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カヌー の俳句

カヌー の俳句
カヌー

あめんぼの親玉カヌー江をすべる 高澤良一 素抱
かかへくるカヌーの丈とすれちがふ 藤本美和子
カヌーこぐ自然学校力尽き 高田寿子
カヌーの櫂あやふしあやふし淀小春 山本松枝
カヌー下ろす水の蒼さも春浅し 星野恒彦
カヌー皆雲の峯より帰りくる 篠原鳳作
カヌー漕ぐほとりや月の波つどふ 千代田葛彦 旅人木
カヌー漕ぐ鼻の日焼けて夫の貌 伊藤いと子
もろこしの大地カヌーの目の高さ 新宮 譲
ゑのこ草分けてカヌーを担ぎ出す 鹿野佳子
鮎釣やカヌーの早瀬遠からず 瀧 春一
卯の花の匂ふ多摩川カヌー来る 笠井順一
夏の川カヌーの五色揃ひけり 大谷ひろし(屋根)
薫風やカヌーたやすく向きを替へ 山本八重子
現れて漕ぎゆくカヌー月涼し 河合いづみ
紅梅や濡れたるカヌー横抱きに 岩淵喜代子 硝子の仲間
紅葉川聞けばカヌーで下るとよ 高澤良一 石鏡
初心者のカヌー教室紅葉晴れ 高澤良一 石鏡
暑休家族の幸福同形 カヌー反る 伊丹公子 アーギライト
上流へかつぐカヌーや蔦紅葉 波多野 緑
男女画然と男女たり細きカヌー 和田悟朗
蝶々とゆきかひこげるカヌーかな 篠原鳳作
東風の瀬のカヌーもわれもさかのぼる 皆吉司
博物館で触れたカヌーの 木の温度 伊丹公子 アーギライト
蘆の角踏まれ乱れしカヌー駅 高岡 千歌
カヌー 補遺

カヌーに帆 心中になお残り焔 伊丹三樹彦
カヌー負ひし濡れ身走れり梅林 能村登四郎
渓の梅覆りてはカヌー浮く 能村登四郎
散りかつ浮く ブーゲンビリヤは 帆のカヌー 伊丹三樹彦
島の子の泳げる中をカヌー漕ぐ 清崎敏郎
以上

by 575fudemakase | 2018-08-29 08:35 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

虫時雨 の俳句

虫時雨 の俳句

虫時雨

アイロンの焦げを作りし虫時雨 高橋和子
いま褪せし夕焼の門の虫しぐれ 秋櫻子
うれしくて何か悲しや虫しぐれ 星野立子
けふはけふの山川をゆく虫しぐれ 飴山實(1926-2000)
しんしんと夜更けの厩舎虫時雨 平田恵
その奥の闇の濃淡虫時雨 成井 侃
その中に噛むこゑのあり虫時雨 中拓夫
なつかしさ戸惑に湧き虫しぐれ 木津柳芽 白鷺抄
ばらばらに鳴いていつしか虫時雨 大塚省子
まだ夢に戻れるくらさ虫時雨 浅井多紀
ゆきひらの耳なほ熱き虫時雨 木田千女
闇といふ大きな景や虫時雨 山田弘子
闇深き京の御苑や虫時雨 岡本明美
一身を耳にして聞く虫時雨 成合よしひろ
一村の夜の重たき虫しぐれ 雨宮抱星
一匹が心に入りて虫時雨 小檜山繁子
飲食のものが遺品や虫しぐれ 加藤三七子
駅四五歩出ればまつくら虫時雨 石井とし夫
遠き電話切れて一人の虫しぐれ 青木 愛子
奥能登に来て星しぐれ虫時雨 沢木欣一 往還
屋上に上れば天も虫時雨 塚越杜尚
音のみの世に生きる身に虫時雨 中西一考
音階の一とはね上り虫時雨 上野泰 佐介
音読の子に虫時雨窓の下 福田蓼汀 山火
久々に流す父の背虫時雨 山田弘子 こぶし坂
金銀の虫籠の外の虫時雨 小松原みや子
月あらば十日頃らし虫時雨 森田峠 避暑散歩
月育つ一夜一夜の虫時雨 深見けん二 日月
玄室の暗きに入りて虫時雨 塩川雄三
御所偲びまつるいづこも虫時雨 殿村菟絲子
昂ぶれば悪女にならん虫時雨 真嶋つぎえ
皿一つ取りて分けあふ虫しぐれ 橋本榮治 麦生
山小屋の他に灯のなし虫時雨 深見けん二 日月
子の家にほどよく離れ虫しぐれ 太宰和子
志野茶碗手にすつぽりと虫しぐれ 近藤一鴻
雫落つ音木移りす森の虫時雨 安斎櫻[カイ]子
松の幹簷にうかべる虫しぐれ 金尾梅の門 古志の歌
松山に風湧く昼の虫しぐれ 高井北杜
松本城闇に形して虫しぐれ 西村公鳳
沼空をつらぬく銀河虫時雨 石井とし夫
消灯は孤独の一つ虫しぐれ 桂樟蹊子
衝立のころびさうなる虫時雨 真山 尹
鉦叩虫時雨には加はらず 冨士谷清也
上棟の客みな去りて虫しぐれ 萩原きしの
城持つがゆゑの貧しさ虫時雨 成瀬正とし 星月夜
寝惜みて茂吉の郷の虫しぐれ 桂樟蹊子
森暗く入るべくもなし虫時雨 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
薪能待つ間の闇の虫時雨 村上辰良
人間をいつも囲んで虫しぐれ 竹本健司
水飲んで轆轤にもどる虫しぐれ 渡辺昭
水注いで甕の深さや虫時雨 永井龍男
睡るまで身をつつみをり虫時雨 朝倉 和江
生きて知るソ連崩壊虫しぐれ 三橋敏雄
青松虫時雨新宿三丁目 片山由美子
先の生へ血は博ちくるる虫時雨 齋藤玄 『狩眼』
喪の家に灯ばかり多し虫時雨 高木太舵子
喪の家の人の出入に虫時雨 成瀬正とし 星月夜
大鍋の煮ゆるを囲み虫時雨 宮武寒々 朱卓
箪筍のなか晴着眠れり虫時雨 藤岡筑邨
虫しぐれして人類を森とせり 沢井山陽
虫しぐれして不逞なる影法主 中川宋淵
虫しぐれチエロの全身がらんどう 吉原文音
虫しぐれ原つぱに寝てゐるやうな 清水基吉
虫しぐれ吾子亡き家にめざめたり 予志
虫しぐれ冴ゆとしづかに遺書は言へり 瀧春一 菜園
虫しぐれ死の空間は卑弥呼めく 河野多希女
虫しぐれ手術待つベッド初夜に似る 岩田昌寿 地の塩
虫しぐれ声なき虫は灯を巡り 藤原如水
虫しぐれ千灯の炎は低かりき 梶山千鶴子
虫しぐれ灯も谷ごめの村ひとつ 鷲谷七菜子 花寂び
虫しぐれ燈も谷ごめの村ひとつ 鷲谷七菜子 花寂び
虫しぐれ燈も谷籠めの村ひとつ 七菜子
虫しぐれ童話の虫はチェロを弾き 水木 鈴子
虫時雨 たつぷりと明日あるごとし 守田椰子夫
虫時雨いのち澄みゆく思ひあり 佐藤美恵子
虫時雨わが哭くこゑもその中に 鷹女
虫時雨闇のふくらみくるごとし 辰巳奈優美
虫時雨闇を篩にかけながら 佐藤美恵子
虫時雨起き出てしばし坐りゐる 市川春子
虫時雨銀河いよ~撓んだり たかし
虫時雨銀河いよいよ撓んだり 松本たかし
虫時雨古湯を捨つる真夜の湖 宮武寒々 朱卓
虫時雨妻の寝顔のつやつやと 高澤良一 鳩信
虫時雨山住にして奈落めく 山田弘子
虫時雨寝て中天へ掲げらる 小檜山繁子
虫時雨草の戸浮かんばかりなり 沢木欣一 往還
虫時雨足音もなく夫帰る 小玉真佐子
虫時雨陶師も酒座に招ばれけり 内藤吐天 鳴海抄
虫時雨猫をつかめばあたたかき 岸本 尚毅
虫時雨浜近ければ潮騒も 滝川如人
虫時雨夫に涙をぬぐはるる 徳田千鶴子
虫時雨眠りて今日に運ばれ来 小檜山繁子
虫時雨夜汽車煌々野をわたり 堀口星眠 営巣期
虫時雨老杉暗き甘露の井 高橋保平
虫時雨恙の虫を雑(まじ)へけり 相生垣瓜人
虫時雨恙の虫を雑へけり 瓜人
提灯に尾いて言なし虫時雨 楠目橙黄子 橙圃
投げやりにして眠る夜の虫しぐれ 藤平寂信
道一つ耳は二つの虫時雨 林 翔
二人家族一人二階に虫しぐれ 毛塚静枝
入れ墨の竜を背に病む虫しぐれ 北見さとる
入院の夜は旅に似て虫しぐれ 谷口ふさ子
膝に来し仔犬の熱く虫しぐれ 堀口星眠 火山灰の道
夫と娘の黄泉路は遥か虫時雨 土居房江
父通り過ぎたるこの世虫時雨 小檜山繁子
武蔵野の夜は真平ら虫時雨 佐藤母杖 『一管の笛』
文末に不悉としるす虫しぐれ 三田きえ子
壁あればすべて書を積み虫時雨 宮坂静生 雹
鞭のこと話しませうか虫時雨 櫂未知子 貴族
枕辺に櫛ならべ寝る虫しぐれ 宮武寒々 朱卓
名刀ををさめし蔵に虫時雨 京極杞陽 くくたち下巻
明々と産屋灯れり虫時雨 石井とし夫
門灯は門を照らして虫時雨 片山由美子 風待月
野菜種さらさら乾き虫時雨 殿村莵絲子 花 季
遊ぶ子の声消えてより虫時雨 林 瑠美
瑠璃光仏閻浮の闇は虫しぐれ 加藤楸邨
鈴虫は鳴きやすむなり虫時雨 たかし
恋が窪駅出て十歩虫しぐれ 鈴木しげを
連れ立ちて話もなしや虫時雨 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
廊下まで破れかぶれの虫時雨 櫂未知子 蒙古斑
老ボーイのレノン語れば虫しぐれ 橋本榮治 麦生

虫時雨 補遺

いつか耳いつしか心虫時雨 稲畑汀子
いま褪せし夕焼の門の虫しぐれ 水原秋櫻子 古鏡
クルス墓 朽ち 白昼も虫時雨 伊丹三樹彦
けふはけふの山川をゆく虫しぐれ 飴山實 花浴び
この森や塒騒ぎへ虫時雨 中村草田男
しろがねの散らばる闇や虫しぐれ 鷲谷七菜子 天鼓
一人居の素手に素足に虫しぐれ 鷹羽狩行
右ひだりなきもの履きて虫しぐれ 鷹羽狩行
雨音をはじきて伊勢の虫しぐれ(伊勢神宮観月会三句) 鷹羽狩行
音階の一とはね上り虫時雨 上野泰 佐介
音読の子に虫時雨窓の下 福田蓼汀 山火
家までの灯のなき道の虫しぐれ 鷹羽狩行
妻いつも湯浴しんがり虫時雨 高田風人子
自転車の灯のゆきなやむ虫しぐれ 鷹羽狩行
式台は一枚板や虫しぐれ 阿波野青畝
松虫は畑へだつなり虫時雨 水原秋櫻子 殉教
身ひとつの旅に余りし虫しぐれ 岡本眸
接心のひとときにあり虫時雨 鷲谷七菜子 一盞
先の生へ血は摶ちくるる虫時雨 斎藤玄 狩眼
苔むすや木虫山露虫しぐれ 高屋窓秋
遅く着く人虫しぐれ乱すなし 大野林火 潺潺集 昭和四十一年
虫しぐれききわけ待つや簗料理 水原秋櫻子 蘆雁
虫しぐれだんまり虫もありぬべし 能村登四郎
虫しぐれほとけの御址ゆたか揃ふ 大野林火 雪華 昭和三十五年
虫しぐれ雲中菩薩は堂囲む 阿波野青畝
虫しぐれ影うごき吾動くなり 岡本眸
虫しぐれ高架の下も住まはるゝ 日野草城
虫しぐれ燈も谷ごめの村ひとつ 鷲谷七菜子 花寂び
虫しぐれ膀胱しぼみつくしたり 日野草城
虫時雨いで湯をのみて養ふ胃 上村占魚
虫時雨わきて今宵は親恋し 日野草城
虫時雨一切経の降るごとし 鷲谷七菜子 一盞
虫時雨花屋小さく寝まりけり 岡本眸
虫時雨吾子泣いて解く肱枕 高田風人子
虫時雨諸山の護符の影ならぶ 水原秋櫻子 餘生
虫時雨父耳遠く肱枕 高田風人子
虫時雨明くれば湖水平らなり 古郷
虫時雨恙の虫を雜へけり 相生垣瓜人 明治草
長城の 北も 南も 虫時雨 伊丹三樹彦
灯とぼしき駅の親しさ虫しぐれ 鷹羽狩行
灯の尽きし紙燭をかこみ虫時雨 水原秋櫻子 緑雲
日本のどこも暮れしや虫時雨 高田風人子
仏壇の前にうたた寝虫時雨 高田風人子
別棟は蔵座敷なり虫しぐれ 大野林火 月魄集 昭和五十六年
亡ぶ音と思へず昼も虫しぐれ鷹羽狩行
忘れ得ぬ日や宵早き虫時雨 水原秋櫻子 餘生
夜に入りて草紅葉より虫しぐれ 森澄雄
瑠璃光仏閻浮(えんぶ)の闇は虫しぐれ 加藤秋邨

以上




by 575fudemakase | 2018-08-23 18:32 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

珈琲 の俳句

珈琲 の俳句

珈琲

あたたかしのむコーヒーも濃く甘し 京極杞陽 くくたち上巻
アマリリス炎のいろ珈琲香だちゐて 柴田白葉女 『月の笛』
イーハトーブの雨つぶでコーヒーをどうぞ 前田保子
カウベルに迎ふ夜霧のコーヒー店 川村紫陽
カフェの灯に人いて誰もいぬ星夜 五島高資
きこく垣に春の砂塵やコーヒー欲し 細見綾子
コーヒーとでこぽん一つゆめひとつ 臼井文法
コーヒーに春の焚火の灰まじる 夏井いつき
コーヒーのミルクの渦や今朝の冬 山田節子
コーヒーの一杯分を時雨けり 岩垣子鹿
コーヒーの強き香りや秋時雨 藤山波紋
コーヒーの香を枯山に洩らし住む 津田清子 二人称
コーヒーの粉の浮きたる義士祭 大石雄鬼
コーヒーはブラックがよし巴里祭 森 礼意三
コーヒーはブラックにする寅彦忌 森 武司
コーヒーを挽き薫らすも事始 辻田克巳
コーヒーを揺らす朝の春の海 岩淵喜代子 朝の椅子
コーヒー代もなくなつた霧の夜である 下山英太郎
コーヒー店永遠に在り秋の雨 永田耕衣
コーヒー碗ぬくめて淹れる雁の頃 石川文子
セピアの写真泛く 鮭上る日の珈琲店 伊丹公子 アーギライト
セロ弾きゴーシュ居そうな 木洩れ日珈琲館 中田敏樹
つゞく動乱コーヒーくろく沸騰する 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
デザートに一口珈琲日短か 辻田克巳
バード・パークの門番 珈琲色で 午前 伊丹公子 ドリアンの棘
ぷりぷりとコーヒー色の裸かな 今井千鶴子
ボサノバの流るるカフェ冬木立 千秋岳人
マタドールレッド激しくカフェの薔薇 高澤良一 素抱
まだ冷しコーヒー所望したきかな 稲畑汀子
みぞるゝや弔旗コーヒー店をかくし 岸風三楼 往来
わがための珈琲濃くす夜の落葉 福永耕二
安房二月コーヒー店も花あふれ 新井 英子
一杯のコーヒーの銭さくら草 細見綾子
一盃のコーヒーの銭さくら草 細見綾子 黄 炎
一椀の珈琲のぬくみ春くるゝ 『定本石橋秀野句文集』
宇宙さみし一月のコーヒー店 酒井 弘司
嘘も一緒に飲み込んだ短日の苦いコーヒー 熊谷従子
黄砂ふる朝より二杯目のコーヒー 足柄史子
黄落や港に多き珈琲館 古賀まり子 緑の野以後
黄落をブレンド けさの珈琲に 中田敏樹
夏炉なき冷や珈琲匂ひ来る 殿村莵絲子 花 季
花は珈琲にのみ散る 筑紫磐井 花鳥諷詠
花杏珈琲を挽く朝の刻 岩城久治
荷風忌や焼き立てパンと珈琲と 芦川まり
蝦蛄仙人掌咲く珈琲の香の中に 池田秀水
皆出でよ食後コーヒー秋芝に 嶋田摩耶子
角砂糖中にコーヒー亀鳴いて 石川桂郎 高蘆
緩やかな珈琲の渦春の海 倉田健一
缶コーヒー膝にはさんで山眠る 津田このみ
缶珈琲ごとりと夏の闇に出る 辻美奈子
缶珈琲温石として懐に 小谷ひろゆき
丸善に秋思の木椅子 濃い珈琲 大西やすし
顔見世やコーヒーに八ツ橋そえらるる 土田桂子
錦木紅葉コーヒー店内みんな愉悦 中北綾子
銀杏散る我が珈琲にも一つ落ちよ 仙田洋子 橋のあなたに
空々と男抱き込む珈琲浄土 攝津幸彦 鹿々集
敬老の日のコーヒーのアメリカン 村本畔秀
敬老の日や珈琲は濃くひとり 寺沢はる子
黒きコーヒー夏の夜何もはじまらぬ 野澤節子
今朝秋の出勤途上の珈琲店 高澤良一 暮津
三伏の珈琲好きも病むうちや 石川桂郎 高蘆
篠懸の花咲く下に珈琲店(カツフエ)かな 芥川龍之介
蛇穴を出てコーヒーを買いに行く 村上哲史
若水に珈琲の香の膨れくる 高岡すみ子
手渡しにくる缶コーヒー大花野 東原順子
出没の珈琲を猪と思いけり 永田耕衣 人生
春の風邪街にコーヒー黒く沸く 猿橋統流子
春の夜の明ける愉しみ珈琲の琥珀を飲みて胃をなだめたり 西村尚
春はあけぼの珈琲は炭火焼 田沢公登
春深く挽く珈琲はキリマンジャ口 長谷川かな女 花寂び
初秋の珈琲にがく少女期終る 内藤吐天 鳴海抄
初富士に珈琲さゝぐボーイあり 長谷川かな女 雨 月
女給笑ひ皿鳴りコーヒー湯気立てゝ 高浜虚子
寝ござ干す峠の茶屋の罐コーヒー 村本畔秀
新樹光人待つ朝のカフェ・テラス 棚橋活明
新涼の壁に珈琲分布地図 岩崎照子
新涼や英語の中の朝の珈琲 鈴木鷹夫 千年
真白きテーブルクロス冷し珈琲 岡松 あいこ
晴れし香のコーヒー遠山ほど霞み 野澤節子 黄 炎
清明やざわつく立飲み珈琲店 能城檀
青春の苦き珈琲ゼリー食む 成田郁子
雪の声珈琲は重厚紅茶は軽快 日野草城
雪嶺に目を離し得ず珈琲のむ 岩崎照子
雪嶺は 遠い切り絵で 珈琲沸いた 伊丹公子 アーギライト
雪嶺やコーヒー餓鬼のわが乾き 秋元不死男
窓高き珈琲倉庫蚊喰鳥 木村 都由子
送別の珈琲秋の星うつし 長谷川かな女 牡 丹
霜害や起伏かなしき珈琲園 佐藤念腹
待つためのコーヒー秋はきまぐれに 山本つぼみ
大学に来て踏む落葉コーヒー欲る 中村草田男
鷹鳩と化すコーヒーにミルクの渦 吉田ひろし
暖炉の火燃ゆる音するコーヒー店 林真砂江
地圖をさし珈琲実る木ををしへけり 室生犀星 犀星発句集
朝の珈琲濃くて父の日はじまりぬ 中村明子
朝刊とパンとコーヒー風五月 浅野右橘
鳥雲にぺこんとへこむコーヒー缶 穴井太 原郷樹林
通りすがりに珈琲にほふ雪の町 つじ加代子
天高くなる珈琲がうまくなる 蔦三郎
冬のコーヒー一匙分の忘却や 寺山修司 『 わが高校時代の犯罪』
冬匂ふ珈琲幸もこの程度に 山口誓子 和服
冬立ちにけり町角の珈琲の香 伊丹三樹彦 人中
燈火親しコーヒーの香にひたりつつ 間地みよ子
二杯目の珈琲苦し夜の落葉 橋本榮治 逆旅
熱きコーヒー書斎派の暑気払ひ 辻田克巳
馬来珈琲の30セント 混血同志 伊丹公子 ドリアンの棘
敗色濃し珈琲を飲む椅子探す 林田紀音夫
梅の村にて珈琲をちびちびと 如月真菜
煤逃やコーヒー店に僧の居て 大橋正子
買物の女も駄馬や花珈琲 目黒はるえ
白ら息はそのまま夜霧コーヒー欲る 町山直由
白鳥見る悪魔の濃さの珈琲喫み 鈴木栄子
犯人の飲み掛けアイス缶コーヒー 守屋明俊
飛雪の町 さまよう 朝から珈琲飢餓 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 磁針彷徨
百合の壺匂ふ真下に濃き珈琲 吉屋信子
氷原に珈琲こぼす なにの標 伊丹公子 アーギライト
封を切るコーヒーの香や夏館 磯崎美枝
片手もてコーヒーを挽く原敬忌 伊藤紫水
母と来て噴水見ゆる珈琲館 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
菩提樹下誘はれて涼し珈琲どき 桂樟蹊子
棒砂糖珈琲に噛む四迷の忌 下村ひろし 西陲集
本能寺変冷し珈琲に余燼 長谷川かな女
夢の世や珈琲館はいまも雪 摂津よしこ
木がらしは外にはげしも夜ふけて寒くもの食ふ珈琲店のなかに 中村憲吉
遊船に移りゆく景コーヒー甘し 吉良比呂武
郵便秤に載せ朝涼の珈琲豆 鈴木栄子
冷し珈琲飲みて一と日の句読点 三輪温子(雨月)
鈴懸の花咲く下に珈琲店かな 芥川龍之介
炬燵今日なき珈琲の熱さかな 久米三汀 返り花
珈琲がすこしすつぱく花曇 小島千架子
珈琲と 鴎と 同性愛のふたり 伊丹公子 アーギライト
珈琲とポインセチアに待たさるる 今井千鶴子
珈琲と桜のムース四月寒 島山允子
珈琲にきんつばが合ふ漱石忌 本山卓日子
珈琲に蚊のこゑの来る斜陽館 鈴木鷹夫 風の祭
珈琲に酸ほのかなるみどりの日 辻美奈子
珈琲に浮かべし氷音涼し 長谷川櫂 蓬莱
珈琲のお代り自由春時雨 桐村日奈子
珈琲のかをり直進花わさび 石寒太 翔
珈琲のむ粘つく鳥のはばたき飲む 高野ムツオ 陽炎の家
珈琲のモカ挽く香り今朝の秋 奥村 八一
珈琲の渦を見てゐる寅彦忌 有馬朗人
珈琲の苦味かぐはし寅彦忌 牧野寥々
珈琲の香にあふ舗道秋の雨 片山桃史 北方兵團
珈琲の香にいまは飢ゆ浜日傘 横山白虹
珈琲の匙ひんやりと初紅葉 務中昌己
珈琲の酸味卯の花腐しかな 永方裕子
珈琲の水汲みにゆくお花畑 山田春生
珈琲の朝の湯気みな春待てる 原子公平
珈琲の豆を碾く音夜の秋 長谷川櫂 蓬莱
珈琲の豆挽く音の冴返る 伊東ゆみ子
珈琲の味も香もなく春の風邪 植木千鶴子
珈琲の爐紙に泡立つ余寒かな 葛西省子
珈琲はブラツククリスマスローズ 星野麥丘人
珈琲はブラック生き過ぎたかも知れぬ 立岩利夫
珈琲は手の中の沼秋ぐもり 皆吉司
珈琲や夏のゆふぐれながかりき 日野草城
珈琲や其角が露を探し居る 永田耕衣 葱室
珈琲や葱を思いて熱かりき 永田耕衣 物質
珈琲や葱を想いて熱かりき 永田耕衣 物質
珈琲や夜に入るまでの蝮草 桂信子
珈琲よき家居を恋へりスキー行 森田峠
珈琲を飲むとき冬の日は斜め 今井杏太郎
珈琲を喫せりロッヂ「五千尺」 高澤良一 宿好
珈琲を書斎に沸かし寅彦忌 岩崎健一
珈琲を入れてあら兎も茶色 あざ蓉子
珈琲を挽く香の厨弥生尽 大野雑草子
珈琲屋劇画の多喜二起ち上がれ 阿部娘子
珈琲屋出て珈琲屋梅雨深し 辻桃子
珈琲館船の汽笛が梅雨誘ふ 河野南畦 湖の森
珈琲館鶺鴒の巣のあるらしき 岡崎筍林
珈琲秋思の 銀匙 重くも軽くもなく 伊丹三樹彦 一存在
珈琲店河鹿鳴く瀬の風入れて 手島 靖一
珈琲熱し白山茶花の散りはじめ 増沢和子
珈琲濃しあさがほの紺けふ多く 橋本多佳子
珈琲濃しけふ落第の少女子に 石田波郷
珈琲濃し木枯めぐる六本木 柴田白葉女
珈琲啜るウィーンは遠しライラック 今泉貞鳳
珈琲碾くかたへにくろし烏猫 田中冬二 俳句拾遺
鄙びつゝわが娘育つや花珈琲 佐藤念腹
鱶を飼うコーヒーいつも胃に溜まり 八木三日女 落葉期
鵙聞けばコーヒーの香の昔かな 斎藤空華 空華句集

珈琲 補遺

かまくらへ運ぶコーヒー熱きかな 阿波野青畝
かんばしき黒珈琲や初時雨 日野草城
かんばしく珈琲たぎる余寒かな 日野草城
きこく垣に春の砂塵やコーヒー欲し 細見綾子
クロイツェル・ソナタ氷片珈琲に 日野草城
コーヒーのむ冬日の窓に木椅子寄せ(八ヶ岳山麓二句) 細見綾子
コーヒーの氷のかけら音すなり 篠原梵 年々去来の花 皿
コーヒーをひく女あり廃港に 佐藤鬼房
コーヒーを飲みに出るのが避暑散歩 阿波野青畝
コーヒーを飲み雪壁の中走る 細見綾子
コーヒー飲み残して下る斑雪山 廣瀬直人
コーヒー喫む美術の秋の森の中 山口青邨
コーヒー店前古草の成長す 永田耕衣
コーヒー奢って 刑事立ち去る 夏至の巷 伊丹三樹彦
コスモスを活けてコーヒー豆ひける(呉服元子さん茶房) 細見綾子
ぺたんこの珈琲茶碗冷房に 渡邊白泉
ミモーザの花下の珈琲まだ冷めず 阿波野青畝
一匙一匙コーヒー飲む吾子町燕 中村草田男
一椀の珈琲のぬくみ春くるゝ 石橋秀野
一碗の佳き珈琲に惜む春 日野草城
花見舐めして珈琲碗鬱勃たり 永田耕衣
蝦夷の奥珈琲もとめ額の汗角川源義
海峡を越えきし朝の珈琲喫む 伊丹三樹彦
海底探険談 コーヒーに粗目(ざらめ)沈め 伊丹三樹彦
角砂糖中にコーヒー亀鳴いて 石川桂郎 高蘆
鴨平悼む コーヒーに匙ながく沈め 伊丹三樹彦
寒灯やコーヒー熱き欠茶碗 日野草城
雁わたる街でコーヒー豆を買ひ 細見綾子
玄き珈琲飲みて別れて旅路青し 中村草田男
吾に濃き珈琲ありぬ避暑期過ぐ 星野麥丘人
三伏の珈琲好きも病むうちや 石川桂郎 高蘆
秋はものの 珈琲封じるミルクの膜 伊丹三樹彦
秋日和惜しみ一杯のコーヒー飲む 細見綾子
秋風や珈琲の木のいとけなき 高野素十
出没の珈琲を猪と思いけり 永田耕衣 人生
春昼の珈琲濃かれただ濃かれ 相生垣瓜人 負暄
春昼を来て大阪の濃き珈琲 右城暮石 句集外 昭和三十八年
小さきコーヒー店あり冬日満つ(八ヶ岳山麓二句) 細見綾子
聖菓ありコーヒーに糖入れずとも 阿波野青畝
青芝に弧を描く珈琲紙コップ 鷹羽狩行
雪の声珈琲は重厚紅茶は軽快 日野草城
雪の夜の黒珈琲は沈痛に 日野草城
雪の夜や珈琲重き舌の上 日野草城
千九百年生れの珈琲冬の草 永田耕衣
大学に来て踏む落葉コーヒー欲る 中村草田男
誰もみなコーヒーが好き花曇 星野立子
潮を聴き黒き珈琲に牛乳を流す 日野草城
長き夜や珈琲の湯気なくなりぬ 日野草城
提灯花珈琲の香のしてきたり 燕雀 星野麥丘人
屠蘇にかへ大久保康雄と初珈琲 角川源義
冬の日や珈琲沸し進みすすむ 山口誓子
冬高原コーヒーのめば椅子きしむ(八ヶ岳山麓) 細見綾子
冬匂ふ珈琲幸もこの程度に 山口誓子
冬立ちにけり町角の珈琲の香 伊丹三樹彦
熱き珈琲歌劇少女とゐて啜る 伊丹三樹彦
梅を見てより一杯のコーヒーかな 細見綾子
挽きたてを提げて珈琲木菟遠し 秋元不死男
挽き立ての珈琲狐臭に勝ちて匂ふ 日野草城
飛雪の町 さまよう 朝から珈琲飢餓 伊丹三樹彦
風花や木椅子数個の珈琲店 有馬朗人 天為
母の日ひとり珈琲にミルク咲き 岡本眸
芳烈の珈琲に重きクリイムを 日野草城
冷まじや珈琲を断ち酒を断ち 相生垣瓜人 明治草
烈日の珈琲や放屁連発翁 永田耕衣
珈琲(ブラック)や湖へ大きな春の虹 燕雀 星野麥丘人
珈琲にさくら四分や恋に似る 森澄雄
珈琲に春飲の事亦あらむ 相生垣瓜人 負暄
珈琲に普化らしき蛾の投身す 永田耕衣
珈琲の渦を見てゐる寅彦忌 有馬朗人 立志
珈琲の香が木犀の香を消せり 相生垣瓜人 負暄
珈琲の霜見刻なる鋼(まがね)かな 永田耕衣
珈琲の梅雨を越すべき濃度かな 相生垣瓜人 負暄
珈琲の目にぞ古草尤もだ 永田耕衣
珈琲はアメリカン 尼僧も加わるパイプ椅子 伊丹三樹彦
珈琲はブラツククリスマスローズ 雨滴集 星野麥丘人
珈琲や夏のゆふぐれながゝりき 日野草城
珈琲や葱を想いて熱かりき 永田耕衣 物質
珈琲や夜に入るまでの蝮草 桂信子 草樹
珈琲をあまくあまくして事務疲れ 日野草城
珈琲を吾が飲めり兵は泥水を 日野草城
珈琲を淹れよげんじつかくきびし 安住敦
珈琲を淹れよちちははふとこほし 安住敦
珈琲を淹れよひとみなしんじつなし 安住敦
珈琲を碾く度秋の深みけり 相生垣瓜人 負暄
珈琲煙草不養生の身や木の葉髪 古郷
珈琲館に好きな絵ありて夏深し 桂信子 草影
珈琲館昆虫色の西東忌 鷹羽狩行
珈琲館辻の灯くらく窓涼し 水原秋櫻子 餘生
珈琲秋思の 銀匙 重くも軽くもなく 伊丹三樹彦
珈琲豆挽く山番 床に栗鼠走らせ 伊丹三樹彦
珈琲濃しあさがほの紺けふ多く 橋本多佳子
珈琲変へ器日々替へ梅雨長し 林翔
轢かれたる猪の匂いの珈琲哉 永田耕衣 人生
霙ふるまたよからずや珈琲喫む 山口青邨

以上

by 575fudemakase | 2018-08-23 08:55 | 無季 | Trackback | Comments(0)

投網 の俳句

投網 の俳句

投網

うぐひ漁千曲の投網緋にからむ 堤 圭慥
しぐるゝや絶ず網打川むかひ 成田蒼虬
たぐり寄す投網に秋の暮るる風 富田潮児
まなかひに竹生島入れ投網打つ 市川つね子(恵那)
鮎の瀬を知りつくしたる夜網打つ 松尾緑富
磯鴫や入江にひらく投網の輪 広瀬釣仙
一村に投網かけたる朝霞 高島光陽子
稲雀投網のごとく降りたちぬ 太田寛郎
夏の川投網拡がりゆきて消ゆ 辻善次郎
花火降る投網のごとき逢瀬かな 石寒太 翔
街への投網のような花火が返事です 夏石番矢
潟ちぢみ網打つなりに踊りの輪 成田千空 地霊
寒江に網打つことも無かりけり 高浜虚子
寒鴉われに網打ちかくるごと 龍男
寒鴉群われに網打ちかくるごと 永井龍男
空に網打つたる春の雪げむり 田中裕明 櫻姫譚
空林に投網捨て積み寒砂丘 加藤耕子
月の雲投網のごとくひろがれる 田川飛旅子 花文字
魂一つ月の投網にかかるらし 中里麦外
菜の花や投網を肩にして若き ふけとしこ 真鍮
鮭網打つ孤りに雪のつのりくる 文挟夫佐恵 遠い橋
殺生のかくしなやかに投網打つ 品川昌子
山なみへ網打ちかけてうろこ雲 平井さち子 鷹日和
山眠る星の投網を打つごとく 神蔵 器
七色に繰り出す投網冬隣 岡田史乃
秋川になげる投網の光かな 中勘助
初漁の公魚投網くりかへす 亀井糸游
水郷や茅花流しに投網打つ 遠藤三鈴
瀬々涼しひらく投網に鹿島槍 岡田 貞峰
西日中胸で水押し投網打つ 斉藤葉子
石に鳴く河鹿投網をかむりけり 内山 亜川
浅春の投網ゆらりと日を散す 吉橋綾子
草の花昼の投網のまたひらく 大島雄作
走りつゝ鮭の背波に網打てり 黒川龍吾
送行や投網打つ人雨の中 田中裕明
朝焼の微塵漓江へ投網打つ 白井眞貫
投網にとほきせきれいおどろける 木津柳芽 白鷺抄
投網よりこぼれし鮠の雪に跳ね 川原 道程
投網干す浜昼顔へ打ちひろげ 遠藤真砂明
投網師の悴かむ手より鮒を買ふ 河前 隆三
投網舟戻る渚も神の庭 古賀まり子 緑の野以後
投網人に遅月赤く浮びけり 五十嵐播水 播水句集
投網打ちゐしが著替へて運転す 稲畑汀子
投網打つごとくに風の川芒 友岡子郷
投網打つ沖に小さく竹生島 森田れいこ「花海桐」
投網打つ漢の背中刻を止め 武澤林子(*ろうかん)
投網打つ空に拡がる鰯雲 吉本善行
白梅の投網にかかる心地かな 中島俊二
八月や投網の渋のかれて善く 野村喜舟 小石川
風で来る佃囃子や投網舟 巌谷小波
抱卵の葭切乱す投網打 釜谷石籟
椋鳥の投網をひらく夕焼空 岡田貞峰
網打ちの見えずなり行凉かな 蕪村 夏之部 ■ 加茂の西岸に榻を下して
網打つて地味にしてゐる水の春 長谷川櫂 古志
網打のしぼりよせたる鱸かな 村上鬼城
網打の肱なげちらす月夜かな 坂本朱拙
網打やとればものいふ五月闇 雪芝
網打や花にまぶれし女客 望月宋屋
夜見ケ浜投網にかかる鱚小さし 松崎鉄之介
夜網打つ音聞えくる星の宿 木村蕪城
夕風や網打ちめぐるひびの外 臼田亞浪 定本亜浪句集
熔岩原を一網打尽鰯雲 滝 佳杖
翡翠のひらく投網をかすめけり 土方 秋湖
蘆の芽に水の綾生む投網舟 恩田 洋子

投網 補遺

秋晴の舟より投網橋よりも 松本たかし
春の禽網打ちめぐる山の墓 飯田龍太
水ぬるみ網打ち見入る郵便夫 久女
生れ来て父の投網に屈しけり 永田耕衣
雪吊りや神の投網の美しき 鷹羽狩行
川口に二百二十日の投網舟 星野麥丘人
昼顔や舟ながれ来て網打てる 岸田稚魚 負け犬
朝顔や舳みがける投網舟 水原秋櫻子 殉教
冬耕の彼方投網のしぶきたつ 飯田龍太
投網の錘ずしりと十三夜 佐藤鬼房
投網の父死ねば全く粘土かな 永田耕衣
投網や桃の葉附きの梨一つ 永田耕衣
投網打やがて花野にあがりけり 飴山實 句集外
投網飛ぶ稲置(いなぎ)の谷地と思ふとき 佐藤鬼房
白く軽くして捕虫網打ち振れり 右城暮石 句集外 昭和二十七年
網打つて淡海をひろげたる 飴山實 句集外
夜網打つ音聞えくる星の宿 木村蕪城 寒泉
夕風や網打ちめぐるひびの外 臼田亜郞 定本亜浪句集
落鮎に水摩つて行く投網かな 村上鬼城
露草に投網のものをぶちまけし 清崎敏郎
檜の板や亡父は投網を崇めていた 永田耕衣
蝙蝠や並んで打てる投網打ち 村上鬼城

以上



by 575fudemakase | 2018-08-20 05:51 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

木の葉蝶 の俳句

木の葉蝶 の俳句
山道の腐れ木株に木の葉蝶 高澤良一 素抱
石庭の石よりはがれ木の葉蝶 太田昌子
熟柿二つ高きに木の葉蝶消ゆる 石原八束 空の渚
入寂の谿あふれ翔ち木の葉蝶 中島斌雄
風細き島木の葉蝶夕まぎる 佐藤鬼房
桃を離れて荒雄川越す木の葉蝶 森澄雄
以上

by 575fudemakase | 2018-08-15 06:36 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)

トンネル の俳句

トンネル の俳句

トンネル

おぼろ夜の汽笛トンネルが国境 野澤節子 黄 炎
この下にトンネルのある野菊かな 池田澄子
トンネルがとても長くて蜜柑むく 千原草之
トンネルが奪う日本海上の星一粒 林田紀音夫
トンネルに耳のつまりし帰省かな 森川光郎
トンネルに入りて秋暑の肌冷やす 青木重行
トンネルのかなたに針穴ほどの夏 土肥あき子
トンネルのブーゲンビレアや鉄の柵 石川真紀乃
トンネルの奥が明るい耳咲く秋 穴井太 土語
トンネルの口ある山の夏蜜柑 和知喜八 同齢
トンネルの工事現場の鯉幟 日比野和子
トンネルの車内家めく燈下涼し 香西照雄
トンネルの出口かつと日の照青芒 北原白秋
トンネルの真上の部落麦の秋 川村紫陽
トンネルの壁濡れていた ひと言二言 沙羅冬笛
トンネルの両端の十三夜かな 正木ゆう子
トンネルをいでゝ遽かに秋の暮 久保田万太郎 流寓抄
トンネルをぬけて吹雪の闇に入る 林 照江
トンネルを出し汽車雉子を飛び立たす 右城暮石 上下
トンネルを出づればたちまち雪の国 田中冬二 俳句拾遺
トンネルを出てしろがねの蝉時雨 五島高資
トンネルを出て信濃町梅雨霽るる 永井龍男
トンネルを出るたびに溪春浅し 八木林之助
トンネルを出れば今庄柿の秋 小松越幽子
トンネルを出れば芒や秋の山 岡本綺堂 独吟
トンネルを抜けてトンネル冬の山 名島恵子
トンネルを抜けて終点紅葉駅 松村昌弘
トンネルを抜けて即ち螢の夜 秋山 万里
トンネルを抜け十月の箒売 黒田杏子
トンネル見え雪のみどりの波頭 中拓夫
トンネル出たての道やはらかし霧甘し 平井さち子 完流
もてなしにトンネル内の氷柱見す 右城暮石 上下
わがくらき腑をつらぬける隧道よゆきゆきて冬の海に出会ひき 喜多弘樹
わが立つ丘の下はトンネル万愚節 中村明子
下り簗つぎつぎ車窓又トンネル 高浜年尾
葛の花トンネル口は風に満ち 鷹羽狩行
干柿を噛みつつ長きトンネルよ 岸本尚毅 舜
啓蟄やトンネルを出て海明るし 田畑牛歩
孤児園は長き隧道冴え返る 鍵和田[ゆう]子 未来図
五月闇天城隧道ランプ点く 岡田有峰
更待の月の隧道ひびきけり 辰野利彦
妻はばたく花のトンネル潜り来て 益田清
三年間トンネルといふ答辞かな 辻田克巳
山桜トンネル一つ横抱きに(小高) 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
若萩トンネル快気先生通したり 石川桂郎 高蘆
秋には癒えよ螻蛄がせつせと隧道掘る 磯貝碧蹄館 握手
吹雲立ちトンネル口の燈をうばふ 石橋辰之助 山暦
吹雪く戸のくらくトンネル煌々たり 石橋辰之助 山暦
雪中の隧道の口黒くあり 秋山未踏
息つめて萩のトンネルくぐりけり 戸田富美子
潮浴びや隧道ぬけて荻の路 楠目橙黄子 橙圃
軟着感トンネルの中じゆう続く 金子兜太 蜿蜿
梅見にゆく小トンネルの闇を抜け 津田清子
萩のトンネル月光の透く黒い籠 文挟夫佐恵 黄 瀬
萩のトンネル誰かれの忌を思ひをり 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
萩のトンネル白足袋の母に蹤きゆきぬ 杉本寛
発酵のつづく根雪もトンネルも 櫂未知子 貴族
豊年や明治トンネル口すすけ 平畑静塔
嵐の日内側は耐へ桜トンネル 田川飛旅子
立春のこだま隧道抜けてくる 田山諷子
薔薇のトンネルかく馨(かぐは)しき日のありし 鍵和田[ゆう]子 未来図
隧道なか坐席疾走しぼくら青春 上月章
隧道にうしろから吹く風すずし 正岡子規
隧道に空つ風抜け新任地 岡島鈴子
隧道に風鈴売の入りにけり 菅原鬨也
隧道のはるかに人の影すゞし 涼し 正岡子規
隧道のはるかに人の声すゞし 涼し 正岡子規
隧道の果が海見す五月の蒼 河野南畦 『焼灼後』
隧道の口に大なる氷柱かな 夏目漱石 明治三十二年
隧道の口のつよしや更衣 宮坂静生 春の鹿
隧道の上に一字春祭 茨木和生 倭
隧道の中も勾配雪国は 茨木和生
隧道の筒風と来て初燕 中戸川朝人
隧道の南下りや梅匂ふ 中戸川朝人 星辰
隧道の夜涼髪の毛痛きまで 榎本冬一郎 眼光
隧道や氷柱の下り石佛 寺田寅彦
隧道より蝶が出てくる親不知ゆくえもしらぬ夏の末方 岡部桂一郎
隧道を出でていきなり威銃 五十嵐直子
隧道を出でゝ十里の青田哉 斜汀
隧道を出て豊年の無限大 清水昇子
隧道を抜けてあらたの蝉時雨 甲斐誠夫
隧道を浜辺へ出づる月夜哉 寺田寅彦
隧道五里帰る岩魚の唇をして 八木三日女
隧道出づ一面ヨット畑かな にいざ蚯蚓

トンネル 補遺

「トンネルを出れば雪国」の水の青 加藤秋邨
ごんごんと梅雨のトンネル闇屋の唄 西東三鬼
トンネルか将又続く狐火か 阿波野青畝
トンネルに眼つむる伊賀は万緑にて 橋本多佳子
トンネルに風びようびようと鳴り込む旅 金子兜太
トンネルに風冷ゆ春は行かんとし 右城暮石 句集外 昭和十四年
トンネルのあるところまた氷柱垂る 右城暮石 一芸
トンネルの口ありそこに豆畑 高野素十
トンネルの口に茶畠畝を垂れ 山口誓子
トンネルの口や孤独の曼珠沙華 渡邊白泉
トンネルの口近づきて青嵐 右城暮石 句集外 昭和四十一年
トンネルの口滴るや空の音 渡邊白泉
トンネルの車内家めく燈下涼し 香西照雄 素心
トンネルの出口一面黄落す 右城暮石 句集外 平成二年
トンネルの出口白きは霞なり 山口誓子
トンネルの数だけ青嶺潜り抜け 山口誓子
トンネルの西入口の日脚伸ぶ 右城暮石 句集外 昭和二十七年
トンネルの先から汽笛*かりんの実 岡井省二 明野
トンネルの裡も雪敷く雪国は 山口誓子
トンネルの涼し煙艸も忘れをり 右城暮石 句集外 昭和十六年
トンネルは一車通行紅葉渓 右城暮石 天水
トンネルまた 給湯少女の笑顔また 伊丹三樹彦
トンネルをぬけてトンネル葛の雨 右城暮石 句集外 昭和五十六年
トンネルをぬけても枯野には逢はず 阿波野青畝
トンネルをぬけて越路の雪なりけり 鈴木真砂女 夏帯
トンネルを出しが春夜の闇つゞく 右城暮石 句集外 昭和二十八年
トンネルを出し汽車雉子を飛び立たす 右城暮石 上下
トンネルを出て紅梅の呱々の声 鷹羽狩行
トンネルを出て霧深しすぐトンネル 右城暮石 句集外 昭和三十六年
トンネルを出れば雪国雪降れり 清崎敏郎
トンネルを出れば長滝別天地 山口誓子
トンネルを出れば北見の国の秋 星野立子
トンネルを登山電車のひた下る 阿波野青畝
トンネルを抜けて越後や稲の秋 石塚友二 磊[カイ]集
トンネルを百も越え来ぬ土用波 山口青邨
まず藤がのぞく隧道穴明り 赤尾兜子 歳華集
もてなしにトンネル内の氷柱見す 右城暮石 上下
暗きものトンネルの口芒原 鷹羽狩行
炎天のトンネルに入りては出づる 右城暮石 句集外 昭和五十年
花蜜柑匂ふトンネルまたトンネル 右城暮石 句集外 昭和三十七年
葛の花トンネル口は風に満ち 鷹羽狩行
汽車を吐く笹子トンネル葡萄園 山口青邨
丘に見る遠き隧道冬西日 大野林火 青水輪 昭和二十六年
月明り射せりトンネル口曲る 右城暮石 虻峠
山枯るる隧道に灯を溢れしめ 岡本眸
時鳥トンネルばかり掘る国よ 百合山羽公 樂土以後
実に直線寒山のトンネルは 西東三鬼
若萩トンネル快気先生通したり 石川桂郎 高蘆
青葛の山隧道の口が開く 山口誓子
青嵐素掘トンネル曲り出て 右城暮石 一芸
大寒に入る隧道に扉なく 上田五千石『田園』補遺
大寒のトンネル老の眼をつむる 西東三鬼
長きトンネル出て雪山の夕かな 古郷
長トンネル二つくぐりて出し紅葉 右城暮石 句集外 平成四年
桃の村からトンネルに突込む塩気 金子兜太
軟着感トンネルの中じゆう続く 金子兜太
廃礦にのこるトンネル桜咲き 右城暮石 虻峠
梅見にゆく小トンネルの闇を抜け 津田清子 礼拝
豊年や明治トンネル口すすけ 平畑静塔
防雪林がつなぐトンネル空も覚め 古沢太穂 捲かるる鴎
煌々と新トンネルの淑気かな 百合山羽公 樂土以後
隧道が部落の北窓落葉降る 佐藤鬼房
隧道にうしろから吹く風すゝし 正岡子規 涼し
隧道に暮色待たせて螢火は 鷹羽狩行
隧道のはるかに人の影すゞし 正岡子規 涼し
隧道のはるかに人の声すゞし 正岡子規 涼し
隧道の乳鋲と見しは蝸牛 岡本眸
隧道の入口が見ゆ初蛙 右城暮石 句集外 昭和四十五年
隧道の飯場石焚く雪籠り 河東碧梧桐
隧道の涼感にゐて旅馴れず 鷹羽狩行
隧道を遠足の声出始むる 上田五千石『田園』補遺
隧道を出きらぬうちに*まくなぎ来る 鷹羽狩行

以上



by 575fudemakase | 2018-08-12 07:10 | 無季 | Trackback | Comments(0)

浮輪 の俳句

浮輪 の俳句

浮輪

チヨウザメの春浮袋とり替へねば 津田清子
どこまでもひとりつきりの浮輪かな 辻桃子
にんげんの男に預け浮袋 高澤晶子
はしゃぐこと尻をぷりぷり浮輪の子 高澤良一 素抱
ポカやってもう追ひつけぬ浮輪かな 高澤良一 寒暑
むづかつて浮輪なか~馴染まざる 行方克己 無言劇
もう一度わが息足して浮ぶくろ 能村研三 騎士
奥琵琶湖浮輪吊るして鳥威 清水弓月
海を見て浮輪ふうふう膨らます 高澤良一 素抱
絵本のやう赤燈台と浮輪の子 高澤良一 寒暑
監視員浮輪に片手入れて佇つ 丸山工(梟)
急流に近づいてゆく浮輪かな 辻桃子
五能線浜に手を振る浮輪の子 高澤良一 寒暑
広島の忌や浮袋砂まぶれ 西東三鬼
広島の忌や浮袋砂まみれ 西東三鬼
砂浜の浮輪片足入れてみる 津高里永子
春風やからだのなかに浮袋 大井恒行
昼寝より覚めし浮輪を外しけり 佐々木六戈
東京に帰る浮輪を手放さず 深川正一郎
東京へ帰る浮輪を手放さず 深川正一郎
胴体にはめて浮輪を買つてくる 辻桃子
膝までの波にも浮輪はなさずに 門川秀子(藍)
夫には縋らず浮輪に縋るほど 楠節子
布袋草に浮袋あり神を讃む 田川飛旅子
浮袋ふくらます眼を海に置き 沢田きよし
浮袋よりも男はたよりなし 保坂伸秋
浮袋遠くへなげて明日のこと 荻原都美子
浮袋腰に支へて駆けり来る 行方克巳
浮袋腰に支へて駈けり来る 行方克己 無言劇
浮袋子の息に足す父の息 山崎ひさを
浮袋赤肌重ねヒロシマ忌 沢木欣一
浮袋爪先立つて波を待つ 行方克己 無言劇
浮袋二箇膨らます役はパパ 高澤良一 暮津
浮袋並べ干しある夜の庭 高澤良一 随笑
浮輪が口つきだしてゐる生家かな 大石雄鬼
浮輪たたみぬおとといの砂こぼし 白岩文美
浮輪の子おどおど臍の深さまで 高澤良一 暮津
浮輪の子くらげの拾いごっこして 高澤良一 素抱
浮輪の子嬉々と寄る波跨ぎゆく 高澤良一 暮津
末の子の泳げるつもり浮輪つけ 稲畑汀子
盲目にして浮袋なり天に浮く 攝津幸彦
晝寝より覚めて浮輪を外しけり 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨

浮輪 補遺

プール園浮輪に王子さまを乗せ 平畑静塔
広鳥の忌や浮袋砂まぶれ 西東三鬼
根かぎりふくらんでをる浮輪かな 清崎敏郎
子育ての一と日の母の浮袋 後藤比奈夫
神が作る浮袋の詩布袋草 山口青邨
浮輪にて立てり大人の水深に 山口誓子
流れくる片仮名の名の浮輪かな 能村登四郎

以上

by 575fudemakase | 2018-08-12 07:09 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

相模 の俳句

相模 の俳句

相模

いなづまや浪のよるよる伊豆相模 蕪村
きりぎりす相模厚木は夜の雨 田中冬二 俳句拾遺
さくら紅葉相模の泥に下駄穿つ 『定本 石橋秀野句文集』
さねさし相模の蜜柑酸く甘く 加藤三七子
しぐるゝや油曇りの相模灘 石塚友二 光塵
たたき鰺甘し相模の秋霞 中拓夫
安房へ行き相模へ帰り小夜千鳥 正岡子規
安房へ行き相模へ歸り小夜千鳥 千鳥 正岡子規
伊豆相模わかつ岬に笹鳴ける 有働 亨
伊豆相模境もわかず花すゝき 薄 正岡子規
雲払ふさねさし相模山眠り 高良満智子
音なしの幾夜の冬の相模灘 原石鼎 花影以後
夏はきぬ相模の海の南風にわが瞳燃ゆわがこころ燃ゆ 吉井勇
夏は来ぬ相模の海の南風にわが瞳燃ゆわがこころ燃ゆ 吉井勇
夏網の相模の海の鱸かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
蚊相模のいま勝負どき風吹けり 原裕 『王城句帖』
割干は紐に跨り相模灘 高澤良一 鳩信
関八州相模の方へ蟻走る 多々良敬子
眼の下に相模灘あり花みかん 田中冬二 俳句拾遺
鬼やらふとき大闇の相模灘 原裕 新治
桐の花かげろひやすき相模の野 文挟夫佐恵 黄 瀬
近浦も相模も雨の虚蟹 佐藤鬼房 何處ヘ
桑の瘤葉を噴いてをる相模かな 大木あまり 火球
恵方道相模はうしほ満つる国 田中鬼骨
見放つやをばなが末の甲斐相模 会津八一
枯野より高く入日の相模湾 阿部藍子
枯葉とぶ音もひかりもわが相模 藤田湘子 てんてん
左義長の炎のちぎれとぶ相模灘 原裕
傘さして相模の恋をつらぬけり 攝津幸彦
獅子頭担ぎ相模の虫送り 西本才子
秋燕の翼返すや伊豆相模 高澤良一 石鏡
秋涼や墨絵となりぬ相模湾 落合柊子
春の海隔てゝ安房と相模かな 篠崎霞山
春暁の星をうつさず相模灘 長谷川かな女 雨 月
初空や下より明くる相模灘 初空 正岡子規
初汐や旭の中に伊豆相模 蕪村
初潮や旭の中に伊豆相模 蕪 村
初凪やさねさし相模しらねども 有澤[かりん]
初日さす相模田圃へ出て父は 湘子
初富士や浪の穂赤き伊豆相模 格堂
小春よき相模の国や年の市 原石鼎 花影以後
鉦太鼓もて相模野に凧をあぐ 中戸川朝人 星辰
真帆浮ぶ相模の海や実朝忌 宮下秀昌
青女放つ鶴舞ひ渡る相模灘 原石鼎 花影以後
青梅へ胸衿ひらく相模灘 本庄登志彦
石蕗の花潮目きらめく相模灘 井水貞子
相模なるさざれさざ波桜蝦 藤村瑞子
相模より武蔵にかけて山蒼し 遠山 陽子
相模より風吹きわたる心太 大橋富士子
相模伊豆鳥居こわれるほど晴れたり 佃悦夫
相模堰みづ満々と太宰の忌 金子さちこ
相模乙女の髪の逆立つ大試験 星野石雀
相模行く夕日の国の妻なりけり 折笠美秋 死出の衣は
相模国分寺落花に礎石目覚めしよ 河野南畦
相模灘しづまる闇に時鳥 原石鼎 花影以後
相模灘砥の如き日や松の蕊 石塚友二
相模灘不二立錐のいたみかな 豊口陽子
相模野に雲厚き日や牛蒡引く 佐野美智
相模野に春を奏でて酒匂川 高澤良一 素抱
相模野に端午の大凧あがりたり 滝沢伊代次
相模野の春暮になじむとりけもの 桂 信子
相模野の青き踏み来て手ぶらかな 高澤良一 宿好
相模野も足柄寄りや麦の秋 尾崎迷堂 孤輪
相模嶺はわが蓬莱ぞ風に立つ 鈴木康久
草原の国に生れて初相模 長谷川櫂 虚空
其角忌や西相模野の紅梅花 石原八束
太穂忌の相模寒月梅真白 澤柳たか子
凧の尾に相模の海の波荒ぶ 市川東子房
蜘蛛消えて只大空の相模灘 原 石鼎
朝曇相模野は畑黒く延ぶ 宮津昭彦
椿林展け正面相模灘 高澤良一 鳩信
吊し雛相模の湖の透けて見ゆ 小林清子
弟よ相模は海と著莪の雨 高柳重信
冬桜相模の湾を一望に 山本 幸代
破芭蕉夜は白波の相模灘 大嶽青児
梅の上に聳ゆ富嶽も相模ぶり 高澤良一 素抱
白妙の富嶽相模の風表 高澤良一 さざなみやつこ
麦の芽を風が起こしぬ相模灘 原 裕
麦の芽を風が起しぬ相模灘 原裕 『王城句帖』
病む姉の肩に萩ちる相模かな 鈴木としを
武蔵より相模へ通ふ猫の恋 有馬朗人 耳順
風花や武蔵相模に着倒れて 桑原三郎 春亂
粉を噴く柿よどの相模嶺に父坐すや 磯貝碧蹄館 握手
万緑や相模・武蔵の境なく 松尾隆信
蜜柑ちぎり相模の海のあをきにくだる 川島彷徨子
名月や晝より廣き相模灘 名月 正岡子規
餅腹に相模の海のにほふかな 高澤良一 ぱらりとせ
湧きたちて羽蟻まぎるる相模灘 飯田龍太
遊行忌の道一本や相模晴 高澤良一 ねずみのこまくら
夕波のさねさし相模初つばめ 鍵和田[ゆう]子
揚雲雀寒き相模を見て帰る 攝津幸彦 鹿々集
雷の一太刀浴びぬ相模灘 高澤良一 寒暑
雷の楔を入るゝ相模灘 高澤良一 暮津
鈴虫や土手の向ふは相模灘 鈴虫 正岡子規
鈴虫を相模ヶ原にきゝて住む 素十
腕にきし相模の山の太き蚊よ 瀧澤伊代次
戛々と夏戛々と燈の相模 宮坂静生 樹下
蟆子がくる相模の山を見てあれば 中村草田男
鵯鳴いて相模は晴れぬ粥柱 原 石鼎

相模 補遺

さがみ野の果てなる花も日に酔へり 臼田亜浪 旅人 抄
さがみ野の路傍のものを年の花 藤田湘子 神楽
さくら紅葉相模の泥に下駄穿つ 石橋秀野
しぐるゝや油曇りの相模灘 石塚友二 光塵
へろへろと相模冬至の夕日かな 山田みづえ まるめろ
むさしさがみ梅がもう咲く野のひかり 中川一碧樓
阿波に平家・相模に源氏螢見き 松崎鉄之介
安房へ行き相模へ歸り小夜千鳥 正岡子規 千鳥
伊豆相模境もわかず花すゝき 正岡子規 薄
音なしの幾夜の冬の相模灘 原石鼎 花影以後
襟たてて相模の市の風に蹤く 角川源義
近浦も相模も雨の虚蟹 佐藤鬼房
枯葉とぶ音もひかりもわが相模 藤田湘子 てんてん
七月や相模大山の神の札 細見綾子
春雷のしふねきこだま相模湾 阿波野青畝
初空や下より明くる相模灘 正岡子規 初空
小春よき相模の国や年の市 原石鼎 花影以後
青女放つ鶴舞ひ渡る相模灘 原石鼎 花影以後
石笛に相模の小野の野焼かな 林翔
雪の根の相模野に延ぶ藷を焼く 角川源義
相模国原枯れけり山も川もなみ 大野林火 冬青集 雨夜抄
相模灘しづまる闇に時鳥 原石鼎 花影以後
相模灘舐の如き日や松の蕊 石塚友二 曠日
相模野に月おきて雷さかりゆく 角川源義
相模野の空かるくなる松手入 鷹羽狩行
相模野の春暮になじむとりけもの 桂信子 初夏
氷頭噛むや簾越しに秋の相模灘 飯田龍太
武蔵より相模へ通ふ猫の恋 有馬朗人 耳順
名月や晝より廣き相模灘 正岡子規 名月
野の果の灘も相模や渡り鳥 三橋敏雄
湧きたちて羽蟻まぎるる相模灘 飯田龍太
鈴虫や土手の向ふは相模灘 正岡子規 鈴虫
暈の日やさねさし相模めかり時 藤田湘子 神楽
蟆子がくる相模の山を見てあれば 中村草田男
鴉の子生れて相模一の宮 藤田湘子

相模 続補遺
初潮や旭の中に伊豆相模 与謝蕪村
川べりはまだ相模なり枯尾花 田川鳳朗

以上

by 575fudemakase | 2018-08-08 09:07 | 無季 | Trackback | Comments(0)

猪独活 の俳句

猪独活 の俳句

猪独活

ししうどに触れてゆきけり梅雨の蝶 ふけとしこ 鎌の刃
ししうどの曳きたる影や梅雨夕焼 ふけとしこ 鎌の刃
ししうどの奥は日の射す獣径 有働 亨
ししうどの花がはじめの千曲川 酒井弘司
ししうどの花とであひし子牛かな 綾部仁喜 樸簡
ししうどの花のほとりに捨て蒸気 高澤良一 石鏡
ししうどの花の傘添ふ瞽女の墓 八牧美喜子
ししうどの花を霧今閉ざすところ 高澤良一 随笑
ししうどの花横なぐり霧暗転 高澤良一 随笑
ししうどや金剛不壊の嶺のかず 成田千空
ししうどや山々の名をまた忘れ 矢島渚男 天衣
一揆の道花ししうどの盛りけり 伊藤京子
山だしのししうどの花盛りなり 高澤良一 鳩信
獅子独活に翅音ひびけるものばかり 鈴木しげを
獅子独活のすつくすつくと花咲けり 藤木倶子「栽竹」
獅子独活のたてがみしろし蝶よぎり 堀口星眠 営巣期
獅子独活の雨の山荘閉ぢにけり 鈴木しげを
獅子独活の群落白き岳月夜 福田蓼汀
獅子独活の弾け咲きして国境 大石悦子 聞香
獅子独活の藪から棒に恐山 高澤良一 随笑
聖小屋みな寝獅子独活月夜かな 岡田日郎
啄木の墓に獅子独活花かざす 金子伊昔紅
猪独活の峠ひたひた女たち 樋口こと
猪独活や海の墓みな海へ向き 加藤瑠璃子
毒の水激ち獅子独活花盛り 岡田日郎

猪独活 補遺

ししうどのシユプレヒコール千島返せ 津田清子
ししうどの花を活けたり山の宿 山口青邨
ししうどは蝦夷のえぞにう谷に咲く 山口青邨
ししうどや人の目山に遮ぎられ 廣瀬直人
獅子独活の花シエクスピア読みしこと 雨滴集 星野麥丘人
獅子独活の花シェクスピア読みしこと 星野麥丘人
獅子独活や断岸凡そ二十丈 水原秋櫻子 晩華
獅子独活や旅愁きびしき海の色 水原秋櫻子 晩華
獅子独活や祀れる神は手力男 能村登四郎
焼岳の霧に獅子独活立ちなびく 水原秋櫻子 蓬壺
上人の墓やししうど森に咲き 山口青邨
森の中ししうど咲けり夜のごと 山口青邨
燈台を真白獅子独活咲き埋む 水原秋櫻子 晩華
廃坑やししうどの花高く咲き 山口青邨

以上

by 575fudemakase | 2018-08-02 13:17 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

蝉生る の俳句

蝉生る の俳句

蝉生る

うすき羽いまだ使へず蝉生るゝ 野村久雄
けさ生れし蝉穴ふたつ去来墓 茂里正治
この雨に生まれなくとも蝉青し 水田むつみ
ともに激しさもち蝉と生れ人と生れ 玉城一香
やわらかき蝉生れきて岩つかむ 西東三鬼
一斉に蝉の生涯はじまる日 後藤一秋
横に殼有りて真白く蝉生る 波多野幸子
殻を脱ぐ蝉生誕の翅の瑠璃 小原菁々子
月明にきそひ生れて鳴く蝉か 松村蒼石
吾とわが鈍くゐる日や蝉生る 大石悦子 聞香
梧桐の被爆の幹に蝉生る 川口崇子
生まれたる蝉にみどりの橡世界 田畑美穂女
生れし蝉しばらくはその殻に添ふ 望月晴実「要滝」
生れし蝉すぐに驚く夜霧来る 殿村莵絲子 花 季
生れたる蝉おづ~と歩きけり 高橋淡路女 梶の葉
生れたる蝉にみどりの橡世界 田畑美穂女
生れたる蝉はなじろみ蠢きぬ 飯田蛇笏 霊芝
青萩の青にぞ染り生れし蝉 後藤夜半
折紙の国から赤い蝉生まる 佐田和江
蝉生まれし穴が謎めく古墳群 水野公子
蝉生るゝ狭き墓域に凡に葬る 殿村莵絲子 雨 月
蝉生るる月の光をふるはせて 加藤多美子(けごん)
蝉生る孤独の殻を脱ぎすてて 渡辺寛子
蝉生る神杉をよづ翅の透き 川瀬カョ子
蝉生る蝉の諸音につつまれて 五十嵐播水(九年母)
蝉生れこの世の色に変身す 山口博(桑海)
蝉生れつぎ大濤は無盡藏 大岳水一路
蝉生れて地軸の熱を放ちけり 岸本早苗
造成の残せし杜に蝉生まる 福川悠子
入れかはり立ちかはり水蝉生る 百瀬美津
法師品(ほっしほん)称えて蝉の生まる也 高澤良一 随笑

蝉生る 補遺

いま生れし蝉に老鴬ほととぎす 後藤比奈夫
たまもののごとき熟睡蝉生る家(丹波にて) 細見綾子
わが庭に生れ世にうとき秋の蝉 山口青邨
わが庭を蝉の生るる聖地とす 山口青邨
月明にきそひ生れて鳴く蝉か 松村蒼石 雪
口重き神の園生の法師蝉 鷹羽狩行
糠蝉を生みて小さき蝉の穴 富安風生
時かけて生れて蝉の唖蝉よ 鷹羽狩行
漆黒の眼を見ひらいて蝉生る 野見山朱鳥 運命
生れたる蝉はなじろみ蠢きぬ 飯田蛇笏 霊芝
生れたる蝉まなかひに翁堂 後藤比奈夫
蝉に生れてさんげさんげと山の蝉 森澄雄
蝉生る寸土一つの穴ありき 山口青邨
蝉生る能登の海辺をさかさまに 有馬朗人 母国
蝉生れゆづり葉句集第二成る 高野素十
法師蝉生れて上る古墳の木 廣瀬直人

以上




by 575fudemakase | 2018-08-02 13:16 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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