柳に見ゆる柳哉 井原西鶴
遠まさり近まさりする柳かな 蒼虬
遠里や柳一もと打曇る 高桑闌更
応~で人を賺せる柳かな 去来
鴬のだゞくさになる柳かな 朱拙
鴬のよきものもてりむめ柳 木因
鴬の伊達をもときて柳かな 野紅
鴬の柳にそまる小雨かな 浪化
鴬や川越への音を柳かげ 北枝
鴬や柳に来ても只は居ず 十丈
黄昏は湯衣かけたる柳かな 建部巣兆
屋の棟にそふて殖けり梅柳 桜井梅室
屋松ごしに今朝は見付る柳哉 蒼虬
乙烏の塵をうごかす柳哉 其角
下戸若衆柳に花もなかりけり 調鶴 坂東太郎
下枝に追つきたがる柳かな りん女
仮に風女*ゆかたかさうか雨柳 杉風
何事もなしと過行柳哉 越人
何処そこのせんさく無用遠柳 桜井梅室
何風も荒うは見えぬ柳哉 子珊
夏川や西行ならば柳陰 露川
家ありてまた柳ありどこまでも 成美
家はみな春は柳でおもしろし 成美
家ひとつ越てしだるゝ柳かな 蘆本
河上は柳かんめか百千鳥 其角 五元集
花さかぬ身をすぼめたる柳かな 中川乙由
花よりも糸の手柄の柳かな 中川乙由
花咲て肩のすぼまる柳かな 桃先
花柳錦に雨のこぼれたり 舎羅
我が宿に傘さしかくる柳哉 吾仲
我目にも柳と見えて涼しさよ 中川乙由
海士呼て風の名を問ふ柳哉 尚白
皆人も角をつぶせと柳かな 蝶羽
崖落て半は水の柳かな 露印
街道にかまはぬ里の柳かな 蒼虬
柿寺と日ごろおもへど柳かな 蒼虬
蛎わりのくらい灯で見る柳かな 桜井梅室
学べども柳にたらぬこゝろ哉 正秀
笠うち越せば恨の滝を柳哉 挙白
笠かけて笠のゆらるゝ柳かな 荻人
笠の緒えたぐりもどさん糸柳 梢風尼
笠の緒に柳綰る旅出かな 惟然
兜巾着て見れば淋しき柳哉 松窓乙二
寒かりし月を濁らす柳かな 几董
竿持す梅に柳に年の暮 西鶴
貫ざしもわがねて軽き柳哉 其角
閑かさを覗く雨夜の柳かな 太祇
眼あけひがしの柳北の梅 尚白
眼まで見よや名所の花柳 嵐雪
雁なくやちまたの柳けふ老し 蒼虬
顔いたき風のよそ目に柳哉 几董
願半柳桜とかはりけり 許六
気ざすやら師走の夢の梅柳 嵐青
起つ寝つ身はどろ坊の柳哉 朱拙
牛の鼻柳なぶりつなぶられつ 桜井梅室
居眠もうまし柳も見に出たし 桜井梅室
魚の背をなぶつて遊ぶ柳かな 梢風尼
魚釣レば見越入道柳哉 白雪
魚提て柳がくれにもていりぬ 成美
教訓のざうさもなくて柳かな 寥松
曲たる家を柳のかたへかな 万子
曲れるをまげてまがらぬ柳哉 其角
桐の実の柳にならぶ師走哉 蒼虬
桐柳民濃に菜飯ンかな 嵐雪
近道はまだ雫する柳かな 蒼虬
駒つなぐ花のとがなき柳かな 中川乙由
傾城の賢なるは此柳かな 其角 五元集
傾城の賢なるは此柳哉 其角
茎桶も明行比や柳かな 許六
月なき夜柳をあふぐ扇哉 越人
月もやゝほのかに青き柳かな 松岡青蘿
月遠く柳にかゝる夜汐かな 白雄
月花の外をおぼろの柳かな 松岡青蘿
検校の聞耳立る柳かな 朱拙
犬に迯て庭鳥上る柳かな 几董
絹ばりに日和もあてゝ柳かな 怒風
見ありきて先問柳の若葉哉 白雄
見おろせし柳見上る泊かな 桜井梅室
見によれば身をかくしたる柳哉 十丈
見るうちにわすれて仕廻ふ柳哉 千代尼
見るこゝろ易さにうゑし柳かな 寥松
見上ればまだ日の残ル柳哉 野坡
軒にさらり砂にもさらり柳かな 魯九
軒口を出るや柳の一せごし 野坡
源は柳なるべし春の水 蓼太 蓼太句集三編
姑の気に入人は柳かな 去来
五十年柳くゞらぬ春もなし 長翠
五条まで舟は登りて柳かな 黒柳召波
五人ぶちとりてしだるゝ柳かな 野坡
五六本よりてしだるゝ柳かな 去来
御戸ひらく異香は空に糸柳 りん女
鯉の尾の池*すに切レて柳哉 木因
鯉喰ふてやがて詠る柳かな 存義
交を水にまかせて柳哉 正秀
口おしや桃の木に似て河柳 傘下
口惜きはなしのみある柳かな 鈴木道彦
幸に柳も寐るや春の雨 吾仲
広みこそ物の自由もうめ柳 凉菟
荒につく畠の柳みどりせり 几董
行としの手毬売てふ柳はら 存義
行としの中に柳は投節か 芙雀
降雨にこりず見に行柳かな 蒼虬
降雨のこまかにしのぶ柳哉 紫貞女
降出しを請る柳の朝機嫌 紫白女
降雪に請身覚た柳かな 三宅嘯山
高みから師走笑ふや垂柳 桃隣
合羽着て撫ても見たき柳かな 凉菟
腰をふる門の柳やかぶきもの 北村季吟
此外に柳さくらやねはん像 桜井梅室
此間あれても柳恙なし 凉菟
此別梅も葉おちて柳ほそし 加藤曉台
此夕柳の雨の睡うなる 車庸
此瘤はさるの持べき柳かな ト宅
今下す雁は小梅か柳しま 抱一 軽拳観句藻
今朝と起て縄ぶしほどく柳哉 鼠弾
今朝虹をかけしともいふ柳かな 松窓乙二
根から今朝生出たやうに柳哉 秋之坊
根を置てけふももどらぬ柳哉 千代尼
根深きを翠に見する柳かな 桜井梅室
菜のはなに目当の柳風くらし 加藤曉台
坂本は浪人のすむ柳かな 許六
鷺よりもからすのかたの柳哉 桃後
三木あれど森にはならぬ柳哉 桜井梅室
傘かりて疎き人見る柳かな 建部巣兆
参宮の簑虫も出る柳かな 朱拙
山かづらかけて遠目の柳かな 松岡青蘿
山の井や柳にむすぶ*はねつるべ 桃妖
山吹も柳の糸の孕み哉 其角
山吹や柳に水のよどむころ 千代尼
残暑倦人や柳の川わたり 洒堂
仕事する邪魔になりたる柳哉 嵐青
四方から指さす小田の柳哉 野坡
子細なく平地にふとる柳かな 蒼虬
師の坊の十年しばし柳陰 其角
思ひ出でてものなつかしき柳かな 才麿
枝~にひかれて暮す柳かな 沙明
枝影の組ではのぼる柳かな 田川鳳朗
死るよりましと待日や玉柳 沾徳 五子稿
糸による音や柳の*もとゆひこき 和賤 江戸名物鹿子
糸桜柳といはれ居たりけり 左次
糸柳みじかきえだの狂ひ哉 露印
糸柳落るにちかき蛙かな 為有
紙燭して客おくり出す柳かな 才麿
字の点の次第に出来る柳哉 りん女
時の色早く染たる柳かな 亀世
時雨ゝや葱台の片柳 其角
七草の秋にあへとて柳さす 松窓乙二
七草や寝間につぼまる梅柳 紫道
蛇の輪の雨に流るゝ柳かな 洒堂
尺ばかりはやたはみぬる柳哉 小春
手ぐり船風は柳にふかせけり 園女
手櫛さへ入れぬ柳の打かぶり 丈草
手折らるゝ花から見ては柳かな 千代尼
酒いれぬ寺にしだるゝ柳かな 水颯
酒くさき石なつかしや柳かげ 東皐
秋はとてこちらむきたる柳かな 支考
秋は来て柳に動く風情哉 旦藁
秋暑しいづれ芦野ゝ柳陰 桃隣
秋風に迯てはもとの柳かな 越人
秋風をまねく柳の一葉哉 百里
舟かりて春見おくらん柳陰 北枝
舟の中へおめず手を出す柳かな 梢風尼
舟留て語や嶋の柳かげ 高桑闌更
十月にちらぬ柳も時雨けり 諷竹
十二年おがみてかへる柳かな 許六
十二年拝みてかへる柳かな 許六
十日ほど旅する朝の柳かな 松窓乙二
春の雨洲にながれ出る柳哉 桃隣
春の夜の月も推なり梅柳 加藤曉台
春の柳もたれごゝろになりにけり 成美
春もまだ寒し柳の宵月夜 諷竹
春もまだ子のさびしがる柳かな 松窓乙二
春雨にあふのいて行柳かな 利牛
春雨にぬれたがる物柳哉 朱拙
春雨の木末ふり継柳哉 木導
春風や田づらの柳多賀の塔 許六
春柳に留主はあづけむ門の鎖 成美
初午の日和は梅に柳かな 白雄
初雪や是を柳のかへり花 野坡
女中客うけたる音の柳かな 木導
女夫居る柳の陰やところてん 三宅嘯山
小家ふたつ柳しだれて燕かな 東皐
昭君の柳を山谷堤かな 才麿
松の花柳の花は手にもとる 白雄
焼のこる琴に恨みの柳哉 其角
障らずに座頭過行柳哉 野坡
障子ごし月のなびかす柳かな 素龍
上気する顔ひやしたる柳哉 木導
上戸也下戸なりけふの桃柳 舎羅
上坐して柳の雨をかぶりけり 桜井梅室
上代の姿を風の柳哉 凉菟
丈六の仏を越る柳かな 万子
寝勝手のよさに又見る柳かな 桜井梅室
新月や藤太がまとは柳の葉 洒堂
新月や友に柳の稲むしろ 百里
新寺の砂にしだるゝ柳哉 許六
新柳に江戸元結ぞ恥かしき 存義
真ッ直に雨ふつて来る柳哉 桃後
真昼もねぶたき顔の柳哉 塵生
神もけふ柳より乗る渡し哉 洒堂
親の手にかき撫らるゝ柳哉 嵐青
人ごみの中へしだるゝ柳哉 浪化
人の手にあぶらのつきし柳かな 寥松
人の柳羨しくもなりにけり 長翠
人の皃影ちら~の柳かな 土芳
人去て野中の柳風くらし 加藤曉台
人呵る声に見劣る柳かな 桜井梅室
塵掃てまた活ておく柳かな 蒼虬
吹あてゝ柳に似たるあらしかな 来山
吹たてる風は柳の日和かな 蒼虬
吹たびに蝶の居なをる柳哉 一笑(金沢)
吹もせず高い所の柳かな 舎羅
水すじを尋ねて見れば柳かな 許六
水わろき宿見られけり柳陰 許六
水音の野中さびしき柳哉 洒堂
水汲の辛苦して出る柳かな 北枝
水筋やむかし柳に封じ置 許六
水筋をたづねて見れば柳かな 許六
水淀や盃またん柳かげ 野坡
酔てはいるのら友達や門柳 三宅嘯山
酔顔に柳をかづく夕日かな 麦宇 新類題発句集
世は風の吹物にして柳かな 諷竹
星乙女の簑かけ柳年経たり 白雄
晴るゝ夜の三日月くだく柳哉 木因
正月のあとを黒める柳かな 吾仲
正月の下戸くゞり来る柳かな 松窓乙二
正月は下地して干す柳哉 露川
正月をやつしてかゝる柳かな 尚白
生けた跡は突さいて置柳哉 三宅嘯山
西風に東近江の柳かな 許六
青からぬ日はひとり見し柳哉 寥松
青雲の底といふべき柳かな 浪化
青空に馴て米ふむ柳かな 建部巣兆
石垣につまるゝしだり柳かな 素覧
石橋を土橋にしたき柳かな 班象 発句類聚
折て来て灯で見る除夜の柳哉 蒼虬
折ふしは風に腹立柳かな 中川乙由
先春の心をそむる柳かな 樗良
千羽雀柳に花の夕かな 西鶴
川こえて赤き足行くかれ柳 鬼貫
川こして帯ときによる柳かな 岱水
川せみのすべりながらや飛柳 正秀
川越てかいくれ見へぬ柳かな 蘆本
川越の見かけておよぐ柳哉 十丈
川音を左右に結ぶ柳かな 木導
川上は柳かむめか百千どり 其角
川上は柳もなくて啼ちどり 蒼虬
川上へ流るゝやうな柳哉 此筋
扇もて柳わけ行宮女かな 東皐
船曳が簑に風ふく柳かな 凉菟
船頭の話をきけば柳かな 不白 不白翁句集
僧ひとりふかれ行土手の柳かな 東皐
掻つ撫つ氷をほどく柳哉 三宅嘯山
草の戸や柳すかして夕すゞみ 加藤曉台
草も木も色に靡くや江戸柳 随風 軒端の独活
草木の中に麾振ル柳かな 桃隣
霜八度柳さびたり細キ人 ト宅
蔵米を運ぶちまたの柳哉 蒼虬
袖ふりて身を売に立柳かな 露川
其もとの規矩はちがはぬ柳かな 露川
其人を問へば柳の一葉かな 中川乙由
存の外無理うけとらぬ柳哉 夕道
太ト過て老の名を取柳かな 探志
太刀の柄に手かけて潜る柳かな 加藤曉台
打うへて風にまかせる柳哉 りん女
打かけて月をゆるがす柳哉 松岡青蘿
待恋の翌日に延たる柳かな 建部巣兆
大木におもへばならぬ柳かな ト女 皮籠摺
誰殿の梅よ柳よ江戸見坂 其徳 発句類聚
探るにも及ばず闇の柳哉 支考
地堺にうらみこひなき柳かな 存義
地鼠の出ては窺ふ柳かな 蒼虬
池に鵝なし仮名書き習ふ柳陰 素堂
池の坊柳の坊も柳哉 許六
竹の香や柳を尋ね蕗のとう 其角
茶をくんで柳に向ふ独座哉 三宅嘯山
中庭や柳さびけり茶師の家 許六
昼の夢ひとりたのしむ柳哉 千代尼
苧の屑の付てしだるゝ柳哉 野坡
朝がほのすがればほぐす柳かな 桜井梅室
朝日二分柳の動く匂ひかな 荷兮
朝明の賀茂を手にとる柳かな 風国
朝露にすゝぎあげたる柳哉 惟然
町なかへしだるゝ宿の柳かな 利牛
長生の思案しでかす柳かな 杉風
長旅やわがぬる甲斐も玉柳 望月宋屋
鳥たつて雨のこぼるゝ柳哉 望月宋屋
鳥どもの脊にのする柳かな りん女
追~に来ざれと柳くれにけり 塵生
釣竿の糸吹そめて柳まで 千代尼
釣人の蚓掘けり柳かげ 高桑闌更
庭はきの肩にかけたる柳哉 蒼虬
泥亀の首うつ岸の柳哉 一笑(金沢)
的形の矢落の柳しづかなり 白雄
田の畔や柳の見ゆる月のほど 野坡
都には立花のはやる柳哉 許六
土亀かと氷ながるゝ柳かな 秋之坊
唐絵にも仮名にしだるゝ柳哉 中川乙由
唐人のうしろむきたる柳かな 許六
桃柳くばりありくやをんなの子 羽紅女
湯あがりに歩みよりたる柳哉 木導
湯あがりの僧行違ふ柳かな 木導
藤給はりて後達は柳姿哉 乙訓
透し見る舟景色よし江の柳 高桑闌更
撞く鐘の響おさへる柳かな 蒼虬
胴をかくし牛の尾戦ぐ柳かな 素堂
二ン月の雨より細き柳哉 〔ブン〕村
二日見ぬ程や柳のおもかはり 加藤曉台
二本の柳吹結ふ風情かな 高桑闌更
尼の守る神にめでたき柳かな 存義
日あたりや背戸に機織るいと柳 存義
日永きや柳見て居る黒格子 白雄
入あひを裏の田で聞柳かな 洒堂
入らぬ枝は一筋もなしかれ柳 田川鳳朗
年のうち柳の心引て見む 乙訓
波際にあきて日当の柳かな 怒風
波動く方へ越したる柳かな 介我
馬の尾に柳の風や今出川 望月宋屋
馬よけや畑の入なる桃柳 北鯤
背戸もたぬ家の前なる柳哉 北枝
梅がゝをくだく柳の梢かな 木導
梅に行柳はあとに心かな 浪化
梅もどき花屋の柳哀れなり 白雄
梅折て柳の枝にまたがせむ 其角
梅柳しどろに成て雨夜かな 使帆
梅柳それからゆらり~哉 句空
梅柳はつ春の眼たしかなり 白雄
梅柳八十からも寿む 加藤曉台
売ものをつるす茶店の柳かな 東皐
蝿払ふ便りともなき柳陰 句空
白雲を目当に野辺の柳かな 樗良
白鷺の雨にくれゆく柳かな 諷竹
白壁の江戸の中にも柳かな 晩得 哲阿弥句藻
薄じめり人影うすき柳哉 許六
薄隈や桃は柳にかくれ簑 其角
畠人と一度に休む柳かな 中川乙由
髪結の腰にしだるゝ柳かな 李由
髪置や頓て柳の浅みどり 三宅嘯山
蛤のしかもはさむや玉柳 其角
眉に目に見ゆる斗の柳かな 土芳
膝脚気やすみ~や柳はら 野坡
百とせに最一眠り柳かな 千代尼
氷魚とりも見えず柳の夜と成し 寥松
風ならで誰かあぐべき柳髪 石田未得
風なりに青い雨ふる柳かな 其角
風のむきけふは隣の柳哉 子珊
風の音松に渡する柳かな 木導
風音の相手にならぬ柳哉 りん女
仏にもまけぬ姿の柳哉 りん女
物書て気のつきた時柳哉 吏全
暮がたや柳も雲にまぎれ込 非群
暮やすき春に鞭打柳かな 中川乙由
宝引や柳したゝる君が膝 三宅嘯山
崩れては川にありつく柳哉 木因
堀起せ秋ふるき地の門柳 完来
堀川や柳をはさむたゝみ傘 望月宋屋
眠るかと見て過る野の柳 白雄
眠る日の川辺あぶなき柳哉 乙訓
名月や柳の枝を空へ吹ク 嵐雪
名残なく雨のはれたる柳哉 鈴木道彦
明ぼのゝ雲かきなぐる柳哉 吾仲
明ぼのゝ働見ゆる柳かな 支考
鳴もせぬむし喰からす柳哉 北枝
茂れ~名も玉川の玉柳 桃隣
木がらしにふかれてゐても柳かな 十丈
木がらしもかしましからぬ柳哉 〔ボク〕言
木のまたのあでやかなりし柳かな 野沢凡兆
木曽路から近江路行ば柳かな 木導
木兎の眠り落たる柳哉 琴風
木々は藤春の柳を尋ける 句空
目ぐすりの看板かける柳哉 呂風
目前に杖つく鷺や柳かげ 嵐雪
餅つきて鰤待門の柳かな 許六
餅花の果はしだるゝ柳哉 露川
餅花や柳はみどりはなの春 西鶴
餅附る柳も妹がこゝろばへ 存義
尤で打くらしたる柳かな 如行
門さして留主とは見えぬ柳かな 百里
夜がらすや廿九日の柳陰 野坡
夜にはうめ日には柳をうたふかな 井上士朗
弥陀にすがる姿を風の柳かな 松岡青蘿
役人に鼠のつたふ柳かな 三宅嘯山
柳ある門や何かにたゝかるゝ 桜井梅室
柳かげ笠はいづくにをかれしぞ 舎羅
柳から鞠に色あり秋のいろ 凉菟
柳から残らず動く氷かな 千代尼
柳から数へはじめて落葉かな 来至 一丁墨
柳から風のはじまる涼み哉 嵐青
柳から棒つき出して啼からす 朱拙
柳から涼しき風や瀬田のはし りん女
柳さくら都は春の六味丸 朱拙
柳さへ拝まぬ壁の独言 許六
柳とて油断ばしすな硝子屋 訥子 梨園
柳など梢は重し初時雨 去来
柳なをしりぞき見れば緑なる 白雄
柳にはうけて見たれど落葉哉 中川乙由
柳にはふかでおのれあらしの夕燕 嵐雪
柳には鼓もうたず歌もなし 其角
柳には只居ぬ羽の胡蝶かな 一笑(金沢)
柳にもあかれず帰る乙鳥かな 存義
柳にも雫みじかしはつしぐれ 千代尼
柳にも竹にもよらず秋のかぜ 樗良
柳みんよそに夕立あまり風 太祇
柳よりあまりて春の夜寒かな 諷竹
柳より奥にすつかり今年竹 路健
柳をり~畳にふるゝ春の雨 樗良
柳陰たづぬる老の清水哉 支考
柳陰何所への旅かいとま乞ひ 栗田樗堂
柳見え清水みえたる暑かな 吏登 吏登句集
柳見た灯で庵の灯をともしけり 桜井梅室
柳見て思ひ出しけり酒の債 桜井梅室
柳見に結句あらしを盛り哉 西鶴
柳見よ花の跡先繰返し 杉風
柳桜都ぞ手織の更衣 才麿
柳吹け野をとこの目のさめるほど 寥松
柳青しけふやいく日のはるを経し 井上士朗
柳折る師走の人のこゝろかな 存義
柳短く梅一輪竹門誰がために青き 三井秋風
鑓つかふ空にしだるゝ柳かな 風国
有無の中に動て遊ぶ柳かな 諷竹
猶空へ急ぐ柳のすがたかな 野坡
夕汐や柳がくれに魚わかつ 白雄
余の道はあれど遊行の柳から 中川乙由
誉らるゝ柳にくらしひとつ窓 桜井梅室
楊貴妃の捨沓かけん柳哉 北枝
楊枝屋の床にしだるゝ柳哉 木導
葉に成て吹をれたがる柳かな 完来
葉柳の寺町過る雨夜かな 白雄
陽炎や柳のたれにのぼりつく 杉風
乱るべき風の柳を指すの神子 嵐雪
欄干や柳の曲をつたふ猿 其角
立寄て柳に頭痛さすらせつ 杉風
流るゝか雲に柳のあらし山 凉菟
恋慕ふけばいやしだれぬる柳かな 東皐
恋々として柳遠のく舟路哉 几董
炉路笠を旅にして見む柳かげ 中川乙由
老そめてことにめでたき柳かな 几董
老柳すこしの枝のしだれけり 夕道
六田のや柳は風に障らぬに 支考
鰐口の緒にすがれば見ゆる柳哉 卓池
俤の柳を見るや霜ぐもり 早野巴人
凩のあたりどころやこぶ柳 丈草
恣ならず柳にうす月夜 寥松
涅槃会の表具も柳さくらかな 柳居 柳居発句集
灌仏やけふは茶による柳かげ 蓼太 蓼太 句集三編
爼板になれと柳に鳴からす 万子
篝火のとぼり付べき柳哉 加藤曉台
簑むしのはなさぬ風の柳哉 田川鳳朗
簑虫に蝶~とまる柳哉 鼠弾
綰ぬれば柚にもはいる柳かな 桜井梅室
臍灸や窓の柳に香を結ぶ 五明
菴の春去年のさし木の柳哉 句空
菴室や柳をもるゝはなし声 樗良
蜀公待や柳の小くらがり 杉風
蝸牛豆かとばかり柳かな 其角
蝙蝠にみだるゝ月の柳哉 荷兮
褌ほす背戸は風ふく柳哉 蒼虬
靄に雨そひて木深き柳かな 卓池
饂飩打つ真似あらしの柳哉 越人
髻結ふた娘のくゞる柳哉 鈴木道彦
鳰の子に家分てやる柳哉 千那
鶯の琴に遊ぶや糸柳 中川乙由
鶯や柳にさます梅の酔 中川乙由

by 575fudemakase | 2018-03-20 17:04 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)

柳 補遺

柳 補遺

あぢさゐも柳も淡き雨のなか 渡邊白泉
あちへゆらりこちへゆらりと柳哉 正岡子規 柳
あをあをと細民窟の柳かな 日野草城
いざいでう柳の小簑梅の笠 正岡子規 柳
いつまでも人現はれず柳かな 高野素十
いろいろに風のひろがる柳かな 正岡子規 柳
うつくしき手て一まねぐ柳かな 正岡子規 柳
おもしろや柳いよ~緑にて 高野素十
かへり見る門には柳ばかりなり 正岡子規 柳
くたびれて柳も眠る日和哉 正岡子規 柳
クヱ食うてさすが裸の柳の木 岡井省二 猩々
この辺は名もなき家の柳哉 正岡子規 柳
さき交る柳の中の糸桜 正岡子規 糸桜
ざゞ降りの雨の桜に別れかな(悼柳外子) 細見綾子
さし柳しだれんとして上に向く 正岡子規 柳
さし柳三尺にして緑ふく 正岡子規 柳
しばらくは風にまかせし柳哉 正岡子規 柳
しめ縄の風吹きつくる柳哉 正岡子規 柳
しろがねに塗る結ひ柳淑気罩め 阿波野青畝
すつかり病人になつて柳の糸が吹かれる 尾崎放哉 小豆島時代
たちよるや青田波打つ痩柳 角川源義
たなごころ濡れ葉柳に触れしなり 岡井省二 前後
つゞきけりちまたの柳村の桃 正岡子規 柳
どちらともつかぬ柳や村境 正岡子規 柳
とびこんで鶯見えぬ柳哉 正岡子規 鶯
とらまへて衣売る店の柳かな 内藤鳴雪
とりつきて柳ひきゝる小舟哉 正岡子規 柳
なにをくよくよ川端柳呆けけり 山口青邨
ならびたる柳の糸の間かな 後藤夜半 翠黛
はつきりと桜の中の柳かな 正岡子規 桜
はつきりと柳の中の桜かな 正岡子規 柳
ひつたりと風のとまりし柳かな 正岡子規 柳
ひつたりと風のなくなる柳かな 正岡子規 柳
ひと雨の玉の雫や糸柳 飴山實 花浴び
ふく風をすなほにうけし柳哉 正岡子規 柳
ふり帰るかほもかすむや柳原 正岡子規 柳
まちがへてほめし隣の柳哉 正岡子規 柳
マッチの軸短し 楊柳路は四方ヘ 伊丹三樹彦
むつまじき姿になりし柳哉 右城暮石 句集外 昭和九年
もう継がせんと杞柳編む 梨咲く村の薄暮 伊丹三樹彦
もつれたり解けたり風の糸柳 正岡子規 柳
も来べかりけるを柳蔭 相生垣瓜人 明治草
やせんぼの柳あわてて伸びそめし 阿波野青畝
ゆくりなく柳河の宿花みかん 山口青邨
ランチタイム葉柳の道川に抜け 岡本眸
わか柳ひとすぢのりて藁廂 阿波野青畝
わづらはしからず柳の傘に触れ 鷹羽狩行
われを囚ふ葉柳と吾子の妙齢と 下村槐太 天涯
をなごやは夜がまだ明けない葉柳並木 種田山頭火 草木塔
愛情は秘むべし柳の裏葉銀 香西照雄
一村は杏と柳ばかりかな 正岡子規 杏の花
一村は柳ばかりや朝かすみ 正岡子規 霞
一白杖 進む 楊柳叩き 叩き 伊丹三樹彦
一葉二葉柳紅葉のかなしとも 山口青邨
稲刈りのそばに葉のある柳かな 右城暮石 句集外 昭和二年
稲妻の燃ゆれば柳一樹あり 山口青邨
雨の糸よりも柳の糸繊し 後藤比奈夫
雨一日風の絶えたる柳哉 正岡子規 柳
雨一日風を押へて柳哉 正岡子規 柳
雨石あるこの世の春の煙柳忌 西島麦南 人音
永き日を柳の風のよわりけり 正岡子規 日永
永き日を柳の風の幾かはり 正岡子規 日永
縁日の昼も店出す柳かな 河東碧梧桐
遠くより柳青めと鶫鳴く 飯田龍太
遠山のおもてにゑがく糸柳 日野草城
王城や大路の柳小路の花 正岡子規 柳
黄河天上よりと詩を成す柳かな 阿波野青畝
屋根舟を招きよせたる柳かな 正岡子規 柳
夏草の庭裾に柳二三本 右城暮石 句集外 昭和九年
家々の柳刈時祖父江村 高野素十
家主の無残に伐りし柳哉 正岡子規 柳
家二つ狭きが中の柳かな 正岡子規 柳
花の中に柳一木のあはれ也 正岡子規 柳
花の背戸柳の路次や蜆売 正岡子規 蜆
花はさかりに、はなれて老いし柳なり 荻原井泉水
花紅く草みどりなり煙柳忌 飯田蛇笏
荷車の柳曳きずる埃かな 内藤鳴雪
会わざれば弥濃き人や柳の蝿 永田耕衣 人生
街道に余の木もまぜぬ柳哉 正岡子規 柳
活けんとして柳置きたる畳哉 正岡子規 柳
萱刈るに刈りし柳も萌えてゐる 右城暮石 句集外 昭和十一年
瓦斯燈にかたよつて吹く柳哉 正岡子規 柳
寒灯は粛然柳の糸の中 山口青邨
干網に取りまかれたる柳かな 正岡子規 柳
岸崩えて小魚たまりぬ川柳 正岡子規 柳
客通す結び柳が手をつきて 平畑静塔
逆髪は風に柳の名なるべし 正岡子規 柳
球うける極秘は風の柳哉 正岡子規 柳
牛飼の鞭に柳のもつれけり 正岡子規 柳
居留地の街正しき柳哉 正岡子規 柳
京を出る旅人多し梅柳 正岡子規 梅
京人のいつはり多き柳かな 正岡子規 柳
驚くや旅地に早き梅柳 正岡子規 梅
極月の柳の青葉光る老女 飯島晴子
極東箴柳行当りばたりかな 永田耕衣
金亀虫覚めゐる柳すゞしさに 右城暮石 声と声
金州の城門高き柳かな 正岡子規 柳
駒繋ぐいくさのあとの柳かな 正岡子規 柳
畦螢遊行柳に突当り 石田勝彦 雙杵
結び目をはんなり結び柳かな 鷹羽狩行
月の下の柳一本柳ケ崎 高野素十
月夜鴉水吸ひ上ぐる柳かな 渡邊水巴 白日
見渡すや柳の緑り花の紅 正岡子規 柳
古き梅古き柳や小六条 河東碧梧桐
戸繰る隣は葉柳に白う動くもの 種田山頭火 自画像 層雲集
故郷にわが植ゑおきし柳哉 正岡子規 柳
午後よりの風の柳となりにけり 鈴木真砂女
御車の昔過ぎたる柳かな 正岡子規 柳
御堂一つ柳一本奈良である春である 荻原井泉水
広島は柳の多きところかな 正岡子規 柳
構内倉庫建つまゝに柳青みたり 種田山頭火 自画像 層雲集
江東に緑の早き柳哉 正岡子規 柳
紅星帽の駐屯 楊柳隠れにだ 伊丹三樹彦
行き過ぎて葉柳ならぶ畷かな 岡井省二 山色
行春や柳の糸も地について 正岡子規 行く春
高殿に美人佇む柳かな 正岡子規 柳
黒塀にしだるゝ雨の柳かな 正岡子規 柳
佐保姫の眉についたる柳哉 正岡子規 佐保姫
左右にいづ柳の花に立ちにけり 高野素十
柵結ふて柳の中の柳かな 正岡子規 柳
三日月をいろいろに吹く柳哉 正岡子規 柳
三味ならす子に銭投る柳哉 正岡子規 柳
山吹に柳しだるゝ小池かな 正岡子規 山吹
山吹の上にしだるゝ柳かな 正岡子規 山吹
使して柳も見えず蜀の道 河東碧梧桐
史家村の入口見ゆる柳かな 正岡子規 柳
四五本の柳とりまく小家かな 正岡子規 柳
市中にひねもす動く柳哉 正岡子規 柳
枝長く柳活けたる花屋哉 正岡子規 柳
時雨るゝや柳に少し葉のありぬ 細見綾子
七夕の柳の枝を切りゆける 山口青邨
七夕柳かこみ点せりをさならは 臼田亜郎 定本亜浪句集
取りついて波引ち切る柳哉 正岡子規 柳
手花火のしだれ柳となりて消ぬ 三橋鷹女
種籾を柳に吊し西大寺 右城暮石 句集外 昭和八年
酒船をつなぎとめたる柳哉 正岡子規 柳
秋燕通りぬけたる柳かな 岡井省二 前後
秋風のこれは楢なり柳なり 高野素十
秋霖に老柳のただ存すのみ 上野泰
舟と岸柳へだつる別れ哉 正岡子規 柳
十五夜を締めあげてゐる黒子雲 佐藤鬼房
宿は柳の、塔は五重の暮れてゆく空 荻原井泉水
春はまだ短うたるゝ柳哉 正岡子規 柳
春雨や柳の糸もまじるらん 正岡子規 春の雨
春風の姿やさしき柳かな 正岡子規 春風
春風の手柄見せけり桃柳 正岡子規 春風
春風の油断も見えぬ柳かな 正岡子規 春風
春風や何の夢見る朽柳 正岡子規 春風
春風や柳のなでる古やぐら 正岡子規 春風
春風をかたちに見せる柳哉 正岡子規 春風
巡邏をへて柳に日あり歌書を繙く 飯田蛇笏 山廬集
初茶の湯結び柳の真ん円く 山口誓子
女ばかり住みて柳の今朝の秋 細見綾子
梢狭き二等道路の柳かな 正岡子規 柳
焼け跡の道になつたる柳哉 正岡子規 柳
照る波に柳青めと鶫鳴く 飯田龍太
象肥えて戦ひ習ふ柳かな 正岡子規 柳
上下に道二つある柳かな 正岡子規 柳
城門を出て遠近の柳かな 正岡子規 柳
寝てをればしんじつたるる柳かな 大野林火 海門 昭和七年以前
新阪を下りて根岸の柳哉 正岡子規 柳
新道に痩せたる柳桜哉 正岡子規 柳
新道に緑少き柳かな 正岡子規 柳
新緑の柳の木あるやさしさよ 高野素十
真直に堀割遠き柳かな 正岡子規 柳
神輿荒れもみにもみたる柳かな 原石鼎 花影
身をなげた名所めでたき柳哉 正岡子規 柳
人々と柳を植ゑし一日あり 高野素十
人生を空費して居る柳かな 永田耕衣 人生
人道と車道を分る柳哉 正岡子規 柳
吹きわける柳の風や不二筑波 正岡子規 柳
水に浮く一つ~の柳の葉 高野素十
水汲みに来ては柳の影を乱す 尾崎放哉 大学時代
水辺に柳暮れ秋の墓石店 山口誓子
雛あられ柳桜とこきまぜて 山口青邨
雛の幕柳も花もくれなゐに 山口青邨
菅笠にはらりとかゝる柳哉 正岡子規 柳
裾長の結び柳も手を仕へ 平畑静塔
晴晨の柳色動き動くかな 日野草城
生死とは桃花横臥の柳かな 永田耕衣
生酔のもつれこんたる柳哉 正岡子規 柳
西鶴忌おどろ吹かるる大柳 鈴木真砂女 夕螢
西門の杏東門の柳かな 正岡子規 杏の花
青々たる柳縺るよ一軒家 中村草田男
石橋の目にはさまりし柳かな 正岡子規 柳
石文の上にしだるゝ柳かな 正岡子規 柳
切り捨てゝ心しづめん糸柳 正岡子規 柳
川ありと見えてつらなる柳哉 正岡子規 柳
川波や柳白らけて秋の暮 村山故郷
浅妻の烏帽子をなでる柳哉 正岡子規 柳
船曳のあたまで分ける柳かな 内藤鳴雪
船人が米とぐ岸の柳かな 内藤鳴雪
早く来し柳の下の五六人 高野素十
草と見え柳と見えて村遠し 正岡子規 柳
草臥て行手を望む柳哉 正岡子規 柳
足袋白く結び柳の裾踏まず 平畑静塔
卒然と風湧き出でし柳かな 松本たかし
対岸の人に日当る柳かな 岸田稚魚
待合や柳しだるゝ狭き庭 正岡子規 柳
大きなるものを吹き出す柳かな 正岡子規 柳
大ゆれに梅雨に入るなる柳かな 岸田稚魚
大家の足場古びし柳かな 正岡子規 柳
大江戸は八百八町の柳哉 正岡子規 柳
大川に女船漕ぐやなぎ哉 正岡子規 柳
大店の檐つらねたる柳かな 正岡子規 柳
大道の柳依々として洛に入る 正岡子規 柳
大門につきあたりたる柳哉 正岡子規 柳
大門や柳かぶつて灯をともす 正岡子規 柳
大柳したれぬ程そおもしろき 正岡子規 柳
大柳小橋あるべきところかな 正岡子規 柳
濁し手に仔細に柳さくらかな 富安風生
短日や柳眉を立つる岐神 古舘曹人 樹下石上
男髪も柳も東西わかぬ左右へ垂れ 中村草田男
地に垂るる花への、水に垂るる柳への道 荻原井泉水
池の面にはらりとしたる柳かな 飯田蛇笏 山廬集
竹馬に唐児友呼ぶ柳かな 正岡子規 柳
朝の柳ぐるぐるくぐり似てくる三人 飯島晴子
朝煙草うまし柳の青う垂る 村山故郷
町の柳十本毎に灯をともす 正岡子規 柳
町中を小川流るゝ柳かな 正岡子規 柳
鳥追や柳の軒端梅の門 内藤鳴雪
鳥逃げて吹矢の落る柳哉 正岡子規 柳
津山かな柳の下をゆく日傘 渡邊白泉
辻まちの車の上に柳哉 正岡子規 柳
辻駕に朱鞘の出たる柳かな 正岡子規 柳
低きより柳の枝の垂れにけり 後藤夜半 翠黛
電車待ち居る傘に柳がさはる 尾崎放哉 大正時代
都をどりの切符蒲柳の人の手へ 波多野爽波
土橋あり柳かくれの馬の鈴 正岡子規 柳
土手一里依々恋々と柳哉 正岡子規 柳
東門の外に舎栄す柳哉 正岡子規 柳
桃の背戸柳の門や二三軒 正岡子規 桃の花
桃ほどに葉をのばしゐる柳かな 右城暮石 句集外 昭和九年
桃柳河に臨みて誰が楼ぞ 正岡子規 桃の花
桃柳桜の中を蜆売 正岡子規 蜆
桃柳四大不尽の淋しさよ 永田耕衣
灯るまで雀かしまし門柳 角川源義
藤さげて水に見とるゝ柳かな 渡邊白泉
独往の復りがちなる柳かな 永田耕衣
鳶の笛囃せ菁々たる柳 石橋秀野
鍋墨を静かになてる柳かな 正岡子規 柳
汝は柳君は桃ぞと置いて行く 永田耕衣
二三尺はや風うける柳哉 正岡子規 柳
日盛の柳行李をまたぎけり 波多野爽波
馬の尾の折々動く柳哉 正岡子規 柳
馬の尾の東になびく柳哉 正岡子規 柳
馬車柳小路の広さかな 正岡子規 柳
馬車柳大路のひろさ哉 正岡子規 柳
梅雨明けて八雲旧居に瑠璃柳 松崎鉄之介
梅及び柳さしたる手桶かな 正岡子規 梅
梅若の夢をしづむる柳哉 正岡子規 柳
白鳥と柳の縁はや幾歳 中村草田男
白拍子柳の門に這入りけり 正岡子規 柳
八百庄は酔ひ死にし葉柳垂れて 中川一碧樓
伐り攻めて瘤柳なる青みけり 臼田亜浪 旅人 抄
蛤や柳緑花紅描きたる 阿波野青畝
帆舟来てつなぎし柳茂りけり 水原秋櫻子 殉教
板塀にしたるゝ雨の柳哉 正岡子規 柳
版画屋の前の一もと柳かな 安住敦
晩涼や柳伐りても出でて揺るゝ 渡邊白泉
百千鳥柳少き関屋哉 正岡子規 百千鳥
描柳ある方小川音立てて 山口青邨
病人の門迄出たる柳哉 正岡子規 柳
不忍に風のはなれぬ柳かな 正岡子規 柳
風うける力柳は柳かな 正岡子規 柳
風は柳に棹させば水の流れゆく 荻原井泉水
風吹て枝もならさぬ柳哉 正岡子規 柳
物ありと見ればゆらゆら糸柳 正岡子規 柳
文君の酒屋ありける柳哉 正岡子規 柳
兵の出て駅前を乱し柳吹く 右城暮石 句集外 昭和十一年
閉目は柳の明さ尽地燦 永田耕衣
碧水に浮べて柳一葉かな 富安風生
遍路となれば伊豫の柳の青さなり 荻原井泉水
弁天のうしろ姿は柳かな 正岡子規 柳
弁天をとりまく柳桜かな 正岡子規 柳
法師蝉茂り疲れし老柳 百合山羽公 寒雁
蓬莱の上にしたるゝ柳哉 正岡子規 蓬莱
頬杖は柳の緑なればなり 高野素十
本陣に幕張り廻す柳哉 正岡子規 柳
蓑虫の遊行柳に物知り顔 松崎鉄之介
明易き水のほとりの柳かな 高野素十
明烏葉柳の日のいよよなり 岡井省二 五劫集
茂りたる柳の一葉~かな 高野素十
茂りても柳の性を失はず 清崎敏郎
門外に川あり柳二三本 正岡子規 柳
門口に十日の雨の柳かな 正岡子規 柳
門柳鬼ごとあそび暮れて猶 石橋秀野
夜な夜なの辻君かくす柳哉 正岡子規 柳
夜雨至る柳河の菱生ひいそぐ 阿波野青畝
野に山に白雲ゆくよ煙柳忌 飯田蛇笏 山廬集
野の牛を撫でゝ眠らす柳哉 正岡子規 柳
柳、その人であるはずはない顧る 荻原井泉水
柳あり舟待つ牛の二三匹 正岡子規 柳
柳あり桃あり家の前後 正岡子規 柳
柳があつて柳屋といふ涼しい風 種田山頭火 草木塔
柳がちに花がちに見ゆる村一つ 正岡子規 柳
柳がちに花がちに村はるかなり 正岡子規 柳
柳が倉敷川の昔船問屋のいま宿の女あるじ 荻原井泉水
柳ぐとは胸ひらくこと秋の富士 岡本眸
柳ことに老大、殿の倉とて水に映り 荻原井泉水
柳とは酒屋が前のものならし 正岡子規 柳
柳なく花なき里の西行忌 正岡子規 西行忌
柳などあるらんか夜を着きし宿 中川一碧樓
柳なほ柳のありしゆふべかな 岡井省二 五劫集
柳には柳の木こそ添ひよけれ 正岡子規 柳
柳にも我はづかしや二千石 正岡子規 柳
柳にも糸桜にも分け入れり 相生垣瓜人 明治草
柳の糸みんながふれて涼しさよ 山口青邨
柳の茂頼もしき父持てる家か 中村草田男
柳の木又柳の木秋の風 高野素十
柳ひらめけり年の市立つや 大野林火 海門 昭和七年以前
柳まづ置かれ納涼芝居かな 桂信子 花影
柳みな吹きなびく池畔あたたかし 村山故郷
柳もなし籬の上に春の月 河東碧梧桐
柳よりやはらかきもの見当らず 後藤比奈夫
柳わけて居酒屋の門はひりけり 正岡子規 柳
柳蔭われはをみなとなりしはや 永田耕衣
柳影さんばら 広島忌また 長崎忌 伊丹三樹彦
柳遠く人家の煙搖曳す 正岡子規 柳
柳見てまはれば庵の住み易き 正岡子規 柳
柳見て物思はゞやと思ふかな 正岡子規 柳
柳桜柳桜と栽ゑにけり 正岡子規 柳
柳条の雨のごときは春を待つ 富安風生
柳植ゑて善き名を彫りし小橋哉 正岡子規 柳
柳垂り五月の夕焼にごりなき 大野林火 海門 昭和十二年
柳垂れて海を向いたる借家あらん 正岡子規 柳
柳青く垂りて濠端の昼たのし 村山故郷
柳青しあひまあひまの桃の花 正岡子規 桃の花
柳青しここは故郷比叡も見ゆ 村山故郷
柳青し紅燈七十二青楼 正岡子規 青柳
柳青み家鴨遊べる遠き景 山口青邨
柳青む銀座に出るも医師通ひ 村山故郷
柳挿すやしばし舟押して白腕 飯田蛇笏 山廬集
柳痩せ緑を纏ふ北浜街 右城暮石 句集外 昭和二十八年
柳多き花多き村にいでにけり 正岡子規 柳
柳態も嫋々の時過ぎにけり 相生垣瓜人 明治草
柳堤がひとすぢけぶり湖を*きる<西湖> 篠原梵 年々去来の花 中北支の四〇日
柳伐つて後影つく水輪かな 石橋秀野
柳萌え温室の花より淡かりき 飯田蛇笏 白嶽
柳北が寄附せし土手の桜かな 正岡子規 桜
柳立つうしろの柳笑いけり 橋閒石
柳緑といふは寒中にもありて 後藤比奈夫
柳鰈貰ふ大雪そのあとに 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
幽霊の出るといふなる柳かな 正岡子規 柳
遊行柳見る間に刈らる三角田 松崎鉄之介
夕煙柳かくれの小寺かな 正岡子規 柳
夕風の月なぶりゐる柳哉 正岡子規 柳
夕風や柳吹きこむ窓の内 正岡子規 柳
楊弓に人の集まる柳かな 正岡子規 柳
楊州は柳に晴るゝ日永かな 日野草城
葉柳に水撒車片よせぬ 正岡子規 葉柳
葉柳に日の力なきゆふべかな 正岡子規 葉柳
葉柳に埃をかぶる車上哉 正岡子規 葉柳
葉柳の五本はあまる庵哉 正岡子規 葉柳
葉柳の招魂祭の鹵簿の雨 富安風生
葉柳の吹かれてしどろもどろかな 清崎敏郎
葉柳の水の日ぐれを驢馬追へる 臼田亜浪 旅人 抄
葉柳の風は中から起りけり 正岡子規 葉柳
葉柳の葉長き活けし何の思ひ 細見綾子 桃は八重
葉柳ははや酋乙女の翁なれ 岡井省二 猩々
葉柳も飛燕も低し五層閣 水原秋櫻子 餘生
葉柳も木屋町四条下ルかな 寒食 星野麥丘人
葉柳やもつれてのこる三日の月 正岡子規 葉柳
葉柳や折ふし村の鏡見ゆ 岡井省二 明野
葉柳や待たされてゐる奈良茶粥 森澄雄
葉柳や病の窓の夕ながめ 正岡子規 葉柳
葉柳や病気の窓に夕ながめ 正岡子規 葉柳
葉柳や風はらひあへずほこりつむ 正岡子規 葉柳
葉柳をつかまへかねし小舟哉 正岡子規 葉柳
踊見送りさぐれば千切れて柳の葉 中村草田男
洛陽の池をとりまく柳哉 正岡子規 柳
裏店にあり来りたる柳哉 正岡子規 柳
裏門にかぶさる雨の柳哉 正岡子規 柳
立琴にしだるゝ床の柳哉 正岡子規 柳
旅立のあとに淋しき柳哉 正岡子規 柳
涼しさの柳に風の順へり 上田五千石 天路
涼風の白楊溝に紅柳(タマリスク) 松崎鉄之介
老い易くはた老い難き柳哉 正岡子規 柳
老柳に句碑にこれより秋淋し 高田風人子
老柳のもとに落つ日の暑からず 高浜年尾
老柳の山廬秋風吹きめぐり 星野立子
藁屋根の上にしだるゝ柳かな 正岡子規 柳
兀山の麓に青き柳かな 正岡子規 青柳
囀りの横町につゞく柳哉 正岡子規 囀
嬌柳さはらず伸べし釣瓶竿 阿波野青畝
嬌柳やうやうにして静まりし 阿波野青畝
朧とは桜の中の柳かな 正岡子規 朧
杞柳編む円座 物真似インコが芯 伊丹三樹彦
梳き下し枝垂柳の枝垂れたり 山口誓子
渺々と緑つらなる柳哉 正岡子規 柳
渤海の平らにつゞく柳かな 正岡子規 柳
絲柳まだ遠景を透しをり 高浜年尾
螢川柳に螢の乳つきて 細見綾子
賤か家の垣根うつくし桃柳 正岡子規 桃の花
跣足の児がスタ~と行けり柳暮る 尾崎放哉 大正時代
颱風の被害最も老柳に 高浜年尾
颱風の名残りの風の柳吹く 高野素十
鯊落ちて柳は青し博多川 水原秋櫻子 蓬壺
鴉鳴く明礼宮の柳かな 正岡子規 柳
鶯や竹へも梅へも柳へも 正岡子規 鶯
鶯や梅へも竹へも柳へも 正岡子規 鶯
鶯横町塀に梅なく柳なし 正岡子規 鶯

by 575fudemakase | 2018-03-20 17:02 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)


あかつきの星を緡りし柳かな 暁台
あちへゆらりこちへゆらりと柳哉 柳 正岡子規
あち東風や面々さばき柳髪 松尾芭蕉
あら青の柳の糸や水の流れ 上島鬼貫
いざいでう柳の小簑梅の笠 柳 正岡子規
いつときは柳も揺れず迎鐘 佛原明澄
いつまでも人現はれず柳かな 高野素十
いねつむや通ふ呼吸も柳より 元夢
いろいろに風のひろがる柳かな 柳 正岡子規
うぐひすは起こせどねぶる柳かな 千代尼
うつくしき手て一まねぐ柳かな 柳 正岡子規
うつらうつら紅葉して行く柳かな 会津八一
おしゃべりに柳の夜のうすまりぬ 伊東達夫
おしよせてたばぬる程の柳かな 探芝 俳諧撰集「有磯海」
おそろしき根を恥ぢ入りて柳かな 千代尼
おもひ出て物なつかしき柳かな 椎本才麿
お化け柳くぐって 聖夜劇のかえり 伊丹公子 メキシコ貝
お十夜の水に柿の葉柳の葉 岸本尚毅 舜
かぞへ来ぬ屋敷々々の梅柳 翁 正 月 月別句集「韻塞」
かたくなに枝垂れぬ柳道真忌 竹下しづの女 [はやて]
かの柳逆さ靡きや洗堰 森田 峠
かへり見る門には柳ばかりなり 柳 正岡子規
きえ~に白山みゆる柳かな 久保田万太郎 草の丈
くたびれて柳も眠る日和哉 柳 正岡子規
けふの日を柳にやりて川端に 上島鬼貫
けろりくわんとして烏と柳哉 一茶
けろりくわんとして雁と柳哉 一茶 ■文化八年辛未(四十九歳)
こがらめや庵の茶の花つぼむころ 柳城「はたけせり」
ここ啄木の北上川か目に柳 栗林一石路
この奥に暮るゝ峡ある柳かな 芝不器男
この塚は柳なくてもあはれなり 上島鬼貫
この辺は名もなき家の柳哉 正岡子規
この柳あすなき海贏を廻しけり 増田龍雨 龍雨句集
ゴビ灘の涼しき水辺紅柳 櫻井菜緒 『帰雁』
ごみをかぶる柳の下のポストかな 寺田寅彦
さき交る柳の中の糸桜 糸桜 正岡子規
さし柳しだれんとして上に向く 柳 正岡子規
さし柳三尺にして緑ふく 柳 正岡子規
さし柳翌は出て行庵也 一茶 ■文化二年乙丑(四十三歳)
さみだれや棹にふすぶる十団子 左柳 俳諧撰集「有磯海」
しだれ柳ふれて都電は雑司ヶ谷 敷地あきら
しばしとて高足とまれ柳かげ 井原西鶴
しばし見む柳がもとの小鮒市 高井几董
しばらくは風にまかせし柳哉 柳 正岡子規
しめ縄の風吹きつくる柳哉 柳 正岡子規
すかし見て星に淋しき柳かな 樗良
すこしのこつた戦禍の柳はなやぎ銀座早春 橋本夢道 無禮なる妻抄
すつかり病人になつて柳の糸が吹かれる 尾崎放哉
それぞれの朧の形や梅柳 千那 正 月 月別句集「韻塞」
ちさい子や柳ひかんと飛上る 星野麦人
つきがねのひびきに動く柳かな 椎本才麿
つくづくと雨の柳を見る日哉 梅
つゞきけりちまたの柳村の桃 柳 正岡子規
つやつやと柳に霜の降る夜かな 暁台
てれば桃ふれば柳の節句かな 京-方山 元禄百人一句
としの尾や柳に青う結び行く年の暮 千代尼
どちらともつかぬ柳や村境 柳 正岡子規
とびこんで鶯見えぬ柳哉 鶯 正岡子規
とりつきて柳ひきゝる小舟哉 柳 正岡子規
とりつきて蕣上る柳哉 朝顔 正岡子規
なが~と柳夜明けし土用かな 佐野青陽人 天の川
ながれてはまた根にかへる柳かな 千代尼
なよやかに節分の夜の柳かな 中島月笠 月笠句集
ならびたる柳の糸の間かな 後藤夜半 翠黛
ならびたる柳の絲の間かな 後藤夜半
ぬれて照る柳には又しぐれ哉 宗是
ねこ柳のほほけ白むや雛の雨 室生犀星 魚眠洞發句集
はつきりと桜の中の柳かな 桜 正岡子規
はつきりと柳の中の桜かな 柳 正岡子規
はらはらと柳動くや初日影 初日影 正岡子規
はれ物に柳のさはるしなへかな ばせを 芭蕉庵小文庫
ひかりさす闇のあらしの柳哉 松岡青蘿
ひつたりと風のとまりし柳かな 柳 正岡子規
ひつたりと風のなくなる柳かな 柳 正岡子規
ひと雨の玉の雫や糸柳 飴山 實
ふく風をすなほにうけし柳哉 柳 正岡子規
ふところに老柳荘の木の実かな 加藤晴子
ふり帰るかほもかすむや柳原 柳 正岡子規
ふり揚ぐる榜(かい)の雫に柳かな 鳩枝 俳諧撰集「藤の実」
ベンチみな老人が占め子供の日 竹内柳影(ひいらぎ)
まい~や柳条垂るゝ下出でて 尾崎迷堂 孤輪
まちがへてほめし隣の柳哉 柳 正岡子規
まなざしの結び柳に上りをり 斎藤由美子
みちすがら麗人多き柳かな 会津八一
みよし野に闇一結び柳かな 千代尼
むかふるに柳おくるに梅の宿 泉鏡花
むつとしてもどれば庭に柳かな 大島蓼太
もつれたり解けたり風の糸柳 柳 正岡子規
やはらかに柳あをめる/北上の岸辺目に見ゆ/泣けとごとくに 石川啄木
ゆかしさをともにうなづく柳かな 水田正秀
ゆかしさをまねき合たる柳かな 水田正秀
ユスリ蚊の柳を好む別派かな 高澤良一 ぱらりとせ
ゆつくりと時計のうてる柳かな 久保田万太郎
ゆふぐれの遊行柳の風をみる 今野志津子
ゆらゆらと柳うごくや初日影 初日影 正岡子規
ゆらゆらと柳動くや初日の出 初日 正岡子規
よけて入る雨の柳や切戸口 永井荷風
よめならばみどりにせばや柳髪 貞徳
わが前の柳眉怖ろし歌留多取 鈴木鷹夫 千年
わか柳一すぢのりて藁廂 阿波野青畝
わか柳一とすぢのりて藁廂 阿波野青畝
わたりふたつ見えて夕日の柳哉 高井几董
われを囚ふ葉柳と吾子の妙齢と 下村槐太 天涯
愛情は秘むべし柳の裏葉銀 香西照雄 対話
悪夢から醒めて柳のわたがとぶ 駿河妙子
梓川柳の並木紅葉せり 比叡 野村泊月
暗しとは柳にうき名浅みどり 尾崎紅葉
依々たり柳楊氏の娘門に倚る 寺田寅彦
惟願慈悲降臨護念柳かな 龍岡晋
遺影とは硯に映る柳かな 長谷川櫂 古志
一軒の茶見世の柳老にけり 蕪村
一村は杏と柳ばかりかな 杏の花 正岡子規
一村は柳ばかりや朝かすみ 霞 正岡子規
一様に岸辺の柳吹き靡き
引あげて水音くらき柳かな 斯波園女
引きよせて放しかねたる柳かな 丈草
引よせて放し兼たる柳かな 内藤丈草
引寄て折手をぬける柳かな 炭 太祇 太祇句選
雨の家鴨柳の下につどひけり 寺田寅彦
雨一日風の絶えたる柳哉 柳 正岡子規
雨一日風を押へて柳哉 柳 正岡子規
雨燕うつくし風を舞ふ柳 椎本才麿
雨石あるこの世の春の煙柳忌 西島麦南 人音
雨太き老柳荘の花岩菲 加藤晴子
卯の花やくらき柳の及び腰 松尾芭蕉
卯の花や暗き柳の及び腰 松尾芭蕉
雲海の割れてなつかしバルセロナ 柳沼せつ子
永き日を柳の風のよわりけり 日永 正岡子規
永き日を柳の風の幾かはり 日永 正岡子規
煙草屋の娘うつくしき柳かな 寺田寅彦
燕の乗りかためたる柳かな 水田正秀
猿沢の柳の下の風船屋 比叡 野村泊月
遠くから柳に見ゆる柳哉 井原西鶴
遠くまで海濁りたる柳かな 岡本松浜 白菊
遠くより柳青めと鶫鳴く 飯田龍太
遠山を柳の奥と思ふかな 尾崎迷堂 孤輪
応~で人を賺せる柳かな 去来
横に降る雨なき京の柳かな 蕪村
王城や大路の柳小路の花 柳 正岡子規
鴬や柳のうしろ薮の前 松尾芭蕉
鴬を魂にねむるか矯柳 松尾芭蕉
鴬を魂にねむるか嬌柳(たをやなぎ) 松尾芭蕉
屋根ふきにたばねられたる柳哉 横井也有 蘿葉集
屋根舟を招きよせたる柳かな 柳 正岡子規
下戸若衆柳に花もなかりけり 調鶴 選集「板東太郎」
下市に上市つゞく柳かな 野村喜舟 小石川
加茂川や柳条長き初日影 大谷句佛 我は我
家主の無残に伐りし柳哉 柳 正岡子規
家二つ狭きが中の柳かな 柳 正岡子規
家百戸あれば寺ある柳かな 几董
河上は柳かうめか百千鳥 其角
花さかぬ身をすぼめたる柳かな 乙由
花の中に柳一木のあはれ也 柳 正岡子規
花の背戸柳の路次や蜆売 蜆 正岡子規
花紅く草みどりなり煙柳忌 飯田蛇笏 山廬集
花咲かぬ身はふり安き柳かな 千代女
花柳章太郎よりとどきたる切子かな 安住敦
花柳章太郎より届きたる切子かな 安住敦
花柳流家元と逢ふ菊供養 成瀬櫻桃子
霞被て柳の魚藍見に行かむ 綾部仁喜 樸簡
蚊とんぼのぶらさがりをる谷地柳 高澤良一 暮津
我ままに枝のそろはぬ柳かな 如元 二 月 月別句集「韻塞」
我影を捜す老木の柳かな 乙仙
画舫向きをかへしと見ゆる柳かな 原田青児
懐に沼を抱へて山眠る 柳下美砂枝
貝よせの風は柳に通ひけり 垣丸
街道に余の木もまぜぬ柳哉 柳 正岡子規
角燈の柳の辻をまがりけり 寺田寅彦
学べども柳にたらぬこころかな 水田正秀
笠の緒に柳わがぬる旅出かな 広瀬惟然
笠岳が笠を脱いだる柳蘭 斉藤美規
潟の柳旱り気味なる葉色なれ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
活けんとして柳置きたる畳哉 柳 正岡子規
且つ結び且つ消ゆ水輪糸柳 高澤良一 素抱
瓦斯灯にかたよつて吹く柳かな 正岡子規
瓦斯燈にかたよつて吹く柳かな 正岡子規
干網に取りまかれたる柳かな 柳 正岡子規
看板の団子淋しき柳哉 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
竿持す梅に柳に年の暮 井原西鶴
閑かさを覗く雨夜の柳かな 炭 太祇 太祇句選後篇
岸崩えて小魚たまりぬ川柳 柳 正岡子規
眼かくしの柳青みし二階かな 尾崎紅葉
顔いたき風のよそ目に柳哉 高井几董
寄せし身のいづこか涼し痩せ柳 加藤知世子 花 季
亀の背をはらひもぞしてたを柳 比叡 野村泊月
祇王忌や采女柳の揺れやまず 鶴田武子
吉原の見返り柳痩せにけり 小島相河
逆髪は風に柳の名なるべし 柳 正岡子規
球うける極秘は風の柳哉 柳 正岡子規
旧正に逢うて蒲柳のひとなりし 南上敦子
牛飼の鞭に柳のもつれけり 柳 正岡子規
牛肉の看板赤き柳哉 寺田寅彦
居留地の街正しき柳哉 柳 正岡子規
魚提て柳がくれにもていりぬ 成美
京を出る旅人多し梅柳 梅 正岡子規
驚くや旅地に早き梅柳 梅 正岡子規
襟巻や蒲柳の質の顔よけれ 喜谷六花
金亀虫覚めゐる柳すゞしさに 右城暮石 声と声
金州の城門高き柳かな 正岡子規
駒繋ぐいくさのあとの柳かな 柳 正岡子規
空を飛ぶ塵やひかりや柳萌ゆ 耕二
月うるみ柳の染むる二月かな 松根東洋城
月にそうて柳のなかを歩きけり 会津八一
月もやゝほのかに青き柳かな 松岡青蘿
月遠く柳にかゝる夜汐かな 加舎白雄
月花の外をおぼろの柳かな 松岡青蘿
月夜鴉水吸ひ上ぐる柳かな 渡辺水巴 白日
犬に迯て庭鳥上る柳かな 高井几董
県庁と市役所と並ぶ柳かな 寺田寅彦
肩過ぎてたるる柳の鬘かな 富木
見るうちにわすれて仕舞ふ柳かな 千代尼
見上ぐればまだ日の残る柳かな 野坡
見渡すや柳の緑り花の紅 柳 正岡子規
遣羽子や柳の糸の風を憎む 会津八一
原爆ドーム柳の岸へ影倒る 中西舗土
原発を拒みつづけて天草干す 柳岡百合江
古写経の緑を柳かと思ふ 長谷川櫂 天球
古川にこびて目を張る柳かな 松尾芭蕉
古獺やふるき柳の蔭祭 尾崎紅葉
故郷にわが植ゑおきし柳哉 柳 正岡子規
湖尻のここだ水湧く柳蔭 下村ひろし 西陲集
五人ぶちとりてしだる柳かな 野坡
五千尺の山地三尺の柳蘭 瀧井孝作
五六軒村はづれ行く柳かな 会津八一
五六本よりてしだるる柳かな 去来
五六本よりてしだるゝ柳かな 去来
五六本寄りてしだるる柳かな 去来 俳諧撰集「有磯海」
五六本寂寞として柳かな 会津八一
御車の昔過ぎたる柳かな 柳 正岡子規
乞食ゐて柳祭の昼めく夜 楠本憲吉
交りを水にまかせて柳かな 水田正秀
口上のはてて詠(ながめ)るやなぎ(柳)かな 立花北枝
幸に柳も寝るや春の雨 吾仲 正 月 月別句集「韻塞」
広島は柳の多きところかな 柳 正岡子規
広嶋は柳の多きところかな 正岡子規
江村を苗代辺にも柳かな 細谷柚翁
江東に緑の早き柳哉 柳 正岡子規
考えてみてもむづかし柳の葉 清水径子
荒につく畠の柳みどりせり 高井几董
行春や柳の糸も地について 行く春 正岡子規
降りぎはの柳揺れゐる火桶かな 田中裕明
高殿に美人佇む柳かな 柳 正岡子規
国栖笛や梅も柳も舞の袖 一峨
黒塀にしだるゝ雨の柳かな 柳 正岡子規
腰をふる門の柳やかぶきもの 北村季吟
忽ちに餅のなる木は柳かな 萬翁
此松も柳にしたき清水かな 横井也有 蘿葉集
根を置てけふももどらぬ柳かな 千代尼
根を露はさずして柳老いにけり 永田耕衣 驢鳴集
佐保姫の眉についたる柳哉 佐保姫 正岡子規
細櫂の撞木でわくる柳哉 幸田露伴 江東集
菜種刈る遊行柳の風の中 山本とく江
咲き出でぬびえうの柳たよ~と 蛇足「新類題発句集」
柵結ふて柳の中の柳かな 柳 正岡子規
三日月をいろいろに吹く柳哉 柳 正岡子規
三味ならす子に銭投る柳哉 柳 正岡子規
傘(からかさ)に押し分けみたる柳かな 松尾芭蕉
傘に押し分けみたる柳かな 松尾芭蕉
傘に押わけみたる柳かな 芭蕉
山かづらかけて遠目の柳かな 松岡青蘿
山笑ふ柳をしたふ名残かな 秀盛
山吹に柳しだるゝ小池かな 山吹 正岡子規
山吹の上にしだるゝ柳かな 山吹 正岡子規
山吹や柳に水のよどむころ 千代女
山柳の咲けば間近し藤切会 河野友人
産の紐とけてはらりと柳かな 尾崎紅葉
残暑倦む人や柳の川わたり 浜田酒堂
史家村の入口見ゆる柳かな 柳 正岡子規
四五本の柳とりまく小家かな 正岡子規
市中にひねもす動く柳哉 柳 正岡子規
思ひ出でてものなつかしき柳かな 椎本才麿
思ふべし柳青まむことをのみ 林原耒井 蜩
指圧爽やか突手柳手拍打叩打 高澤良一 素抱
枝刈りて柳すゞしき月夜哉 永井荷風
枝垂るゝや辻の柳の塵三斗 尾崎紅葉
枝長く柳活けたる花屋哉 柳 正岡子規
糸屑にまじる柳の一葉かな 永井荷風
糸柳まだ遠景を透しをり 高浜年尾
糸柳垂れて町並つくるかな 烏頭子
糸柳東男に吹かれ寄る 行方克己 知音
糸柳日の点滴を地に繋ぐ 新井道江
糸柳風は気ままな振付師 小出三子
糸柳梳きくる風のうすみどり 井口源吾
紙燭して客おくり出す柳かな 才麿
時雨るゝや柳に少し葉のありぬ 細見綾子 花寂び
七夕柳かこみ点せりをさならは 臼田亞浪 定本亜浪句集
悉く屋根に落ちたる柳かな 会津八一
捨てやらで柳さしけり雨のひま 蕪村
捨てやらで柳挿しけり雨の間 蕪村
捨やらで柳さしけり雨のひま 蕪村
蛇の子の鱒に危き柳かな 会津八一
蛇の輪の雨に流るる柳かな 浜田酒堂
蛇柳の葉越の月となりにけり 寺田寅彦
若水や柳のかたへあまり行 馬光
若草に根をワすれたる柳かな 蕪村 春之部 ■ 禁城春色暁蒼々
若餅や精け返つて柳色 元夢
取りついて波引ち切る柳哉 柳 正岡子規
手ぐり船風は柳にふかせけり 斯波園女
手花火の柳が好きでそれつきり 恩田侑布子
手櫛さへ入れぬ柳の打かぶり 内藤丈草
手折らるる花から見ては柳かな 千代尼
手操舟風は柳にまかせたり 園女 俳諧撰集玉藻集
腫物にさはる柳のしなへかな 芭蕉 俳諧撰集「有磯海」
腫物に触る柳のしなへ哉 松尾芭蕉
腫物に触る柳の撓かな 芭蕉
腫物に触る柳の撓哉 松尾芭蕉
酒しみの舞衣かけし柳かな 尾崎紅葉
酒のあと柳の奥を尾長鳥 和知喜八 同齢
酒船をつなぎとめたる柳哉 柳 正岡子規
修正会や供華の柳の灯影して 大谷句佛
舟かりて春見おくらん柳陰 立花北枝
舟かりて春見送らん柳陰 北枝
舟と岸柳へだつる別れ哉 柳 正岡子規
舟岸につけば柳に星一つ
舟子待てば夕靄起る柳哉 石島雉子郎
十一騎の十一本の柳青める 阿部完市 純白諸事
十五分遅れ柳の下に逢ふ 工藤 信子
出そびれて家にゐる日やさし柳 永井荷風
出る杭をうたうとしたりや柳かな 蕪村 春之部 ■ 禁城春色暁蒼々
出盛りて来て柳降りの一としきり 行方克己 無言劇
春の霜柳に解けて流れけり 石井露月
春の夜や柳かくれの細ともし 紅葉
春はまだ短うたるゝ柳哉 柳 正岡子規
春雨や柳の糸もまじるらん 春の雨 正岡子規
春出水中洲の柳ひたりたる 高浜虚子
春待つや仮の小桶に梅柳 安藤橡面坊
春風の姿やさしき柳かな 春風 正岡子規
春風の手柄見せけり桃柳 春風 正岡子規
春風の油断も見えぬ柳かな 春風 正岡子規
春風や何の夢見る朽柳 春風 正岡子規
春風や柳のなでる古やぐら 春風 正岡子規
春風をかたちに見せる柳哉 春風 正岡子規
巡邏をへて柳に日あり歌書を繙く 飯田蛇笏 山廬集
初むまや柳はみどり小豆めし 尾張 也有 五車反古
初午や柳はみどり小豆飯 也有
初茶の湯あめつち結ぶ柳かな 高林とよ子
召集の掲示を撫る柳哉 寺田寅彦
宵宮に銀髪投手現はれし 今坂柳二「白球論」
小鮎汲柳しばしば潜りけり 至青
小鯛挿す柳涼しや海士が妻 松尾芭蕉
昭君の柳を山谷堤かな 椎本才麿
梢狭き二等道路の柳かな 柳 正岡子規
消え際の線香花火の柳かな 鈴木花蓑
焼け跡の道になつたる柳哉 柳 正岡子規
章臺の柳を思ふ彌生の頃 寺田寅彦
章臺や柳に妓楼朧なり 寺田寅彦
象肥えて戦ひ習ふ柳かな 柳 正岡子規
上へまだ延ぬでもなき柳かな 横井也有 蘿葉集
上下に道二つある柳かな 柳 正岡子規
城門を出て遠近の柳かな 柳 正岡子規
情事話頭に兵塵想ふこの柳 河東碧梧桐
心ゆくまで老柳と空の話 鳴戸奈菜
新月や藤太がまとは柳の葉 浜田酒堂
新阪を下りて根岸の柳哉 柳 正岡子規
新寺の砂にしだるゝ柳哉 許六
新道に痩せたる柳桜哉 柳 正岡子規
新道に緑少き柳かな 柳 正岡子規
新涼の柳手といふ指圧法 高澤良一 素抱
真直に堀割遠き柳かな 柳 正岡子規
神もけふ柳より乗る渡しかな 浜田酒堂
身をなげた名所めでたき柳哉 正岡子規
人生を空費して居る柳かな 永田耕衣
人道と車道を分る柳哉 柳 正岡子規
吹きわける柳の風や不二筑波 柳 正岡子規
水の奥氷室尋ぬる柳かな 芭蕉「曾良書留」
水の奥氷室尋ぬる柳哉 松尾芭蕉
水の奥氷室尋る柳哉 芭蕉
水みちて松も柳もかすむらむ 会津八一
水音の野中さびしき柳かな 浜田酒堂
水汲の辛苦して出る柳かな 立花北枝
水打つや時経ぬごとく柳影 依光陽子
水面には横柳には縦の風 吉年虹二
水門を柳のたゝく月夜哉 南雅
酔ひふして柳に寝顔なぶらせん 会津八一
酔ふた~柳手をひけ春の暮 幸田露伴 拾遺
数へ来ぬ屋敷屋敷の梅柳 松尾芭蕉
菅笠にはらりとかゝる柳哉 柳 正岡子規
生きてゐる糸のさき~糸柳 藤後左右
生酔のもつれこんたる柳哉 柳 正岡子規
聖鐘が賜ふ目ざめは柳いろ 林翔
声上げて昼の蚊消えし柳の間 殿村莵絲子 牡 丹
西側はかげる銀座の柳かな 瀧井孝作
西鶴忌おどろ吹かるる大柳 鈴木真砂女 夕螢
西門の杏東門の柳かな 杏の花 正岡子規
青空に馴れて米ふむ柳かな 巣兆
青月夜無柳殖やして恋封じ 河野多希女 こころの鷹
青々と柳のかかる築地かな 蝶夢
青東風の満ちて夜に入るふしみかな 遅柳「野梅」
石橋の目にはさまりし柳かな 柳 正岡子規
石鹸玉柳の風に後じさり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
石菖や窓から見える柳ばし 永井荷風
石文の上にしだるゝ柳かな 柳 正岡子規
積塔や柳の衣に風渡る 芦 涯
切り捨てゝ心しづめん糸柳 柳 正岡子規
折り持つや柳悲しき馬の上 会津八一
蝉させば竿にもつるゝ柳哉 蝉 正岡子規
千羽鶴柳に花の夕かな 井原西鶴
千代田区の柳は無聊みどりの日 大畠新草
千仏や柳桜に出開帖 松瀬青々
川ありと見えてつらなる柳哉 柳 正岡子規
川こえて赤き足行くかれ柳 上島鬼貫
川こして帯ときによる柳かな 岱水 芭蕉庵小文庫
川せみのすべりながらや飛ぶ柳 水田正秀
川セミノ去テ柳ノ夕日哉 翡翠 正岡子規
川セミノ足場ヲエラブ柳哉 翡翠 正岡子規
川セミノ池ヲ巡リテ皆柳 翡翠 正岡子規
川セミノ飛デシマヒシ柳カナ 翡翠 正岡子規
川セミノ来ヌ日柳ノ嵐カナ 翡翠 正岡子規
川セミノ来ル柳ヲ愛スカナ 翡翠 正岡子規
川セミモ鷺モ来テ居ル柳哉 翡翠 正岡子規
川セミヤ池ヲ巡リテ皆柳 翡翠 正岡子規
川上へ流るるやうな柳かな 此筋 二 月 月別句集「韻塞」
川蒸気船過ぎて 杞柳の白光増す 伊丹公子 時間紀行
川蝉ノ魚ヲ覗フ柳カナ 翡翠 正岡子規
川蝉や柳垂れ芦生ふる処 翡翠 正岡子規
川蝉や柳静かに池深し 翡翠 正岡子規
川波の梢にとゞく柳哉 郢里
浅妻の烏帽子をなでる柳哉 柳 正岡子規
線香花火終の柳は公家のひげ 高澤良一 素抱
船を上りて町広やかに柳かな 長谷川零余子
船頭のしやつ面撫づる柳哉 幸田露伴 江東集
船舞台濡るゝ柳の雨となる 江口竹亭
膳所あたり湖せばまりに柳かな 尾崎迷堂 孤輪
遡江すや楊柳にそひ桃にそひ 上ノ畑楠窓
倉敷は柳新樹の壁白き 山本郎
想ひ出や柳に雨の降るごとく 岸風三楼 往来
窓に垂るゝ柳や河岸の活版所 寺田寅彦
草と見え柳と見えて村遠し 柳 正岡子規
草臥て行手を望む柳哉 柳 正岡子規
草原の径へ紅刷き柳蘭 和知喜八 同齢
草市や柳の下の燈籠店 正岡子規
送行や白波洗ふ柳の根 山本洋子
卒然と風湧き出でし柳かな たかし
打かけて月をゆるがす柳哉 松岡青蘿
打水の力ぬけたる柳哉 打ち水 正岡子規
対岸の人に日当る柳かな 岸田稚魚
待合や柳しだるゝ狭き庭 柳 正岡子規
退庁や門の葉柳風が吹く 寺田寅彦
大きなるものを吹き出す柳かな 柳 正岡子規
大ゆれに梅雨に入るなる柳かな 岸田稚魚
大家の足場古びし柳かな 柳 正岡子規
大江戸は八百八町の柳哉 柳 正岡子規
大慈悲や柳が下の迷子石 野村喜舟 小石川
大川に女船漕ぐやなぎ哉 柳 正岡子規
大店の檐つらねたる柳かな 柳 正岡子規
大道芸川端柳吹かる辺に 高澤良一 石鏡
大仏の開眼かすむ柳かな 野村喜舟 小石川
大木に思へばならぬ柳かな とめ 俳諧撰集玉藻集
大門につきあたりたる柳哉 柳 正岡子規
大門や柳かぶつて灯をともす 柳 正岡子規
大柳したれぬ程そおもしろき 柳 正岡子規
大柳小橋あるべきところかな 柳 正岡子規
啄木忌利根の柳もあをみけり 川越蒼生
凧のあたりどころや瘤柳 丈草 芭蕉庵小文庫
樽うちて柳の月に踊るらん 会津八一
短日や柳眉を立つる岐神 古舘曹人 樹下石上
短夜の道の窪みに柳の葉 岸本尚毅 鶏頭
短夜は柳に足らぬつゝみ哉 短夜 正岡子規
池に鵝なし仮名書き習ふ柳陰 山口素堂
池の面にはらりとしたる柳かな 飯田蛇笏 山廬集
竹馬に唐児友呼ぶ柳かな 柳 正岡子規
昼の夢ひとりたのしむ柳かな 千代尼
朝露にすすぎあげたる柳かな 広瀬惟然
町の灯に柳明るき夜霧かな 高桑化羊
町の柳十本毎に灯をともす 柳 正岡子規
町中を小川流るゝ柳かな 柳 正岡子規
長閑さや柳の下の洗ひ臼 井上井月
鳥の羽音頭上に消えぬ柳挿す 西山泊雲 泊雲句集
鳥逃げて吹矢の落る柳哉 柳 正岡子規
津の柳茂り極めぬ雲の峯 野村喜舟 小石川
辻まちの車の上に柳哉 柳 正岡子規
辻駕に朱鞘の出たる柳かな 柳 正岡子規
辻々の交番柳したゝりぬ 新海非風
釣竿の糸吹そめて柳まで 千代尼
低きより柳の枝の垂れにけり 後藤夜半
低きより柳の絲の垂れにけり 後藤夜半
貞柳が哥よまぬ日や夷講 高井几董
庭池の柳も眠り昼寝かな 東洋城千句
提灯を柳に結はへ踊りけり 井山幸子
泥亀に人だかりする柳かな 可長 芭蕉庵小文庫
転校の中学校の柳かな 本多草明
田の畔に名のありげなる柳かな 黙籟
田一枚植て立去る柳かな 松尾芭蕉
田一枚植ゑて立ち去る柳かな 松尾芭蕉
田一枚植ゑて立去る柳かな 芭蕉
田起しの日和の遊行柳かな 太田土男
田植機の来てゐる遊行柳かな 小林螢二「帆曳船」
渡し銭島へ五厘や糸柳 岩本尚子
土橋あり柳かくれの馬の鈴 柳 正岡子規
唐櫛や風の跡見る柳陰 鉄九 選集「板東太郎」
唐人のうしろむきたる柳かな 許六 二 月 月別句集「韻塞」
東門の外に舎栄す柳哉 柳 正岡子規
桃の背戸柳の門や二三軒 桃の花 正岡子規
桃柳かがやく川のながれかな 蝶夢
桃柳かはりありくや女の子 羽紅 俳諧撰集玉藻集
桃柳くばりありくやおんなの子 野澤羽紅女
桃柳河に臨みて誰が楼ぞ 桃の花 正岡子規
桃柳桜の中を蜆売 蜆 正岡子規
湯河原の海は水色ミモザ咲く 柳下美砂枝
豆腐屋の襟を摩でたる柳かな 幸田露伴
逃げ来しが帰りたさ浮きし柳かな 中塚一碧樓
動かねばとんと動かぬ柳哉 右漱
胴をかくし牛の尾戦ぐ柳かな 山口素堂
道の辺の葉柳おもき暑さ哉 幸田露伴 拾遺
道野辺の朽木の柳はな緒もなし 丸石 選集「板東太郎」
鍋墨を静かになでる柳かな 正岡子規
難波津の女柳の枝垂れけり 長谷川かな女
難波津はこことぞ柳青みけり 金子 晉
二の午や末社乍らも梅柳 小澤碧童 碧童句集
二ン月の雨より細きぎ柳かな ぶん村 二 月 月別句集「韻塞」
二ン月の雨より細き柳かな [ブン]村
二ン月や松にもつれて絲柳 西山泊雲 泊雲句集
二階から紙屑捨てる柳かな 会津八一
二三尺はや風うける柳哉 柳 正岡子規
日の暈や柳もえたる土堤の路 中勘助
日永きや柳見て居る黒格子 加舎白雄
日三竿桧原に耐えぬ霜の色 黒柳召波 春泥句集
日本は柳の空となる夜哉 一茶
入口のあいそになびく柳かな 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
入相の姿を見する柳かな 調和
入相を裏の田で聞く柳かな 浜田酒堂
濡るゝもの柳の糸も忌みたまヘ 林原耒井 蜩
年の市柳屋小さん歩きをり たけし
馬の尾の折々動く柳哉 柳 正岡子規
馬の尾の東になびく柳哉 柳 正岡子規
馬よけや畑の入りなる桃柳 北鯤 芭蕉庵小文庫
馬車柳小路の広さかな 柳 正岡子規
馬車柳大路のひろさ哉 柳 正岡子規
馬乗りの下くぐり行く柳かな 里倫 芭蕉庵小文庫
背戸もたぬ家の前なる柳かな 立花北枝
背戸川に泥船繋ぐ柳かな 寺田寅彦
梅が香をくだく柳の梢かな 木導 二 月 月別句集「韻塞」
梅雨晴の風に戻りし柳哉 梅雨晴 正岡子規
梅及び柳さしたる手桶かな 梅 正岡子規
梅若の夢をしづむる柳哉 柳 正岡子規
梅若の門の柳や初鼓 遠藤はつ
梅柳さぞ若衆かな女かな 松尾芭蕉
梅柳松は納めて束ねけり 伊藤観魚
萩水漬き柳水漬きて棹の邪魔 下村梅子
白堤は西湖を分くる柳かな 中瀬喜陽
白日傘柳の影を浴びながら 長谷川櫂 蓬莱
白拍子柳の門に這入りけり 柳 正岡子規
畑にて頭を使ふ柳かな 桑原三郎 晝夜
八ツ晴に柳の青うなりにけり 正右
八九間空で雨ふる柳かな 松尾芭蕉
八九間空で雨ふる柳哉 松尾芭蕉
八九間空で雨降る柳かな 松尾芭蕉
八百庄は酔ひ死にし葉柳垂れて 中塚一碧樓
伐り攻めて瘤柳なる青みけり 臼田亜浪 旅人
板塀にしたるゝ雨の柳哉 柳 正岡子規
晩鐘の姿を見する柳かな 江戸-調和 元禄百人一句
皮剥が腰かけ柳青みけり 一茶
菱採を見て柳河の菱土産 古賀青霜子
百とせにもう一眠り柳かな 千代尼
百千鳥柳少き関屋哉 百千鳥 正岡子規
百年の柳伐られし響きあり 阿部みどり女
氷柱しぬ柳の糸の細きより 臼井丁川
氷売る柳の陰の出茶屋かな 氷売る 正岡子規
病人の門迄出たる柳哉 柳 正岡子規
不忍に風のはなれぬ柳かな 柳 正岡子規
父の留守白い柳となる母や 鳴戸奈菜
父母を辞して書窓の柳かな 会津八一
武者絵にはあしらひにくき柳哉 横井也有 蘿葉集
風うける力柳は柳かな 柳 正岡子規
風ぐせのとれぬ柳となりにけり 稲畑汀子
風ながら衣に染めたき柳かな 尼-芳樹 俳諧撰集玉藻集
風のむきけふは隣の柳かな 子珊 二 月 月別句集「韻塞」
風花や遊行柳へ至る畦 宋岳人
風光る遊行柳の水田べり 阿部悦子
風吹て枝もならさぬ柳哉 柳 正岡子規
風吹ぬ夜ハもの凄き柳かな 蕪村遺稿 春
物ありと見ればゆらゆら糸柳 柳 正岡子規
文君の酒屋ありける柳哉 柳 正岡子規
片びなたえどの柳もかれにけり 一茶
片町の埃柳や油照り 内田百間
弁天のうしろ姿は柳かな 柳 正岡子規
弁天をとりまく柳桜かな 柳 正岡子規
暮れなむと啄木鳥鳴き捨ての柳かな 中村明子
暮六つや番所の柳風が吹く 寺田寅彦
萌えにじむ柳や空も近づきて 千代田葛彦
蓬莱の上にしたるゝ柳哉 蓬莱 正岡子規
帽章光らせ柳にさざめき連るる 原田種茅 径
頬白の鳴くためにある柳かな 阿部みどり女
北吹いてあさみどりなる柳かな 五十崎古郷句集
北斗祭るかむなぎこころ牡丹焚く 柳沼破籠子
本陣に幕張り廻す柳哉 柳 正岡子規
又の名はファイヤウィード柳蘭 斉藤美規「白壽」
蔓ひけば山が動きぬ葛の花 柳岡百合江
夢の朝柳は黒くなりにけり 鳴戸奈菜
夢殿を立ち出でて逢ふ瑠璃柳 大橋敦子 匂 玉
名月や水底濁す四つ手網 亀柳 俳諧撰集「藤の実」
名月や草の闇みに白き花 左柳 芭蕉庵小文庫
明月や片手に文と座頭の坊 美濃-左柳 俳諧撰集「有磯海」
鳴もせぬむし喰ひからす柳かな 立花北枝
茂るだけしげり老柳荘親し 宮下れい香
木のまたのあでやかなりし柳かな 凡兆
木の中に初東雲の柳かな 武定巨口
木蓮のちつてしまひし松柳 河野静雲 閻魔
餅花や柳はみどりはなの春 井原西鶴
餅旧苔の*かびを削れば風新柳のけづりかけ 蕪村
餅搗(もちつき)や捨湯流るゝ薄氷 晩柳 古句を観る(柴田宵曲)
門の灯や昼もそのまま糸柳 永井荷風
門の灯や昼もそのまゝ糸柳 永井荷風
門の柳猿屋木伝ふ詠(ながめ)かな 鉄九 選集「板東太郎」
門開かれしちらと見ゆ柳と囚人 シヤツと雑草 栗林一石路
門外に川あり柳二三本 柳 正岡子規
門口に十日の雨の柳かな 柳 正岡子規
門前に泥舟つなぐ柳哉 寺田寅彦
夜が明けた川添柳門柳 寺田寅彦
夜な夜なの辻君かくす柳哉 柳 正岡子規
夜をかけて青きにかへる柳哉 宗居
野に山に白雲ゆくよ煙柳忌 飯田蛇笏 山廬集
野の牛を撫でゝ眠らす柳哉 柳 正岡子規
弥陀にすがる姿を風の柳かな 松岡青蘿
約束や行く手行く手の古柳 立川京子
柳あり舟待つ牛の二三匹 柳 正岡子規
柳あり桃あり家の前後 柳 正岡子規
柳あればその水汲まん道明寺 成 美
柳がちに花がちに見ゆる村一つ 柳 正岡子規
柳がちに花がちに村はるかなり 柳 正岡子規
柳かぶりて柳祭の卓にあり 長谷川かな女 雨 月
柳かぶりて柳祭りの卓にあり 長谷川かな女
柳からもゝんぐわとて出る子哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
柳から残らず動く氷かな 千代尼
柳から始まつてゐる春の風 鈴木鷹夫 千年
柳から出て行舟の早さかな 井上井月
柳から酔漢かほを出しけり 幸田露伴 谷中集
柳から日のくれかゝる野路かな 蕪村遺稿 春
柳つきて野に入る川のしどけなし 尾崎紅葉
柳とは酒屋が前のものならし 正岡子規
柳なく花なき里の西行忌 西行忌 正岡子規
柳などあるらんか夜を着きし宿 中塚一碧樓
柳には柳の木こそ添ひよけれ 柳 正岡子規
柳にもかへり花あり初しぐれ 羅雲
柳にもやどり木は有柳下恵 蕪村遺稿 春
柳にも我はづかしや二千石 柳 正岡子規
柳にも雫みじかしはつしぐれ 千代尼
柳のび~日新たなり省亭忌 中島月笠 月笠句集
柳の井畑打つ人の汲みてけり 菅原師竹
柳の下に物ありと思ふ朧かな 寺田寅彦
柳の花咲いて関東総ぐもり 京極杜藻
柳の灯の近江へ通ふ夜涼かな 大嶽青児
柳の道靄あらはるる未明かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
柳の葉振舞水にうつりけり 長谷川かな女 雨 月
柳はや川面に遊ぶ高瀬かな 斉藤貞温
柳は緑ベレ紅と申すべし 三好達治 路上百句
柳まけ去年の男のとつた髪 遊女-唐土 俳諧撰集玉藻集
柳まだ青さ残せり社会鍋 原田青児
柳まつりの雨這ふものは河童かな 長谷川かな女 雨 月
柳まつり銀座はいつも乾いた街 小坂順子
柳みんよそに夕立あまり風 炭 太祇 太祇句選後篇
柳よりやはらかきもの見当らず 後藤比奈夫
柳より降りしほうたる草をくゞる 軽部烏帽子 [しどみ]の花
柳より踊櫓の灯ともれり 長谷川かな女 雨 月
柳わけて居酒屋の門はひりけり 柳 正岡子規
柳蔭われはをみなとなりしはや 永田耕衣 驢鳴集
柳蔭出舟の鈴を鳴らしけり 栄昌
柳遠く人家の煙搖曳す 柳 正岡子規
柳屋に涼しき風の吹きにけり 穴井太 原郷樹林
柳屋の紅買ひに入る燕かな 野村喜舟 小石川
柳花村扇の絵なるありにけり 尾崎迷堂 孤輪
柳空ラよりす地に土筆かな 尾崎迷堂 孤輪
柳見てまはれば庵の住み易き 柳 正岡子規
柳見て物思はゞやと思ふかな 柳 正岡子規
柳見に結句あらしを盛り哉 井原西鶴
柳祭衿ゑん早も灯りけり 小池一覚
柳祭枝垂るゝ色に翳もなし 大矢東篁
柳桜都ぞ手織の更衣 才丸 選集「板東太郎」
柳桜柳桜と栽ゑにけり 柳 正岡子規
柳樹屯紅葉する木もなかりけり 紅葉 正岡子規
柳植ゑて善き名を彫りし小橋哉 柳 正岡子規
柳植ゑ終り桜を植ゑてをり 後藤夜半
柳心太にしたゝるは面白し西行が歌意 尾崎紅葉
柳吹き萩に移りし風を見る 高木晴子 花 季
柳垂れて海を向いたる借家あらん
柳垂れ茨の柵の潰えをり 京極杞陽 くくたち上巻
柳青うなびく家並煤けたり 金尾梅の門 古志の歌
柳青しあひまあひまの桃の花 桃の花 正岡子規
柳青し紅燈七十二青楼 青柳 正岡子規
柳青む湯元へ近き土産茶屋 桝田国市
柳青めり水脈しづまれば青が去り 加藤楸邨
柳折つて一鞭あてぬ東門外 寺田寅彦
柳折つて巣くふ鳥あり網の中 比叡 野村泊月
柳川の柳のみどり松のみどり 高濱年尾 年尾句集
柳挿すやしばし舟押して白腕 飯田蛇笏 山廬集
柳挿すやそこら離れぬ鷺一羽 西山泊雲
柳多き花多き村にいでにけり 柳 正岡子規
柳濃き泥濘お日を待つばかり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
柳濃くランチタイムの人の流れ 原田種茅 径
柳伐って翡翠終に来ずなりぬ 正岡 子規
柳伐テ川セミ魚ヲ取ラズナリヌ 翡翠 正岡子規
柳伐テ川セミ遂ニ来ズナリヌ 翡翠 正岡子規
柳萌ゆ絵を抜け出でて水流れ 宮津昭彦
柳北が寄附せし土手の桜かな 桜 正岡子規
柳蘭揺れゐて揃ふことのなし 村上岳人(若葉)
柳緑せり飽食に居る君か 中塚一碧楼「はかぐら」
幽霊の出るといふなる柳かな 柳 正岡子規
遊行柳かたへに大き草刈籠 茂里正治
夕煙柳かくれの小寺かな 柳 正岡子規
夕河岸の柳屋は大戸おろしたり 大場白水郎「白水郎句集」
夕河岸の柳屋は大戸下ろしたり 大場白水郎
夕空や雪野に黒き楊柳 永井龍男
夕汐や柳がくれに魚わかつ 加舎白雄
夕風の月なぶりゐる柳哉 柳 正岡子規
夕風や柳吹きこむ窓の内 柳 正岡子規
夕立や海を涼しく飛ぶいなご 亀柳 俳諧撰集「藤の実」
揚貴妃の捨沓かけん柳哉 北枝
楊貴妃の捨て沓かけん柳かな 立花北枝
楊弓に人の集まる柳かな 柳 正岡子規
葉柳と南瓜ばかりの小島かな 比叡 野村泊月
葉柳にふられて鳴くか蝉の声 蝉 正岡子規
葉柳に引張れば月大いなる 大野洒竹
葉柳に花火の空のひろき昼 長谷川かな女 牡 丹
葉柳に牛をつないで眠る人 寺田寅彦
葉柳に鷺の火を曳く雨夜かな 紫暁「松のそなた」
葉柳に山濃く近し京の町 高橋淡路女 梶の葉
葉柳に舟おさへ乗る女達 阿部みどり女
葉柳に舟を出でたる裸かな 佐藤紅緑
葉柳に水撒車片よせぬ 葉柳 正岡子規
葉柳に日の力なきゆふべかな 葉柳 正岡子規
葉柳に埃をかぶる車上哉 葉柳 正岡子規
葉柳に箍竹の地をのたうてり 富田木歩
葉柳のこの夕や児と疎み居る 中塚一碧楼「はかぐら」
葉柳のすこしさむくて刃物店 関戸靖子
葉柳のたわゝにぬきし魚や何 尾崎紅葉
葉柳の雨吹きつくる板戸哉 倉田萩郎
葉柳の下に積みたる丸木かな 赤木格堂
葉柳の五本はあまる庵哉 葉柳 正岡子規
葉柳の光の鎖吹き上る 京極杞陽 くくたち下巻
葉柳の寺町過ぐる雨夜かな 白雄
葉柳の寺町過る雨夜かな 加舎白雄
葉柳の水の日ぐれを驢馬追へる 臼田亜浪 旅人
葉柳の風は中から起りけり 葉柳 正岡子規
葉柳の揚揚として君来る 会津八一
葉柳やまた留りてうつらうつら 会津八一
葉柳やもつれてのこる三日の月 葉柳 正岡子規
葉柳や影おつとりと殿の倉 下村ひろし 西陲集
葉柳や硯をあらふ水浅し 会津八一
葉柳や四角四面のビルばかり 近風昧
葉柳や舟に洗濯物乾く 林 雅樹
葉柳や裾不揃ひのニューファッシヨン 佐藤倭子
葉柳や星飛ぶ五千三百里 会津八一
葉柳や折りふし村の鏡見ゆ 岡井省二
葉柳や島田の宿を水奔る 出島与士夫
葉柳や肉売る軒の色ガラス 寺田寅彦
葉柳や病の窓の夕ながめ 葉柳 正岡子規
葉柳や病気の窓に夕ながめ 葉柳 正岡子規
葉柳や風はらひあへずほこりつむ 葉柳 正岡子規
葉柳や盥のきぬの浅みどり 泉鏡花
葉柳をつかまへかねし小舟哉 葉柳 正岡子規
葉柳をふつては見たる涼み哉 納涼 正岡子規
来しわれに柳の青む蒙古井戸 坂根白風子 『彩雲』
洛陽の池をとりまく柳哉 柳 正岡子規
裏店にあり来りたる柳哉 柳 正岡子規
裏門にかぶさる雨の柳哉 柳 正岡子規
立琴にしだるゝ床の柳哉 柳 正岡子規
流あれば故郷めけよと柳挿す 佐藤念腹
留守もよし今人倫に山の神 柳風 選集「板東太郎」
旅僧にも行きずり帰依や駅柳 喜谷六花
旅立のあとに淋しき柳哉 柳 正岡子規
旅籠屋のよき灯に泊る柳かな 小杉余子 余子句選
涼しさに身の毛もよだつ柳かな 涼し 正岡子規
涼しさの身の毛もよだつ柳かな 涼し 正岡子規
涼しさや鍛冶屋の前の柳蔭 涼し 正岡子規
涼しさや柳につなぐ裸馬 正岡子規
涼しさや柳のなかの夕ともし 涼し 正岡子規
良寛の書や糸柳風のまま 濱田昭三
恋々として古都に住みたき柳かな 大谷句佛 我は我
恋々として柳遠のく舟路かな 几董
漣や太公望に柳揺れ 清水永二郎
露けしと柳鰈を焼きてをる 清水径子
老い易くはた老い難き柳哉 正岡子規
老そめてことにめでたき柳かな 高井几董
老柳に精あり句碑は一片の石
老柳の立ちはだかれる日暮かな 鳴戸奈菜
藁屋根の上にしだるゝ柳かな 柳 正岡子規
兀山の麓に青き柳かな 青柳 正岡子規
凩のあたりどころやこぶ柳 内藤丈草
凩の吹けども吹けども柳かな 凩 正岡子規
囀りの横町につゞく柳哉 囀 正岡子規
嬌柳やうやうにして静りし 阿波野青畝
抛られし纜うけし柳かな 西山泊雲 泊雲句集
朧とは桜の中の柳かな 正岡子規
朧夜に鼠やつたふ藤の棚 亀柳 俳諧撰集「藤の実」
檐の雨柳の雨の行燈哉 寺田寅彦
渺々と緑つらなる柳哉 柳 正岡子規
渤海の平らにつづく柳かな 正岡子規
渤海の平らにつゞく柳かな 柳 正岡子規
禮云て出れば柳は青かりき 井上井月
簀屏風に柳垂れたる夜店かな 増田龍雨 龍雨句集
絲柳まだ遠景を透かしをり 高浜年尾
翡翠ヲ隠ス柳ノ茂リカナ 茂 正岡子規
翡翆や柳百歩の夕日影 加藤春波
蜀魂待つや柳の小くらがり 杉風
蝙蝠の軒をはなれぬ柳かな 寺田寅彦
蝙蝠や電信柱河岸柳 寺田寅彦
賤か家の垣根うつくし桃柳 桃の花 正岡子規
霍乱やすこし舁かれて柳蔭 小杉余子 余子句選
霽れぎはの風が出て来し柳かな 風生
鴉鳴く明礼宮の柳かな 柳 正岡子規
鶯や竹へも梅へも柳へも 鶯 正岡子規
鶯や梅へも竹へも柳へも 鶯 正岡子規
鶯や柳のうしろ藪のまへ 松尾芭蕉
鶯横町塀に梅なく柳なし 鶯 正岡子規

by 575fudemakase | 2018-03-20 16:48 | 春の季語 | Trackback | Comments(0)


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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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